(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034320
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】積分球
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
G01J1/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140491
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【弁理士】
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】西田 和史
(72)【発明者】
【氏名】堀越 久美子
(72)【発明者】
【氏名】原 仁
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AA11
2G065AB04
2G065AB22
2G065AB24
2G065BB05
2G065BB42
(57)【要約】
【課題】積分球の吸湿を抑制し、積分球の効率の変動を抑制することで、積分球を用いた光学測定の精度を向上させる。
【解決手段】本開示の積分球10は、中空部材1と、中空部材1の内面上に設けられ、且つ光源からの光を中空部材1内で散乱及び反射させて拡散光とする拡散性塗布膜4と、を備え、拡散性塗膜4上に疎水性塗膜5が被覆されてなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部材と、前記中空部材の内面上に設けられ、且つ光源からの光を前記中空部材内で散乱及び反射させて拡散光とする拡散性塗布膜と、を備える積分球であって、
前記拡散性塗膜上に疎水性塗膜が被覆されてなる、積分球。
【請求項2】
請求項1に記載の積分球であって、
前記疎水性塗膜は、疎水性樹脂を含む、積分球。
【請求項3】
請求項1に記載の積分球であって、
前記疎水性塗膜は、疎水性樹脂の粉末と、疎水性樹脂のバインダと、を含む、積分球。
【請求項4】
請求項3に記載の積分球であって、
前記疎水性樹脂の粉末は、前記光の波長において透明であり、且つ前記光の波長より大きい粒径を有する、積分球。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の積分球であって、
前記疎水性樹脂のバインダは、前記光の波長において透明であり、且つ前記粉末の屈折率と0.02以上異なる屈折率を有する、積分球。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れか一項に記載の積分球であって、
前記疎水性樹脂は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリエチレンテレフタレートを含む、積分球。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積分球に関する。
【背景技術】
【0002】
積分球は、光源からの光を拡散し、均一にするために用いられる光学部品である。例えば、特許文献1には、積分球を備える全光束測定装置が開示されている。ここで、指向性がある光源の全光量の測定では、光量の測定方向によって測定値が変わるため、全方向について測定が繰り返される必要がある。光源からの光は、例えばLED(Light Emitting Diode)のように指向性がある光源であっても、積分球内で拡散を繰り返す。これにより、積分球内の明るさは均一となる。そのため、積分球内の明るさが一度測定されるだけで、光源が発する全光量に比例した測定値が得られる。ただし、光源からの光は、積分球内で散乱と反射を繰り返して均質になりながら、その一部が検出器に到達する。そのため、積分球内の反射率に応じて、測定値は減弱される。積分球に入射した光のうち利用可能な光の割合は、積分球の効率と呼ばれる。効率が不明な積分球が用いられる場合、全光束が既知の校正用光源が測定され、それに対する相対光量が測定されることによって、測定対象の全光束が測定される。積分球を用いた一連の測定の間に積分球の効率が変化してしまうと測定誤差が生じるため、積分球の効率の変動を防ぐことが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の積分球の効率は積分球の乾燥状態に依存して変化するという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、積分球の吸湿を抑制し、積分球の効率の変動を抑制することで、積分球を用いた光学測定の精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る積分球は、中空部材と、前記中空部材の内面上に設けられ、且つ光源からの光を前記中空部材内で散乱及び反射させて拡散光とする拡散性塗布膜と、を備える積分球であって、前記拡散性塗膜上に疎水性塗膜が被覆されてなる。
【0007】
これにより、周囲の湿度からの水分が拡散性塗膜に吸収されることが抑制される。その結果、拡散性塗膜の反射率の低下が抑制され、周囲の湿度による積分球の効率の変動が抑制される。
【0008】
一実施形態において、前記疎水性塗膜は、単一の疎水性樹脂を含む。
【0009】
これにより、周囲の湿度からの水分が拡散性塗膜に吸収されることが抑制される。その結果、拡散性塗膜の反射率の低下が抑制され、周囲の湿度による積分球の効率の変動が抑制される。
【0010】
なお、拡散性塗膜は、一般に硫酸バリウムの粉末同士が隙間をもって固定されており、粉末と空気との界面で被管理の反射が起こり、拡散性を引き起こしている。単一の疎水性樹脂のみからなる疎水性塗膜を施す場合、硫酸バリウムの粉末間に疎水性樹脂が浸透し硫酸バリウムとの界面での反射率を下げてしまうので、積分球の効率が低下してしまう。本開示の積分球の効率は、疎水性塗膜を有しない積分球より低いが変動が抑制される。
【0011】
一実施形態において、前記疎水性塗膜は、疎水性樹脂の粉末と疎水性樹脂のバインダとを含む。
【0012】
これにより、疎水性樹脂の粉末と疎水性樹脂バインダとの界面でも光の反射が起こり、疎水性塗膜が光を拡散させる機能を有するため、単一の疎水性樹脂のみからなる疎水性塗膜を施す場合よりも積分球の効率が高まり、且つ積分球の効率の変動が抑制される。
【0013】
一実施形態において、前記疎水性樹脂の粉末は、前記光の波長において透明であり、且つ前記光の波長より大きい粒径を有する。
【0014】
これにより、積分球の効率の低下が抑制される。
【0015】
一実施形態において、前記疎水性樹脂のバインダは、前記光の波長において透明であり、且つ前記粉末の屈折率と0.02以上異なる屈折率を有する。
【0016】
これにより、積分球の効率の低下が抑制される。
【0017】
一実施形態において、前記疎水性樹脂は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリエチレンテレフタレートを含む。
【0018】
これにより、積分球の効率の低下が抑制される。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、積分球の吸湿が抑制され、積分球の効率の変動が抑制されるので、積分球を用いた光学測定の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】比較例に係る積分球を色測定装置に適用した例を示す。
【
図3】比較例に係る積分球の効率の変化率の相対的な時間変化を示す。測定開始時を100%とした。
【
図4】発明例1に係る積分球の効率の変化率の相対的な時間変化を示す。測定開始時を100%とした。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。各図において、同一符号は、同一又は同等の構成要素を示す。
【0022】
図1を参照して、比較例に係る積分球10を色測定装置に適用した例を説明する。
【0023】
積分球10は、中空部材1と、光源30からの光を中空部材1内に導くための第1の開口部2と、中空部材1内で拡散された拡散光を中空部材1外に導くための第2の開口部3と、を備える。第1の開口部2は、中空部材1の上部(光源30側)に設けられる。第2の開口部3は、中空部材1の下部(受光側)に設けられる。
【0024】
中空部材1の内面上には、光源30からの光を中空部材1内で散乱及び反射させて拡散光とする拡散性塗膜4が設けられる。拡散性塗膜4は、一般的には、硫酸バリウムの粉末とポリビニールアルコール(PVA)等のバインダとを含む。
【0025】
例えば白色LED等の光源30からの光は、第1の開口部2から中空部材1内に入射し、中空部材1内で十分に拡散し、第2の開口部3から中空部材1外に拡散光として出射する。中空部材1から出射した拡散光の一部は、光軸を取り囲むように配置されたシリンドリカルミラー50によって反射され、測定対象60にあたる。測定対象60で散乱された拡散光のうち鉛直上向きの拡散光は、ミラー40及びコリメーションレンズ70によって取り出され、その反射強度が分光器80で測定される。測定対象60の反射率は、反射率が既知である反射部材の反射強度を予め記録しておくことによって測定される。ここで、積分球10から出射した拡散光は、均一な分布であるため、測定対象60には方向によらず同じ強さで照明される。そのため、測定対象60に反射率の方向特性があったとしても、測定対象60の設置角度によらず安定した測定が可能となる。
【0026】
しかしながら、拡散性塗膜4に含まれるPVAは、親水性であり、周囲の湿度からの水分を吸収する。水分を吸収したPVAは、膨潤し、硫酸バリウムの粉末間の隙間を埋めてしまい、拡散性塗膜4の反射率を低下させることがある。拡散性塗膜4の反射率がわずかに低下しても、積分球10内では光の反射が繰り返されるので、積分球10の効率は大きく変化する。このように、比較例に係る積分球10の効率は、周囲の湿度によって変動し、安定した測定を行うことができないという問題があった。例えば、光源30の全光束が測定される場合、校正用光源が測定されてから測定対象60の光源が測定されるまでに積分球10の効率が変化すると測定誤差が生じる。また、色測定の光源に用いられる場合、校正用反射板が測定されてから測定対象60が測定されるまでに積分球の効率が変化すると測定誤差が生じる。これらは、光源及び装置からの熱によって積分球10の乾燥が進み、積分球10が十分に乾燥するまで、積分球10の効率が変化することが原因である。特に、製紙工場において、製造中の紙の色を測定するための色測定装置では、製造プロセスの温度変化の影響を抑制するために、センサを加熱して恒温化している場合があり、この場合も積分球10の乾燥が進み、積分球10の効率が変化することがある。これらの測定誤差を回避するためには、積分球10の効率の変化が収まるまで数時間待機する必要があった。
【0027】
これに対して、本実施形態によれば、上記問題が解決可能である。すなわち、本実施形態によれば、積分球の効率が周囲の湿度によって変動することが抑制される。これにより、安定した光量測定又は色測定が実現され得る。
【0028】
図2を参照して、本実施形態に係る積分球20を説明する。
【0029】
積分球20は、中空部材1と、光源からの光を導くための第1の開口部2と、中空部材1内で拡散された拡散光を中空部材1外に導くための第2の開口部3と、を備える。第1の開口部2は、中空部材1の上部(光源側)に設けられる。第2の開口部3は、中空部材1の下部(受光側)に設けられる。ただし、積分球10に設けられる開口部の数は、これに限定されず、任意に定められてもよい。例えば、単一の開口部が光の入力ポート及び出力ポートを兼ねてもよく、或いは積分球10内に光源が設置されてもよい。以下では、積分球20が第1の開口部2と第2の開口部3とを備える場合について詳細に説明するが、本開示はこれに限定されない。
【0030】
中空部材1の内面上には、光源からの光を中空部材1内で散乱及び反射させて拡散光とする拡散性塗膜4が設けられる。
【0031】
拡散性塗膜4上には、疎水性塗膜5が被覆されてなる。すなわち、疎水性塗膜5は、拡散性塗膜4上に設けられる。
【0032】
中空部材1は、加工しやすく、且つ反射率が高いアルミ等の金属を、その内面が例えば球面状となるように任意又は公知の方法でくり抜くことによって得られる。
【0033】
拡散性塗膜4は、中空部材1の素材であるアルミ等の金属上に、任意又は公知のスプレー法等によって形成される。拡散性塗膜4は、第1の開口部2から中空部材1内に入射した光を中空部材1内で拡散させる。拡散性塗膜4は、硫酸バリウム等の粉末とポリビニルアルコール(PVA)等のバインダとを含むことができる。この場合、拡散性塗膜4において、硫酸バリウム等の粉末は、PVA等のバインダに担持される。
【0034】
疎水性塗膜5は、拡散性塗膜4上に塗布される。疎水性塗膜5によって、周囲の湿度からの水分が拡散性塗膜4に吸収されることが抑制される。この結果、拡散性塗膜4の反射率の低下が抑制され、周囲の湿度による積分球20の効率の変動が抑制される。
【0035】
疎水性塗膜5は、疎水性樹脂を含むことができる。疎水性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリエチレンテレフタレートを含むことができる。
【0036】
疎水性塗膜5は、単一の疎水性樹脂からなってもよい。
【0037】
代替的に、疎水性塗膜5は、疎水性樹脂の粉末と疎水性樹脂のバインダとを含んでもよい。この場合、疎水性塗膜5において、疎水性樹脂の粉末は、疎水性樹脂のバインダに担持される。これにより、拡散性塗膜4に含まれる硫酸バリウムの粉末間に疎水性樹脂の粉末が深く浸透し、粉末間が充填されることが抑制されるため、拡散性塗膜4の反射率の低下が抑制される。すなわち、疎水性塗膜5は、光を拡散させる機能を更に有するので、積分球20の効率の低下が抑制される。
【0038】
疎水性樹脂の粉末は、拡散効果を高める観点から、光源からの光の波長において透明であり、且つ光の波長より大きい粒径を有することが好ましい。具体的には、疎水性樹脂の粉末は、可視光では0.5μm以上の粒径を有することが好ましい。また、限られた疎水性塗膜の厚さ(例えば50~1000μm)で拡散効果を高める観点から、疎水性樹脂の粉末は、50μm以下の粒径を有することが好ましい。なお、疎水性樹脂の粉末の粒径は、粒径相当のメッシュを有する篩により適宜選別される。
【0039】
疎水性樹脂のバインダは、積分球の効率の観点から、光源からの光の波長において透明であり、且つ疎水性樹脂の粉末の屈折率と0.02以上異なる屈折率を有することが好ましい。
【0040】
疎水性樹脂の粉末と疎水性樹脂のバインダとの混合率は、積分球の効率及び疎水性能、並びに疎水性樹脂粉末の固定能力の観点から、体積比で0:100~50:50の範囲であることが好ましく、40:60~50:50の範囲であることがより好ましい。
【0041】
疎水性樹脂の粉末及び疎水性樹脂のバインダは、酢酸ブチル等の溶剤に分散され、拡散性塗膜4で被覆されてなる中空部材1の内面に任意又は公知のスプレー法により塗布される。塗布量は、1平方メートルあたり50~1000g(乾燥時)とすることが好ましい。なお、
図2では、拡散性塗膜4と疎水性塗膜5との間に明瞭な界面が形成されている態様が示されている。しかしながら、疎水性塗膜5に含まれる疎水性樹脂のバインダは、拡散性塗膜4に浸透して固定されるので、疎水性塗膜5が単一の疎水性樹脂からなる場合には明瞭な界面が形成されない場合がある。
【実施例0042】
(比較例)
比較例では、従来の積分球(硫酸バリウム粉末をPVAで固定、膜厚500μm)を用いた。
【0043】
(発明例1)
発明例1では、従来の積分球における拡散性塗膜上に、上述したスプレー法により、疎水性樹脂のバインダとしてのシリコーン樹脂と疎水性樹脂の粉末としてのPTFEとを含む疎水性塗膜を被覆した。なお、疎水性樹脂の粉末の粒径は20μmであった。また、塗布量は、1平方メートルあたり200g(乾燥時)であった。また、疎水性樹脂の粉末と疎水性樹脂のバインダとの混合率は、体積比で50:50であった。
【0044】
(発明例2)
発明例2では、従来の積分球に対して、単一のフッ素樹脂(具体的にはPTFE)からなる疎水性塗膜を形成した。
【0045】
各発明例及び比較例に対して、積分球の効率の変化率の時間変化を調べた。なお、測定に使用した光の波長は400nmから680nmとし、光量を平均化して求めた。
図3及び
図4に結果を示す。
図3に示すように、比較例では、電源の投入前に、周囲の湿度による吸湿が起こっており、積分球の効率が下がっていた。そして、電源の投入により、機器温度が上昇して積分球が乾燥するにつれて、積分球の効率が徐々に変化した。これに対して、
図4に示すように、発明例1では、電源の投入前であっても、周囲の湿度による吸湿が起こっておらず、電源の投入前後で積分球の効率は一定であった。なお、発明例2では、比較例に対して30%程度の効率しか得られなかったが、発明例1では、比較例に対して60%程度の効率が得られた。
【0046】
以上、本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
本開示によれば、積分球の効率が周囲の湿度によって変動することが抑制される点で、積分球の性能が改善される。また、本開示によれば、安定した光量測定又は色測定を実現することができる。具体的には、本開示の積分球を用いた光学特性測定は、積分球の効率が電源の投入直後より安定しているため、すぐに実行可能である。また、周囲の湿度が変化しても積分球の効率が変化することが抑制されるため、より安定した測定が実現可能である。例えば、光源の全光束が測定される場合には、校正用光源を測定してから測定対象の光源を測定するまでに積分球の効率が変化することが抑制され、測定誤差が抑制される。また、色測定の光源に用いられる場合には、校正用反射板を測定してから測定対象を測定するまでに積分球の効率が変化することが抑制され、測定誤差が抑制される。さらに、積分球が組み込まれた装置において、当該装置自体が発する熱及び光源自体が発する熱によって積分球の乾燥が進むことに起因して、積分球の効率が変動することが抑制されるので、装置の電源投入後すぐに安定した測定が実現可能である。ただし、本開示の適用範囲は、ここに例示したものに限定されるものではない。
代替的に、疎水性塗膜5は、疎水性樹脂の粉末と疎水性樹脂のバインダとを含んでもよい。この場合、疎水性塗膜5において、疎水性樹脂の粉末は、疎水性樹脂のバインダに担持される。これにより、疎水性樹脂の粉末と疎水性樹脂バインダとの界面でも光の反射が起こり、疎水性塗膜が光を拡散させる機能を有するため、単一の疎水性樹脂のみからなる疎水性塗膜を施す場合よりも拡散性塗膜4の反射率の低下が抑制される。すなわち、疎水性塗膜5は、光を拡散させる機能を更に有するので、積分球20の効率の低下が抑制される。