IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図1
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図2
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図3
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図4
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図5
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図6
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図7
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図8
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図9
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図10
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図11
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図12
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図13
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図14
  • 特開-レンズ、及び照明器具 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034337
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】レンズ、及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/04 20060101AFI20230306BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20230306BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230306BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20230306BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20230306BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230306BHJP
【FI】
F21V5/04 650
F21S8/02 410
F21V5/00 320
G02B3/08
G02B5/02 C
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140513
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩之
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA18
(57)【要約】
【課題】 光取り出し効率の向上を図ることができるレンズ、及び照明器具を提供する。
【解決手段】 レンズ6は、光が入射する入射面61と、光が出射する出射面62と、を備える。入射面61は、高さ方向にそれぞれ突出する第1突部641、及び第2突部642を有する。第1突部641の頂点641aは、第2突部642の頂点642aより低い。高さ方向において、第1突部641の第2基端641e及び第2突部642の第3基端642dは中間位置P1に位置する。高さ方向において中間位置P1と第1突部641の第1基端641dの位置との差をH1とし、高さ方向において中間位置P1と第1突部641の頂点641aの位置との差をH2とすると、0.31≦H1/H2<1.00となる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具の光源から発せられる光が透過するレンズであって、
前記光が入射する入射面と、
前記光が出射する出射面と、を備え、
前記入射面は、前記入射面の一点から前記入射面の外縁に向かう径方向に沿って並んで形成されて、高さ方向にそれぞれ突出する複数の突部を有し、
前記複数の突部は、第1突部、及び前記第1突部に隣接して前記第1突部より前記外縁の近くに形成された第2突部を含み、
前記第1突部の頂点は、前記第2突部の頂点より低く、
前記第1突部の基部は、前記径方向に対向する第1基端と第2基端とを有し、
前記第2突部の基部は、前記径方向に対向する第3基端と第4基端とを有し、
前記第2基端は、前記第1基端より前記外縁の近くに位置し、
前記第4基端は、前記第3基端より前記外縁の近くに位置し、
前記高さ方向において、前記第2基端及び前記第3基端は中間位置に位置し、
前記高さ方向において前記中間位置と前記第1基端の位置との差をH1とし、前記高さ方向において前記中間位置と前記第1突部の頂点の位置との差をH2とすると、
0.31≦H1/H2<1.00
となる
レンズ。
【請求項2】
前記高さ方向において前記中間位置と前記第2突部の頂点の位置との差をH3とすると、
0.34≦H2/H3≦0.61
となる
請求項1のレンズ。
【請求項3】
前記出射面の少なくとも一部は平面形状であり、
前記複数の突部のそれぞれは環状であり、
前記入射面は、前記複数の突部のうち前記外縁から最も離れている突部に囲まれた平面を備える
請求項1又は2のレンズ。
【請求項4】
前記出射面の少なくとも一部は平面形状であり、
前記複数の突部のそれぞれは環状であり、
前記入射面は、前記複数の突部のうち前記外縁から最も離れている突部に囲まれた曲面を備え、
前記曲面は、前記出射面に直交する仮想軸に対して軸対象の形状となる
請求項1又は2のレンズ。
【請求項5】
前記曲面は、凸曲面である
請求項4のレンズ。
【請求項6】
前記複数の突部は、フレネルを構成する
請求項1乃至5のいずれか1つのレンズ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つのレンズと、
前記光源と、
前記出射面から出射した前記光の一部を反射する反射部材と、を備える
照明器具。
【請求項8】
前記反射部材の遮光角は30度以下である
請求項7の照明器具。
【請求項9】
0.31≦H1/H2≦0.88、となる
請求項8の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンズ、及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、照明器具用のレンズ(従来レンズ)を開示しており、従来レンズは、照明器具の光源から出射された光を所定の方向に偏向する。従来レンズは、中心軸に対して対象な形状であり、略円錐形状の先端中央に形成された窪み突起部を有している。
【0003】
具体的に、従来レンズは、本体部と、外周部と、連結部とを備える。本体部、外周部及び連結部は、それぞれ、光軸に対して対称構造を有する。本体部はほぼ円柱形状であり、外周部は、本体部の周囲に位置する。外周部は、光軸に対して、本体部の周囲を囲むように配置され、本体部の側方を全方位にわたって囲んでいる。すなわち、外周部は、円環状のプリズムを構成しており、外周部の高さは、本体部の高さよりも大きい。連結部は、本体部と外周部とを連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-184488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
照明器具の光源から発せられる光が透過するレンズに対しては、レンズに入射する光に対する、レンズから出射する光の割合である光取り出し効率の向上が求められている。この結果、レンズを備えた照明器具の省エネルギー化及び小型化などを実現できる。
【0006】
本開示の目的は、光取り出し効率の向上を図ることができるレンズ、及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るレンズは、照明器具の光源から発せられる光が透過する。前記レンズは、前記光が入射する入射面と、前記光が出射する出射面と、を備える。前記入射面は、前記入射面の一点から前記入射面の外縁に向かう径方向に沿って並んで形成されて、高さ方向にそれぞれ突出する複数の突部を有する。前記複数の突部は、第1突部、及び前記第1突部に隣接して前記第1突部より前記外縁の近くに形成された第2突部を含む。前記第1突部の頂点は、前記第2突部の頂点より低い。前記第1突部の基部は、前記径方向に対向する第1基端と第2基端とを有し、前記第2突部の基部は、前記径方向に対向する第3基端と第4基端とを有する。前記第2基端は、前記第1基端より前記外縁の近くに位置し、前記第4基端は、前記第3基端より前記外縁の近くに位置する。前記高さ方向において、前記第2基端及び前記第3基端は中間位置に位置する。前記高さ方向において前記中間位置と前記第1基端の位置との差をH1とし、前記高さ方向において前記中間位置と前記第1突部の頂点の位置との差をH2とすると、0.31≦H1/H2<1.00となる。
【0008】
本開示の一態様に係る照明器具は、上述のレンズと、前記光源と、前記出射面から出射した前記光の一部を反射する反射部材と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本開示は、光取り出し効率の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態のレンズを備える照明器具を示す斜視図である。
図2図2は、同上の照明器具を示す断面図である。
図3図3は、同上の照明器具を示す分解斜視図である。
図4図4は、同上のレンズを示す斜視図である。
図5図5は、同上のレンズを示す断面図である。
図6図6は、第1比較例の光路を示す断面図である。
図7図7は、実施形態のレンズの光路を示す断面図である。
図8図8A図8B、及び図8Cのそれぞれは、同上の第1突部の高さが互いに異なるレンズの断面図である。
図9図9は、同上の条件Iによるレンズの光取り出し効率を示すグラフである。
図10図10は、同上の条件IIによるレンズの光取り出し効率を示すグラフである。
図11図11は、同上の条件IIによるレンズの光取り出し効率を説明する断面図である。
図12図12は、第1変形例の照明器具の一部を示す断面図である。
図13図13は、同上の条件Iによるレンズの光取り出し効率を示すグラフである。
図14図14は、第2変形例のレンズを示す斜視図である。
図15図15は、同上のレンズを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は、一般に、レンズ、及び照明器具に関する。より詳細には、光取り出し効率の向上を図ることができるレンズ、及び照明器具に関する。
【0012】
以下、実施形態に係るレンズ、及び照明器具について、図1図11を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
また、以下の説明では、特に断りのない限り、図1において、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を規定する。便宜的に、X軸に沿う両方向のうち一方を右方向とし、他方を左方向とする。また、Y軸に沿う両方向のうち一方を前方向とし、他方を後方向とする。また、Z軸に沿う両方向のうち一方を上方向とし、他方を下方向とする。なお、これらの方向は、レンズ、及び照明器具の実際の使用時の方向を限定するものではない。
【0014】
(実施形態)
(1)照明器具
実施形態に係る照明器具1の構成について、図面を参照して説明する。
【0015】
照明器具1は、例えば店舗、事務所、劇場、商業施設、ホール、又は住宅などに設置される。照明器具1は、例えば埋込型ダウンライトであり、天井パネルなどの造営材に埋め込み配置されて、下方を照明する。
【0016】
照明器具1は、図1図3に示すように、基台2、光源ホルダ3、光源ユニット4、主反射部材5、レンズ6、枠体7、及び補助反射部材8を備える。
【0017】
(1.1)基台
基台2は、筒体21を備えており、筒体21の上端は上壁211で閉塞されている。筒体21の下端は開放されており、筒体21の内部には、光源ホルダ3が収納される。上壁211の上面には、上方に突出する複数の放熱フィン22が形成されている。上壁211の上面には、3つの挿通孔213(図1参照)が形成されており、3つの挿通孔213に図示しない3本のねじがそれぞれ挿通される。3本のねじの下端が枠体7のねじ孔731(図3参照)にそれぞれねじ込まれることで、光源ホルダ3、光源ユニット4、主反射部材5、及び枠体7が、基台2に取り付けられる。
【0018】
上壁211の下面には、下方に突出する四角錐台状の突起212が形成されている。突起212には、光源ユニット4のLED基板41の上面が接触する。すなわち、基台2は、LED基板41に実装されている光源42の発熱を周囲に放散する放熱部材として機能し、アルミニウム、銅、鉄などのように熱伝導率の高い金属によって形成されることが好ましい。筒体21と放熱フィン22とは、アルミダイカスト等で一体成形される構成、及び別体の筒体21と放熱フィン22とが接合などによって一体化される構成のいずれでもよい。なお、基台2は、放熱フィン22を備えていなくてもよい。
【0019】
(1.2)光源ホルダ
光源ホルダ3は、略矩形板状のホルダ本体31、及びホルダ本体31の周縁から上方及び下方に延びて形成されている筒状の側壁32を備える。ホルダ本体31の下面中央には、上に向かって窪んだ凹部311が形成されている。凹部311は正方形状の断面を有している。凹部311の正方形状の底面には、正方形状の開口312が形成されている。
【0020】
光源ホルダ3は、基台2の筒体21の内部に収納されており、側壁32の上端及び凹部311の底部が筒体21の上壁211の下面に接触する。
【0021】
光源ホルダ3の凹部311には、光源ユニット4のLED基板41が収納され、基台2の突起212が開口312を上方から挿通して、LED基板41の上面に面接触する。
【0022】
(1.3)光源ユニット
光源ユニット4は、LED基板41、光源42、及び一対の電極43を備える。
【0023】
LED基板41及び光源42は、COB(Chip On Board)タイプのLED(Light Emitting Diode)チップを構成している。
【0024】
LED基板41は、正方形の板形状であり、例えば、セラミックス基板、樹脂基板、又はメタルベース基板などを有する。LED基板41は、光源42、及び一対の電極43を実装されている。
【0025】
光源42は、複数のLEDチップを備えており、複数のLEDチップは、LED基板41の下面において円形状に実装されて、封止部材で封止されている。LEDチップは、例えば、青色光を発する青色LEDチップなどの単色の可視光を発するベアチップである。なお、光源42は、1つのLEDチップを備える構成であってもよい。封止部材は、例えば、透光性樹脂で構成され、蛍光体を含む。蛍光体は、LEDチップからの光を波長変換する機能を有する。封止部材は、例えば、蛍光体粒子を含有するシリコーン樹脂である。LEDチップが青色光を発し、蛍光体粒子がYAG系の黄色蛍光体であれば、光源42は白色光を発する。封止部材は、全てのLEDチップを一括して封止してもよく、マトリクス状に配置された複数のLEDチップを列ごとにライン状に封止してもよく、複数のLEDチップをそれぞれ個別に封止してもよい。
【0026】
一対の電極43は、銅、アルミニウムなどの高い導電性の材料によって形成され、LED基板41に実装されている。一対の電極43には、外部からの直流電力の供給路となる電線又は導体が接続される。光源42は、一対の電極43を介して直流電力を供給され、直流電力によって点灯する。
【0027】
また、LED基板41は、外部からの交流電力を直流電力に変換する電源回路を実装していてもよい。この場合、一対の電極43には、外部からの交流電力の供給路となる電線又は導体が接続される。光源42は、電源回路が出力する直流電力によって点灯する。
【0028】
光源ユニット4のLED基板41は、光源42を下に向けた状態で光源ホルダ3の凹部311に収納され、LED基板41の上面は、光源ホルダ3の開口312を上方から挿通した基台2の突起212に面接触している。したがって、光源42の発熱は、突起212を介して基台2に伝達され、基台2の放熱フィン22などから周囲に放散される。
【0029】
(1.4)反射部材
主反射部材5は、Z軸に沿った上下方向を軸方向とする円筒形状の筒体51、及び筒体51の外周面に設けられた環状の鍔部52を備える。主反射部材5は、例えば白色樹脂材料によって形成される。主反射部材5を構成する樹脂材料は、ポリブチレンテレフタレートなどであることが好ましい。なお、主反射部材5は、アルミニウム等の金属材料によって形成されてもよく、樹脂成型品の内面にアルミニウム等の金属膜を形成したものでもよい。
【0030】
筒体51は、円筒状の上筒部511、及び円筒状の下筒部512を一体に備えており、下筒部512の直径が上筒部511の直径より大きくなる2段構造を有する。上筒部511は、光源ユニット4の光源42の下方に位置し、上筒部511の上部(又は上端付近)に光源42が位置する。上筒部511及び下筒部512の各内面は光の反射面であり、光源42が下方に発した光は、上筒部511の内部を通過した後に、下筒部512の内部を通過して、レンズ6に入射する。上筒部511の内部を通過する光の一部は、上筒部511の内面で反射する。下筒部512の内部を通過する光の一部は、下筒部512の内面で反射する。
【0031】
鍔部52は、円環部521、及び側壁522を備える。円環部521は、下筒部512の外周面において下筒部512の上端から外側に延びる円環状である。側壁522は、円環部521の外周縁から上方に延びている円環状の壁体である。また、円環部521の下面には3つの係止部523が、円周方向に等間隔に形成されている。係止部523は、円環部521の下面から下方に延びる一対の係止爪で構成されている。係止部523がレンズ6の係止突起65に係止することで、主反射部材5の下端にレンズ6が取り付けられる。
【0032】
(1.5)レンズ
レンズ6は、透光性を有する透光部材であり、主反射部材5の下筒部512の下端開口を覆うようにして、下筒部512に収納されている。レンズ6は、光源42から主反射部材5の内部を通過してレンズ6に到達した光を透過させる。
【0033】
レンズ6は、図4及び図5に示すように、円板状のレンズ本体60を備える。レンズ本体60の上面は、光源42からの光が入射する入射面61を構成する。レンズ本体60の下面は、レンズ6を通過した光がレンズ6の外部に出射する出射面62を構成する。
【0034】
入射面61は、平面63と、フレネル64と、を有する。平面63は、円形状の入射面61に同心状に形成された円形状である。フレネル64は、平面63を囲む円環形状である。
【0035】
具体的に、フレネル64は、平面63を囲む円環状の第1突部641、及び第1突部641を囲む円環状の第2突部642を備える。第1突部641は、平面63の外周縁に沿って形成され、第2突部642は、第1突部641を囲むように第1突部641の外側に形成されている。すなわち、入射面61において、円環状の第1突部641は円形状の平面63を囲み、円環状の第2突部642は第1突部641を囲んでいる。
【0036】
上述のレンズ6は、広角レンズとして機能する。具体的に、レンズ6は、入射面61において第1突部641に囲まれた平面63を備え、出射面62を平面形状としている。したがって、レンズ6は、入射面61の平面63及び出射面62によって、広角レンズとして機能する。また、入射面61の外縁を外周縁611とすると、レンズ6は、外周縁611に沿って形成されているフレネル64によって、レンズ6の外周側に入射した光の配光範囲を抑制できる。
【0037】
レンズ6は、透光性を有する透光性材料によって構成され、例えば、アクリル、シリコーン系樹脂材料、若しくはポリカーボネート等の透明樹脂材料、又はガラス材料によって形成される。
【0038】
また、レンズ本体60の外周端には、3つ係止突起65が円周方向に等間隔に形成されている。そして、主反射部材5の係止部523が係止突起65に係止することで、主反射部材5の下端にレンズ6が取り付けられる。
【0039】
なお、レンズ6の詳細については後述する。
【0040】
(1.6)枠体
枠体7は、樹脂等によって円筒形状に形成されており、筒体71、鍔部72、及び3つの取付片73(図3では1つ取付片73のみを図示している)を備える。筒体71は、Z軸に沿った上下方向を軸方向とする円筒形状であり、筒体71の上面には円形の上開口711が形成され、筒体71の下面には円形の下開口712が形成されている。主反射部材5の下筒部512が上開口711を上方から挿通し、下筒部512は筒体71に収納されている。
【0041】
鍔部72は、筒体71の下端において円環形状に形成され、下開口712の開口縁から筒体71の外側に向かって延びている。
【0042】
3つの取付片73は、筒体71の上端において、上開口711の周方向に等間隔に形成されている。
【0043】
さらに、取付片73には、ねじ孔731(図3では1つのねじ孔731のみを図示している)が形成されている。そして、基台2の3つの挿通孔213(図1参照)に上方から挿通した図示しない3本のねじの下端がねじ孔731にそれぞれねじ込まれることで、光源ホルダ3、光源ユニット4、主反射部材5、及び枠体7が基台2に取り付けられる。すなわち、基台2と枠体7とが、光源ホルダ3、光源ユニット4、及び主反射部材5を挟持している。
【0044】
(1.7)補助反射部材
補助反射部材8は、本開示の反射部材に相当し、枠体7の内部に取り付けられる。補助反射部材8は、筒体81、及び3つの撓み片82を備える。
【0045】
筒体81は、円筒形状であり、筒体81の上端に形成されている円形状の開口を入射口811とし、筒体81の下面に形成されている円形状の開口を出射口812とする。筒体81の直径は、筒体81の上端から下端に近付くにつれて、徐々に大きくなる。すなわち、出射口812の直径は入射口811の直径より大きくなる。筒体81の上端がレンズ6の出射面62の周縁を支持し、主反射部材5の下筒部512の下端が入射面61に当接することで、レンズ6は主反射部材5と補助反射部材8との間に挟持される。
【0046】
筒体81の上端には、入射口811の周縁に沿って3つの撓み片82が等間隔に形成されている。撓み片82は、入射口811の周縁から上方に延びており、撓み片82の上端から外側に係止片821が延びている。
【0047】
補助反射部材8は、筒体81の軸方向が上下に沿うように、枠体7の内部に収納される。補助反射部材8の上端は、枠体7の下開口712から枠体7の内部に挿入される。補助反射部材8が枠体7の内部に挿入されると、撓み片82が撓みながら上開口711を下方から挿通し、係止片821の下面が取付片73の上面に係止する。すなわち、補助反射部材8は、枠体7に取り付けられる。
【0048】
筒体81の内面は、光を反射する反射面813を構成している。反射面813を備える補助反射部材8は、アルミニウムを表面に蒸着させた樹脂の筒体であることが好ましい。アルミニウムの筒体は、切削品、鋳造品、及び鍛造品のいずれでもよい。また、補助反射部材8は、アルミニウム等の金属膜を表面に蒸着させた樹脂製の筒体であってもよい。補助反射部材8を構成する樹脂材料としては、ポリブチレンテレフタレート等である。
【0049】
(1.8)照明光
上述のように構成された照明器具1では、光源42が発した光は、主反射部材5の筒体51の内部を通って、レンズ6の入射面61に入射する。入射面61に入射した光は、レンズ6の内部を通ってレンズ6の出射面62から出射する。出射面62は、X-Y平面(図1のX軸及びY軸で規定される平面)に平行な平面である。出射面62から出射した光は、補助反射部材8の入射口811から筒体81の内部に入射する。すなわち、光源ユニット4の光源42が発した光は、主反射部材5及びレンズ6を通って筒体81の内部に到達する。筒体81の内部に到達した光のうち、反射面813で少なくとも1回反射した光を反射光とする。筒体81の内部に到達した光のうち、反射面813で1回も反射していない光を直接光とする。出射口812からは、反射光及び直接光を含む照明光が、照明器具1の下方の照明空間に向かって出力される。すなわち、照明器具1は、出射口812から照明光を照射する。
【0050】
(2)レンズの詳細
レンズ6は、照明器具1の光源42が発した光の配光を制御して、広ビーム角の照明光を出射口812から出射させる。このような照明器具1に用いられるレンズ6に対しては、光取り出し効率(レンズ6に入射する光に対する、レンズ6から出射する光の割合)の向上が求められる。特に、フレネル64での光取り出し効率の向上は重要になる。
【0051】
例えば、フレネルを用いたレンズとしては、以下の比較例のレンズ6Rがある。なお、比較例は、本実施形態とは異なる。
【0052】
(2.1)比較例
図6は、本実施形態のレンズ6とは異なるレンズ6Rを用いた比較例の照明器具の光路を示す。なお、図6は、光源42、及びレンズ6Rのみを図示している。レンズ6Rにおいてレンズ6と同様の構成には、レンズ6と同一の符号を付している。
【0053】
レンズ6Rは、円板状のレンズ本体60Rを備える。レンズ本体60Rの上面は、光源42からの光が入射する入射面61Rを構成する。レンズ本体60Rの下面は、レンズ6Rを通過した光がレンズ6Rの外部に出射する出射面62Rを構成する。
【0054】
入射面61Rは、平面63Rと、フレネル64Rと、を有する。平面63Rは、円形状の入射面61Rに同心状に形成された円形状である。フレネル64Rは、平面63Rを囲む円環形状である。具体的に、フレネル64Rは、平面63Rを囲む円環状の突部649を備える。突部649は、ノコギリ波状の断面を有する円環形状のレンズであり、平面63Rの外周縁に沿って形成されている。すなわち、フレネル64Rは、一重のフレネルであり、入射面61Rにおいて、円環状の1つの突部649が円形状の平面63Rを囲んでいる。
【0055】
そして、図6に示すように、光源42の中心から発せられた光のうち突部649の内側面649aに入射した光をL101とする。光L101のうち、内側面649aの上部に入射した光L102は、突部649の外側面649bで反射する。外側面649bで反射した光L102は、出射面62Rから出射する。
【0056】
一方、光L101のうち、内側面649aの下部(突部649の基端付近)に入射した光L103は、外側面649bに当たることなく突部649の内部を通過して、出射面62Rで反射し、レンズ本体60Rの内部で反射を繰り返す。そして、光L103は、レンズ本体60Rの出射面62Rではなく、レンズ本体60Rの側端部69Rから出射する。すなわち、レンズ6Rでは、突部649によって出射面62Rから出射しない光L103が発生する。このように、レンズ6Rは、配光制御のために突部649を備えているが、突部649の基端付近に入射する光L103を配光制御することは難しく、光学的ロスが生じやすくなる。したがって、レンズ6Rでは、出射面62Rから出射しない光L103が損失となるので、光取り出し効率が悪化してしまう。なお、レンズ6Rの光取り出し効率は、レンズ6Rに入射する光L101に対する、レンズ6Rから出射する光L102の割合である。
【0057】
(2.2)実施形態のレンズ
上述の比較例では、突部649によって発生する光L103が損失となり、光取り出し効率を悪化させる要因となっている。
【0058】
そこで、本実施形態の照明器具1は、図4及び図5に示すレンズ6を備える。
【0059】
レンズ6は、円板状のレンズ本体60を備え、レンズ本体60の上面が入射面61であり、レンズ本体60の下面が出射面62である。
【0060】
入射面61は、平面63と、フレネル64と、を有する。平面63は、円形状の入射面61に同心状に形成された円形状である。フレネル64は、平面63を囲む円環形状である。円形状の出射面62の中心を通ってZ軸に沿って上下に延びる仮想軸をZa1とすると、レンズ6は、仮想軸Za1に対して軸対象となる形状に形成されている。
【0061】
具体的に、フレネル64は、平面63を囲む円環状の第1突部641、及び第1突部641を囲む円環状の第2突部642を備える。第1突部641は、ノコギリ波状の断面を有する円環形状のレンズであり、平面63の外周縁に沿って上方に突出している。第2突部642は、ノコギリ波状の断面を有する円環形状のレンズであり、第1突部641を囲むように、第1突部641の外側で上方に突出している。すなわち、フレネル64は、二重のフレネルであり、入射面61において、円環状の第1突部641は円形状の平面63を囲み、円環状の第2突部642は第1突部641を囲んでおり、第1突部641及び第2突部642は、円形状の平面63に対して同軸に配置されている。
【0062】
言い換えると、入射面61は、入射面61の中心(一点)から入射面61の外周縁611に向かう径方向に沿って並んで形成された第1突部641及び第2突部642を備える。第1突部641及び第2突部642のそれぞれは、上方(Z軸に沿う高さ方向)にそれぞれ突出しており、第2突部642は、第1突部641に隣接して第1突部641より入射面61の外周縁611の近くに形成されている。
【0063】
第1突部641は、頂点641a、内側面641b、外側面641c、第1基端641d、及び第2基端641eを備える。頂点641aは、第1突部641の円環状の上端である。内側面641bは、頂点641aから平面63に向かって斜めに延びる円環状の斜面である。外側面641cは、頂点641aから第2突部642の第3基端642dに向かって斜めに延びる円環状の斜面である。第1基端641dは、内側面641bの円環状の下端である。第2基端641eは、外側面641cの円環状の下端である。
【0064】
第2突部642は、頂点642a、内側面642b、外側面642c、第3基端642d、及び第4基端642eを備える。頂点642aは、第2突部642の円環状の上端である。内側面642bは、頂点642aから第1突部641の第2基端641eに向かって斜めに延びる円環状の斜面である。外側面642cは、頂点642aから外周縁611に向かって斜めに延びる円環状の斜面である。第3基端642dは、内側面642bの円環状の下端である。第4基端642eは、外側面642cの円環状の下端である。
【0065】
第1突部641の第2基端641eと、第2突部642の第3基端642dとは、同一部位となる。Z軸に沿う方向を高さ方向とすると、第2基端641eの高さ方向の位置と、第3基端642dの高さ方向の位置とは、同一の中間位置P1(図5参照)となる。
【0066】
Z軸に沿う方向を高さ方向とすると、第1突部641の頂点641aは、第2突部642の頂点642aより低い。
【0067】
そして、第1突部641の基部(下端部)は、入射面61の中心(一点)から入射面61の外周縁611に向かう径方向に対向する第1基端641dと第2基端641eとを有し、第2突部642の基部(下端部)は、径方向に対向する第3基端642dと第4基端642eとを有する。第2基端641eは、第1基端641dより外周縁611の近くに位置し、第4基端642eは、第3基端642dより外周縁611の近くに位置している。高さ方向において、第2基端641e及び第3基端642dは同一の中間位置P1(図5参照)に位置する。
【0068】
そして、図5に示すように、高さ方向において中間位置P1と第1基端641dの位置との差を、第1高低差H1とする。高さ方向において中間位置P1と第1突部641の頂点641aの位置との差を第2高低差H2とする。高さ方向において中間位置P1と第2突部642の頂点642aの位置との差を第3高低差H3とする。
【0069】
上述のように構成されているレンズ6において、第1高低差H1、第2高低差H2、及び第3高低差H3のそれぞれの関係は、以下の[条件I]、[条件II]ように設定される。
[条件I]0.31≦H1/H2<1.00
[条件II]0.34≦H2/H3≦0.61
【0070】
図7は、[条件I]及び[条件II]を満たすレンズ6の光路を示す。なお、図7は、光源42、及びレンズ6のみを図示している。
【0071】
図7に示すように、光源42の中心から発せられた光L1は、フレネル64に向かって進む。
【0072】
光L1のうち、光源42から第2突部642の下部に向かって進む光L2は、第1突部641に遮られて、第1突部641に当たり、第1突部641の内側面641bに入射する。内側面641bに入射した光L2は、第1突部641の外側面641cで反射する。外側面641cで反射した光L2は、出射面62から出射する。
【0073】
光L1のうち、光源42から第2突部642の上部に向かって進む光L3は、第1突部641に当たることなく、第2突部642の内側面642bに入射する。内側面642bに入射した光L3は、第2突部642の外側面642cで反射する。外側面642cで反射した光L3は、出射面62から出射する。
【0074】
このようにレンズ6では、光源42から第2突部642の下部に向かって進む光L2、及び光源42から第2突部642の上部に向かって進む光L3の両方が、出射面62から出射する。したがって、レンズ6の光取り出し効率は、レンズ6に入射する光L1に対する、レンズ6から出射する光L2、L3の割合となり、上述の比較例のレンズ6Rの光取り出し効率よりも高くなる。すなわち、レンズ6は、光取り出し効率の向上を図ることができる。
【0075】
以下、[条件I]及び[条件II]について詳述する。
【0076】
(2.2.1)条件I
レンズ6において、第1高低差H1と第2高低差H2との関係は、以下の[条件I]のように設定される。
[条件I]0.31≦H1/H2<1.00
【0077】
図8A図8B、及び図8Cは、第1突部641の高さが互いに異なる3つのレンズ6をそれぞれ示す。なお、以下の説明では、図8Aのレンズ6をレンズ6(1)、図8Bのレンズ6をレンズ6(2)、図8Cのレンズ6をレンズ6(3)と呼ぶ。
【0078】
レンズ6(1)の第1突部641の高さ寸法が最も大きく、レンズ6(2)の第1突部641の高さ寸法が2番目に大きく、レンズ6(3)の第1突部641の高さ寸法が最も小さい。具体的に、レンズ6(1)のH2/H3は0.66、レンズ6(2)のH2/H3は0.56、レンズ6(3)のH2/H3は0.4である。H2/H3が大きい程、第1突部641の高さ寸法が大きくなる。また、レンズ6(1)の第1突部641が最も大きく、レンズ6(2)の第1突部641が2番目に大きく、レンズ6(3)の第1突部641が最も小さい、ともいえる。
【0079】
図9は、H1/H2に対する、レンズ6(1)、レンズ6(2)、及びレンズ6(3)のそれぞれの光取り出し効率ηaの変化を示す。図9において、曲線W1はレンズ6(1)の光取り出し効率ηa、曲線W2はレンズ6(2)の光取り出し効率ηa、曲線W3はレンズ6(3)の光取り出し効率ηaをそれぞれ示す。
【0080】
H1/H2が比較的大きい領域では、第1突部641の高さ寸法が大きい(H2/H3が大きい)程、光取り出し効率ηaが高くなっている。そして、曲線W1-W3のそれぞれにおいて、H1/H2を1から徐々に低下させると、H1/H2が0.31付近に低下するまでは、光取り出し効率ηaはほぼ一定値(74~75%程度)を維持している。しかし、H1/H2が0.31付近にまで低下すると、光取り出し効率ηaが低下し始める。そして、H1/H2が0.31から更に低下すると、H1/H2の低下に伴って、光取り出し効率ηaも低下する。そこで、本実施形態では、光取り出し効率ηaが低下し始める変化点となる「0.31」を、H1/H2の下限値K1とする。
【0081】
また、本実施形態では、高さ方向において、第1突部641の頂点641aの位置が平面63の位置より高くなるように、H1/H2を「1.00」(=K2)未満とする。
【0082】
したがって、レンズ6は、[条件I]0.31≦H1/H2<1.00を満たすことで、光取り出し効率の向上を図ることができる。
【0083】
(2.2.2)条件II
レンズ6において、第2高低差H2と第3高低差H3との関係は、以下の[条件II]のように設定される。
[条件II]0.34≦H2/H3≦0.61
【0084】
図11のレンズ6をレンズ6(4)とすると、図10は、H2/H3に対する、レンズ6(4)の光取り出し効率ηbの変化を示す。図10において、曲線W11はレンズ6(4)の光取り出し効率ηbを示す。
【0085】
光取り出し効率ηbは、H2/H3=0.60付近でピーク値η1(≒75%)となる。そして、光取り出し効率ηbは、H2/H3が0.60付近から減少しても、0.60付近から増加しても、ピーク値η1から減少する。
【0086】
そこで、本実施形態では、H2/H3が0.60付近から減少し、光取り出し効率ηbがピーク値η1から2%低下したときのH2/H3の値「0.34」を、H2/H3の下限値K11とする。
【0087】
また、H2/H3の上限値K12は、第2突部642に入射して、第2突部642によって配光制御される光量によって決められる。具体的に、図11のレンズ6(4)を用いて説明する。まず、光源42の中心から発せられた光L11は、第1突部641の内側面641bに入射する光L13、及び第2突部642の内側面642bに入射する光L12を含む。H2/H3の値が増加すると、光L13が増加し、光L12が減少する。すなわち、H2/H3の値が増加すると、第2突部642によって配光制御される光L12の量が減少し、レンズ6(4)による配光が乱れる。そこで、第2突部642によって配光制御される光L12の量を十分に確保できるH2/H3の値が0.61以下であることから、「0.61」を、H2/H3の上限値K12とする。
【0088】
したがって、レンズ6は、[条件II]0.34≦H2/H3≦0.61を満たすことで、配光制御の精度を向上させることができる。
【0089】
上述のレンズ6は、広角レンズとして機能する。具体的に、レンズ6は、入射面61において第1突部641に囲まれた平面63を備え、出射面62を平面形状としている。したがって、レンズ6は、入射面61の平面63及び出射面62によって、広角レンズとして機能する。また、レンズ6は、入射面61の外周縁611に沿って形成されているフレネル64によって、レンズ6の外周側に入射した光の配光範囲を抑制できる。
【0090】
(3)第1変形例
照明器具1がダウンライトであれば、図12に示すように、補助反射部材8の遮光角θ1は30度以下であることが好ましい。なお、図12は、レンズ6、及び補助反射部材8の筒体81のみを図示している。
【0091】
遮光角θ1は、レンズ6の出射面62に対する角度であり、レンズ6の出射面62が補助反射部材8の筒体81によって遮られて見えなくなるときの角度である。すなわち、人が照明器具1を見上げたときに、人の視線の角度が遮光角θ1より大きければ、人は出射面62を視認でき、出射面62からの光を直接見ることとなり、眩しさの原因となる。また、人が照明器具1を見上げたときに、人の視線の角度が遮光角θ1以下であれば、人は出射面62を視認できず、出射面62からの光を直接見ることはない。
【0092】
そこで、遮光角θ1を30度以下とすることで、照明器具1を見上げたときの眩しさを抑制でき、かつ照明器具1による光の照射範囲を広くすることができる。
【0093】
そして、第1変形例では、上述の[条件I]の代わりに、以下の[条件IA]を用いる。
[条件IA]0.31≦H1/H2<0.88
【0094】
図13は、H1/H2に対する、レンズ6の光取り出し効率ηcの変化を示す。第1変形例では、[条件I]と同様に、光取り出し効率ηcが低下し始める変化点となる「0.31」を、H1/H2の下限値K21とする。
【0095】
また、第1変形例では、光取り出し効率ηcがピーク値η2から2%低下したときのH1/H2の値「0.88」を、H1/H2の上限値K22とする。
【0096】
したがって、レンズ6は、[条件IA]0.31≦H1/H2<0.88を満たすことで、第1変形例において光取り出し効率の向上をより図ることができる。
【0097】
(4)第2変形例
図14及び図15は、第2変形例のレンズ6Aを示す。レンズ6Aの入射面61は、円環状の第1突部641に囲まれた凸曲面66を備える。凸曲面66は、仮想軸Za1に対して軸対象となる形状に形成されている。すなわち、レンズ6Aは、レンズ6の平面63を凸曲面66に変更したレンズである。
【0098】
レンズ6Aは、入射面61を窪ませた凸曲面66によって、上述の実施形態のレンズ6に比べて、出射面62から出射する光を集光させることができる。
【0099】
また、第1突部641及び第2突部642を備えるフレネル64によって、レンズ6と同様に光取り出し効率の向上を図ることができる。
【0100】
(5)第3変形例
フレネル64は、3つ以上の円環状の突部を備える構成であってもよい。この場合、3つ以上の突部は、第1突部641及び第2突部642を含む。
【0101】
入射面61は、上述の平面63及び凸曲面66の代わりに、円環状の第1突部641に囲まれた凹曲面を備えてもよい。この場合、上述の実施形態のレンズ6に比べて、出射面62から出射する光を拡散させることができる。
【0102】
光源42は、COBタイプのLEDチップを備える構成に限定されず、例えば表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLEDチップを備える構成であってもよい。光源42は、LED以外に、有機EL(Organic Electro Luminescence、OEL)、又はレーザダイオード(Laser Diode)などを備えていてもよい。
【0103】
出射面62は、出射面62の全面を平面とする構成、及び出射面62の一部を平面とする構成のいずれであってもよい。出射面62に形成された平面には、凹凸形状のディンプル部が形成されていてもよい。
【0104】
また、照明器具1が設置される造営材は、天井パネルだけでなく、壁パネル、床パネル、塀、及びパーテーションなどの他の造営材であってもよい。
【0105】
(6)まとめ
上述の実施形態に係る第1の態様のレンズ(6、6A)は、照明器具(1)の光源(42)から発せられる光が透過する。レンズ(6、6A)は、光が入射する入射面(61)と、光が出射する出射面(62)と、を備える。入射面(61)は、入射面(61)の一点から入射面(61)の外縁(611)に向かう径方向に沿って並んで形成されて、高さ方向にそれぞれ突出する複数の突部(641、642)を有する。複数の突部は、第1突部(641)、及び第1突部(641)に隣接して第1突部(641)より外縁(611)の近くに形成された第2突部(642)を含む。第1突部(641)の頂点(641a)は、第2突部(642)の頂点(642a)より低い。第1突部(641)の基部は、径方向に対向する第1基端(641d)と第2基端(641e)とを有する。第2突部(642)の基部は、径方向に対向する第3基端(642d)と第4基端(642e)とを有する。第2基端(641e)は、第1基端(641d)より外縁(611)の近くに位置し、第4基端(642e)は、第3基端(642d)より外縁(611)の近くに位置する。高さ方向において、第2基端(641e)及び第3基端(642d)は中間位置(P1)に位置する。高さ方向において中間位置(P1)と第1基端(641d)の位置との差をH1とし、高さ方向において中間位置(P1)と第1突部(641)の頂点(641a)の位置との差をH2とすると、0.31≦H1/H2<1.00となる。
【0106】
上述のレンズ(6、6A)は、光取り出し効率の向上を図ることができる。
【0107】
上述の実施形態に係る第2の態様のレンズ(6、6A)では、第1の態様において、高さ方向において中間位置(P1)と第2突部(642)の頂点(642a)の位置との差をH3とすると、0.34≦H2/H3≦0.61となることが好ましい。
【0108】
上述のレンズ(6、6A)は、配光制御の精度を向上させることができる。
【0109】
上述の実施形態に係る第3の態様のレンズ(6)では、第1又は第2の態様において、出射面(62)の少なくとも一部は平面形状であることが好ましい。複数の突部(641、642)のそれぞれは環状である。入射面(61)は、複数の突部(641、642)のうち外縁(611)から最も離れている突部(641)に囲まれた平面(63)を備える。
【0110】
上述のレンズ(6)は、出射する光のビーム角を確保できる。
【0111】
上述の実施形態に係る第4の態様のレンズ(6A)では、第1又は第2の態様において、出射面(62)の少なくとも一部は平面形状であることが好ましい。複数の突部(641、642)のそれぞれは環状である。入射面(61)は、複数の突部(641、642)のうち外縁(611)から最も離れている突部(641)に囲まれた曲面(66)を備える。曲面(66)は、出射面(62)に直交する仮想軸(Za1)に対して軸対象の形状となる。
【0112】
上述のレンズ(6A)は、配光範囲を所望の範囲に制御できる。
【0113】
上述の実施形態に係る第5の態様のレンズ(6A)では、第4の態様において、曲面は、凸曲面(66)であることが好ましい。
【0114】
上述のレンズ(6A)は、出射面(62)から出射する光を集光させることができる。
【0115】
上述の実施形態に係る第6の態様のレンズ(6、6A)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、複数の突部(641、642)は、フレネル(64)を構成することが好ましい。
【0116】
上述のレンズ(6、6A)は、配光範囲を抑制できる。
【0117】
上述の実施形態に係る第7の態様の照明器具(1)は、第1乃至第6の態様のいずれか1つのレンズ(6、6A)と、光源(42)と、出射面(62)から出射した光の一部を反射する反射部材(8)と、を備える。
【0118】
上述の照明器具(1)は、光取り出し効率の向上を図ることができる。
【0119】
上述の実施形態に係る第8の態様の照明器具(1)は、第7の態様において、反射部材(8)の遮光角(θ1)は30度以下であることが好ましい。
【0120】
上述の照明器具(1)は、光の照射範囲を、ダウンライトとして一般に適正な範囲とすることができる。
【0121】
上述の実施形態に係る第9の態様の照明器具(1)は、第8の態様において、0.31≦H1/H2≦0.88、となることが好ましい。
【0122】
上述の照明器具(1)は、光取り出し効率の向上をより図ることができる。
【符号の説明】
【0123】
1 照明器具
42 光源
6、6A レンズ
61 入射面
611 外周縁(外縁)
62 出射面
63 平面
64 フレネル
641 第1突部(突部)
641a 頂点
641d 第1基端
641e 第2基端
642 第2突部(突部)
642a 頂点
642d 第3基端
642e 第4基端
66 凸曲面(曲面)
8 補助反射部材(反射部材)
P1 中間位置
H1 第1高低差
H2 第2高低差
H3 第3高低差
θ1 遮光角
Za1 仮想軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15