(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034342
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】カバーテープ及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 73/02 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B65D73/02 B
B65D73/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140533
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 悠貴
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB41
3E067AC04
3E067AC11
3E067AC18
3E067BA25A
3E067BA33A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067CA24
3E067EA04
3E067EA06
3E067EA29
3E067EA32
3E067EB03
3E067EC08
3E067EE46
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】収納凹部を確実に開封可能なカバーテープ及び包装体を提供する。
【解決手段】キャリアテープ1の収納凹部3を封止するカバーテープ10であって、長手方向の切断予定線に沿って形成された複数の切込部12からなる弱め線11を複数列有し、隣接する各列の弱め線11同士の切込部12は、長手方向に対して千鳥状に配置されているものである。また、送り孔2と、部品Pを収納する収納凹部3とを有するキャリアテープ1と、収納凹部3を封止するカバーテープ10と、を備える包装体100であって、カバーテープ10は、長手方向の切断予定線に沿って形成された複数の切込部12からなる弱め線11を複数列有し、隣接する各列の弱め線11同士の切込部12は、長手方向に対して千鳥状に配置されているものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープの収納凹部を封止するカバーテープであって、
長手方向の切断予定線に沿って形成された複数の切込部からなる弱め線を複数列有し、
隣接する各列の前記弱め線同士の前記切込部は、長手方向に対して千鳥状に配置されている、
ことを特徴とするカバーテープ。
【請求項2】
前記切込部は、Y字状である、
ことを特徴とする請求項1に記載のカバーテープ。
【請求項3】
送り孔と、部品を収納する収納凹部とを有するキャリアテープと、
前記収納凹部を封止する請求項1又は2に記載のカバーテープと、を備える、
ことを特徴とする包装体。
【請求項4】
前記弱め線は、前記収納凹部の幅方向左右外側に位置する、
ことを特徴とする請求項3に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を収納する収納凹部を有するキャリアテープを封止するカバーテープに関する。
【背景技術】
【0002】
部品を収納する収納凹部を有するキャリアテープに対して、カバーテープで収納凹部の開口を封止し、リールに巻取って包装体としたものが知られている。このうちカバーテープは、基材層と粘着層(接着層)とを少なくとも備えており(例えば、特許文献1及び2参照)、粘着層はキャリアテープの長手方向に沿ってシールされている。なお、粘着層に換えて、超音波や加熱などによって、カバーテープをキャリアテープに直接溶着するヒートシールを採用するものもある。
【0003】
一方、実装機は、包装体の装着後、包装体のカバーテープを剥離しながら、収納凹部から部品を取り出し、部品を回路基板などに実装している。近年、この実装機は、10m/minを超えるような実装速度で部品を回路基板に実装できるようになってきており、カバーテープの剥離速度もそれに伴い高速化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-180792号公報
【特許文献2】特開2019-127286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャリアテープに接着された粘着剤(又はヒートシール)は、経時変化により粘着力が増大したり、固着が発生したりするため、高速でカバーテープを剥離する際、カバーテープが適切に剥離できずに、実装機による部品のピックアップ不良が発生したり、機械停止が発生したりするなどの問題が起きていた。一方、カバーテープの粘着剤に粘着力の弱いものを使用すると、輸送や供給時の振動によって、部品が収納凹部から飛び出して、脱落するなどの問題が起きてくる。
【0006】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、収納凹部を確実に開封可能なカバーテープ及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る一つの態様は、キャリアテープの収納凹部を封止するカバーテープであって、長手方向の切断予定線に沿って形成された複数の切込部からなる弱め線を複数列有し、隣接する各列の前記弱め線同士の前記切込部は、長手方向に対して千鳥状に配置されているものである。
(2)上記(1)の態様において、前記切込部は、Y字状であってもよい。
(3)本発明に係る一つの態様は、包装体であって、送り孔と、部品を収納する収納凹部とを有するキャリアテープと、前記収納凹部を封止する上記(1)又は(2)の態様のカバーテープと、を備えるものである。
(4)上記(3)の態様において、前記弱め線は、前記収納凹部の幅方向左右外側に位置してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収納凹部を確実に開封可能なカバーテープ及び包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態のカバーテープ及び包装体の平面図及び断面図である。
【
図2】本発明に係る変形形態のカバーテープ及び包装体の平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0011】
図1は、本発明に係る実施形態のカバーテープ10及び包装体100の平面図及び断面図である。
図2は、本発明に係る変形形態のカバーテープ10及び包装体100の平面図及び断面図である。なお、
図1及び2の包装体100の平面図では、部品Pを省略している。
【0012】
図1に示されるキャリアテープ1は、部品Pを複数収納して、保管したり、搬送したり、基板に部品Pを実装する実装機に部品Pを円滑に供給したりするものである。例えば、部品Pとして、電子部品や精密部品などが挙げられる。
【0013】
キャリアテープ1には、テープの長手方向(搬送方向)に沿って、送り孔2と、部品Pを収納する収納凹部3とを、それぞれ所定の間隔で複数有している。
【0014】
送り孔2は、平面視において円形状であるが、送り孔2の形状や間隔は、実装機などの送り機構に合わせて形成される。なお、送り孔2は、テープの長尺方向の二辺に沿って、収納凹部3の幅方向の左右両側に形成されることもある。
【0015】
一方、収納凹部3は、略矩形状であるが、部品Pの形状に合わせて形成されており、さらに、底面に台座が形成されたり、検査用の底穴が形成されたりすることもある。
【0016】
このキャリアテープ1は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの合成樹脂、これらの樹脂にカーボンを練り込んで導電性を付与したもの、表面に導電コーティングを施したものなどで形成されている。また、キャリアテープ1の幅は、特に限られず、4mm、8mm、12mm、16mm、24mm、32mm、44mm、56mmなどであってもよい。
【0017】
一方、カバーテープ10は、キャリアテープ1の収納凹部3(の開口)を封止するものであり、基材層13と粘着層15と、を少なくとも有している。なお、本実施形態では、基材層13と粘着層15との間に中間層(図示なし)を有している。
【0018】
基材層13は、カバーテープ10のベース素材となるもので、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの二軸延伸フィルムや、これらの樹脂フィルムに、帯電防止処理、あるいは導電処理を施したものなどである。なお、基材層13の厚みは、カバーテープ10の総厚みに対する基材層割合(基材層厚み/総厚み)が20%以上40%以下の範囲であるとよい。
【0019】
つぎに、中間層は、接着剤で基材層13と接着されている。この中間層は、熱可塑性樹脂を材料として形成されている。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)が挙げられる。なお、中間層は、粘着層15との密着性を向上させるために、基材層13とは反対側の表面にコロナ放電処理などの改質処理が行われているとよい。
【0020】
最後の粘着層15は、キャリアテープ1の収納凹部3を封止するもので、中間層の上に形成されている。この粘着層15は、アクリル系、ポリスチレン系などの粘着性(又は接着性)を有する樹脂を材料として形成されている。
【0021】
また、粘着層15は、収納凹部3の幅方向左右両外側に対応する位置に、長手方向に沿って形成されており、その厚みは、1μm以上15μm以下であるとよい。
【0022】
ここで、カバーテープ10は、長手方向の切断予定線に沿って形成された複数の切込部12からなる弱め線11を複数列有している。本実施形態では、例えば、9列の弱め線11を有している。
【0023】
弱め線11は、長手方向の切断予定線に沿った複数の切込部12によって構成されており、少なくとも収納凹部3の幅方向左右両外側に対応する位置に形成されているとよい。
【0024】
切込部12は、いわゆるミシン目のように、カバーテープ10の基材層13(場合によっては、中間層まで)を部分的に脆弱化させたものであり、基材層13の厚みに対してハーフカット又は貫通孔で形成されている。なお、弱め線11(切込部12)は、粘着層15より左右内側に形成されてもよく、あるいは、粘着層15より左右外側に形成されてもよく、粘着層15に重なるように形成されてもよい。
【0025】
この切込部12は、例えば、微小な円形、長円形、矩形などの形状であるが、
図2に示すような、Y字状であってもよい。なお、
図2において、カバーテープ10の剥離方向を左向きとすると、Y字状の切込部122は、二股側が剥離方向の上流側となり、さらに、二股の間に上流の切込部12の根元部が入り込んでいる。
【0026】
また、弱め線11の切断強度は、基材層13の機械強度(厚みや引張・せん断強度など)、切込部12の寸法・形状、切込み深さ、間隔などで調整するとよく、粘着層15の粘着力と等しいか、弱い方がよい。
【0027】
ところで、隣接する各列の弱め線11同士の切込部12は、長手方向に対して千鳥状に配置されている。さらに詳細には、カバーテープ10を長手方向の任意の位置で、長手方向に直交する幅方向に切断した場合、幅方向の断面には、少なくとも1つの切込部12が存在するように配置されている。
【0028】
そして、上述したキャリアテープ1は、部品Pを収納凹部3に収納した後、キャリアテープ1とカバーテープ10の粘着層15とが、必要に応じて加熱されながら、長手方向に沿って収納凹部3の幅方向における左右両外側に接着され、収納凹部3の開口が封止(シール)されて、包装体100として形成される。なお、加熱する場合の加熱温度は、例えば、150℃から200℃程度の範囲で行うとよい。その後、包装体100は、巻取リールなどに巻取られる。
【0029】
更にその後、包装体100は実装機に装着され、回路基板などへの部品Pの実装の際に、キャリアテープ1からカバーテープ10が引き剥がされる。なお、キャリアテープ1の搬送速度は、10m/minから20m/min程度であるから、カバーテープ10の引き剥がしは、10m/minから20m/minの引き剥がし速度で剥離されることになる。
【0030】
このとき、カバーテープ10において、キャリアテープ1の収納凹部3よりも左右外側で、粘着層15よりも内側に位置する、2列の弱め線11(
図1及び
図2において、矢印で示す。)に沿って切断するように、カバーテープ10を保持し、搬送方向の逆方向にカバーテープ10をキャリアテープ1から剥離していく。このようにして、カバーテープ10は、弱め線11(の切断予定線)に沿って切断・剥離されていき、収納凹部3の開口を開封し、露出された部品Pのピックアップ装置によるピックアップを可能にする。
【0031】
以上説明したとおり、本発明に係る実施形態のカバーテープ10は、キャリアテープ1の収納凹部3を封止するカバーテープ10であって、長手方向の切断予定線に沿って形成された複数の切込部12,122からなる弱め線11を複数列有し、隣接する各列の弱め線11同士の切込部12,122は、長手方向に対して千鳥状に配置されているものである。
【0032】
これにより、カバーテープ10を、弱め線11の切込部12,122の任意の位置を起点として水平方向に切断することができる。
【0033】
実施形態の切込部122は、Y字状である。これにより、カバーテープ10の切断線が切断予定線を逸れて、斜行しても、次の切込部122で切断予定線に沿うように修正することができる。
【0034】
実施形態の包装体100は、送り孔2と、部品Pを収納する収納凹部3とを有するキャリアテープ1と、収納凹部3を封止するカバーテープ10と、を備えるものである。これにより、部品Pを収納凹部3に確実に収納できるとともに、カバーテープ10の切断・剥離により収納凹部3の開口を開封することができる。そのため、実装機のピックアップ装置で収納凹部3に収納された部品Pを確実にピックアップすることができる。
【0035】
実施形態の弱め線11は、収納凹部3の幅方向左右外側に位置している。これにより、収納凹部3の開口を確実に開封することができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0037】
(変形例)
上記各実施形態では、キャリアテープ1とカバーテープ10とは、粘着層15を介して接着されていたが、ヒートシールによって接着されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 キャリアテープ、2 送り孔、3 収納凹部
10 カバーテープ、11 弱め線、12 切込部、13 基材層、15 粘着層
100 包装体
122 切込部
P 部品