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  • 特開-遮熱構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034356
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】遮熱構造体
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/16 20060101AFI20230306BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20230306BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20230306BHJP
   E04B 7/22 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
E04D13/16 Z
E04B1/76 100D
E04B1/348 L
E04B7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140554
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】521132912
【氏名又は名称】株式会社池水商店
(74)【代理人】
【識別番号】100179796
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 義博
(72)【発明者】
【氏名】池水 忠一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雅彦
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA16
2E001GA43
2E001HF11
(57)【要約】
【課題】既存のユニットハウスの屋根部に簡便に設置でき、夏場の暑さがユニットハウス内に伝わることを防ぐことができる遮熱構造体を提供する。
【解決手段】既存のユニットハウスUの屋根部Ua上に屋根部Ua全面を覆うように設置される遮熱構造体を、遮熱材1a及び遮熱材1aを固定するための枠体1bからなる遮熱構造体本体1と、遮熱構造体本体1から連設されていて既存のユニットハウスUの屋根部Uaの取り付け部Uaaに断熱材2を介して着脱自在に固定される脚部3とから構成することで、遮熱構造体本体1が既存のユニットハウスUの屋根部Uaとの間に隙間を設けた状態で設置されるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存のユニットハウス(U)の屋根部(Ua)上に該屋根部(Ua)全面を覆うように設置される遮熱構造体であって、
遮熱材(1a)及び該遮熱材(1a)を固定するための枠体(1b)からなる遮熱構造体本体(1)と、遮熱構造体本体(1)から連設されていて既存のユニットハウス(U)の屋根部(Ua)の取り付け部(Uaa)に断熱材(2)を介して着脱自在に固定される脚部(3)とからなり、
該遮熱構造体本体(1)が既存のユニットハウス(U)の屋根部(Ua)との間に隙間を設けた状態で設置されることを特徴とする遮熱構造体。
【請求項2】
遮熱構造体本体(1)が設置された際の、既存のユニットハウス(U)の屋根部(Ua)との隙間が10mm~300mmである請求項1に記載の遮熱構造体。
【請求項3】
遮熱構造体本体(1)が水平面に対して傾斜した状態で設置される請求項1又は2に記載の遮熱構造体。
【請求項4】
遮熱材(1a)が遮熱・断熱パネルである請求項1から3のいずれか1項に記載の遮熱構造体。
【請求項5】
遮熱材(1a)が金属製の折板屋根材である請求項1から3のいずれか1項に記載の遮熱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のユニットハウスの屋根部に設置される遮熱構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユニットハウスは、工事現場で仮設事務所等として使用されることが多く、また工場等で製造されたものを、トラック等で工事現場に運び入れるため、短い施工期間で敷設でき繰り返し使用できる。
【0003】
またユニットハウスは耐久性も重要であるため、少なくとも屋根部や躯体が金属製となっているから、夏場になるとユニットハウス内は、屋外にとめた車の中のように高温となりやすく、従来から大きな問題となっていた。
【0004】
このような問題に対して、直射日光が建物の屋根に当たらないように遮光するために、帯状をなす複数のシート片が隙間をあけて平行に並べて構成されるとともに、前記シート片の両端部がシート止め部材で固定されることを特徴とする屋根用シートがある(特許文献1参照。)。
【0005】
この屋根用シートを夏場に使用すると、シート片に隙間を設けて並べても風通しが悪く蒸れて建物の屋根の劣化を早めたり、また隙間を極端に大きくすると、風通しは良くなるものの、夏場、台風等により強風であおられてシート片がめくれ上がり破損し易いなどの問題がある。
【0006】
またシートの代わりに、折半屋根に直接、断熱パネルを敷き詰めて固定する屋根用断熱パネルがある(特許文献2参照。)。
【0007】
この屋根用断熱パネルは折半屋根の凸部にボルト固定されるため雨仕舞が難しく、また通気性が悪く蒸れやすいため、折半屋根の塗装が剥げたり錆を生じさせるなどの劣化が起こりやすいのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4361125号公報
【特許文献2】登録実用新案第3227285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の問題に鑑み、既存のユニットハウスの屋根部に簡便に設置でき、夏場の暑さがユニットハウス内に伝わることを防ぎながら、使い勝手の良い遮熱構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、遮熱材及び該遮熱材を固定するための枠体からなる遮熱構造体本体に脚部を設けて、既存のユニットハウスの屋根部に断熱材を介して設置すればよいことを究明して本発明を完成させたのである。
【0011】
即ち本発明は、既存のユニットハウスの屋根部上に該屋根部全面を覆うように設置される遮熱構造体であって、
遮熱材及び該遮熱材を固定するための枠体からなる遮熱構造体本体と、遮熱構造体本体から連設されていて既存のユニットハウスの屋根部の取り付け部に断熱材を介して着脱自在に固定される脚部とからなり、
該遮熱構造体本体が既存のユニットハウスの屋根部との間に隙間を設けた状態で設置されることを特徴とする遮熱構造体である。
【0012】
また遮熱構造体本体が設置された際の、既存のユニットハウスの屋根部との隙間を10mm~300mmとしたり、遮熱構造体本体が水平面に対して傾斜した状態で設置されるようにしたり、遮熱材を遮熱・断熱パネルや金属製の折板屋根材とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
遮熱構造体は、既存のユニットハウスの四隅の支柱部分の上部や、運搬したトラックから降ろすための吊り下げ部材が屋根部にあるから、これらを本発明に係る遮熱構造体の取り付け部とすることで、簡単に着脱することができ、工事のない時や冬場などは、既存のユニットハウスから遮熱構造体を取り外して重ねて積み上げておくなど場所を取らず保管することができ、遮熱材及び該遮熱材を固定するための枠体からなる遮熱構造体本体と、遮熱構造体本体から連設されていて既存のユニットハウスの屋根部の取り付け部に断熱材を介して着脱自在に固定される脚部とから構成されているから、遮熱構造体によって既存のユニットハウスの屋根部に日光等が直接あたることがなく、また断熱材を介して脚部が固定されるから、日光等により熱せられた遮熱構造体の熱が脚部を通じてユニットハウス内に伝わり難いので、ユニットハウス内が高温になることがないのである。
【0014】
また遮熱構造体本体が設置された際の、既存のユニットハウスの屋根部との隙間が10mm~300mmであるとより好ましく、間隔が10mm未満であると遮熱構造体本体と既存のユニットハウスの屋根部との間の隙間にできる空気層による十分な断熱効果が得られず、またその隙間の通気性を確保することも難しい。そして300mmを超えると、夏場の台風等の強風により遮熱構造体本体に大きな浮力が生じてめくれ上がって破損するなどの不具合が生じるからである。
【0015】
遮熱構造体本体が水平面に対して傾斜した状態で設置すれば、既存のユニットハウスの屋根部が傾斜している場合にも隙間を確保しやすく、また屋根部が傾斜していない場合でも、遮熱構造体本体に溜まった雨水等の排水性を向上させることができて好ましいのである。
【0016】
更に遮熱材が遮熱・断熱パネルや金属製の折板屋根材であれば、強度が高く加工等も容易にできて製造しやすくて好ましいのである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る遮熱構造体の一実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明に係る遮熱構造体について詳細に説明する。
【0019】
Uは既存のユニットハウスであり、図1のごとく後述する本発明に係る遮熱構造体はこのユニットハウスUの屋根部Ua上に屋根部Ua全面を覆うように設置される。
【0020】
また既存のユニットハウスUの取り付け部Uaaには、ユニットハウスUの屋根部Uaに突出した四隅の支柱部分の上部や、運搬したトラックから降ろすための吊り下げ部材があるから、これらを取り付け部Uaaとすることで、本発明に係る遮熱構造体を簡単に着脱することができる。
【0021】
また2は断熱材であり、この断熱材2は遮熱構造体本体1が受けた太陽光などによる熱を後述する脚部3から既存のユニットハウスUの屋根部Uaへと伝わることを低減するためのものである。
【0022】
3は遮熱構造体本体1から連設されていて既存のユニットハウスUの屋根部Uaの取り付け部Uaaに断熱材2を介して着脱自在に固定される脚部である。
【0023】
この脚部3は、遮熱構造体本体1と一体に形成されていても、別体で遮熱構造体本体1に溶接やボルト止め等で固定されていてもよい。また脚部3は必ずしも図1のような明確な脚形状をしている必要はなく、遮熱構造体本体1を既存のユニットハウスUの屋根部Uaとの間に隙間を設けた状態で設置できるようなものであれば、図示していないが遮熱構造体本体1の下面に取り付けられた板材のようなものであってもよい。
【0024】
またすべての脚部3の形状を同一にする必要はなく、遮熱構造体を水平面に対して傾斜した状態で設置する場合には、脚部3は高さや形状の異なるものを使用してもよい。
【0025】
このような本発明に係る遮熱構造体を使用するには、既に工事現場等にユニットハウスが設置されている場合には、本発明に係る遮熱構造体のみを運び入れ、クレーン等でユニットハウスUの屋根部Ua上へと吊り上げ、例えばユニットハウスの四隅の支柱部分の上部や、ユニットハウスの吊り下げ部材を取り付け部Uaaとして、この取り付け部Uaaに、断熱材2を介して遮熱構造体本体1から連設されている脚部3を着脱自在に固定すればよい。
【0026】
このように設置することで本発明に係る遮熱構造体は、どのような工事現場等においても容易に使用することができ、また使用しないときには簡単に取り外しができるから資材置き場等に重ねて保管しておくことができ非常に使い勝手が良いのである。
【符号の説明】
【0027】
1 遮熱構造体本体
1a 遮熱材
1b 枠体
2 断熱材
3 脚部
U ユニットハウス
Ua 屋根部
Uaa 取り付け部
図1