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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034359
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20230306BHJP
   B65D 55/02 20060101ALI20230306BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B65D47/08 110
B65D55/02
B65D47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140558
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
(72)【発明者】
【氏名】秀島 智
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AB01
3E084BA02
3E084CB02
3E084CB04
3E084CC03
3E084DB02
3E084DC03
3E084HA10
3E084HB04
3E084HC03
3E084HD04
3E084KA02
3E084KA13
3E084KA19
3E084LA02
3E084LA05
3E084LA06
3E084LA18
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】容器に装着した後、未開封の状態から開封する際に、第2の係合部が第1の係合部に確実に係合するキャップを提供する。
【解決手段】キャップ本体5に蓋7が設けられ、キャップ本体5は容器2の口部3に外嵌可能な円筒状の周壁10を有し、周壁10に第1の係合部41が設けられ、不正開封の有無を判別するための封止体42が弱化部49を介して蓋7に設けられ、弱化部49が破断して蓋7から分離された封止体42を収容するポケット54がキャップ本体5に設けられ、周壁10とポケット54との間に、封止体42を収容可能な収容空間55が形成され、収容空間55に連通する隙間56が第1の係合部41とポケット54との間に形成され、封止体42は第1の係合部41に係合可能な第2の係合部46を有し、キャップ本体5を容器2に装着していない場合、隙間56は第2の係合部46の通過を許容し、キャップ本体5を容器2に装着した場合、隙間56は、径方向において縮小し、第2の係合部46の通過を阻止する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋とを有するキャップであって、
キャップ本体は容器の口部に外嵌可能な円筒状の周壁を有し、
周壁の外側に第1の係合部が設けられ、
蓋に、不正開封の有無を判別するための封止体が設けられ、
封止体は、第2の係合部を有し、且つ、破断可能な弱化部を介して蓋に繋がっており、
第1の係合部よりも閉栓方向側に閉栓位置が設定され、
第2の係合部は閉栓位置から開栓方向において第1の係合部に係合可能であり、
弱化部が破断して蓋から分離された封止体を収容するポケットがキャップ本体に設けられ、
径方向における周壁とポケットとの間に、封止体を収容可能な収容空間が形成され、
収容空間に連通する隙間が径方向における第1の係合部とポケットとの間に形成され、
キャップ本体を容器に装着していない場合、隙間は第2の係合部の通過を許容し、
キャップ本体の周壁を容器の口部に外嵌してキャップ本体を容器に装着した場合、キャップ本体を容器に装着していない場合と比べて、キャップ本体の周壁が径方向外側へ膨らむとともに第1の係合部が径方向外側へ変位することで、隙間は、径方向において縮小し、第2の係合部の通過を阻止することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
閉栓方向において第2の係合部を隙間に案内する案内部が第1の係合部の開栓方向側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
封止体は第3の係合部を有し、
弱化部が破断して蓋から分離された封止体がポケットに収容された状態で、第3の係合部が上方から落下方向において第1の係合部に係合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
封止体は蓋の周方向において所定間隔をあけて設けられた一対の縦バンドを有し、
第2の係合部は一対の縦バンドの下部間に設けられた下部横バンドであり、
第3の係合部は一対の縦バンドの上部間に設けられた上部横バンドであり、
一対の縦バンドと下部横バンドと上部横バンドとで囲まれた開口部が封止体に形成され、
第1の係合部は周壁の外面から封止体の開口部に突入していることを特徴とする請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
閉栓状態において弱化部を介して蓋に繋がっている封止体が露出する第1の窓がポケットに形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項6】
弱化部が破断して蓋から分離された封止体が露出する第2の窓がポケットに形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正開封の有無を判別する機能を有するキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば図13図15に示すように、容器101の口部102に装着されるキャップ本体103と、キャップ本体103に被冠される蓋104とを有するものがある。蓋104は、その胴部105の下面に接続される切断容易な弱化部106と、弱化部106に接続される確認突起109とを備えている。確認突起109は係合段部112と傾斜面113とを有している。
【0003】
キャップ本体103は、円板状の天面部107と、天面部107の下面から垂設される円筒状の螺合部108と、確認突起109が収容される凹状の収容空間115と、収容空間115内の確認突起109を係合する係合部118と、収容空間115内を視認可能な窓部121とを備えている。
【0004】
また、収容空間115に連通する隙間116が係合部118と螺合部108の上部外周108aとの間に形成されている。
【0005】
これによると、キャップ100を樹脂成型等で製作した後、図13図14に示すように、蓋104を閉栓する際、確認突起109が閉栓方向Sへ移動し、係合段部112が隙間116を通過して収容空間115内に挿入される。
【0006】
この際、窓部121全体に確認突起109の傾斜面113が露出し、窓部121を通して確認突起109の傾斜面113を視認することにより、蓋104が閉栓されて未開封状態が保たれていることを判別することができる。
【0007】
このような未開封の状態で、図13の仮想線で示すように、容器101の口部102をキャップ本体103の螺合部108に螺合することにより、キャップ100を容器101に装着する。
【0008】
その後、キャップ100を開封する場合、蓋104を開栓方向Oへ回動させることにより、確認突起109の係合段部112が開栓方向Oにおいてキャップ本体103の係合部118に係合し、弱化部106が切断される。これにより、図15に示すように、確認突起109が蓋104の胴部105から分断され、確認突起109が収容空間115内を所定距離だけ落下し、その分、確認突起109の係合段部112の位置が下方に移動するため、窓部121を通して確認突起109の係合段部112の位置を視認することにより、キャップ100が開封されたことを判別することができる。これにより、未開封状態のキャップ100を不正に開封した場合、不正開封されたことを把握することができる。
【0009】
尚、このようなキャップ100は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013-241200
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら上記の従来形式では、キャップ100を容器101に装着した後、未開封の状態から開封する際、確認突起109の係合段部112が開栓方向Oにおいてキャップ本体103の係合部118に係合し、弱化部106が切断されるのであるが、係合段部112と係合部118との係合が不十分であった場合、係合段部112が、係合部118から外れ、収容空間115内から隙間116を通過して収容空間115の外部へ抜け出てしまうといった問題がある。
【0012】
このような問題が発生すると、開封したにもかかわらず、弱化部106が切断されないので、確認突起109が蓋104の胴部105から分断されず、不正開封の有無を正確に判別することができない。
【0013】
本発明は、容器に装着した後、未開封の状態から開封する際に、第2の係合部が第1の係合部に確実に係合して、弱化部が破断するキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器の口部に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋とを有するキャップであって、
キャップ本体は容器の口部に外嵌可能な円筒状の周壁を有し、
周壁の外側に第1の係合部が設けられ、
蓋に、不正開封の有無を判別するための封止体が設けられ、
封止体は、第2の係合部を有し、且つ、破断可能な弱化部を介して蓋に繋がっており、
第1の係合部よりも閉栓方向側に閉栓位置が設定され、
第2の係合部は閉栓位置から開栓方向において第1の係合部に係合可能であり、
弱化部が破断して蓋から分離された封止体を収容するポケットがキャップ本体に設けられ、
径方向における周壁とポケットとの間に、封止体を収容可能な収容空間が形成され、
収容空間に連通する隙間が径方向における第1の係合部とポケットとの間に形成され、
キャップ本体を容器に装着していない場合、隙間は第2の係合部の通過を許容し、
キャップ本体の周壁を容器の口部に外嵌してキャップ本体を容器に装着した場合、キャップ本体を容器に装着していない場合と比べて、キャップ本体の周壁が径方向外側へ膨らむとともに第1の係合部が径方向外側へ変位することで、隙間は、径方向において縮小し、第2の係合部の通過を阻止するものである。
【0015】
これによると、キャップを製作した後、キャップ本体を容器に装着していない状態で蓋を閉栓する際、隙間は第2の係合部の通過を許容するため、第2の係合部は、閉栓方向において隙間を通過し、収容空間に挿入される。
【0016】
このような未開封の状態で、キャップ本体の周壁を容器の口部に外嵌することにより、キャップを容器に装着する。これにより、キャップ本体の周壁が径方向外側へ膨らむとともに第1の係合部が径方向外側へ変位し、隙間が径方向において縮小する。
【0017】
その後、キャップを開封する場合、蓋を開栓方向へ回動させることにより、第2の係合部が閉栓位置から開栓方向において第1の係合部に係合する。この際、隙間が径方向において縮小しているため、第2の係合部は閉栓位置から開栓方向において隙間を通過することができない。
【0018】
これにより、第2の係合部が開栓方向において第1の係合部に確実に係合し、弱化部が破断するため、封止体が蓋から分離されてポケット内に収容される。これにより、キャップが開封されたことを判別することができ、未開封状態のキャップを不正に開封した場合、不正開封されたことを正確に把握することができる。
【0019】
本第2発明におけるキャップは、閉栓方向において第2の係合部を隙間に案内する案内部が第1の係合部の開栓方向側に形成されているものである。
【0020】
これによると、キャップを製作した後、キャップ本体を容器に装着していない状態で蓋を閉栓する際、第2の係合部は、案内部によって隙間へ案内されるため、閉栓方向においてスムーズ且つ確実に隙間を通過し、収容空間に挿入される。
【0021】
本第3発明におけるキャップは、封止体は第3の係合部を有し、
弱化部が破断して蓋から分離された封止体がポケットに収容された状態で、第3の係合部が上方から落下方向において第1の係合部に係合するものである。
【0022】
これによると、第3の係合部が第1の係合部に係合することにより、蓋から分離された封止体はキャップから脱落することなくポケットに収容される。このため、キャップとは別に封止体のゴミが増えることはない。
【0023】
このように、第1の係合部は、弱化部を破断することに加えて、封止体の脱落を防止することにも利用されるため、係合部の数を減らすことができる。
【0024】
本第4発明におけるキャップは、封止体は蓋の周方向において所定間隔をあけて設けられた一対の縦バンドを有し、
第2の係合部は一対の縦バンドの下部間に設けられた下部横バンドであり、
第3の係合部は一対の縦バンドの上部間に設けられた上部横バンドであり、
一対の縦バンドと下部横バンドと上部横バンドとで囲まれた開口部が封止体に形成され、
第1の係合部は周壁の外面から封止体の開口部に突入しているものである。
【0025】
これによると、未開封の状態で容器に装着されたキャップを開封する際、蓋を開栓方向へ回動させることにより、下部横バンドが第1の係合部に係合し、弱化部が破断するため、封止体が蓋から分離されてポケット内に収容され、上部横バンドが第1の係合部に係合する。
【0026】
本第5発明におけるキャップは、閉栓状態において弱化部を介して蓋に繋がっている封止体が露出する第1の窓がポケットに形成されているものである。
【0027】
これによると、第1の窓を通して、蓋に繋がっている封止体を視認することによって、キャップが未開封であることを判別することができる。
【0028】
本第6発明におけるキャップは、弱化部が破断して蓋から分離された封止体が露出する第2の窓がポケットに形成されているものである。
【0029】
これによると、第2の窓を通して、蓋から分離された封止体を視認することによって、キャップが既に開封されていることを判別することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によると、キャップを容器に装着した後、未開封の状態から開封する際に、第2の係合部が第1の係合部に確実に係合する。これにより、未開封の状態から開封した際、弱化部が破断せずに封止体が蓋に繋がったままになる不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるキャップの断面図である。
図2図1におけるX-X矢視図である。
図3】同、未開封のキャップの断面図である。
図4】同、未開封のキャップの正面図である。
図5】同、未開封のキャップの一部切欠き正面図である。
図6】同、容器に装着していない未開封のキャップの一部拡大断面図である。
図7】同、容器に装着していないキャップの蓋を閉栓方向へ動かしているときの様子を示す一部拡大断面図である。
図8】同、容器に装着した未開封のキャップの一部拡大断面図である。
図9】同、容器に装着して開封したキャップの一部拡大断面図である。
図10】同、既に開封したキャップの正面図である。
図11】本発明の第2の実施の形態におけるキャップの正面図であり、未開封の状態を示す。
図12】同、キャップの正面図であり、既に開封した状態を示す。
図13】従来の未開封のキャップの断面図である。
図14】同、未開封のキャップの一部拡大断面図である。
図15】同、既に開封したキャップの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1図4および図8に示すように、1はペットボトル等の容器2の口部3に取り付けられる合成樹脂製のキャップである。キャップ1は、キャップ本体5と、キャップ本体5にヒンジ6を介して開閉自在に設けられた蓋7とを有している。尚、閉栓したときのキャップ1の中心を通る軸心8(図3参照)の方向を上下方向として、以下にキャップ1の構成を説明する。
【0034】
キャップ本体5は、容器2の口部3に外嵌可能な円筒状の第1の周壁10(周壁の一例)と、第1の周壁11よりも径方向内側に形成された円筒状の第2の周壁11と、第1の周壁10と第2の周壁11との間に形成された円環状の取付用溝12と、第1の周壁10の上部から第2の周壁11の上部を経て第2の周壁11の内側に形成された頂壁部13と、頂壁部13に設けられた円形の注出筒14と、この注出筒14の内側に設けられて注出口15が形成された注出板16と、注出口15の上方に配置された円形の流量調整板17と、流量調整板17を注出板16から支持する支持部18とを有する。また、支持部18は、注出口15に連通するとともに側方に開口した複数の開口部19を有する。
【0035】
さらに、注出筒14は複数の空気置換孔21を有する。これら空気置換孔31は、容器2の内部から液体を注出口15および支持部18の開口部19を介して注ぎ出す際に、容器2の内部に空気を導く孔である。
【0036】
蓋7は、外蓋部26と、外蓋部26内に設けられた内蓋部27とを有している。外蓋部26は、円形の天板部29と、天板部29の外周縁から垂下された円筒状のスカート30とを有している。スカート部30の外側には、開栓操作時に指を掛けるための鍔部31が設けられている。
【0037】
内蓋部27は、閉栓した際に、流量調整板17を囲う内側凹部33と、注出筒14と係合する外周係合部34とを有する。これにより、図3に示すように、閉栓した際、キャップ本体5に対する蓋7が位置決めされ、注出筒14が確実に封止される。
図1図3および図6に示すように、キャップ本体5の第1の周壁10には、外面から径方向外側へ突出する係合突部41(第1の係合部の一例)が設けられている。係合突部41は、キャップ本体5の中心に対し、ヒンジ6とは180°反対側に位置している。
【0038】
また、蓋7には、不正開封の有無を判別するための封止体42が設けられている。図1図5に示すように、封止体42は、蓋7の周方向Aにおいて所定間隔をあけて設けられた一対の縦バンド44,45と、両縦バンド44,45の下部間に設けられた下部横バンド46(第2の係合部の一例)と、両縦バンド44,45の上部間に設けられた上部横バンド47(第3の係合部の一例)とを有しており、破断可能な弱化部49,50を介して、スカート部30の下部に繋がっている。
【0039】
一対の縦バンド44,45と下部横バンド46と上部横バンド47とで囲まれた開口部51が封止体42に形成されており、図6に示すように、係合突部41は封止体42の開口部51に突入している。
【0040】
係合突部41よりも閉栓方向S側(下側)に閉栓位置53が設定されており、下部横バンド46は閉栓位置53から開栓方向O(上方向)において係合突部41に係合可能である。
【0041】
また、両弱化部49,50が破断して蓋7から分離された封止体42を収容するポケット54がキャップ本体5の第1の周壁10に設けられている。ポケット54は、平面視で円弧形状の部材であり、周方向Aにおける両端部が第1の周壁10に繋がっている。
【0042】
径方向Bにおける第1の周壁10とポケット54との間には、封止体42を収容可能な収容空間55が形成されている。図6に示すように、収容空間55の上方と下方はそれぞれ開放されており、収容空間55に連通する隙間56が径方向Bにおける係合突部41とポケット54との間に形成されている。
【0043】
閉栓方向S(下方向)において封止体42の下部横バンド46を隙間56に案内する案内部58が係合突部41の開栓方向O側(上側)に形成されている。尚、案内部58は、第1の周壁10の外面から径方向Bにおける係合突部41の先端にわたって形成された傾斜面である。
【0044】
図6図7に示すように、キャップ本体5を容器2に装着していない場合、隙間56は封止体42の下部横バンド46の通過を許容する。すなわち、この場合、隙間56は、下部横バンド46の厚さT以上の大きさか、或いは、下部横バンド46の通過を許容し得る範囲内で、下部横バンド46の厚さTよりもほんの僅かだけ小さく設定されている。
【0045】
図8に示すように、キャップ本体5の第1の周壁10を容器2の口部3に外嵌することにより、容器2の口部3が取付用溝12に挿入されて、キャップ本体5が容器2に装着される。この場合、キャップ本体5を容器2に装着していない場合と比べて、キャップ本体5の第1の周壁10が径方向外側Cへ膨らむとともに係合突部41が径方向外側Cへ変位することで、隙間56は、径方向Bにおいて縮小し、封止体42の下部横バンド46の通過を阻止する。すなわち、この場合、隙間56は下部横バンド46の厚さTよりも大幅に小さくなる。
【0046】
図4に示すように、閉栓状態において弱化部49,50を介して蓋7に繋がっている封止体42が露出する第1の窓59がポケット54の上部に形成されている
以下、上記構成における作用を説明する。
【0047】
図1図2に示すように、キャップ1は樹脂成型によって蓋7を開いた状態で製作される。その後、図3図6に示すように、キャップ本体5を容器2に装着していない状態で蓋7を閉栓する際、隙間56は封止体42の下部横バンド46の通過を許容するため、下部横バンド46は、閉栓方向Sにおいて隙間56を通過し、収容空間55に挿入される。
【0048】
このとき、図7に示すように、下部横バンド46は、案内部58に摺接しながら隙間56へ案内されるため、閉栓方向Sにおいてスムーズ且つ確実に隙間56を通過し、図6に示すように収容空間55に挿入される。
【0049】
このような未開封の状態では、図4に示すように、第1の窓59を通して、蓋7に繋がっている封止体42を視認することにより、キャップ1が未開封であることを判別することができる。
【0050】
このような未開封の状態で、図8に示すように、キャップ本体5の第1の周壁10を容器2の口部3に外嵌することにより、容器2の口部3が取付用溝12に挿入されて、キャップ本体5が容器2に装着される。これにより、キャップ本体5の第1の周壁10が径方向外側Cへ膨らむとともに係合突部41が径方向外側Cへ変位し、隙間56が径方向Bにおいて縮小する。
【0051】
その後、キャップ1を開封する場合、蓋7を開栓方向Oへ回動させることにより、封止体42の下部横バンド46が閉栓位置53から開栓方向Oにおいて係合突部41に係合する。この際、隙間56が径方向Bにおいて縮小しているため、下部横バンド46は閉栓位置53から開栓方向Oにおいて隙間56を通過することができない。
【0052】
これにより、下部横バンド46が開栓方向Oにおいて係合突部41に確実に係合し、弱化部49,50が破断するため、図9図10に示すように、封止体42が蓋7から分離されて落下しポケット54内に収容される。これにより、封止体42がポケット54の内側(裏側)に隠れるため、キャップ1が開封されたことを判別することができ、容器2に装着された未開封状態のキャップ1を不正に開封した場合、不正開封されたことを正確に把握することができる。
【0053】
この際、図9に示すように、封止体42の上部横バンド47が上方から落下方向において係合突部41に係合することにより、蓋7から分離された封止体42はキャップ1から脱落することなくポケット54に収容される。このため、キャップ1とは別に封止体42のゴミが増えることはない。
【0054】
このように、係合突部41は、弱化部49,50を破断することに加えて、蓋7から分離した封止体42の脱落を防止することにも利用されるため、係合突部の数を減らすことができる。
【0055】
上記実施の形態では、図8に示すように、キャップ本体5を容器2に装着した際、下部横バンド46の通過が阻止される程度に隙間56を縮小しているが、係合突部41を径方向外側Cへ変位させてポケット54の内面に当接させ、隙間56を0にして消滅させてもよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、図11図12に示すように、弱化部49,50が破断して蓋7から分離された封止体42が露出する第2の窓65がポケット54の下部に形成されている。
【0056】
これによると、弱化部49,50が破断せず、封止体42が弱化部49,50を介して蓋7に繋がっている場合、図11に示すように、第1の窓59を通して、蓋7に繋がっている封止体42を視認することができるので、キャップ1が未開封であることを判別することができる。
【0057】
また、弱化部49,50が破断して、封止体42が蓋7から分離した場合、図12に示すように、第2の窓65を通して、蓋7から分離した封止体42を視認することができるので、キャップ1が既に開封されていることを判別することができる。
【0058】
上記各実施の形態では、図1に示すように、キャップ本体5は、注出筒14の内側に設けられた注出板16と、流量調整板17と、流量調整板17を注出板16から支持する支持部18とを有しているが、このようなキャップ1に限定されるものではなく、例えば、注出筒の内側に、破断可能な弱化部を介して離脱部材を設け、離脱部材にプルリングを設け、蓋を開き、プルリングを引っ張って弱化部を破断することにより、離脱部材が注出筒から離脱し、注出筒の内側に注出口が形成されるようなキャップであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 キャップ
2 容器
3 口部
5 キャップ本体
6 ヒンジ
7 蓋
10 第1の周壁(周壁)
41 係合突部(第1の係合部)
42 封止体
44,45 縦バンド
46 下部横バンド(第2の係合部)
47 上部横バンド(第3の係合部)
49,50 弱化部
51 開口部
53 閉栓位置
54 ポケット
55 収容空間
56 隙間
58 案内部
59 第1の窓
65 第2の窓
A 周方向
B 径方向
C 径方向外側
O 開栓方向
S 閉栓方向
図1
図2
図3
図4
図5
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