(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034374
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】付勢力調整装置、転写装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20230306BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20230306BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G03G21/16 161
G03G15/16
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140590
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優
(72)【発明者】
【氏名】小暮 成一
(72)【発明者】
【氏名】菊地 裕
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 憲博
(72)【発明者】
【氏名】石塚 脩之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】青木 悠貴
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H171FA04
2H171FA15
2H171GA01
2H171GA08
2H171LA04
2H171LA05
2H171LA20
2H171QA03
2H171QA08
2H171QA24
2H171QC03
2H171QC09
2H171QC12
2H171SA11
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA28
2H171WA12
2H200FA04
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200JA02
2H200JA29
2H200JA30
2H200JC09
2H200JC19
2H200JC20
2H200PA14
2H200PA19
2H200PB15
2H200PB25
2H270KA28
2H270LA44
2H270LC04
2H270LD14
2H270MA38
2H270MB25
2H270MB28
2H270MC39
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】少ない誤差で付勢力を調整することが可能な付勢力調整装置を提供する。
【解決手段】
移動体に対向するローラと、前記ローラを保持するとともに前記移動体に対して変位可能なローラ保持部材と、前記ローラ保持部材に第1の付勢力を付与して前記ローラを前記移動体に当接する第1付勢部材と、前記ローラ保持部材に前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与して前記ローラを前記移動体に当接する第2付勢部材とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に対向するローラと、
前記ローラを保持するとともに前記移動体に対して変位可能なローラ保持部材と、
前記ローラ保持部材に第1の付勢力を付与して前記ローラを前記移動体に当接する第1付勢部材と、
前記ローラ保持部材に前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与して前記ローラを前記移動体に当接する第2付勢部材と
を備えることを特徴とする付勢力調整装置。
【請求項2】
前記ローラ保持部材は、該ローラ保持部材を回動可能に支持する回動軸を備え、前記第1の付勢力および前記第2の付勢力の少なくとも一方によって前記ローラ保持部材は前記回動軸を支点として回動することを特徴とする請求項1記載の付勢力調整装置。
【請求項3】
前記第1付勢部材は、前記ローラ保持部材に前記第1の付勢力を付与して、第1の当接位置にて前記移動体と前記ローラとの当接を形成することを特徴とする請求項1または2記載の付勢力調整装置。
【請求項4】
前記第2付勢部材は、前記ローラ保持部材に前記第2の付勢力を付与して、前記第1の当接位置とは異なる第2の当接位置にて前記移動体と前記ローラとの当接を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の付勢力調整装置。
【請求項5】
前記第2の当接位置での前記移動体と前記ローラとの当接力が、前記第1の当接位置での前記移動体と前記ローラとの当接力よりも大きくなるように規定したことを特徴とする請求項3または4記載の付勢力調整装置。
【請求項6】
前記ローラ保持部材に前記第1の付勢力および前記第2の付勢力を付与しない場合は前記移動体から前記ローラが離間した状態を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の付勢力調整装置。
【請求項7】
前記ローラ保持部材、前記第1付勢部材および前記第2付勢部材は、所定方向に移動可能な移動部材の前記移動とともに連動して、
前記第1の当接位置にて前記移動体と前記ローラとが当接した状態、
前記第2の当接位置にて前記移動体と前記ローラとが当接した状態、および
前記移動体から前記ローラが離間した状態
の切り替えを可能とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の付勢力調整装置。
【請求項8】
前記移動部材は、該移動部材の前記所定方向の移動を規制する規制部材を備えることを特徴とする請求項7記載の付勢力調整装置。
【請求項9】
前記規制部材を複数備えるとともに、該複数の規制部材を同軸で回転可能に設けることを特徴とする請求項8記載の付勢力調整装置。
【請求項10】
前記移動体は転写ベルトであり、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の付勢力調整装置を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項11】
請求項10に記載の転写装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付勢力調整装置、転写装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、トナー像が形成される少なくとも1つの像担持体と、駆動ローラと従動ローラとに巻き掛けられて回転駆動される中間転写ベルトと、中間転写ベルトを押圧し、中間転写ベルトを介して像担持体との間にニップを形成する一次転写手段であって、各像担持体に形成されたトナー像を中間転写ベルトに順次転写させる一次転写手段と、中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体に転写させる二次転写手段を有する画像形成装置において、ニップの圧力を記録媒体の厚みに応じて調整可能にするニップ圧調整手段を備えることにより、厚紙が二次転写部に突入した際の中間転写ベルトの速度変動を抑制し、画像品質の向上を可能にする画像形成装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、少ない誤差で付勢力を調整することが可能な付勢力調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、移動体に対向するローラと、前記ローラを保持するとともに前記移動体に対して変位可能なローラ保持部材と、前記ローラ保持部材に第1の付勢力を付与して前記ローラを前記移動体に当接する第1付勢部材と、前記ローラ保持部材に前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与して前記ローラを前記移動体に当接する第2付勢部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、少ない誤差で付勢力を調整することが可能な付勢力調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る付勢力調整装置(ローラ離間時)の構成を示す説明図。
【
図2】本発明の実施形態に係る付勢力調整装置(ローラ当接時)の構成を示す説明図。
【
図3】本発明の実施形態に係る付勢力調整装置(ローラ当接増強時)の構成を示す説明図。
【
図4】本発明の付勢力調整装置を転写装置に適用した画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【
図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いるトナーの一例を示す説明図。
【
図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるショックジッター対応モードの設定フロー図。
【
図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるショックジッター対応モードの実行フロー図。
【
図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるショックジッター対応モードの変形例による実行フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る付勢力調整装置(ローラ離間時)の構成を示す説明図であり、
図1(a)は付勢力調整装置の概略正面図、
図1(b)は付勢力調整装置の概略上面図である。
【0009】
付勢力調整装置50は、側板51、スライダ52、アーム部材53およびローラ54を備える。
【0010】
側板51は、付勢力調整装置50の本体フレームを成し、係止部材51a、軸51bおよび軸51cを保持する。これらのうち係止部材51aおよび軸51bは、各々の一端を側板51に固定して設けている。軸51cは、その一端が側板51を貫通し、側板51を貫通した部位には、駆動モータMからの動力を伝達する動力伝達機構(本実施形態ではギアG)を設けている。上記のように、側板51は、定位置に固定した係止部材51aおよび軸51bと、定位置において回転駆動可能に支持した軸51cを備えた構成となっている。
【0011】
次にスライダ52の構成を説明する。スライダ52は、側板51に対して左右方向(矢印A方向および矢印B方向)に移動可能であり、長孔52a、係止部材52b、係止部材52c、長孔52d、軸52eおよび軸52fを備える。長孔52aは、スライダ52の移動方向(左右方向)に沿って形成した貫通孔であり、長孔52aには側板51に設けた係止部材51aが進入できるようになっている。これにより、スライダ52が左右方向に移動した際のスライダ52と係止部材51aとの干渉を回避している。
【0012】
係止部材52bと係止部材52cは、各々の一端をスライダ52に固定して設けており、スライダ52が左右方向に移動した場合は、係止部材52bと係止部材52cもスライダ52と一緒に移動する。長孔52dは、上述の長孔52aと同様にスライダ52の移動方向(左右方向)に沿って形成した貫通孔であり、長孔52dには側板51に設けた軸51cが進入できるようになっている。これにより、スライダ52が左右方向に移動した際のスライダ52と軸51cとの干渉を回避している。
【0013】
軸52eは、その一端をスライダ52に固定して設けており、軸52eの他端部にはボールベアリング等の回転部材52gを装着している。軸52fは、軸52eを設けた側と反対側(側板51と対向する側)のスライダ52の側面に設けており、その一端をスライダ52に固定して設け、軸52fの他端部にはボールベアリング等の回転部材52hを装着している。従って、スライダ52が左右方向に移動した場合は、軸52eと軸52fもスライダ52と一緒に移動する。上記のようにスライダ52は定位置に固定した係止部材52b、52c、軸52e、52fおよび長孔52a、52dを備え、側板51の係止部材51aおよび軸51b、51cと干渉せずに左右へ移動できる構成となっている。
【0014】
次にアーム部材53の構成を説明する。アーム部材53は、おおよそL字形状をしており、L字の屈曲部付近を側板51に設けた軸51bが支持している。これによりアーム部材53は、軸51bを支点として回動することができる。また、アーム部材53は、長孔53a、係止部53bおよび係止部53cを備える。
【0015】
長孔53aは貫通孔であり、スライダ52に設けた係止部材52cが進入できるようになっている。長孔53aは、その内側面と係止部材52cとの当接により、アーム部材53の回動量を制限する。本実施形態では、
図1(a)に示すようにローラ54が下降した場合は長孔53aの内側面左下に係止部材52cが当接し、アーム部材53の位置決めを行うようにしている。
【0016】
係止部53bは、スプリング55の一端を係止するものであり、本実施形態では長孔53aの一部(内側面右下)を切り欠いて段差部を設けることにより、係止部53bを形成している。なお、スプリング55の他端は、側板51からスライダ52の長孔52aを介して突出した係止部材51aに係止する。また、係止部53cは、スプリング56の一端を係止するものであり、本実施形態ではアーム部材53の一部(下端部)に屈曲部を設けることにより、係止部53cを形成している。なお、スプリング56の他端は、スライダ52に設けた係止部材52bに係止する。そして、一対のアーム部材53は、その上端部(先端部)にてローラ54を支持する。
【0017】
上記のようにアーム部材53は、長孔53aおよび係止部53b、53cを備える。そして、係止部53bと係止部材51aとに掛けたスプリング55、および係止部53cと係止部材52bとに掛けたスプリング56の付勢力が変化すると、アーム部材53は軸51bを支点として回動する構成となっている。
【0018】
スプリング55およびスプリング56の付勢力は、カム57およびカム58を用いてスライダ52の位置を切り替えることにより変えることができる。カム57とカム58は、側板51が保持する軸51c上に設置しており、カム57はスライダ52に設けた回転部材52gの外周面と接触可能なカム面を有する。カム58は、回転部材52gを設けた側と反対側(側板51と対向する側)のスライダ52の側面に設けた回転部材52hの外周面と接触可能なカム面を有する。
【0019】
上記の構成において、
図1に示した状態の場合、回転部材52gの外周面がカム57と接触しており、スライダ52の右方向(矢印B方向)への移動を規制している。また、スプリング55、56がアーム部材53を引っ張り、軸51bを支点としてアーム部材53を反時計方向へ付勢する。しかし、アーム部材53に設けた長孔53aの内側面左下に係止部材52cが当接しており、アーム部材53は、これ以上は反時計方向へ移動することはできない。これにより、ローラ54は、ローラ54の上方を移動する移動体200および移動体200を介して配置した回転体100から離間した状態を形成する。
【0020】
なお、スプリング55、56に関して、スプリング55、56がアーム部材53に付与する付勢力は、本実施形態ではスプリング56による付勢力が、スプリング55による付勢力よりも大きくなるように設定している。また、スプリング55、56には引張スプリングを使用し、これにより圧縮スプリングよりも誤差を小さくすることを可能にしている。
【0021】
また、本実施形態では、カム57、58を駆動するための駆動モータMを、前側と後側にそれぞれ設けたが、必ずしもこれに限るものではない。例えば、軸51cを前側の側板51と後側の側板51とをまたぐ長さとし、1本の軸51cに前側のカム57、58と後側のカム57、58を装着し、単一の駆動モータMによって前側と後側のカム57、58を駆動するようにしてもよい。
【0022】
ここで、アーム部材53は「ローラ保持部材」の一例であり、スプリング55は「第1付勢部材」の一例であり、スプリング56は「第2付勢部材」の一例である。また、軸51bは「回動軸」の一例であり、スライダ52は「移動部材」の一例であり、カム57およびカム58は「規制部材」の一例である。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る付勢力調整装置(ローラ当接時)の構成を示す説明図であり、
図2(a)は付勢力調整装置の概略正面図、
図2(b)は付勢力調整装置の概略上面図である。各部材については
図1で説明したとおりであるため、同一符号を付し、以降の説明は省略する。
【0024】
カム57が軸51cを回転軸として反時計方向に回転すると、カム57のカム面の形状により軸51cから回転部材52gの接触位置までの距離X1は、
図1(a)に示したローラ離間時のときよりも短くなる。そして、短くなった分の距離X2だけスライダ52が右方向(矢印B方向)へ移動する。また、スライダ52の右方向への移動に伴い、アーム部材53の長孔53aとスライダ52の係止部材52cとの当接も解除した状態となる。そして、アーム部材53は、スプリング55、56の作用により、軸51bを回動軸として反時計方向へ回動する。これにより、ローラ54は、移動体200および回転体100に当接した状態を形成する。ここで、
図2に示した当接状態は「第1の当接位置」の一例である。
【0025】
なお、この場合の移動体200に対するローラ54の当接は、スプリング55の付勢力(引張力)のみをアーム部材53に付与して形成しており、スプリング56は自由長の状態となるようにしている。これにより移動体200および回転体100に対する付勢力の偏差を小さくすることができる。ここで、スプリング55がアーム部材53に付与する付勢力は「第1の付勢力」の一例である。
【0026】
図3は、本発明の実施形態に係る付勢力調整装置(ローラ当接増強時)の構成を示す説明図であり、
図3(a)は付勢力調整装置の概略正面図、
図3(b)は付勢力調整装置の概略上面図である。
【0027】
図2の状態から更にカム57を反時計方向に回すと、カム57は回転部材52gに接しなくなり、スライダ52は
図2(a)に示したローラ当接時のときよりも更に距離X3だけ右方向(矢印B方向)へ移動する。そして、アーム部材53は、スプリング55、56の作用により、軸51bを回動軸として反時計方向へ回動する。また、カム57、58が更に反時計方向へ回転し、カム57と同軸に設けたカム58が回転部材52hに接触することで、スライダ52の右方向(矢印B方向)への移動を規制する。これにより、ローラ54は、移動体200および回転体100に対して
図2のときよりもより強く当接した状態を形成する。ここで、
図3に示した当接状態は「第2の当接位置」の一例である。
【0028】
なお、この場合の移動体200に対するローラ54の当接は、スプリング56の付勢力(引張力)のみをアーム部材53に付与して形成しており、スプリング55は自由長の状態となるようにしている。また、本実施形態においては、スプリング56の引張力をスプリング55の2倍としている。ここで、スプリング56がアーム部材53に付与する付勢力は「第2の付勢力」の一例である。
【0029】
上述のように本実施形態は、移動体200に対向するローラ54と、ローラ54を保持するとともに移動体200に対して変位可能なアーム部材53と、アーム部材53に第1の付勢力を付与してローラ54を移動体200に当接するスプリング55と、アーム部材53に第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与してローラ54を移動体200に当接するスプリング56とを備える。
【0030】
また、上述のように、アーム部材53は、アーム部材53を回動可能に支持する軸51bを備え、第1の付勢力および第2の付勢力の少なくとも一方によってアーム部材53は軸51bを支点として回動する。
【0031】
これにより、少ない誤差で付勢力を調整することが可能な付勢力調整装置を提供することができる。
【0032】
また、上述のように、スプリング55は、アーム部材53に第1の付勢力を付与して、第1の当接位置にて移動体200とローラ54との当接を形成する。
【0033】
また、上述のように、スプリング56は、アーム部材53に第2の付勢力を付与して、第1の当接位置とは異なる第2の当接位置にて移動体200とローラ54との当接を形成する。
【0034】
また、上述のように、第2の当接位置での移動体200とローラ54との当接力が、第1の当接位置での移動体200とローラ54との当接力よりも大きくなるように規定している。
【0035】
また、上述のように、アーム部材53に第1の付勢力および第2の付勢力を付与しない場合は移動体200からローラ54が離間した状態を形成する。
【0036】
これにより、移動体200および回転体100に対する付勢力の偏差を小さくすることができる。
【0037】
さらに上述のように、アーム部材53、スプリング55およびスプリング56は、所定方向(本実施形態では左右方向)に移動可能なスライダ52の移動とともに連動して、第1の当接位置にて移動体200とローラ54とが当接した状態、第2の当接位置にて移動体200とローラ54とが当接した状態、および移動体200からローラ54が離間した状態の切り替えを可能とする。
【0038】
また上述のように、スライダ52は、スライダ52の所定方向の移動を規制するカム57、58を備える。
【0039】
また上述のように、カム57,58を複数備えるとともに、複数のカム57、58を同軸で回転可能に設ける。
【0040】
これにより、アーム部材53およびスプリング55、56をスライダ52の移動とともに動かすことで、ローラ54の当接状態、当接増強状態および離間状態の切り替えを精度よく行うことができる。
【0041】
図4は、本発明の付勢力調整装置を転写装置に適用した画像形成装置の一例を示した概略構成図である。
【0042】
本実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ1000は、例えば4色(イエロー:Y、シアン:C、マゼンタ:M、ブラック:K)のトナーを用いる4組の画像形成ユニットを備える。各画像形成ユニットの下方には、これら画像形成ユニットで形成したトナー像を転写するための中間転写体としての中間転写ベルト2を備える。つまり、プリンタ1000は、4組の画像形成ユニットを中間転写ベルト2の移動方向に沿って並設したタンデム型の画像形成装置である。なお、これら画像形成ユニットは現像剤(トナー)の色の違い以外は、それぞれ同等の構成であるため、以下の説明では符号におけるY、C、MおよびKの添え字を適宜省略して説明する。
【0043】
各画像形成ユニットは、像担持体としての感光体ドラム1を備え、各感光体ドラム1の周囲には、不図示の帯電装置、露光装置、現像装置、感光体清掃装置等を備えている。帯電装置は、各感光体ドラム1の表面を帯電する。露光装置は、ADF(Automatic Document Feeder)から搬送した原稿を画像スキャナ部で読み取った画像情報に基づいて、各感光体ドラム1の帯電した表面をレーザ光で露光し、感光体ドラム1表面に潜像を形成する。なお、画像情報は、画像スキャナ部で読み取った画像情報に限らず、PC(Personal Computer)から受信した画像情報であってもよい。現像装置は、各感光体ドラム1に形成した潜像をトナー像として顕像化する。感光体清掃装置は、各感光体ドラム1の表面を清掃する。
【0044】
4組の画像形成ユニットの感光体ドラム1は、不図示の感光体ドラム駆動装置によって図中矢印方向に回転する。なお、ブラック用の感光体ドラム1Kと、カラー用の感光体ドラム1Y、1C、1Mとを独立に回転駆動できるようにしてもよい。そうすることで、例えばモノクロ画像を形成する場合はブラック用の感光体ドラム1Kのみを回転駆動し、カラー画像を形成する場合は4つの感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kを同時に回転駆動することができる。
【0045】
中間転写ベルト2は、二次転写対向ローラ5および支持ローラ3、7等、複数の支持ローラに掛け回している。支持ローラ3は、不図示の駆動モータによって回転駆動することにより、中間転写ベルト2を図中反時計方向に搬送する駆動ローラである。一方、支持ローラ7は、中間転写ベルト2の移動に伴って回転する従動ローラである。なお、ローラ6は、中間転写ベルト2の外周面に当接するテンションローラである。
【0046】
各感光体ドラム1から中間転写ベルト2にトナー像を転写する一次転写位置には、中間転写ベルト2を間に挟んで各感光体ドラム1に対向するように一次転写ローラ24を設けている。一次転写ローラ24は、モノクロ画像を形成する場合は、カラー用の感光体ドラム1Y、1C、1Mから離間し、画像形成自体を行わない場合は全ての感光体ドラムから離間するように、接離機構を備えている。
【0047】
中間転写ベルト2は、一次転写ローラ24の当接により、感光体ドラム1に対して圧接し、それぞれの感光体ドラム1との対向部で一次転写ニップを形成する。中間転写ベルト2の図中下方には、二次転写ローラ8を配設しており、中間転写ベルト2を介して二次転写対向ローラ5に当接して二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ8を有する二次転写ユニット10は、中間転写ベルト2の走行方向で、下流側に回転軸43を有し、回転軸43を支点として回転可能な構成になっている。
【0048】
二次転写ローラ8は、二次転写加圧バネの引張りバネ荷重により、中間転写ベルト2を介して二次転写対向ローラ5に押し当てて配置している。そして、二次転写ローラ8の加圧力と図示しない転写バイアスにより、中間転写ベルト2上の画像を用紙Pに転写する。二次転写ユニット10の用紙搬送方向下流側には、定着装置15に向けて用紙Pを搬送する搬送ベルト11を設け、更にその下流側には、用紙P上に転写した未定着画像を定着する定着装置15を設けている。
【0049】
定着装置15は、定着ローラ13と加熱ローラ14とで張架した定着ベルトに対して加圧ローラ12を圧接して構成する。定着ベルトは、加熱ローラ14内の図示しないIHコイルによって加熱し、画像定着に必要な温度に加熱する。一方、加圧ローラ12にも内部に図示しないヒータを内蔵しており、待機時の予備加熱に使用している。用紙P上の未定着画像には、定着ベルトと加圧ローラ12のニップ部において熱と圧力を与え、用紙Pに未定着画像を定着する。なお、定着装置15のヒータはIHコイルに限るものではない。例えば熱ローラ対で構成した方式であってもよい。
【0050】
上記のように構成したプリンタ1000における画像形成(印刷)動作を簡単に説明する。カラー画像を形成する場合、各感光体ドラム1は、図中矢印方向に回転し、このとき各感光体ドラム1の表面を帯電装置が所定の極性、例えばマイナス極性に帯電する。次いで、各感光体ドラム1の帯電面に、露光装置から出射する光変調したレーザ光を照射し、これによって各感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。即ち、レーザ光を照射し感光体表面部分の電位の絶対値が低下した部分が静電潜像(画像部)となり、レーザ光を照射せず電位の絶対値が高い部分が地肌部となる。次に現像装置に収容した、所定極性に帯電したトナーによって静電潜像をトナー像として現像する。
【0051】
感光体ドラム1に形成したトナー像は、一次転写ローラ24に形成した転写電界と、中間転写ベルト2を介した一次転写ローラ24と感光体ドラム1との挟持圧力との作用により、中間転写ベルト2上に順次重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト2上に4色のトナー像からなるフルカラートナー像を形成する。中間転写ベルト2に転写せずに感光体ドラム1上に残留した転写残トナーは、感光体清掃装置が除去し、各感光体ドラム1の表面を清掃する。なお、感光体ドラム1から除去したトナーは、不図示のトナーリサイクル装置を用いて現像装置に搬送し、トナーリサイクルするようにしてもよい。
【0052】
一方、給紙ローラ18が回転し、給紙カセット20から繰り出した用紙Pを分離ローラ17が1枚ずつ分離する。そして、搬送ローラ16は、分離後の用紙Pを中間転写ベルト2と二次転写ローラ8との間に所定のタイミングで搬送する。搬送ローラ16が搬送する用紙Pは、レジストローラ(位置合わせローラ)9に突き当たって止まる。または、図示しない手差しトレイ(手差し部)から手差し給紙路を経由して搬送する用紙Pは、同じくレジストローラ9に突き当たって止まる。レジストローラ9は、中間転写ベルト2上のフルカラートナー像にタイミングを合わせて回転し、用紙Pを二次転写ローラ8と二次転写対向ローラ5との間に形成した二次転写ニップ部へ送り込む。そして、二次転写ニップ部にて用紙Pにフルカラートナー像を転写する。
【0053】
定着装置15は、フルカラートナー像を載せた用紙Pを加熱および加圧し、トナー像を用紙に定着し、用紙Pを排紙トレイ(図示せず)へ排出する。または、図示しない両面反転機構により再び転写位置へと用紙Pを導き、裏面にも画像を記録し、定着後に排紙トレイへ排出する。
【0054】
図1乃至
図3で説明した付勢力調整装置50は、本画像形成装置では一次転写ローラ24を含む転写装置50として搭載している。すなわち、
図1乃至
図3に示したローラ54が一次転写ローラ24に、移動体200が中間転写ベルト2に、回転体100が感光体ドラム1にそれぞれ置き換えた構成となっている。
【0055】
本実施形態において、ブラック用の転写装置50Aは、
図1乃至
図3で説明した付勢力調整装置50と同等の構成にて、他の色の転写装置50Bとは独立して設けている。一方、ブラック以外のカラー用の転写装置50Bは、単一のスライダ52Bが3つの一次転写ローラ24Y、24C、24Mを保持する構成としている。つまり、スライダ52Bの左右方向の移動により、一次転写ローラ24Y、24C、24Mを感光体ドラム1Y、1C、1Mに対して同時に接離するように構成している。
【0056】
これにより、例えばモノクロ画像を形成する場合は感光体ドラム1Kのみに中間転写ベルト2を介して一次転写ローラ24Kを当接することが可能になる。また、カラー用の転写装置50Bにおいては、スライダ52Bおよびカム57B、58B等の部品点数が減り構成を簡素化できるとともに、カラー用の転写装置の実装スペースを低減でき画像形成装置を小型化することができる。なお、カラー用の転写装置50Bについては、本実施形態の構成に限るものではない。例えばブラック用の転写装置50Aと同様に、イエロー用、マゼンタ用およびシアン用にそれぞれ独立した転写装置として搭載してもよい。
【0057】
そして、本実施形態の画像形成装置において、
図1乃至
図3で説明した3つの状態(ローラ離間、ローラ当接、ローラ当接増強)は、以下のモードとして使い分ける。
【0058】
一次転写ローラ24が中間転写ベルト2から離間した状態は、「離間モード」の場合の状態である。例えば、画像形成しないとき、感光体ドラム1から中間転写ベルト2にトナー像転写をしないとき、画像形成装置の電源をオフにするとき、および電源オフの期間中のとき等が離間モードとなる。また、例えば、画像形成装置の電源がオフからオンになった後で、且つ画像形成する前のとき等が離間モードとなる。
【0059】
一次転写ローラ24が中間転写ベルト2に当接した状態は、「当接モード」の場合の状態であり、例えば、画像形成するために一次転写ローラ24が中間転写ベルト2を押圧したとき等が当接モードとなる。
【0060】
一次転写ローラ24の中間転写ベルト2に対する当接を増強した状態は、「ショックジッター対応モード」の場合の状態である。例えば、二次転写ローラ8のニップ位置に剛性の高い用紙Pが突入した際に生じるショックジッターを抑制したいとき等がショックジッター対応モードとなる。
【0061】
本実施形態では、カム57A、58A(57B、58B)が回転部材52gA、52hA(52gB、52hB)と当接(または離間)することで、スライダ52A(52B)が左右方向に移動する。そして、スライダ52A(52B)の移動とともに、スライダ52A(52B)に係止したスプリング55A、56A(55B、56B)が伸縮する。スプリング55A、56A(55B、56B)の引張力は、カム57A、58A(57B、58B)の回転角度によって可変可能なため、複数段階のモード設定が可能である。
【0062】
本実施形態においてカム57A、58A(57B、58B)は、当接モード時にスプリング55A(55B)のみに引張力が掛かり、スプリング56A(56B)は自由長になるようなカム構成となっている。そして、この当接モードの状態が、中間転写ベルト2の張架力のデフォルト値となるようにしている。これにより通常使用する当接モードにおいて、中間転写ベルト2の張架力の偏差を小さくすることができる。
【0063】
また、上記デフォルト値(当接モード)の状態でショックジッターが発生した場合は、カム57A、58A(57B、58B)を回転してスライダ52A(52B)を右方向へ動かす。そして、スライダ52A(52B)と連動するスプリング56A(56B)を引っ張ることでアーム部材53A(53B)が反時計方向へ回動し、一次転写ローラ24が中間転写ベルト2に対してより強い力で当接する。これにより、二次転写ローラ8のニップ位置に剛性の高い用紙Pが突入した際の衝撃による中間転写ベルト2への影響を低減することが可能になる。また、スプリング55A、56A(55B、56B)は、引張スプリングを用いることにより、圧縮スプリングよりも誤差を小さくしている。
【0064】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いるトナーの一例を示す説明図であり、
図5(a)は形状係数SF1の説明図、
図5(b)は形状係数SF2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した説明図である。
【0065】
本実施形態に用いるトナーの形状係数SF1は100~180、形状係数SF2は100~180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、式(1)で表すことができる。形状係数SF1は、トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF1=((MXLNG)2/AREA)×(π/4)×100・・・式(1)
SF1の値が100の場合、トナーの形状は真球となり、SF1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0066】
また、形状係数SF2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、式(2)で表すことができる。形状係数SF2は、トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF2=((PERI)2/AREA)×(1/4π)×100・・・式(2)
SF2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0067】
形状係数の測定は、具体的には走査型電子顕微鏡(S-800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーまたはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱まり流動性が高くなり、トナーと感光体との吸着力も弱くなって転写率は高くなる。形状係数SF1、SF2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
【0068】
また、トナー粒径は体積平均粒径で4~10μmの範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合は、現像時に地汚れの発生や、流動性が悪化し凝集しやすくなるため中抜けが発生しやすくなる。逆にこれよりも大粒径の場合は、トナーの飛び散り、解像度悪化により高精細な画像を得ることができない。これらを踏まえて本実施形態では、体積平均粒径6.5μmのトナーを用いた。
【0069】
図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるショックジッター対応モードの設定フロー図である。
【0070】
ショックジッター対応モードの設定においては、はじめにプリンタ1000で使用する用紙の紙厚ごとに試し刷りを行う(ステップS1)。試し刷りでは、用紙Pに形成した画像に横縞が出ていないかを確認する。画像に横縞が出ているということは、プリンタ1000の二次転写ローラ8のニップ位置に剛性の高い用紙Pが突入したことによりショックジッターが発生していることを意味する。
【0071】
試し刷りの画像に横縞が出ていた場合、ユーザはプリンタ1000の操作パネル等で、横縞が発生した用紙Pを使用する際の転写装置50のモードを「ショックジッター対応モード」となるように設定する(ステップS2)。用紙の紙厚ごとの対応モード設定内容は、プリンタ1000に設けたメモリなどに格納する。
【0072】
図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるショックジッター対応モードの実行フロー図である。
【0073】
プリンタ1000による印刷動作を開始した場合、プリンタ1000は不図示のコントローラから印刷情報(画像情報、紙種情報等)を取得する(ステップS71)。次に、使用する用紙Pが上述の設定フローにおいてショックジッター対応モードを設定した用紙であるかをステップS71で取得した印刷情報に基づいて判断する(ステップS72)。ステップS72において、ショックジッター対応モードを設定していないと判断した場合、転写装置50の一次転写ローラ24は、中間転写ベルト2に対して「当接モード」にて当接する(ステップS73)。
【0074】
一方、ステップS72において、ショックジッター対応モードを設定していると判断した場合、転写装置50の一次転写ローラ24は、中間転写ベルト2に対して「ショックジッター対応モード」にて当接する(ステップS74)。当接モードまたはショックジッター対応モードにて画像形成を実行し、用紙Pが中間転写ベルト2と二次転写ローラ8とのニップ位置を通過(ステップS75)したならば、後続用紙がないかを判断する(ステップS76)。そして、ステップS76において、用紙Pのあとに後続用紙がないと判断した場合、転写装置50の一次転写ローラ24は、中間転写ベルト2に対して「離間モード」を成し(ステップS77)、印刷動作を終了する。ステップS76において、後続用紙ありと判断した場合は、現状のモード(当接モードまたはショックジッター対応モード)を維持したまま後続用紙がなくなるまで後続用紙への印刷を続ける(ステップS78)。
【0075】
このように、後続用紙がある場合はモード変更を行わないようにすることで、例えば感光体ドラム1から中間転写ベルト2に次の後続用紙に転写するための画像を一次転写している最中における画像乱れを防ぐことができる。なお、ステップS72で「ショックジッター対応モード」と判断した場合であっても、例えば印刷用紙枚数が1枚のみであるならば「ショックジッター対応モード」とせずに「当接モード」で印刷動作を実行するようにしてもよい。ショックジッターは、二次転写ローラ8のニップ位置に剛性の高い用紙Pが突入した際の衝撃(振動)が中間転写ベルト2に伝わり、次の後続用紙に転写するための画像上に横縞を生成してしまう現象である。従って、印刷用紙枚数が1枚のみの場合は後続用紙への転写性を考える必要がないためである。
【0076】
図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるショックジッター対応モードの変形例による実行フロー図である。本変形例の各ステップS81~S87は、
図7に示した実行フローの各ステップS71~S77と同等であるため各ステップの説明は省略する。
【0077】
本変形例では、ステップS86において後続用紙ありと判断した場合に、ステップS82(ショックジッター対応モードの設定状態の判断)まで戻るフローとしている点が
図7の実行フローと異なっている。すなわち、本変形例の場合は、後続用紙がショックジッター対応モードかどうかを都度判断し、判断後に後続用紙に転写するための画像の形成を開始する。ショックジッター対応モードにおける一次転写ローラ24を中間転写ベルト2に強く当接した状態は、当接モードに比べて転写性は好ましくないため、横縞が発生しない用紙の場合は当接モードにすることが望ましい。本変形例のようにショックジッター対応モードかどうかを用紙毎に判断することで、用紙毎に適した画像転写を行うことが可能になる。
【0078】
なお、本実施形態においては、付勢力調整装置を画像形成装置の転写装置に適用した例に基づき説明したが、適用はこれに限るものではない。例えば、用紙などの記録媒体を搬送する搬送ベルトを備えた搬送装置、定着ベルトを備えた定着装置など、無端ベルト状もしくは長尺状の移動体に対して当接するローラを備えた装置に対して適宜適用が可能である。
【0079】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0080】
第1の態様は、移動体(例えば移動体200)に対向するローラ(例えばローラ54)と、前記ローラを保持するとともに前記移動体に対して変位可能なローラ保持部材(例えばアーム部材53)と、前記ローラ保持部材に第1の付勢力を付与して前記ローラを前記移動体に当接する第1付勢部材(例えばスプリング55)と、前記ローラ保持部材に前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与して前記ローラを前記移動体に当接する第2付勢部材(例えばスプリング56)とを備えることを特徴とするものである。
【0081】
第2の態様は、第1の態様において、前記ローラ保持部材(例えばアーム部材53)は、該ローラ保持部材を回動可能に支持する回動軸(例えば軸51b)を備え、前記第1の付勢力および前記第2の付勢力の少なくとも一方によって前記ローラ保持部材は前記回動軸を支点として回動することを特徴とするものである。
【0082】
第1の態様および第2の態様によれば、少ない誤差で付勢力を調整することが可能な付勢力調整装置を提供することができる。
【0083】
第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記第1付勢部材(例えばスプリング55)は、前記ローラ保持部材(例えばアーム部材53)に前記第1の付勢力を付与して、第1の当接位置にて前記移動体(例えば移動体200)と前記ローラ(例えばローラ54)との当接を形成することを特徴とするものである。
【0084】
第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様のいずれかにおいて、前記第2付勢部材(例えばスプリング56)は、前記ローラ保持部材(例えばアーム部材53)に前記第2の付勢力を付与して、前記第1の当接位置とは異なる第2の当接位置にて前記移動体(例えば移動体200)と前記ローラ(例えばローラ54)との当接を形成することを特徴とするものである。
【0085】
第5の態様は、第3の態様または第4の態様において、前記第2の当接位置での前記移動体(例えば移動体200)と前記ローラ(例えばローラ54)との当接力が、前記第1の当接位置での前記移動体と前記ローラとの当接力よりも大きくなるように規定したことを特徴とするものである。
【0086】
第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様のいずれかにおいて、前記ローラ保持部材(例えばアーム部材53)に前記第1の付勢力および前記第2の付勢力を付与しない場合は前記移動体(例えば移動体200)から前記ローラ(例えばローラ54)が離間した状態を形成することを特徴とするものである。
【0087】
第3の態様乃至第6の態様によれば、移動体に対する付勢力の偏差を小さくすることができる。
【0088】
第7の態様は、第1の態様乃至第6の態様のいずれかにおいて、前記ローラ保持部材(例えばアーム部材53)、前記第1付勢部材(例えばスプリング55)および前記第2付勢部材(例えばスプリング56)は、所定方向に移動可能な移動部材(例えばスライダ52)の前記移動とともに連動して、前記第1の当接位置にて前記移動体(例えば移動体200)と前記ローラ(例えばローラ54)とが当接した状態、前記第2の当接位置にて前記移動体と前記ローラとが当接した状態、および前記移動体から前記ローラが離間した状態の切り替えを可能とすることを特徴とするものである。
【0089】
第8の態様は、第7の態様において、前記移動部材(例えばスライダ52)は、該移動部材の前記所定方向の移動を規制する規制部材(例えばカム57、58)を備えることを特徴とするものである。
【0090】
第9の態様は、第8の態様において、前記規制部材(例えばカム57、58)を複数備えるとともに、該複数の規制部材を同軸(例えば軸51c)で回転可能に設けることを特徴とするものである。
【0091】
第7の態様乃至第9の態様によれば、ローラ保持部材、第1付勢部材および第2付勢部材を、移動部材の移動とともに動かすことで、ローラの当接状態、当接増強状態および離間状態の切り替えを精度よく行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
50 付勢力調整装置
51 側板
51a 係止部材
51b 軸(回動軸の一例)
51c 軸
52 スライダ(移動部材の一例)
52a 長孔
52b 係止部材
52c 係止部材
52d 長孔
52e 軸
52f 軸
52g 回転部材
52h 回転部材
53 アーム部材(ローラ保持部材の一例)
53a 長孔
53b 係止部
53c 係止部
54 ローラ
55 スプリング(第1付勢部材の一例)
56 スプリング(第2付勢部材の一例)
57 カム(規制部材の一例)
58 カム(規制部材の一例)
100 回転体
200 移動体
M 駆動モータ
G ギア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】