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特開2023-34379部品の装着荷重の適否判断システムおよび部品の装着荷重の適否判断方法ならび部品搭載装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034379
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】部品の装着荷重の適否判断システムおよび部品の装着荷重の適否判断方法ならび部品搭載装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230306BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H05K13/08 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140595
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】小林 広紀
(72)【発明者】
【氏名】坂本 宏
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB01
5E353CC13
5E353EE02
5E353EE51
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ21
5E353JJ44
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353LL03
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】複雑な構成の搭載ヘッドであってもノズルから加えられる荷重の適否を適切に判断することができる部品の装着荷重の適否判断システムおよび部品の装着荷重の適否判断方法ならびに部品搭載装置を提供する。
【解決手段】ノズルを昇降させる昇降手段を有する搭載ヘッドが装着され、昇降手段によって下降するノズルが当接し、当接したノズルから加えられる荷重を検出する荷重検出手段を備える部品の装着荷重の適否判断システムによる部品の装着荷重の適否判断方法は、昇降手段によってノズルを下降させて荷重検出手段に当接させてノズルから加わる荷重を計測し(ST12)、計測された荷重と、ノズルの種類、または、制御の態様に応じた荷重の閾値と比較して、ノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する(ST13)。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に搭載するノズルと、
前記ノズルを昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段を制御する制御部と、を有する搭載ヘッドが装着され、
前記昇降手段によって下降する前記ノズルが当接し、当接した前記ノズルから加わる荷重を前記部品の装着荷重として計測する荷重計測手段と、
前記荷重計測手段によって計測された荷重と、前記ノズルの種類、または、前記制御の態様に応じた荷重の閾値とを比較して、前記ノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する判断部と、を備えた、部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項2】
前記ノズルの種類、または、前記制御の態様に基づき、前記荷重の閾値を決定する決定部を備えた、請求項1に記載の部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項3】
前記決定部は、前記ノズルが装着された前記搭載ヘッドの種類を考慮して、前記荷重の閾値を決定する、請求項2に記載の部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項4】
前記ノズルの種類には、少なくとも第1のノズルと、前記第1のノズルに比べてノズルから加えられる荷重が小さい第2のノズルを少なくとも含む、請求項1から3のいずれかに記載の部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項5】
前記判断部は、
前記第1のノズルが前記搭載ヘッドに装着されている場合には、前記制御の態様に応じた荷重の閾値と比較して、前記第1のノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断し、
前記第2のノズルが前記搭載ヘッドに装着されている場合には、前記第2のノズルに応じた荷重の閾値と比較して、前記第2のノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する、請求項4に記載の部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項6】
前記判断部が前記ノズルから加えられる荷重が不適正と判断すると、その旨を報知する報知部を、さらに備えた、請求項1から5のいずれかに記載の部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項7】
前記ノズルから加えられる荷重を記憶する記憶部と、
前記ノズルから加えられる荷重を時系列で表示する表示部と、を備えた、請求項1から6のいずれかに記載の部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項8】
前記表示部は、前記ノズルの種類毎に、または、前記制御の態様毎に、前記ノズルから加えられる荷重を時系列で表示する、請求項7に記載の部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項9】
前記表示部は、前記ノズルまたは前記搭載ヘッドに対する直前のメンテナンスの時からの経過時間を時系列として表示する、請求項7または8に記載の部品の装着荷重の適否判断システム。
【請求項10】
部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に搭載するノズルと、前記ノズルを昇降させる昇降手段と、を有する搭載ヘッドが装着され、前記昇降手段によって下降する前記ノズルが当接し、当接した前記ノズルから加えられる荷重を前記部品の装着荷重として検出する荷重検出手段を備える部品の装着荷重の適否判断システムによる部品の装着荷重の適否判断方法であって、
前記昇降手段によって前記ノズルを下降させ、前記荷重検出手段に当接させて前記ノズルから加わる荷重を計測する荷重計測工程と、
前記荷重計測工程において計測された荷重と、前記ノズルの種類、または、前記制御の態様に応じた荷重の閾値と比較して、前記ノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する判断工程と、を含む、部品の装着荷重の適否判断方法。
【請求項11】
前記ノズルの種類、または、前記制御の態様に基づき、前記荷重の閾値を決定する決定工程を含む、請求項10に記載の部品の装着荷重の適否判断方法。
【請求項12】
前記決定工程において、前記ノズルが装着された前記搭載ヘッドの種類を考慮して、前記荷重の閾値が決定される、請求項11に記載の部品の装着荷重の適否判断方法。
【請求項13】
前記判断工程において、
第1のノズルが前記搭載ヘッドに装着されている場合には、前記制御の態様に応じた荷重の閾値と比較して、前記第1のノズルから加えられる荷重が適正か否かが判断され、
前記第1のノズルに比べてノズルから加えられる荷重が小さい第2のノズルが前記搭載ヘッドに装着されている場合には、前記第2のノズルに応じた荷重の閾値と比較して、前記第2のノズルから加えられる荷重が適正か否かが判断される、請求項10から12のいずれかに記載の部品の装着荷重の適否判断方法。
【請求項14】
前記判断工程において、前記ノズルから加えられる荷重が不適正と判断されると、その旨を報知する報知工程を、さらに含む、請求項10から13のいずれかに記載の部品の装着荷重の適否判断方法。
【請求項15】
前記ノズルから加えられる荷重を記憶する記憶工程と、
前記ノズルから加えられる荷重を時系列で表示部に表示する表示工程と、を含む、請求項10から14のいずれかに記載の部品の装着荷重の適否判断方法。
【請求項16】
部品を供給する部品供給部と、
搭載ヘッドと、
前記搭載ヘッドに装着され、前記部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に搭載するノズルと、
前記ノズルを昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段を制御する制御部と、
前記昇降手段によって下降する前記ノズルが当接し、当接した前記ノズルから加わる荷重を計測する荷重計測手段と、
前記荷重計測手段によって計測された荷重と、前記ノズルの種類、または、前記制御の態様に応じた荷重の閾値とを比較して、前記ノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する判断部と、を備えた、部品搭載装置。
【請求項17】
前記ノズルの種類には、少なくとも第1のノズルと、前記第1のノズルに比べてノズルから加えられる荷重が小さい第2のノズルを少なくとも含む、請求項16に記載の部品搭載装置。
【請求項18】
前記判断部は、
前記第1のノズルが前記搭載ヘッドに装着されている場合には、前記制御の態様に応じた荷重の閾値と比較して、前記第1のノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断し、
前記第2のノズルが前記搭載ヘッドに装着されている場合には、前記第2のノズルに応じた荷重の閾値と比較して、前記第2のノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する、請求項17に記載の部品搭載装置。
【請求項19】
前記判断部が前記ノズルから加えられる荷重が不適正と判断すると、その旨を報知する報知部を、さらに備えた、請求項16から18のいずれかに記載の部品搭載装置。
【請求項20】
前記ノズルから加えられる荷重を記憶する記憶部と、
前記ノズルから加えられる荷重を時系列で表示する表示部と、を備えた、請求項16から19のいずれかに記載の部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載ヘッドに装着されたノズルから加えられる荷重の適否を判断する部品の装着荷重の適否判断システムおよび部品の装着荷重の適否判断方法ならびに部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を搭載する部品搭載装置が備える搭載ヘッドのノズルホルダの先端には、部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に搭載するノズルが装着される。また、ノズルホルダに設けられたばね部材(例えば、特許文献1)や、ノズルに設けられたばね部材(例えば、特許文献2)により、部品を基板に搭載する際にノズルが部品に与える衝撃を緩和し、ノズルから加えられる荷重が適正な大きさになるようにしたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の部品搭載装置(電子回路部品装着機)は、ノズルを当接させてノズルから加えられる荷重を計測するロードセルを備えている。そして、ロードセルによる荷重の計測結果を所定の閾値と比較することにより、ノズルホルダやノズルの摺動抵抗が増加したり、ばね部材が劣化してばね定数が低下したりする不良の発生を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/027614号
【特許文献2】特開2017-11228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、荷重の計測結果からノズル等の不良の有無を判定することはできるものの、1つの搭載ヘッドにばね部材を内蔵するノズルとばね部材を内蔵しないノズルが混在して装着されていたり、ノズル毎に昇降制御の方法が異なっていたりする場合があり、このように複雑な構成の場合に不良の有無の判断を誤ってしまうという問題点があった。そのため、複雑な構成の搭載ヘッドであってもノズル毎にノズルから加えられる荷重が適正であるか否かを適切に判断することができて、ユーザが容易にノズルや搭載ヘッドのメンテナンスができるようするにはさらなる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、複雑な構成の搭載ヘッドであってもノズルから加えられる荷重の適否を適切に判断することができる部品の装着荷重の適否判断システムおよび部品の装着荷重の適否判断方法ならびに部品搭載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品の装着荷重の適否判断システムは、部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に搭載するノズルと、前記ノズルを昇降させる昇降手段と、前記昇降手段を制御する制御部と、を有する搭載ヘッドが装着され、前記昇降手段によって下降する前記ノズルが当接し、当接した前記ノズルから加わる荷重を前記部品の装着荷重として計測する荷重計測手段と、前記荷重計測手段によって計測された荷重と、前記ノズルの種類、または、前記制御の態様に応じた荷重の閾値とを比較して、前記ノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する判断部と、を備えた。
【0008】
本発明の部品の装着荷重の適否判断方法は、部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に搭載するノズルと、前記ノズルを昇降させる昇降手段と、を有する搭載ヘッドが装着され、前記昇降手段によって下降する前記ノズルが当接し、当接した前記ノズルから加えられる荷重を前記部品の装着荷重として検出する荷重検出手段を備える部品の装着荷重の適否判断システムによる部品の装着荷重の適否判断方法であって、前記昇降手段によって前記ノズルを下降させ、前記荷重検出手段に当接させて前記ノズルから加わる荷重を計測する荷重計測工程と、前記荷重計測工程において計測された荷重と、前記ノズルの種類、または、前記制御の態様に応じた荷重の閾値と比較して、前記ノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する判断工程と、を含む。
【0009】
本発明の部品搭載装置は、部品を供給する部品供給部と、搭載ヘッドと、前記搭載ヘッドに装着され、前記部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に搭載するノズルと、前記ノズルを昇降させる昇降手段と、前記昇降手段を制御する制御部と、前記昇降手段によって下降する前記ノズルが当接し、当接した前記ノズルから加わる荷重を計測する荷重計測手段と、前記荷重計測手段によって計測された荷重と、前記ノズルの種類、または、前記制御の態様に応じた荷重の閾値とを比較して、前記ノズルから加えられる荷重が適正か否かを判断する判断部と、を備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複雑な構成の搭載ヘッドであってもノズルから加えられる荷重の適否を適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態の部品搭載システムが備える部品搭載装置の要部の構成を示す平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品搭載装置の要部の構成を示す側面図
図3】本発明の一実施の形態の部品搭載装置が備える搭載ヘッドの要部の構成を示す(a)平面図(b)正面図
図4】本発明の一実施の形態の部品搭載装置が備える搭載ヘッドのノズルホルダとノズルの構成を示す説明図
図5】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品搭載装置が備える搭載ヘッドのノズルホルダに装着されたリジッドノズルから加わる荷重を説明する図
図6】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品搭載装置が備える搭載ヘッドのノズルホルダに装着された低荷重ノズルから加わる荷重を説明する図
図7】本発明の一実施の形態の部品搭載装置の制御系の構成を示すブロック図
図8】本発明の一実施の形態の部品搭載装置において使用される(a)ヘッド種別データの説明図(b)ノズル種別データの説明図(c)定荷重制御種別データの説明図(d)Pos状態データの説明図
図9】本発明の一実施の形態の部品搭載装置において使用される(a)ヘッド種別基準データの説明図(b)ノズル種別基準データの説明図(c)定荷重制御種別基準データの説明図
図10】本発明の一実施の形態の部品搭載装置において使用されるヘッド状態データの説明図
図11】本発明の一実施の形態の部品搭載装置のタッチパネルに表示された(a)計測時刻を横軸とする荷重計測結果画面の説明図(b)メンテナンスからの経過時間を横軸とする荷重計測結果画面の説明図
図12】本発明の一実施の形態の閾値決定方法のフロー図
図13】本発明の一実施の形態の部品の装着荷重の適否判断方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品搭載システム、部品搭載装置、搭載ヘッド、ノズル、荷重計測部の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2における上下方向)が示される。
【0013】
まず図1を参照して、部品搭載システム1の構成を説明する。部品搭載システム1は、部品搭載装置2を備えており、基板に部品を搭載して実装基板を生産する機能を有している。部品搭載装置2は、通信ネットワーク3を介して管理コンピュータ4に接続されている。なお、部品搭載システム1が備える部品搭載装置2は1台に限定されることはなく、2台以上でも良い。管理コンピュータ4は、ライン管理機能と併せて、部品搭載装置2によって取得されたデータに基づいて、部品の装着荷重の適否を判断する機能を有している。
【0014】
次に図1図2を参照して、部品搭載装置2の構成を説明する。なお図2は、図1における部品搭載装置2の一部を模式的に示している。部品搭載装置2は、部品供給部から供給された部品を基板に搭載する部品搭載作業を実行する機能を有する。基台5の中央には、基板搬送機構6がX軸に沿って配置されている。基板搬送機構6は、上流から搬送された基板Pを、搭載作業位置に搬入して位置決めして保持する。また、基板搬送機構6は、部品搭載作業が完了した基板Pを下流に搬出する。
【0015】
基板搬送機構6の両側(Y軸の前後方向)には、部品供給部7が配置されている。それぞれの部品供給部7には、複数のテープフィーダ8がX軸に沿って配置されている。部品供給部7の各テープフィーダ8は、部品Dを格納するポケットが形成された部品テープを部品供給部7の外側から基板搬送機構6に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、以下に説明する搭載ヘッドによって部品Dが取り出される部品供給位置に部品Dを供給する。
【0016】
図1図2において、基台5上面においてX軸における両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル9がY軸に沿って配置されている。Y軸テーブル9には、同様にリニア駆動機構を備えたビーム10が、Y軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム10はX軸に沿って配置されている。ビーム10には、プレート10aを介して搭載ヘッド11がX軸に沿って移動自在に装着されている。搭載ヘッド11は、プレート10aに着脱可能である。搭載ヘッド11は、複数の部品搭載部12を備えている。部品搭載部12のそれぞれの下端部には、部品Dを吸着して保持するノズル13が装着されている。各部品搭載部12は、ノズル13をZ軸に沿って昇降させる昇降モータ12aを備えている。
【0017】
図1において、Y軸テーブル9およびビーム10は、搭載ヘッド11をX軸およびY軸に沿って移動させるヘッド移動機構14を構成する。ヘッド移動機構14および搭載ヘッド11は、部品供給部7に配置されたテープフィーダ8から部品搭載部12に装着されたノズル13によって部品Dを吸着して取り出して、基板搬送機構6に位置決めされた基板Pの搭載位置に搭載する搭載ターンを実行する。このように、搭載ヘッド11には複数のノズル13が装着されており、各ノズル13により部品供給部7から供給される部品Dをピックアップして基板Pに搭載する。昇降モータ12aは、ノズル13を昇降させる昇降手段である。
【0018】
図1図2において、部品供給部7と基板搬送機構6との間には、部品認識カメラ15が配置されている。部品供給部7から部品Dを取り出した搭載ヘッド11が部品認識カメラ15の上方を移動する際に、部品認識カメラ15は搭載ヘッド11に保持された状態の部品Dを撮像して部品Dの保持姿勢を認識する。搭載ヘッド11が取り付けられたプレート10aにはヘッドカメラ16が取り付けられている。ヘッドカメラ16は、搭載ヘッド11と一体的に移動する。
【0019】
搭載ヘッド11が移動することにより、ヘッドカメラ16は基板搬送機構6に位置決めされた基板Pの上方に移動し、基板Pに設けられた基板マーク(図示省略)を撮像して基板Pの位置を認識する。搭載ヘッド11による基板Pへの部品搭載動作においては、部品認識カメラ15による部品Dの認識結果と、ヘッドカメラ16による基板位置の認識結果とを加味して搭載位置の補正が行われる。
【0020】
図2において、部品供給部7には上部に予め複数のテープフィーダ8が装着された台車17がセットされる。台車17には、部品Dを保持した部品テープ18を巻回状態で収納するリール19が保持されている。リール19から引き出された部品テープ18は、テープフィーダ8によって部品供給位置までピッチ送りされる。
【0021】
図1図2において、基台5の上面には、部品認識カメラ15のX軸方向の側方に荷重計測部20が設置されている。荷重計測部20の上面には、上方から加わる力(荷重)を計測するロードセルなどが設置されている。荷重計測部20は、昇降モータ12a(昇降手段)によって下降するノズル13が上方から当接し、当接したノズル13から加わる荷重を計測する荷重計測手段である。部品搭載装置2の前方で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル21が設置されている。タッチパネル21は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品搭載装置2の操作を行う。
【0022】
次に図3(a)、図3(b)を参照して、搭載ヘッド11の構成の例を説明する。搭載ヘッド11は、16個の部品搭載部12を備える多連型ヘッドである。この例では、搭載ヘッド11は、X軸に沿った8つの部品搭載部12をY軸に沿って2列備えている。各部品搭載部12(1)~9(16)は昇降モータ12aを備えている。昇降モータ12aを駆動することにより、各部品搭載部12(1)~9(16)は下端部に装着されたノズル13を昇降させる(矢印a)。
【0023】
ノズル13が下降した距離(高さ位置)は、昇降モータ12aのエンコーダによって検知される。各部品搭載部12(1)~9(16)は、搭載ヘッド11が備える昇降制御部11a(図7参照)が昇降モータ12aをトルク制御することにより、部品Dを基板Pに搭載する際にノズル13から加わる荷重が一定となるように調整する定荷重制御が可能である。
【0024】
次に図4を参照して、部品搭載部12に配置されたノズルホルダ23と、ノズルホルダ23に装着されるノズル13のうち、リジッドノズル13Aと低荷重ノズル13Bの構成について説明する。ノズルホルダ23は、部品搭載部12の下端に配置された連結部12bに対して、Z軸に沿って相対的に滑動するように設置されている。また、ノズルホルダ23は、連結部12bとの間に配置された圧縮バネであるホルダスプリング22によって下方に付勢されている。リジッドノズル13Aと低荷重ノズル13Bは、ノズルホルダ23に保持される上部が同様の形状に形成されている。すなわち、リジッドノズル13Aの上面と低荷重ノズル13Bの上面には、ノズルホルダ23の下端から突出する突出部23aが挿入される挿入孔13aと挿入孔13dがそれぞれ形成されている。
【0025】
リジッドノズル13Aは、ノズルホルダ23の下方から上方に移動させて(矢印b)、挿入孔13aを突出部23aに挿入させることで、ノズルホルダ23に保持される(図5参照)。リジッドノズル13Aがノズルホルダ23に保持されると、部品搭載部12に形成された貫通孔12cがリジッドノズル13Aの下部に突出して設けられた吸引管13bの下端の開口13cまで連通する。この状態で、貫通孔12cから供給される負圧によってリジッドノズル13Aに下端に部品Dが吸着される。リジッドノズル13Aの吸引管13bは、リジッドノズル13Aの本体に対して固定されている。
【0026】
図4において、同様に、低荷重ノズル13Bは、ノズルホルダ23の下方から上方に移動させて(矢印c)、挿入孔13dを突出部23aに挿入させることで、ノズルホルダ23に保持される(図6参照)。低荷重ノズル13Bがノズルホルダ23に保持されると、部品搭載部12の貫通孔12cが低荷重ノズル13Bの下部に突出して設けられた吸引管13eの下端の開口13fまで連通する。低荷重ノズル13Bの吸引管13eは、低荷重ノズル13Bの本体に対してZ軸に沿って相対的に滑動するように設置されており、本体に配置された圧縮バネであるノズルスプリング13gによって下方に付勢されている。リジッドノズル13Aと低荷重ノズル13Bは、保持対象の部品Dのサイズなどに応じて吸引管13b、13eの形状が異なる複数の種類が用意されている。
【0027】
次に図5を参照して、部品搭載部12のノズルホルダ23に装着されたリジッドノズル13Aから加えられる荷重Fmについて説明する。図5(a)は、昇降モータ12aを駆動させて連結部12bを下降させて、リジッドノズル13Aが保持する部品Dの下面が基板Pの上面に着地した状態を示している。図5(b)は、図5(a)の状態から更に連結部12bを下降量H1だけ下降させた状態を示している。
【0028】
連結部12bを下降させると、ホルダスプリング22が圧縮され、連結部12bを上方に押し戻す付勢力Faが発生する。この状態で、連結部12bを押し下げる押圧力Ftから付勢力Faを減じた力である荷重Fmが、吸引管13bから部品Dに加わる。押圧力Ftが増加して連結部12bが更に下降すると下降量H1が増加し、押圧力Ftが増加する分だけホルダスプリング22が押し戻す付勢力Faが増加する。これにより、リジッドノズル13Aから部品Dに加わる荷重Fmは一定に保たれる。
【0029】
次に図6を参照して、部品搭載部12のノズルホルダ23に装着された低荷重ノズル13Bから加えられる荷重Fmについて説明する。図6(a)は、昇降モータ12aを駆動させて連結部12bを下降させて、低荷重ノズル13Bが保持する部品Dの下面が基板Pの上面に着地した状態を示している。図6(b)は、図6(a)の状態から更に連結部12bを下降量H2だけ下降させた状態を示している。
【0030】
低荷重ノズル13Bが備えるノズルスプリング13gのばね定数は、ホルダスプリング22のばね定数より小さくなるように設計されている。そのため、連結部12bを下降させてもホルダスプリング22は圧縮されずに、ノズルスプリング13gが圧縮される。ノズルスプリング13gが圧縮されることで、低荷重ノズル13Bを上方に押し戻す付勢力Fbが発生する。この状態で、連結部12bがノズルホルダ23を押し下げる押圧力Ftから付勢力Fbを減じた力である荷重Fmが、吸引管13eから部品Dに加わる。
【0031】
ノズルスプリング13gによって、低荷重ノズル13Bから部品Dに加わる荷重Fmは一定に保たれる。また、ノズルスプリング13gのばね定数は、ホルダスプリング22のばね定数より小さいため、低荷重ノズル13Bから部品Dに加わる荷重Fmは、リジッドノズル13Aから加わる荷重Fmよりも小さくなる。低荷重ノズル13Bは、部品Dの許容荷重に応じてばね定数の異なるノズルスプリング13gを内蔵する複数の種類が用意される。
【0032】
次に図7を参照して、部品搭載装置2の制御系の構成を、搭載ヘッド11に装着されたノズル13の荷重Fmの適否を判定する部品の装着荷重の適否判断処理を行う機能を中心に説明する。部品搭載装置2は、制御装置30、基板搬送機構6、テープフィーダ8、搭載ヘッド11、ヘッド移動機構14、部品認識カメラ15、ヘッドカメラ16、荷重計測部20、タッチパネル21を備えている。搭載ヘッド11は、昇降制御部11a(制御部)、昇降モータ12a(昇降手段)を有する部品搭載部12を備えている。
【0033】
制御装置30は、制御記憶部31、搭載制御部32、決定部33、計測処理部34、判断部35、結果表示処理部36を備えている。制御記憶部31は記憶装置であり、搭載データ37、識別番号データ38、基準データ39、ヘッド状態データ40、計測結果データ41などが記憶されている。搭載データ37には、基板Pに実装される部品Dの部品の種類、基板Pにおける搭載位置の座標、部品搭載時の定荷重制御の有無、定荷重制御の種別などの各種情報が、実装基板の基板種ごとに記憶されている。
【0034】
図7において、搭載制御部32は、搭載データ37に基づいて、搭載ヘッド11の部品搭載部12に装着されたノズル13を昇降させて部品供給部7のテープフィーダ8が供給する部品Dをピックアップし、基板Pの搭載位置に装着する部品搭載作業を実行させる。搭載制御部32は、搭載データ37に定荷重制御と指定されている部品Dを搭載する場合は、搭載ヘッド11の昇降制御部11aに定荷重制御の種別を特定する指令を送信する。指令を受信した昇降制御部11aは、種別によって指定された荷重Fmとなるように部品搭載部12の昇降モータ12aをトルク制御して、ノズル13を下降させる。
【0035】
また、搭載制御部32は、搭載データ37に定荷重制御では無いと指定されている部品Dを搭載する場合は、昇降制御部11aに定荷重制御ではない旨の指令を送信する。指令を受信した昇降制御部11aは、予め定められた動作パターンで昇降モータ12aを制御して、ノズル13を下降させる。
【0036】
図7において、識別番号データ38には、ヘッド状態データ40などに搭載ヘッド11の種別、ノズル13の種別、定荷重制御の種別、判断結果を入力する際に使用される識別番号を規定する各種データが含まれている。ここで図8を参照して、識別番号データ38に含まれる各種データについて説明する。なお、以下に説明する各種データの内容は一例であり、搭載ヘッド11の構成やノズル13の種類などに応じて適宜変更される。
【0037】
図8(a)は、ヘッド種別データの例を示す。この例では、ヘッド種別として、16本ノズルヘッド「16NH」、8本ノズルヘッド「8NH」、4本ノズルヘッド「4NH」が規定されており、それぞれ、識別番号として「1」「2」「3」が規定されている。なお、搭載ヘッド11の種別としては、ノズル本数の他に、ノズル13を水平方向に複数配置した多連型ヘッドであるか、ノズル13を同心円状に配置したロータリー型ヘッドであるかなどの機構の方式でも区分される。
【0038】
図8(b)は、ノズル種別データの例を示す。この例では、ノズル種別としてリジッドノズル13Aと低荷重ノズル13Bが規定されており、それぞれ、識別番号として「1」「2」が規定されている。すなわち、ノズルの種類には、少なくとも第1のノズル(リジッドノズル13A)と、第1のノズルに比べてノズルから加えられる荷重Fmが小さい第2のノズル(低荷重ノズル13B)を少なくとも含む。なお、ノズル13の種別としては、ノズル13のサイズ、形状などでも区分される。また、ノズルスプリング13gのばね定数が異なる複数の低荷重ノズル13Bが用意されている場合は、ばね定数(荷重)でも区分される。
【0039】
図8(c)は、定荷重制御種別の例を示す。この例では、定荷重制御種別として「1N」「0.9N」「0.8N」「0.7N」「0.6N」「0.5N」が規定されており、それぞれ、識別番号として「1」「2」「3」「4」「5」「6」が規定されている。図8(d)は、Pos状態データの例を示す。この例では、Pos状態として「正常」「警告」「異常」が規定されており、それぞれ、識別番号として「1」「2」「3」が規定されている。
【0040】
図7において、基準データ39には、部品の装着荷重の適否判断処理においてノズル13から加えられる荷重Fmが適正か否かを判断する基準値や閾値が含まれている。ここで、図9を参照して基準データ39の一例について説明する。この例では、基準データ39は、ヘッド種別、ノズル種別、定荷重制御種別でそれぞれ規定されている。
【0041】
図9(a)は、ヘッド種別基準データの例を示す。この例では、ヘッド種別として「16NH」「8NH」「4NH」が規定されている。図9(b)は、ノズル種別基準データの例を示す。この例では、ノズル種別として低荷重ノズル13Bが規定されている。荷重Fmの異なる複数の低荷重ノズル13Bが使用される場合は、それぞれのノズル種別が規定される。図9(c)は、定荷重制御種別基準データの例を示す。この例では、定荷重制御種別として「1N」「0.9N」「0.8N」「0.7N」「0.6N」「0.5N」が規定されている。
【0042】
各基準データには、種別毎に荷重Fmの「基準値」「警告上限」「警告下限」「上限閾値」「下限閾値」が規定されている。「基準値」は、ノズル13から加えられる荷重Fmの基準値であり、ヘッド種別基準データでは、主に搭載ヘッド11の部品搭載部12が備えるホルダスプリング22のばね定数によって定まる。また、ノズル種別基準データの「基準値」は、主に低荷重ノズル13Bが備えるノズルスプリング13gのばね定数によって定まる。また、定荷重制御種別基準データの「基準値」は、昇降制御部11a(制御部)が昇降モータ12a(昇降手段)をトルク制御する際の目標値である。
【0043】
図9において、この例の定荷重制御種別の「基準値」は、1.0(N)から0.5(N)である。また、ヘッド種別の「基準値」は、1.3(N)から1.5(N)であり、定荷重制御種別の「基準値」よりも大きい。また、ノズル種別の「基準値」は、0.3(N)であり、定荷重制御種別の「基準値」よりも小さい。「上限閾値」と「下限閾値」は、計測された荷重Fmが適正である範囲の上限と下限の閾値である。また、「警告上限」と「警告下限」は、計測された荷重Fmは適正ではあるが、近い将来に荷重Fmが不適正となる可能性がある警告を報知するための基準である。「警告上限」と「警告下限」は、「上限閾値」と「下限閾値」の間に設定される。
【0044】
この例では、「警告上限」「警告下限」「上限閾値」「下限閾値」は、「基準値」に対する比率で規定されている。すなわち、「警告上限」は「基準値」から+15%の値、「警告下限」は「基準値」から-15%の値、「上限閾値」は「基準値」から+20%の値、「下限閾値」は「基準値」から-20%の値となる。なお、「警告上限」「警告下限」「上限閾値」「下限閾値」は比率での規定に限定されることはなく、具体的な荷重Fmの数値で規定してもよい。
【0045】
図7において、ヘッド状態データ40には、搭載ヘッド11毎に搭載ヘッド11の種別、装着されているノズル13の種別、定荷重制御の種別、部品の装着荷重の適否判断の結果などの搭載ヘッド11の状態が識別番号により規定されている。
【0046】
ここで図10を参照して、図3に示す16本ノズルヘッド「16NH」のヘッド状態データ40の例について説明する。ヘッド状態データ40には、搭載ヘッド11が備える部品搭載部12(1)~12(16)の位置を特定する「Pos番号」50、ヘッド種別を特定する「ヘッド」51、ノズル種別を特定する「ノズル」52、定荷重制御種別を特定する「荷重制御」53、部品の装着荷重の適否判断の結果を特定する「判断結果」54がテーブル形式で記憶されている。「ヘッド」51、「ノズル」52、「荷重制御」53、「判断結果」54には、図8に示す識別番号データ38に規定される識別番号が記憶される。
【0047】
図10において、判断結果には、部品の装着荷重の適否判断処理の後に識別番号が入力される。部品の装着荷重の適否判断処理の前は、判断結果は空欄または前回の判断結果が入力されている。「荷重制御」53の「-」は定荷重制御が無しであることを示している。例えば、「Pos番号」50が「1」と「2」は、「ノズル」52が「1」で「荷重制御」53が「-」であり、リジッドノズル13Aが装着され、定荷重制御がされないことが規定されている。また、「Pos番号」50が「3」は、「ノズル」52が「2」で「荷重制御」53が「-」であり、低荷重ノズル13Bが装着され、定荷重制御がされないことが規定されている。また、「Pos番号」50が「4」は、「荷重制御」53が「1」であり、「1N」の定荷重制御がされることが規定されている。
【0048】
図7において、決定部33は、基準データ39とヘッド状態データ40に基づいて、部品の装着荷重の適否判断処理の判断に使用される荷重Fmの閾値を搭載ヘッド11の部品搭載部12(Pos番号)毎に決定する。なお、荷重Fmの閾値の決定は、決定部33が自動的に決定する他、作業者がタッチパネル21などの入力手段から入力するようにしてもよい。
【0049】
ここで、図12に示す閾値決定方法(決定工程)のフローに沿って、図8図10を参照しながら、決定部33による荷重Fmの閾値の決定方法について説明する。決定部33は、搭載ヘッド11が備える複数の部品搭載部12について、順番に荷重Fmの閾値を決定する。例えば、Pos番号の「1」から昇順に決定する。まず決定部33はヘッド状態データ40に基づいて、設定対象の「Pos番号」50の部品搭載部12に装着されたノズル13が低荷重ノズル13Bであるか否かを判断する(ST1)。具体的には、決定部33は、「ノズル」52が低荷重ノズル13Bの識別番号である「2」であるか否かを判断する。
【0050】
ノズル13が低荷重ノズル13Bの場合(ST1においてYes)、決定部33は、定荷重制御の有無にかかわらず、適否判断に使用される閾値を低荷重ノズル13Bの閾値に決定する(ST2)。具体的には、決定部33は、図9(b)に示すノズル種別基準データの低荷重ノズル13Bの「警告上限」「警告下限」「上限閾値」「下限閾値」を適否判断に使用する閾値に決定する。図10の例では、「Pos番号」50が「3」の部品搭載部12は、「ノズル」52が「2」で低荷重ノズル13Bであるため、「荷重制御」53の規定とは無関係に、低荷重ノズル13Bの閾値として図9(b)に示すノズル種別基準データに規定された閾値に決定される。
【0051】
図12において、次いで全てのPosについて閾値の決定が終了していない場合(ST3においてNo)、(ST1)に戻る。ノズル13が低荷重ノズル13Bではない場合(ST1においてNo)、決定部33は、設定対象の部品搭載部12の定荷重制御の有無を判断する(ST4)。具体的には、決定部33は、「荷重制御53」が定荷重制御種別のいずれかの識別番号である「1」~「6」の場合は定荷重制御であると判断し、「-」の場合は定荷重制御では無いと判断する。
【0052】
定荷重制御である場合(ST4においてYes)、適否判断に使用される閾値を定荷重制御の閾値に決定する(ST5)。図10の例では、「Pos番号」50が「4」の部品搭載部12は、「荷重制御」53が「1」で「1N」の定荷重制御が規定されている。そこで、決定部33は、図9(c)に示す定荷重制御種別基準データの「1N」の「警告上限」「警告下限」「上限閾値」「下限閾値」を適否判断に使用する閾値に決定する。次いで全てのPosについて閾値の決定が終了していない場合(ST3においてNo)、(ST1)に戻る。
【0053】
図12において、ノズル13が低荷重ノズル13Bではなく(ST1においてNo)、定荷重制御でもない場合(ST4においてNo)、適否判断に使用される閾値を搭載ヘッドの閾値に決定する(ST6)。図10の例では、「Pos番号」50が「1」と「2」の部品搭載部12は、「荷重制御」53が「-」で定荷重制御ではない。また、「ヘッド」51は、「16NH」の搭載ヘッド11の識別番号である「1」である。そこで、決定部33は、図9(a)に示すヘッド種別基準データの「16NH」の「警告上限」「警告下限」「上限閾値」「下限閾値」を適否判断に使用する閾値に決定する。次いで全てのPosについて閾値の決定が終了していない場合(ST3においてNo)、(ST1)に戻る。
【0054】
このように、決定部33は、ノズル13の種類(ST1)、または、定荷重制御の有無および定荷重制御の種別(制御の態様)(ST4)に基づき、荷重Fmの閾値を決定する(ST2、ST5、ST6)。また、決定部33は、ノズル13が装着された搭載ヘッド11の種類を考慮して、荷重Fmの閾値を決定する(ST6)。これによって、複雑な構成の搭載ヘッド11であっても、部品の装着荷重の適否判断処理において、ノズル13から加えられる荷重Fmの適否を適切に判断することができる。
【0055】
図7において、計測処理部34は、搭載ヘッド11、ヘッド移動機構14、荷重計測部20を制御して、搭載ヘッド11の各部品搭載部12に装着されたノズル13から加えられる荷重Fmを計測させる。具体的には、計測処理部34は、ヘッド移動機構14を制御して、荷重Fmの測定対象である部品搭載部12を荷重計測部20(荷重計測手段)の上方に移動させる。
【0056】
次いで計測処理部34は、ヘッド状態データ40の「荷重制御」53の識別番号に基づいて、定荷重制御の場合は昇降制御部11aにトルク制御を実行させる。計測処理部34は、定荷重制御でない場合は所定のパターンで昇降制御部11aを制御させる。昇降制御部11a(制御部)は、昇降モータ12a(昇降手段)を駆動させて部品搭載部12に装着されたノズル13を下降せて荷重計測部20(荷重計測手段)に当接させる。荷重計測部20は、当接したノズル13から加わる荷重Fmを計測する。計測処理部34は、計測した荷重Fmを、計測対象と計測日時を特定する情報と関連付けて、計測結果データ41として制御記憶部31に記憶させる。すなわち、制御記憶部31は、ノズル13から加えられる荷重Fmを記憶する記憶部である。
【0057】
図7において、判断部35は、荷重計測部20(荷重計測手段)によって計測された荷重Fmと、決定部33によって決定されたノズル13の種類、または、制御の態様に応じた荷重Fmの閾値とを比較して、ノズル13から加えられる荷重Fmが適正か否かを判断する。具体的には、判断部35は、計測された荷重Fmが「警告上限」と「警告下限」の間にある場合は「正常」と判断する。そして、判断部35は、ヘッド状態データ40の計測した「Pos番号」50の「判断結果」54に「1」を入力させる。
【0058】
また、判断部35は、計測された荷重Fmが「上限閾値」と「警告上限」の間、または、「下限閾値」と「警告下限」の間にある場合は「警告」と判断し、「判断結果」54に「2」を入力させる。また、判断部35は、計測された荷重Fmが「上限閾値」より大きい場合、または、「下限閾値」より小さい場合は「異常」と判断し、「判断結果」54に「3」を入力させる。
【0059】
次に図13のフローに沿って、部品搭載装置2(部品搭載システム1)による部品の装着荷重の適否判断方法について説明する。まず、決定部33は、図12に示す閾値決定方法に沿って搭載ヘッド11の各部品搭載部12のノズル13の荷重の閾値を決定する(ST11:決定工程)。次いで、搭載ヘッド11が備える複数の部品搭載部12について、順番に荷重Fmが計測されて、荷重Fmの適否が判断される。すなわち、計測処理部34は、ヘッド状態データ40に基づいて、計測対象の部品搭載部12に装着されたノズル13から加わる荷重Fmを計測させる(ST12:荷重計測工程)。
【0060】
次いで判断部35は、計測された荷重Fmと、ノズル13の種類(「ノズル」52)、または、制御の態様(「荷重制御」53)に応じた荷重Fmの閾値と比較して、ノズル13から加えられる荷重Fmが適正か否かを判断する(ST13:判断工程)。例えば、第1のノズル(リジッドノズル13A)が搭載ヘッド11に装着されている場合には、制御の態様に応じた荷重Fmの閾値と比較して、第1のノズルから加えられる荷重Fmが適正か否かが判断される。また、第1のノズルに比べてノズルから加えられる荷重Fmが小さい第2のノズル(低荷重ノズル13B)が搭載ヘッド11に装着されている場合には、第2のノズルに応じた荷重Fmの閾値と比較して、第2のノズルから加えられる荷重Fmが適正か否かが判断される。
【0061】
図13において、次いで判断部35は判断結果をヘッド状態データ40の「判断結果」54に記録させ、計測処理部34は計測結果を計測結果データ41に記憶させる(ST14:記憶工程)。すなわち、記憶工程(ST14)において、ノズル13から加えられる荷重Fmが記憶される。次いで全ての部品搭載部12(全Pos)に対する部品の装着荷重の適否判断処理が終了していない場合は(ST15においてNo)、次の部品搭載部12に対して荷重計測工程(ST12)、判断工程(ST13)、記憶工程(ST14)が実行される。
【0062】
全ての部品搭載部12に対する処理が終了すると(ST15においてYes)、判断部35は、荷重Fmが不適切な部品搭載部12(Pos番号)が有るか無いかを判断する(ST16)。具体的には、判断部35は、ヘッド状態データ40の「判断結果」54に「3」(異常)がある場合に不適切な部品搭載部12があると判断する。荷重Fmが不適切な部品搭載部12がある場合(ST16においてYes)、すなわち、判断工程(ST13)において判断部35がノズル13から加えられる荷重Fmが不適正と判断すると、判断部35はタッチパネル21にその旨を報知させる(ST17:報知工程)。すなわち、タッチパネル21は、その旨を報知する報知部である。荷重Fmが不適切な部品搭載部12がない場合(ST16においてNo)、全ての処理が終了する。
【0063】
図10に示すヘッド状態データ40の「判断結果」54には、判断部35による判断結果が入力されている。この例では、「Pos番号」50が「5」「10」「15」の「判断結果」54は「2」であり、判断結果は「警告」である。また、「Pos番号」50が「12」の「判断結果」54は「3」であり、判断結果は「異常」である。
【0064】
そこで、判断部35は、タッチパネル21に、「Pos番号が12の部品搭載部は異常であり、直ぐにメンテナンスをすべき」旨を表示させる。その際、判断部35は、ノズル種別と定荷重種別から推定される不具合箇所も表示させる。Pos12にはリジッドノズル13Aが装着され、「0.5N」の定荷重制御がされている。そのため、判断部35は、「昇降モータ、または、ホルダスプリングの状態を確認すべき」旨を表示させる。
【0065】
なお、判断部35は、低荷重ノズル13Bが装着されている場合は「ノズルスプリングの状態を確認すべき」旨を表示させる。また、判断部35は、リジッドノズル13Aが装着されていて定荷重制御がされていない場合は「ホルダスプリングの状態を確認すべき」旨を表示させる。これにより、複雑な構成の搭載ヘッド11であっても、作業者はメンテナンスすべき箇所を容易に知ることができる。なお、判断部35は、判断結果が「警告」である場合に、タッチパネル21に「Pos番号が5、10、15の部品搭載部に不具合の予兆が発見されたため、メンテナンスを手配すべき」旨を表示させてもよい。
【0066】
図7において、結果表示処理部36は、部品の装着荷重の適否判断処理の後などに、制御記憶部31に記憶された計測結果データ41に基づいて、タッチパネル21(表示部)に荷重計測結果画面を表示させる(表示工程)。
【0067】
ここで図11を参照して、タッチパネル21に表示された荷重計測結果画面60の例について説明する。図11(a)において、荷重計測結果画面60には、グラフ表示領域61、横軸切替ボタン62、表示切替タグ63が表示されている。グラフ表示領域61には、計測されたノズル13から加えられる荷重Fmを、時系列を横軸として表示するグラフが表示される。グラフは、ノズル13の種類毎、または、部品搭載部12の定荷重制御の態様毎に表示される。表示切替タグ63が操作されると、表示される計測結果が切り替えられる。また、横軸切替ボタン62が操作されると、グラフ表示領域61に表示されるグラフの横軸が、「計測時刻」と「メンテナンスからの経過時間」との間で切り替えられる。
【0068】
図11(a)は、「定荷重制御(0.5N)」の表示切替タグ63が選択された状態を示している。すなわち、グラフには、図10のヘッド状態データ40において、「ノズル」52がリジッドノズル13Aの「1」で、「荷重制御」53が「0.5N」の「6」である、「Pos番号」50が「10」「11」「12」の部品搭載部12の計測結果が表示されている。
【0069】
グラフには、「上限閾値」「警告上限」「警告下限」「下限閾値」を示すラインが上から順に表示されている。計測された荷重Fmが不連続に減少している位置(例えば、矢印d)では、ノズル13または搭載ヘッド11に対するメンテナンスが行われている。例えば、ホルダスプリング22の劣化により摺動抵抗が徐々に増加して荷重Fmが増加していたPos11が、矢印dで示す時刻にメンテナンスが行われて摺動性が回復することで、不連続に荷重Fmが減少している。
【0070】
また、横軸に示す「本日」の計測時刻に、ノズル13の荷重Fmの計測と適否判断が実施されている。Pos10は、計測された荷重Fmが「上限閾値」と「警告上限」の間にあるため、判断部35により「警告」と判断されている。また、Pos11は、計測された荷重Fmが「警告上限」と「警告下限」の間にあるため、判断部35により「正常」と判断されている。また、Pos12は計測された荷重Fmが「上限閾値」より大きいため、判断部35により「異常」と判断されている。
【0071】
図11(a)は横軸が「計測時刻」の荷重計測結果画面60、図11(b)は横軸が「メンテナンスからの経過時間」の荷重計測結果画面60である。例えば、図11(a)において、Pos11がメンテナンスされた矢印dで示す時刻が、図11(b)における横軸の原点となる。荷重計測結果画面60では、横軸切替ボタン62が操作される度に、横軸が「計測時刻」(図11(a))と「メンテナンスからの経過時間」(図11(b))との間で切り替えられる。
【0072】
このように、タッチパネル21(表示部)は、ノズル13の種類毎(リジッドノズル13A、低荷重ノズル13B)に、または、定荷重制御の態様毎に、ノズル13から加えられる荷重Fmを時系列で表示する(表示工程)。また、図11(b)においてタッチパネル21(表示部)は、ノズル13または搭載ヘッド11に対する直前のメンテナンスの時からの経過時間を時系列として表示する。このように、荷重Fmの計測結果を時系列で表示することにより、搭載ヘッド11のホルダスプリング22や低荷重ノズル13Bのノズルスプリング13gの劣化傾向を容易に把握することができる。
【0073】
上記説明したように、本実施の形態の部品搭載装置2は、部品Dを供給する部品供給部7と、部品供給部7から供給される部品Dをピックアップして基板Pに搭載するノズル13と、ノズル13を昇降させる昇降手段(昇降モータ12a)と、昇降手段を制御する制御部(昇降制御部11a)と、を有する搭載ヘッド11が装着され、昇降手段によって下降するノズル13が当接し、当接したノズルから加わる荷重Fmを部品の装着荷重として計測する荷重計測手段(荷重計測部20)と、荷重計測手段によって計測された荷重Fmと、ノズル13の種類、または、制御の態様に応じた荷重Fmの閾値とを比較して、ノズル13から加えられる荷重Fmが適正か否かを判断する判断部35と、を備えた、部品の装着荷重の適否判断システムである。
【0074】
これによって、複雑な構成の搭載ヘッド11であってもノズル13から加えられる荷重Fmの適否を適切に判断することができる。
【0075】
なお、上記は部品の装着荷重の適否判断システムを部品搭載装置2のみで構成する例で説明したが、部品の装着荷重の適否判断システムはこの構成に限定されることはない。例えば、部品の装着荷重の適否判断システムは、部品搭載装置2と管理コンピュータ4を備える部品搭載システム1で構成してもよい。その場合、管理コンピュータ4は、部品搭載装置2から荷重計測手段によって計測された荷重Fmの計測結果を受信して、管理コンピュータ4が備える判断部35によって、荷重Fmの適否を判断する。また。部品の装着荷重の適否判断システムは、部品搭載装置2から取り外された搭載ヘッド11のメンテナンスを行うヘッドメンテナンス装置で構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の部品の装着荷重の適否判断システムおよび部品の装着荷重の適否判断方法ならびに部品搭載装置は、複雑な構成の搭載ヘッドであってもノズルから加えられる荷重の適否を適切に判断することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 部品搭載システム(部品の装着荷重の適否判断システム)
2 部品搭載装置(部品の装着荷重の適否判断システム)
7 部品供給部
11 搭載ヘッド
12a 昇降モータ(昇降手段)
13 ノズル
13A リジッドノズル(第1のノズル)
13B 低荷重ノズル(第2のノズル)
20 荷重計測部(荷重計測手段)
21 タッチパネル(報知部、表示部)
D 部品
Fm 荷重
P 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13