(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034448
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230306BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230306BHJP
G06Q 30/0217 20230101ALI20230306BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230306BHJP
【FI】
G08G1/00
G08G1/09 F
G06Q30/02 338
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140698
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5L049BB07
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】
様々な状況の車両から幅広く協力を得ることができ、交通量の調整を効果的に促進することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的の1つとしている。
【解決手段】
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、前記対象区間に向かう道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記対象区間に向かう道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記提案部は、前記車両が前記退避後に前記対象区間の少なくとも一部を通行しない迂回を行う場合、当該迂回により前記対象区間中の前記車両が通過しない区間である非通過区間の距離が長い程、高いレベルのインセンティブを付与することを含む前記提案を送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提案部は、前記車両が前記退避後に前記対象区間に進入せずに前記対象区間を前記車両が通過しない時間である非通過時間の長さが長い程、高いレベルのインセンティブを付与することを含む前記提案を送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提案部は、前記対象区間に向かう道路上の所定の区間を走行中の車両と共に移動する端末装置に前記提案を送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象区間に向かう道路上を走行中の車両の経路情報を取得する経路取得部を有し、
前記提案部は、前記経路情報に基づいて、走行予定の経路に前記対象区間が含まれる車両と共に移動する端末装置に前記提案を送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提案部が前記提案を送信した端末装置と共に移動する車両のうち前記道路上から退避した車両について付与すべき前記インセンティブのレベルを算出するインセンティブ算出部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提案を送信した端末装置と共に移動する車両が前記道路上から退避した時刻又は出口の位置を示す退避情報及び当該退避した車両が再び前記道路上に進入した時刻又は入口の位置を示す進入情報を取得し、前記退避情報及び前記進入情報に基づいて、前記車両の退避の態様を特定し、前記車両について付与すべき前記インセンティブのレベルを算出するインセンティブ算出部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提案部が前記提案を送信した端末装置から前記提案を受諾して1の退避の態様によって前記退避を行うことを示す応答を受け付ける受諾受付部を有し、
前記インセンティブ算出部は、前記応答に基づいて当該応答を送信した端末装置と共に移動する車両について付与すべき前記インセンティブのレベルを算出することを特徴とする請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提案部は、前記提案に応じて退避を行う車両の台数が前記交通情報に基づいて決まる所定の台数に達した場合に前記提案の送信を停止することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記提案部は、前記提案の送信を停止する際に、前記提案を受信した後に承諾を示す応答をしていない車両に対し前記提案を取り消す旨の情報を送信することを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、
前記対象区間に向かう道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案送信ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、
前記対象区間に向かう道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案送信ステップと、
を実行させるための情報処理プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理プログラムを格納し、コンピュータが読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体に関し、特に、車両と共に移動する端末装置との間で通信を行って交通量の調整に関する情報の処理を行う情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
交通渋滞を緩和するなどの、交通状況を改善するための技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、希望車からの要求に応じて迂回候補車が迂回経路を走行した場合、希望車側から迂回候補車側に対してインセンティブを付与する付与手段を備える交通流分散装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1の交通流分散装置を用いて交通量の調整をしようする場合、迂回候補者に対して、迂回経路を走行するという特定の態様での運転行動を要求することになる。しかし、実際には、交通量の調整に効果のある運転行動には様々な態様があり、車両毎の状況によって対応可能な運転行動の態様が異なる場合もある。従って、要求された迂回経路の走行には応じることができなくても、他の態様で協力できる車両も存在する可能性がある。このような、特定の態様ではない態様で協力が可能な車両からは協力を得ることができず、交通量の調整を効果的に促進できないことが課題の1つとして挙げられる。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、様々な状況の車両から幅広く協力を得ることができ、交通量の調整を効果的に促進することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、前記対象区間に向かう道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案部と、を有する。
【0008】
請求項11に記載の発明は、情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、前記対象区間に向かう道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案送信ステップと、を含む。
【0009】
請求項12に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、前記対象区間に向かう道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案送信ステップと、を実行させるための情報処理プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1に係る情報処理システム100を示す図である。
【
図2】実施例1に係る情報処理システム100による交通量の調整について説明する説明図である。
【
図3】実施例1に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】実施例1に係るインセンティブ情報の一例を示す図である。
【
図5】実施例1に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】実施例1に係る情報処理装置が提案を送信する際に実行するルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施例1に係る提案情報に含まれる情報の一例を示す図である。
【
図8】実施例1に係る提案が表示された表示画面の一例を示す図である。
【
図9】実施例1に係る情報処理装置がインセンティブの付与のための情報を生成する際に実行するルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施例1に係る情報処理装置が提案を送信する際に実行するルーチンの変形例を示すフローチャートである。
【
図11】実施例1に係る情報処理装置がインセンティブの付与のための情報を生成する際に実行するルーチンの変形例を示すフローチャートである。
【
図12】実施例2に係るインセンティブ情報の一例を示す図である。
【
図13】実施例2に係る提案情報に含まれる情報の一例を示す図である。
【
図14】実施例2に係る提案が表示された表示画面の一例を示す図である。
【
図15】実施例2に係る情報処理装置がインセンティブの付与のための情報を生成する際に実行するルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0012】
図1~
図5を参照しつつ、実施例に係る情報処理装置10を含む情報処理システム100の構成について説明する。
【0013】
図1は、実施例1に係る情報処理システム100の構成を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム100は、情報処理装置10、複数の端末装置20、及び管理サーバ50を含んで構成されている。情報処理装置10は、複数の車両Mにそれぞれ搭載されている端末装置20との間でネットワークNWを介して通信を行うサーバ装置である。なお、情報処理装置10、及び管理サーバ50は、一体の装置として構成されてもよい。
【0014】
情報処理装置10は、道路上で交通渋滞が生じている場合等の交通量の調整が必要な場面において、当該道路上を走行している所定の車両に対して、インセンティブの付与と引き換えに道路上からの退避を促すための提案を示す提案情報を端末装置20に送信する。端末装置20は、情報処理装置10から提案情報を受信して車両Mの乗員に提示する。
【0015】
端末装置20は、複数の車両M内にそれぞれ存在し、車両と共に移動する端末装置である。端末装置20は、例えばタッチパネルディスプレイを備えており、情報処理装置10から受信する提案情報が示す提案をディスプレイに表示する。
【0016】
本実施例において、端末装置20は、車両に搭載されている車載装置である。なお、端末装置20は、車載装置に限られず、例えばスマートフォン等の車両の乗員が携帯する端末装置であってもよい。
【0017】
管理サーバ50は、インセンティブの付与に関する管理を行うサーバ装置である。管理サーバ50は、情報処理装置10から登録車両の乗員に対して付与すべきインセンティブを示す情報を受信して、インセンティブを付与するための情報処理を行う。
【0018】
例えば、管理サーバ50は、有料道路の料金の徴収に関する管理を行うサーバである。また、例えば、管理サーバ50は、ポイントサービスを運営する企業におけるポイントの付与に関する管理を行うサーバ装置である。
【0019】
情報処理装置10と端末装置20と管理サーバ50とは、ネットワークNWを介して、例えば、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。端末装置20とネットワークNWとの接続は、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信によりなされ得る。
【0020】
本実施例において、複数の端末装置20が、情報処理装置10に予め登録されている登録端末である場合について説明する。また、本実施例において、登録端末としての端末装置20が搭載されている車両M、すなわち端末装置20と共に移動する車両Mを登録車両とも称する。
【0021】
情報処理装置10が送信する提案情報は、道路上の交通渋滞が生じている区間等の交通を調整すべき区間である対象区間に向かう道路上を走行中の登録車両が、当該区間の少なくとも一部を通行することを避けるように道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を示す。
【0022】
なお、上記対象区間の一部のみを通ることを避けることが可能である場合は、例えば、対象区間が高速道路中にあり、対象区間内にインターチェンジがある場合である。対象区間に進入する前のインターチェンジで高速道路上から退出し、対象区間内のインターチェンジで進入することで、対象区間の一部の通過を回避することが出来る。また、対象区間内のインターチェンジで退出すれば、対象区間のうち当該インターチェンジよりも下流の部分の通過を回避することが出来る。
【0023】
なお、説明するまでもないが、対象区間全部の通過を回避する場合とは、例えば、車両Mが対象区間に進入する前のインターチェンジで高速道路上から退出し、対象区間の下流のインターチェンジから進入する場合である。
【0024】
以下の説明において、隣り合う各インターチェンジ間の区間、すなわち通行を回避する区間の単位となり得る区間のそれぞれを道路区間と定義して説明する。
【0025】
上記のインセンティブは、例えば、有料道路の料金の割引である。また、当該インセンティブは例えば、所定の企業が運営するポイントサービスにおけるポイントである。
【0026】
退避の態様に応じたレベルのインセンティブは、例えば、車両が道路上から退避した後迂回する場合、対象区間のうち当該車両が通過しない区間の長さに応じた金額の割引又は当該区間の長さに応じた数のポイントである。
【0027】
また、退避の態様に応じたレベルのインセンティブは、例えば、車両が道路上から退避した後、対象区間を通過しない時間の長さに応じた金額の割引又は当該時間の長さに応じた数のポイントである。
【0028】
例えば、登録車両の乗員は、端末装置20によって提案情報が提示されると、道路上から退避するか否か及びどのような態様で退避するかについて、提示された提案情報が示すインセンティブ付与の条件を考慮して判断することができる。
【0029】
このように、情報処理システム100は、情報処理装置10から送信される提案情報によって登録車両の乗員の道路上からの退避を促し、交通量の調整を図るシステムである。
【0030】
図2は、実施例1に係る情報処理システム100による交通量の調整について説明する説明図である。
図2中のMLは、情報処理システム100の管理下にある高速道路の図中の左方向を進行方向とする本線を示している。
【0031】
図2中のCSは、本線MLにおける交通量の調整をすべき区間、すなわち交通量の調整の対象となる区間である対象区間を示している。
図2は、対象区間CSを渋滞が生じている区間として示している。なお、対象区間CSは、渋滞が予測される区間を含んでいてもよく、渋滞が予測される区間のみからなる区間であってもよい。
【0032】
図2に示すように、対象区間CSよりも上流側に出口インターチェンジIC(以下、単に出口ICとも称する)が存在する。
図2中のPSは、出口ICよりも上流側の所定の区間である所定区間PSを示している。
【0033】
所定区間PSは、例えば、対象区間CSの直前に位置する出口ICと、もう一つ前の出口ICとの間の道路区間である。所定区間PSはこれに限られず、例えば、対象区間CSの直前の出口ICを含む2つ以上の道路区間であってもよい。また、例えば、所定区間PSは、対象区間CSの2つ前の出口ICの位置を基準に決められてもよい。
【0034】
例えば、所定区間PSは、対象区間CSの直前に位置する出口ICから1~2km手前の位置から本線MLの進行方向とは逆方向(図中、右方向)に数km~十数kmに亘って伸長している区間である。
【0035】
図2に示すように、複数の車両Mは、本線ML上の対象区間CSよりも上流側の所定区間PSを対象区間CSに向かって走行中である。情報処理装置10は、所定区間PSを走行中の、車両Mと共に移動する端末装置20に提案情報を送信する。
【0036】
このように、情報処理装置10は、所定区間PSを走行中の登録車両である車両Mを対象に、提案情報を送信する。例えば、提案情報が示す提案に応じて本線ML上から退避する登録車両は、対象区間CSの直前に位置する出口ICから退避することができる。
【0037】
図3は、情報処理装置10の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理装置10は、システムバス11を介して各部が接続されて構成されている。
【0038】
大容量記憶装置13は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成された記憶装置である。大容量記憶装置13は、情報処理装置10において実行される各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されてもよく、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれてもよい。例えば、大容量記憶装置13は、情報処理装置10によって、端末装置20に道路上からの退避に関する提案が送信される際に実行される情報処理プログラムを記憶する。
【0039】
大容量記憶装置13は、各種プログラムを実行するために必要なデータが格納されたデータベースを記憶している。
【0040】
大容量記憶装置13は、登録情報データベース(以下、登録情報DBと称する)13Aを含む。登録情報DB13Aには、端末装置20の各々を宛先として情報を送信するために必要な情報が記憶されている。登録情報DB13Aには、例えば、端末装置20の識別子と、その端末装置20が搭載されている車両の識別子とが対応付けられて記憶されている。
【0041】
端末装置20の識別子は、例えばMACアドレス等の、端末装置20に宛てて情報を送信するために必要な識別子である。車両の識別子は、例えば、自動車登録番号(いわゆる車両ナンバー)や車台番号等又はETC車載機のID等の、端末装置20の識別子とは別の識別子でありかつ車両Mを特定可能な識別子である。
【0042】
また、大容量記憶装置13は、インセンティブ情報データベース(以下、インセンティブ情報DBと称する)13Bを含む。インセンティブ情報DB13Bには、情報処理装置10が提案情報を生成する際に、車両の道路上からの退避の態様に応じたインセンティブを設定するために必要なインセンティブ情報が記憶されている。
【0043】
図4は、インセンティブ情報DB13Bに記憶されているインセンティブ情報の一例であるインセンティブ表TB1を示す図である。インセンティブ表TB1は、車両Mが本線MLから退避した後、対象区間CSの少なくとも一部を通行しない迂回を行う場合についてのインセンティブの設定基準を規定している。
【0044】
車両Mが当該迂回を行うと、対象区間CS中、車両Mが通過しない非通過区間が生じる。本実施例においては、この非通過区間の距離が長い程、渋滞が緩和され易くなるとする。すなわち、非通過区間の距離が長い程、当該迂回による交通量の調整の効果が高いとする。従って、本実施例において、非通過区間が長い程、高いレベルのインセンティブが設定される。
【0045】
図4に示すように、インセンティブ表TB1には、非通過区間の距離の長さが「迂回距離D」として表されている。インセンティブ表TB1において、迂回距離Dと、インセンティブのレベルが対応付けられている。インセンティブ表TB1において、インセンティブのレベルは、所定の企業が運営するポイントサービス、すなわちポイントプログラムにおけるポイント数によって規定されている。
【0046】
図4に示すように、インセンティブ表TB1において、迂回距離Dが長い程、大きいポイント数が対応付けられている。具体的には、インセンティブ表TB1において、迂回距離Dが5km未満までは100ポイント、迂回距離Dが5km以上10km未満の場合は200ポイント、迂回距離Dが10km以上の場合は300ポイントが対応付けられている。
【0047】
情報処理装置10は、インセンティブ表TB1に基づいて、迂回距離Dに応じて付与するポイント数を示す情報を含む提案情報を生成する。例えば、情報処理装置10は、インセンティブ表TB1に基づいて、車両Mが本線ML上から退避した後に迂回した場合の非通過区間の距離が長い程、高いレベルのインセンティブを付与するという提案を示す提案情報を生成する。
【0048】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)15A、ROM(Read Only Memory)15B、RAM(Random Access Memory)15C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU15Aが、ROM15Bや大容量記憶装置13に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0049】
制御部15は、大容量記憶装置13に記憶された情報処理プログラムを読み出して実行することで、提案情報を作成して端末装置20に送信する。
【0050】
当該情報処理プログラムの実行において、制御部15は、日本道路交通情報センター(登録商標)(JARTIC(登録商標))や道路交通情報通信システム(VICS(登録商標))センター等の、有料道路や一般道の交通情報の収集及び提供を行う施設(以下、「道路交通情報センター」とも称する)から交通情報を取得する。また、当該情報処理プログラムの実行において、制御部15は、大容量記憶装置13のインセンティブ情報DBからインセンティブ情報を読み出して、交通情報及びインセンティブ情報に基づいて、提案情報を生成する。
【0051】
通信部17は、無線装置(図示せず)に接続されているNIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタである。通信部17は、制御部15からの命令に従って、情報処理装置10と外部との通信を行う。
【0052】
例えば、通信部17は、情報処理装置10が対象区間を示す情報を含む交通情報を道路交通情報センター等から受信する際の通信を行う。制御部15は、通信部17を介して交通情報を取得する交通情報取得ステップを実行する交通情報取得部として機能する。
【0053】
また、通信部17は、情報処理装置10が端末装置20に提案情報を送信する際の通信を行う。制御部15は、通信部17を介して提案情報を送信する提案送信ステップを実行する提案部として機能する。
【0054】
また、制御部15は、通信部17を介して、予め登録されている端末装置20の位置情報を取得する。本実施例において、制御部15は、端末装置20との接続がなされている間、常時車両Mの位置情報を取得する。なお、情報処理装置10の他に車両の位置情報を収集する位置情報収集サーバが存在し、制御部15は、当該位置情報収集サーバから車両Mの識別子と車両Mの位置とが紐づけられた情報を取得することとしてもよい。
【0055】
制御部15は、通信部17を介して、端末装置20から車両Mの経路情報を取得する経路取得部として機能する。当該経路情報は、例えば、端末装置20において生成されたものであるか又は端末装置20に接続されているカーナビゲーション装置から取得されたものでもよい。
【0056】
さらに、制御部15は、通信部17を介して、ETCゲートを車両が通過する際に取得される車両ID及び出入りの時刻を示す情報をETCゲートから受信してもよい。
【0057】
制御部15は、通信部17を介して、提案情報を受信した端末装置20から、提案に応じることを示す受諾を受け付けてもよい。その場合、制御部15は、提案を受諾して退避を行うことを示す応答を受け付ける受諾受付部として機能する。当該受諾を示す応答には、対象区間の一部を迂回するまたは全部を迂回する等の退避の態様を示す情報が含まれていてもよい。
【0058】
また、制御部15は、例えば、提案情報を受信した端末装置20と共に移動する車両Mが本線ML上から退避した場合に、付与すべきインセンティブを示すインセンティブ付与情報を生成する。制御部15は、例えば、車両Mが本線ML上から退避した後、再び本線MLに進入した場合にインセンティブ付与情報を生成してもよい。
【0059】
また、制御部15は、通信部17を介して取得した交通情報に基づいて、提案に応じて本線ML上から退避してもらう車両の目標台数を設定してもよい。
【0060】
図5は、端末装置20の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、情報処理装置10は、システムバス21を介して各部が接続されて構成されている。本実施例において、端末装置20は、経路生成機能及びナビゲーション機能(いわゆるカーナビゲーション機能)を有する。なお、端末装置20自体はカーナビゲーション機能を有さなくてもよい。その場合は、端末装置20は車両Mに搭載されているカーナビゲーション装置に経路情報を取得可能に接続されていてもよい。
【0061】
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)23A、ROM(Read Only Memory)23B及びRAM(Random Access Memory)23Cを含み、端末装置20の動作の制御を行うコンピュータである。制御部23において、CPU23Aが、ROM23B等に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0062】
例えば、制御部23は、車両Mの走行経路の探索を行う。また、例えば、制御部23は、情報処理装置10から提案情報を受信し、表示又は音声によって当該提案情報を車両Mの乗員に提示する。
【0063】
通信部25は、無線装置(図示せず)に接続されているNIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタである。通信部25は、制御部23からの命令に従って、情報処理装置10及びその他の外部装置との通信を行う。例えば、通信部25は、端末装置20が提案情報を受信する際の通信を行う。
【0064】
出力部27は、車両Mに備えられたタッチパネルディスプレイ29のディスプレイ及びスピーカ31に接続されている。出力部27は、制御部23からの命令に従って、ディスプレイ及びスピーカ31に各種情報を供給するインターフェースである。
【0065】
出力部27は、例えば、制御部23が通信部25を介して受信した提案情報をディスプレイに供給する。言い換えれば、制御部23は、出力部27を介して提案情報をディスプレイに表示させる。出力部27は、例えば、提案情報をスピーカ31に供給してもよい。
【0066】
入力部33は、車両Mに備えられている機器からデータを取得するインターフェースである。入力部33は、車両Mに備えられているマイク35、タッチパネルディスプレイ29のタッチパネルに接続されている。
【0067】
また、入力部33は、タッチパネルを介した入力を受け付けることで、提案情報に関する車両Mの乗員からの選択入力を受け付ける。例えば、提案情報が示す対象区間CSを迂回することの提案に対して、迂回を承諾する旨の選択、迂回を承諾しない旨の選択、又は迂回する区間の選択を受け付ける。
【0068】
また、入力部33は、GPS受信機37に接続されている。入力部33は、GPS受信機37から車両Mの位置を示すデータを取得する。車両Mの位置を示すデータは、経路探索又は経路案内のための現在位置の取得に用いられる。また、取得された車両Mの現在位置は、情報処理装置10に送信され、情報処理装置10における提案情報の送信先の決定等の処理に用いられる。
【0069】
記憶部39は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成された記憶装置である。記憶部39は、端末装置20において実行される各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されてもよく、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれてもよい。例えば、記憶部39は、端末装置20において実行される表示生成プログラムを記憶する。
【0070】
また、記憶部39は、地図情報データベース(以下、地図情報DBと称する)37Aを記憶している。地図情報DB37Aには、端末装置20による経路探索のために用いられる地図情報が格納されている。
【0071】
図6~
図11を参照しつつ、本実施例における情報処理システム100において実行される情報処理について説明する。
【0072】
図6は、情報処理装置10の制御部15によって実行されるルーチンの一例である提案送信ルーチンRT1を示すフローチャートである。制御部15は、例えば、情報処理装置10に電源が投入されると交通情報の取得を開始する。例えば、制御部15は、交通情報の取得を開始すると、提案送信ルーチンRT1を開始する。
【0073】
制御部15は、提案送信ルーチンRT1を開始すると、交通情報に基づいて、交通量の調整をすべき区間である対象区間が存在するか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101において、例えば、制御部15は、道路交通情報センターから受信した交通状況を示す情報に基づいて、対象区間CSが存在するか否かを判定する。
【0074】
対象区間CSが存在するか否かの判定は、例えば、道路交通情報センターから受信した情報に渋滞が発生している区間である渋滞区間の存在を示す情報が含まれているか、または渋滞が発生することが予想される渋滞発生予想区間が含まれているか否かでなされてもよい。その場合は、例えば、道路交通情報センターから受信した情報に示される渋滞区間または渋滞発生予想区間が対象区間CSとして特定される。
【0075】
また、対象区間CSが存在するか否かの判定は、例えば、道路交通情報センターから受信した情報、例えば交通量または交通流の情報等に基づいて、渋滞が発生している渋滞区間または渋滞が発生されることが予想される渋滞発生予想区間が特定されるか否かでなされてもよい。
【0076】
制御部15は、ステップS101において、対象区間が存在すると判定する(ステップS101:YES)と、当該対象区間に向かう所定区間を走行中の車両Mを抽出する(ステップS102)。ステップS102において、例えば
図2において説明したように、対象区間CSの上流側の直前に位置するインターチェンジと、もう1つ手前のインターチェンジとの間の所定の区間内を走行中の車両Mを抽出する。
【0077】
ステップS102において、例えば、制御部15は、登録情報DB13Aに登録されている登録車両である車両Mの位置情報を取得し、所定区間を走行中の車両Mを抽出する。
【0078】
なお、制御部15は、ステップS101において、対象区間が存在すると判定した場合(ステップS101:YES)、対象区間についての交通量の調整のために本線MLから退避する車両の台数の目標値を設定してもよい。また、例えば、当該台数の目標値は、対象区間CSの長さ又は1の車両が当該対象区間CSを通過する際の所要時間等の交通状況に基づいて設定されてもよい。例えば、当該台数の目標値は、現在の交通状況に加えて、過去の渋滞緩和の際のデータを蓄積した統計データに基づいて設定されてもよい。
【0079】
制御部15は、ステップS102の実行後、抽出された登録車両の経路情報を取得する(ステップS103)。ステップS103において、例えば、制御部15は、通信部17を介して、経路情報の送信を求める要求を、抽出された登録車両と共に移動する端末装置20に送信し、端末装置20から経路情報を取得する。ステップS103において、制御部15は、対象区間に向かう道路上を走行中の車両の経路情報を取得する経路取得部として機能する。
【0080】
例えば、端末装置20は、端末装置20において生成された経路情報又は車両Mに搭載されているカーナビゲーション装置から経路情報を取得し、当該取得した経路情報を上記要求への応答として制御部15に送信する。
【0081】
制御部15は、ステップS103の実行後、ステップS103において取得した経路情報に基づいて、走行予定の経路に対象区間CSが含まれる登録車両を抽出する(ステップS104)。
【0082】
ステップS104において、例えば、走行予定の経路が、対象区間CSの少なくとも一部と重複する車両が抽出される。ステップS104において抽出された車両は、情報処理装置10が提案を送信する対象の車両となる。以下の説明において、当該抽出された車両を対象車両とも称する。
【0083】
制御部15は、ステップS104の実行後、本線MLからの退避をすると、退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を示す提案情報を生成する(ステップS105)。ステップS105において、例えば、本線MLから退避後に対象区間CSの少なくとも一部を通行しない迂回を行う場合、当該迂回により車両が通過しない対象区間CS中の区間である非通過区間の距離が長い程、高いレベルのインセンティブを付与することを含む提案を示す情報が生成される。
【0084】
図4に、インセンティブの設定に用いられる表であるインセンティブ表TB1を示す。ステップS105において、制御部15は、例えば
図4に示したような、インセンティブの設定の基準となるインセンティブ表に示される情報をインセンティブ情報DB13Bから読み出す。制御部15は、当該インセンティブ表に示される情報と、対象区間CSを示す交通情報とに基づいて、非通過区間の距離に応じたインセンティブを設定して提案情報を生成する。
【0085】
具体的には、例えば、制御部15は、交通情報に基づいて、渋滞が生じている道路上の区間を特定して対象区間CSとして特定する。その後、制御部15は、対象区間CSに複数の道路区間が含まれる場合には、一部の区間を迂回する場合及び全ての区間を迂回する場合のそれぞれについて、インセンティブ表に示される情報に基づいて、迂回する距離の長さに応じたインセンティブを設定する。
【0086】
図7は、ステップS105において生成される提案情報に含まれる情報の一例である提案OF1を示す図である。
図7に示すように、提案OF1において、本線ML上の区間を特定する情報と、区間の距離を示す情報と、区間毎に付与するインセンティブのレベルとが対応付けられている。提案OF1は、区間を特定する情報として、区間ID及びインターチェンジの位置を用いて表した区間を含む。また、提案OF1は、インセンティブのレベルを示す情報として、ポイント数を示す情報を含む。
【0087】
図7に示す例においては、対象区間が区間A及び区間Bの2つの区間を含む。
図7において、A区間のみを迂回した場合、B区間のみを迂回した場合、及びA区間及びB区間を迂回した場合のそれぞれについて、
図4に示したインセンティブ表に示される情報に基づいて、迂回する距離に応じたポイント数が設定されている。
【0088】
制御部15は、ステップS105の実行後、提案情報を対象車両と共に移動する端末に送信する(ステップS106)。ステップS106において、制御部15は、ステップS104において抽出した対象車両と共に移動する端末装置20の各々を宛先として、ステップS105において生成した提案情報を送信する。
【0089】
制御部15は、ステップS101において対象区間が含まれないと判定した場合(ステップS101:NO)又はステップS106の実行後、提案送信ルーチンRT1を終了し、提案送信ルーチンRT1を新たに開始する。
【0090】
例えば、制御部15は、ステップS101において退避する車両の台数の目標値を設定していた場合には、送信した提案に応じて迂回する車両の台数が目標値に達するまで提案送信ルーチンRT1を繰り返してもよい。例えば、提案に応じて迂回する車両の台数については、提案に対する受諾を受け付けて、受諾数を計数することによって取得してもよい。
【0091】
また、送信した提案に応じて迂回する車両の台数が目標値に達した場合には、提案の送信を停止し、提案を受信した後に承諾を示す応答をしていない車両に対し提案を取り消す旨の情報を送信してもよい。
【0092】
図8は、端末装置20が、提案送信ルーチンRT1のステップS106において情報処理装置10から送信された提案情報を受信した際に、タッチパネルディスプレイ29のディスプレイに表示される提案情報の表示の態様の一例を示す図である。
【0093】
図8に示すように、画面の一部の領域に自車両の現在位置を示す地図が表示されている。画面の地図以外の領域には、提案の内容を車両の乗員に提示するメッセージが表示されている。
【0094】
図8の例においては、本線ML上からの退避の態様に応じたレベルのインセンティブとして、対象区間のうち迂回する距離が長いほど多くのポイントを付与するという提案内容が表示されている。また、提案内容と併せて、提案にどのように応じるかを入力するための選択ボタンが表示されている。
【0095】
図8の例において、具体的には、渋滞が発生している区間が「〇〇IC~△△IC間」であることを示し、かつ、この区間を迂回して渋滞緩和に協力すると迂回した距離が長い程多くのポイントが付与されるという条件及び具体的な区間毎のポイント数を提示している。
【0096】
端末装置20は、例えば、選択ボタン及び送信ボタンが押されることによって応答操作が行われると、応答情報を生成して情報処理装置10に送信する。応答情報には、例えば、迂回を受諾した区間又は迂回をしない旨の応答を示す情報が含まれる。
【0097】
図9は、提案情報の送信後に情報処理装置10の制御部15によって実行されるルーチンの一例であるインセンティブ付与ルーチンRT2を示すフローチャートである。
【0098】
制御部15は、インセンティブ付与ルーチンRT2を開始すると、提案情報を受信した登録車両が本線MLから退避したことを示す退避情報の受信を一定時間待機する(ステップS201)。
【0099】
ステップS201において、例えば、制御部15は、提案情報を受信した対象車両が出口ICのETC(以下、単に出口ETCとも称する)ゲートを通過した位置及び時刻を示す情報の受信を待機する。
【0100】
ステップS201において、例えば、制御部15は、提案情報を受信した対象車両のうち、迂回について受諾する旨の応答を行った車両についての退避情報のみを待機しても良い。
【0101】
制御部15は、ステップS201の実行後、退避情報を受信したか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202において、例えば、制御部15は、提案情報を受信した対象車両の識別子(例えば、ETC車載機ID)を含む情報について、出口ETCゲートから通信部17を介して受信すると、退避情報を受信したと判定する。また、ステップS201において、例えば、制御部15は、位置情報に基づいて、本線MLから退避したことを判定することで、退避情報を取得してもよい。
【0102】
ステップS202において、退避情報を受信したと判定する(ステップS202:YES)と、制御部15は、当該退避情報に係る対象車両に対して付与すべきインセンティブのレベルを算出する(ステップS203)。本ステップにおいて、制御部15は、本線MLから退避した車両について付与すべきインセンティブのレベルを算出するインセンティブ算出部として機能する。
【0103】
ステップS203において、例えば、制御部15は、対象車両の退避情報と、提案送信ルーチンRT1のステップS103において取得していた経路情報とに基づいて、当該対象車両に対して付与すべきポイント数又は適用すべき割引額を算出する。
【0104】
例えば、対象区間CSが、当該対象車両の走行予定の経路と重複していた場合に、当該対象区間CSよりも上流側の位置で本線MLから退出すると、当該対象区間CSの全部を迂回したとみなして対象区間CSの全部の長さを迂回した距離を特定し、当該距離に応じたインセンティブを算出する。
【0105】
または、ステップS203において、例えば、制御部15は、対象車両からの迂回について受諾する旨の応答を受信した場合に、当該応答が示す迂回区間と、ステップS202において受信した退避情報とに基づいて、実際の迂回した区間の距離を特定し、当該距離に応じたインセンティブを算出してもよい。
【0106】
制御部15は、ステップS203の実行後、ステップS203において算出したインセンティブのレベルを示すインセンティブ付与情報を生成する(ステップS204)。
【0107】
制御部15は、ステップS204の実行後、インセンティブ付与情報を、インセンティブに関する管理を行うサーバ装置に送信する(ステップS205)。ステップS205において、例えば、制御部15は、有料道路の料金の支払いに関する管理を行うサーバ装置にインセンティブ付与情報を送信する。また、ステップS205において、例えば、制御部15は、ポイントサービスを運営する企業におけるポイントを管理する管理サーバ50にインセンティブ付与情報を送信する。
【0108】
制御部15は、ステップS202において退避情報を受信していないと判定した場合(ステップS202:NO)又はステップS205の実行後、インセンティブ付与ルーチンRT2を終了し、インセンティブ付与ルーチンRT2を新たに開始する。制御部15は、例えば、インセンティブ付与ルーチンRT2を例えば所定時間が経過するまで繰り返す。
【0109】
図10は、情報処理装置10の制御部15によって実行される提案送信ルーチンRT1(
図6参照)の変形例である提案送信ルーチンRT3を示すフローチャートである。
【0110】
提案送信ルーチンRT3は、提案送信ルーチンRT1と比較して、所定区間PSを走行中の登録車両の経路情報を取得するステップ(ステップS103)及び走行予定の経路に対象区間が含まれる対象車両を抽出するステップ(ステップS104)を含まない点においてのみ異なり、その他のステップについては同様である。
【0111】
図10に示すように、制御部15は、ステップS302において対象区間CSに向かう所定区間PSを走行中の登録車両を抽出すると、ステップS303において、交通情報及びインセンティブ情報に基づいて、提案情報を生成する。
【0112】
制御部15は、ステップS303の実行後、S302において抽出された登録車両を対象車両として、当該対象車両と共に移動する端末装置20に提案情報を送信する(ステップS304)。つまり、提案送信ルーチンRT3では、所定区間PSを走行中の登録車両は全て対象車両となる。すなわち、提案送信ルーチンRT3では、所定区間PSを走行中のすべての登録車両に対して提案情報が送信される。
【0113】
図11は、提案情報の送信後に情報処理装置10の制御部15によって実行されるインセンティブ付与ルーチンRT2(
図9参照)の変形例であるインセンティブ付与ルーチンRT4を示すフローチャートである。
【0114】
インセンティブ付与ルーチンRT4は、インセンティブ付与ルーチンRT2と比較して、本線MLから退避した車両の進入情報を待機するステップ(ステップS403)及び当該進入情報を受信したか否かを判定するステップ(ステップS404)を含む点において異なり、その他のステップについては同様である。
【0115】
図11に示すように、制御部15は、インセンティブ付与ルーチンRT4を開始すると、提案情報を受信した登録車両が本線MLから退避したことを示す退避情報の受信を一定時間待機(ステップS401)し、退避情報を受信したか否かを判定する(ステップS402)。
【0116】
制御部15は、ステップS402において、退避情報を受信したと判定する(ステップS402:YES)と、当該退避情報によって本線MLから退避したことが確認された登録車両が、再び本線MLに進入したことを示す進入情報の受信を所定時間待機する(ステップS403)。
【0117】
ステップS403において、例えば、制御部15は、ステップS402において取得された退避情報に含まれる車両IDについて、入口ICのETCゲート(以下、単に入口ETCとも称する)を通過した位置及び時刻を示す情報を待機する。
【0118】
当該入口ETCを通過した位置を示す情報は、例えば、地図上の位置を示す情報又は料金所番号であってもよく、料金所名称を含む情報であってもよい。当該入口ETCを通過した位置を示す情報は、当該登録車両が再び進入した際の本線ML上の位置を特定可能な情報であればよい。
【0119】
制御部15は、ステップS403の実行後、退避した車両の進入情報を受信したか否かを判定する(ステップS404)。ステップS404において、進入情報を受信したと判定する(ステップS404:YES)と、制御部15は、再び進入した登録車両に対して付与すべきインセンティブのレベルを算出する(ステップS405)。
【0120】
ステップS405において、例えば、制御部15は、ステップS402において受信した退避情報と、ステップS404において受信した進入情報とに基づいて、対象区間CS中の、当該再び進入した車両Mが通過しなかった非通過区間の距離を特定する。すなわち、制御部15は、当該車両Mについての、「○○km迂回した」という退避の態様を特定する。
【0121】
ステップS405において、制御部15は、特定した退避の態様に応じたインセンティブのレベルを算出する。ステップS405において、例えば、インセンティブ表に示される情報に基づいてインセンティブが算出される。
【0122】
ステップS405において、例えば、非通過区間の距離に応じたポイント数が算出される。また、ステップS405において、例えば、高速道路の料金の割引についての非通過区間の距離に応じた金額が算出される。当該料金の割引として、例えば、本線MLに再び進入した際の料金の払い戻しがなされてもよく、本線MLを次回走行時に割引がなされてもよい。
【0123】
制御部15は、ステップS405の実行後、ステップS405において選出したインセンティブのレベルを示すインセンティブ付与情報を生成する(ステップS406)。ステップS406において、例えば、制御部15は、再び進入した車両Mの識別子又は当該車両Mと共に移動する端末装置20の識別子に当該車両Mに対して付与すべきポイント数を示す情報を対応付けてインセンティブ付与情報を生成する。
【0124】
制御部15は、ステップS406の実行後、インセンティブ付与情報を、インセンティブに関する管理を行うサーバ装置に送信する(ステップS407)。ステップS407において、例えば、制御部15は、有料道路の料金の支払いに関する管理を行うサーバ装置又はポイントサービスを運営する企業におけるポイントを管理する管理サーバ50にインセンティブ付与情報を送信する。
【0125】
制御部15は、ステップS402において退避情報を受信していないと判定した場合(ステップS402:NO)、ステップS404において予め設定された時間、すなわち、ステップS403において待機する所定時間が経過しても進入情報を受信していないと判定した場合(ステップS404:NO)又はステップS407の実行後、インセンティブ付与ルーチンRT4を終了し、インセンティブ付与ルーチンRT4を新たに開始する。制御部15は、例えば、提案情報を送信後、所定時間が経過するまでインセンティブ付与ルーチンRT4を繰り返し実行する。
【0126】
インセンティブ付与ルーチンRT4によれば、提案情報を送信後、車両Mが実際に本線MLから退避し、その後実際に本線MLに戻ってきたことを確認することができ、退避した位置と進入した位置とに基づいて、実際の非通過区間の距離を特定することができる。従って、非通過区間の実際の距離に応じたインセンティブを正確に算出することができる。
【0127】
インセンティブ付与ルーチンRT4によれば、例えば、提案送信ルーチンRT3のように提案情報の送信の際に経路情報を取得していない場合であっても、非通過区間を特定することが可能となる。
【0128】
以上、説明したように、本実施例によれば、交通量の調整をすべき区間である対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように道路上からの退避を行うと、退避の態様に応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を送信することができる。
【0129】
具体的には、本実施例によれば、退避後に対象区間の少なくとも一部を通行しない迂回を行う場合、当該迂回により対象区間中の、車両が通過しない区間である非通過区間の距離が長い程、高いレベルのインセンティブを付与するという提案を送信することができる。
【0130】
本実施例によれば、例えば対象区間の全部を通行しないという特定の態様に限られず、一部を迂回するという態様で退避を行う場合にも、インセンティブを付与するという提案を送信することができる。
【0131】
従って、状況によって対象区間の全部を迂回できなくとも、一部だけ迂回できる車両からも交通量の調整についての協力を得ることができる。
【0132】
さらに、迂回する距離に応じたインセンティブを付与するという提案は、より長い距離を迂回することの動機付けとなり、より長い距離の迂回を促進し得る。
【0133】
従って、様々な状況の車両から幅広く協力を得ることができ、交通量の調整を効果的に促進することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することができる。
【0134】
本実施例においては、この非通過区間の距離が長い程、渋滞が緩和され易くなる、すなわち、交通量の調整の効果が高くなるとして、非通過区間が長い程、高いレベルのインセンティブを設定する例について説明したが、これに限られない。例えば、渋滞を緩和する効果がある運転行動として、対象区間のうちの、特に渋滞発生の原因となっている区間を通過しないことが挙げられる。
【0135】
例えば、対象区間内の、車線が減少している箇所、サグ、又は事故が起きている箇所を含む区間は、交通量が増えることによって渋滞の原因になりやすいといえる。従って、対象区間に向かう車両に、このような箇所を含む区間を迂回させると、他の区間を迂回させる場合よりも、渋滞を緩和する効果が高いとすることもできる。この場合、情報処理装置10は、上記のような渋滞の原因になりやすい箇所を含む区間を迂回する車両については、他の区間を迂回する車両よりも高いインセンティブを設定してもよい。
実施例2において、情報処理装置10の大容量記憶装置13のインセンティブ情報DB13Bには、実施例1におけるインセンティブ表TB1とは異なるインセンティブ表に示される情報が記憶されている。その他の点においては、情報処理装置10、端末装置20及びこれらを含む情報処理システム100は実施例1の場合と同様に構成されている。
インセンティブ表TB2には、インセンティブ表TB1における退避の態様とは異なる態様について、インセンティブの設定基準が規定されている。具体的には、上述したように、実施例1のインセンティブ表TB1では、車両Mが本線MLから退避後に迂回を行う際の非通過区間の距離の長さとしての迂回距離Dに応じたレベルのインセンティブの設定基準が規定されている。
これに対して、実施例2におけるインセンティブ表TB2は、車両Mが本線MLから退避後、対象区間CSを通過しない時間である非通過時間の長さとしての退避時間Tに応じたインセンティブの設定基準を規定している。
なお、非通過時間は、例えば以下のような場合に生じる。例えば、車両Mが本線MLから退避後、対象区間CSに進入せずに出口ICを通って高速道路から退出し、迂回を行って他の地点の入口ICを通って再び高速道路の本線MLに進入して対象区間CSの少なくとも一部を通過する場合、当該退避から進入までの時間が非通過時間となる。
また、例えば、車両Mが対象区間CSに進入せずに出口ICを通って高速道路から退出後、例えば休憩や一般道でのドライブを行った後で、退出した地点と同じ地点の入口ICから再び高速道路に進入する場合、退出から進入までの時間が非通過時間となる。
例えば、車両Mが、対象区間CSに進入せずに本線MLから退避後、高速道路内のサービスエリアに立ち寄った後に、再び本線MLに進入する場合、退避から進入までの時間が非通過時間となる。
実施例2において、情報処理装置10の制御部15は、交通情報及びインセンティブ表TB2を用いて提案情報を生成する。具体的には、例えば、制御部15は、交通情報に基づいて、渋滞が生じている道路上の区間を特定して対象区間CSとして特定する。
その後、制御部15は、例えば、車両Mが対象区間CSに進入せずに本線MLから退避するために使用を推奨する少なくとも1つの出口IC又はサービスエリア(SA)もしくはパーキングエリア(PA)を特定する。また、対象区間CSの交通状況に応じた複数の退避時間Tの候補を設定し、インセンティブ表TB2に基づいて、退避時間T毎のインセンティブを設定する。
例えば、「10分未満退避」、「10~30分退避」、「30分以上退避」又は「退避しない」のいずれかを選択後に送信ボタンを押すことによって応答操作がなされると、端末装置20は、応答情報を生成して情報処理装置10に送信する。
上述したように、インセンティブ付与ルーチンRT4を実行することによって、制御部15は、提案情報を受信した端末装置20と共に移動する車両Mが本線MLから退避したことを示す退避情報及び当該車両Mが本線MLに再び進入したことを示す進入情報を受信してインセンティブのレベルを算出し、当該インセンティブのレベルを示す情報を含むインセンティブ付与情報を生成してインセンティブを管理する管理サーバ50に送信する。
インセンティブ付与ルーチンRT5は、インセンティブ付与ルーチンRT4と同様に進行するが、特に、ステップS504及びステップS505に関して異なる点がある。具体的には、本ルーチンは、退避した車両Mの進入情報を受信すると非通過時間を算出する点、及び退避した車両Mの進入情報を受信していないと判定した場合にも、付与すべきインセンティブを算出する点においてインセンティブ付与ルーチンRT4と異なる。
インセンティブ付与ルーチンRT5において、制御部15は、退避した車両Mの進入情報を受信したと判定する(ステップS504:YES)と、当該車両Mについて非通過時間を算出する(ステップS505)。
制御部15は、ステップS504において、予め設定された時間が経過しても退避した車両Mの進入情報を受信していないと判定(ステップS504:NO)した場合には、当該車両Mについての非通過時間を予め設定された最大値として、インセンティブのレベルを算出する(ステップS506)。
なお、実施例2において、制御部15は、実施例1の場合と同様にインセンティブ付与ルーチンRT2又はインセンティブ付与ルーチンRT4を実行してインセンティブを管理する管理サーバ50にインセンティブ付与情報を送信してもよい。
以上、説明したように、本実施例によれば、情報処理装置10は、対象区間CSに向かう道路上を走行中の車両Mが、対象区間CSの少なくとも一部を通行することを避けるように道路上からの退避を行うと、当該退避の態様に応じたレベルのインセンティブとして、当該退避後に対象区間CSに進入せずに当該対象区間CSを当該車両Mが通過しない時間である非通過時間の長さに応じたレベルのインセンティブを付与するという提案を端末装置20に送信することができる。具体的には、例えば、本実施例によれば、非通過時間が長い程、高いレベルのインセンティブを付与するという提案を端末装置20に送信することができる。
実施例2によれば、例えば対象区間の渋滞が緩和又は解消されるまで当該対象区間を通行しないという特定の態様に限られず、渋滞が緩和又は解消されるまでの時間よりも短い時間であってもしばらくの間対象区間を通行しないという態様で退避を行う場合にも、インセンティブを付与するという提案を送信することができる。
従って、様々な状況の車両から幅広く協力を得ることができ、交通量の調整を効果的に促進することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することができる。
上述した実施例における構成及びルーチンは例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択及び変更可能である。例えば、実施例1と実施例2とを組み合わせて、非通過区間の長さに応じたレベルのインセンティブの付与及び非通過時間の長さに応じたレベルのインセンティブの付与の両方について提案を送信するように情報処理装置10を構成してもよい。
なお、上記の実施例において、登録車両に提案を送信する例について説明したが、これに限られず、例えば、路車間通信システム等を使って、登録の有無に関わらず所定の区間を走行中の全車両に提案を送信してもよい。
また、上記の実施例において、交通量の調整をすべき対象区間が高速道路上にある場合について説明したが、これに限られない。例えば、対象区間は、高速道路以外の有料道路内又は一般道路内において、渋滞が生じているか又は渋滞が予測される等の交通量の調整をすべき区間であってもよい。
上記の実施例において、対象区間を通行せずに退避を行う際に、出口インターチェンジを通って高速道路から退出し、当該出口インターチェンジの位置を基準に提案を送信する対象となる所定区間を設定する例について説明したが、これに限られない。例えば、
迂回路が高速道路や自動車専用道路の場合にはジャンクションへの分岐点を基準に所定区間を決めてもよい。
なお、情報処理装置10のインセンティブ情報DB13Bには、複数の企業によって提供される複数のポイントサービスに対応して、ポイントサービス毎のインセンティブ情報を示すデータが格納されていてもよい。
また、本発明におけるインセンティブは、上記の実施例において挙げた例に限られない。例えば、当該インセンティブとして、現金又は物品が付与されることとしてもよい。
なお、上記の実施例において、情報処理装置10によって送信された提案情報がタッチパネルディスプレイのディスプレイに表示される例について説明したが、これに限られない。例えば、スピーカを介して音声によって車両の乗員に提示されてもよい。
また、提案情報がディスプレイに表示される場合において、選択ボタンが表示される例について説明したが、これに限られない。例えば、選択ボタンがなく単に提案が表示されるだけでもよい。