(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034493
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 1/32 20060101AFI20230306BHJP
E03D 5/10 20060101ALI20230306BHJP
E03D 11/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
E03D1/32
E03D5/10
E03D11/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140750
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】谷本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】篠原 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】畑間 健司
(72)【発明者】
【氏名】辰岡 星佳
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AC03
2D039BA06
(57)【要約】
【課題】給水装置の流路分岐部において流動の乱れを生じさせることを抑制できる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を提供する。
【解決手段】本発明の洗浄水タンク装置は、洗浄水の給水圧を利用して、排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部14と、給水源からの洗浄水を給水する給水装置であって、水洗便器側流路25と、排水弁水圧駆動部側流路23とに向けて流路を分岐させる流路分岐部33を備える、給水装置16とを備え、給水装置の流路分岐部は、分岐前流路33aと、水洗便器側流路に接続される第1分岐流路33bと、排水弁水圧駆動部側流路に接続される第2分岐流路33cとを備え、給水装置は、さらに、第1分岐流路に設けられると共に第1分岐流路内の洗浄水の圧力を調整する第1圧力弁38と、第2分岐流路に設けられると共に第2分岐流路内の洗浄水の圧力を調整する第2圧力弁40とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、
上記水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を上記水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、
上記排水口を開閉し、上記水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、
供給された洗浄水の給水圧を利用して、上記排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部と、
給水源からの洗浄水を給水する給水装置であって、上記給水装置は、上記水洗便器に洗浄水を直接供給する水洗便器側流路と、上記排水弁水圧駆動部に接続された排水弁水圧駆動部側流路とに向けて流路を分岐させる流路分岐部を備える、上記給水装置とを備え、
上記給水装置の上記流路分岐部は、上記給水源から延びる給水源側流路と接続される分岐前流路と、上記水洗便器側流路に接続される第1分岐流路と、上記排水弁水圧駆動部側流路に接続される第2分岐流路とを備え、
上記給水装置は、さらに、上記第1分岐流路に設けられると共に上記第1分岐流路内の洗浄水の圧力を調整する第1圧力弁と、
上記第2分岐流路に設けられると共に上記第2分岐流路内の洗浄水の圧力を調整する第2圧力弁とを備える、洗浄水タンク装置。
【請求項2】
上記給水装置は、さらに、上記第1分岐流路に設けられると共に上記第1分岐流路を開閉する第1開閉弁と、
上記第2分岐流路に設けられると共に上記第2分岐流路を開閉する第2開閉弁と、を備え、
上記第1圧力弁は、上記第1開閉弁よりも上流側に設けられ、
上記第2圧力弁は、上記第2開閉弁よりも上流側に設けられる、請求項1記載の洗浄水タンク装置。
【請求項3】
上記水洗便器側流路は、上記水洗便器のボウル部に洗浄水を供給するように大気開放された開口部を備えている、請求項1又は2に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項4】
上記第1圧力弁及び上記第2圧力弁の少なくとも一方は、定流量弁により構成される、請求項1乃至3の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項5】
上記第1圧力弁及び上記第2圧力弁の少なくとも一方は、圧力調整弁により構成される、請求項1乃至4の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項6】
上記第1圧力弁は、定流量弁により構成され、
上記第2圧力弁は、圧力調整弁により構成される、請求項1乃至5の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項7】
水洗便器装置であって、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置と、
この洗浄水タンク装置から供給される洗浄水により洗浄される上記水洗便器と、
を有することを特徴とする水洗便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水タンク装置に関し、特に、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水洗便器が開示されている。この水洗便器は、ボウル部の底部に設けられたゼット口から吐水するゼット洗浄水と、ボウル部の上端に設けられたリム吐水孔から吐水するリム洗浄水とを各々吐水するようになっている。この水洗便器においては、止水栓から供給される洗浄水は、給水分岐金具により、ロータンク側流路と、ボウル側流路とに交互に切り換られる。ゼット洗浄水は、ロータンク側流路からロータンクに貯溜された水を利用する。また、リム洗浄水は、ボウル側流路から供給された水を利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような水洗便器では、給水分岐金具以後のロータンク側流路と、ボウル側流路とで求められる流量や水圧が異なるため、給水分岐金具内の洗浄水の流動が偏って流動の乱れを生じるという問題があった。また、特許文献1に示されるような水洗便器においては、給水分岐金具からロータンク側流路と、ボウル側流路とに同時期に給水を行うことができなかった。仮に、ロータンク側流路と、ボウル側流路とに同時期に給水を行おうとすれば、洗浄水がいずれかの流路に偏って流入し、洗浄水の流動の偏りにより流動の乱れを生じるという問題がより顕著になることが懸念される。
【0005】
従って、本発明は、上述した従来技術の問題や課題を解決するためになされたものであり、給水装置の流路分岐部において流動の乱れを生じさせることを抑制できる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態は、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、上記水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を上記水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、上記排水口を開閉し、上記水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、供給された洗浄水の給水圧を利用して、上記排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部と、給水源からの洗浄水を給水する給水装置であって、上記給水装置は、上記水洗便器に洗浄水を直接供給する水洗便器側流路と、上記排水弁水圧駆動部に接続された排水弁水圧駆動部側流路とに向けて流路を分岐させる流路分岐部を備える、上記給水装置とを備え、上記給水装置の上記流路分岐部は、上記給水源から延びる給水源側流路と接続される分岐前流路と、上記水洗便器側流路に接続される第1分岐流路と、上記排水弁水圧駆動部側流路に接続される第2分岐流路とを備え、上記給水装置は、さらに、上記第1分岐流路に設けられると共に上記第1分岐流路内の洗浄水の圧力を調整する第1圧力弁と、上記第2分岐流路に設けられると共に上記第2分岐流路内の洗浄水の圧力を調整する第2圧力弁とを備えることを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、給水装置の流路分岐部の第2分岐流路は、排水弁水圧駆動部に接続された排水弁水圧駆動部側流路に接続される。通常、排水弁水圧駆動部は、排水弁を駆動するために比較的大きな洗浄水の圧力が必要になる。これにより、排水弁水圧駆動部側流路に接続する第2分岐流路内の洗浄水の圧力が増大されたり変動されたりする可能性がある。また、第1分岐流路又は第2分岐流路の一方が開弁した状態においては、必要以上の洗浄水の水圧が発生することになり、例えば、水洗便器側流路に接続される第1分岐流路のみが開弁した状態となると、水洗便器側の開口部分から洗浄水が飛び散る可能性がある。これに対し、第1分岐流路内の洗浄水の圧力の増大や変動を第1圧力弁により抑制できる。また、洗浄水が流路分岐部から第2分岐流路に供給される場合等において、第2分岐流路内の洗浄水の圧力の増大や変動を第2圧力弁により抑制できる。従って、洗浄水が流路分岐部において圧力の増大等により第1分岐流路又は第2分岐流路に偏って流れ、流路分岐部において流動の乱れを生じさせることを抑制できる。よって、流路分岐部を備えた給水装置からの給水性能を向上できる。また、例えば、洗浄水が分岐前流路から第1分岐流路と第2分岐流路との両方に同時期に供給される場合等において、第2分岐流路内の洗浄水の圧力を第2圧力弁により調整すると共に第1分岐流路内の洗浄水の圧力を第1圧力弁により調整し、第2分岐流路と第1分岐流路との洗浄水の圧力差の増大を抑制できる。従って、洗浄水が分岐前流路から第1分岐流路及び第2分岐流路のうち第1分岐流路側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることを抑制できる。よって、流路分岐部を備えた給水装置からの給水性能を向上できる。
【0007】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記給水装置は、さらに、上記第1分岐流路に設けられると共に上記第1分岐流路を開閉する第1開閉弁と、上記第2分岐流路に設けられると共に上記第2分岐流路を開閉する第2開閉弁と、を備え、上記第1圧力弁は、上記第1開閉弁よりも上流側に設けられ、上記第2圧力弁は、上記第2開閉弁よりも上流側に設けられる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、第1圧力弁は、第1開閉弁よりも上流側に設けられ、上記第2圧力弁は、上記第2開閉弁よりも上流側に設けられる。これにより、第1開閉弁及び第2開閉弁の上流側において洗浄水の流動の乱れを抑制し洗浄水の流れを整えやすくでき、洗浄水の流動の乱れが第1開閉弁及び第2開閉弁の開閉動作に影響を与える可能性をより低減できる。
【0008】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記水洗便器側流路は、上記水洗便器のボウル部に洗浄水を供給するように大気開放された開口部を備えている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記水洗便器側流路は、上記水洗便器のボウル部に洗浄水を供給するように大気開放された開口部を備えている。これにより、水洗便器側流路への洗浄水の供給時に、第1分岐流路内の洗浄水の圧力は大気圧よりも高まりにくくできる一方、排水弁水圧駆動部への給水時には排水弁水圧駆動部に接続する第2分岐流路内の洗浄水の圧力が高まる場合がある。よって、洗浄水が、流路分岐部から第1分岐流路と第2分岐流路との両方に同時期に供給される場合において、第2分岐流路と第1分岐流路との洗浄水の圧力差が生じる可能性がある。これに対し、本発明の一実施形態の構造によれば、第2分岐流路内の洗浄水の圧力を第2圧力弁により調整すると共に第1分岐流路内の洗浄水の圧力を第1圧力弁により調整し、第2分岐流路と第1分岐流路との洗浄水の圧力差の増大をより抑制できる。従って、洗浄水が分岐前流路から第1分岐流路及び第2分岐流路のうち第1分岐流路側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることを抑制できる。
【0009】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記第1圧力弁及び上記第2圧力弁の少なくとも一方は、定流量弁により構成される。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1圧力弁及び上記第2圧力弁の少なくとも一方は、定流量弁により構成され、流路内の洗浄水の圧力を定流量弁により調整できると共に、定流量弁により洗浄水の流量もより安定化できる。従って、洗浄水が流路分岐部において第1分岐流路及び第2分岐流路のうち第1分岐流路側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることをより抑制できる。
【0010】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記第1圧力弁及び上記第2圧力弁の少なくとも一方は、圧力調整弁により構成される。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1圧力弁及び上記第2圧力弁の少なくとも一方は、圧力調整弁により構成され、流路内の洗浄水の圧力の変動等を圧力調整弁により抑制できる。従って、洗浄水が分岐前流路から第1分岐流路及び第2分岐流路のうち第1分岐流路側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることをより抑制できる。
【0011】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記第1圧力弁は、定流量弁により構成され、上記第2圧力弁は、圧力調整弁により構成される。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1圧力弁は、定流量弁により構成され、上記第2圧力弁は、圧力調整弁により構成される。第1分岐流路内の洗浄水の圧力の変動等を定流量弁により抑制できると共に、定流量弁により洗浄水の流量もより安定化でき、第2分岐流路内の洗浄水の圧力の変動等を圧力調整弁により抑制できる。従って、洗浄水が分岐前流路から第1分岐流路及び第2分岐流路のうち第1分岐流路側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることをさらに抑制できる。
【0012】
また、本発明の一実施形態は、水洗便器装置であって、水洗便器と、給水装置の流路分岐部において流動の乱れを生じさせることを抑制できる洗浄水タンク装置と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、給水装置の流路分岐部において流動の乱れを生じさせることを抑制できる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による水洗便器装置全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による水洗便器装置の全断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の内部構造を洗浄水タンク装置の蓋を外した状態で示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を蓋を外した状態で示す側面図である。
【
図6】
図5のVI-VI線に沿って見た断面図である。
【
図7】
図5のVII-VII線に沿って見た断面図である。
【
図8】
図4のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置及びそれを備えた水洗便器装置を説明する。本開示の実施形態は例示として説明され、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変形、変更及び置換ができることが当業者に明らかとなる。従って、本発明は、開示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細について、種々の変形、変更等が可能である。
図1は本発明の一実施形態による水洗便器装置全体を示す斜視図である。
図2は本発明の一実施形態による水洗便器装置の全断面図である。
図3は本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
【0016】
図1乃至
図3に示すように、本発明の一実施形態による水洗便器装置1は、水洗便器本体2と、その後部に載置された本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4を備えている。洗浄水タンク装置4は、水洗便器本体2への洗浄水の供給を行うようになっている。本実施形態の水洗便器装置1は、使用後に、洗浄水タンク装置4に設けられたレバーハンドル8を操作することにより、水洗便器本体2のボウル部2aの洗浄が行われるように構成されている。本実施形態による洗浄水タンク装置4は、レバーハンドル8の操作に基づいて、内部に貯留されている洗浄水、及び給水源である水道Cから供給された洗浄水を水洗便器本体2に供給し、これらの洗浄水によりボウル部2aを洗浄するように構成されている。
【0017】
また、変形例として、壁面に取り付けたリモコン装置(図示せず)を操作することにより、ボウル部2aの洗浄が行われるように本発明を構成することもできる。或いは、便座に設けられた人感センサ(図示せず)が使用者の離座を検知した後、所定時間経過することにより、ボウル部2aの洗浄が行われるように本発明を構成することもできる。この場合、人感センサ(図示せず)は便座に設けたり、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できる位置に設けたりすることができ、例えば、水洗便器本体2や洗浄水タンク装置4に設けることもできる。また、人感センサ(図示せず)は、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できるものであればよく、例えば、赤外線センサやマイクロ波センサを人感センサとして使用することができる。
【0018】
次に、
図2に示すように、洗浄水タンク装置4は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する洗浄水タンク本体である貯水タンク10と、この貯水タンク10に設けられた排水口10aを開閉するための排水弁12と、この排水弁12を駆動する水圧駆動機構である排水弁水圧駆動部14と、給水源からの洗浄水を給水する給水装置16と、を備える。
ここで、貯水タンク10内に貯留され、排水弁12を開弁させることにより流出する洗浄水は、便器洗浄時において、水洗便器本体2のボウル部2aの溜水面Wよりも下方に設けられた下部吐水口であるゼット吐水口2bから吐出されるように構成されている。また、水道Cから供給され、便器本体側給水弁19を介して供給された洗浄水は、便器洗浄時において、ボウル部2aの溜水面Wよりも上方の、ボウル部2aのリム部2cに設けられた上部吐水口であるリム吐水口2dから吐出されるように構成されている。
【0019】
貯水タンク10は、水洗便器本体2のゼット吐水口2bに供給すべき洗浄水を貯留するように構成されたタンクであり、その底部には貯留した洗浄水を水洗便器本体2へ排出するための排水口10aが形成されている。また、貯水タンク10内において、排水口10aの下流側にはオーバーフロー管10bが接続されている。このオーバーフロー管10bは、排水口10aの近傍から垂直に立ち上がり、貯水タンク10内に貯留されている洗浄水の止水水位L1よりも上方まで延びている。従って、オーバーフロー管10bの上端から流入した洗浄水は、排水口10aをバイパスして、水洗便器本体2のゼット吐水口2bから直接流出する。
【0020】
排水弁12は、排水口10aを開閉し、水洗便器本体2への洗浄水の供給、停止を行う。排水弁12は、排水口10aの上方で上下動するように配置された直動式の弁体であり、排水弁12が上方に引き上げられることにより開弁され、貯水タンク10内の洗浄水が水洗便器本体2に排出されて、ボウル部2aの下部に設けられたゼット吐水口2bから吐出される。
【0021】
排水弁水圧駆動部14は、水道Cから供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁12を駆動するように構成されている。具体的には、排水弁水圧駆動部14は、タンク側給水弁18から供給された水が流入するシリンダ14aと、このシリンダ14a内に摺動可能に配置されたピストン14bと、シリンダ14aの下端から突出して排水弁12を駆動するロッド15と、を有する。さらに、シリンダ14aの内部にはスプリング14cが配置されており、ピストン14bを下方に向けて付勢していると共に、ピストン14bにはパッキン14eが取り付けられ、シリンダ14aの内壁面とピストン14bの間の水密性が確保されている。また、ロッド15の途中には、クラッチ機構22が設けられており、このクラッチ機構22により、ロッド15は上部ロッド15aと下部ロッド15bに切り離される。
【0022】
シリンダ14aは円筒形の部材であり、その軸線を鉛直方向に向けて配置されると共に、内部にピストン14bを摺動可能に受け入れている。また、シリンダ14aの下端部には、流入管23が接続されており、タンク側給水弁18から流出した水がシリンダ14a内に流入するようになっている。このため、シリンダ14a内のピストン14bは、シリンダ14aに流入した水により、スプリング14cの付勢力に抗して押し上げられる。
【0023】
一方、シリンダ14aの上端部には流出孔が設けられ、流出管24は、この流出孔を介してシリンダ14aの内部と連通している。従って、シリンダ14a下部に接続された流入管23からシリンダ14a内に水が流入すると、ピストン14bは、シリンダ14aの下部から上方へ押し上げられる。そして、ピストン14bが、流出孔よりも上方まで押し上げられると、シリンダ14aに流入した水は流出孔から流出管24を通って流出する。即ち、流入管23と流出管24は、ピストン14bが上方に移動されると、シリンダ14aの内部を介して連通される。
【0024】
また、流出管24には分岐部24aが設けられており、この分岐部24aから下方に向けて分岐した第1下降管24bは、オーバーフロー管10bの上方で、下方に向けて開口している。また、分岐部24aから概ね水平に延びた後、下方に向けて湾曲された第2下降管24cは、貯水タンク10内に水を流出させる。従って、シリンダ14aから流出した洗浄水の一部はオーバーフロー管10bの中に流入し、残りの洗浄水は貯水タンク10内に貯留される。
【0025】
ロッド15は、ピストン14bの下面に接続された棒状の部材であり、シリンダ14aの底面に形成された貫通孔14fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びている。また、ロッド15の下端には排水弁12が接続されており、ロッド15は、ピストン14bと排水弁12を連結している。このため、シリンダ14aに水が流入してピストン14bが押し上げられると、ピストン14bに接続されたロッド15が排水弁12を上方に吊り上げ、排水弁12が開弁される。
【0026】
また、シリンダ14aの下方から突出するロッド15と、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁との間には、隙間14dが設けられ、シリンダ14aに流入した水の一部は、この隙間14dから流出する。隙間14dから流出した水は、貯水タンク10内に流入する。なお、この隙間14dは比較的狭く、流路抵抗が大きいため、隙間14dから水が流出する状態であっても、流入管23からシリンダ14aに流入する水によりシリンダ14a内の圧力が上昇し、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bが押し上げられる。
【0027】
さらに、ロッド15の途中には、クラッチ機構22が設けられている。クラッチ機構22は、ロッド15と共に排水弁12が所定距離吊り上げられると、ロッド15を上部ロッド15aと下部ロッド15bに切り離すように構成されている。クラッチ機構22が切り離された状態では、下部ロッド15bは、ピストン14b及び上部ロッド15aの上部の動きに連動しなくなり、下部ロッド15bは排水弁12と共に、浮力に抵抗しながら重力により降下する。
【0028】
また、排水弁12の近傍には、排水弁フロート機構26が設けられている。この排水弁フロート機構26は、ロッド15が所定距離吊り上げられ、クラッチ機構22により下部ロッド15bが切り離された後、下部ロッド15bの及び排水弁12が降下して、排水口10aを閉弁させるのを遅延させるように構成されている。具体的には、排水弁フロート機構26は、フロート部26aと、このフロート部26aと連動した係合部26bと、を有する。
【0029】
係合部26bは、クラッチ機構22により切り離されて降下してきた下部ロッド15bと係合し、下部ロッド15b及び排水弁12が降下して、排水口10aに着座するのを阻止するように構成されている。次いで、貯水タンク10内の水位低下と共にフロート部26aが下降し、貯水タンク10内の水位が所定水位まで低下すると、フロート部26aが係合部26bを回動させて、係合部26bと下部ロッド15bの係合が解除される。係合が解除されることにより、下部ロッド15b及び排水弁12は降下して、排水口10aに着座する。これにより、排水弁12の閉弁が遅延され、適正量の洗浄水が、排水口10aから排出されるようになっている。
【0030】
また、給水装置16のタンク側給水弁18と排水弁水圧駆動部14を接続する流入管23には、バキュームブレーカ30が設けられている。このバキュームブレーカ30により、タンク側給水弁18側が負圧になった場合には、流入管23に外気が吸引され、排水弁水圧駆動部14側からの水の逆流が防止される。
【0031】
次に、
図4乃至
図8等を参照して、給水装置16について説明する。
図4は本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の内部構造を洗浄水タンク装置の蓋を外した状態で示す斜視図であり、
図5は本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を蓋を外した状態で示す側面図であり、
図6は
図5のVI-VI線に沿って見た断面図であり、
図7は
図5のVII-VII線に沿って見た断面図であり、
図8は
図4のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
【0032】
図3に示すように、給水装置16は、水道Cに接続された給水管32と、流入管23と、リム給水管25との間に設けられている。給水装置16は、タンク側給水弁18と、便器本体側給水弁19とに流路を分岐させる流路分岐部33と、流路分岐部33の第2分岐流路33cと接続されるタンク側給水弁18と、流路分岐部33の第1分岐流路33bと接続される便器本体側給水弁19と、を備える。給水装置16は、水洗便器本体2に洗浄水を直接供給する水洗便器側流路を構成するリム給水管25と、貯水タンク10内の排水弁水圧駆動部14に給水を行うタンク側流路を構成する流入管23とに向けて流路を分岐させる流路分岐部33を備えるタイプの給水装置である。リム給水管25は、洗浄水を一時的に貯水タンク10に溜めることなく、給水装置16と水洗便器本体2とを直接結ぶ流路を形成している。リム給水管25は、水洗便器本体2のボウル部2aに洗浄水を供給するように大気開放された開口部(例えば、リム吐水口2d)を備えている。流入管23は給水装置16と貯水タンク10内の排水弁水圧駆動部14とを直接結ぶ流路を形成している。流入管23は、排水弁水圧駆動部14に給水を行う排水弁水圧駆動部側流路を構成している。リム給水管25を通って水洗便器本体2に供給される洗浄水の単位時間当たりの流量は、流入管23を通って貯水タンク10に供給される洗浄水の単位時間当たりの流量よりも大きくされている。
【0033】
タンク側給水弁18は、排水弁水圧駆動部14への給水を制御する第2開閉弁である。タンク側給水弁18は、第2分岐流路33cに設けられると共に第2分岐流路33cを開閉する。タンク側給水弁18は、排水制御用電磁弁20の作動に基づいて排水弁水圧駆動部14への給水を制御すると共に、貯水タンク10への給水、停止を制御するように構成されている。次に、タンク側給水弁18は、制御弁本体部18aと、この制御弁本体部18aの中に配置された主弁体18bと、パイロット弁18cとを備えている。さらに、タンク側給水弁18には、電磁弁側パイロット弁18cに接続された排水制御用電磁弁20が接続されている。
【0034】
排水制御用電磁弁20は、コントローラ28から送られた信号に基づいて、タンク側給水弁18に内蔵された電磁弁側パイロット弁18cを移動させ、パイロット弁口(図示せず)を開閉するように構成されている。パイロット弁口(図示せず)が開弁されると、制御弁本体部18a内に設けられた圧力室内の圧力が低下し、タンク側給水弁18の主弁体18bが開弁される。また、パイロット弁口(図示せず)が閉弁されると、圧力室内の圧力が上昇し、主弁体18bが閉弁される。これにより、排水制御用電磁弁20の作動に基づいて、タンク側給水弁18の主弁体18bが開閉され、排水弁水圧駆動部14への給水、停止が制御される。なお、本実施形態においては排水制御用電磁弁20として、一旦通電を行うことにより、電磁弁側パイロット弁18cが移動され、通電を停止してもその状態が維持される双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されている。このタイプの電磁弁では、反対方向にもう一度通電を行うと、電磁弁側パイロット弁18cを元の位置に復帰させることができる。
【0035】
洗浄水タンク装置4は、さらに、貯水タンク10内の壁面に設けられたフロートスイッチ34を備えている。フロートスイッチ34は水位を検知する水位センサとして機能する。フロートスイッチ34はコントローラ28と電気的に接続されている。フロートスイッチ34は貯水タンク10内の水位が止水水位L1まで上昇した場合に、水位が止水水位L1に到達したことをコントローラ28に伝達する。また、フロートスイッチ34は貯水タンク10内の水位が止水水位L1以下に下降した場合に、水位が止水水位L1から止水水位L1以下に下降したことをコントローラ28に伝達する。コントローラ28は、フロートスイッチ34が水位が止水水位L1に到達したことを検知した場合に、排水制御用電磁弁20を介して電磁弁側パイロット弁18cを作動させ、パイロット弁口(図示せず)を閉弁させ、主弁体18bを閉弁させ、貯水タンク10への給水を停止させる。
【0036】
なお、洗浄水タンク装置4の待機状態においては、貯水タンク10は止水水位L1にされており、この状態では、パイロット弁18cによって開閉されるパイロット弁口(図示せず)は閉弁されている。従って、洗浄時に、排水制御用電磁弁20の作動に基づいて、電磁弁側パイロット弁18cを移動させることにより、パイロット弁口(図示せず)を開弁し、タンク側給水弁18の主弁体18bを開弁させることができる。具体的には、レバーハンドル8からの信号をコントローラ28が受信し、コントローラ28は排水制御用電磁弁20に電気信号を送って、これを作動させ、タンク側給水弁18を開弁させる。
【0037】
即ち、タンク側給水弁18は、制御部であるコントローラ28からの指示信号に基づいて、供給された洗浄水の、排水弁水圧駆動部14への供給、停止を制御する。本実施形態においては、タンク側給水弁18から流出した洗浄水は、全量が流入管23を通って排水弁水圧駆動部14に供給される。排水弁水圧駆動部14に供給された洗浄水の一部は、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間14dから流出して貯水タンク10へ流入する。また、排水弁水圧駆動部14に供給された水の多くは、流出管24を通ってシリンダ14aから流出し、上述したように、オーバーフロー管10b及び貯水タンク10内に夫々流入する。
【0038】
便器本体側給水弁19は、水道Cから供給された洗浄水を水洗便器本体2に直接供給する第1開閉弁である。第1分岐流路33bに設けられると共に第1分岐流路33bを開閉する。便器本体側給水弁19は、第1分岐流路33bから供給された水を、リム給水管25に流出させるように構成されている。リム給水管25は、貯水タンク10の外側に延び、水洗便器本体2のリム吐水口2dに連通しており(
図3には図示省略)、リム給水管25に流入した洗浄水は、ボウル部2aを洗浄するためのリム洗浄水として、リム吐水口2dから吐出される。また、リム給水管25の途中には、バキュームブレーカ31が設けられている。これにより、便器本体側給水弁19側が負圧になった際、水洗便器本体2の側から便器本体側給水弁19に水が逆流するのを防止することができる。
【0039】
便器本体側給水弁19は、給水弁本体部19aと、この給水弁本体部19aの中に配置された主弁体19bと、電磁弁パイロット弁19cと、を備えている。また、便器本体側給水弁19には、給水制御用電磁弁21が接続されており、この給水制御用電磁弁21により電磁弁パイロット弁19cが移動されるように構成されている。即ち、電磁弁パイロット弁19cは、給水弁本体部19aに設けられたパイロット弁口(図示せず)を開閉することにより、給水弁本体部19a内に設けられた圧力室内の圧力を制御するように構成されている。パイロット弁口(図示せず)が開弁されると、給水弁本体部19a内に設けられた圧力室内の圧力が低下し、便器本体側給水弁19の主弁体19bが開弁される。また、パイロット弁口(図示せず)が閉弁されると、圧力室内の圧力が上昇し、主弁体19bが閉弁される。これにより、給水制御用電磁弁21の作動に基づいて、便器本体側給水弁19の主弁体19bが開閉され、水洗便器本体2への給水、停止が制御される。
【0040】
一方、水道Cから供給された洗浄水は、止水栓32a、定流量弁32b、流路分岐部を介してタンク側給水弁18又は便器本体側給水弁19に供給される。止水栓32aは貯水タンク10の外側に配置されており、その下流側の、貯水タンク10内には定流量弁32bが接続されている。定流量弁32bの下流側に流路分岐部33が設けられている。
【0041】
止水栓32aは、メンテナンス時等に洗浄水タンク装置4への水の供給を停止させるために設けられており、通常は開栓された状態で使用される。定流量弁32bは、水道Cから供給された水を、所定流量で給水装置16に流入させるために設けられており、水洗便器装置1の設置環境に関わらず一定流量の水が給水装置16に供給されるように構成されている。
【0042】
流路分岐部33は、水洗便器本体2に洗浄水を直接供給する水洗便器側流路を構成するリム給水管25と、貯水タンク10に給水を行うタンク側流路を構成する流入管23とに向けて流路を分岐させるように形成されている。流路分岐部33は、給水源から延びる給水源側流路と接続される分岐前流路33aと、水洗便器側流路を構成するリム給水管25に接続される第1分岐流路33bと、排水弁水圧駆動部側流路を構成する流入管23に接続される第2分岐流路33cとを備える。第2分岐流路33cは流入管23を介して排水弁水圧駆動部14に接続される一方、第1分岐流路33bはリム給水管25を介して水洗便器本体2側で大気開放されるため、第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力が、第1分岐流路33b内の洗浄水の圧力に比べて高くなる場合が比較的多くなる。
【0043】
第1分岐流路33bは、一端、便器本体側給水弁19に接続され、さらに、便器本体側給水弁19を介してリム給水管25に接続される。第1分岐流路33bは、給水装置16内に形成された配管状の流路である。第1分岐流路33bは、分岐前流路33aの下流端から一旦横方向にほぼ水平に延びた後、上方に屈曲され、垂直方向に立ち上がるように延びている。流路分岐部33の第1分岐流路33bの中心軸線B1は、分岐前流路33aの中心軸線B2からずれた位置に配置される。第1分岐流路33bの中心軸線B1と、分岐前流路33aの中心軸線B2とが形成する角度は90°である。分岐前流路33aの分岐部分の中心軸線B2と第2特定流路部分33eの入口部分の中心軸線B3とは同一線上に配置されている。
【0044】
第2分岐流路33cは、一端、タンク側給水弁18に接続され、さらに、タンク側給水弁18を介して流入管23に接続される。第2分岐流路33cは、給水装置16内に形成された配管状の流路である。第2分岐流路33cは、分岐前流路33aの下流端から垂直方向に立ち上がるように延びている。
【0045】
給水装置16は、さらに、第1分岐流路33bに設けられると共に第1分岐流路33b内の洗浄水の圧力を調整する第1圧力弁38と、第2分岐流路33cに設けられると共に第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力を調整する第2圧力弁40とを備える。
【0046】
第1圧力弁38は、便器本体側給水弁19よりも上流側に設けられている。なお、第1圧力弁38は、便器本体側給水弁19よりも下流側に設けられていてもよい。第2圧力弁40は、タンク側給水弁18よりも上流側に設けられる。第2圧力弁40は、タンク側給水弁18よりも下流側に設けられていてもよい。
【0047】
第1圧力弁38は、所定の流量の洗浄水を流すような定流量弁により構成され、第2圧力弁40は、流路の洗浄水の圧力を調整可能な圧力調整弁により構成される。なお、第1圧力弁38及び第2圧力弁40の少なくとも一方は、所定の流量の洗浄水を流すような定流量弁により構成されてもよい。第1圧力弁38及び第2圧力弁40の少なくとも一方は、流路の洗浄水の圧力を調整可能な圧力調整弁により構成されてもよい。第1圧力弁38及び/又は第2圧力弁40は、必要な場合にはコントローラ28に電気的に接続される。第1圧力弁38及び/又は第2圧力弁40は、逃し弁、減圧弁等の他の洗浄水の圧力を調整可能な弁であってもよい。
【0048】
図8に示すように、岐前流路33aの下流端部分が特定方向D1に沿って延びる場合に、第2圧力弁40は、第2分岐流路33cにおいて特定方向D1に延びる第2特定流路部分33e上に設けられている。また、第1圧力弁38は、第1分岐流路33bにおいて特定方向D1に延びる第1特定流路部分33d上に設けられている。特定方向D1は、分岐前流路33aが流路分岐部33において延びる特定の方向であり、中心軸線B2が延びる方向である。特定方向D1は、本実施形態においては鉛直方向である。
【0049】
再び、本実施形態に戻って説明する。コントローラ28は、CPU、メモリ、インターフェイス回路等を内蔵し、所定の制御プログラム等に基づいて電気的に接続された他の機器の制御を行うことができる。例えば、コントローラ28は、回路基板を内蔵し、レバーハンドル8の操作に基づいて、排水制御用電磁弁20、給水制御用電磁弁21等を制御するように構成されている。コントローラ28は、レバーハンドル8、排水制御用電磁弁20、給水制御用電磁弁21、フロートスイッチ34等と電気的に接続され、電気信号を相互に送受信することができ、各部分を電気的に操作できるようになっている。
【0050】
コントローラ28は、排水制御用電磁弁20に制御信号を送り、電磁弁側パイロット弁18cを移動させる。電磁弁側パイロット弁18cにより制御弁本体部18aのパイロット弁口(図示せず)が開弁されると、制御弁本体部18a内の圧力室の圧力が低下して主弁体18bが移動され、タンク側給水弁18が開弁される。これにより、給水管32から供給された洗浄水が、タンク側給水弁18から排水弁水圧駆動部14に流出し、排水弁水圧駆動部14を介して貯水タンク10に給水される。
【0051】
また、コントローラ28は、給水制御用電磁弁21に制御信号を送り、電磁弁パイロット弁19cを移動させる。電磁弁パイロット弁19cにより給水弁本体部19aのパイロット弁口(図示せず)が開弁されると、給水弁本体部19a内の圧力室の圧力が低下して主弁体19bが移動され、便器本体側給水弁19が開弁される。これにより、給水管32から供給された洗浄水が、便器本体側給水弁19からリム給水管25に流出し、水洗便器本体2のリム吐水口2dから吐出される。
【0052】
次に、
図3及び
図8等を参照して、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4、及びそれを備えた水洗便器装置1の作用を説明する。
【0053】
まず、
図3に示すような、便器洗浄の待機状態では、貯水タンク10内の水位が止水水位L1にあり、排水制御用電磁弁20及び給水制御用電磁弁21への通電は行われていない。この状態では、電磁弁側パイロット弁18cによって開閉されるパイロット弁口(図示せず)は閉弁されている。これにより、タンク側給水弁18の主弁体18bは閉弁状態となっている。また、電磁弁パイロット弁19cによって開閉されるパイロット弁口(図示せず)も閉弁され、便器本体側給水弁19の主弁体19bも閉弁状態となっている。
【0054】
次に、使用者がレバーハンドル8(
図1)を操作すると、便器洗浄を指示する信号がコントローラ28(
図3)に送られる。便器洗浄の指示信号を受信すると、コントローラ28は、給水制御用電磁弁21に通電を行い、便器本体側給水弁19の電磁弁パイロット弁19cを開弁させる。これにより、便器本体側給水弁19の圧力室内の圧力が低下し、主弁体19bが弁座から離座して開弁される。なお、本実施形態においては、給水制御用電磁弁21として、双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されているので、電磁弁パイロット弁19cを一旦開弁させた後は、通電を停止しても、開弁状態が維持される。
【0055】
便器本体側給水弁19が開弁されると、給水管32から流路分岐部33、第1分岐流路33bを介して便器本体側給水弁19に供給された水道水は、便器本体側給水弁19を通ってリム給水管25内に流入する。リム給水管25に流入した洗浄水は、水洗便器本体2のリム吐水口2d(
図2)から吐出され、リム洗浄水によりボウル部2aの洗浄が開始される。
【0056】
給水制御用電磁弁21に通電を行った後、所定時間経過後にコントローラ28は、排水制御用電磁弁20に通電を行い、電磁弁側パイロット弁18cをパイロット弁口(図示せず)から離座させる。これにより、タンク側給水弁18の圧力室内の圧力が低下し、主弁体18bが弁座から離座して、開弁される。即ち、コントローラ28は、便器本体側給水弁19を開弁させた後、便器本体側給水弁19の開弁状態を維持したまま、タンク側給水弁18を開弁させる。なお、本実施形態においては、排水制御用電磁弁20として、双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されているので、電磁弁側パイロット弁18cを一旦開弁させた後は、通電を停止しても、開弁状態が維持される。タンク側給水弁18が開弁されると、給水管32から流路分岐部33、第2分岐流路33cを介してタンク側給水弁18に供給された水道水は、タンク側給水弁18を通って流入管23内に流入する。
【0057】
さらに、流入管23に流入した洗浄水は、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14a内に流入し、ピストン14bを押し上げる。これにより、ピストン14bに連結されたロッド15及び排水弁12も引き上げられ、排水口10aが開弁される。これにより、貯水タンク10内に貯留されていた洗浄水は、排水口10aを通って流出し、ボウル部2aの下部に設けられたゼット吐水口2b(
図2)から吐出される。ゼット吐水口2bから吐出された洗浄水は、ボウル部2aの下部から延びる排水トラップ管路2eを満水にし、サイフォン現象を誘発する。サイフォン現象により、ボウル部2a内の溜水及び汚物が排水トラップ管路2eを通って排出される。このように、排水口10aが開弁されることにより、リム吐水口2d及びゼット吐水口2bの両方から、洗浄水が一時に吐出されることになる。
【0058】
次に、第1圧力弁38や、第2圧力弁40を通る洗浄水の流れについて説明する。
図8に示すように、流路分岐部33において、分岐前流路33aから第1分岐流路33bを通って流れる洗浄水は、第1圧力弁38により、圧力の増大を抑制でき、流動の乱れを生じさせることを抑制できる。また、流路分岐部33において、分岐前流路33aから第2分岐流路33cを通って流れる洗浄水は、第2圧力弁40により、圧力の増大を抑制でき、流動の乱れを生じさせることを抑制できる。
【0059】
また、例えば、洗浄水が流路分岐部33において給水管32から第1分岐流路33bと第2分岐流路33cとの両方に同時期に給水されるとき、給水装置16がリム給水管25を通して水洗便器本体2の洗浄用に直接供給する洗浄水の単位時間当たりの流量は、流入管23を通して貯水タンク10に給水を行う洗浄水の単位時間当たりの流量よりも大きく、第1分岐流路33bを通って供給される洗浄水の単位時間当たりの流量は、第2分岐流路33cを通って供給される洗浄水の単位時間当たりの流量よりも大きい。
【0060】
流路分岐部33において、分岐前流路33aから第2分岐流路33cを介して排水弁水圧駆動部14に給水を行うとき、排水弁水圧駆動部14に接続する第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力が高まる場合がある。このような場合には、洗浄水が分岐前流路33aから第2分岐流路33cに流入しにくくなり、洗浄水が第2分岐流路33cへの入口部分において滞留しやすくなる。このような場合に、第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力の増加を第2圧力弁40により抑制するように調整でき、流路分岐部33における洗浄水の流動の乱れを生じさせることを抑制できる。
【0061】
また、例えば洗浄水が流路分岐部33から第1分岐流路33bと第2分岐流路33cとの両方に同時期に供給される場合において、第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力を第2圧力弁40により調整すると共に第1分岐流路33b内の洗浄水の圧力を第1圧力弁38により調整し、第2分岐流路33cと第1分岐流路33bとの洗浄水の圧力差の増大を抑制できる。
【0062】
また、例えば、分岐前流路33aから第2分岐流路33cを介して排水弁水圧駆動部14に給水を行っている途中において、排水弁水圧駆動部14内の水圧が変化するとき、例えばピストン14bが上部まで移動して流出管24が開口されるときや、クラッチ機構22が切断されるとき等、第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力の増加や変動を第2圧力弁40により抑制するように調整でき、流路分岐部33における洗浄水の流動の乱れを生じさせることを抑制できる。
【0063】
第1圧力弁38及び第2圧力弁40の構成により、第2分岐流路33cと第1分岐流路33bとの洗浄水の圧力差の増大や、流路分岐部33における洗浄水の流動の乱れ等により、分岐した洗浄水が第1分岐流路33b及び第2分岐流路33cのうち第1分岐流路33b側に規定分配量の想定よりも偏って流入してしまう事象が生じることを抑制できる。より具体的には、例えば第1分岐流路33b側に通水する予定の規定の流量よりも多くの流量が第1分岐流路33b側に流れ、第2分岐流路33c側に通水する予定の規定の流量よりも少ない流量が第2分岐流路33c側に流れるような流量の偏りを生じることを抑制できる。
なお、本実施形態は、上述のように、洗浄水が流路分岐部33において給水管32から第1分岐流路33bと第2分岐流路33cとの両方に同時期に給水される場合に限られず、洗浄水が流路分岐部から第2分岐流路33cのみに供給されている場合に、流路分岐部33における洗浄水の流動の乱れを生じさせることを抑制できる。
【0064】
このように、分岐前流路33aから供給された洗浄水は、流路分岐部33において、同時期に2つの流路に洗浄水が供給される場合であっても、第1分岐流路33bに流入する既定の流量の流れと、第2分岐流路33cに流入する既定の流量の流れと、により分岐しやすくできる。
【0065】
次に、再び、流入管23に流入した洗浄水が、排水弁水圧駆動部14に流入する動作から洗浄水タンク装置4等の動作の続きを説明する。
排水弁水圧駆動部14においてピストン14bが押し上げられ、これに伴いロッド15及び排水弁12が所定位置まで引き上げられると、クラッチ機構22が、下部ロッド15b及び排水弁12を、上部ロッド15aから切り離す。これにより、タンク側給水弁18の開弁中においては、上部ロッド15aはピストン14bと共に上方に押し上げられたままになる一方、下部ロッド15b及び排水弁12は、自重により降下する。しかしながら、切り離された下部ロッド15bは、排水弁フロート機構26の係合部26bと係合し、下部ロッド15b及び排水弁12の降下が阻止される。これにより、クラッチ機構22が切り離された後も貯水タンク10の排水口10aは開弁されたままとなり、貯水タンク10からの排水が継続される。
【0066】
また、流入管23から排水弁水圧駆動部14のシリンダ14aに洗浄水が流入し、ピストン14bがシリンダ14aの上部まで押し上げられると、シリンダ14a内の洗浄水は、流出管24を通って流出するようになる。また、流入管23からシリンダ14aに流入した水の一部は、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間14dから流出し、この水は、貯水タンク10に流入する。一方、流出管24を通って流出した洗浄水の一部はオーバーフロー管10bの中に流入し、残りの洗浄水は貯水タンク10内に流入する。即ち、排水弁水圧駆動部14から流出した洗浄水の一部は貯水タンク10内に流入し、残りのオーバーフロー管10bの中に流入した洗浄水は、排水弁12をバイパスしてゼット吐水口2bから水洗便器本体内に流入する。なお、流出管24を通って貯水タンク10に流入する洗浄水の流量は、排水弁12が開弁されることにより排水口10aから排出される洗浄水の流量よりも少ないため、この状態では貯水タンク10内の水位は低下する。
【0067】
次いで、貯水タンク10内の洗浄水の排出により、貯水タンク10内の水位が低下すると、フロートスイッチ34が水位を検知していない状態となる。これにより、コントローラ28は、排水制御用電磁弁20を、電磁弁側パイロット弁18cをパイロット弁口から離座させたままとするように制御する。タンク側給水弁18は開弁されたまま維持される。
【0068】
次いで、貯水タンク10内の洗浄水が排水口10aから排出されることにより、貯水タンク10内の水位が所定水位まで低下すると、排水弁フロート機構26のフロート部26aが下降し、これが係合部26bを移動させる。これにより、下部ロッド15bと係合部26bとの係合が解除され、下部ロッド15b及び排水弁12は再び降下し始める。そして、所定時間経過後に、貯水タンク10の排水口10aが排水弁12により閉弁され、排水口10aから流出した洗浄水のゼット吐水口2bからの吐水が停止される。
【0069】
さらに、排水口10aが閉弁された後も、タンク側給水弁18は開弁された状態にあるため、給水管32から供給された水が排水弁水圧駆動部14に流入し、流出管24へ流出する。流出管24から流出した洗浄水の一部は、第1下降管24bを通ってオーバーフロー管10bに流入する。従って、排水口10aが閉弁された後も、オーバーフロー管10bに流入した洗浄水は、ゼット吐水口2bを通ってボウル部2a内に小流量で流入し、流入した洗浄水はリフィール水として利用される。また、流出管24から流出した洗浄水の残りの一部は、第2下降管24cを通って貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。
【0070】
さらに、コントローラ28は、洗浄開始後所定時間経過後に、給水制御用電磁弁21に制御信号を送り、便器本体側給水弁19の電磁弁パイロット弁19cを閉弁させる。これにより、水洗便器本体2のリム吐水口2dからの吐水が停止される。なお、ゼット吐水の終了後、リム吐水口2dから吐出された洗浄水もボウル部2a内に流入し、リフィール水として利用される。便器本体側給水弁19が閉弁された後も、タンク側給水弁18は開弁状態に維持され、排水弁水圧駆動部14を通って、第1下降管24bからオーバーフロー管10bに流入した洗浄水は、ボウル部2aのリフィールに利用される。
【0071】
次いで、貯水タンク10内の水位が所定の止水水位L1まで上昇すると、フロートスイッチ34が水位を検知した状態となり、コントローラ28は、排水制御用電磁弁20を制御して、電磁弁側パイロット弁18cを移動させて、パイロット弁口を閉弁させる。これにより、制御弁本体部18a内の圧力室の圧力が上昇して主弁体18bを閉弁させ、タンク側給水弁18が閉弁状態となる。以上により、貯水タンク10への給水が停止される。なお、変形例として、タンク側給水弁18が閉弁状態にされた後まで、便器本体側給水弁19の開弁状態が維持され、タンク側給水弁18が閉弁された後に便器本体側給水弁19が閉弁されるように本発明を構成することもできる。また、他の変形例として、フロートスイッチ34を配置せず、コントローラ28が、レバーハンドル8の操作信号受信による洗浄開始時から、所定時間経過後に、排水制御用電磁弁20を制御して、電磁弁側パイロット弁18cを移動させて、パイロット弁口を閉弁させる制御を行うように構成されてもよい。また、さらに他の変形例として、フロートスイッチ34に代えて機械式のフロート装置を配置し、機械式のフロート装置の水位の検知により、フロート側パイロット弁を移動させて、パイロット弁口を閉弁、又は開弁させてもよい。
【0072】
一方、タンク側給水弁18が閉弁されることにより、排水弁水圧駆動部14への水の供給が停止されると、排水弁水圧駆動部14のピストン14bは、スプリング14cの付勢力により押し下げられる。ピストン14bと共に上部ロッド15aが押し下げられると、クラッチ機構22により切り離されていた上部ロッド15aと下部ロッド15bが再び連結される。このため、次回、便器洗浄が実行された時は、上部ロッド15a及び下部ロッド15bは、ピストン14bにより共に引き上げられる。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
【0073】
上述した本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、給水装置16の流路分岐部33の第2分岐流路33cは、排水弁水圧駆動部14に接続された排水弁水圧駆動部14側流路に接続される。通常、排水弁水圧駆動部14は、排水弁を駆動するために比較的大きな洗浄水の圧力が必要になる。これにより、排水弁水圧駆動部14側流路に接続する第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力が増大されたり変動されたりする可能性がある。また、第1分岐流路33b又は第2分岐流路33cの一方が開弁した状態においては、必要以上の洗浄水の水圧が発生することになり、例えば、水洗便器側流路に接続される第1分岐流路33bのみが開弁した状態となると、水洗便器側の開口部分から洗浄水が飛び散る可能性がある。これに対し、第1分岐流路33b内の洗浄水の圧力の増大や変動を第1圧力弁により抑制できる。また、洗浄水が流路分岐部33から第2分岐流路33cに供給される場合等において、第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力の増大や変動を第2圧力弁40により抑制できる。従って、洗浄水が流路分岐部33において圧力の増大等により第1分岐流路33b又は第2分岐流路33cに偏って流れ、流路分岐部33において流動の乱れを生じさせることを抑制できる。よって、流路分岐部33を備えた給水装置16からの給水性能を向上できる。また、例えば、洗浄水が分岐前流路33aから第1分岐流路33bと第2分岐流路33cとの両方に同時期に供給される場合等において、第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力を第2圧力弁40により調整すると共に第1分岐流路33b内の洗浄水の圧力を第1圧力弁38により調整し、第2分岐流路33cと第1分岐流路33bとの洗浄水の圧力差の増大を抑制できる。従って、洗浄水が分岐前流路33aから第1分岐流路33b及び第2分岐流路33cのうち第1分岐流路33b側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることを抑制できる。よって、流路分岐部33を備えた給水装置16からの給水性能を向上できる。
【0074】
さらに、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、第1圧力弁38は、便器本体側給水弁19よりも上流側に設けられ、第2圧力弁40は、タンク側給水弁18よりも上流側に設けられる。これにより、便器本体側給水弁19及びタンク側給水弁18の上流側において洗浄水の流動の乱れを抑制し洗浄水の流れを整えやすくでき、洗浄水の流動の乱れが便器本体側給水弁19及びタンク側給水弁18の開閉動作に影響を与える可能性をより低減できる。
【0075】
さらに、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、リム給水管25は、水洗便器本体2のボウル部2aに洗浄水を供給するように大気開放された開口部を備えている。これにより、リム給水管25への洗浄水の供給時に、第1分岐流路33b内の洗浄水の圧力は大気圧よりも高まりにくくできる一方、排水弁水圧駆動部14への給水時には排水弁水圧駆動部14に接続する第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力が高まる場合がある。よって、洗浄水が、流路分岐部33から第1分岐流路33bと第2分岐流路33cとの両方に同時期に供給される場合において、第2分岐流路33cと第1分岐流路33bとの洗浄水の圧力差が生じる可能性がある。これに対し、本発明の一実施形態の構造によれば、第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力を第2圧力弁40により調整すると共に第1分岐流路33b内の洗浄水の圧力を第1圧力弁38により調整し、第2分岐流路33cと第1分岐流路33bとの洗浄水の圧力差の増大をより抑制できる。従って、洗浄水が分岐前流路33aから第1分岐流路33b及び第2分岐流路33cのうち第1分岐流路33b側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることを抑制できる。
【0076】
さらに、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、第1圧力弁38及び第2圧力弁40の少なくとも一方は、定流量弁により構成され、流路内の洗浄水の圧力を定流量弁により調整できると共に、定流量弁により洗浄水の流量もより安定化できる。従って、洗浄水が流路分岐部33において第1分岐流路33b及び第2分岐流路33cのうち第1分岐流路33b側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることをより抑制できる。
【0077】
さらに、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、第1圧力弁38及び第2圧力弁40の少なくとも一方は、圧力調整弁により構成され、流路内の洗浄水の圧力の変動等を圧力調整弁により抑制できる。従って、洗浄水が分岐前流路33aから第1分岐流路33b及び第2分岐流路33cのうち第1分岐流路33b側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることをより抑制できる。
【0078】
さらに、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、第1圧力弁38は、定流量弁により構成され、第2圧力弁40は、圧力調整弁により構成される。第1分岐流路33b内の洗浄水の圧力の変動等を定流量弁により抑制できると共に、定流量弁により洗浄水の流量もより安定化でき、第2分岐流路33c内の洗浄水の圧力の変動等を圧力調整弁により抑制できる。従って、洗浄水が分岐前流路33aから第1分岐流路33b及び第2分岐流路33cのうち第1分岐流路33b側に偏って流れ、流動の乱れを生じさせることをさらに抑制できる。
【0079】
さらに、本発明の一実施形態は、水洗便器装置1であって、水洗便器本体2と、給水装置16の流路分岐部33において流動の乱れを生じさせることを抑制できる洗浄水タンク装置4と、を有することを特徴としている。
【符号の説明】
【0080】
1 :水洗便器装置
2 :水洗便器本体
2a :ボウル部
4 :洗浄水タンク装置
10 :貯水タンク
10a :排水口
12 :排水弁
14 :排水弁水圧駆動部
16 :給水装置
24a :分岐部
33 :流路分岐部
33a :分岐前流路
33a :岐前流路
33b :第1分岐流路
33c :第2分岐流路
38 :第1圧力弁
40 :第2圧力弁