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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034499
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140759
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小幡 恭士
(72)【発明者】
【氏名】藤原 克博
(72)【発明者】
【氏名】中塚 悠介
(72)【発明者】
【氏名】濱田 誠
(57)【要約】
【課題】洗剤弁を開閉する際にこの洗剤弁にかかる負荷を低減することができる浴槽洗浄装置を提供すること。
【解決手段】浴槽に配設された洗浄ノズル(5)と、湯水を貯留する湯水貯留部(15)と、湯水貯留部(15)と洗浄ノズル(5)を接続する湯水通路(14)と、湯水通路(14)に介装されたポンプ(16)と、ポンプ(16)と洗浄ノズル(5)の間の湯水通路(14)に介装された洗剤混合部(17)と、洗剤混合部(17)に対して洗剤の供給と停止を切り替えるために開閉する洗剤弁(7b)と、ポンプ(16)を駆動して洗浄ノズル(5)に向けて湯水通路(14)内に送り出された湯水に洗剤混合部(17)で洗剤を混合して生成した洗浄液の洗浄ノズル(5)からの噴射を制御する制御部(20)を備えた浴槽洗浄装置(10)において、制御部(20)は、洗浄液の噴射を停止する場合に、ポンプ(16)の停止指令を出してから予め設定された遅延時間が経過した後で洗剤弁(7b)を閉じる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に配設された洗浄ノズルと、湯水を貯留する湯水貯留部と、前記湯水貯留部と前記洗浄ノズルを接続する湯水通路と、前記湯水通路に介装されたポンプと、前記ポンプと前記洗浄ノズルの間の前記湯水通路に介装された洗剤混合部と、前記洗剤混合部に対して洗剤の供給と停止を切り替えるために開閉する洗剤弁と、前記ポンプを駆動して前記洗浄ノズルに向けて前記湯水通路内に送り出された湯水に前記洗剤混合部で洗剤を混合して生成した洗浄液の前記洗浄ノズルからの噴射を制御する制御部を備えた浴槽洗浄装置において、
前記制御部は、前記洗浄液の噴射を停止する場合に、前記ポンプの停止指令を出してから予め設定された遅延時間が経過した後で前記洗剤弁を閉じることを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄液の噴射が複数回行われるように構成され、
前記制御部は、少なくとも2回目以降の前記洗浄液の噴射を開始する場合に、前記ポンプが停止した状態で前記洗剤弁を開き、前記洗剤混合部に対して洗剤を供給可能な状態で前記ポンプの駆動指令を出すことを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ポンプの設定回転数を所定の停止準備回転数まで下げた後で前記停止指令を出すことを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽を自動洗浄する浴槽洗浄装置に関し、特に低い上水供給圧に対応可能なように湯水を貯留する湯水貯留部を備えた浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽を自動洗浄する浴槽洗浄装置が利用されている。浴槽洗浄装置は、浴槽内に洗浄液を噴射して浴槽に付着している汚れを浮かせ、湯水を噴射して洗い流すことにより浴槽の洗浄を行う。
【0003】
例えば特許文献1のように、注湯弁を開いて上水の供給圧によって流動する湯水に、洗剤弁を開いて洗剤混合部であるベンチュリで洗剤を混合して洗浄液を生成し、この洗浄液を洗浄ノズルから噴射する浴槽洗浄装置が知られている。この浴槽洗浄装置は、浴槽の洗浄中に洗浄液を複数回噴射するように構成され、前回の噴射によって浴槽に付着している洗浄液を湯水で洗い流さないように、洗浄液の噴射開始時に洗剤弁を開いてから注湯弁を開くことが記載されている。
【0004】
また、特許文献2のように、上水の供給圧によって流動する湯水を使用して、洗浄液噴射工程の前に湯水を噴射する予備すすぎ工程を行い、予備すすぎ工程の終了時に洗剤弁を開いて洗浄ノズルまでの湯水通路内に洗浄液を準備する浴槽洗浄装置が知られている。これにより洗浄液噴射工程では、すぐに洗浄液を噴射することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-146746号公報
【特許文献2】特開2018-50649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上水の供給圧が低い地域、建物では、上記特許文献1、2の浴槽洗浄装置では洗浄ノズルから十分な勢いで洗浄液及び湯水を噴射することが困難であるため、十分に洗浄できない場合がある。そこで、上水の供給圧が低い場合に対応するために、湯水貯留部に貯留した湯水をポンプの駆動によって洗浄ノズルに供給して、湯水、洗剤弁を開けて生成した洗浄液を噴射するように構成された浴槽洗浄装置が知られている。
【0007】
このような浴槽洗浄装置は、洗浄液の噴射を停止するときにはポンプを停止すると共に洗剤弁を閉じる。このとき、洗剤弁が例えば電磁弁である場合には、洗剤弁を瞬時に閉じることができる。一方、ポンプは、停止指令を出しても慣性によって瞬時には停止しない。それ故、洗剤弁が閉じた状態で湯水が流動するので、洗剤弁の上流側に対して洗剤弁の下流側である洗剤混合部側が負圧になる。これにより、洗剤混合部側に引き込む力が洗剤弁の弁体に作用するので、洗剤弁に負荷がかかることになる。
【0008】
一方、洗浄液の噴射を開始するときには、ポンプを駆動すると共に洗剤弁を開く。ポンプの駆動により湯水が流動し、洗剤弁の洗剤混合部側が負圧になる状態で洗剤混合部側に引き込む力に抗して弁体を動かして洗剤弁を開くので、洗剤弁に負荷がかかる。
【0009】
ここで、洗剤弁の弁体は、公差等を吸収して弁座に密着可能な例えばゴムのような弾性材料で形成される場合が多い。浴槽を洗浄するときには洗浄液の噴射と停止が繰り返し行われるので、洗剤混合部側に引き込む力が繰り返し弁体に作用して変形し、洗剤弁の耐久性が損なわれる虞がある。
【0010】
本発明の目的は、洗剤弁を開閉する際にこの洗剤弁にかかる負荷を低減することができる浴槽洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明の浴槽洗浄装置は、浴槽に配設された洗浄ノズルと、湯水を貯留する湯水貯留部と、前記湯水貯留部と前記洗浄ノズルを接続する湯水通路と、前記湯水通路に介装されたポンプと、前記ポンプと前記洗浄ノズルの間の前記湯水通路に介装された洗剤混合部と、前記洗剤混合部に対して洗剤の供給と停止を切り替えるために開閉する洗剤弁と、前記ポンプを駆動して前記洗浄ノズルに向けて前記湯水通路内に送り出された湯水に前記洗剤混合部で洗剤を混合して生成した洗浄液の前記洗浄ノズルからの噴射を制御する制御部を備えた浴槽洗浄装置において、前記制御部は、前記洗浄液の噴射を停止する場合に、前記ポンプの停止指令を出してから予め設定された遅延時間が経過した後で前記洗剤弁を閉じることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、浴槽洗浄装置は、ポンプの駆動によって洗浄ノズルに供給される湯水に洗剤弁を開けて洗剤混合部で洗剤を混合した洗浄液を生成し、この洗浄液を洗浄ノズルから噴射する。洗浄液の噴射を停止する場合には、ポンプの停止指令を出してから予め設定された遅延時間が経過するまで洗剤弁を開いておき、遅延時間が経過してから洗剤弁を閉じる。遅延時間が経過するまでにポンプの回転数が低下又はポンプが停止し、洗剤弁の洗剤混合部側の負圧が小さくなり又は負圧が解消されて、洗剤混合部側に引き込む力が弱まった状態又は作用しない状態で洗剤弁を閉じるので、洗浄液の噴射を停止する際の洗剤弁にかかる負荷を低減することができる。
【0013】
請求項2の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1の発明において、前記洗浄液の噴射が複数回行われるように構成され、前記制御部は、少なくとも2回目以降の前記洗浄液の噴射を開始する場合に、前記ポンプが停止した状態で前記洗剤弁を開き、前記洗剤混合部に対して洗剤を供給可能な状態で前記ポンプの駆動指令を出すことを特徴としている。
上記構成によれば、洗剤混合部側に引き込む力が作用しない状態で洗剤弁を開くので、洗浄液噴射を開始する際の洗剤弁の負荷を低減することができる。また、ポンプを駆動して湯水の流動開始時から洗剤を混合することができるので、前回噴射した洗浄液を湯水で洗い流すことを回避することができる。
【0014】
請求項3の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1又は2の発明において、前記制御部は、前記ポンプの設定回転数を所定の停止準備回転数まで下げた後で前記停止指令を出すことを特徴としている。
上記構成によれば、ポンプの設定回転数を停止準備回転数まで下げて洗剤混合部側に引き込む力を弱めた状態又はこの力が作用しない状態でポンプの停止指令を出し、このポンプの停止指令から設定された遅延時間が経過した後で洗剤弁を閉じる。従って、確実に洗剤混合部側に引き込む力が作用しない状態で洗剤弁を閉じることができるので、洗浄液噴射を停止する際の洗剤弁の負荷を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の浴槽洗浄装置によれば、洗剤弁を開閉する際にこの洗剤弁にかかる負荷を低減することができるので、洗剤弁の耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る浴槽洗浄装置の構成図である。
図2】実施例に係る浴槽洗浄装置による浴槽洗浄運転のフローチャートである。
図3】浴槽洗浄運転における電磁弁制御のフローチャートである。
図4】浴槽洗浄運転の洗浄液噴射におけるタイムチャートの例である。
図5図4の洗浄液噴射の噴射停止時の変形例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0018】
最初に、本発明の浴槽洗浄装置10の周辺機器を含む全体構成について、図1に基づいて説明する。浴槽1の湯張り、追焚きのために、浴槽1と給湯装置2が、湯張り追焚き通路3と循環アダプタ1aを介して接続されている。また、浴槽1の底部には、矢印Dで示すように湯水を排水するための例えば電動式の排水栓4と、湯水、洗浄液を噴射(散布)して浴槽1を洗浄するための洗浄ノズル5が配設されている。
【0019】
浴槽1の近傍には、湯水、洗浄液を洗浄ノズル5に供給する供給ユニット6と、供給ユニット6に供給する洗剤をためておく洗剤タンク7と、排水栓4の開栓操作、閉栓操作を行うための排水スイッチ8が配設されている。供給ユニット6には、給湯装置2から湯水を供給するための給湯通路2aが接続されている。
【0020】
また、例えば浴室の天井裏に配設された電源通信ユニット9は、供給ユニット6に電力供給可能且つ通信可能に接続されている。この電源通信ユニット9は、浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転等を制御する制御部20を備えている。浴槽洗浄装置10は、洗浄ノズル5、供給ユニット6、洗剤タンク7、排水スイッチ8、排水栓4、電源通信ユニット9(制御部20)等によって構成されている。
【0021】
給湯装置2は、例えば燃料の燃焼熱を利用して、矢印Wで示す上水を加熱して給湯通路2aを介して給湯する燃焼式給湯装置である。浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転の開始又は給湯栓Fの開栓により給湯使用が開始されると、給湯装置2内の湯水の流動を検知して給湯運転が開始される。浴槽洗浄運転の終了又は給湯栓Fの閉栓により給湯使用が終了すると、給湯装置2内の湯水の流動停止を検知して給湯運転が終了する。尚、給湯装置2は、ヒートポンプ式熱源機等他の熱源機を有する給湯装置であってもよい。
【0022】
給湯装置2には、浴槽1の湯張り運転、追焚き運転等の開始操作、及び給湯設定温度の設定操作等を行うための浴室リモコン11、台所リモコン12が通信可能に接続されている。また、制御部20には、浴槽洗浄装置10による浴槽洗浄運転の開始操作等を行うための洗浄リモコン13が通信可能に接続されている。そして、給湯装置2と制御部20とが通信可能に接続され、例えば待機中、浴槽洗浄運転中、追焚き運転中、燃焼給湯中のような装置状態を互いに取得する。
【0023】
次に、浴槽洗浄装置10について説明する。
浴槽洗浄装置10の供給ユニット6は、給湯通路2aからの湯水を洗浄ノズル5に供給する湯水通路14と、湯水を貯留するために湯水通路14の途中に設けられた湯水タンク15(湯水貯留部)と、洗浄ノズル5に向けて湯水タンク15の湯水を送り出すためのポンプ16等を有する。ポンプ16と洗浄ノズル5の間(ポンプ16の下流側)の湯水通路14には、ベンチュリ17が介装されている。ベンチュリ17は、洗浄ノズル5に供給するためにポンプ16によって送り出された湯水に洗剤を混合する洗剤混合部に相当する。
【0024】
湯水通路14は、フィルタ14aを介して給湯通路2aに接続され、湯水タンク15よりも上流側且つフィルタ14aの下流側に、分岐して合流する並列通路部18を有する。並列通路部18では、2つの分岐通路18a,18bが並列に接続されている。
【0025】
分岐通路18aは、この分岐通路18aを開閉するための第1電磁弁18cと、定流量弁18eを備えている。分岐通路18bは、この分岐通路18bを開閉するための第2電磁弁18dと、定流量弁18fを備えている。これら定流量弁18e,18fは、ポンプ16の吐出能力よりも小さい流量に夫々制限すると共に、2つの合計の流量がポンプ16の通常流量よりも大きくなるものが選ばれている。分岐通路18a,18bにおける流量は、第1、第2電磁弁18c,18dを開けたときに互いに等しくなる。
【0026】
ポンプ16とベンチュリ17の間の湯水通路14には、温度センサ19、流量センサ14b等を備えている。ベンチュリ17には、洗剤タンク7から洗剤を供給するための洗剤通路7aが接続され、ベンチュリ17で湯水の流動によって発生する負圧を利用して洗剤通路7aから洗剤が流動する湯水に供給される。この洗剤通路7aは、洗剤の供給と停止を切り替えるために開閉する洗剤電磁弁7b(洗剤弁)を備えている。図示を省略するが、洗剤電磁弁7bは、非通電時に流路に設けられた弁座に弾性材料で形成された弁体を密着させて流路を閉止し、通電時に弁座から弁体を離隔させて流路を開く一般的な直動式の電磁弁である。
【0027】
制御部20は、排水栓4の開閉、第1、第2電磁弁18c,18dの開閉、洗剤電磁弁7bの開閉、ポンプ16の駆動及び停止が可能なように接続されている。また、制御部20は、排水スイッチ8の操作に応じて排水栓4を開閉可能である。そして、制御部20には、湯水タンク15の水位を検知するフロートスイッチ15aと、洗剤タンク7の洗剤の液面を検知するフロートスイッチ7cが接続されている。
【0028】
湯水タンク15には、第1水位Lと、第1水位Lよりも高水位の第2水位Hが設定されている。第1水位Lは、水位の制御のために予め設定された湯水タンク15の下限水位に対応する。第2水位Hは、水位の制御のために予め設定された湯水タンク15の上限水位に対応する。湯水タンク15に貯留される湯水のうち、上限水位を超えた湯水は湯水タンク15のオーバーフロー口15bから浴槽パンに流れ、図示外の浴室の排水口から排水される。
【0029】
制御部20は、例えば演算装置と記憶装置と入出力装置等を備えたコンピュータであり、記憶装置に格納された制御プログラム等に基づいて、浴槽1を洗浄する浴槽洗浄運転、排水栓4の開閉等を制御する。例えば洗浄リモコン13の操作によって浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転の開始操作が行われると、制御部20は浴槽洗浄運転を実行する。また、制御部20は、排水スイッチ8の操作を検知して排水栓4を駆動(開栓→閉栓、又は、閉栓→開栓)し、次の排水スイッチ8の操作又は制御部20の指令があるまで排水栓4の開閉状態が維持される。
【0030】
浴槽洗浄運転では、制御部20は、排水栓4を開栓し、第1、第2電磁弁18c,18d、洗剤電磁弁7b等の開閉、ポンプ16の駆動等を制御する。この浴槽洗浄運転について、図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0031】
浴槽洗浄運転が開始されると、S1において、排水栓4を開栓してS2に進む。そしてS2において、浴槽1内に洗浄ノズル5から湯水を所定の予備洗浄時間(例えば40秒)だけ噴射する予備洗浄を行う。予備洗浄では、給湯装置2から供給される湯水を湯水タンク15に貯留しながら、流量センサ14bが検知する流量が予め設定された供給流量となるようにポンプ16を駆動して、洗剤電磁弁7bを閉じたまま洗浄ノズル5から湯水を噴射する。このとき、湯水タンク15の水位が第1水位Lと第2水位Hの間となるように、第1、第2電磁弁18c,18dについて電磁弁制御を行う。
【0032】
電磁弁制御では、例えば図3のように、S11において第1、第2電磁弁18c,18dの両方を開けてS12に進み、S12において湯水タンク15の水位が第2水位H(上限水位)に到達したか否か判定する。S12の判定がNoの場合は第1、第2電磁弁18c,18dを開けたままS12に戻り、S12の判定がYesの場合はS13に進む。
【0033】
S13において、例えば第1電磁弁18cを開けたまま第2電磁弁18dを閉じてS14に進み、S14において湯水タンク15の水位が第1水位L(下限水位)に到達(低下)したか否か判定する。S14の判定がNoの場合は第1、第2電磁弁18c,18dの開閉状態を維持したままS14に戻り、S14の判定がYesの場合はリターンしてこの電磁弁制御を最初から始める。ポンプ16を停止する際には第1、第2電磁弁18c,18dを閉じる。
【0034】
この電磁弁制御は、予備洗浄後の洗浄液噴射、すすぎ洗浄においても同様に行われる。尚、S13では、毎回同じ電磁弁を閉じるようにしてもよく、前回と異なる電磁弁を閉じるようにしてもよい。
【0035】
図2のS2の予備洗浄が終わるとS3に進み、S3において洗浄液噴射を行って汚れを浮かせる。この洗浄液噴射では、洗剤電磁弁7bを開けて、ポンプ16の駆動により洗浄ノズル5に供給される湯水にベンチュリ17で洗剤を混合した洗浄液を、所定の噴射時間だけ洗浄ノズル5から噴射した後、所定の待機時間待機する。この洗浄液の噴射と待機を予め設定された回数(例えば7回)だけ繰り返し行う。
【0036】
例えば図4に示すように、洗浄液噴射の初回(1回目)の噴射では、停止しているポンプ16の設定回転数を、時刻t1で予め設定された供給流量R1となる設定回転数P1に設定してポンプ16に駆動指令を出す。そして、流量センサ14bの検知流量が供給流量R1になることを確認する。次に時刻t2において、洗剤電磁弁7bを開いてベンチュリ17に洗剤を供給し、湯水に洗剤を混合した洗浄液を洗浄ノズル5から噴射する。尚、初回の噴射では、供給流量R1になるように設定回転数P1を更新設定し、この更新した設定回転数P1を次回以降の噴射時のポンプ16の回転数とすることができる。
【0037】
時刻t2から所定の噴射時間が経過した時刻t3で、ポンプ16の設定回転数をゼロにしてポンプ16に停止指令を出す。そして、時刻t3から予め設定された遅延時間DT(例えば1秒)が経過した時刻t4で洗剤電磁弁7bを閉じ、ポンプ16に停止指令を出した時刻t3から所定の待機時間が経過するまで待機する。
【0038】
ポンプ16に停止指令を出しても、慣性によって瞬時にはポンプ16が停止しないので、ポンプ16に停止指令を出してから洗剤電磁弁7bを閉じるタイミングを遅延時間DTだけ後にずらしている。これにより、洗浄ノズル5に供給される湯水の供給流量が供給流量R1よりも低下した状態又は供給流量がゼロの状態になるので、ベンチュリ17で発生する負圧が弱まる、又は解消される。従って、負圧によりベンチュリ17側に洗剤電磁弁7bの弁体を引き込む力が弱まった状態で、又は作用しない状態で、洗剤電磁弁7bを閉じることができる。尚、初回の噴射時間は、ベンチュリ17から洗浄ノズル5までの湯水を洗浄液で押し出すことを考慮して、2回目以降の噴射時間よりも長くしてもよい。
【0039】
待機時間が経過した時刻t5において2回目の噴射のために洗剤電磁弁7bを開いた後、時刻t6において停止しているポンプ16の設定回転数を設定回転数P1にしてポンプ16に駆動指令を出し、洗浄液を噴射する。時刻t5と時刻t6の間は、所定の噴射時間に対して短い時間(例えば0.2秒程度)である。ポンプ16を駆動する前に洗剤を供給可能な洗剤電磁弁7bを開いた状態にするので、ベンチュリ17で負圧が発生せず、ベンチュリ17側に洗剤電磁弁7bの弁体を引き込む力が作用しない状態で、洗剤電磁弁7bを開くことができる。
【0040】
時刻t5から所定の噴射時間が経過した時刻t7で、初回の噴射と同様に、ポンプ16の設定回転数をゼロにしてポンプ16に停止指令を出す。そして時刻t7から遅延時間DTが経過した時刻t8において、洗浄ノズル5に供給される湯水の供給流量が低下した状態又はゼロの状態で洗剤電磁弁7bを閉じ、所定の待機時間が経過するまで待機する。
【0041】
浴槽洗浄装置10は、上記2回目の噴射と同じ動作を最終回の1つ前の回の噴射まで繰り返す。このとき洗浄ノズル5に供給される湯水の供給流量が低下した状態又はゼロの状態なのでベンチュリ17での負圧が弱まり又は負圧が発生しない。従って、洗剤電磁弁7bの開閉は、ベンチュリ17側に洗剤電磁弁7bの弁体を引き込む力が弱い状態又はこの力が作用しない状態で行われ、洗剤電磁弁7bにかかる負荷が軽減される。尚、2回目以降の噴射時間は、ポンプ16の駆動指令を出すときを起点に計時してもよい。
【0042】
最終回の噴射では、洗剤電磁弁7bを閉じたまま、時刻t9において停止しているポンプ16の設定回転数を設定回転数P1にしてポンプ16に駆動指令を出す。これにより、ベンチュリ17と洗浄ノズル5の間の湯水通路14に残っている洗浄液を湯水で押し出して噴射し、洗浄液を使い切る。そして時刻t9から所定の噴射時間が経過した時刻t10で、ポンプ16の設定回転数をゼロにしてポンプ16に停止指令を出し、時刻t10から所定の待機時間の経過後に洗浄液噴射を終了する。尚、湯水及び洗浄液の噴射時間、待機時間、遅延時間、供給流量等は浴槽洗浄装置10の能力等に応じて適宜設定することができる。
【0043】
S3の洗浄液噴射が終わるとS4に進み、S4においてすすぎ洗浄を行う。すすぎ洗浄は、S2の予備洗浄と同様に洗剤電磁弁7bを閉じたまま湯水を所定のすすぎ時間(例えば60秒)だけ噴射して汚れを洗い流す。S4のすすぎ洗浄が終わるとS5に進み、S5において第1、第2電磁弁18c,18dを閉じて湯水タンク15が空になるまでポンプ16を駆動するタンク排水を行った後、浴槽洗浄運転を終了する。
【0044】
洗浄液噴射においてポンプ16を停止する場合には、例えば図5のように時刻tnでポンプ16の設定回転数P1を所定の停止準備回転数P2まで下げた後、時刻tn+1でポンプ16の設定回転数をゼロにしてポンプ16に停止指令を出すこともできる。停止準備回転数P2は、設定回転数P1の場合よりもベンチュリ17で発生する負圧が弱い又は負圧が発生しないような少ない供給流量R2となる回転数に設定されている。供給流量R2に低下させた状態の時刻tn+1でポンプ16に停止指令を出すので、この時刻tn+1から遅延時間DTが経過した時刻tn+2で洗剤電磁弁7bを閉じる際には、図4の場合よりも確実に供給流量が低下した状態又は供給流量がゼロの状態になり、ベンチュリ17側に引き込む力が洗剤電磁弁7bに作用しない状態になる。
【0045】
上記の浴槽洗浄装置10の作用、効果について説明する。
浴槽洗浄装置10は、ポンプ16の駆動によって洗浄ノズル5に供給される湯水に洗剤電磁弁7b(洗剤弁)を開けてベンチュリ17(洗剤混合部)で洗剤を混合した洗浄液を生成し、この洗浄液を洗浄ノズル5から噴射する。そして、洗浄液の噴射を停止する場合には、ポンプ16の停止指令を出してから予め設定された遅延時間DTが経過するまで洗剤電磁弁7bを開いておき、遅延時間DTが経過した後で洗剤電磁弁7bを閉じる。遅延時間DTが経過するまでにポンプ16の回転数が低下又はポンプ16が停止し、供給流量が低下し又はゼロになることによって、洗剤電磁弁7bのベンチュリ17側の負圧が小さくなる、又は解消される。それ故、遅延時間DTの経過後にベンチュリ17側に引き込む力が弱まった状態又は作用しない状態で洗剤電磁弁7bを閉じるので、洗浄液の噴射を停止する際の洗剤電磁弁7bにかかる負荷を低減することができる。
【0046】
また、洗浄液の噴射の開始時には、ベンチュリ17側に引き込む力が作用しない状態で洗剤電磁弁7bを開くので、洗浄液の噴射を開始する際の洗剤電磁弁7bにかかる負荷を低減することができる。しかも、ポンプ16を駆動して湯水の流動開始時から洗剤を混合することができるので、前回噴射した洗浄液が湯水で洗い流されてしまうことを回避できる。
【0047】
その上、ポンプ16の設定回転数を停止準備回転数P2まで下げてベンチュリ17側に引き込む力を弱めた状態又はこの力が作用しない状態でポンプ16の停止指令を出し、設定された遅延時間DTが経過した後で洗剤電磁弁7bを閉じることもできる。従って、確実にベンチュリ17側に引き込む力が作用しない状態で洗剤電磁弁7bを閉じることができるので、洗浄液の噴射を停止する際の洗剤電磁弁7bにかかる負荷を低減することができる。
【0048】
供給流量の確認を予備洗浄で行い、洗浄液噴射では初回の噴射から洗剤電磁弁7bを開けた後にポンプ16に駆動指令を出してもよい。また、洗浄液噴射の最終回の噴射でも洗剤電磁弁7bを開けて生成した洗浄液を噴射し、すすぎ洗浄で残っている洗浄液を使い切り、その後湯水で洗い流すようにしてもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0049】
1 :浴槽
1a :循環アダプタ
2 :給湯装置
2a :給湯通路
3 :湯張り追焚き通路
4 :排水栓
5 :洗浄ノズル
6 :供給ユニット
7 :洗剤タンク
7a :洗剤通路
7b :洗剤電磁弁(洗剤弁)
7c :洗剤フロートスイッチ
8 :排水スイッチ
9 :電源通信ユニット
10 :浴槽洗浄装置
11 :浴室リモコン
12 :台所リモコン
13 :洗浄リモコン
14 :湯水通路
14a:フィルタ
14b:流量センサ(流量検知手段)
15 :湯水タンク(湯水貯留部)
15a:フロートスイッチ
15b:オーバーフロー口
16 :ポンプ
17 :ベンチュリ(洗剤混合部)
18 :並列通路部
18a,18b:分岐通路
18c:第1電磁弁
18d:第2電磁弁
18e,18f:定流量弁
19 :温度センサ
20 :制御部
図1
図2
図3
図4
図5