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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000345
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】漏斗、及び容器
(51)【国際特許分類】
   B67C 11/02 20060101AFI20221222BHJP
   B31D 1/02 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B67C11/02
B31D1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101102
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】596149338
【氏名又は名称】株式会社大香
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】宮本 明日香
【テーマコード(参考)】
3E075
3E079
【Fターム(参考)】
3E075AA05
3E075BA83
3E075CA01
3E075GA05
3E079AB01
3E079HH06
3E079HH07
(57)【要約】
【課題】環境保全に寄与し取り扱い性にも優れた漏斗、及び当該漏斗が外周に巻かれた容器を提供すること。
【解決手段】漏斗は、一枚の紙20、200からなり、容器10の外周に巻いた第一形態から、錘状に湾曲形成することにより漏斗として用いる第二形態に変更可能であり、第一形態を維持する第一形態維持部21と、第二形態を維持する第二形態維持部22を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の紙からなり、
容器の外周に巻いた第一形態から、錘状に湾曲形成することにより漏斗として用いる第二形態に変更可能であり、
前記第一形態を維持する第一形態維持部と、
前記第二形態を維持する第二形態維持部を備えることを特徴とする漏斗。
【請求項2】
前記紙が長方形であり、
前記第一形態維持部として、一方の短辺側において一方の長辺から他方の長辺に向かって設けられた切り込みである第一切込と、他方の短辺側において他方の長辺から一方の長辺に向かって設けられた切り込みである第二切込とを備え、
前記第二形態維持部として、前記第一切込と前記第二切込の間の領域において何れの辺とも接さずに設けられた切り込みである第三切込を備え、
前記第一切込と前記第二切込を嵌合することで前記第一形態を維持し、
前記紙の角の一つを前記第三切込に挿入することで前記第二形態を維持することを特徴とする請求項1に記載の漏斗。
【請求項3】
前記一方の短辺と前記他方の長辺との角、又は前記他方の短辺と前記一方の長辺との角には、前記第三切込に挿入する角であることを示す目印が付けられていることを特徴とする請求項2に記載の漏斗。
【請求項4】
前記目印は、隣接する辺を結ぶ仮想線に沿う切り込みであり、前記第三切込に挿入した前記角の抜け止めを兼ねていることを特徴とする請求項3に記載の漏斗。
【請求項5】
前記第三切込は、前記目印が前記一方の短辺と前記他方の長辺との角に付けられている場合は前記一方の長辺側に設けられ、前記目印が前記他方の短辺と前記一方の長辺との角に付けられている場合は前記他方の長辺側に設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の漏斗。
【請求項6】
前記第三切込は、前記紙の短辺に対して斜めに設けられていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の漏斗。
【請求項7】
前記第三切込の斜めの向きは、前記目印が付けられた角において隣接する辺を結ぶ仮想線の向きと逆向きであることを特徴とする請求項6に記載の漏斗。
【請求項8】
前記紙の短辺に対する前記第三切込の角度は、0度以上70度以下であることを特徴とする請求項7に記載の漏斗。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の漏斗がラベルとして外周に巻かれていることを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が必要に応じて形成可能な漏斗に関する。
【背景技術】
【0002】
詰替え用の液体又は粉体を容器に入れる際、特に詰替え先の容器の口が小さい場合は液体又は粉体が零れてしまうことがあるので、漏斗を使用することがある。
ここで、特許文献1には、錐形部が紙で形成され、錐形部には、高さ方向に6本の折り目が設けられ、折り目の2つは外側に向かって開く折り癖が付いており、残りの折り目には内側に向かって開く折り癖が付いており、錘形部の側面は内側に折り畳まれ、挿入しろには2つの折り目があって平面状に折り畳まれる漏斗が開示されている。
また、特許文献2には、中心から4個又はそれ以上の分割片が折曲できる折線を設けたじょうご展開紙を、折り畳んで分割片を重合してじょうごを形成させ、中心にじょうご孔を設けて、重合した分割片を係止できるようにした折り畳み紙製じょうごが開示されている。
また、特許文献3には、上、下端に径の異なる開口部が設けられた中空多角錐形状の本体部と、開口部の小径側の縁部に一体に延設形成された導出部とを備え、本体部は、同一形状の複数の三角形片と、重合片と、係止スリットと、係止突片とを備え、三角形片は、複数が薄肉状の折れ線部を介して相互に連接されて、多角錐形状の側面展開形状に形成され、重合片は、複数が連接された三角形片のうち、一方の端側に配置された三角形片の側縁に薄肉状の折れ線部を介して突設され、係止スリットは、複数が連接された三角形片のうち、他方の端側に配置された三角形片に貫通形成され、係止突片は、重合片の側縁に突設され、本体部は、折れ線部を介して、三角形片同士が相互に積層するように折り畳まれる組立て式漏斗が開示されている。
また、特許文献4には、屈曲自在で弾力性に富む薄板で、下端を切除し、係止スリットを設けた略扇形の主体部と、扇形一側片に突設した係止部、および主体部下側の円形曲辺に突設した固定部から成り、これら主体部、係止部、固定部を一体に平面形状として形成した展開形状を有し、係止部を係止スリットに係止することで組立てる漏斗が開示されている。また、段落0034には、デザインや印刷を施して容器や梱包箱に取り外し可能にして取り付けても良いことが記載されている。
また、特許文献5には、逆円錐台形状の液体受け部と円筒状の液体流入部とからなる漏斗であって、液体受け部成形手段と液体流入部成形手段とによって一枚のブランクから一体的に成形可能である液体注入補助具が開示されている。
また、特許文献6には、容器やラベルに固着されて、または独立して提供される折畳み式の漏斗が開示されている。また、漏斗のブランク又は折畳み式の漏斗を印刷表示の基板として使用して、スポーツのプログラムやカタログ、又は広告などの印刷刊行物に組込まれ又は印刷刊行物として使用され、漏斗に形成されることが開示されている。
また、特許文献7には、水や油が濾過しにくい扇状の紙を折曲げ、合せ面を貼着することにより円錐状の漏斗を形成し、水や油の注入口に合わせた大きさに漏斗の先端を切欠して供給口を形成する紙製漏斗が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-300841号公報
【特許文献2】特開平11-70999号公報
【特許文献3】特開2004-277014号公報
【特許文献4】特開2012-166844号公報
【特許文献5】特開平11-152195号公報
【特許文献6】特表2004-529045号公報
【特許文献7】実願昭53-150489号(実開昭55-066999号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~7に記載されているような紙製の漏斗であれば、利用者が必要に応じて漏斗に形成して使用することができる。
しかしながら、紙製の漏斗は基本的に使い捨てであるため、単に漏斗として利用するだけではもったいなく、環境保全の観点から改善の余地がある。また、特許文献4、6には、漏斗にデザインや印刷を施して印刷物としても利用できることが記載されているが、漏斗の展開形状が単純ではないため、デザインや印刷を施そうとする場合に制限が大きい。
そこで本発明は、環境保全に寄与し取り扱い性にも優れた漏斗、及び当該漏斗が外周に巻かれた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の漏斗は、一枚の紙20、200からなり、容器10の外周に巻いた第一形態から、錘状に湾曲形成することにより漏斗として用いる第二形態に変更可能であり、第一形態を維持する第一形態維持部21と、第二形態を維持する第二形態維持部22を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の漏斗において、紙20、200が長方形であり、第一形態維持部21として、一方の短辺20A側において一方の長辺20Cから他方の長辺20Dに向かって設けられた切り込みである第一切込21Aと、他方の短辺20B側において他方の長辺20Dから一方の長辺20Cに向かって設けられた切り込みである第二切込21Bとを備え、第二形態維持部22として、第一切込21Aと第二切込21Bの間の領域において何れの辺とも接さずに設けられた切り込みである第三切込22Aを備え、第一切込21Aと第二切込21Bを嵌合することで第一形態を維持し、紙20、200の角の一つを第三切込22Aに挿入することで第二形態を維持することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の漏斗において、一方の短辺20Aと他方の長辺20Dとの角、又は他方の短辺20Bと一方の長辺20Cとの角には、第三切込22Aに挿入する角であることを示す目印23が付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の漏斗において、目印23は、隣接する辺を結ぶ仮想線Xに沿う切り込みであり、第三切込22Aに挿入した角の抜け止めを兼ねていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の本発明は、請求項3又は請求項4に記載の漏斗において、第三切込22Aは、目印23が一方の短辺20Aと他方の長辺20Dとの角に付けられている場合は一方の長辺20C側に設けられ、目印23が他方の短辺20Bと一方の長辺20Cとの角に付けられている場合は他方の長辺20D側に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の本発明は、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の漏斗において、第三切込22Aは、紙20、200の短辺に対して斜めに設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の漏斗において、第三切込22Aの斜めの向きは、目印23が付けられた角において隣接する辺を結ぶ仮想線Xの向きと逆向きであることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の本発明は、請求項7に記載の漏斗において、紙20、200の短辺に対する第三切込22Aの角度は、0度以上70度以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、環境保全に寄与し取り扱い性にも優れた漏斗、及び当該漏斗が外周に巻かれた容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例による漏斗を形成する一枚の紙を示す図
図2】同第一容器及び第二容器を示す図
図3】同紙を漏斗として用いる第二形態への形成手順を示す図
図4】同第二形態とした状態を示す図
図5】本発明の他の実施例による漏斗を形成する一枚の紙を示す図
図6】同第二形態の形成手順を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施の形態による漏斗は、一枚の紙からなり、容器の外周に巻いた第一形態から、錘状に湾曲形成することにより漏斗として用いる第二形態に変更可能であり、第一形態を維持する第一形態維持部と、第二形態を維持する第二形態維持部を備えるものである。
本実施の形態によれば、容器に巻かれた一枚の紙を外して漏斗として用いることができるため、容器内の液体や粉体等を零さずに他容器に入れることができ、また、ユーザーに対して自然とゴミの分別を行わせることができる。
【0016】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による漏斗において、紙が長方形であり、第一形態維持部として、一方の短辺側において一方の長辺から他方の長辺に向かって設けられた切り込みである第一切込と、他方の短辺側において他方の長辺から一方の長辺に向かって設けられた切り込みである第二切込とを備え、第二形態維持部として、第一切込と第二切込の間の領域において何れの辺とも接さずに設けられた切り込みである第三切込を備え、第一切込と第二切込を嵌合することで第一形態を維持し、紙の角の一つを第三切込に挿入することで第二形態を維持するものである。
本実施の形態によれば、第一形態及び第二形態を簡便に維持することができる。
【0017】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による漏斗において、一方の短辺と他方の長辺との角、又は他方の短辺と一方の長辺との角には、第三切込に挿入する角であることを示す目印が付けられているものである。
本実施の形態によれば、第三切込に挿入すべき角をユーザーに示すことができる。
【0018】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による漏斗において、目印は、隣接する辺を結ぶ仮想線に沿う切り込みであり、第三切込に挿入した角の抜け止めを兼ねているものである。
本実施の形態によれば、意図せず角が第三切込から抜けてしまうことを防止できる。
【0019】
本発明の第5の実施の形態は、第3又は第4の実施の形態による漏斗において、第三切込は、目印が一方の短辺と他方の長辺との角に付けられている場合は一方の長辺側に設けられ、目印が他方の短辺と一方の長辺との角に付けられている場合は他方の長辺側に設けられているものである。
本実施の形態によれば、第二形態としたときの漏斗の下部に形成される開口の径を小さくすることができる。
【0020】
本発明の第6の実施の形態は、第3から第5のいずれか一つの実施の形態による漏斗において、第三切込は、紙の短辺に対して斜めに設けられているものである。
本実施の形態によれば、角を第三切込に挿入しやすくなると共に、第二形態を滑らかな錘状にすることができる。
【0021】
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による漏斗において、第三切込の斜めの向きは、目印が付けられた角において隣接する辺を結ぶ仮想線の向きと逆向きであるものである。
本実施の形態によれば、より一層、角を第三切込に挿入しやすくなると共に、第二形態を滑らかな錘状にすることができる。
【0022】
本発明の第8の実施の形態は、第7の実施の形態による漏斗において、紙の短辺に対する第三切込の角度は、0度以上70度以下であるものである。
本実施の形態によれば、より一層、角を第三切込に挿入しやすくなると共に、第二形態を滑らかな錘状にすることができる。
【0023】
本発明の第9の実施の形態による容器は、第1から第8のいずれか一つの実施の形態による漏斗がラベルとして外周に巻かれているものである。
本実施の形態によれば、容器の外周に巻かれた一枚の紙からなるラベルを漏斗としても用いることができるため、資源の節約となる。また、漏斗として利用するために容器からラベルを外すことになるので、容器を捨てる際にラベルが残ったままとなることが防止される。これによりゴミの分別が促進され、資源の再利用の促進に繋がる。
【実施例0024】
本発明の一実施例による漏斗、及びその漏斗を巻いた容器について説明する。
図1は本実施例による漏斗を形成する一枚の紙を示す図である。図2は第一容器及び第二容器を示す図であり、図2(a)は第一形態の紙が巻かれた状態の第一容器、図2(b)はスティックが挿された状態の第二容器である。また、図3は紙を漏斗として用いる第二形態への形成手順を示す図、図4は第二形態とした状態を示す図である。
【0025】
図2(a)に示すように、第一容器(容器)10の胴部12には、漏斗として形成可能な一枚の薄い紙20が巻かれている。金属製など硬質の第一容器10は、口部11が胴部12よりも細い細口瓶であって立位時の横断面が円形であり、リードディフューザー用の液体(フレグランスオイル)が充填されている。
ユーザーは、第一容器10を開栓し、液体をガラス製や陶器製、又は樹脂製等からなる硬質の第二容器1に所定量注ぎ、第二容器1にスティック2を挿す(図2(b)参照)。これにより液体がスティック2によって吸い上げられ空気中に拡散し、ユーザーは香りを楽しむことができる。
【0026】
紙20は、図1に示すように展開状態では長方形である。紙20は、円筒形に丸めることにより、第一容器10の外周に巻いた状態である第一形態とすることができる。この際、紙20の一方の面に商品名や製造者名等を記載し、その一方の面が表を向くように第一容器10に巻くことで、第一形態の漏斗をラベルとして機能させることができる。
紙20のサイズは、巻き付ける第一容器10の径などを考慮して適宜設定される。本実施例では、第1容器10の胴部12の直径が45mmであることなどから、紙20のサイズを約63mm×175mmとしている。
【0027】
紙20は、第一形態を維持する第一形態維持部21を備える。本実施例における第一形態維持部21は、一方の短辺20A側において一方の長辺20Cから他方の長辺20Dに向かって設けられた切り込みである第一切込21Aと、他方の短辺20B側において他方の長辺20Dから一方の長辺20Cに向かって設けられた切り込みである第二切込21Bを有する。
第一切込21A及び第二切込21Bは、短辺からの距離が長辺の長さの5%以上10%以下の範囲内であることが好ましい。本実施例では、第一切込21Aを一方の短辺20Aから約15mmの位置に設け、第二切込21Bを他方の短辺20Bから約15mmの位置に設けている。
また、第一切込21A及び第二切込21Bの長さは、紙20の短辺の長さの40%以上60%以下とすることが好ましい。本実施例では、第一切込21A及び第二切込21Bの長さを約32mmとしている。
一方の短辺20A側と他方の短辺20B側が重なるように円筒形にした紙20において、第一切込21Aと第二切込21Bを差し合わせて嵌合することで、糊や接着剤等を使用することなく第一形態を簡便に見た目もよく維持することができる。なお、円筒形にした紙20において、一方の短辺20A及び他方の短辺20Bが裏面(内面)側に位置するように第一切込21Aと第二切込21Bを嵌合することで、一方の短辺20A及び他方の短辺20Bが表面(外面)から飛び出た状態とならないようにできる。
【0028】
第一容器10から第二容器1に液体をスムーズかつ零さずに注ぐためには、漏斗を用いるとよい。そこで本発明においては、紙20を、漏斗として用いる第二形態に変更可能としている。
紙20は、第二形態を維持する第二形態維持部22を備える。本実施例における第二形態維持部22は、第三切込22Aを有する。第三切込22Aは、第一切込21Aと第二切込21Bの間の領域に設けられ、何れの辺とも接していない。
図3を参照しながら紙20を第二形態にする手順を説明する。まず、ユーザーは、ラベルとして巻かれた状態(第一形態)の紙20を第一容器10から外す。上述のように第一形態を保持するにあたり糊や接着剤等を使用していないため、迅速に、かつ紙20を破いたりすることなく取り外しが可能である。次に、紙20を持ち一方の面を他方の面側に回り込ませて錘状に丸め(図3(a)参照)、角の一つを第三切込22Aに挿入する(図3(b)参照)。これにより紙20は、漏斗として用いる第二形態に変更される。図4(a)は第二形態とした紙の正面側を示す写真、図4(b)は背面側を示す写真、図4(c)は底面側を示す写真、図4(d)は第二容器を模した容器に取り付けた状態を示す写真である。
このように、一枚の紙20を、ラベル及び漏斗として兼用することができる。容器に巻かれた紙(ラベル)20を外して漏斗として用いることで、ユーザーは液体を零さずスムーズに第二容器1に液体を入れることができる。また、漏斗として用いるためには金属製等の第一容器10から紙20を取り外す必要があるので、ラベルが巻かれたまま第一容器10が捨てられてしまうことが防止される。また、角を第三切込22Aに挿入することにより、第二形態を簡便に維持することができる。
【0029】
第三切込22Aに挿入する角は、第一切込21A及び第二切込21Bが設けられていない角であることが好ましい。そこで、一方の短辺20Aと他方の長辺20Dとの角、又は他方の短辺20Bと一方の長辺20Cとの角には、第三切込22Aに挿入する角であることを示す目印23を設けている。これにより、第三切込22Aに差し込むべき角をユーザーに示すことができる。
目印23は、文字や記号等とすることもできるが、第三切込22Aに挿入した際の抜け止めを兼ねて切り込みとすることが好ましい。本実施例では、一方の短辺20Aと他方の長辺20Dでなす角に、目印23を兼ねた切り込みが設けられている。挿入した角をスライドさせて切り込みを第三切込22Aに嵌合させることで、意図せず角が第三切込22Aから抜けてしまうことを防止できる。
【0030】
抜け止めとしての切り込みは、目印23が付けられた角において隣接する辺を結ぶ仮想線Xに沿って設ける。また、切り込みは、紙20の短辺に対して斜めに設けることが好ましく、その角度が第三切込22Aの角度よりも大きいことがさらに好ましい。
本実施例では、抜け止めとしての切り込みの角度(仮想線Xの角度)を約45度、切り込みの始点から角までの距離を約10mm、切り込みの長さを約10mmとしている。仮想線Xの長さは約21mmである。
なお、抜け止めとなる切り込みは、必ずしも予め設けられている必要は無く、例えば、目印23を兼ねたミシン目等を角に設けておき、ユーザーがそのミシン目等に沿って角の一部を切ることで、切り込みを出現させるようにしてもよい。
【0031】
第三切込22Aは、目印23が一方の短辺20Aと他方の長辺20Dとの角に付けられている場合は一方の長辺20C側に設けられ、目印23が他方の短辺20Bと一方の長辺20Cとの角に付けられている場合は他方の長辺20D側に設けられることが好ましい。これにより、第二形態としたときの漏斗の下部に形成される開口24の径を小さくすることができる。本実施例では、図1に示すように、一方の短辺20Aと他方の長辺20Dがなす角に目印23を兼ねた切り込みが設けられているので、第三切込22Aは一方の長辺20C寄りに設けられている。さらに、漏斗としての第二形態をより適切なものにするため、第三切込22Aの位置を一方の短辺20A寄りとしている。
第三切込22Aの長さは、紙20の短辺の長さの20%以上40%以下とすることが好ましい。本実施例では、第三切込22Aの長さを約20mmとしている。また、第三切込22Aは、紙20の短辺に対して斜めに設けることが好ましい。これにより、角を第三切込22Aに挿入しやすくなると共に、第二形態を滑らかな錘状にすることができる。
また、第三切込22Aの斜めの向きは、目印23が付けられた角において隣接する辺を結ぶ仮想線Xの向きと逆向きであることが好ましい。これにより、より一層、角を第三切込22Aに挿入しやすくなると共に、第二形態を滑らかな錘状にすることができる。
また、紙20の短辺に対する第三切込22Aの角度は、0度以上70度以下であることが好ましく、20度以上40度以下であることがより好ましい。これにより、より一層、角を第三切込22Aに挿入しやすくなると共に、第二形態を滑らかな錘状にすることができる。本実施例では、短辺に対する第三切込22Aの角度を約28度としている。
また、第三切込22Aは、長辺から10mm以内には設けないことが好ましい。本実施例では、第三切込22Aのうち、一方の終端と一方の長辺20Cとの距離aは約13mm、他方の終端と一方の長辺20Cとの距離bは約30mm、一方の終端と一方の短辺20Aとの距離cは約85mm、他方の終端と一方の短辺20Aとの距離dは約75mmである。
なお、第三切込22Aは、必ずしも予め設けられている必要は無く、例えば、ミシン目等を設けておき、ユーザーがそのミシン目等に沿って角の一部を切ることで、第三切込22Aを出現させるようにしてもよい。
【0032】
上記した、第一切込21A、第二切込21B、第三切込22A、及び抜け止めとしての切り込みの位置や長さ等は、紙20の大きさ等によって適宜設定することができる。
また、紙20のうち第二形態としたときに内側となる面には、コーティング等の耐水加工を施してもよい。
【0033】
次に、本発明の他の実施例による漏斗、及びその漏斗を巻いた容器について説明する。図5は本実施例による漏斗を形成する一枚の紙を示す図、図6は第二形態の形成手順を示す図である。なお、上記した実施例と同一機能部材については同一符号を付して説明を省略する。
上記した実施例の紙20においては、目印23を兼ねた抜け止めとなる切り込みを長辺側から短辺側に向けての片側のみ設けているが、本実施例における紙200は、目印23を兼ねた抜け止めとなる切り込みとして、短辺側から長辺側に向かって設けられた切り込みである一方の抜止切込210と、長辺側から短辺側に向かって設けられた切り込みである他方の抜止切込220を有する。紙200のサイズは約63mm×175mmであり、一方の抜止切込210と他方の抜止切込220の長さはそれぞれ約6mm、一方の抜止切込210と他方の抜止切込220との間隔は約10mmである。
両側に抜け止めとなる切り込みを有することで、第三切込22Aに挿入した角をどちらにスライドさせても切り込みを第三切込22Aに嵌合することができ、また、漏斗の下部に形成される開口24の大きさを調節しやすくなる。なお、上記した実施例においても本実施例のように両側に抜け止めとなる切り込みを設けることができる。
【0034】
また、本実施例の漏斗は、紙200の他方の短辺20B側に、切り取り線230と、複数の第四切込240と、第五切込250を備える。
切り取り線230は、一方の長辺20Cから他方の長辺20Dに亘って設けられ、一方の短辺20A側に向けて凸となった台形状の凸部230Aを中間地点に有する。台形状の凸部230Aのうち、上底部分の長さは約8mm、下底部分の長さは約15mm、脚部分の長さは約7mmである。
第四切込240は、一方の長辺20Cから他方の長辺20Dに向かって設けられた7本の切り込みであり、長さはそれぞれ約5mmである。
第五切込250は、短辺と平行に設けられた切り込みであり、他方の短辺20Bからの距離が約5mm、長さが約13mmである。
なお、第四切込240及び第五切込250は、必ずしも予め設けられている必要は無く、例えば、ミシン目等を設けておき、ユーザーがそのミシン目等に沿って角の一部を切ることで、第四切込240及び第五切込250を出現させるようにしてもよい。
【0035】
抜止切込が設けられている角を第三切込22Aに挿入して第二形態を維持する点は上記した実施例と同様であるが、本実施例は、切り取り線230に沿って紙200の一部を切り離したものを漏斗の足として用いる点において上記した実施例と異なる。
図6を参照しながら紙200を第二形態に形成する手順を説明する。まず、ユーザーは、ラベルとして巻かれた状態(第一形態)の紙200を第一容器10から外す。次に、容器から外した紙200を切り取り線230に沿って切り、二つに分離する(図6(a)。なお、切り取り線230はミシン目とすることで、ハサミ等を使用せずに切り取ることができる。
分離した紙200のうち、一方の短辺20Aを含むほうの紙200Aは、上記した実施例と同様に錘状に湾曲形成して角を第三切込22Aに挿入して固定する。
分離した紙200のうち、他方の短辺20Bを含むほうの紙200Bは、短辺が長さ方向となるように細く巻き、凸部230Aを第五切込250に差し込んで細巻状態を維持する(図6(b)参照)。なお、紙200Bに第四切込240が予め設けられていない場合は、巻く前にミシン目等に沿って7本の切り込みを入れておく。次に、7本の第四切込240により形成される8個の小片を外側に折り曲げる(図6(c)参照)。次に、紙200Bを、錘状に湾曲形成した紙200Aに、8個の小片が上側となるように入れる。これにより、紙200Aよりも下方に紙200Bの一部が突出した足付きの漏斗が完成する(図6(d)参照)。
【0036】
以上説明したように、本発明によれば、容器の外周に巻かれた一枚の紙からなるラベルを漏斗としても用いることができるため、資源の節約となる。また、漏斗として利用するために容器からラベルを外すことになるので、容器を捨てる際にラベルが残ったままとなることが防止される。これによりゴミの分別が促進され、資源の再利用が促進される。
【符号の説明】
【0037】
10 容器(第一容器)
20、200 紙(漏斗、ラベル)
20A 一方の短辺
20B 他方の短辺
20C 一方の長辺
20D 他方の長辺
21 第一形態維持部
21A 第一切込
21B 第二切込
22 第二形態維持部
22A 第三切込
23 目印(切り込み)
X 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6