(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034505
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20230306BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230306BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230306BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230306BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
H04N5/222 100
G03B15/00 V
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140768
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇介
(72)【発明者】
【氏名】森岡 成貴
(72)【発明者】
【氏名】那須 和洋
【テーマコード(参考)】
2H105
3D020
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA06
2H105AA07
3D020BA20
3D020BB06
3D020BC04
3D020BD01
3D020BD02
3D020BD03
3D020BD09
5C122DA14
5C122EA42
5C122FA01
5C122GD01
5C122GD04
5C122GE04
5C122GE06
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】キャビンの代わりに安全フレームが設けられた作業車両であっても、前記走行機体の周囲を撮影する前記カメラをシンプル且つ高強度な構成で、精度良く前記走行機体側に取付固定することができる作業車両を提供することを課題とする。
【解決手段】走行機体と、操縦部と、座席の後方側に固定された逆U字状の安全フレームと、前記走行機体の周囲の映像を検出可能な周囲検出装置とを備え、前記周囲検出装置は、カメラと、前記カメラを前記走行機体側に支持する支持機構とを有し、前記支持機構は、上下方向に延設された左右一対の支持フレームと、前記支持フレームと前記走行機体前部側との間を連結する固定フレームと、前記支持フレームと前記安全フレームとの間を連結する前後方向の連結部材と、左右一対の前記支持フレーム間に前記カメラを位置調整可能に取付支持するカメラ支持部材とを有し、前記カメラを前記操縦部の前方上側に設置可能に構成された。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体と、
前記走行機体の前部に設けたボンネットの後方に配置された操縦部と、
前記操縦部に設けたオペレータが着座する座席の後方側に固定された逆U字状の安全フレームと、
前記走行機体の周囲の映像を検出可能な周囲検出装置とを備え、
前記周囲検出装置は、前記走行機体の周囲を撮影するカメラと、前記カメラを前記走行機体側に支持する支持機構とを有し、
前記支持機構は、前記操縦部の前方側に設けられて上下方向に延設された左右一対の支持フレームと、前記支持フレームと前記走行機体前部側との間を連結する固定フレームと、前記支持フレームと前記安全フレームとの間を連結する前後方向の連結部材と、左右一対の前記支持フレーム間に前記カメラを位置調整可能に取付支持するカメラ支持部材とを有し、前記カメラを前記操縦部の前方上側に設置可能に構成された
作業車両。
【請求項2】
前記カメラ支持部材は、上下方向のヨー軸を軸に前記カメラを左右揺動可能に取付支持することができるように構成された
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記カメラ支持部材は、前記カメラの左右揺動位置を調整するためのヨー角調整部が設けられ、
前記ヨー角調整部は、前後方向に締付けることによって前記カメラを前記カメラ支持部材側に固定するための固定部材を有し、前記固定部材の締付位置を調整することによって前記カメラの左右揺動位置を調整することができるように構成された
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記カメラ支持部材は、左右方向のピッチ軸を軸に前記カメラを上下揺動可能に取付支持するピッチ角調整部と、ピッチ角を所定の角度で固定するピッチ角設定機構とを有し、
前記ピッチ角設定機構は、前記カメラ側に設けられて前記カメラが所定のピッチ角で固定されたことを示す位置表示マーカを含む
請求項1乃至3の何れかに記載の作業車両。
【請求項5】
前記ピッチ角設定機構は、前記カメラの側方側に設けられた前記位置表示マーカと、長手方向に沿ってスリットが形成された板状部材であって、前記カメラの側方外側で吊下げ可能に構成された設定位置検出具とを有し、
前記位置表示マーカは、前記設定位置検出具が前記カメラ側方側に吊下げ支持された状態で前記カメラの上下揺動位置が正しい設置位置となった場合にのみ、前記スリットを介して前記位置表示マーカが視認されるように設けられた
請求項4に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の周囲を撮影した映像に基づいて操向操作を制御可能に構成した作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体と、オペレータが操向操作を行う操縦部が設けられたキャビンと、走行機体の周囲の映像を検出可能な周囲検出装置とを備え、前記周囲検出装置が前記キャビンの前部側に取付固定されることにより、前記周知検出装置によって前記走行機体の前方側の映像情報を検出可能に構成された特許文献1に記載の作業車両が従来公知である。
【0003】
また、前記周囲検出装置を構成するカメラを前記キャビンの後方に上下揺動可能に支持することにより、状況に応じて前記カメラによる撮影範囲を調整することができる特許文献2に記載の作業車両が従来公知である。
【0004】
上記特許文献1及び2の作業車両によれば、オペレータは、キャビン内から前記周囲検出装置によって検出された前記走行機体周辺の映像を確認することによって操向操作をより簡易且つスムーズに行うことができるものであるが、前記周囲検出装置を構成するカメラは何れも操縦部を構成するキャビンに取付固定される構成のため、キャビンのない作業車両には適用できず、無理やりに設置したとしても安定しない場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-899号公報
【特許文献2】特開2013-203174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、キャビンの代わりに安全フレームが設けられた作業車両であっても、前記走行機体の周囲を撮影する前記カメラをシンプル且つ高強度な構成で、精度良く前記走行機体側に取付固定することができる作業車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願発明は第1に、走行機体と、前記走行機体の前部に設けたボンネットの後方に配置された操縦部と、前記操縦部に設けたオペレータが着座する座席の後方側に固定された逆U字状の安全フレームと、前記走行機体の周囲の映像を検出可能な周囲検出装置とを備え、前記周囲検出装置は、前記走行機体の周囲を撮影するカメラと、前記カメラを前記走行機体側に支持する支持機構とを有し、前記支持機構は、前記操縦部の前方側に設けられて上下方向に延設された左右一対の支持フレームと、前記支持フレームと前記走行機体前部側との間を連結する固定フレームと、前記支持フレームと前記安全フレームとの間を連結する前後方向の連結部材と、左右一対の前記支持フレーム間に前記カメラを位置調整可能に取付支持するカメラ支持部材とを有し、前記カメラを前記操縦部の前方上側に設置可能に構成されたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記カメラ支持部材は、上下方向のヨー軸を軸に前記カメラを左右揺動可能に取付支持することができるように構成されたことを特徴としている。
【0009】
第3に、前記カメラ支持部材は、前記カメラの左右揺動位置を調整するためのヨー角調整部が設けられ、前記ヨー角調整部は、前後方向に締付けることによって前記カメラを前記カメラ支持部材側に固定するための固定部材を有し、前記固定部材の締付位置を調整することによって前記カメラの左右揺動位置を調整することができるように構成されたことを特徴としている。
【0010】
第4に、前記カメラ支持部材は、左右方向のピッチ軸を軸に前記カメラを上下揺動可能に取付支持するピッチ角調整部と、ピッチ角を所定の角度で固定するピッチ角設定具とを有し、前記ピッチ角設定具は、前記カメラ側に設けられて前記カメラが所定のピッチ角で固定されたことを示す位置表示マーカを含むことを特徴としている。
【0011】
第5に、前記ピッチ角設定具は、前記カメラの側方側に設けられた前記位置表示マーカと、長手方向に沿ってスリットが形成された板状部材であって、前記カメラの側方外側で吊下げ可能に構成された設定位置検出具とを有し、前記位置表示マーカは、前記設定位置検出具が前記カメラ側方側に吊下げ支持された状態で前記カメラの上下揺動位置が正しい設置位置となった場合にのみ、前記スリットを介して前記位置表示マーカが視認されるように設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
前記支持機構を、前記操縦部の前方側に設けられて上下方向に延設された左右一対の支持フレームと、前記支持フレームと前記走行機体前部側との間を連結する固定フレームと、前記支持フレームと前記安全フレームとの間を連結する前後方向の連結部材と、左右一対の前記支持フレーム間に前記カメラを位置調整可能に取付支持するカメラ支持部材とを有し、前記カメラを前記操縦部の前方上側に設置可能に構成されたものによれば、キャビンがなく、安全フレームが設けられた走行機体であっても、前記カメラをシンプル且つ高強度な構成で、精度良く所望の設置位置に取付固定することができる。
【0013】
また、前記カメラ支持部材は、上下方向のヨー軸を軸に前記カメラを左右揺動可能に取付支持することができるように構成されたものによれば、前記カメラをより精度良く所望の位置への取付固定することができる。
【0014】
また、前記カメラ支持部材は、前記カメラの左右揺動位置を調整するためのヨー角調整部が設けられ、前記ヨー角調整部は、前後方向に締付けることによって前記カメラを前記カメラ支持部材側に固定するための固定部材を有し、前記固定部材の締付位置を調整することによって前記カメラの左右揺動位置を調整することができるように構成されたものによれば、前記カメラの固定位置を調整するにあたり、手動では調整の難しいより高精度な調整を行うことができる。
【0015】
また、前記カメラ支持部材は、左右方向のピッチ軸を軸に前記カメラを上下揺動可能に取付支持するピッチ角調整部と、ピッチ角を所定の角度で固定するピッチ角設定具とを有し、前記ピッチ角設定具は、前記カメラ側に設けられて前記カメラが所定のピッチ角で固定されたことを示す位置表示マーカを含むものによれば、前記カメラのピッチ角の調整をスムーズに行うことができる。
【0016】
なお、前記ピッチ角設定具は、前記カメラの側方側に設けられた前記位置表示マーカと、長手方向に沿ってスリットが形成された板状部材であって、前記カメラの側方外側で吊下げ可能に構成された設定位置検出具とを有し、前記位置表示マーカは、前記設定位置検出具が前記カメラ側方側に吊下げ支持された状態で前記カメラの上下揺動位置が正しい設置位置となった場合にのみ、前記スリットを介して前記位置表示マーカが視認されるように設けられたものによれば、より簡易且つ低コストな構成で前記カメラを正しいピッチ角に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の撮影ユニットが設置されたトラクタの全体側面図である。
【
図3】操舵ユニットを示した要部分解斜視図である。
【
図4】操舵角検出ユニットを示した要部斜視図である。
【
図5】操舵角検出ユニットを示した分解斜視図である。
【
図6】撮影ユニットを示した要部前方斜視図である。
【
図8】(A)及び(B)は、カメラユニットを示した要部後方斜視図及び要部前方斜視図である。
【
図10】カメラユニットと調整機構を示した分解斜視図である。
【
図11】調整機構の別実施例を示した要部背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の撮影ユニットが設置されたトラクタの全体側面図である。本発明の作業車両が適用された本トラクタは、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2によって支持される走行機体3を有し、前記走行機体3の後方には、昇降リンク4を介してロータリ耕運機等の作業機(図示しない)を昇降可能に連結できるように構成されている。
【0019】
前記走行機体3は、機体フレーム5の前部側に載置されたエンジン(図示しない)と、前記エンジンを囲繞するボンネット6と、前記エンジンからの動力を一対の前輪側に伝動するフロントアクスルケース7と、前記ボンネット6の後方に設けられてオペレータが乗込んで操向操作を行う操縦部8と、詳しくは後述する撮影ユニット(周囲検出装置)10とを有している。これにより、本トラクタは、前記エンジンの駆動力によって前記走行機体3を走行駆動させるとともに、前記作業機を駆動させることによって耕耘作業等の各種作業走行を行うことができる。
【0020】
前記撮影ユニット10は、前記走行機体の前方を撮影するカメラユニット11と、前記カメラユニット11を前記操縦部8の上方前側に支持する支持機構12と、前記支持機構12によって所定位置に支持された前記カメラユニット11の固定位置や上下・左右方向の向きを調整可能に支持する調整機構13とを備え、前記走行機体3の進行方向の映像(画像・動画情報)を取得することができるように構成されている。前記撮影ユニット10の詳細な構成については後述する。
【0021】
前記操縦部8は、オペレータが着座する座席16と、前記座席16の前方に配置されたステアリングハンドル17と、前記ステアリングハンドル17の左右一方(図示する例では左)側に配置された前後進切換レバー18と、床面となるフロアステップ19と、前記座席の後部側に取付固定されて前記座席の上方を左右方向に跨ぐように逆U字状に成形された安全フレーム21とが設けられ、前記安全フレーム21には、前記座席16の上方を覆うルーフ22が着脱可能に取付固定されている(
図1参照)。
【0022】
前記ステアリングハンドル17に連結されたステアリング軸23の上端側には、前記ステアリング軸23の軸回転を制御することにより前記ステアリングハンドルの操向操作を制御する操舵ユニット20が着脱可能に設けられている(
図1乃至3参照)。前記操舵ユニット20の詳細については後述する。
【0023】
前記ステアリングハンドル17は、ステアリング操作によって軸回転する前記ステアリング軸23を介して操作される操舵機構を介して、前記走行機体3(前輪1)を操向操作することができるように構成されており、該操舵機構は、前記ステアリング軸23の軸回転(操向操作)に応じて前記前輪1の走行操作を行うタイロッド24を油圧で操作することができるように構成されている(
図4等参照)。
【0024】
これに対し、前記フロントアクスルケース7(タイロッド24)側に、前記ステアリングハンドル17によってステアリング操作された際の操舵角を検出する操舵角検出ユニット30が設けられている。操舵角検出ユニット30の詳細については後述する。
【0025】
次に、
図1乃至3に基づき、前記操舵ユニットの構成について説明する。
図2は、操縦部を示した要部斜視図であり、
図3は、操舵ユニットを示した要部分解斜視図である。
【0026】
前記操舵ユニット20は、前記ステアリング軸23を軸回転操作(ステアリング操作)させる駆動モータ(操舵駆動モータ)26と、前記駆動モータ26の駆動力を減速して前記ステアリング軸側に伝動する減速機構27と、前記撮影ユニット10から取得した情報に基づいて前記駆動モータ26の駆動を制御する制御部50と、前記駆動モータ26と前記減速機構27と前記制御部50とを収容する収容ケース28とを備え、前記収容ケース28の上面手前側には、前記操舵ユニット20を操作する操作スイッチや操作状況を示す操舵表示部とが配置された操作パネル29が設けられている(
図3等参照)。
【0027】
前記操作パネル29は、前記操作ユニットの電源のON・OFFを操作する電源スイッチと、前記操作ユニットを用いた直進走行制御を実行する自動操舵モードへの切換えを操作するモード切換スイッチとが設けられている。
【0028】
該構成によれば、前記操舵ユニット20(の制御部5-)は、前記撮影ユニット10によって取得された前記走行機体3の前方(進行方向)の映像と、前記操舵角検出ユニット30によって検出される操舵角(操向操作位置)に基づいて、前記駆動モータ26の駆動を制御することにより、前記走行機体3の直進走行をアシストするように前記ステアリング操作を制御する直進走行制御が実行可能に構成されている。また、前記走行機体3を圃場端側で旋回する旋回走行をアシストする旋回走行制御を実行可能とした構成としても良い。
【0029】
前記減速機構27は、前記駆動モータ26の出力ギヤ26Aと噛合う第1減速ギヤ27Aと、前記第1減速ギヤ27Aと噛合うとともに、前記ステアリング軸23を軸として駆動する第2減速ギヤ27Bとを備え、前記第2減速ギヤ27Bの軸部には、前記ステアリング軸23と一体回転するようにその上端側と連結される連結固定部31と、該連結固定部31より上方に延設されて前記ステアリングハンドルが取付けられるハンドル取付軸32とが設けられている。
【0030】
上記連結固定部32は、前記減速機構(第2減速ギヤ)と前記ステアリング軸とを連結する固定ボルト33がステアリング軸回りに複数(図示する例では6か所)設けられている(
図3参照)。これにより、前記駆動モータ26の駆動力を前記ステアリング軸23へと伝動してステアリング操作を制御することができる。
【0031】
上記ハンドル取付部32は、上方に向かって細くなるテーパ状に形成されるとともに、その周囲にセレーション加工が施されることによって、前記ステアリングハンドル17が着脱可能に取付けられるように構成されている。
【0032】
前記収容ケース28は、下部ケース28Aと上部ケース28Bとによって上下に分割形成されている。前記下部ケース28Aは、前記駆動モータ26と、前記減速機構27と、前記制御部50とが収容されるとともに、前記ステアリング軸23が挿通される挿通孔が形成されている。前記上部ケース28Bは、前記下部ケース28Aの上方側をカバーするとともに、前記ステアリング軸23と、該ステアリング軸の上端側に連結されるステアリングハンドル17の連結部が挿通される挿通孔が形成されている。
【0033】
ちなみに、前記上部ケース28Bは、平面視で前記減速機構27の上側に配置された前記連結固定部31の固定ボルト33に臨む操作孔(図示しない)を複数設け、Tレンチ等の工具を用いることによって、前記操作孔を介して前記連結固定部31の固定ボルト33の取外し(連結解除)作業を行うことができるように構成しても良い。
【0034】
該構成によれば、前記ステアリングハンドル17を取付けた状態で、前記連結固定部31と、前記ステアリング軸23との連結を解除することができるため、前記上部カバー28Bを取外して前記操舵ユニット20内のメンテナンス作業をするにあたり、前記上部カバー28Bとともに、前記ステアリングハンドル17と、前記連結固定部31(ハンドル取付部32)とを一体的に取外すことができる。
【0035】
すなわち、セレーション加工等によって比較的取外し難い前記ステアリングハンドル17と、前記ハンドル取付部32との連結を解除することなく、前記操舵ユニット20の上部カバー28Bを取外して前記操舵ユニット20内を開放することができるため、メンテナンスの作業性が向上する。
【0036】
次に、
図4及び
図5に基づき、操舵角検出ユニット30の構成について説明する。
図4は、操舵角検出ユニットを示した要部斜視図であり、
図5は、操舵角検出ユニットを示した分解斜視図である。
【0037】
前記操舵角検出ユニット30は、前記走行機体3と前記前輪1との間のスペースに後付け可能な構成で取付支持するための取付ブラケット36と、前記取付ブラケット36に設けられた作動ロッド37と、前記取付ブラケット36に水平回動可能に軸支された作動アーム38と、前記作動アーム38の回動範囲を規制する規制機構53,49aと、前記作動アーム38の水平回動(揺動)量を検出するポテンショメータである操舵角センサ41と、前記操舵角センサ41を収容する収容部42とを備えている(
図5等参照)。
【0038】
前記取付ブラケット36は、ステアリング操作に応じて作動する前記タイロッド24側に取付固定されるタイロッド側取付ブラケット36Aと、ステアリング操作によっても作動しない前記フロントアクスルケース7側に取付固定られるアクスルケース側取付ブラケット36Bとから構成されている。
【0039】
前記タイロッド側取付ブラケット36Aは、前記タイロッド24を上下に挟持する一対の板状部材43,43と、一対の板状部材43,43を連結する連結部材44とによって構成されており、上下一対の板状部材の一端側には、上下方向の前記作動ロッド37が設けられている(
図5参照)。
【0040】
前記作動ロッド37は、前記タイロッド側取付ブラケット36Aから上方側に突出するように設けられている。これにより、前記作動ロッド37は、ステアリング操作(操向操作)に応じて前記タイロッド24が操作されると、該タイロッド24とともに左右方向に移動するように構成されている。
【0041】
前記アクスルケース側取付ブラケット36Bは、前記フロントアクスルケース7を上下に挟持する一対の板状部材と、一対の板状部材を連結する連結部材とによって構成されており、前記フロントアクスルケースの上面側に設けられるブラケットは、前記作動アーム38を左右揺動可能に軸支する取付座46が設けられている(
図5参照)。
【0042】
前記作動アーム38は、前記アクスルケース側ブラケット36Bの取付座46側に軸支される軸支部47と、前記軸支部47の周囲を円板状に延設して形成された円板状の基端部48と、前記基端部(軸支部47)から前記作動ロッド38側(図示する例では前方)に向けて延設された延設部49とを有し、前記基端部の上面側には、上方(操舵角センサ41)側に向けて延設された一対の連係ピン51が設けられている。また、前記作動アーム38の延設部49には、延設方向に沿った長孔である融通孔49aが形成され、該融通孔49aには前記作動ロッド37が挿通されるように設けられている(
図5参照)。
【0043】
前記操舵角センサ41は、前記作動アーム37の基端部の上方側に設けられて該作動アーム37の揺動量を検出する検出アーム52を有し、前記検出アーム52には、前記連係ピン51が係止される係止溝(切欠き)52aが凹設されている(
図5参照)。
【0044】
該構成によれば、前記操舵角検出ユニット30は、オペレータや前記操舵ユニット20によってステアリング操作がされると、ステアリング軸23→(操舵機構→)タイロッド24→作動ロッド37→作動アーム38→連係ピン51→検出アーム52(→操舵角センサ41)の順で連係するように構成されているため、前記操舵角センサ41によって前記検出アーム52の揺動位置を検出することにより、前記ステアリングハンドル17の操舵角(操向操作位置)を検出することができるように構成されている。
【0045】
前記規制機構は、前記作動アーム38の上方に重ねて配置される板状部材であって、前記軸支部47が挿通される支持孔53aと、前記支持孔53aを軸とした円弧状に形成された一対の規制孔53b,53bとが穿設された規制部材53と、前記作動アーム38に形成された前記融通孔49aとから構成されている。
【0046】
前記規制部材53は、前記作動アーム38と前記操舵角センサ41(の検出アーム52)との間に挟むようにして設けられており、一対の前記規制孔53b,53bに、一対の前記連係ピン51が挿通されるように構成されている。
【0047】
該構成によれば、前記規制孔53bと、該規制孔53bに挿通される前記連係ピン51とによって、作動アーム38の作動範囲が限定されるため、ポテンショメータである前記操舵角センサ41の検出アーム52が設定値以上に揺動作動されて故障する事態を確実に防止することができる。
【0048】
また、前記作動アーム38(の延設部49)側に前記融通孔49aを設け、該融通孔49aに前記作動ロッド37を挿通したことにより、ステアリング操作によって前記タイロッド24が操作されたことにより、前記作動アーム38が前記規制孔53bで規制した範囲よりも大きく作動した場合であっても、前記融通孔49aによって前記作動ロッド38の揺動作動を吸収することができる。すなわち、前記操舵角検出ユニット41の組付作業に余裕ができるため、前記操舵角検出ユニット30の取付作業がより容易になる。
【0049】
ちなみに、(前記連係ピン51が突設されている)前記基端部48は、前記軸支部47側を中心とした円板状に形成されたことにより、前記操舵角センサ41の下面側に設けた前記規制部材に一対形成された円弧状の規制孔53b,53bを、前記基端部48によって塞ぐ(カバーする)ことができるように構成されている(
図5参照)。
【0050】
該構成によれば、前記操舵角検出ユニット30の下面側に配置された(規制部材53下面の)前記規制孔53bから前記操舵角センサ41が収容された前記収容部42内に圃場から飛散した泥等が浸入することを効率的に防止することができる。
【0051】
前記収容部42は、前記操舵角センサ41を収容する金属製のケース体54と、前記ケース体54の外周面側をカバーする弾性部材からなるカバー体56とから構成され、前記操舵角センサの下面側を除いた全体を囲繞することにより、精密機器である前記操舵角センサ41が破損したり汚れたりすることを防止できるように構成されている(
図4及び
図5等参照)。
【0052】
前記ケース体54は、下面が開放された箱状に形成された金属製であって、前記規制部材53上に取付固定されることにより、前記操舵角センサ41の側面側及び上面側を囲繞することができるように形成されている。また、該ケース体54の側面側には、前記カバー体を着脱可能に取付けるための取付孔54aが穿設されている(
図5参照)。
【0053】
前記カバー体56は、前記ケース体を左右(又は前後)で挟むようにして前記ケース体側に取付けられる一対の第1カバー部56A,56Aと、一対の第1カバー部56Aで挟む方向(図示する例では左右)方向(及び下方)が開放されたコ字状に形成された第2カバー部56Bとから構成されている(
図5参照)。
【0054】
前記第1カバー部56Aは、前記ケース体54の左右側面をカバーするとともに、その前後端と上端側でそれぞれ左右内側に向けて略直角に屈曲形成されることにより、前面部、後面部、上面部とが形成されている。前記前面部及び前記後面部は、前記ケース体54側の前記取付孔を露出させるための切欠部が設けられており、前記上面部には、前記第2カバー体を取付けるための取付孔が形成されている(
図5参照)。
【0055】
前記第2カバー部56Bは、コ字状に屈曲形成された板状部材であって、前記ケース体54の前面及び後面と当接する前面部、後面部と、前記ケース体54の上方をカバーする上面部とを有し、一対の第1カバー部56A,56Aの間にできるスペースをカバーするように取付けられる。前記前面部及び後面部には、前記ケース体54側の取付孔に取付けるための固定ボルト58が設けられ、前記上面部には、前記第1カバー部の上面部側の取付孔に取付けるための固定ネジ59が設けられている。
【0056】
該構成の収容部42によれば、ポテンショメータからなる前記操舵センサ41を、金属製及び弾性体からなる部材で覆うことができるため、圃場の石や泥から保護することができる。
【0057】
次に、
図6乃至10に基づき、撮影ユニットの構成について説明する。
図6は、撮影ユニットを示した要部前方斜視図であり、
図7は、中間補強部材を示した要部斜視図であり、
図8(A)及び(B)は、カメラユニットを示した要部後方斜視図及び要部前方斜視図であり、
図9は、前記撮影ユニットの分解斜視図であり、
図10は、カメラユニットと調整機構を示した分解斜視図である。
【0058】
前記撮影ユニット10は、前記走行機体の前方を撮影するカメラユニット11と、前記カメラユニット11を前記操縦部8の上方前側に支持する支持機構12と、前記支持機構12によって所定位置に支持された前記カメラユニット11の固定位置や上下・左右方向の向きを調整可能に支持する調整機構13とを備えている。
【0059】
前記カメラユニット11は、方形状のケース部61内に前記走行機体3の周囲を撮影するカメラを収容することにより構成され、前記ケース部61の前面側には、前記カメラのレンズを露出する開口部62が形成されるとともに、該開口部62から前方に向けて筒状に突出した筒状部63が設けられている(
図8乃至10参照)。該筒状部63の内周面側には光の乱反射を抑制する処理が施されている。これにより、前記カメラ(のレンズ)に太陽光が直接又は乱反射して、前記カメラで撮影された映像が白飛びすることを防止できる。
【0060】
また、前記カメラユニット11の前面側は、下方に向かって後方傾斜する傾斜面が形成されるように構成されている。これにより、前記筒状部63内に太陽光がより届き難くなる。
【0061】
その一方で、前記カメラユニット11の後面側は、該カメラユニットに接続される電源ケーブルや、該カメラによって撮影した前記走行機体3の周囲の映像(画像)を前記制御部50へ送信する通信ケーブル等からなるケーブル64が接続されており、該ケーブル64は、前記支持機構12に沿って延設されている(
図8(A)等参照)。
【0062】
ちなみに、前記カメラユニット11は、後述する調整機構13によって、左右方向のピッチ軸を軸に上下揺動可能に支持されてピッチ角(上下方向の揺動角)が調整可能であるとともに、上下方向のヨー軸を軸に左右揺動可能に支持されてヨー角(左右方向の揺動角)が調整可能な状態で前記支持機構12側に支持される。該支持機構12と、調整機構13の構成については後述する。
【0063】
前記支持機構12は、前記機体フレーム5側から上方に向けて延設されることにより側面視で前記ボンネット6の後端側(前記操縦部の前側)に設けられた前側支持フレーム(支持フレーム)66と、前記安全フレーム21側に取付けられて前記操縦部の上方を覆う前記ルーフ(連結部材)22と、前記前側支持フレーム66の上端側と前記ルーフ22の前端側と前記カメラユニット11とが取付けられるユニット支持フレーム(カメラ支持部材)67とを有している(
図6乃至9等参照)。
【0064】
前記前側支持フレーム66は、上下方向に延設された左右一対の棒状部材であり、その下端側を前記機体フレーム側である左右内側に向けてL字状に屈曲形成した下部屈曲部と、その上端側を前記ルームの前端左右外側に沿うように左右内側に向けて屈曲形成した上部屈曲部とが形成されている(
図6等参照)。
【0065】
各前側支持フレーム66は、その上端(上部屈曲部)上面側に、板状部材をクランク状に屈曲形成した支持フレーム側ブラケット68,68が溶着等によって取付固定されており、前記支持フレーム側ブラケット68は、前記ユニット支持フレーム67の左右端側が着脱可能に取付けることができるように構成されている。
【0066】
該構成によれば、左右一対の前側支持フレーム66,66上端側(上部屈曲部)の間は、前記ユニット支持フレーム67が架け渡されるようにして取付固定されるように構成されている。
【0067】
また、前記前側支持フレーム66は、その上下方向中途部の下部側に、前記下部屈曲部と平行な方向に延設されて前記ボンネット後端の左右側面上部側と連結される左右方向の中間補強部材(固定フレーム)69が設けられている(
図7参照)。
【0068】
該構成によれば、前記中間補強部材69は、上下方向に長く形成されて不安定で曲り易い前記前側支持フレーム66を上下方向中途部で補強することができるため、前記支持機構12によって前記操縦部8の上方前側で支持される前記カメラユニット11をより強固且つ安定的に支持することができるようになる。このとき、該中間補強部材69は、前記ボンネット6を支持するフレーム側から左右方向に延設されているため、前記前側支持フレーム66は、特に左右(横)方向の揺れや振動に対して強くなる。
【0069】
前記ルーフ22は、その後端側が前記安全フレーム21の上端(上辺)側に取付けられるとともに、その前端側が板状部材をアンクル状に屈曲形成したルーフ側ブラケット71を介して、前記ユニット支持フレーム67側の左右中央側に取付固定することができるように構成されている(
図9等参照)。
【0070】
該構成によれば、前記ルーフ22は、その後端側が前記安全フレーム21に支持される一方で、その前端側は、正面視でコ字状に設けられた前記前側支持フレーム66の上端側に支持されるため、ルーフをより安定した状態で取付けることができる。
【0071】
前記ユニット支持フレーム67は、L字状に屈曲形成されて左右方向に延設された板状部材であって、その左右両端側には、前記支持フレーム側ブラケット68を介して前記前側支持フレーム66の上部屈曲部が連結され、その左右中央の後面側には、前記ルーフ側ブラケット71を介して前記ルームの前端側が連結され、その左右中央の上面(下面)側には、前記調整機構13を介して前記カメラユニット11が支持されている(
図9等参照)。
【0072】
該構成によれば、前記カメラユニット11は、左右一対の前側支持フレーム66間を架渡すようにして取付けられることにより左右方向の変形に対して強固に取付けられるとともに、前記ルーフ22の前端側に取付けられることにより前後方向の変形に対しても強固に取付けられた前記ユニット支持フレーム67側に取付けられることにより、より強固に取付支持される。
【0073】
すなわち、前記カメラユニット11は、前記支持機構12によって、前記操縦部8の上方前側に簡易な構成でより強固に取付けることができる。このため、前記カメラユニット11は、圃場面を作業走行中であっても前記カメラユニット11の設置位置がズレたり、強い振動で撮影映像が必要以上にぶれたりすることなく、主に進行方向の映像を取得することができる。
【0074】
ちなみに、前記ユニット支持フレーム67と、前記カメラユニット11との間には、前記カメラユニットの上方前側をカバーする板状の庇部材65を取付けることができるように構成されている(
図8及び
図9参照)。該構成によれば、簡易な構成によって前記カメラユニット11のレンズ側に太陽光が直接入って撮影する映像が白飛びすることを防止できる。
【0075】
前記調整機構13は、
図10に示されるように、下方が開放されたコ字状に屈曲形成された板状部材であるカメラ支持部材70と、前記カメラユニット11側の左右側方側にそれぞれ取付けられる上下方向に長い板状の取付ブラケット72と、前記カメラユニットのピッチ角を所定の正しい角度に設定するためのピッチ角設定機構73とを有し、前記カメラユニット11を前記ユニット支持フレーム67側に位置調整可能に構成されている。
【0076】
前記カメラ支持部材70は、前記カメラユニット11のヨー角(左右揺動角)を調整可能に支持するヨー角調整部と、前記カメラユニット11のピッチ角(上下揺動角)を調整可能に支持するピッチ角調整部と、前記カメラ支持部材70の上面後端側を上方に向けて屈曲形成した屈曲部78とが設けられている。
【0077】
前記ヨー角調整部は、前記ユニット支持フレーム67の左右中央側に設けられた上下方向のヨー角支持軸81と、前記カメラ支持部材70の上面中央で前記ヨー角支持軸81が挿通されるヨー角軸支孔82と、前記カメラ支持部材70の上面前端から後方に向かって切欠いた左右一対の凹設部83,83と、該凹設部83の下から挿通した状態で前記ユニット支持フレーム67側に固定されるヨー角固定ボルト84,84とから構成されている。
【0078】
該構成のヨー角調整部によれば、前記カメラユニット11(前記カメラ支持部材70)は、前記ユニット支持フレーム67側の前記ヨー角支持軸81を軸に左右揺動可能に支持されるとともに、前記ヨー角固定ボルト84を用いて任意の左右揺動位置で固定することができる。
【0079】
ちなみに、前記ヨー角固定ボルト84は、頭部を下にした状態で前記ユニット支持フレーム67側にある程度締付固定することにより、その後、前記カメラユニット11が取付けられた前記カメラ支持フレーム70の前記凹設部83,83を、前記ヨー角固定ボルト84の軸部に後方から差込むようにして挿通して、前記カメラユニット11(カメラ支持部材70の下面側)を前記ヨー角固定ボルト84の頭部に係止することができる。
【0080】
該構成によれば、前記カメラユニット11が取付られた前記カメラ支持部材70をスムーズ且つ容易に前記ユニット支持フレーム67側に係止できるとともに、この状態でヨー角(左右位置)の調整作業も簡単に行うことができる。
【0081】
前記ピッチ角調整部は、前記カメラ支持部材70の左右側面側に形成された円弧状のピッチ角軸支孔86,86と、前記ピッチ角軸支孔86に挿通されて前記カメラ支持部材70を前記取付ブラケット72側の固定孔80に締付固定する締付固定ボルト88,88とから構成されており、前記締付固定ボルト88は、作業者が手動で締付作業や締付を緩める作業がし易いように頭部側が大径に形成されている。
【0082】
該構成のピッチ角調整部によれば、前記締付ボルト88を前記カメラ支持部材70側の前記ピッチ角軸支孔86に挿通した状態で、前記取付ブラケット72側の前記固定孔80に締付固定することにより、前記締付ボルト88の軸部をピッチ軸として、前記カメラユニット11の上下揺動位置を調整可能な構成で前記カメラ支持部材70側に取付固定することができる。
【0083】
前記屈曲部78は、ユニット支持フレーム67(又はルーフ側ブラケット71)と当接することによって、前記カメラブラケット11の設置位置の位置決めをすることができる。
【0084】
前記ピッチ角設定機構73は、前記カメラ支持部材70の左右側面側に形成された設定具支持孔96と、該設定具支持孔96に吊下げられるようにして取付けられる板状部材であるピッチ角設定具(設定位置検出具)91と、前記取付ブラケット72側に設けられて前記ピッチ角設定具91が前後揺動しないように固定する固定具92と、前記取付ブラケット72の側面側に設けられたピッチ角表示マーカ(位置表示マーカ)93とから構成されている(
図10参照)。
【0085】
上記ピッチ角設定具91は、上下方向に延設された板状部材であって、その上端側には前記取付ブラケット72側に形成された前記設定具支持孔96に軸支するための軸支孔91bが形成され、その下部側には延設方向に沿って形成された設定溝(設定孔)91aが形成されており、該ピッチ角設定具91は、取付ボルト95を用いて前記取付ブラケット72(の設定具支持孔96)側に自由に前後揺動可能な状態で吊下げられるように軸支されている。すなわち、前記ピッチ角設定具91は、前記カメラ支持部材70側に吊下げ支持される(使用姿勢にした)ことにより、前記走行機体3の停車した走行面の傾斜に関わらず、前記設定溝91aが常に重力方向に沿った向きとなるように構成されている。
【0086】
上記ピッチ角表示マーカ93は、前記取付ブラケット71の下部側に設けられた上下方向の線状の目印(マーカ)であって、前記カメラユニット11の上下揺動位置が適したピッチ角に設定された場合に、前記カメラ支持部材70側に吊下げられた前記ピッチ角設定具91の設定溝91a越しに視認できる位置に設けられている。
【0087】
該構成によれば、前記ピッチ角設定機構73は、前記カメラユニット11のピッチ角を、使用姿勢にした前記ピッチ角設定具91の設定溝91aから前記ピッチ角表示マーカが視認可能となる位置で固定することにより、前記カメラユニット11のピッチ角を所定の正しい角度で固定することができる。具体的には、前記ピッチ角設定機構73によれば、前記カメラユニット11は、ピッチ角を調整する度に撮影内容を確認することなく、前記走行機体の前方約10メートル先の走行面を撮影する正しい向きに設定することができる。
【0088】
上記固定具92は、前記取付ブラケット72側に締付固定可能な固定ボルトであって、前記取付ブラケット72の前方に突出して形成された位置決め部97に締付固定可能に構成されている(
図10参照)。
【0089】
これにより、前記固定具92は、吊下げられるようにして前記カメラ支持部材70側に軸支された前記ピッチ角設定具91を、前方揺動させた所定の退避位置で前記固定具92と前記位置決め部97とで挟持することにより、使用姿勢から退避姿勢に切換えることができる(
図8(B)参照)。
【0090】
次に、
図11に基づき、前記調整機構の別実施例について説明する。
図11は、調整機構の別実施例を示した要部背面斜視図である。
【0091】
前記カメラ支持部材は、前記ヨー角調整部と、前記ピッチ角調整部と、前記カメラ支持部材70の上面後端側を上方に向けて屈曲形成した前記屈曲部78とを有し、該屈曲部78には、前記カメラユニット11のヨー角を微調整するヨー角調整部101が設けられている(
図11参照)。
【0092】
前記ヨー角調整部101は、
図11に示されるように、前記屈曲部78の後面側から前面前方に向けて螺合する固定ボルト等であって、該屈曲部78の左右両端側に一対設けられている。また、ヨー角調整部(固定ボルト)101は、その先端(前端)側が前記ユニット支持フレーム67の後面側と当接するように構成されており、固定ボルト101の前方への突出量を調整することにより、前記屈曲部78と前記ユニット支持フレーム67との間の距離の微調整することができる。
【0093】
該構成によれば、前記ヨー角調整部101は、左右一方側のヨー角調整部(固定ボルト)の締付量を調整することによって、前記カメラユニット11(カメラ支持部材70)のヨー角(左右揺動位置)を微調整することができる。
【0094】
次に、
図12に基づき、直進走行制御の内容について説明する。
図12は、制御部のブロック図である。
【0095】
前記制御部50は、入力側に前記カメラユニットと、前記操舵角センサ41とが接続され、出力側には、前記駆動モータ(操舵駆動モータ)26と、自動操舵制御の実行状況等を報知するための操舵表示部60とが接続されている。
【0096】
前記制御部50による前記直進走行制御は、前記カメラユニット11によって撮影された映像や画像情報と、前記操舵角センサ41によって検出されたステアリング操作位置(操舵角)に基づいて、前記走行機体3の直進走行するように、前記駆動モータ26によってステアリング操作を制御するように構成されている。
【符号の説明】
【0097】
3 走行機体
6 ボンネット
8 操縦部
10 撮影ユニット(周囲検出装置)
11 カメラユニット(カメラ)
12 支持機構
17 座席
21 安全フレーム
22 ルーフ(連結部材)
66 前側支持フレーム(支持フレーム)
69 中間補強部材(固定フレーム)
70 カメラ支持部材
73 ピッチ角設定機構
91 ピッチ角設定具(設定位置検出具)
93 ピッチ角表示マーカ(位置表示マーカ)
101 ヨー角調整部