IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧

特開2023-34542情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図8
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図9
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図10
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図11
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図12
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034542
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230306BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230306BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20230306BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G06Q50/10
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140837
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5L049BB07
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】
効率良く交通量の調整を促進することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的の1つとしている。
【解決手段】
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、前記対象区間に向かって走行中の車両の属性又は前記車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得部と、前記属性情報に基づいて、前記車両のうちから前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記対象区間に向かって走行中の車両の属性又は前記車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得部と、
前記属性情報に基づいて、前記車両のうちから前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記属性情報は、前記車両の属性として、車両の種類又は車両の寸法を示すことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記属性情報は、前記運転者の属性として、前記運転者の運転スキル、及び土地勘の有無の少なくとも1つを示す情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記車両の属性は、当該車両が前記迂回をした際の交通量の調整効果に関連する属性であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記運転者の属性は、前記運転者が前記迂回をした際に走行する迂回路を順調に運転できるか否かに関連する属性であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記対象区間に向かって道路上の所定の区間を走行中の車両のうちから前記迂回依頼車両を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記対象区間に向かって走行中の車両の経路情報を取得する経路取得部を有し、
前記設定部は、前記経路情報に基づいて、走行予定の経路に前記対象区間が含まれる車両のうちから前記迂回依頼車両を設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記迂回依頼車両とともに移動する端末装置に、前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼することを示す迂回依頼情報を送信する迂回依頼送信部を有し、
前記迂回依頼情報は、前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を行うとインセンティブを付与するという提案を示す情報を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記インセンティブは、前記属性情報に基づいて決まることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記迂回依頼情報が示す依頼を受諾して迂回を行うことを示す前記迂回依頼車両からの応答を受け付ける受諾受付部と、
前記受諾受付部が前記受諾を受け付けると、前記迂回依頼車両に付与すべきインセンティブを示すインセンティブ付与情報を生成する情報生成部と、
を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記迂回依頼情報を受信した端末装置とともに移動する車両が、前記対象区間の少なくとも一部を迂回すると、前記迂回依頼車両に付与すべきインセンティブを示すインセンティブ付与情報を生成する情報生成部を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記迂回を行う車両の台数が前記交通情報に基づいて決まる所定の台数に達した場合に前記迂回依頼車両の設定を停止することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記設定部は、前記迂回依頼車両の設定を停止する際に、前記迂回依頼車両に対し前記迂回の依頼を取り消す旨の情報を生成することを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、
前記対象区間に向かって走行中の車両の属性又は前記車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得ステップと、
前記属性情報に基づいて、前記車両のうちから前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、
前記対象区間に向かって走行中の車両の属性又は前記車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得ステップと、
前記属性情報に基づいて、前記車両のうちから前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定ステップと、
を実行させるための情報処理プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の情報処理プログラムを格納し、コンピュータが読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体に関し、特に、車両と共に移動する端末装置との間で通信を行って交通量の調整に関する情報の処理を行う情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に対して迂回を促すことで交通量の調整を図る技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、交通量を分散させて平滑化させるための誘導に対する、運転者の遵守率を向上させるために、走行経路に対する運転者の嗜好に合った迂回路情報を生成する交通量分散システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-219054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、渋滞の緩和を促進させるためには、渋滞区間を迂回する車両の数を増やすことが重要である。しかしながら、サイズの小さい車両ばかり迂回させるとそのサイズの小ささ故に迂回する車両数の割に渋滞緩和効果が少ない場合があり得る。また、サイズの小さい車両ばかりが迂回し、大型車ばかりが渋滞区間に向かってしまうと、大型車特有の加減速の鈍さ故に渋滞緩和の促進効果が削がれる可能性がある。
【0006】
また、渋滞区間の渋滞の緩和に加え、当該渋滞区間を迂回した車両が迂回路において新たな渋滞を引き起こすことを防止することも重要である。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、効率良く交通量の調整を促進することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、前記対象区間に向かって走行中の車両の属性又は前記車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得部と、前記属性情報に基づいて、前記車両のうちから前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定部と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項14に記載の発明は、情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、前記対象区間に向かって走行中の車両の属性又は前記車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得ステップと、前記属性情報に基づいて、前記車両のうちから前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項15に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、前記対象区間に向かって走行中の車両の属性又は前記車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得ステップと、前記属性情報に基づいて、前記車両のうちから前記対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定ステップと、を実行させるための情報処理プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例に係る情報処理システム100を示す図である。
図2】実施例に係る情報処理システム100による交通量の調整について説明する説明図である。
図3】実施例に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施例に係る登録情報の一例を示す図である。
図5】実施例に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施例に係る情報処理装置が迂回依頼情報を送信する際に実行するルーチンの一例を示すフローチャートである。
図7】実施例に係る情報処理装置による迂回依頼車両の設定の一例を示す図である。
図8】実施例に係る情報処理装置による迂回依頼車両の設定の他の一例を示す図である。
図9】実施例に係る情報処理装置が送信する迂回依頼情報の一例を示す図である。
図10】実施例に係る端末装置によって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
図11】実施例に係る迂回依頼情報が表示された表示画面の一例を示す図である。
図12】実施例に係る応答情報の一例を示す図である。
図13】実施例に係る情報処理装置がインセンティブの付与のための情報を生成する際に実行するルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0013】
図1図5を参照しつつ、実施例に係る情報処理装置10を含む情報処理システム100の構成について説明する。
【0014】
図1は、実施例に係る情報処理システム100の構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、情報処理システム100は、情報処理装置10、複数の端末装置20、及び管理サーバ50を含んで構成されている。なお、情報処理装置10、及び管理サーバ50は、一体の装置として構成されてもよい。情報処理システム100は、情報処理装置10と端末装置20との情報の送受信によって交通量の調整を図るシステムである。
【0016】
情報処理装置10は、複数の車両Mにそれぞれ搭載されている端末装置20との間でネットワークNWを介して通信を行うサーバ装置である。情報処理装置10は、道路上で交通渋滞が生じている場合等の交通量の調整が必要な場面において、当該道路上を走行している車両に対して迂回を依頼するための通信を端末装置20との間で行う。
【0017】
情報処理装置10は、道路上の所定の区間を走行中の車両のうち、所定の基準に従って優先される車両に迂回を依頼する。具体的には、情報処理装置10は、車両の寸法等の車両の属性又は車両の運転者の運転スキル等の属性に基づいて、どの車両に迂回を依頼するかを決定する。
【0018】
当該迂回の依頼は、当該依頼の受諾の引き換えにインセンティブの付与を行うことを含む依頼であってもよい。当該インセンティブは、例えば、有料道路の料金の割引である。また、当該インセンティブは例えば、所定の企業が運営するポイントサービス、すなわちポイントプログラムにおけるポイントである。
【0019】
端末装置20は、複数の車両M内にそれぞれ存在し、車両と共に移動する端末装置である。端末装置20は、例えばタッチパネルディスプレイを備えており、情報処理装置10から受信する情報をディスプレイに表示する。また、端末装置20は、タッチパネルを介して車両Mの乗員からの入力操作を受け付け、入力された情報を情報処理装置10に送信する。
【0020】
本実施例において、端末装置20は、車両に搭載されている車載装置である。なお、端末装置20は、車載装置に限られず、例えばスマートフォン等の車両の乗員が携帯する端末装置であってもよい。
【0021】
管理サーバ50は、上記の迂回の依頼がインセンティブの付与と引き換えに行われる場合において、インセンティブの付与に関する管理を行うサーバ装置である。管理サーバ50は、情報処理装置10から登録車両の乗員に対して付与すべきインセンティブを示す情報を受信して、インセンティブを付与するための情報処理を行う。
【0022】
例えば、管理サーバ50は、有料道路の料金の徴収に関する管理を行うサーバである。また、例えば、管理サーバ50は、ポイントサービスを運営する企業におけるポイントの付与に関する管理を行うサーバ装置である。
【0023】
情報処理装置10と端末装置20と管理サーバ50とは、ネットワークNWを介して、例えば、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。端末装置20とネットワークNWとの接続は、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信によりなされ得る。
【0024】
本実施例において、複数の端末装置20が、情報処理装置10に予め登録されている登録端末である場合について説明する。また、本実施例において、登録端末としての端末装置20が搭載されている車両M、すなわち端末装置20と共に移動する車両Mを登録車両とも称する。
【0025】
情報処理装置10は、道路上の交通渋滞が生じている区間等の交通を調整すべき区間である対象区間に向かって走行中の登録車両のうちから、当該区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する。
【0026】
なお、上記対象区間の一部のみを通ることを避けることが可能である場合は、例えば、対象区間が高速道路中にあり、対象区間内にインターチェンジがある場合である。対象区間に進入する前のインターチェンジで高速道路上から退出し、対象区間内のインターチェンジで進入することで、対象区間の一部の通過を回避することが出来る。また、対象区間内のインターチェンジで退出すれば、対象区間のうち当該インターチェンジよりも下流の部分の通過を回避することが出来る。
【0027】
なお、説明するまでもないが、対象区間全部の通過を回避する場合とは、例えば、車両Mが対象区間に進入する前のインターチェンジで高速道路上から退出し、対象区間の下流のインターチェンジから進入する場合である。
【0028】
以下の説明において、隣り合う各インターチェンジ間の区間、すなわち通行を回避する区間の単位となり得る区間のそれぞれを道路区間と定義して説明する。
【0029】
図2は、実施例に係る情報処理システム100による交通量の調整について説明する説明図である。図2中のMLは、情報処理システム100の管理下にある高速道路の図中の左方向を進行方向とする本線を示している。
【0030】
図2中のCSは、本線MLにおける交通量の調整をすべき区間、すなわち交通量の調整の対象となる区間である対象区間を示している。図2は、対象区間CSを渋滞が生じている区間として示している。なお、対象区間CSは、渋滞が予測される区間を含んでいてもよく、渋滞が予測される区間のみからなる区間であってもよい。
【0031】
図2に示すように、対象区間CSよりも上流側に出口インターチェンジIC(以下、単に出口ICとも称する)が存在する。図2中のPSは、出口ICよりも上流側の所定の区間である所定区間PSを示している。
【0032】
所定区間PSは、例えば、対象区間CSの直前に位置する出口ICと、もう一つ前の出口ICとの間の道路区間である。所定区間PSはこれに限られず、例えば、対象区間CSの直前の出口ICを含む2つ以上の道路区間であってもよい。また、例えば、所定区間PSは、対象区間CSの2つ前の出口ICの位置を基準に決められてもよい。
【0033】
例えば、所定区間PSは、対象区間CSの直前に位置する出口ICから1~2km手前の位置から本線MLの進行方向とは逆方向(図中、右方向)に数km~十数kmに亘って伸長している区間である。
【0034】
図2に示すように、複数の車両Mは、本線ML上の対象区間CSよりも上流側の所定区間PSを対象区間CSに向かって走行中である。情報処理装置10は、所定区間PSを走行中の車両Mの中から対象区間CSの少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する。また、情報処理装置10は、設定した迂回依頼車両と共に移動する端末装置20に、対象区間CSの少なくとも一部の区間の迂回を依頼することを示す迂回依頼情報を送信する。
【0035】
図3は、情報処理装置10の構成を示すブロック図である。図3に示すように、情報処理装置10は、システムバス11を介して各部が接続されて構成されている。
【0036】
大容量記憶装置13は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成された記憶装置である。大容量記憶装置13は、情報処理装置10において実行される各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されてもよく、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれてもよい。例えば、大容量記憶装置13は、情報処理装置10によって、迂回依頼車両が設定される際に実行される情報処理プログラムを記憶する。
【0037】
大容量記憶装置13は、各種プログラムを実行するために必要なデータが格納されたデータベースを記憶している。
【0038】
大容量記憶装置13は、登録情報データベース(以下、登録情報DBと称する)13Aを含む。登録情報DB13Aには、端末装置20の各々を宛先として情報を送信するために必要な登録情報が記憶されている。
【0039】
また、登録情報DB13Aには、登録車両の属性又は登録車両の運転者の属性を示す属性情報が登録情報に対応付けられて記憶されている。当該属性情報は、情報処理装置10が属性情報に基づいて迂回依頼車両を設定するために利用される。登録車両の属性又は登録車両の運転者の属性は、当該登録車両が迂回した際の交通量の調整効果に関連する属性である。
【0040】
本実施例において、車両の属性としては、例えば、車両の種類又は車両の寸法が用いられる。車両の種類としては、例えば、道路交通法に定められている車種又は車両法に定められている車種等の車種が用いられる。車両の寸法(サイズ)としては、たとえば、車両の全長が用いられるが、他に、全幅又は車高が用いられてもよい。
【0041】
また、車両の属性は、上記車両の種類または車両の寸法以外の属性であって、当該車両が迂回をした際の交通量の調整効果に関連する属性であってもよい。上記車両の種類または車両の寸法以外の属性であって、交通量の調整効果に関連する属性としては、例えば、車重又はパワーウェイトレシオ(単位馬力あたりの重量)が挙げられる。
【0042】
本実施例において、車両の運転者の属性としては、例えば運転スキル又は土地勘が用いられる。また、車両の運転者の属性として、例えば、運転スキルや土地勘の有無を含む項目について評価されて点数化された運転スコアが用いられてもよい。運転者の運転スコアは、例えば、当該運転者が運転した車両の走行履歴に基づいて決められてもよい。
【0043】
また、運転者の属性は、当該運転者が対象区間又は対象区間の迂回をした際に走行する迂回路を順調に運転できるか否かに関連する属性であってもよい。例えば、当該対象区間又は迂回路を順調に運転できるか否かに関連する属性として、運転者の運転スキル若しくは土地勘又は運転スコアが用いられてもよい。
【0044】
図4は、登録情報DB13Aに記憶されている登録情報TB1の一例を示す。図4に示すように、登録情報TB1において、端末装置20の「端末ID」と、当該端末装置20と共に移動する車両の「車両ID」と、当該車両についての「車両の属性」及び「運転者の属性」と、が対応付けられている。
【0045】
「端末ID」は、例えばMACアドレス等の識別子であり、情報処理装置10が端末装置20に宛てて情報を送信するために必要な識別子である。
【0046】
「車両ID」は、例えば、自動車登録番号(いわゆる車両ナンバー)や車台番号等又はETC車載機のID等の、端末装置20の識別子とは別の識別子でありかつ車両Mを特定可能な識別子である。
【0047】
図4に示す例においては、車両の属性として、「車種」及び「サイズ(全長)」が登録されている。図4に示す例において「車種」は、道路交通法に定められている車種である。また、図4に示す例においては、運転者の属性として、「運転スコア」が登録されている。
【0048】
また、大容量記憶装置13は、インセンティブ情報データベース(以下、インセンティブ情報DBと称する)13Bを含んでいてもよい。インセンティブ情報DB13Bには、情報処理装置10が、迂回に対する報酬としてのインセンティブの付与に関する情報処理を行うために必要なインセンティブ情報が記憶されている。
【0049】
インセンティブ情報DB13Bには、例えば、属性情報に基づいてインセンティブの内容又はレベルが決定される際の基準が記憶されている。
【0050】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)15A、ROM(Read Only Memory)15B、RAM(Random Access Memory)15C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU15Aが、ROM15Bや大容量記憶装置13に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0051】
制御部15は、大容量記憶装置13に記憶された情報処理プログラムを読み出して実行することで、対象区間CSに向かって走行中の車両又は当該車両の運転者についての属性情報に基づいて、迂回依頼車両を設定する。
【0052】
当該情報処理プログラムの実行において、制御部15は、日本道路交通情報センター(登録商標)(JARTIC(登録商標))や道路交通情報通信システム(VICS(登録商標))センター等の、有料道路や一般道の交通情報の収集及び提供を行う施設(以下、「道路交通情報センター」とも称する)から交通情報を取得する。
【0053】
また、制御部15は、当該情報処理プログラムの実行において、大容量記憶装置13の登録情報DB13Aから登録情報を読み出して、対象区間CSに向かって走行中の車両の登録情報に対応付けられた属性情報を取得し、当該属性情報に基づいて、迂回依頼車両を設定する。
【0054】
通信部17は、無線装置(図示せず)に接続されているNIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタである。通信部17は、制御部15からの命令に従って、情報処理装置10と外部との通信を行う。
【0055】
例えば、通信部17は、情報処理装置10が対象区間を示す情報を含む交通情報を道路交通情報センター等から受信する際の通信を行う。制御部15は、通信部17を介して交通情報を取得する交通情報取得ステップを実行する交通情報取得部として機能する。
【0056】
また、通信部17は、情報処理装置10が端末装置20に迂回依頼情報を送信する際の通信を行う。制御部15は、通信部17を介して迂回依頼情報を送信する迂回依頼送信部として機能する。
【0057】
また、制御部15は、通信部17を介して、予め登録されている端末装置20の位置情報を取得する。本実施例において、制御部15は、端末装置20との接続がなされている間、常時車両Mの位置情報を取得する。なお、他に車両の位置情報を収集する位置情報収集サーバが存在し、制御部15は、当該位置情報収集サーバから車両Mの識別子と車両Mの位置とが紐づけられた情報を取得することとしてもよい。
【0058】
制御部15は、通信部17を介して、端末装置20から車両Mの経路情報を取得する経路取得部として機能する。当該経路情報は、例えば、端末装置20において生成されたものであるか又は端末装置20に接続されているカーナビゲーション装置から取得されたものでもよい。
【0059】
制御部15は、通信部17を介して、迂回依頼情報を受信した端末装置20から、依頼に応じることを示す受諾を受け付ける。制御部15は、迂回依頼を受諾して迂回を行うことを示す応答を受け付ける受諾受付部として機能する。
【0060】
さらに、制御部15は、通信部17を介して、ETCゲートを車両が通過する際に取得される車両ID及び出入りの時刻を示す情報をETCゲートから受信してもよい。
【0061】
また、制御部15は、例えば、迂回依頼情報を受信した端末装置20と共に移動する車両Mが本線ML上から退避した場合に、付与すべきインセンティブを示すインセンティブ付与情報を生成してもよい。制御部15は、例えば、車両Mが本線ML上から退避した後、再び本線MLに進入した場合にインセンティブ付与情報を生成してもよい。
【0062】
また、制御部15は、通信部17を介して取得した交通情報に基づいて、迂回依頼に応じて迂回してもらう車両の台数の目標値(目標台数)を設定してもよい。
【0063】
図5は、端末装置20の構成を示すブロック図である。図5に示すように、情報処理装置10は、システムバス21を介して各部が接続されて構成されている。
【0064】
本実施例において、端末装置20は、経路生成機能及びナビゲーション機能(いわゆるカーナビゲーション機能)を有する。なお、端末装置20自体はカーナビゲーション機能を有さなくてもよい。その場合は、端末装置20は車両Mに搭載されているカーナビゲーション装置に経路情報を取得可能に接続されていてもよい。
【0065】
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)23A、ROM(Read Only Memory)23B及びRAM(Random Access Memory)23Cを含み、端末装置20の動作の制御を行うコンピュータである。制御部23において、CPU23Aが、ROM23B等に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0066】
通信部25は、無線装置(図示せず)に接続されているNIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタである。通信部25は、制御部23からの命令に従って、情報処理装置10及びその他の外部装置との通信を行う。例えば、通信部25は、端末装置20が情報処理装置10から迂回依頼情報を受信する際の通信を行う。
【0067】
出力部27は、車両Mに備えられたタッチパネルディスプレイ29のディスプレイ及びスピーカ31に接続されている。出力部27は、制御部23からの命令に従って、ディスプレイ及びスピーカ31に各種情報を供給するインターフェースである。
【0068】
出力部27は、例えば、制御部23が通信部25を介して受信した迂回依頼情報をディスプレイに供給する。言い換えれば、制御部23は、出力部27を介して迂回依頼情報をディスプレイに表示させる。出力部27は、例えば、当該迂回依頼情報をスピーカ31に供給してもよい。
【0069】
入力部33は、車両Mに備えられている機器からデータを取得するインターフェースである。入力部33は、車両Mに備えられているマイク35、タッチパネルディスプレイ29のタッチパネルに接続されている。
【0070】
また、入力部33は、タッチパネルを介した入力を受け付けることで、迂回依頼情報に対する応答操作としての車両Mの乗員からの選択入力を受け付ける。例えば、迂回依頼情報が示す対象区間CSを迂回すること、すなわち迂回依頼に対して受諾することを示す入力若しくは選択を受け付ける。
【0071】
また、入力部33は、GPS受信機37に接続されている。入力部33は、GPS受信機37から車両Mの位置を示すデータを取得する。また、取得された車両Mの現在位置は、情報処理装置10に送信され、情報処理装置10における迂回依頼車両の設定等の処理に用いられる。
【0072】
記憶部39は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成された記憶装置である。記憶部39は、端末装置20において実行される各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されてもよく、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれてもよい。例えば、記憶部39は、端末装置20において実行される表示生成プログラムを記憶する。
【0073】
また、記憶部39は、地図情報データベース(以下、地図情報DBと称する)37Aを記憶している。地図情報DB37Aには、端末装置20による経路探索のために用いられる地図情報が格納されている。
【0074】
図6図13を参照しつつ、本実施例における情報処理システム100において実行される情報処理について説明する。
【0075】
図6は、情報処理装置10の制御部15によって実行されるルーチンの一例である依頼送信ルーチンRT1を示すフローチャートである。制御部15は、例えば、情報処理装置10に電源が投入されると交通情報の取得を開始する。例えば、制御部15は、交通情報の取得を開始すると、依頼送信ルーチンRT1を開始する。
【0076】
制御部15は、依頼送信ルーチンRT1を開始すると、交通情報に基づいて、交通量の調整をすべき区間である対象区間が存在するか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101において、例えば、制御部15は、道路交通情報センターから受信した交通状況を示す情報に基づいて、対象区間CSが存在するか否かを判定する。
【0077】
対象区間CSが存在するか否かの判定は、例えば、道路交通情報センターから受信した情報に渋滞が発生している区間である渋滞区間の存在を示す情報が含まれているか、または渋滞が発生することが予想される渋滞発生予想区間が含まれているか否かでなされてもよい。その場合は、例えば、道路交通情報センターから受信した情報に示される渋滞区間または渋滞発生予想区間が対象区間CSとして特定される。
【0078】
また、対象区間が存在するか否かの判定は、例えば、道路交通情報センターから受信した情報、例えば交通量または交通流の情報等に基づいて、渋滞が発生している渋滞区間または渋滞が発生されることが予想される渋滞発生予想区間が特定されるか否かでなされてもよい。
【0079】
制御部15は、ステップS101において、対象区間が存在すると判定する(ステップS101:YES)と、当該対象区間に向かう所定区間を走行中の車両Mを抽出する(ステップS102)。ステップS102において、例えば図2において説明したように、対象区間CSの上流側の直前に位置するインターチェンジと、もう1つ手前のインターチェンジとの間の区間を所定区間PSとして設定し、所定区間PS内を走行中の登録車両である車両Mを抽出する。
【0080】
ステップS102において、例えば、制御部15は、登録情報DB13Aに登録されている登録車両である車両Mの位置情報を取得し、所定区間を走行中の車両Mを抽出する。
【0081】
なお、制御部15は、ステップS101において、対象区間が存在すると判定した場合(ステップS101:YES)、対象区間についての交通量の調整のために本線MLから退避して迂回してもらう車両の台数の目標値を設定してもよい。例えば、当該台数の目標値は、対象区間CSの長さ又は1の車両が当該対象区間を通過する際の所要時間等の交通状況に基づいて設定されてもよい。例えば、当該台数の目標値は、現在の交通状況に加えて、過去の渋滞緩和の際のデータを蓄積した統計データに基づいて設定されてもよい。
【0082】
制御部15は、ステップS102の実行後、抽出された登録車両の経路情報を取得する(ステップS103)。ステップS103において、例えば、制御部15は、通信部17を介して、経路情報の送信を求める要求を、抽出された登録車両と共に移動する端末装置20に送信し、端末装置20から経路情報を取得する。ステップS103において、制御部15は、対象区間に向かう道路上を走行中の車両の経路情報を取得する経路取得部として機能する。
【0083】
例えば、端末装置20の制御部23は、端末装置20において生成された経路情報又は車両Mに搭載されているカーナビゲーション装置から経路情報を取得し、当該取得した経路情報を上記要求への応答として制御部15に送信する。
【0084】
制御部15は、ステップS103の実行後、ステップS103において取得した経路情報に基づいて、走行予定の経路に対象区間CSが含まれる登録車両を抽出する(ステップS104)。ステップS104において、例えば、走行予定の経路が、対象区間CSの少なくとも一部と重複する車両Mが抽出される。ステップS104において抽出された車両Mは、迂回依頼車両の候補となる。
【0085】
制御部15は、ステップS104の実行後、ステップS104において抽出された車両Mの属性情報に基づいて、対象区間CSの少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する(ステップS105)。
【0086】
ステップS105において、例えば、制御部15は、登録情報DB13Aから属性情報を読み出して、属性情報に基づいて、ステップS104において抽出された車両Mのうちの度の車両Mに迂回依頼をするかを設定する。
【0087】
属性情報は、車両Mの属性として、例えば、車両Mの種類又は車両Mの寸法を示す。また、属性情報は、車両Mの運転者の属性として、例えば、運転スキル、土地勘の有無等を示す。
【0088】
ステップS105において、制御部15は、対象区間に向かって走行中の車両の属性又は当該車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得ステップを実行する属性取得部として機能する。
【0089】
また、ステップS105において、制御部15は、属性情報に基づいて、ステップS104において抽出された車両Mのうちから対象区間CSの少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定ステップを実行する設定部として機能する。
【0090】
図7は、ステップS105における迂回依頼車両の設定の一例である設定ST1を示す図である。設定ST1において、交通量の調整に関連する属性に基づいて、迂回依頼車両が設定されている。
【0091】
図7中の順位は、各車両M及び当該車両Mと共に移動する端末装置20の登録情報、すなわち各端末IDと車両IDとの組を、交通量の調整に関連する属性に基づいて、交通量の調整効果が高い順に並べた順位を示している。設定ST1において、交通量の調整に関連する属性として、車両の属性及び運転者の属性を用いている。
【0092】
設定ST1において、例えば、車両の属性については、寸法の大きい車両は寸法の小さい車両よりも対象区間CSのうちのより長い距離を占有するため、寸法の大きい車両ほど迂回による交通量の調整効果が高いと判断される。
【0093】
また、設定ST1において、例えば、運転者の属性については、運転スコアが高い運転者よりも運転スコアが低い運転者が運転する車両の方が対象区間CSを順調に走行できない可能性が高いため、運転スコアが低い運転者が運転する車両ほど迂回による交通量の調整効果が高いと判断される。
【0094】
図7に示す例においては、破線で囲まれた上位10台が迂回依頼車両に設定されている。なお、図7中、車両の属性として車種及びサイズが記載されているが、迂回依頼車両の設定において、例えば、車両の寸法の指標として車両のサイズ(全長)が用いられてもよく、車両のサイズに代えて車種が用いられてもよい。
【0095】
なお、車両の属性は上記したものに限られず、例えば、車両の重量またはパワーウェイトレシオ(単位馬力あたりの重量)が用いられてもよい。
【0096】
例えば、車重の大きい車両及びパワーウェイトレシオが低い車の加減速力の小ささが原因となり渋滞が発生したりその解消が促進しないということに着目し、より車重の大きい車両またはよりパワーウェイトレシオが小さい車両を迂回させる方がより渋滞緩和効果が高いこととしても良い。
【0097】
また、例えば、高速道路の上り坂部分で、パワーウェイトレシオの小さい車両の速度低下が原因となって渋滞が起こることが多いことに着目し、上り坂で渋滞が発生している場合、パワーウェイトレシオが小さい車両を迂回させる方がパワーウェイトレシオが高い車両を迂回させるよりも渋滞緩和効果が高いこととしてもよい。
【0098】
その場合、特に渋滞区間に上り坂が含まれる場合には、車両の寸法に加えてまたはこれに替えて、車両の車重又はパワーウェイトレシオに基づいて、優先度を決めて迂回依頼車両を設定してもよい。具体的には、車両の重量が大きい車またはパワーウェイトレシオが小さい車を優先して迂回依頼車両として設定してもよい。
【0099】
また、高速道路の上り坂部分またはサグ部分の上り坂部分で、不慣れな運転者がアクセルの踏み込み量を変えないことによって発生する意図しない速度低下が原因となって渋滞が起こることが多いことに着目し、運転スキルが低い運転者が運転している車両を迂回させる方が、運転スキルが高い運転者が運転する車両を迂回させるよりも渋滞緩和効果が高いこととしてもよい。
【0100】
すなわち、図7に示す例においては、高速道路上の対象区間の交通量を調整するにあたり、当該対象区間の交通量の調整効果が高い車両が優先的に迂回依頼車両として設定される。これにより、効果的に対象区間の交通量を調整することができる。
【0101】
一方、図8は、ステップS105における迂回依頼車両の設定の他の一例である設定ST2を示す図である。設定ST2において、運転者が迂回をした際に走行する迂回路を順調に走行できるか否かに関する属性に基づいて、迂回依頼車両が設定されている。
【0102】
図8中の順位は、各車両M及び当該車両Mと共に移動する端末装置20の登録情報、すなわち各端末IDと車両IDとの組を、迂回路を順調に走行できるか否かに関する属性に基づいて、迂回路を順調に走行できる可能性が高い順に並べた順位を示している。設定ST2において、迂回路を順調に走行できるか否かに関する属性として、車両の属性及び運転者の属性を用いている。
【0103】
設定ST2において、例えば、運転者の属性については、運転スコアが低い運転者よりも運転スコアが高い運転者が運転する車両の方が迂回路を順調に走行できる可能性が高いと判断される。
【0104】
なお、設定ST2において、例えば、車両の属性については、寸法の小さい車両は寸法の大きい車両よりも迂回路を順調に走行できる可能性が高いと判断されてもよい。図8に示す例においては、破線で囲まれた上位10台が迂回依頼車両に設定されている。
【0105】
すなわち、図8に示す例においては、高速道路上の対象区間の交通量を調整するにあたり、当該対象区間の迂回路を順調に走行できる可能性の高い車両が優先的に迂回依頼車両として設定される。これにより、迂回路における渋滞発生を抑制しつつ、高速道路上の対象区間の交通量を調整することができる。
【0106】
上述した、図7および図8のそれぞれの例が示す迂回依頼車両の設定方法は、高速道路の対象区間および、その周辺の迂回路の交通状況等に応じて、適宜使い分けられるようにしてもよい。例えば、迂回路の状況が、信号機が多い、道幅が狭い、または渋滞傾向にある、といったように、当該迂回路に迂回依頼車両を誘導することで、当該迂回路において深刻な渋滞の発生が予想される場合には、当該迂回路を順調に走行できる可能性の高い車両を優先して迂回依頼車両として設定するようにしてもよい。また、例えば、高速道路の対象区間の渋滞が深刻で、且つ、当該対象区間の迂回路の状況が、信号機が少ない、道幅が広い、または渋滞傾向にない、といった場合には、当該対象区間の交通量の調整効果が高い車両を優先して迂回依頼車両として設定するようにしてもよい。
【0107】
制御部15は、ステップS105の実行後、迂回依頼車両に対して対象区間の少なくとも一部の迂回を依頼することを示す迂回依頼情報を生成する(ステップS106)。迂回依頼情報は、例えば、送信先の端末装置20の端末ID及び迂回を依頼する区間である迂回依頼区間を示す情報を含む。
【0108】
図9は、迂回依頼情報の一例を示す図である。迂回依頼区間は、例えば、対象区間CSの全部の区間であってもよく、一部の区間であってもよい。例えば、ステップS103において取得された経路情報に基づいて、迂回を依頼する一部の区間が設定されてもよい。また、図9に示すように、迂回依頼情報には、迂回することに対するインセンティブを示す情報が含まれていてもよい。
【0109】
制御部15は、ステップS106の実行後、迂回依頼情報を迂回依頼車両と共に移動する端末装置20に送信する(ステップS107)。ステップS107において、図9に示したような迂回依頼情報が、迂回依頼情報に設定されている宛先の端末装置20にそれぞれ送信される。
【0110】
制御部15は、ステップS101において対象区間が存在しないと判定した場合(ステップS101:NO)、又はステップS107の実行後、依頼送信ルーチンRT1を終了し、新たに依頼送信ルーチンRT1を開始する。
【0111】
なお、依頼送信ルーチンRT1のステップS103及びステップS104において、所定区間PSを走行中の登録車両の経路情報を取得し、走行予定の経路に対象区間が含まれる登録車両を迂回依頼車両の候補とすることについて説明したが、これに限られない。制御部15は、ステップS103及びステップS104を実行せずに、所定区間PSを走行中の全ての登録車両を迂回依頼車両の候補としてもよい。言い換えれば、所定区間PSを走行中の全ての登録車両の中から選択された車両が迂回依頼車両に設定されてもよい。
【0112】
なお、ステップS103及びステップS104を実行することにより、対象区間を走行予定の登録車両のみを迂回依頼車両の候補とすることができるため、迂回依頼が無くとも元々対象区間を迂回する予定の登録車両を迂回依頼情報の送信対象から外すことができる。これによって、迂回に対してインセンティブを付与する場合には、無用なインセンティブの付与をしないことにより、インセンティブの付与に伴う費用を抑制することができる。
【0113】
図10は、端末装置20の制御部23によって実行されるルーチンの一例である応答ルーチンRT2を示すフローチャートである。制御部23は、例えば、端末装置20が起動されると、応答ルーチンRT2を開始する。
【0114】
制御部23は、応答ルーチンRT2を開始すると、情報処理装置10からの迂回依頼情報の受信を一定時間待機する(ステップS201)。
【0115】
制御部23は、ステップS201の実行後、迂回依頼情報を受信したか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202において、例えば、制御部23は、図9に例示したような、迂回依頼区間を示す情報を含む迂回依頼情報を情報処理装置10から受信したか否かを判定する。
【0116】
ステップS202において、制御部23は、迂回依頼情報を受信したと判定する(ステップS202:YES)と、受信した迂回依頼情報を端末装置20と共に移動する車両Mの乗員に提示する(ステップS203)。ステップS203において、例えば、制御部23は、出力部27を介して、タッチパネルディスプレイ29のディスプレイに迂回依頼情報を表示させる。
【0117】
図11は、タッチパネルディスプレイ29のディスプレイに表示される迂回依頼情報の表示の態様の一例を示す図である。図11に示すように、画面の一部の領域に自車両の現在位置を示す地図が表示されている。画面の地図以外の領域には、迂回依頼情報が示す内容を車両の乗員に提示するメッセージが表示されている。
【0118】
図11の例においては、対象区間CSが「〇〇IC~XXIC」間であり、当該区間の依頼することを示すメッセージが表示されている。また、当該区間を迂回することに対するインセンティブを付与するという提案が表示されている。具体的には、インセンティブとして付与されるポイント数が表示されている。さらに、迂回について受諾するか否かを示す「迂回する」及び「迂回しない」のいずれかを選択可能な選択ボタンが表示されている。
【0119】
制御部23は、ステップS203の実行後、迂回依頼情報が示す迂回依頼に対する応答操作がなされたか否かを判定する(ステップS204)。ステップS204において、例えば、制御部23は、タッチパネルを介した入力操作が所定時間内になされたか否かを判定する。
【0120】
ステップS204において、例えば、「迂回する」及び「迂回しない」のいずれかのボタン及び送信ボタンが押されると、応答操作がなされたと判定されてもよい。なお、ステップS204において、時間内に選択ボタン又は送信ボタンが押されなかった場合、応答操作はなされなかったとみなしてもよい。
【0121】
制御部23は、ステップS204において、応答操作がなされたと判定する(ステップS204:YES)と、迂回依頼に対する応答を示す応答情報を生成する(ステップS205)。
【0122】
ステップS205において、制御部23は、応答操作によって選択された「迂回する」又は「迂回しない」のいずれかを示す情報及び端末装置20の識別子(端末ID)を含む情報を生成する。
【0123】
図12は、応答情報の一例である応答情報AW1を示す。図12に示す例においては、応答情報AW1は、端末ID「AA」の端末装置20と共に移動する車両の乗員が迂回依頼に対して受諾し、「迂回する」を選択したことを示している。
【0124】
制御部23は、ステップS205の実行後、情報処理装置10を送信先として応答情報を送信する(ステップS206)。
【0125】
制御部23は、ステップS206の実行後、又はステップS204において応答操作がなされなかったと判定した場合(ステップS204:NO)、迂回依頼情報の提示を終了する(ステップS207)。
【0126】
制御部23は、ステップS207の実行後、又はステップS202において迂回依頼情報を受信していないと判定した場合(ステップS202:NO)、応答ルーチンRT2を終了し、応答ルーチンRT2を新たに開始する。
【0127】
なお、ステップS204において、例えば、所定時間が経過していなくても、車両Mの現在位置が所定区間PSの外側の位置となった場合、すなわち車両Mが所定区間PSを脱した場合には、迂回依頼情報の表示を停止してもよい。
【0128】
図13は、迂回依頼情報の送信後(図6、ステップS107)に情報処理装置10の制御部15によって実行されるルーチンの一例であるインセンティブ付与ルーチンRT3を示すフローチャートである。制御部15は、迂回依頼情報を送信すると、インセンティブ付与ルーチンRT3を開始する。
【0129】
制御部15は、インセンティブ付与ルーチンRT3を開始すると、迂回依頼情報を受信した端末装置20からの、当該迂回依頼情報が示す迂回依頼に対する応答情報を待機する(ステップS301)。ステップS301において、例えば、制御部15は、応答情報の受信を一定時間待機し、応答情報の各々を受信するごとに記憶して蓄積する。
【0130】
例えば、制御部15は、迂回依頼情報を送信してから応答情報を受信するまでの制限時間を設けていてもよく、ステップS301において、当該制限時間が経過するまで待機する。例えば、制限時間が経過しても応答情報の受信がない場合は、当該迂回依頼情報に対して受諾されなかったものとみなしてもよい。
【0131】
制御部15は、ステップS301の実行後、迂回依頼について受諾することを示す受諾情報を受信したか否かを判定する(ステップS302)。ステップS302において、制御部15は、受信した応答情報中に、迂回依頼について受諾することを示す受諾情報が含まれるか否かを判定する。ステップS302において、例えば、制御部15は、応答情報が少なくとも1つの端末装置20からの受諾情報を含む場合に、受諾情報を受信したと判定する。
【0132】
ステップS302において、受諾情報を受信したと判定する(ステップS302:YES)と、受諾情報を送信した登録車両が本線MLから退避したことを示す退避情報の取得を一定時間待機する(ステップS303)。
【0133】
ステップS303において、例えば、制御部15は、受諾情報を送信した車両Mが出口ICのETC(以下、単に出口ETCとも称する)ゲートを通過した位置及び時刻を示す情報の受信を待機する。
【0134】
制御部15は、ステップS303の実行後、退避情報を取得したか否かを判定する(ステップS304)。例えば、制御部15は、受諾情報を送信した車両Mの識別子(例えば、ETC車載機ID)を含む情報について、出口ETCゲートから通信部17を介して受信すると、退避情報を取得したと判定する。また、ステップS304において、例えば、制御部15は、車両Mの位置情報に基づいて、車両Mが本線MLから退避したことを判定することで、退避情報を取得してもよい。
【0135】
ステップS304において、退避情報を受信したと判定する(ステップS304:YES)と、制御部15は、当該退避情報が示す端末装置20と共に移動する車両Mに対して付与すべきインセンティブのレベルを示すインセンティブ付与情報を生成する(ステップS305)。ステップS305において、制御部15は、迂回依頼車両に付与すべきインセンティブを示すインセンティブ付与情報を生成する情報生成部として機能する。
【0136】
ステップS305において、制御部15は、例えば、当該車両M又は車両Mの運転者の属性に基づいて、車両Mに対して付与すべきインセンティブのレベルを設定し、インセンティブ付与情報を生成する。ステップS305において、例えば、車両の寸法が大きい程交通量の調整効果が高いことを前提として、車両のサイズが大きい程高いレベルのインセンティブが設定される。
【0137】
制御部15は、ステップS305の実行後、インセンティブ付与情報を、インセンティブに関する管理を行う管理サーバに送信する(ステップS306)。
【0138】
制御部15は、ステップS302において受諾情報を受信していないと判定した場合(ステップS302:NO)、ステップS304において退避情報を取得していないと判定した場合(ステップS304:NO)又はステップS306の実行後、インセンティブ付与ルーチンRT3を終了する。
【0139】
なお、制御部15は、例えば、インセンティブ付与ルーチンRT3の終了を待たずに、次の新たな迂回依頼情報を送信してもよい。その場合、新たな迂回依頼情報に対応するインセンティブ付与ルーチンRT3を新たに実行開始する。
【0140】
新たな迂回依頼情報に対応するインセンティブ付与ルーチンRT3が実行された場合、現在実行されているインセンティブ付与ルーチンRT3は、制限時間が経過したとして終了に向かわせられてもよいし、新たに実行されるインセンティブ付与ルーチンRT3と並行して実行されてもよい。
【0141】
なお、インセンティブ付与ルーチンRT3において、ステップS301及びステップS302を実行しなくてもよい。それによって、迂回依頼情報を受信したすべての車両について、本線MLから退避した場合にインセンティブ付与情報が生成される。
【0142】
また、例えば、インセンティブ付与ルーチンRT3において、ステップS303及びステップS304を実行しなくてもよい。その場合、受諾情報を送信した車両Mは本線MLから退避したものとみなされてインセンティブ付与情報が生成されてもよい。
【0143】
なお、例えば、退避情報によって本線MLから退避したことが確認された登録車両が、再び本線MLに進入した場合にインセンティブ付与情報を生成してもよい。これによって、例えば、車両Mの経路を取得しない場合、対象区間の少なくとも一部を迂回したことを確認できる。
【0144】
以上、説明したように、本実施例に係る情報処理装置は、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、対象区間に向かって走行中の車両の属性又は車両の運転者の属性を示す属性情報を取得する属性取得部と、属性情報に基づいて、当該車両のうちから対象区間の少なくとも一部の区間の迂回を依頼する迂回依頼車両を設定する設定部と、を有する。
【0145】
このような構成により、本実施例によれば、対象区間に向かって走行中の全ての車両に迂回の依頼をするのではなく、車両の属性又は車両の運転者の属性に基づいて選択した車両に優先的に迂回を依頼することができる。
【0146】
従って、例えば、交通量の調整の効果が高い車両に優先的に迂回依頼をすることができる。また、例えば、運転者が迂回をした際に走行する迂回路を順調に運転できる可能性が高い車両に優先的に迂回依頼をすることができる。
【0147】
従って、効率良く交通量の調整を促進することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することができる。
【0148】
なお、上記の実施例において、登録車両に迂回依頼情報を送信する例について説明したが、これに限られず、例えば、路車間通信システム等を使用して、登録の有無に関わらず所定の区間を走行中の全車両に迂回依頼情報を送信してもよい。
【0149】
また、上記の実施例において、交通量の調整をすべき対象区間が高速道路上にある場合について説明したが、これに限られない。例えば、対象区間は、高速道路以外の有料道路内又は一般道路内において、渋滞が生じているか又は渋滞が予測される等の交通量の調整をすべき区間であってもよい。
【0150】
上記の実施例において、対象区間を通行せずに退避を行う際に、出口インターチェンジを通って高速道路から退出し、当該出口インターチェンジの位置を基準に迂回依頼情報を送信する対象となる所定区間を設定する例について説明したが、これに限られない。例えば、迂回路が高速道路や自動車専用道路の場合にはジャンクションへの分岐点を基準に所定区間を決めてもよい。
【0151】
なお、情報処理装置10のインセンティブ情報DB13Bには、複数の企業によって提供される複数のポイントサービスに対応して、ポイントサービス毎のインセンティブの設定基準を示すデータが格納されていてもよい。
【0152】
また、本発明におけるインセンティブは、上記の実施例において挙げた例に限られない。例えば、当該インセンティブとして、現金又は物品が付与されることとしてもよい。
【0153】
なお、上記の実施例において、情報処理装置10によって送信された迂回依頼情報がタッチパネルディスプレイのディスプレイに表示される例について説明したが、これに限られない。例えば、スピーカを介して音声によって車両の乗員に提示されてもよい。
【0154】
例えば、制御部15は、依頼送信ルーチンRT1のステップS101において迂回してもらう車両の台数の目標値を設定していた場合には、送信した迂回依頼情報に応じて迂回する車両の台数が目標値に達するまで依頼送信ルーチンRT1を繰り返してもよい。例えば、依頼を受諾して迂回する車両の台数については、迂回依頼車両からの受諾を受け付けて、受諾数を計数することによって取得してもよい。
【0155】
また、制御部15は、送信した迂回依頼情報に応じて迂回する車両の台数が目標値に達した場合には、迂回依頼情報の送信を停止し、迂回依頼情報を受信した後に承諾を示す応答をしていない車両に対し迂回依頼を取り消す旨の情報を送信してもよい。
【0156】
上述した実施例における構成及びルーチンは例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択及び変更可能である。
【符号の説明】
【0157】
10 情報処理装置
13 大容量記憶装置
13A 登録情報DB
13B インセンティブ情報DB
15 制御部
17 通信部
20 端末装置
23 制御部
25 通信部
27 出力部
29 タッチパネルディスプレイ
33 入力部
39 記憶部
50 管理サーバ
100 情報処理システム
M 車両
CS 対象区間
PS 所定区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13