IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧

特開2023-34560情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図8
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図9
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図10
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図11
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034560
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230306BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230306BHJP
   G06Q 30/0208 20230101ALI20230306BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/09 F
G06Q30/02 322
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140858
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC12
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】状況に応じて渋滞を効率よく緩和させることが可能な情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、対象区間を含む道路上を走行する車両が、対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように道路上からの退避を行うと、インセンティブを付与するという提案を示す提案情報を、車両と共に移動する端末装置に送信する提案情報送信部と、を有し、提案情報送信部は、所定時間中に提案を受諾した車両の台数である受諾台数と所定の目標台数との比較結果に基づいて、提案に含まれるインセンティブを変更することを特徴とする情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記対象区間を含む道路上を走行する車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、インセンティブを付与するという提案を示す提案情報を、前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案情報送信部と、を有し、
前記提案情報送信部は、所定時間中に前記提案を受諾した車両の台数である受諾台数と所定の目標台数との比較結果に基づいて、前記提案に含まれる前記インセンティブを変更することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記提案情報送信部は、前記所定時間中に前記受諾台数が前記所定の目標台数に満たない場合に、前記インセンティブを引き上げることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提案情報送信部は、前記所定時間中に前記受諾台数が前記所定の目標台数に達した場合に、前記インセンティブを引き下げることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の目標台数は、前記インセンティブが引き下げられた際に更新されることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の目標台数を設定する目標台数設定部を有し、
前記交通情報は、前記車両が非渋滞時に前記対象区間を通過する際の所要時間を示す第1の所要時間及び前記車両が現在の前記対象区間を通過する際の所要時間を示す第2の所要時間を含み、
前記目標台数設定部は、前記第1の所要時間と前記第2の所要時間との比較結果に基づいて、前記所定の目標台数を設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提案情報は、前記車両が前記対象区間の手前から前記対象区間の少なくとも一部を通行せずに迂回すると前記インセンティブを付与するという提案を示す情報であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提案情報は、前記迂回のために前記車両が退出すべき前記道路の1の出口を示す出口情報を含むことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提案情報は、前記車両が前記対象区間内又はその手前に位置する休憩施設に一定時間留まると前記インセンティブを付与するという提案を示す情報であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記対象区間は、交通渋滞が発生している区間又は前記交通渋滞の発生が予測される区間であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記道路上を走行する複数の車両の各々の走行予定経路を示す経路情報を取得する経路情報取得部を有し、
前記提案情報送信部は、前記複数の車両のうち前記走行予定経路に前記対象区間が含まれている車両の前記端末装置に対して前記提案情報を送信することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、
前記対象区間を含む道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、インセンティブを付与するという提案を示す提案情報を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案情報送信ステップと、を有し、
前記情報処理装置は、前記提案情報送信ステップにおいて、所定時間中に前記提案を受諾した車両の台数である受諾台数と所定の目標台数との比較結果に基づいて、前記提案に含まれる前記インセンティブを変更することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、
前記対象区間を含む道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、インセンティブを付与するという提案を示す提案情報を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案情報送信ステップと、を有し、
前記提案情報送信ステップは、所定時間中に前記提案を受諾した車両の台数である受諾台数と所定の目標台数との比較結果に基づいて、前記提案に含まれる前記インセンティブを変更することを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを格納した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
交通流を分散させて渋滞を緩和させるサーバ装置が開示されている。例えば、特許文献1には、1の車両の移動経路上で渋滞が発生している場合に、1の車両からの要請を受けて、当該1の車両よりも前方に位置する複数の他の車両に上記渋滞が発生している区間(渋滞区間)の迂回を要求するサーバ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-85980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のサーバ装置によっては、単に1の車両の希望に基づいて迂回の要求がなされるため、効率的な渋滞解消がなされないことが問題の1つとして挙げられる。また、他の車両に迂回を要求したい1の車両などの車両がいない場合や、1の車両が予めポイントを十分に保有していない場合は、そもそも渋滞の緩和ができないという問題がある。
【0005】
また、例えば、特許文献1に記載のサーバ装置を高速道路上の渋滞緩和のために用いた場合、他の車両が上記要求に応じて渋滞区間を迂回するために高速道路の出口に集中することによって、当該出口においても渋滞が発生し、ひいては高速道路の本線にまで影響を及ぼし、交通に悪影響を与えてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、状況に応じて渋滞を効率よく緩和させることが可能な情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の情報処理装置は、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、前記対象区間を含む道路上を走行する車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、インセンティブを付与するという提案を示す提案情報を、前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案情報送信部と、を有し、前記提案情報送信部は、所定時間中に前記提案を受諾した車両の台数である受諾台数と所定の目標台数との比較結果に基づいて、前記提案に含まれる前記インセンティブを変更することを特徴とする。
【0008】
請求項11に記載の情報処理方法は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、前記対象区間を含む道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、インセンティブを付与するという提案を示す提案情報を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案情報送信ステップと、を有し、前記情報処理装置は、前記提案情報送信ステップにおいて、所定時間中に前記提案を受諾した車両の台数である受諾台数と所定の目標台数との比較結果に基づいて、前記提案に含まれる前記インセンティブを変更することを特徴とする。
【0009】
請求項12に記載のプログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、交通量の調整をすべき区間である対象区間を示す交通情報を取得する交通情報取得ステップと、前記対象区間を含む道路上を走行中の車両が、前記対象区間の少なくとも一部を通行することを避けるように前記道路上からの退避を行うと、インセンティブを付与するという提案を示す提案情報を前記車両と共に移動する端末装置に送信する提案情報送信ステップと、を有し、前記提案情報送信ステップは、所定時間中に前記提案を受諾した車両の台数である受諾台数と所定の目標台数との比較結果に基づいて、前記提案に含まれる前記インセンティブを変更することを特徴とする。
【0010】
請求項13に記載の記録媒体は、上記プログラムが記録されている記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1に係る渋滞緩和システムの構成を示す図である。
図2】実施例1に係る渋滞緩和システムの管理下にある高速道路の一区間を示す図である。
図3】実施例1に係るサーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施例1に係る端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】実施例1に係る端末装置に提示される提案の一例を示す図である。
図6】実施例1に係るサーバ装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図7】実施例1に係る端末装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図8】実施例2に係る目標受諾数及びインセンティブの一例を示す表である。
図9】実施例2に係るサーバ装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図10】実施例3に係る各出口の受諾状況を示す出口リストの一例を示す表である。
図11】実施例3に係る端末装置に提示される提案の一例を示す図である。
図12】実施例3に係るサーバ装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照して具体的に説明する。なお、図面において同一の構成要素については同一の符号を付け、重複する構成要素の説明は省略する。
【実施例0013】
まず、全体のシステム構成について説明する。図1は、実施例1に係る渋滞緩和システム100の構成を示す図である。図1に示すように、渋滞緩和システム100は、サーバ装置10と複数の端末装置12とを含んで構成される。
【0014】
本実施例においては、端末装置12が移動体としての複数の車両Mの各々に搭載されているカーナビゲーション等の車載端末である場合を示している。なお、渋滞緩和システム100を構成する端末装置12の台数は、システムの能力が許す限り何台であっても良い。
【0015】
サーバ装置10と端末装置12とは、ネットワークNWを介して、例えば、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。端末装置12とネットワークNWとの接続は、例えば、4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信によりなされ得る。
【0016】
図2は、実施例1に係る渋滞緩和システム100の管理下にある高速道路の一区間を示す図である。図2に示すように、複数の車両が高速道路上を走行している。図中左方向を進行方向とする本線MLには、高速道路の出口インターチェンジ(以下、出口ICとも称する)が設けられている。
【0017】
交通量の調整をすべき対象区間としての渋滞区間CSは、本線ML上において交通渋滞が発生している範囲を示している区間である。図2においては、渋滞区間CSが出口ICの先(図中左側)において形成されている場合を示している。
【0018】
提案区間PSは、本線ML上の渋滞区間CSの手前にある区間である。サーバ装置10は、提案区間PSを走行中の車両Mに搭載されている端末装置12に対して本線MLからの退避を提案する提案情報を送信する。言い換えれば、提案区間PSは、サーバ装置10から送信された提案情報を端末装置12が受信する区間である。
【0019】
図2においては、提案区間PSが出口ICよりも手前(図中右側)において形成されている場合を示している。提案区間PSは、例えば、出口ICから1~2km手前の位置から本線MLの進行方向とは逆方向(図中右方向)に数km~十数kmに亘って伸長している区間である。
【0020】
図2においては、車両Mが渋滞区間CSに向かって提案区間PS内を走行している様子を示している。サーバ装置10は、提案区間PS内を走行する車両Mに搭載されている端末装置12に対して提案情報を送信する。
【0021】
本実施例において、提案情報は、車両Mが本線ML上の渋滞区間CSを避けるために当該渋滞区間CSを迂回すると報酬(インセンティブ)を付与するという提案を示すものである。サーバ装置10は、状況に応じて提案情報内のインセンティブを変更することが可能である。例えば、サーバ装置10は、渋滞区間CSを迂回する提案の受諾を促進させるためにインセンティブを多くする等、受諾の状況に応じてインセンティブを変更することが可能である。
【0022】
上記提案情報を受信した端末装置12のユーザ、例えば車両Mの運転者は、インセンティブがあることにより提案情報に示される提案を受諾しやすくなる。端末装置12のユーザが提案を受諾した場合、車両Mが渋滞区間CSを迂回することで、渋滞区間CS以外への交通量の分散が図られる。インセンティブの付与は、端末装置12が上記提案に対する受諾を示す受諾情報をサーバ装置10に送信した後に、車両Mが渋滞区間CSを迂回し、再び本線MLを通行した際に確定する。
【0023】
このように、本実施例の渋滞緩和システム100によれば、サーバ装置10が上記提案を受諾した端末装置12のユーザに渋滞区間CSを迂回する行動を取らせることによって、渋滞区間CSに向かう車両Mを減少させる。その結果として、車両Mの渋滞区間CSへの集中を緩和し、本線MLの渋滞区間CSで発生している渋滞を緩和させることができる。
【0024】
以下に、図3及び4を用いて渋滞緩和システム100を構成するサーバ装置10及び端末装置12の各々の構成について説明する。なお、以下の説明においては、提案情報を受信する端末装置12が搭載された車両を車両Mとして示し、それ以外の車両、例えば渋滞区間CS内を走行する車両等には符号を付けずに説明する。
【0025】
図3は、実施例1に係るサーバ装置10の構成の一例を示すブロック図である。制御部14は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含む処理装置である。本実施例において、制御部14はコンピュータとして機能する。
【0026】
通信部15は、制御部14の指示に従って外部機器とデータの送受信を行う通信装置である。通信部15は、例えば、ネットワークNWに接続するためのNIC(Network Interface Card)である。通信部15は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータを端末装置12や他の機器との間で送受信する。
【0027】
記憶部16は、制御部14の処理に必要なデータを記憶管理する記憶デバイスである。記憶部16には、例えば、上記提案情報の送信時に端末装置12のユーザに提案すべきインセンティブを示すインセンティブ情報が記憶されている。
【0028】
記憶部16は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイスであり、オペレーティングシステムやサーバ装置10用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0029】
各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークNWを介して取得されるようにしてもよく、また、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、記憶部16に記憶される各種プログラムは、ネットワークNWを介して伝送可能であり、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0030】
以下に、制御部14の機能ブロックについて説明する。
【0031】
道路交通情報取得部18は、日本道路交通情報センター(JARTIC(登録商標))や道路交通情報通信システム(VICS(登録商標))センター等の、有料道路や一般道の交通情報の収集及び提供を行う施設から、高速道路上における渋滞状況を含む道路交通情報を通信部15を介して取得する部分である。
【0032】
制御部14は、道路交通情報取得部18によって取得された道路交通情報に基づいて、渋滞区間CSを特定する。本実施例において、渋滞区間CSとは、高速道路の本線ML上で現在交通渋滞が発生している区間又は本線ML上で交通渋滞の発生が予測される区間を示している。
【0033】
また、道路交通情報取得部18は、上記した施設から、高速道路上の車両が上記した渋滞区間CSを非渋滞時に走行する際の第1の所要時間を示す第1の所要時間情報と、高速道路上の車両が現在の渋滞区間CSを走行する際の第2の所要時間を示す第2の所要時間情報とを取得する。
【0034】
車両情報取得部19は、サーバ装置10と接続された端末装置12から当該端末装置12に関する情報を取得する部分である。車両情報取得部19は、例えば、端末装置12の現在位置、すなわち車両Mの現在位置を示す位置情報を含む車両情報を取得する。
【0035】
本実施例において、車両情報取得部19は、端末装置12との接続がなされている間、常時車両Mの位置情報を取得する。なお、他に車両Mの位置情報を収集する位置情報収集サーバが存在し、車両情報取得部19が、当該サーバから車両IDと車両Mの位置とが紐付けられた情報を取得することとしてもよい。
【0036】
提案情報処理部21は、提案情報に関する種々の処理を行う部分である。具体的には、提案情報処理部21は、端末装置12に対して迂回を求める旨及びそれに対するインセンティブを示す提案を含む提案情報を通信部15を介して送信する。また、提案情報処理部21は、当該提案に対する端末装置12からの受諾応答を受け付ける。
【0037】
提案情報処理部21は、上記した車両の位置情報に基づいて、上記渋滞区間CSに基づいて決まる提案区間PS内を走行する車両Mの端末装置12に対して、渋滞区間CSを迂回するとインセンティブを付与するという提案を示す提案情報を通信部15を介して送信する。すなわち、本実施例において、提案情報処理部21は、上記した提案情報を端末装置12に送信する提案情報送信部であり得る。
【0038】
本実施例において、インセンティブは、高速道路の利用料金の割引等に使用可能なポイントである。当該ポイントは、例えば、車両Mが渋滞区間CSを迂回する際に本線MLの出口ICから退出し、再び本線MLに戻って走行した際に発生する高速道路の利用料金の支払いの際に使用可能である。
【0039】
提案情報処理部21は、上述のように、上記提案に対して端末装置12から送信される受諾情報が示す上記提案に対する受諾応答を受け付ける部分として機能する。言い換えれば、提案情報処理部21は、上記提案に対する端末装置12からの受諾応答を受け付ける受諾受付部であり得る。受諾情報は、例えば、上記提案を受諾した端末装置12のユーザを示すユーザ情報又は端末装置12が搭載されている車両Mの識別情報を含む。
【0040】
また、提案情報処理部21は、上記受諾を受け付ける目標数である目標受諾数を設定する部分として機能する。言い換えれば、提案情報処理部21は、上記提案を受諾してもらう車両台数の目標を設定する目標台数設定部であり得る。
【0041】
提案情報処理部21は、例えば、上記した第1の所要時間と第2の所要時間との比較結果に基づいて目標受諾数を設定する。具体的には、提案情報処理部21は、第1の所要時間と第2の所要時間との差が大きいほど目標受諾数を大きくする。例えば、第1の所要時間に対する第2の所要時間の割合が200%を超えている場合は目標受諾数を100台と設定し、第1の所要時間に対する第2の所要時間の割合が150%である場合は目標受諾数を50台と設定する。
【0042】
また、提案情報処理部21は、所定時間において上記提案に対する受諾を受け付けた数である受諾数の計数を実施し、上記した目標受諾数と受諾数との比較結果に基づいて提案情報内のインセンティブを変更する。
【0043】
本実施例において、提案情報処理部21は、所定時間中に受諾数が目標受諾数に達していない場合、すなわち所定の時間が経過した際に受諾数が目標受諾数未満である場合にインセンティブの引き上げを実施する。例えば、提案情報処理部21は、最初の提案時における提案情報内のインセンティブ(ポイント)を100Pと設定し、所定時間中に受諾数が目標受諾数に達するまで200P、300P…と増加させていく。
【0044】
本実施例において、サーバ装置10は、例えば所定時間を10分と定めた際に5分で受諾数が目標受諾数に達した場合、その時点で提案区間PS内を走行する車両Mの端末装置12に対する提案情報の送信を終了する。すなわち、サーバ装置10は、所定時間内に上記提案を受諾した車両Mの台数が目標台数に達した場合、それ以上迂回の提案を端末装置12のユーザに行わない。
【0045】
インセンティブ情報生成部22は、上記受諾情報が示す端末装置12のユーザ情報及び渋滞区間CSの迂回の実績に基づいて、端末装置12のユーザに付与すべきインセンティブを示すインセンティブ付与情報を生成する部分である。
【0046】
インセンティブ情報生成部22は、例えば、車両Mの位置情報に基づいて、上記提案を受諾した車両Mが出口ICから退出し、渋滞区間CSを迂回して本線MLに戻ってきたことをしてインセンティブ付与情報を生成する。
【0047】
インセンティブ情報生成部22は、例えば、上記したインセンティブ付与情報を端末装置12のユーザのインセンティブを管理するインセンティブ管理サーバに対して送信する。例えば、インセンティブ管理サーバは、インセンティブ付与情報を受信した際に、当該インセンティブ付与情報が示すインセンティブを端末装置12のユーザに付与する。
【0048】
図4は、実施例1に係る端末装置12の構成の一例を示すブロック図である。制御部25は、CPU、ROM、RAM等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPUが、ROMや記憶部27に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0049】
通信部26は、ネットワークNWに接続するためのNIC等の通信装置であり、制御部25の制御に基づいて種々のデータをサーバ装置10との間で送受信する。本実施例において、制御部25及び通信部26は、サーバ装置10から送信される提案情報を受信する受信部であり得る。また、制御部25及び通信部26は、サーバ装置10に対して提案の受諾を示す受諾情報を送信する送信部であり得る。
【0050】
記憶部27は、例えば、ハードディスク装置、SSD、フラッシュメモリ等により構成されており、オペレーティングシステムや、端末装置12用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0051】
タッチパネルディスプレイ28は、制御部25の制御に基づいて画面表示を行うディスプレイと、端末装置12のユーザ、例えば車両の運転者からの入力操作を受け付けるタッチパネルとが組み合わされている表示装置である。
【0052】
タッチパネルディスプレイ28には、例えば、地図に車両の現在の位置や移動予定経路が重畳されたカーナビゲーション画像が表示され得る。また、タッチパネルディスプレイ28を介して目的地の設定がなされる等、カーナビゲーション機能に関する操作が可能であってもよい。
【0053】
ここで、図5を参照して、端末装置12に提示される提案の一例について説明する。
【0054】
図5は、端末装置12が受信した提案情報をタッチパネルディスプレイ28に表示させた際の一例を示す図である。図5に示すように、タッチパネルディスプレイ28には、地図を示す地図画面28Aと迂回の提案を示す提案画面28Bとが表示される。地図画面28Aには、例えば、車両Mが走行中の高速道路の本線ML上に車両Mの現在の位置PL及び渋滞区間CSが重畳されて表示される。
【0055】
提案画面28Bには、「この先○×ICから2kmの渋滞が発生しているため、渋滞区間の迂回を提案します」等の、渋滞区間CSの迂回の提案を示す表示がなされる。また、タッチパネルディスプレイ28には、「この提案を受諾した場合、ポイントが付与されます」「付与ポイント:500P」等の、上記提案を受諾した際に付与されるポイントを示す表示がなされる。また、提案画面28Bには、端末装置12のユーザに「はい」「いいえ」等の上記提案を受諾するか否かを選択させるための選択肢が表示される。
【0056】
例えば、上記提案に対する応答として、端末装置12のユーザによって「はい」が押下されると、上記提案を端末装置12のユーザが受諾したことを示す受諾情報が端末装置12からサーバ装置10に送信される。
【0057】
なお、上記提案は、「○×ICから退出して渋滞区間を迂回することを提案します」等の、退出する出口を指定して渋滞区間CSを迂回する旨を示した内容であってもよい。これにより、当該提案を受諾した車両Mの端末装置12のユーザは、迂回の際にどこから退出すべきか悩むことなくスムーズに迂回を行うことができる。
【0058】
再び図4を参照する。
【0059】
GPS受信機29は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(GPS信号)を受信する受信機である。制御部25は、GPS信号に基づく車両Mの現在位置を示す位置情報をサーバ装置10に送信する。
【0060】
マイク31は、車内の音、例えば車両Mの運転者が発した音声を受けて電気信号に変換する音声入力装置である。制御部25は、例えば、マイク31に入力された音声を受けてサーバ装置10に電気信号を送信可能である。
【0061】
スピーカ32は、外部から送信された電気信号に基づいて音声を出力する音声出力装置である。制御部25は、例えば、サーバ装置10から送信された電気信号を受けてスピーカ32から音声を出力可能である。
【0062】
以下に、本実施例におけるサーバ装置10及び端末装置12の具体的な動作について説明する。
【0063】
図6は、サーバ装置10の制御部14において実行される迂回提案ルーチンRT1を示すフローチャートである。制御部14は、例えば、サーバ装置10と端末装置12との間で通信が確立されたことを開始トリガーとして迂回提案ルーチンRT1を開始する。
【0064】
具体的には、例えば、車両Mの運転者によって端末装置12のタッチパネルディスプレイ28に電源が投入されると、サーバ装置10との通信を開始するための受付画面が表示される。車両Mの運転者は、当該受付画面においてサーバ装置10との通信を開始する選択を行うことによって、サーバ装置10と端末装置12との間で通信が確立される。
【0065】
制御部14の道路交通情報取得部18は、端末装置12との通信接続が確立されるとJARTIC(登録商標)やVICS(登録商標)センター等から道路交通情報を取得する(ステップS101)。制御部14は、取得した道路交通情報において、高速道路上で渋滞が発生しているか、すなわち高速道路上に渋滞区間CSが存在するか否かを判定する(ステップS102)。制御部14は、ステップS102において、高速道路上で渋滞が発生していないと判定すると(ステップS102:NO)、迂回提案ルーチンRT1を終了する。
【0066】
制御部14の提案情報処理部21は、高速道路上で渋滞が発生していると判定すると(ステップS102:YES)、車両Mの位置情報に基づいて、提案区間PS内を走行する車両Mの端末装置12に対して、渋滞区間CSの迂回を行うとインセンティブを付与するという提案を示す提案情報の送信を開始する(ステップS103)。
【0067】
提案情報処理部21は、ステップS103において、目標受諾数を定めて上記提案情報の送信を開始すると共に、端末装置12からの上記提案の受諾を示す受諾情報の受信待機を行う。また、提案情報処理部21は、端末装置12から送信される受諾情報が示す受諾を受け付けると共に受諾数の計数を開始する。
【0068】
提案情報処理部21は、ステップS103の後に、所定時間中に受諾数が目標受諾数に達したか否かを判定する(ステップS104)。制御部14の提案情報処理部21は、受諾数が目標受諾数に達していないと判定すると(ステップS104:NO)、提案情報内のインセンティブを引き上げる(ステップS105)。提案情報処理部21は、ステップS105の後にステップS104を実行し、所定時間中に受諾数が目標受諾数に達するまでインセンティブの引き上げを実行する。
【0069】
提案情報処理部21は、所定時間中に受諾数が目標受諾数に達したと判定すると(ステップS104:YES)、提案区間PS内を走行する車両Mの端末装置12に対する提案情報の送信を終了する(ステップS106)。制御部14は、ステップS106の後に迂回提案ルーチンRT1を終了する。なお、サーバ装置10の制御部14は、迂回提案ルーチンRT1の終了後、例えば、サーバ装置10と端末装置12との間で通信が引き続き確立されている場合は、迂回提案ルーチンRT1を繰り返し実行する。
【0070】
図7は、端末装置12の制御部25において実行される提案応答ルーチンRT2を示すフローチャートである。制御部25は、サーバ装置10との接続が確立されると、提案情報を受信したか否かを判定する(ステップS201)。制御部25は、提案情報を受信していないと判定すると(ステップS201:NO)、提案応答ルーチンRT2を終了する。
【0071】
制御部25は、提案情報を受信したと判定すると(ステップS201:YES)、図5に示したように、渋滞区間CSの迂回を行うとインセンティブを付与するという提案を示す提案情報をタッチパネルディスプレイ28に表示する(ステップS202)。
【0072】
制御部25は、ステップS202の後に、端末装置12のユーザ、例えば車両Mの運転者によって当該提案に対して「はい」を選択する等の受諾操作がなされたか否かを判定する(ステップS203)。制御部25は、上記受諾操作がなされていないと判定すると(ステップS203:NO)、当該提案に対して「いいえ」を選択する等の否定操作がなされたか否かを判定する(ステップS204)。
【0073】
制御部25は、否定操作がなされていないと判定すると(ステップS204:NO)、すなわち提案に対して受諾操作も否定操作もなされていない場合、ステップS203を繰り返し実行し、提案情報に対応する応答を待機する。
【0074】
制御部25は、上記受諾操作がなされていると判定すると(ステップS203:YES)、上記提案の受諾を示す受諾情報をサーバ装置10に送信する(ステップS205)。制御部25は、ステップS205の後か、又は上記提案に対して否定操作がなされていると判定すると(ステップS204:NO)、タッチパネルディスプレイ28への提案情報の表示を終了する(ステップS206)。制御部25は、ステップS206の後に提案応答ルーチンRT2を終了する。なお、端末装置12の制御部25は、提案応答ルーチンRT2の終了後、例えば、サーバ装置10と端末装置12との間で通信が引き続き確立されている場合は、提案応答ルーチンRT2を繰り返し実行する。
【0075】
本実施例によれば、サーバ装置10の制御部14の提案情報処理部21は、上記したように、所定時間中に受諾数が目標受諾数に達していない場合に、提案情報内のインセンティブを引き上げる。当該インセンティブを引き上げることにより、提案情報を受信した端末装置12のユーザは、インセンティブを引き上げる前よりも提案を受諾しやすくなる。
【0076】
従って、本実施例によれば、提案情報処理部21が受諾状況に応じて提案情報内のインセンティブを引き上げることにより、端末装置12のユーザからの受諾をより多く受け付けることで、渋滞区間CS以外への交通量の分散を図ることができる。よって、本実施例によれば、状況に応じて効率よく渋滞の緩和を行うことができる。
【0077】
なお、本実施例においては、渋滞緩和システム100の管理下にある高速道路の一区間を示した例について説明したが、高速道路に限らず、当該システムを一般有料道路や無料道路等の他の道路の渋滞緩和のために適用してもよい。
【0078】
本実施例において、提案情報が示す提案は、例えば、「渋滞区間を避けるために本線からの退避を提案します」等の、渋滞区間CSを避けることのみを提示する内容であってもよい。この場合、当該提案を受諾した車両Mの端末装置12のユーザは、周囲の状況に合わせて本線MLからの退避行動を自由に取ってもよい。
【0079】
当該退避行動としては、例えば、提案を受諾した車両Mが渋滞区間CS内又はその手前に位置するパーキングエリアやサービスエリア等の休憩施設に一定時間留まることであってもよい。これにより、当該提案を受諾して休憩施設に退避した車両Mの端末装置12のユーザは、渋滞区間CSの渋滞に巻き込まれずに済み、且つ休憩施設で十分な休息を取ることができる。
【0080】
また、上記退避行動としては、例えば、渋滞区間CSの手前に本線ML上に1の高速道路と他の高速道路とを相互に接続するジャンクション(JCT)がある場合には、提案を受諾した車両Mが当該ジャンクションを利用して渋滞区間CSを迂回することも含み得る。
【0081】
本実施例において、インセンティブは高速道路の利用料金の割引に利用可能なポイントであるとしたが、その限りではない。例えば、提案情報が上記した休憩施設に退避することでインセンティブを付与するという提案を示す場合、当該インセンティブは、休憩施設での買い物や食事等で利用可能なポイントであってもよい。また、インセンティブは、高速道路の出口ICから退出した後に、当該出口ICの周辺施設等で利用可能なポイントであってもよい。
【0082】
このように、サーバ装置10の制御部14の提案情報処理部21は、端末装置12のユーザによって上記したような渋滞区間CSを避けるための本線MLからの退避行動がなされたことをして、当該ユーザにインセンティブを付与することを確定してもよい。
【0083】
なお、本実施例におけるインセンティブは、上記した以外に所定の企業が運営するポイントサービスにおけるポイントであってもよく、現金やクーポン券、商品券等の現物であってもよい。
【0084】
本実施例において、提案情報処理部21は、上記提案を受諾した車両Mが渋滞区間CSのうち一部を迂回したことによってインセンティブを付与してもよい。例えば、提案情報処理部21は、車両Mが渋滞区間CSのうち半分を迂回した場合には、渋滞区間CSを全て迂回した際の半分のインセンティブを付与する等、迂回した渋滞区間CSの距離に応じて付与すべきインセンティブを変えてもよい。
【0085】
本実施例において、提案情報処理部21は、所定時間中に受諾数が目標受諾数に達していない場合にインセンティブを引き上げるとしたが、この限りではない。例えば、提案情報処理部21は、上記提案の単位時間当たりの受諾数(台/分)が閾値である目標受諾数(台/分)に達していない場合にインセンティブを引き上げてもよい。これにより、より細かな受諾数の推移を加味してインセンティブの変更を行うことができる。
【0086】
本実施例において、端末装置12において車両Mの移動予定経路が設定されている場合、車両情報取得部19が取得する車両情報には、車両Mの移動予定経路を示す経路情報が含まれていてもよい。すなわち、車両情報取得部19は、経路情報取得部として機能してもよい。例えば、提案情報処理部21は、提案区間PS内を走行する車両Mのうち、経路情報において渋滞区間CSを走行予定経路としている車両Mの端末装置12に対してのみ、上記提案を行ってもよい。
【0087】
これにより、提案情報処理部21は、渋滞区間CSを走行予定経路としていない車両M、例えば、元々出口ICから出ていく予定である車両M等を提案情報の送信対象外とすることで、渋滞区間CSを通行する予定を変更して渋滞区間CSの迂回を行った車両Mの端末装置12のユーザに対してのみ、インセンティブを付与することができる。
【0088】
本実施例において、提案情報処理部21は、端末装置12から送信される受諾情報を受信したことにより、上記提案の受諾を受け付けるとしたが、当該提案に応じた車両Mの数が計数できればよく、これに限られない。例えば、提案情報処理部21は、車両Mが渋滞区間CSの迂回をした時点で上記提案に応じた車両として計数してもよい。この場合、提案情報処理部21は、実際に渋滞区間CSの迂回した車両台数と目標値となる目標台数との比較結果に基づいて、インセンティブを変更してもよい。
【0089】
本実施例において、提案情報処理部21は、渋滞区間CSの渋滞の解消に必要な車両の台数と提案区間PS内を走行する車両Mの台数との関係によってインセンティブを設定してもよい。例えば、提案情報処理部21は、渋滞区間CSの渋滞の解消に必要な台数が多く、且つ提案区間PS内を走行する車両Mの台数が少ない場合にインセンティブを高く設定しても良い。
【0090】
本実施例において、提案情報処理部21は、受諾数が目標受諾数に達すると提案情報の送信を終了するとしたが、その際に提案区間PS内を走行する車両Mの端末装置12に既に送信済みの提案を取り消す情報を送信してもよい。
【0091】
また、提案情報処理部21は、受諾数が目標受諾数に達した後に新たに受け付けた受諾を拒絶するとしてもよく、受諾数が目標受諾数に達した後に受諾を受け付けた場合、端末装置12に当該受諾を拒絶することを示す拒絶情報を送信してもよい。
【0092】
本実施例において、端末装置12は、車両に搭載可能な車載端末である場合について説明したが、これに限られない。例えば、端末装置12は、スマートフォンやタブレット端末等の、車両と共に移動可能な持ち運び可能な通信端末であってもよい。
【0093】
本実施例において、端末装置12の制御部25は、タッチパネルディスプレイ28上に表示された提案に対して「はい」又は「いいえ」のどちらかが端末装置12のユーザによって選択されるまで待機するとしたが、当該ユーザからの操作が一定時間なされていない場合は、タッチパネルディスプレイ28への提案の表示を終了してもよい。
【0094】
また、本実施例において、端末装置12の制御部25は、サーバ装置10から送信される提案情報を端末装置12のタッチパネルディスプレイ28に表示させるとしたが、当該提案情報を端末装置12のユーザに提示させる方法はこの限りではない。例えば、サーバ装置10から送信された提案を示す音声データをスピーカ32から出力し、マイク31を介して端末装置12のユーザの音声によって受諾の応答をすることにより、当該提案の受諾を行ってもよい。この場合、サーバ装置10は、音声認識によって受諾の有無を認識してもよい。
【実施例0095】
次に、実施例2について説明する。実施例2では、目標受諾数及びインセンティブの態様が実施例1と異なっており、それ以外の点、例えばサーバ装置10及び端末装置12の各々の構成等は実施例1と同様である。
【0096】
図8は、目標受諾数及び当該目標受諾数に対応するインセンティブの一例を示す表TB1である。本実施例において、目標受諾数は、表TB1に示すように、達成すべき目標受諾数である最終目標受諾数に向けて、第1の目標受諾数から第3の目標受諾数までの3段階に分けて定められており、当該達成目標ごとに提案情報処理部21によってインセンティブが設定されている。
【0097】
具体的には、提案情報処理部21は、例えば、上記した第1の所要時間に対する第2の所要時間の割合が200%を超えている場合に、当該割合を200%以下とするための第1の目標受諾数を100台と設定し、当該割合を160%以下とするための第2の目標受諾数を60台と設定し、当該割合を120%以下とするための第3の目標受諾数を40台と設定する。
【0098】
提案情報処理部21は、例えば、表TB1に示すように、インセンティブ(ポイント)を、第1の目標受諾数を達成した際には1000P、第2の目標受諾数を達成した際には600P、第3の目標受諾数を達成した際には400Pと設定する。
【0099】
このように、本実施例によれば、提案情報処理部21は、第1の所要時間に対する第2の所要時間の割合が比較的高い場合には高いインセンティブを付与し、第1の所要時間に対する第2の所要時間の割合が比較的低い場合には低いインセンティブを付与するといった提案を実施することができる。
【0100】
そのため、本実施例によれば、渋滞区間CSにおいて早期に渋滞緩和が求められる状況、すなわち最も抜け出したい状況である場合のみにコストを掛け、それ以外の場合には掛けるコストを抑制することができる。従って、本実施例によれば、渋滞発生時に必要以上にコストが掛かることを防ぐことができる。なお、上記した3段階の目標受諾数は例示に過ぎず、最終目標を達成するまでに設ける目標受諾数は何段階であってもよい。
【0101】
図9は、実施例におけるサーバ装置10の制御部14によって実行される迂回提案ルーチンRT3を示すフローチャートである。迂回提案ルーチンRT3において、実施例1の迂回提案ルーチンRT1と同様の工程については同様の符号を付している。具体的には、ステップS101~S105までは実施例1と同様である。
【0102】
提案情報処理部21は、ステップS104において、受諾数が目標受諾数に達したと判定すると(ステップS104:YES)、受諾数が各目標受諾数の合計である最終目標受諾数に達したか否かを判定する(ステップS301)。
【0103】
提案情報処理部21は、受諾数が最終目標受諾数に達していないと判定すると(ステップS301:NO)、すなわち受諾数が上記した表TB1の第1の目標受諾数又は第2の目標受諾数に達したと判定すると、インセンティブ及び目標受諾数を更新する(ステップS302)。
【0104】
具体的には、受諾数が第1の目標受諾数を達成した場合には、目標受諾数を第2の目標受諾数に更新し、受諾数が第2の目標受諾数を達成した場合には、目標受諾数を第3の目標受諾数に更新する。同様に、インセンティブについても目標受諾数に合わせて更新する。
【0105】
提案情報処理部21は、ステップS302の後にステップS104を繰り返し、所定時間中に更新した目標受諾数に達したか否かを判定する。提案情報処理部21は、受諾数が最終目標受諾数に達したと判定すると(ステップS301:YES)、すなわち受諾数が上記した表TB1の第3の目標受諾数に達したと判定すると、提案区間PS内を走行する車両Mの端末装置12に対する提案情報の送信を終了する(ステップS303)。制御部14は、ステップS303の後に迂回提案ルーチンRT3を終了する。
【0106】
本実施例によれば、サーバ装置10の制御部14の提案情報処理部21は、上記したように、所定時間中に受諾数が目標受諾数に達した場合に、当該受諾数が最終目標受諾数に達するまで提案情報内のインセンティブを引き下げる。当該インセンティブを引き下げることにより、コストが必要以上に掛かることを抑制しつつ、端末装置12のユーザからの受諾を受け付けることができる。よって、本実施例によれば、状況に応じて効率よく渋滞の緩和を行うことができる。
【実施例0107】
次に実施例3について説明する。実施例3では、提案情報処理部21が高速道路の各出口(インターチェンジ)の態様に基づいて提案内容を変える点において実施例1及び2と異なっており、それ以外の点、例えばサーバ装置10及び端末装置12の各々の構成等は実施例1及び2と同様である。
【0108】
また、本実施例において、サーバ装置10の制御部14によって実行される迂回提案ルーチンは、実施例1における迂回提案ルーチンRT1又は実施例2における迂回提案ルーチンRT3と同様のフローチャートに沿って実行される。
【0109】
本実施例において、制御部14の提案情報処理部21は、渋滞区間CSを避けるための本線MLからの退避として、高速道路上の1の出口から退出するとインセンティブを付与するという提案を示す提案情報を、提案区間PS内を走行する車両Mの端末装置12に送信する。
【0110】
図10は、高速道路の複数の出口の各々における許容可能台数に対する受諾数を示す表TB2(以下、出口リストTB2とも称する)である。出口リストTB2は、例えば、サーバ装置10の記憶部16に記憶されている。
【0111】
出口リストTB2において、一番左の欄の「提案中」欄には、本線MLからの退出に使用する出口として提案中の出口を示すマーク(図中では「○」マーク)が示されている。
【0112】
左から2番目の「出口名」欄には、提案候補となる出口の各々の出口名が示されている。左から3番目の「所定時間当たりの許容可能台数」欄には、高速道路上の複数の出口の各々において、所定時間当たりに受け入れることが可能な車両の台数を示している。
【0113】
各出口の目標台数としての許容可能台数は、例えば、各出口の容量(上限台数)から一定時間の間に上記提案とは関係なく出口から出ていくことが予測される車両の退出予測台数を差し引くことで算出される。
【0114】
左から4番目の「現在の受諾数」欄には、各出口を退出の際の出口として指定している提案の、現在の受諾数が示されている。左から5番目の「提案の可否」欄には、各出口を退出の際の出口として提案可能か否かが示されている。
【0115】
出口リストTB2に示すように、「○□自動車道上り○×IC」における「現在の受諾数」が「所定時間当たりの許容可能台数」である20台に達しているため、「○□自動車道上り○×IC」からの退出は、提案できないものとして「不可」となっている。また、「○□自動車道上り□△IC」における「現在の受諾数」が「所定時間当たりの許容可能台数」である45台に達していないため、「○□自動車道上り□△IC」からの退出は、提案できるものとして「可」となっている。
【0116】
このような場合、サーバ装置10の提案情報処理部21は、第1の出口としての「○□自動車道上り○×IC」からの退出の提案が不可であるため、提案が可である第2の出口としての「○□自動車道上り□△IC」からの退出の提案を示す提案情報を端末装置12に送信する。
【0117】
出口リストTB2は、所定時間の経過によって許容可能台数及び受諾数のリフレッシュが行われる。具体的には、所定時間の経過によって所定時間当たりの許容可能台数が変化する(増減する)ため、所定時間が経過する度に所定時間当たりの許容可能台数の変更と共に受諾数のリセットがなされる。すなわち、出口リストTB2のリフレッシュがなされることによって、「不可」となっている出口ICも「可」となることで再度提案可能となる。
【0118】
このように、本実施例によれば、サーバ装置10は、出口リストTB2が示す各出口における提案の可否に基づいて退出すべき出口を選出し、当該出口から退出する提案を示す提案情報を端末装置12に送信することができる。
【0119】
図11は、本実施例における端末装置12が受信した提案情報が示す提案をタッチパネルディスプレイ28に表示させた際の一例を示す図である。上記したように、本実施例において、提案情報処理部21は、高速道路上の1の出口から退出するとインセンティブを付与するという提案を示す提案情報を端末装置12に送信する。
【0120】
具体的には、図11に示すように、地図画面28Aには、例えば複数の出口IC(○×IC、□△IC)を含む高速道路の本線ML上に車両Mの現在の位置PL及び渋滞区間CSが重畳されて表示される。また、提案画面28Bには、例えば「□△ICからの退出を提案します」のように、退出する出口を指定すると共に、当該出口から退出するとインセンティブ(ポイント)が付与されることが提示される。
【0121】
端末装置12のユーザは、例えば、「はい」を押下することで□△ICから退出するという提案を受諾し、当該提案に沿って□△ICから退出することによってインセンティブを受け取ることができる。
【0122】
図12は、サーバ装置10の制御部14によって実行される出口リスト更新ルーチンRT4を示すフローチャートである。本実施例において、出口リスト更新ルーチンRT4は、制御部14の提案情報処理部21によって実施例1における迂回提案ルーチンRT1又は実施例2における迂回提案ルーチンRT3が実行されている場合に、迂回提案ルーチンRT1又は迂回提案ルーチンRT3とは別個に実行される。
【0123】
提案情報処理部21は、提案情報を送信中か否かを判定する(ステップS401)。提案情報処理部21は、提案情報を送信中ではないと判定すると(ステップS401:NO)、出口リスト更新ルーチンRT4を終了する。なお、提案情報処理部21は、迂回提案ルーチンRT1又は迂回提案ルーチンRT3が引き続き実行されている限りは、出口リスト更新ルーチンRT4を繰り返し実行する。
【0124】
提案情報処理部21は、提案情報を送信中であると判定すると(ステップS401:YES)、出口リストTB2のリフレッシュを実行する(ステップS402)。
【0125】
提案情報処理部21は、ステップS402において出口リストTB2のリフレッシュを実行した後に、受諾数が出口ICの各々における許容可能台数に達したか否かを判定する(ステップS403)。
【0126】
提案情報処理部21は、所定時間中に受諾数が許容可能台数に達したと判定すると(ステップS403:YES)、許容可能台数に達した出口ICを提案不可にする(ステップS404)。すなわち、提案情報処理部21は、当該提案不可となった出口IC以外の出口ICからの退出を提案情報として端末装置12に送信する。
【0127】
提案情報処理部21は、ステップS404の終了後、又はステップS403において所定時間中に受諾数が許容可能台数に達したと判定しなかった場合(ステップS403:NO)、ステップS402において出口リストTB2のリフレッシュを実行してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS405)。
【0128】
提案情報処理部21は、リフレッシュから所定時間が経過していないと判定すると(ステップS405:NO)、ステップS403を繰り返し、受諾数が出口ICの各々における許容可能台数に達したか否かを判定し、新たに受諾数が許容可能台数に達した出口ICがあれば、当該出口ICを提案不可にする。
【0129】
一方、提案情報処理部21は、リフレッシュから所定時間が経過したと判定すると(ステップS405:YES)、出口リスト更新ルーチンRT4を終了する。
【0130】
以上のように、本実施例によれば、提案情報処理部21は、出口リストTB2に基づいて、退出すべき出口ICを提案することができる。これにより、本実施例によれば、高速道路の1の出口ICに車両が集中して渋滞が発生することを防ぐことができ、当該渋滞によって本線MLの交通にまで影響が出てしまうことを防ぐことができる。
【0131】
なお、本実施例において、提案情報処理部21は、所定の出口から退出するとインセンティブを付与するという提案をしたが、提案時における出口の候補は複数あってもよい。例えば、提案情報処理部21は、タッチパネルディスプレイ28に「□△IC又は△○ICからの退出を提案します」という提案を行うと共に、「□△IC」又は「△○IC」のどちらから退出させるかを端末装置12のユーザに選択させてもよい。
【0132】
上記により、端末装置12のユーザは、当該提案を受諾する際に複数の出口のうち1の出口を選択して退出することでインセンティブを受け取ることができる。なお、上記のように複数の出口を提示する際には、出口ごとに付与すべきインセンティブが設定されていてもよく、当該インセンティブは互いに異なっていてもよい。すなわち、車両Mにより退出してほしい出口にはインセンティブを高めに設定するなど、重み付けを行ってもよい。
【0133】
上記した実施例1~3において示した制御ルーチンは例示に過ぎず、用途または使用条件等に応じて適宜選択及び変更可能である。
【符号の説明】
【0134】
100 渋滞緩和システム
10 サーバ装置
12 端末装置
14、25 制御部
15、26 通信部
16、27 記憶部
18 道路交通情報取得部
19 車両情報取得部
21 提案情報処理部
22 インセンティブ情報取得部
28 タッチパネルディスプレイ
29 GPS受信機
31 マイク
32 スピーカ
ML 本線
CS 渋滞区間
PS 提案区間
IC 出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12