(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034568
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】安全システム、陸上システム、船内システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B63B 79/40 20200101AFI20230306BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20230306BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230306BHJP
A62C 3/10 20060101ALI20230306BHJP
B63B 43/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B63B79/40
G08B25/00 510Z
H04M11/00 301
A62C3/10
B63B43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140870
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】口木 裕介
(72)【発明者】
【氏名】武田 信玄
(72)【発明者】
【氏名】小宮 敏行
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB18
5C087BB74
5C087DD04
5C087DD16
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG83
5K201AA07
5K201BA01
5K201BA02
5K201CC09
5K201DA02
5K201EC06
5K201ED09
5K201EF09
(57)【要約】
【課題】陸上から船の安全性を監視、制御することができるシステムを提供する。
【解決手段】安全システムは、船内に設けられた船内システムと、陸上に設けられた陸上システムと、を備える。船内システムと陸上システムは、船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置から、安全性検出装置が検出したデータおよび安全維持装置の状態を示す信号を取得し、取得したデータおよび信号に基づいて、安全維持装置を制御する制御信号を安全維持装置へ送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船内に設けられた船内システムと、陸上に設けられた陸上システムと、
を備え、
前記船内システムは、
前記船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置と、
前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を取得する第1取得部と、
前記安全維持装置を制御する第1制御部と、
前記陸上システムとの通信を行う通信部と、
を備え、
前記陸上システムは、
前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を、前記通信部を通じて取得する第2取得部と、
前記安全維持装置を制御する制御信号を、前記通信部を通じて、前記安全維持装置へ出力する第2制御部と、
を備える安全システム。
【請求項2】
前記船内システムと前記陸上システムとが、同一の前記安全性検出装置が検出した情報および同一の前記安全維持装置の状態を示す情報を取得する、
請求項1に記載の安全システム。
【請求項3】
前記第1制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後は、前記第2制御部が、当該安全維持装置へ制御信号を出力しても無効となる、
請求項1または請求項2に記載の安全システム。
【請求項4】
前記第1制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後に、所定時間が経過するか、又は、前記安全性検出装置が検出した情報が変化すると、前記第2制御部が当該安全維持装置へ出力した制御信号を有効とする、
請求項3に記載の安全システム。
【請求項5】
前記第2制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後は、前記第1制御部が、当該安全維持装置へ制御信号を出力しても無効となる、
請求項1または請求項2に記載の安全システム。
【請求項6】
前記第1制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後は、前記第2制御部が、当該安全維持装置へ制御信号を出力しても無効となる第1動作モードと、
前記第2制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後は、前記第1制御部が、当該安全維持装置へ制御信号を出力しても無効となる第2動作モードと、
を切り替え可能に設定することができる、
請求項1または請求項2に記載の安全システム。
【請求項7】
船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置との通信を前記船内に設けられた通信装置を通じて行う通信部と、
前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を、前記通信部を通じて取得する取得部と、
前記安全維持装置を制御する制御信号を、前記通信部を通じて前記安全維持装置へ出力する制御部と、
を備える陸上システム。
【請求項8】
船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置と、
前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を取得する取得部と、
前記安全維持装置を制御する制御部と、
前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を陸上システムへ送信し、前記陸上システムから前記安全維持装置を制御する制御信号を受信する通信部と、
を備える船内システム。
【請求項9】
船内に設けられた安全維持装置の制御方法であって、
前記船内に設けられた船内システムが、船内に設けられた安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を取得するステップと、
前記船内システムが、前記取得するステップにて取得した情報を陸上に設けられた陸上システムに送信するステップと、
前記陸上システムが、前記送信するステップにて送信された情報を取得するステップと、
前記陸上システムが、前記安全維持装置を制御する制御信号を前記安全維持装置へ送信するステップと、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、安全システム、陸上システム、船内システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船内で火災、浸水などの災害が発生した場合、乗員は、船内に設けられた安全装置を適切に制御して災害への対応を行う。例えば、特許文献1には、船舶で浸水が発生したときに、浸水に対する初動対応および避難を適切に行うための情報を乗員に通知する浸水報知システムが開示されている。災害が発生すると、災害への対応と乗客の避難誘導に追われて乗員が不足する可能性がある。また、船内の状況によっては、乗員の行動が制限されて、十分な災害対応が実施できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
船内の乗員だけで災害への対応を行うと、災害対応が不十分になる恐れがある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができる安全システム、陸上システム、船内システム及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の安全システムは、船内に設けられた船内システムと、陸上に設けられた陸上システムと、を備え、前記船内システムは、前記船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置と、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を取得する第1取得部と、前記安全維持装置を制御する第1制御部と、前記陸上システムとの通信を行う通信部と、を備え、前記陸上システムは、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を、前記通信部を通じて取得する第2取得部と、前記安全維持装置を制御する制御信号を、前記通信部を通じて、前記安全維持装置へ出力する第2制御部と、を備える。
【0007】
本開示の陸上システムは、船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置との通信を前記船内に設けられた通信装置を通じて行う通信部と、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を、前記通信部を通じて取得する取得部と、前記安全維持装置を制御する制御信号を、前記通信部を通じて前記安全維持装置へ出力する制御部と、を備える。
【0008】
本開示の船内システムは、船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置と、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を取得する取得部と、前記安全維持装置を制御する制御部と、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を陸上システムへ送信し、前記陸上システムから前記安全維持装置を制御する制御信号を受信する通信部と、を備える。
【0009】
本開示の制御方法は、船内に設けられた安全維持装置の制御方法であって、前記船内に設けられた船内システムが、船内に設けられた安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を取得するステップと、前記船内システムが、前記取得するステップにて取得した情報を陸上に設けられた陸上システムに送信するステップと、前記陸上システムが、前記送信するステップにて送信された情報を取得するステップと、前記陸上システムが、前記安全維持装置を制御する制御信号を前記安全維持装置へ送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上述の安全システム、陸上システム、船内システム及び制御方法によれば、一般的には船内でしか行うことができない船舶の安全性に関する監視および安全装置の制御を、船内に加え、陸上にて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る安全システムの一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る安全装置の一例を示す図である。
【
図3A】実施形態に係る安全システムの動作の一例を示す第1の図である。
【
図3B】実施形態に係る安全システムの動作の一例を示す第2の図である。
【
図4】実施形態に係る安全システムの制御における優先度の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る安全システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本開示の安全システムについて、
図1~
図5を参照して説明する。
(システム構成)
図1、実施形態に係る安全システムの一例を示す図である。
安全システム100は、一つ又は複数の船舶1の各々に搭載された船内システム20と、陸上の監視局に設けられた陸上システム10とを含む。陸上システム10と各船舶1の船内システム20とは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。船内システム20は船舶1における安全装置の監視、制御を行うシステムである。一般に、船舶1には、船内の安全性の監視や災害対応を行うために船内システム20が設けられている。船内システム20は、船内の監視を常時行い、火災や浸水等の災害が発生した場合には、安全装置2を作動させて災害対応を行う。これに対し、本実施形態の安全システム100では、船内システム20だけではなく、陸上に、船内システム20と同様の機能および構成を有する陸上システム10を設け、陸上システム10からも複数の船舶1を対象とした遠隔監視を行う。そして、船舶1にて災害が発生した場合にはその船舶1が備える安全装置2に対して遠隔制御を行い、災害対応を行う。
【0013】
船内システム20は、安全装置2と、安全装置2の監視および制御を行う監視システム21aを備える船内システム20aと、安全装置2と、通信装置3と、監視システム21bを備える船内システム20bと、に分類される。船内システム20aでは、監視システム21aが陸上システム10と通信を行い、陸上システム10は、監視システム21aを通じて、安全装置2の監視および制御を行う。船内システム20bでは、通信装置3が陸上システム10と通信を行い、陸上システム10は、監視システム21bを介さずに、通信装置3を通じて安全装置2の監視および制御を行う。特に区別を要しない場合、船内システム20a,20bを船内システム20と記載し、監視システム21a,21bを監視システム21と記載する場合がある。
【0014】
(安全装置)
安全装置2には、船内の安全状況を検出するセンサ類や船内の安全を維持するための設備が含まれる。安全装置2の一例を
図2に示す。項番1の動力式通風装置は、火災拡大防止のための設備である。例えば、火災発生時には、酸素を火炎が生じた場所に供給しないように停止させるといった制御を行う。監視システム21は、動力式通風装置の動作状態(起動中か停止中か)を監視することができ、動力式通風装置の動作を制御(起動、停止)することができる。項番2の防火戸も火災拡大防止のための装置であり、監視システム21は、防火戸の状態監視と開閉制御を行うことができる。項番3、4の一般非常警報装置、船内通報装置は、乗客乗員の統制のための報知装置である。監視システム21は、これらの装置の状態監視と制御を行うことができる。項番5、6、11~15、17、19~20の装置についても、監視システム21は、各装置の状態監視と制御を行うことができる。例えば、項番6の水密戸及び準水密戸であれば、水密戸を閉めることで浸水の拡大を防止することができ、項番12のスプリンクラであればスプリンクラを作動させて消火を行うことができる。また、項番7~10、16、18の装置は、船内の災害状況や災害に関係する船体の状態(例えば、船体の姿勢)を検出するセンサ類である。監視システム21は、各装置(センサ)が検出した情報を取得し、監視することができる。例えば、項番10の火災探知警報装置であれば、船内のどの位置に設置した火災探知警報装置が火災を検出したかによって火災の発生場所を把握することができる。同様に項番16の浸水探知装置であれば、船内のどの位置に設置した浸水探知装置が浸水を検出したかによって浸水の発生場所を把握することができる。
【0015】
なお、
図2に例示する安全装置は一例である。例えば、SOLAS(safety of life at sea)では、船内に安全センター(Safety center)を設けること、また、安全センターでは、
図2にも例示した以下に掲げる安全装置の機能(運用、制御、監視又はこれらの組み合わせ)が利用可能である事が要求されている。即ち、1.動力式通風装置、2.防火戸、3.一般非常警報装置、4.船内通報装置、5.電気駆動式避難誘導装置、6.水密戸及び準水密戸、7.舷門の戸、載貨門の戸その他の閉鎖装置の表示器、8.インナー・バウドア、アウター・バウドア、スターンドアその他いかなる船側外板の戸からの漏水、9.テレビ監視装置、10.火災探知警報装置、11.固定式局所消化装置、12.スプリンクラ及びこれと同等の装置、13.機関区域のための水系消火装置、14.乗組員招集警報、15.アトリウムの排煙装置、16.浸水探知装置、17.消火ポンプ及び非常用消火ポンプ、である。安全センターには、これらの安全装置を監視するモニタや制御盤が設置されている。また、SOLASが適用されない船舶1についても、規則などで定められた様々な安全装置2とそれらの安全装置2を制御する制御システムが制御室に設けられていることが一般的である。本実施形態の船内システム20は、SOLASにて定められた安全センターと安全装置、SOLAS非適用船における安全装置および制御システムが設けられた制御室に対応している。
【0016】
火災・浸水等の災害が発生すると、火災探知警報装置(
図2の項番10)や浸水探知装置(
図2の項番16)が作動し、乗員は、火災などの発生を認識する。乗員は、安全センターの制御盤や制御システムを操作して、他の乗員に警報を通知し(
図2の項番14)、適切な安全装置2を制御して火災や浸水の拡大防止対応を行う。災害発生時に安全センターや制御システムの機能が維持され、且つ、船内の状況が乗員の操作に影響がない状態であれば、船内システム20によって、災害対応を行うことができる。しかし、火災や浸水の影響で安全センターにて乗員が冷静な判断・対処が行うことができない状況(例えば、火炎や煙が迫っている、浸水によって大傾斜が生じている等)に至ると、船内システム20を利用した災害対応を行うことができない。また、近年では、船舶1の乗員の省人化が求められる傾向があり、省人化された船舶1では、災害対応に回せる乗員が不足する可能性がある。そこで、本実施形態では、船内システム20と同一の機能、構成を有する陸上システム10を陸側に構築することで、船内の状況や乗員の不足に関係なく、船舶1の安全装置2の監視および制御を可能とする。
【0017】
(船内システム20aの構成)
船内システム20aは、監視システム21aと、安全装置2とを備える。監視システム21aは、コンピュータで構成され、入力部22aと、制御部23aと、記憶部24aと、船内通信部25aと、陸上通信部26aと、表示部27aと、を備える。
【0018】
入力部22aは、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン等の入力装置を用いて構成される。入力部22aは、監視システム21aに対する利用者の入力を受け付ける。入力部22aは、受け付けた入力の内容を制御部23aに出力する。
【0019】
制御部23aは、安全装置2の制御、表示部27aの表示制御、船内通信部25aを介した安全装置2との通信制御、陸上通信部26aを介した陸上システム10との通信制御などを行う。例えば、制御部23aは、安全装置2(
図2の項番7~10、16、18に例示されるセンサ類)が検出した情報(例えば、火災の発生とその発生位置)や安全装置2(
図2の項番1等に例示される制御対象装置)の動作状態(起動・停止、開閉など)を、陸上通信部26aを通じて取得し、その情報を表示部27aへ表示する。また、制御部23aは、乗員の操作に基づいて、安全装置2への制御信号(例えば、乗組員招集警報を発報する、動力式通風装置を停止する等)を生成し、生成した制御信号を、陸上通信部26aを通じて制御対象の安全装置2へ出力する。
【0020】
記憶部24aは、HDD,フラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成され、安全装置2から取得した情報などを記憶する。
【0021】
船内通信部25aは、安全装置2との通信を行う。例えば、船内通信部25aは、安全装置2から船内の状況や安全装置2の動作状態を示す情報をリアルタイムに受信する。また、船内通信部25aは、制御信号を安全装置2へ送信する。
【0022】
陸上通信部26aは、陸上システム10との通信を行う。例えば、陸上通信部26aは、安全装置2から船内の状況や安全装置2の動作状態を示す情報を船内通信部25aを通じてリアルタイムに受信し、陸上システム10へ送信する。また、陸上通信部26aは、陸上システム10が安全装置2に向けて送信した制御信号を受信し、その制御信号を、船内通信部25aを通じて安全装置2へ送信する。
【0023】
表示部27aは、液晶ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。表示部27aは、制御部23aの指示に基づき、任意の情報を表示する。例えば、表示部27aは、安全装置2から受信した情報(センサ類が検出した情報、安全装置2の動作状態など)を表示する。
【0024】
安全装置2は、
図2に例示するような船舶の安全性に関する情報を検出する装置(センサ)又は安全性を維持するための装置である。例えば、安全装置2がセンサや検出装置の場合、安全装置2は、センサ本体と通信装置を備える。安全装置2が動力式通風装置や乗組員招集警報などの安全性維持装置の場合、安全装置2は、アクチュエータ、アクチュエータの制御装置及び通信装置を備える。
【0025】
(船内システム20bの構成)
船内システム20bは、監視システム21bと、安全装置2と、通信装置3を備える。監視システム21bは、コンピュータで構成され、入力部22bと、制御部23bと、記憶部24bと、船内通信部25bと、表示部27bと、を備える。これらの機能部の構成及び機能については、それぞれ、上記で説明した入力部22a、制御部23a、記憶部24a、船内通信部25a、表示部27aと同様である。船内システム20aとの違いは、船内システム20aでは監視システム21aが、安全装置2と陸上システム10の通信を仲介するのに対し、船内システム20bでは監視システム21bが、陸上システム10との通信を仲介しない点である。船内システム20bにおいては、通信装置3が、安全装置2と陸上システム10の通信を中継する。例えば、通信装置3は、安全装置2から船内の状況や安全装置2の動作状態を示す情報をリアルタイムに受信し、陸上システム10へ送信する。また、通信装置3は、陸上システム10が安全装置2に向けて送信した制御信号を受信し、その制御信号を安全装置2へ送信する。つまり、船内システム20bであれば、監視システム21bが故障等した場合であっても、陸上システム10から船舶1の安全装置2の監視および制御が可能である。
【0026】
(陸上システム10の構成)
陸上システム10は、コンピュータで構成され、入力部11と、制御部12と、記憶部13と、通信部14と、表示部15と、を備える。
入力部11は、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン等の入力装置を用いて構成される。入力部11は、陸上システム10に対する利用者の入力を受け付ける。入力部11は、受け付けた入力の内容を制御部12に出力する。
制御部12は、陸上システム10で実行される種々の処理を制御する。例えば、制御部12は、表示部15の表示制御、通信部14を介した通信制御などを行う。
記憶部13は、HDD,フラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成され、安全装置2から送信された情報などを記憶する。
通信部14は、船内システム20との通信を行う。例えば、通信部14は、船内システム20から安全装置2が検出した船内状況や安全装置2の動作状態を示す情報をリアルタイムに取得する。また、通信部14は、安全装置2に対する制御信号を船内システム20へ送信する。
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。表示部15は、制御部12の指示に基づき、任意の情報を表示可能である。例えば、表示部15は、船内システム20から受信した船内の状況(火災や浸水の有無、テレビ監視装置の映像など)を表示する。
【0027】
陸上システム10は、船内の安全センターや制御室をミラーリングして構築されており、船内の安全センター等と同一の機能、構成を有している。陸上システム10は、いわば陸側に構築された安全センターや制御室である。陸上には監視員が存在し、監視員は複数の船舶1を監視する。例えば、船舶1のうちの何れかで災害等が生じたときに、監視員は、表示部15に表示されたデータを監視して、災害の拡大を防止するよう安全装置2を制御する。入力部11は、監視員による安全装置2を制御する指示情報の入力を受け付け、制御部12は、通信部14を介して船内システム20へ入力された指示情報を送信する。
【0028】
(動作)
次に安全システム100の動作について
図3A、
図3Bを参照して説明する。一例として、船舶1には安全センターが設けられていて、乗員は、安全センターにて船内の監視を行っているとする。
【0029】
(船内システム20aの場合)
図3Aに船内システム20aを備える船舶1の安全装置2に対する監視及び制御の動作例を示す。一例として、船内で災害が発生したとき船内システム20aと地上システム10が協力して(例えば、船内システム20aにて一部の安全装置2を制御し、地上システム10から別の安全装置2の制御を行う。)災害に対応する場合の動作例を示す。まず、複数の安全装置2の各々が、自装置が検出した災害に関する情報(火災の有無、浸水の有無、船体の傾き等)や自装置の動作状態(動作中、停止中等)の情報を船内システム20aへ送信する(ステップS1)。船内システム20aでは、船内通信部25aが、安全装置2が検出した情報等を取得する。船内通信部25aは、取得した情報を制御部23aと陸上通信部26aへ出力する。陸上通信部26aは、安全装置2から送信された情報を、船内通信部25aを通じて取得し、陸上システム10へ送信する(ステップS1´)。
【0030】
船内システム20aの制御部23aは、安全装置2から送信された情報を表示部27aへ出力する。表示部27aは、例えば、船内の安全性を示す情報と各安全装置の動作状態を示す情報を表示する(ステップS2)。乗員は、表示部27aに表示された情報を監視しながら、災害への対応が必要か否かを判断する。災害が発生した場合、乗員は、安全センター等で制御盤を操作して、安全装置2の制御を行う。
【0031】
また、陸上システム10では、制御部12が、通信部14を通じて陸上通信部26aが送信した情報を取得し、取得した情報を表示部15へ出力する。表示部15は、船内の安全性を示す情報と各安全装置の動作状態を示す情報を表示する(ステップS2´)。陸上の監視員は、表示部15に表示された情報を監視しながら、災害への対応が必要か否かを判断する。災害が発生した場合、監視員は、陸上システム10を操作して、安全装置2の遠隔制御を行う。
【0032】
船内で災害が発生すると、災害発生を示す情報が上記の処理によって、監視システム21aと陸上システム10へ送信される。本例では、災害が発生したとする。すると、乗員は、災害への対応が必要と判断し、必要な安全装置2を選択して、安全センターの制御盤を操作して、選択した安全装置2に対する操作を行う。入力部22aは、乗員による指示操作の入力を受け付け、制御部23aがその指示操作に基づいて、制御対象となる安全装置2への制御信号を生成する。そして、制御部23aは船内通信部25aを通じて制御信号を安全装置2へ送信する(ステップS3)。
【0033】
船内システム20aから制御信号を受信した安全装置2は、制御信号に基づいて動作する(ステップS4)。例えば、火災発生時に防火戸を閉めるような制御信号が発された場合、防火戸(安全装置2)の制御装置は送信された制御信号に従ってアクチュエータを制御し、防火戸を閉める動作を行う。
【0034】
一方、陸上の監視局では、監視員が、災害への対応が必要と判断すると、制御が必要な安全装置2に対する操作を陸上システム10に入力する。例えば、災害発生を示す情報が表示部15に表示されてから所定時間が経過しても、船内システム20aから制御対象の安全装置2(例えば、スプリンクラ)を作動するような制御信号が発されないような場合(つまり、制御対象の安全装置の動作状態が適切な状態に変化しない場合)、陸上の監視員は、対応が必要と判断し、安全装置2への指示操作を陸上システム10に入力する。あるいは、船内と陸から同時並行的に対応を行うことで初期対応を迅速化するなどの目的で、船内システム20aと陸上システム10とで担当する安全装置2の分担が予め割り振られていて、その分担に応じた安全装置2への指示操作が陸上システム10に入力されてもよい。指示操作が入力されると、入力部11が監視員による指示操作の入力を受け付け、制御部12がその指示操作に基づいて、安全装置2への制御信号を生成する。そして、制御部12は通信部14を通じて制御信号を船内システム20aへ送信する(ステップS5)。陸上システム10から制御信号が送信されると、陸上通信部26aは、その制御信号を受信し、船内通信部25aを通じて、安全装置2へ送信する(ステップS6)。これにより、陸上からの遠隔操作によって安全装置2が作動する。
【0035】
陸上システム10から制御信号を受信した安全装置2は、制御信号に基づいて動作する(ステップS7)。例えば、火災発生時にスプリンクラを動作させるような制御信号が発された場合、スプリンクラ(安全装置2)の制御装置は送信された制御信号に従ってアクチュエータを制御し、消火水を噴射する動作を行う。
【0036】
このように本実施形態によれば、陸上システム10においても安全装置2の監視と制御が可能である。その為、何らかの事情で船内システム20から安全装置2を制御できない場合であっても、陸上システム10から安全装置2を制御し、災害の拡大を防止することができる。また、例えば、テレビ監視装置(
図2の項番9)の映像を陸上から監視して、船内の乗員が気づかない不審火や火災探知警報装置が検出できない火炎などに気付いたような場合、いち早く陸上から安全装置2を作動させたり、船内の乗員に通知したりすることによって、災害の早期検知、早期対応が可能になる。
【0037】
(船内システム20bの場合)
次に
図3Bを参照して、船内システム20bを備える船舶1の安全装置2に対する監視及び制御について説明する。
図3Bでは、船内システム20b側で何らかの不具合が発生した場合の動作例を示す。まず、安全装置2が、自装置が検出した災害に関する情報や自装置の動作状態の情報を船内システム20bへ送信する(ステップS11)。それと並行して、安全装置2は、自装置が検出した災害に関する情報や自装置の動作状態の情報を通信装置3へ送信する(ステップS12)。通信装置3は、安全装置2から送信された情報を受信すると、受信した情報を陸上システム10へ送信する(ステップS13)。
【0038】
船内システム20bでは、船内通信部25bが、安全装置2から送信された情報を取得する。船内通信部25bは、取得した情報を制御部23bへ出力する。制御部23bは、安全装置2から送信された情報を表示部27bへ出力する。表示部27bは、船内の安全性を示す情報と各安全装置の動作状態を示す情報を表示する(ステップS14)。乗員は、表示部27bに表示された情報を監視しながら災害への対応が必要か否かを判断する。
【0039】
また、陸上システム10では、制御部12が、通信部14を通じて、通信装置3が送信した情報を取得し、取得した情報を表示部15へ出力する。表示部15は、船内の安全性を示す情報と各安全装置の動作状態を示す情報を表示する(ステップS14´)。陸上の監視員は、表示部15に表示された情報を監視しながら、災害への対応が必要か否かを判断する。
【0040】
船内で災害が発生すると、災害発生を示す情報が上記の処理によって監視システム21bと陸上システム10へ送信される。本例では、災害が発生したとする。すると、通常であれば、乗員は、災害への対応が必要と判断し、安全装置2に対する操作を行う。制御部23bは乗員の操作に基づいて、安全装置2への制御信号を生成する。そして、制御部23bは船内通信部25bを通じて制御信号を安全装置2へ送信し、船内システム20bから制御信号を受信した安全装置2は制御信号に基づいて動作する。これらの動作は、
図3Aを用いて説明した船内システム20aの場合(ステップS3~S4)と同様である。これに対し、本フローチャートでは、船内での人員不足や監視システム21bの故障等、船内システム20bから安全装置20を制御することができないような不具合が発生したとする(ステップS15)。すると、人員不足のため乗員が表示部27bの監視を行うことができないといった状況や、乗員が安全装置2に対する操作を行っても制御信号が生成、送信されないといった状況が発生し、船内システム20bによって安全装置2が制御されない状況となる。
【0041】
一方、陸上システム10では、監視員が、災害への対応が必要と判断すると、陸上システム10を用いて、制御が必要な安全装置2に対する操作を行う。例えば、火災探知警報装置(
図2の項番10)が作動したにもかかわらず、乗組員招集警報(
図2の項番14)が発報されない場合(例えば、監視システム21bが故障して機能していない、あるいは、乗員の手が回らない等)や、テレビ監視装置(
図2の項番9)から送信された映像に浸水の疑いがある様子が写っているにもかかわらず、浸水探知装置(
図2の項番16)が作動しないような場合、陸上の監視員は、まず、船内の乗員に火災や浸水の発生を周知する必要があると判断し、乗組員招集警報(安全装置2)の作動を陸上システム10に対して指示する。すると、制御部12が乗組員招集警報の発報を指示する制御信号を生成し、通信部14を通じてその制御信号を通信装置3へ送信する(ステップS16)。通信装置3は、陸上システム10から送信された制御信号を受信し、安全装置2へ送信する(ステップS17)。陸上システム10から制御信号を受信した安全装置2は、制御信号に基づいて動作する(ステップS18)。この例の場合であれば、乗組員招集警報が発報される。
【0042】
このように船内システム20bおよび陸上システム10によれば、船内システム20aおよび陸上システム10の組合せで得られる効果に加え、監視システム21bの状態にかかわらず、陸上システム10から安全装置2を制御することができる。
なお、船内システム20aおよび陸上システム10の組合せにおいても、陸上通信部26aの不具合で陸上システム10と安全装置2の間の通信が遮断される場合を除き、船内システム20a側に不具合が生じた場合であっても、
図3Bで説明した動作と同様にして、陸上システム10から安全装置2を制御することで災害に対応することができる。また、船内システム20bおよび陸上システム10の組合せであっても、
図3Aを用いて説明したものと同様の動作が可能であることは言うまでもない。
【0043】
なお、監視システム21と陸上システム10に制御上の優先度を設けることが可能である。優先度を設定することで、監視システム21と陸上システム10から同じ安全装置2に対して、指示内容が異なる制御信号を出力したような場合に動作の矛盾を回避することができる。
図4に優先度の一例を示す。(1)動作モード1は、通常の優先度(優先度の初期設定)である。最も優先度が高いのは、安全装置2に対して直接的に手動制御を行う制御方法である。例えば、防火戸の近くにボタンが設置されていて、このボタンの押下により防火戸が開閉する。他の方法(例えば、自動制御や安全センターからの指示)で、防火戸を開けておくような制御が行われていたとしても、乗員がボタンを押下すると、防火戸を閉じることができる。次に優先度が高いのは、安全センターの監視システム21による制御である。例えば、優先度が3番目の自動制御により、防火戸を開けておくような制御が行われていたとしても(例えば、火災探知警報装置が作動しない状態では防火戸を開とするよう自動制御されているなど。)、監視システム21から防火戸を閉じる制御を行うと、防火戸を閉じることができる。優先度が最も低いのは、陸上システム10からの制御である。動作モード1では、陸上システム10からは、他の手段で制御されていない安全装置2だけを制御することができる。なお、動作モード1においても、陸上システム10から制御信号を送信し、船内の監視システム21からその制御信号に対する許可、承認が入力されると、監視システム21による制御と同等の2番目の優先度を有する制御信号として扱われるように構成されていてもよい。
【0044】
(2)動作モード2は、陸上システム10優先の動作モードである。動作モード2では、1番目の優先度が「手動」、2番目の優先度が「陸上システム」、3番目の優先度が「自動制御」、4番目の優先度が「船内の監視システム」である。例えば、船舶1が省人化されていて乗員の数が少ない場合、動作モード2の優先度を設定してもよい。これにより、災害発生時の対応を陸上側に任せることができる。あるいは、通常は動作モード1で設定されていて、火災探知警報装置や浸水探知装置が作動したにもかかわらず、その後、所定時間が経過しても乗組員招集警報が発砲されないといった事態が生じた場合(監視システム21が機能していないと推定される事象が生じている場合)に、動作モード1から動作モード2に自動的に切り替えるようにしてもよい。これにより、基本的には、船内で安全センターから乗員が災害対応を行う体制を基本としつつも、船内状況の変化や人手不足等によって船内で災害対応ができなくなった場合に、陸上側を主体とする制御に切り替えることができる。
【0045】
(3)動作モード3は、優先度が動作モード1と同様であって、さらに陸上システム10からは監視のみを許可する動作モードである。例えば、初期設定で動作モード3を設定しておき、陸上の監視員は、監視中に気が付いた点などがあれば、別途無線などで乗員に連絡する。そして、船内で災害が発生して、乗員不足が発生したり、安全センターでの監視ができない状況となったりすると、監視システム21又は陸上システム10から動作モードを切り替える入力を行って、動作モード3から動作モード2や次に説明する動作モード4に切り替えてもよい。
【0046】
(4)動作モード4は、動作モード2と同様の優先度の設定であって、さらに船内の監視システム21を無効または監視のみを許可する動作モードである。例えば、船舶1が省人化、無人化された船の場合、動作モード4を適用してもよい。
【0047】
なお、
図4に例示する動作モードは一例であって、これに限定されない。例えば、動作モード1,2において、3番目と4番目の優先度が逆に設定されていてもよい。また、災害の状況の時間的変化を考慮し、一度、優先度の高い手段によってある安全装置2の動作が制御された後であっても、所定時間が経過していれば、あるいは状況が変化していれば(例えば、優先度の高い手段が制御信号を出力した後に、そのときには作動していなかった安全装置2が災害を検知して作動した場合や、安全装置2が異なるレベルの情報を検出したような場合(例えば、船体姿勢喫水計が示す船体の傾きが悪化したり、改善したりする場合))には、同じ安全装置2に対して、優先度の低い手段が異なる内容の制御信号を出力した場合であっても、その制御信号が有効になるように構成してもよい。また、船舶1ごとに任意に優先度を設定できるようにしてもよい。また、陸上システム10の表示部15には船舶1ごとに動作モードを表示するようにしてもよい。これにより、監視員は、ある船舶1で災害が発生した場合に、制御は基本的に船側に任せて監視だけを行うのか、監視だけではなく安全装置2の制御を行わなければならないかを把握することができる。
【0048】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、船舶の安全センターや制御室に集約された安全装置2に関する情報の受信および遠隔操作を可能とする安全センター等と同等の環境(陸上システム10)を陸上に構築し、船内の安全装置2に係る情報(火災探知、浸水探知、水密戸、防火戸の開閉、消火装置の作動など)を、通信装置3や陸上通信部26aを介して陸上の安全センターである陸上システム10へ送信する。陸上システム10では、監視・制御を担当する監視員を割り当てておき、船上の安全センター等と同等の作業(安全装置の運用、制御、監視又はこれらの組み合わせ)を陸上でも実施する。そして、船舶1にて災害が発生すると、陸上システム10から船内状況を監視し、必要に応じて陸上から安全装置の遠隔操作を行い、被災状況に対する対処を行う。このように、陸上の安全センターである陸上システム10においても船内の監視システム21と同じ情報を受信する事で、陸側でも船内の安全センターと同様の監視、遠隔制御が可能となる。また、陸上の陸上システム10では、火災や浸水による傾斜の影響を受けることなく冷静な対処が可能となる。また、陸上システム10では、同時並行的に複数の船舶1の監視・制御を行うことができるので、船舶の無人化や省人化に貢献することができる。
【0049】
図5は、実施形態に係る安全システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の陸上システム10、監視システム21は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0050】
なお、陸上システム10、監視システム21の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0051】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0052】
<付記>
各実施形態に記載の安全システム、陸上システム、船内システム及び制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0053】
(1)第1の態様に係る安全システム100は、船内に設けられた安全性検出装置(例えば、
図2に例示する安全装置2のうちの項番7~10、16、18のようなセンサ類)および安全維持装置(例えば、
図2に例示する安全装置2のうちの残りの項目)と、前記安全性検出装置が検出した情報(火災・浸水の有無など)および前記安全維持装置の状態(動作中か否か)を示す情報を取得する第1取得部(船内通信部25a,25b)と、前記安全維持装置を制御する第1制御部(23a,23b)と、前記陸上システムとの通信を行う通信部(陸上通信部26a、通信装置3)と、を備える前記船内に設けられた船内システム(20a,20b)と、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を、前記通信部を通じて取得する第2取得部(通信部14)と、前記安全維持装置を制御する制御信号を、前記通信部を通じて、前記安全維持装置へ出力する第2制御部と、を備える陸上に設けられた陸上安全システムと、を備える。
これにより、船内システム20からだけではなく、陸上システム10からも安全装置2の監視および制御を行うことができる。
【0054】
(2)第2の態様に係る安全システム100は、(1)の安全システムであって、前記船内システム20と前記陸上システム10とが、同一の前記安全性検出装置が検出した情報および同一の前記安全維持装置の状態を示す情報を取得する。
これにより、陸上システム10でも船内と同じ情報を得て船内状況の監視を行うことができる。
【0055】
(3)第3の態様に係る安全システム100は、(1)~(2)の安全システムであって、前記第1制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後は、前記第2制御部が、当該安全維持装置へ制御信号を出力しても無効となる(
図4の動作モード1)。
これにより、同じ安全装置2に対して、異なる制御信号が指令された場合であっても矛盾なく安全装置2を制御することができる。
【0056】
(4)第4の態様に係る安全システム100は、(3)の安全システムであって、前記第1制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後に、所定時間が経過するか、又は、前記安全性検出装置が検出した情報が変化すると、前記第2制御部が当該安全維持装置へ出力した制御信号を有効とする。
これにより、災害の状況が変化しても船内システム20からある安全装置2に対して適切な制御が行われないような場合、陸上システム10から当該安全装置2を制御することができる。
【0057】
(5)第5の態様に係る安全システム100は、(1)または(2)の安全システムであって、前記第2制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後は、前記第1制御部が、当該安全維持装置へ制御信号を出力しても無効となる(
図4の動作モード2)。
例えば、省人化された船舶に対して、動作モード2を設定することで、船内の乗員は災害発生時の対応を陸側に任せることができる。
【0058】
(6)第6の態様に係る安全システム100は、(1)または(2)の安全システムであって、前記第1制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後は、前記第2制御部が、当該安全維持装置へ制御信号を出力しても無効となる第1動作モードと、前記第2制御部がある1つの前記安全維持装置へ制御信号を出力した後は、前記第1制御部が、当該安全維持装置へ制御信号を出力しても無効となる第2動作モードと、を切り替え可能に設定することができる。
これにより、基本的には、船内で安全センターから乗員が災害対応を行う体制を基本としつつも、船内状況の変化や人手不足によって船内で対応できなくなった場合に、陸側を主体とする制御に切り替えることができる。
【0059】
(7)第7の態様に係る陸上システムは、船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置との通信を前記船内に設けられた通信装置を通じて行う通信部と、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を、前記通信部を通じて取得する取得部と、前記安全維持装置を制御する制御信号を、前記通信部を通じて前記安全維持装置へ出力する制御部と、を備える。
これにより、陸上システムから船内の安全性検出装置および安全維持装置を監視し、安全維持装置を制御することができる。
【0060】
(8)第8の態様に係る船内システムは、船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置と、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を取得する取得部と、前記安全維持装置を制御する制御部と、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を陸上システムへ送信し、前記陸上システムから前記安全維持装置を制御する制御信号を受信する通信部と、を備える。
これにより、船舶が一般に備えている、安全性検出装置および安全維持装置の監視と安全維持装置の制御を船内で実行する機能を維持しつつ、同様の機能を陸上側にミラーリングした陸上システムを実現することができる。
【0061】
(9)第9の態様に係る制御方法は、船内に設けられた安全性検出装置および安全維持装置の制御方法であって、前記船内に設けられた船内システムが、前記安全性検出装置が検出した情報および前記安全維持装置の状態を示す情報を取得するステップと、前記船内システムが、前記取得するステップにて取得した情報を陸上に設けられた陸上システムに送信するステップと、前記陸上システムが、前記送信するステップにて送信された情報を取得するステップと、前記陸上システムが、前記安全維持装置を制御する制御信号を前記安全維持装置へ送信するステップと、を有する。
【符号の説明】
【0062】
1・・・船舶、2・・・安全装置、3・・・通信装置、10・・・陸上システム、11・・・入力部、12・・・制御部、13・・・記憶部、14・・・通信部、15・・・表示部、20、20a、20b・・・船内システム、21、21a、21b・・・監視システム、22a、22b・・・入力部、23a、23b・・・制御部、24a、24b・・・記憶部、25a、25b・・・船内通信部、26a・・・陸上通信部、27a、27b・・・表示部、100・・・安全システム、900・・・コンピュータ、901・・・CPU、902・・・主記憶装置、903・・・補助記憶装置、904・・・入出力インタフェース、905・・・通信インタフェース