(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034601
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】トルクセンサ
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
G01L3/10 315
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140917
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 純一
(57)【要約】
【課題】 軸方向の厚みを低減することが可能なトルクセンサを提供する。
【解決手段】 第1構造体11は、第1固定部13aと第2固定部13bと、複数の突起11fとを含む。起歪体12は、第1構造体の複数の突起に対応して配置された複数の変形部12fと、第3固定部14aと、第4固定部14bとを含む。複数の第1電極15aは、複数の突起11fのそれぞれに配置される。複数の第2電極15bは、複数の変形部12fの内側にそれぞれ設けられ、複数の第1電極のそれぞれから離間して配置される。第1固定部と第2固定部はトルクの入力部と出力部の一方であり、第3固定部と第4固定部はトルクの入力部と出力部の他方である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面に平行な第2面と、前記第1面に配置された第1固定部と、前記第1面で、前記第1固定部から点対称の位置に配置された第2固定部と、前記第2面で、前記第1固定部と前記第2固定部からそれぞれ一定間隔離れた位置に設けられた複数の突起と、を含む第1構造体と、
第3面と、前記第3面に平行な第4面と、前記第3面に前記第1構造体の前記複数の突起に対応して配置され、前記第3面から前記第4面方向に窪み、弾性変形可能な複数の変形部と、を含み、前記第3面が前記第1構造体の前記第1固定部と前記第2固定部に固定され、前記第4面で、前記第1固定部と前記第2固定部と隣り合わず、前記複数の変形部と異なる位置に対応する部分に配置された第3固定部と、前記第3固定部と点対称の位置に配置された第4固定部と、を含む起歪体と、
前記複数の突起のそれぞれに配置された複数の第1電極と、
前記複数の変形部の内側にそれぞれ設けられ、前記複数の第1電極のそれぞれから離間された複数の第2電極と、
を具備し、
前記第1固定部と前記第2固定部がトルクの入力部と出力部の一方であり、前記第3固定部と前記第4固定部が前記トルクの入力部と出力部の他方であることを特徴とするトルクセンサ。
【請求項2】
第1面と、前記第1面に平行な第2面と、前記第1面に配置された第1固定部と、前記第1固定部から点対称の位置に配置された第2固定部と、前記第2面で、前記第1固定部と前記第2固定部からそれぞれ一定間隔離れた位置に設けられた複数の第1電極と、を含む第1構造体と、
第3面と、前記第3面に平行な第4面と、前記第3面に前記第1構造体の前記複数の第1電極に対応して配置され、前記第3面から前記第4面方向に窪み、弾性変形可能な複数の変形部と、を含み、前記第3面が前記第1構造体の前記第1固定部と前記第2固定部に固定され、前記第4面で、前記第1固定部と前記第2固定部と隣り合わず、前記複数の変形部と異なる位置に対応する部分配置された第3固定部と、前記第3固定部と点対称の位置に配置された第4固定部と、を含む起歪体と、
前記複数の変形部の内側にそれぞれ設けられ、前記複数の第1電極のそれぞれから離間された複数の第2電極と、
を具備し、
前記第1固定部と前記第2固定部は、トルクの入力部と出力部の一方であり、前記第3固定部と前記第4固定部は、前記トルクの入力部と出力部の他方であることを特徴とするトルクセンサ。
【請求項3】
前記起歪体の前記第4面に設けられ、前記第3固定部と前記第4固定部において、前記起歪体に固定される第2構造体を、さらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載のトルクセンサ。
【請求項4】
環状の第1面と、前記第1面に平行な環状の第2面と、前記第1面の外周と前記第2面の外周との間の第1側面と、前記第1面の内周と前記第2面の内周との間の第2側面と、前記第1側面から前記第2側面に設けられた第1固定部と、前記第1固定部から点対称の位置に配置され、前記第1側面から前記第2側面に設けられた第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部からそれぞれ一定間隔離れた位置で、前記第2側面に設けられた複数の突起と、を含む第1構造体と、
前記第1構造体の内側に同心状に配置され、前記第1構造体の前記第1面に隣接する環状の第3面と、前記第3面に平行な環状の第4面と、前記第3面の外周と前記第4面の外周との間の第3側面と、前記第3面の内周と前記第4面の内周との間の第4側面と、前記第1構造体の前記複数の突起が設けられた位置に対応して配置され、前記第3面から前記第4面方向に窪み、弾性変形可能で、内部に前記複数の突起が配置される複数の変形部と、前記第4面で、前記第1固定部及び前記第2固定部と隣り合わず、前記複数の突起と異なる位置に対応する位置に配置された第3固定部と、前記第3固定部と点対象の位置に配置された第4固定部と、を含む、起歪体と、
前記第1構造体の前記複数の突部のそれぞれに配置された複数の第1電極と、
前記複数の変形部の内側にそれぞれ設けられ、前記複数の第1電極のそれぞれから離間された複数の第2電極と、
を具備し、
前記第1構造体の前記第1固定部と前記第2固定部に対応する部分がトルクの入力部と出力部の一方であり、前記起歪体の前記第3固定部と前記第4固定部が前記トルクの入力部と出力部の他方であることを特徴とするトルクセンサ。
【請求項5】
環状の第1面と、前記第1面に平行な環状の第2面と、前記第1面の外周と前記第2面の外周との間の第1側面と、前記第1面の内周と前記第2面の内周との間の第2側面と、前記第1側面から前記第2側面に設けられた第1固定部と、前記第1固定部から点対称の位置に配置され、前記第1側面から前記第2側面に設けられた第2固定部と、を含む第1構造体と、
前記第1構造体の内側に同心状に配置され、前記第1構造体の前記第1面に隣接する環状の第3面と、前記第3面に平行な環状の第4面と、前記第3面の外周と前記第4面の外周との間の第3側面と、前記第3面の内周と前記第4面の内周との間の第4側面と、前記第1構造体の前記第1固定部と前記第2固定部と対応する部分以外で、前記第1固定部及び前記第2固定部から一定間隔離れた位置に配置され、前記第3面から前記第4面方向に窪み、弾性変形可能な複数の変形部と、を含み、前記第3側面が前記第1構造体の前記第1固定部と前記第2固定部に固定された起歪体と、
前記起歪体の内側に同心状に配置され、前記起歪体の前記第3面に隣接する環状の第5面と、前記第5面に平行な環状の第6面と、前記第5面の外周と前記第6面の外周との間の第5側面と、前記第5面の内周と前記第6面の内周との間の第6側面と、前記第5側面で、前記複数の変形部に対応する位置に配置された複数の突起と、前記第1固定部と前記第2固定部と隣り合う領域以外で、一対の前記突起の間の領域に配置された第3固定部と、前記第3固定部と点対称の位置に配置された第4固定部と、を含み、前記第3固定部及び前記第4固定部において、前記起歪体に固定される第2構造体と、
前記第2構造体の前記複数の突部のそれぞれに配置された複数の第1電極と、
前記起歪体の前記複数の変形部の内側にそれぞれ設けられ、前記複数の第1電極のそれぞれから離間された複数の第2電極と、
を具備し、
前記第1構造体の前記第1面で、前記第1固定部と前記第2固定部に対応する位置がトルクの入力部と出力部の一方であり、前記第2構造体の第6面で、前記第3固定部と前記第4固定部に対応するが前記トルクの入力部と出力部の他方であることを特徴とするトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばロボットアーム等に適用されるトルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のトルクセンサは、トルクが印加される第1構造体と、トルクが出力される第2構造体と、第1構造体と第2構造体との間に配置された起歪体を具備し、起歪体に生じた歪を検知する複数のセンサが起歪体上又は起歪体と第1構造体又は第2構造体との間に配置されている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6851893号公報
【特許文献2】特許第6270186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記トルクセンサは、第1構造体、第2構造体、及び起歪体が軸方向に積層されて構成される。このため、軸方向における第1構造体、第2構造体、及び起歪体の厚みによりトルクセンサの厚みが確定され、トルクセンサの厚みが増加していた。
【0005】
本実施形態は、軸方向の厚みを低減することが可能なトルクセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態のトルクセンサは、第1面と、前記第1面に平行な第2面と、前記第1面に配置された第1固定部と、前記第1面で、前記第1固定部から点対称の位置に配置された第2固定部と、前記第2面で、前記第1固定部と前記第2固定部からそれぞれ一定間隔離れた位置に設けられた複数の突起と、を含む第1構造体と、第3面と、前記第3面に平行な第4面と、前記第3面に前記第1構造体の前記複数の突起に対応して配置され、前記第3面から前記第4面方向に窪み、弾性変形可能な複数の変形部と、を含み、前記第3面が前記第1構造体の前記第1固定部と前記第2固定部に固定され、前記第4面で、前記第1固定部と前記第2固定部と隣り合わず、前記複数の変形部と異なる位置に対応する部分に配置された第3固定部と、前記第3固定部と点対称の位置に配置された第4固定部と、を含む起歪体と、前記複数の突起のそれぞれに配置された複数の第1電極と、前記複数の変形部の内側にそれぞれ設けられ、前記複数の第1電極のそれぞれから離間された複数の第2電極と、を具備し、前記第1固定部と前記第2固定部がトルクの入力部と出力部の一方であり、前記第3固定部と前記第4固定部が前記トルクの入力部と出力部の他方である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るトルクセンサを示す平面図。
【
図2】
図1に示すトルクセンサの第1構造体の例を示す平面図。
【
図3】
図1に示すトルクセンサの起歪体の例を示す平面図。
【
図4】
図1に示すトルクセンサの側面を概略的に示す図。
【
図5】第1実施形態に係るトルクセンサに適用される検出回路の一例を示す構成図。
【
図6】第1実施形態に係るトルクセンサの第1変形例を示すものであり、側面を概略的に示す図。
【
図7】第1実施形態に係るトルクセンサの第2変形例を示すものであり、第2構造体の例を示す平面図。
【
図8】第2変形例に係るトルクセンサの側面を概略的に示す図。
【
図9】第2実施形態に係るトルクセンサを示す平面図。
【
図10】
図9に示すトルクセンサの第1構造体の例を示す平面図。
【
図11】
図9に示すトルクセンサの起歪体の例を示す平面図。
【
図12】
図9に示すトルクセンサの側面を概略的に示す図
【
図13】第2実施形態に係るトルクセンサの変形例を示す平面図。
【
図14】
図13に示すトルクセンサの第1構造体の例を示す平面図。
【
図15】
図13に示すトルクセンサの起歪体の例を示す平面図。
【
図16】
図13に示すトルクセンサの第2構造体の例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には、同一符号を付している。
【0009】
(第1実施形態)
図1乃至
図4に示すように、トルクセンサ10は、第1構造体11と、起歪体12と、第1固定部13aと、第2固定部13bと、第3固定部14aと、第4固定部14bと、複数のセンサ15などを具備している。第1固定部13aと第2固定部13bは、複数のボルト16を含み、第3固定部14aと第4固定部14bは、複数のボルト17を含んでいる。
【0010】
図1、
図2に示すように、第1構造体11と起歪体12は、環状に形成されている。第1構造体11の内径及び外径は、起歪体12の内径及び外径と等しくされている。しかし、第1構造体11の内径と起歪体12の内径は、異なっていてもよい。第1構造体11と起歪体12は、金属、例えばステンレススチールにより形成されるが、金属に限らず、例えば樹脂により形成することも可能である。
【0011】
図1、
図2、
図4に示すように、第1構造体11は、環状の第1面11aと、第1面11aに平行な第2面11bと、第1面11aの外周と第2面11bの外周との間の第1側面11cと、第1面11aの内周と第2面11bの内周との間の第2側面11dと、を含んでいる。
【0012】
第1固定部13aは、ボルト16が挿入される複数のネジ穴、又は複数の貫通孔11eを含んでいる。複数の貫通孔11eは、例えば第1面11aから第2面11bに貫通されている。第2固定部13bは、第1固定部13aと点対称の位置に配置されている。換言すると、第1固定部13aと第2固定部13bは、第1構造体11の直径方向に180°離れて配置されている。第2固定部13bも第1固定部13aと同様に、複数のネジ穴、又は複数の貫通孔11eを含んでいる。
【0013】
図2は、第1構造体11を示している。
図1、
図2、
図4に示すように、第1構造体11は、第2面11bに例えば4つの突起11fを具備している。第1固定部13aに隣接する2つの突起11fは、第1固定部13aから一定距離離れた位置に配置され、第2固定部13bに隣接する2つの突起11fも、第2固定部13bから一定距離離れた位置に配置されている。具体的には、2つの突起11fは、第1固定部13aの中心からそれぞれ45°離れた位置に配置され、2つの突起11fは、第2固定部13bの中心からそれぞれ45°離れた位置に配置されている。このため、4つの突起11fは、互いに90°離れた位置に配置されている。
【0014】
図2、
図4に示すように、複数の突起11fは、センサ15を構成する第1電極15aをそれぞれ具備している。各第1電極15aは、各突起11fの先端部、すなわち、第1構造体11の第2面11bと平行する面に設けられている。しかし、これに限らず、各第1電極15aは、例えば各突起11fの側面、すなわち、第1構造体11の第2面11bと直交する面に設けてもよい。
【0015】
第1電極15aは、例えば導電性金属により形成され、図示せぬ絶縁性接着剤、又は絶縁シートを介して各突起11f上に接着される。突起11fに対する第1電極15aの取付け方法は、接着に限定されるものではなく、例えば蒸着やスパッタなどを用いることも可能である。
【0016】
図3は、起歪体12を示している。
図1、
図3、
図4に示すように、起歪体12は、環状の第3面12aと、第3面12aに平行な第4面12bと、第3面12aの外周と第4面12bの外周との間の第3側面12cと、第3面12aの内周と第4面12bの内周との間の第4側面12dと、を含んでいる。
【0017】
起歪体12は、第1構造体11の第1固定部13a及び第2固定部13bと対応する位置に、複数のネジ穴12eを有している。第1固定部13a及び第2固定部13bの複数の貫通孔又はネジ穴11eに挿入された複数のボルト16は、ネジ穴12eに螺合される。
【0018】
さらに、起歪体12は、第1構造体11の複数の突起11fと対応する位置に複数の変形部12fを具備している。第1固定部13aに隣接する2つの変形部12fは、第1固定部13aの中心からそれぞれ45°離れた位置に配置され、第2固定部13bに隣接する2つの変形部12fは、第2固定部13bの中心からそれぞれ45°離れた位置に配置される。このため、4つの変形部12fは、互いに90°離れた位置に配置される。
【0019】
図4に示すように、各変形部12fは、起歪体12の第3面12a側から第4面12b側に設けられた凹状の窪みであり、窪みの第3側面12c及び第4側面12dと対応する部分は、切り欠かれている。起歪体12の窪みの底部に対応する部分の厚みT1は、起歪体12の他の部分(例えば第1固定部13a、第2固定部13bに対応する部分)の厚みT2の例えば1/2より薄くされている(T1<T2/2)。このため、後述するように、起歪体12にトルクが印加された場合、印加されたトルクに応じて変形部12fが変形する。
【0020】
変形部12fの形状は、これに限定されるものではなく、
図4に破線Aで示すように、起歪体12の第4面12bに凹部12hを設けてもよい。凹部12hは、起歪体12の第4面12bで、第2電極15bに対応した位置に配置されている。具体的には、凹部12hは、起歪体12の第4面12b側から第3面12a側に向けて設けられた窪み又は溝である。起歪体12の第4面12bに凹部12hを設けることにより、変形部12fは印加されたトルクに応じて一層変形し易くなり、トルクの検出精度を向上させることが可能となる。
【0021】
変形部12fの形状は、さらに、
図4に破線Bで示すように、起歪体12の第4面12bに変形部12fに沿った凹部12iを設けてもよい。凹部12iを設けることにより、変形部12fの厚みを薄くすることができるため、変形部12fは印加されたトルクに応じて一層変形し易くなり、トルクの検出精度を向上させることが可能となる。
【0022】
図4に示す破線A及びBに示す変形例は、以下の実施形態にも適用することが可能である。
【0023】
各変形部12fの内側で、各変形部12fの例えば底部には、センサ15を構成する第2電極15bがそれぞれ配置されている。各第2電極15bは、第1電極15aと同様に導電性金属により形成され、図示せぬ絶縁性接着剤、又は絶縁シートを介して各変形部12fの底部上に接着される。しかし、第2電極15bは、第1電極15aと同様に別の方法で形成することも可能である。
【0024】
各第2電極15bが配置される位置は、各変形部12fの底部に限定されるものではなく、第1電極15aと対向することが可能であれば、変形部12fの内側面に設けることも可能である。
【0025】
第1構造体11の第2面11bに起歪体12の第3面12aを連結した場合、
図1、
図4に示すように、各変形部12fの内部に第1構造体11の複数の突起11fがそれぞれ挿入される。各突起11fの第1構造体11の第2面11bからの高さは、各変形部12fを構成する窪みの深さより低い。このため、突起11fに設けられた第1電極15aと変形部12fに設けられた第2電極15bとの間には、一定の間隔が設けられる。
【0026】
第1電極15aと第2電極15bは、キャパシタを構成し、このキャパシタの容量は、第1電極15aと第2電極15bとの距離及び/又は対向面積により変化する。このため、起歪体12にトルクが印加され、変形部12fが変形することにより、第1電極15aと第2電極15bとの距離及び/又は対向面積が変化して、キャパシタの容量が変化する。この容量の変化がトルクセンサ10に印加されたトルクとして検出される。
【0027】
図3、
図4に示すように、起歪体12は、第4面12bに第3固定部14aと第4固定部14bを具備している。第3固定部14a及び第4固定部14bは、複数の変形部12f以外の位置で、第1固定部13aと第2固定部13bに隣り合わない位置に配置されている。すなわち、第3固定部14a及び第4固定部14bの各中心は、第1固定部13a及び第2固定部13bの各中心から90°離れた位置に配置されている。
【0028】
第3固定部14aと第4固定部14bは、起歪体12の第4面12bに設けられた例えば複数のネジ穴12gである。これらネジ穴12gに、
図1、
図4に示すように、複数のボルト17が螺合される。
【0029】
図4に示すように、起歪体12の第3固定部14a及び第4固定部14bに対応する部分の厚みT3は、起歪体12の他の部分(例えば第1固定部13a、第2固定部13bに対応する部分)の厚みT2より僅かに薄くされている(T3<T2)。具体的には、起歪体12の第3面12aにおいて、第3固定部14a及び第4固定部14bに対応する部分が削られ、この部分の厚みT3が起歪体12の他の部分の厚みT2より僅かに薄くされている。
【0030】
上記構成において、第1構造体11の第2面11bに起歪体12の第3面12aが取り付けられる。このとき、起歪体12の第3面12aの第1固定部13aと第2固定部13bと対応する部分が第1構造体11の第2面11bに接触され、起歪体12の第3固定部14aと第4固定部14bと対応する第3面12aは、第1構造体11の第2面11bに接触されない。すなわち、第1構造体11の第2面11bと、起歪体12の第3固定部14aと第4固定部14bと対応する部分の間には、間隙GPが形成される。このため、第1構造体11と起歪体12との間の摩擦力が低減され、変形部12fの変形を促進できる。したがって、トルクセンサ10の感度を向上させることが可能である。
【0031】
さらに、第1構造体11の複数の突起11fは、起歪体12の複数の変形部12fの内部に挿入され、第1電極15aと第2電極15bが所定間隔を空けて対向され、第1電極15aと第2電極15bとにより、キャパシタが形成される。
【0032】
この状態において、第1固定部13aと第2固定部13bに複数のボルト16が装着され、第1構造体11と起歪体12は、複数のボルト16により固定される。
【0033】
トルクセンサ10を例えばロボットアームの関節に取り付ける場合、第1構造体11の第1面11aに例えばトルクの入力部(例えばモータの動力を伝達するシャフト)又は出力部(例えばアーム)の一方が固定される。具体的には、第1構造体11の第1固定部13aと第2固定部13bに、複数のボルト16を用いて、トルクの入力部又は出力部の一方が固定される。
【0034】
また、起歪体12の第4面12bに、例えばトルクの入力部又は出力部の他方が固定される。具体的には、起歪体12の第3固定部14aと第4固定部14bに複数のボルト17により、トルクの入力部又は出力部の他方が固定される。
【0035】
トルクセンサ10にトルクが印加された場合、第1構造体11と起歪体12が軸に対して時計回り又は反時計回りに相対的に変位される。このため、起歪体12の複数の変形部12fが変形し、第1電極15aと第2電極15bとの間の距離、又は第1電極15aと第2電極15bとの対向面積が変化する。したがって、第1電極15aと第2電極15bとにより構成されたキャパシタの容量が変化する。この容量の変化が電圧に変換され、4つのキャパシタに対応する4つの電圧の和及び差が演算されてトルクが検出される。
【0036】
図5は、トルク検出回路の一例を示している。キャパシタC1、C2、C3、C4は、それぞれ第1電極15aと第2電極15bとにより構成される。キャパシタC1、C2、C3、C4の位置は、例えば
図1に示す通りである。しかし、これに限定されるものではなく、後述する演算回路22の回路構成に応じて変形可能である。
【0037】
キャパシタC1、C2、C3、C4の第1電極15aと第2電極15bは、それぞれ容量を電圧に変換するC/V変換器21a、21b、21c、21dの入力端に接続される。C/V変換器21a、21b、21c、21dの出力端は、演算回路22に接続される。演算回路22は、C/V変換器21a、21b、21c、21dの出力電圧を演算し、トルクに対応する信号を出力する。
【0038】
第1実施形態において、キャパシタの数は4つであるが、突起11fと変形部12fの数を5つ以上に増加することも可能であり、演算回路22は、キャパシタの数に応じて変形可能である。
【0039】
(第1実施形態の効果)
上記第1実施形態によれば、環状の第1構造体11に設けられた複数の突起11fにそれぞれ第1電極15aを設け、第1構造体11に取り付けられる環状の起歪体12に複数の変形部12fを設け、各変形部12fの内側の底部に第1電極15aと対向する第2電極15bを配置している。起歪体12を第1構造体11に取付けた状態において、各突起11fは、各変形部12fの内部に挿入される。したがって、トルクセンサ10の軸方向の厚みは、第1構造体11の厚みと起歪体12の厚みの合計であり、第1構造体11の厚みと起歪体12の厚みを必要な強度に応じて適宜設定することにより、トルクセンサ10の厚みを薄くすることが可能である。
【0040】
また、起歪体12の第3固定部14aと第4固定部14bに対応する部分の厚みが起歪体12の他の部分の厚みより薄くされ、起歪体12の第3固定部14aと第4固定部14bに対応する第3面12aと第1構造体11の第2面11bとの間に間隙GPが形成されている。このため、第1構造体11と起歪体12との摩擦力を低減でき、トルクセンサ10の感度を向上させることが可能である。
【0041】
(第1実施形態の第1変形例)
図6は、第1実施形態の第1変形例を示している。第1実施形態において、第1構造体11は、複数の突起11fを具備していた。これに対して、第1変形例において、第1構造体11は、複数の突起11fを具備しておらず、起歪体12の変形部12fに対応する位置に、第1電極15aが設けられている。第1電極15aの取付け方法は、第1実施形態と同様である。
【0042】
起歪体12において、変形部12fとしての窪みの深さは、第1構造体11の第1電極15aと、変形部12fの内部且つ底部に配置される第2電極15bとの間の距離により規定される。すなわち、第1電極15aと第2電極15bとの間の距離が第1実施形態と同様である場合、変形部12fとしての窪みの深さを、第1実施形態に比べて浅くすることができる。このため、起歪体12の軸方向の厚みT4を第1実施形態における起歪体12の軸方向の厚みT2に比べて薄くすることができる(T4<T2)。
【0043】
第1変形例においても、第1実施形態と同様に、
図6に示すA、Bの変形が可能である。
【0044】
(第1変形例の効果)
上記第1変形例によれば、複数のキャパシタを構成する複数の第1電極15aは、第1構造体11の第2面11bの表面上で、起歪体12の複数の変形部12fと対応する位置にそれぞれ配置されている。このため、第1実施形態のように、第1構造体11は、複数の突起11fを具備しないため、起歪体12の変形部12fの深さを浅くすることができる。したがって、起歪体12自体の厚みを薄くすることができるため、第1実施形態に比べて、トルクセンサ10の軸方向のトータルの厚みを低減することが可能である。
【0045】
(第1実施形態の第2変形例)
図7、
図8は、第1実施形態の第2変形例を示している。第1変形例のように、起歪体12の厚みを薄くした場合、起歪体12の剛性が低下する可能性がある。
【0046】
第2変形例は、第1変形例に関連し、起歪体12を補強するため、環状の第2構造体31が起歪体12に取付けられる。第2構造体31は、例えば第1構造体11や起歪体12と同一の材料により構成され、起歪体12と同一の外径及び内径を有している。第2構造体31は、起歪体12の第3固定部14a及び第4固定部14bと対応する位置に複数の貫通孔又はネジ穴31aを有している。
【0047】
図8に示すように、これら貫通孔又はネジ穴31aに複数のボルト17が挿入され、起歪体12の複数のネジ穴12gに螺合される。このようにして、複数のボルト17により第2構造体31が起歪体12の第4面12bに固定される。
【0048】
尚、第2構造体31は、第1変形例に適用したが、第1実施形態に適用することも可能である。この場合、第2構造体31の厚みを第2変形例に示す場合より薄くすることも可能である。
【0049】
(第2変形例の効果)
上記第2変形例によれば、起歪体12の第4面12bに第2構造体31を取付けている。このため、起歪体12の厚みが薄い場合においても、起歪体12の剛性を向上させることが可能である。しかも、第2構造体31の厚みは、第1構造体11の厚みより薄くてよい。このため、トルクセンサ10のトータルの厚みを第1実施形態と同等とすることが可能であり、厚みの増加を抑制することが可能である。
【0050】
(第2実施形態)
図9乃至
図12は、第2実施形態を示している。
【0051】
第1実施形態において、起歪体12は、第1構造体11の第2面11bに固定された。これに対して、第2実施形態において、起歪体12は、第1構造体11の内側で、第1構造体11と同心状に配置される。
【0052】
図9乃至
図12に示すように、トルクセンサ10は、第1構造体41と、起歪体42と、第1固定部43aと、第2固定部43bと、第3固定部44aと、第4固定部44bと、複数のセンサ45などを具備している。第1固定部43aと第2固定部43bは、複数のボルト46を含み、第3固定部44aと第4固定部44bは、複数のボルト47を含んでいる。
【0053】
図9に示すように、第1構造体41と起歪体42は、環状に形成されている。起歪体42の外径は、第1構造体41の内径より小さく、起歪体42は、第1構造体の内側に、第1構造体41と同心状に配置される。第1構造体41と起歪体42の材料は、第1実施形態と同様である。
【0054】
図9、
図10、
図12に示すように、第1構造体41は、環状の第1面41aと、第1面41aに平行な第2面41bと、第1面41aの外周と第2面41bの外周との間の第1側面41cと、第1面41aの内周と第2面41bの内周との間の第2側面41dを含んでいる。
【0055】
図10は、第1構造体41を示している。第1構造体41において、第1固定部43aと第2固定部43bの位置は、第1実施形態と同様である。第1固定部43aと第2固定部43bは、それぞれ例えば3つのネジ穴41eを具備している。3つのネジ穴41eのうち、2つのネジ穴41eは、第1構造体41の第1面41aから第2面41bに貫通され、残りの1つのネジ穴41eは、第1側面41cから第2側面41dに貫通されている。第1側面41cから第2側面41dに貫通された2つのネジ穴41eは、第1構造体41の直径上に配置されている。起歪体42は、後述するように、第1側面41cから第2側面41dに貫通された2つのネジ穴41eに螺合される2つのボルト46により、第1構造体41に固定される。
【0056】
第1構造体41の第2側面41dには、半径方向に沿って4つの突起41fが設けられている。第1固定部43aと第2固定部43bに対するこれら突起41fの位置は、第1実施形態と同様である。すなわち、第1固定部43aと第2固定部43bにそれぞれ隣接する2つの突起41fは、第1固定部43aと第2固定部43bの中心に配置されたネジ穴41eの位置からそれぞれ45°離れた位置に配置されている。このため、4つの突起41fは、互いに90°離れている。
【0057】
各突起41fにおいて、第1構造体41の第2面41bと平行する面には、第1電極45aが設けられている。第1電極45aの材料、及び、突起41fに対する取着方法は、第1実施形態と同様である。
【0058】
図9、
図11、
図12に示すように、起歪体42は、環状の第3面42aと、第3面42aに平行な第4面42bと、第3面42aの外周と第4面42bの外周との間の第3側面42cと、第3面42aの内周と第4面42bの内周との間の第4側面42dを含んでいる。
【0059】
図11は、起歪体42を示している。起歪体42は、第1構造体41の第1固定部43a及び第2固定部43bと対応する位置に、2つのネジ穴42eを有している。2つのネジ穴42eは、起歪体42の第3側面42cから第4側面42dに向かって設けられている。起歪体42は、第1構造体41の第1側面41cのネジ穴41eに挿入されたボルト46が、起歪体42の第3側面42cに設けられたネジ穴42eに螺合されることにより、第1構造体41に固定される。
【0060】
さらに、起歪体42は、複数の変形部42fを具備している。複数の変形部42fは、第1構造体41の複数の突起41fと対応する位置に配置されている。ネジ穴42eに隣接する2つの変形部42fは、ネジ穴42eの中心からそれぞれ45°離れた位置に配置される。このため、4つの変形部42fは、互いに90°離れた位置に配置されている。
【0061】
図12に示すように、各変形部42fは、起歪体12の第3面42a側から第4面42b側に設けられた凹状の窪みであり、窪みの第3側面42c及び第4側面42dと対応する部分は、切り欠かれている。第1実施形態と同様に、起歪体12の窪みの底部に対応する部分の厚みは、起歪体42の他の部分の厚みより薄くされている。このため、後述するように、起歪体42にトルクが印加された場合、印加されたトルクに応じて変形部42fが変形する。
【0062】
変形部42fの形状は、これに限定されるものではない。
図12に破線Aで示すように、第1実施形態と同様に、起歪体42の第4面42bで、第2電極45bに対応する位置に凹部42hを設けてもよい。
【0063】
さらに、
図12に破線Bで示すように、第4面42bに変形部42fに沿った凹部42iを設けてもよい。
【0064】
各変形部42fの内側で、各変形部42fの底部には、センサ45を構成する第2電極45bがそれぞれ配置されている。各第2電極45bは、第1電極45aと同様に導電性金属により形成され、図示せぬ絶縁性接着剤、又は絶縁シートを介して各変形部42fの底部上に接着されている。
【0065】
第1構造体41と起歪体42を連結した場合、
図9、
図12に示すように、各変形部42fの内部に第1構造体41の複数の突起41fがそれぞれ挿入される。各突起41fの第1構造体41の第1面41aからの高さは、各変形部42fの窪みの深さより低い。このため、突起41fに設けられた第1電極45aと変形部42fに設けられた第2電極45bとの間には、一定の間隔が設けられる。
【0066】
第1電極45aと第2電極45bは、キャパシタを構成し、このキャパシタの容量は、第1電極45aと第2電極45bとの距離及び/又は対向面積により変化する。このため、起歪体42にトルクが印加され、変形部42fが変形することにより、第1電極45aと第2電極45bとの距離及び/又は対向面積が変化して、キャパシタの容量が変化する。この容量の変化がトルクセンサ10に印加されたトルクとして検出される。
【0067】
図9、
図11、
図12に示すように、起歪体42は、第3固定部44aと第4固定部44bを具備している。第3固定部44a及び第4固定部44bは、複数の変形部42f以外の位置で、第1固定部43aと第2固定部43bに隣り合わない位置に配置されている。すなわち、第3固定部44a及び第4固定部44bの各中心は、第1固定部43a及び第2固定部43bの各中心から90°離れた位置に配置されている。
【0068】
第3固定部44aと第4固定部44bは、起歪体42の第4面42bに例えば複数のネジ穴42gを有している。これらネジ穴42gに、
図9、
図12に示すように、複数のボルト47が螺合される。
【0069】
上記構成において、第1構造体41の第2側面41dに起歪体12の第3側面42cが取り付けられる。このとき、
図9に示すように、起歪体42の第3側面42cの第1固定部43aと第2固定部43bと対応する部分が第1構造体41の第2側面41dに接触される。一方、起歪体42の第3側面42cにおいて、第3固定部44aと第4固定部44bと対応する部分は、第1構造体41の第2側面41dに接触されない。すなわち、第1構造体41の第2側面41dと、起歪体42の第3固定部44aと第4固定部44bに対応する第3側面42cとの間には、間隙GPが形成される。このため、第1構造体41と起歪体42との間の摩擦力が低減され、複数の変形部42fの変形を促進できる。したがって、トルクセンサ10の感度を向上させることが可能である。
【0070】
さらに、第1構造体41の複数の突起41fは、起歪体42の複数の変形部42fの内部に挿入され、第1電極45aと第2電極45bが所定間隔を空けて対向され、第1電極45aと第2電極45bとにより、キャパシタが形成される。
【0071】
この状態において、第1固定部43aと第2固定部43bに複数のボルト46が装着され、第1構造体41と起歪体42は、複数のボルト46により固定される。
【0072】
トルクセンサ10を例えばロボットアームの関節に取り付ける場合、第1構造体41の第1面41aに例えばトルクの入力部(例えばモータの動力を伝達するシャフト)又は出力部(例えばアーム)の一方が固定される。具体的には、第1構造体41の第1固定部43aと第2固定部43bに、複数のボルト46を用いて、トルクの入力部又は出力部の一方が固定される。
【0073】
また、起歪体42の第4面42bに、例えばトルクの入力部又は出力部の他方が固定される。具体的には、起歪体42の第3固定部44aと第4固定部44bと対応する位置に複数のボルト47により、トルクの入力部又は出力部の他方が固定される。
【0074】
トルクセンサ10にトルクが印加された場合、第1構造体41と起歪体42が軸に対して時計回り又は反時計回りに相対的に変位される。このため、起歪体42の複数の変形部42fが変形し、第1電極45aと第2電極45bとの間の距離及び/又は対向面積が変化する。したがって、第1電極45aと第2電極45bとにより構成されたキャパシタの容量が変化する。この容量の変化が電圧に変換され、4つのキャパシタに対応する4つの電圧の和及び差が演算されてトルクが検出される。トルク検出回路は、第1実施形態と同様である。
【0075】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。しかも、第2実施形態の場合、起歪体42は第1構造体41の内側に同心状に配置されている。このため、トルクセンサ10の厚みは、第1構造体41又は起歪体42の単体の厚みと等しい。したがって、トルクセンサ10のトータルの厚みを第1実施形態より一層薄くすることが可能である。
【0076】
(第2実施形態の変形例)
図13乃至
図17は、第2実施形態に係るトルクセンサの変形例を示している。
【0077】
第2実施形態において、第1構造体41の内側に起歪体42が同心状に配置され、センサ45は、第1構造体41に設けられた複数の突起41fと第1電極45aと、起歪体42の複数の変形部42fに設けられた第2電極15bとにより構成されていた。
【0078】
これに対して、第2実施形態の変形例は、
図13に示すように、第1構造体41及び起歪体42に対して同心状に配置された第2構造体51をさらに具備している。第1構造体41は、複数の突起41fと第1電極45aを持たず、第2構造体51は、後述するように、起歪体42の複数の変形部42fに対応した位置に複数の突起51fと第1電極52を具備している。
【0079】
具体的には、
図14に示すように、第1構造体41は、複数の突起41fと第1電極45aを持たず、第1固定部43aと第2固定部43bを具備している。
【0080】
図15に示すように、起歪体42の構成は、第2実施形態とほぼ同様であり、さらに、第3固定部44aと第4固定部44bに対応する位置に2つのネジ穴42jが設けられている。各ネジ穴42jは、起歪体42の第4側面42dから第3側面42c側に向けて設けられている。ネジ穴42jは、第1固定部43aと第2固定部43bに対応して設けられた2つのネジ穴42eに対して、90°離れた位置に配置されている。
【0081】
図16は、第2構造体51を示している。第2構造体51は、環状の第5面51a(
図17に示す)と、第5面51aと平行で環状の第6面51bと、第5面51aの外周と第6面51bの外周との間の第5側面51cと、第5面51aの内周と第6面51bの内周との間の第6側面51dと、を具備している。第2構造体51は、第1構造体41や起歪体42と同一の材料により構成されている。第5面51aの外径は、起歪体42の内径より僅かに小さい。
【0082】
さらに、第2構造体51は、起歪体42の複数の変形部42fと対応する位置に配置された複数の突起51fを具備している。具体的には、複数の突起51fは、第2構造体51の第5側面51cから放射状に配置されている。
【0083】
各突起51fにおいて、起歪体42の各変形部42fに設けられた第2電極45bと対応する面に第1電極45aが設けられている。具体的には、各第1電極45aは、第2構造体51の第6面51b側に設けられている。第1電極45aの取着方法は、第1実施形態と同様である。
【0084】
また、第2構造体51において、起歪体42の2つのネジ穴42jと対応する位置に2つのネジ穴51hが設けられている。2つのネジ穴51hは、第2構造体51の第6側面51dから第5側面51cに貫通されている。
【0085】
さらに、第2構造体51において、第3固定部44aと第4固定部44bと対応する位置にそれぞれ2つのネジ穴51gが設けられている。これら4つのネジ穴51gは、第2構造体51の第6面51bに設けられている。
【0086】
図13に示すように、第1構造体41の内側に起歪体42が配置された状態において、第1構造体41の第1固定部43aと第2固定部43bに対応する第1側面41c側からボルト46がそれぞれ挿入され、2つのボルト46により、起歪体42が第1構造体41の第1固定部43aと第2固定部43bに固定される。この状態において、第3固定部44aと第4固定部44bに対応する第1構造体41と起歪体42との間に僅かな間隙GPが形成される。
【0087】
さらに、起歪体42の内側に第2構造体51が配置された状態において、第2構造体51の第3固定部44aと第4固定部44bに対応する第6側面51d側からボルト48がそれぞれ挿入され、2つのボルト48により、第3固定部44aと第4固定部44bと対応する位置において、第2構造体51が起歪体42に固定される。この状態において、第1固定部43aと第2固定部43bに対応する第2構造体51と起歪体42との間に僅かな間隙GPが形成される。
【0088】
トルクセンサ10をロボットアームに取付ける場合、第1構造体41の第1固定部43aと第2固定部43bが複数のボルト46によりトルクの入力部と出力部の一方に固定される。すなわち、第1構造体41の第1面41aがトルクの入力部と出力部の一方に固定される。さらに、第2構造体51の第3固定部44aと第4固定部44bに複数のボルト47により、トルクの入力部と出力部の他方に固定される。すなわち、第2構造体51の第6面51bに複数のボルト47により、トルクの入力部と出力部の他方に固定される。
【0089】
この状態において、トルクセンサ10にトルクが印加されると、第1構造体41と第2構造体51が軸に対して時計回り又は反時計回りに相対的に変位される。このため、起歪体42の各変形部42fが変形し、各突起51fと各変形部42fとの位置が変化する。これに伴い、第1電極45aと第2電極45bとの間の距離及び/又は対向面積が変化する。したがって、第1電極15aと第2電極15bとにより構成されたキャパシタの容量が変化する。この容量の変化が電圧に変換され、4つのキャパシタに対応する4つの電圧の和及び差が演算されてトルクが検出される。トルク検出回路は、第1実施形態と同様である。
【0090】
変形部42fの形状は、これに限定されるものではない。
図17に破線Aで示すように、第1実施形態と同様に、起歪体42の第4面42bで、第2電極45bに対応する位置に凹部42hを設けてもよい。
【0091】
さらに、
図17に破線Bで示すように、第4面42bに変形部42fに沿った凹部42iを設けてもよい。
【0092】
(第2実施形態の変形例の効果)
上記変形例によっても第2実施形態と同様の効果を得ることが可能である。しかも、変形例の場合、起歪体42の内側に第2構造体51を設け、第1構造体41と第2構造体51とにより、起歪体42にトルクを印加している。したがって、起歪体42の各変形部42fに均等にトルクを印加することが可能であるため、各センサ45の感度を均等とすることができ、トルクの検出精度を向上させることが可能である。
【0093】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
11、41…第1構造体、11a、41a…第1面、11b、41b…第2面、11c、41c…第1側面、11d、41d…第2側面、12、42…起歪体、12a、42a…第3面、12b、42b…第4面、11f、41f…突起、12c、42c…第3側面、12d、42d…第4側面、13a、13b、43a、43b…第1固定部、14a、14b、44a、44b…第2固定部、15、45…センサ、15a、45a…第1電極、15b、45b…第2電極、31、51…第2構造体、51a…第5面、51b…第6面、51c…第5側面、51d…第6側面、51f…突起。