(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034610
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】管理システムおよび無線タグ集合体
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20230306BHJP
G06Q 10/087 20230101ALI20230306BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20230306BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20230306BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230306BHJP
H04W 4/35 20180101ALI20230306BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20230306BHJP
B65G 1/137 20060101ALN20230306BHJP
【FI】
G06K19/07 240
G06Q10/08 330
H04B1/59
H04B5/02
G06K19/07 090
G06K19/07 040
G06K7/10 264
H04W4/35
H04W84/10 110
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140930
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】尾形 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平間 美香
【テーマコード(参考)】
3F522
5K012
5K067
5L049
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE13
3F522GG03
3F522GG17
3F522LL36
5K012AB01
5K012AB11
5K012AC12
5K012AD01
5K012AE02
5K012BA03
5K067AA34
5K067AA44
5K067BB27
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE35
5K067LL01
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】 各無線タグ毎に複数の商品の個数の変化を認識可能な管理システムおよび無線タグ集合体を提供すること。
【解決手段】 制御装置Ctと、複数の照明装置Lと、複数の商品Gdが載置される棚Sbに配置された複数の無線タグWtと、を備える管理システムA1であって、制御装置Ctと複数の照明装置Lとは、第1無線電波を用いた第1無線通信ネットワークCn1を構成し、照明装置Lは、第2無線電波を出力し、無線タグWtは、第2無線電波を受信した際の発電によって得られた電力を利用して、第1無線電波または第3無線電波を送信し、制御装置Ctは、載置された商品Gdの個数と相関する複数の無線タグWt毎の商品状況データとして、第1無線電波または第3無線電波の照明装置Lによる受信強度に基づく測定データを外部のクラウドCLに送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、
複数の中継ユニットと、
複数の商品が載置される棚に配置された複数の無線タグと、を備える管理システムであって、
前記制御装置と複数の前記中継ユニットとは、第1無線電波を用いた無線通信ネットワークを構成し、
前記中継ユニットは、前記第1無線電波とは別に第2無線電波を出力し、
前記無線タグは、前記第2無線電波を受信した際の発電によって得られた電力を利用して、前記第1無線電波または前記第1無線電波および前記第2無線電波とは異なる第3無線電波を送信し、
前記制御装置は、載置された前記商品の個数と相関する複数の前記無線タグ毎の商品状況データとして、前記第1無線電波または前記第3無線電波の前記中継ユニットによる受信強度に基づく測定データを外部のサーバに送信する、管理システム。
【請求項2】
前記無線タグは、無線通信部、無線タグ側制御部、無線タグ側記憶部および自己発電部を有し、
前記自己発電部は、
電波を受信するアンテナ部を有し、且つ前記アンテナ部による電波受信によって生じる電磁誘導により発電し、または、光電変換機能を有する受光部を有し、且つ前記受光部の受光により発電し、
前記無線タグ側制御部は、前記自己電源部の発電による電力を用いて、前記無線タグ側記憶部に記憶された前記無線タグ情報を、前記無線通信部から前記第2無線電波によって送信し、
前記無線タグ側制御部は、載置された前記商品の個数と相関する複数の前記無線タグ毎の商品状況データとして、前記自己発電部の発電電力に応じて、前記第1無線電波または前記第3無線電波の送信頻度を設定する、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記制御装置と通信するサーバを備えており、
前記サーバは、サーバ側通信部、サーバ側記憶部およびサーバ側制御部を有し、
前記サーバ側通信部は、複数の前記無線タグ毎の前記商品状況データを受信し、
前記サーバ側制御部は、前記商品状況データを前記サーバ側記憶部に記憶させ、前記サーバ側記憶部に記憶された時系列の前記商品状況データの集計結果に基づいて、前記商品の発注点を設定する、請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の管理システムに用いられる複数の前記無線タグと、
複数の前記無線タグを支持する支持シートと、
を備える無線タグ集合体であって、
前記支持シートの表面に、複数の前記無線タグが配置され、
前記支持シートの裏面には、接合層が設けられており、
前記支持シートには、隣り合う前記無線タグ同士を区画する切断予定線が形成されている、無線タグ集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システムおよび無線タグ集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグは、無線通信によって自己の無線タグ情報を送信するデバイスとして普及している。特許文献1には、商品棚に配置された複数の無線タグ(RFIDタグ)を用いて商品の管理を行う管理システムが開示されている。RFIDタグ上に載置された商品が取り出されると、RFIDタグとアンテナ間での無線送受信が行われる。これにより、商品が取り出されたことが認識される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1つのRFIDタグ上に載置された1つの商品の有無は認識できるものの、1つのRFIDタグ上に複数の商品が積み重ねて載置された場合には、そのうちの1つの商品が取り出されたことは、認識できない。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、各無線タグ毎に複数の商品の個数の変化を認識可能な管理システムおよび無線タグ集合体を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される管理システムは、制御装置と、複数の中継ユニットと、複数の商品が載置される棚に配置された複数の無線タグと、を備える管理システムであって、前記制御装置と複数の前記中継ユニットとは、第1無線電波を用いた無線通信ネットワークを構成し、前記中継ユニットは、前記第1無線電波とは異なる第2無線電波を出力し、前記無線タグは、前記第2無線電波を受信した際の発電によって得られた電力を利用して、前記第1無線電波または前記第1無線電波および前記第2無線電波とは別に第3無線電波を送信し、前記制御装置は、載置された前記商品の個数と相関する複数の前記無線タグ毎の商品状況データとして、前記第1無線電波または前記第3無線電波の前記中継ユニットによる受信強度に基づく測定データを外部のサーバに送信する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無線タグは、無線通信部、無線タグ側制御部、無線タグ側記憶部および自己発電部を有し、前記自己発電部は、電波を受信するアンテナ部を有し、且つ前記アンテナ部による電波受信によって生じる電磁誘導により発電し、または、光電変換機能を有する受光部を有し、且つ前記受光部の受光により発電し、前記無線タグ側制御部は、前記自己電源部の発電による電力を用いて、前記無線タグ側記憶部に記憶された前記無線タグ情報を、前記無線通信部から前記第2無線電波によって送信し、前記無線タグ側制御部は、載置された前記商品の個数と相関する複数の前記無線タグ毎の商品状況データとして、前記自己発電部の発電電力に応じて、前記第1無線電波または前記第3無線電波の送信頻度を設定する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置と通信するサーバを備えており、前記サーバは、サーバ側通信部、サーバ側記憶部およびサーバ側制御部を有し、前記サーバ側通信部は、複数の前記無線タグ毎の前記商品状況データを受信し、前記サーバ側制御部は、前記商品状況データを前記サーバ側記憶部に記憶させ、前記サーバ側記憶部に記憶された時系列の前記商品状況データの集計結果に基づいて、前記商品の発注点を設定する。
【0009】
本発明の第2の側面によって提供される無線タグ集合体は、本発明の第1の側面によって提供される管理システムに用いられる複数の前記無線タグと、複数の前記無線タグを支持する支持シートと、を備える無線タグ集合体であって、前記支持シートの表面に、複数の前記無線タグが配置され、前記支持シートの裏面には、接合層が設けられており、前記支持シートには、隣り合う前記無線タグ同士を区画する切断予定線が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各無線タグ毎に複数の商品の個数の変化を認識することができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る管理システムを示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る管理システムの照明装置を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る管理システムの無線タグを示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る管理システムの制御装置を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る管理システムの設定装置を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る管理システムのシーケンスダイアグラムである。
【
図7】(a),(b)は、本発明の第1実施形態に係る管理システムの商品の載置状況を示す概略図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る管理システムのフローチャートである。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る管理システムを示す概略図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る管理システムの無線タグを示すブロック図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る管理システムのフローチャートである。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る管理システムを示すシステム構成図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る管理システムのサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図14】本発明の第4実施形態に係る管理システムのフローチャートである。
【
図15】(a)~(c)は、本発明の第4実施形態に係る管理システムの発注処理を示す図である。
【
図16】(a)~(c)は、本発明の第4実施形態に係る管理システムの発注処理を示す図である。
【
図17】本発明に係る無線タグ集合体の一例を示す(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【
図18】本発明に係る無線タグ集合体の一例の製造工程を示す斜視図である。
【
図19】(a),(b)は、本発明に係る無線タグ集合体の使用例を示す平面図である。
【
図20】管理システムの参考例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0015】
図1~
図8は、本発明の第1実施形態に係る管理システムを示している。
図1に示すように、本実施形態の管理システムA1は、複数の照明装置L、制御装置Ctおよび複数の無線タグWtを備える。また、管理システムA1は、これらの構成要素に加えて、設定装置Md、クラウドCLおよび時計ユニットUtを備えている。なお、管理システムA1は、設定装置Md、クラウドCLおよび時計ユニットUtのすべて、またはいずれかを備えていない構成であってもよい。管理システムA1は、複数の無線タグWtを用いた商品の管理を行うシステムである。
【0016】
〔照明装置L(中継ユニット)〕
照明装置Lは、本発明における中継ユニットの具体例である。中継ユニットの具体例としては、照明装置Lに限定されない。たとえば、以降に説明する照明装置Lから光源部11を除いた専用の構成の中継ユニットを用いてもよい。
【0017】
複数の照明装置Lは、たとえば屋内の照明に用いられ、天井、壁面、床面等の種々の箇所に設置される。また、照明装置Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明装置Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。以降の説明においては、照明装置Lの一般的な構成を述べる場合に照明装置Lと称するとともに、複数の照明装置Lを区別する場合に照明装置L1、・・・照明装置Ln等の符号を適宜用いる場合がある。
図1における複数の照明装置L1~Lnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成、異なる形態であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明装置L1~Lnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0018】
図2は、照明装置Lのブロック図である。照明装置Lは、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15を備える。
【0019】
光源部11は、照明装置Lにおいて発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明装置Lは、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0020】
制御部12は、制御装置Ctからの制御信号等に基づいて、照明装置Lの各部を制御するためのものである。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。なお、記憶部13は、照明装置Lの筐体(図示略)に内蔵されるものに限定されず、照明装置Lの筐体の外部に着脱可能に設けられるものであってもよい。
【0021】
無線通信モジュール14は、制御装置Ctおよび通信ネットワークを構成する他の照明装置Lと、複数の無線タグWtの少なくともいずれかと無線通信を行うための通信部であり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信モジュール14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、これに限定されない。本実施形態の無線通信モジュール14は、第1無線通信部141および第2無線通信部142を有する。
【0022】
無線通信モジュール14の機能を例示すると、制御装置Ctからのデータを受信し、受信したデータに含まれる信号(たとえば指定信号)を制御部12に送信する。また、データを受信したことを示すアクノリッジ信号を制御装置Ctに送信する。また、照明装置Lの動作状況を示すステータス情報信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0023】
本実施形態においては、複数の照明装置Lの各々が有する固有の照明装置ID等の識別情報が、無線通信モジュール14に記憶されている。識別情報の具体例は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスや位置情報である。なお、照明装置IDは、第1無線通信部141および第2無線通信部142のいずれか、もしくはこれら以外の無線通信モジュール14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。無線通信モジュール14は、受信した信号のうち、自装置の照明装置ID(識別情報)に対する信号であると認識した場合に、当該信号を制御部12に伝達する。
【0024】
第1無線通信部141は、第1無線電波を用いて、制御装置Ctおよび他の照明装置Lと無線通信を行う。また、第1無線通信部141は、第1無線電波または第1無線電波とは別の第3無線電波を用いて、無線タグWtと無線通信を行う。以降の説明においては、第1無線通信部141が第3無線電波を用いて無線タグWtと無線通信を行う場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。
【0025】
第1無線電波を用いた無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第1プロトコルを用いた無線通信として説明する。第1プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえば920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第1プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。第3無線電波を用いた無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第3プロトコルを用いた無線通信として説明する。第3プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえば920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第3プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。なお、第1無線通信部141は、1つのユニットによって構成され、第1無線電波と第3無線電波とを、時分割方式で送受信してもよい。あるいは、第1無線通信部141は、2つのユニットによって構成され、これらのユニットを切り替えることにより、第1無線電波による無線通信と第3無線電波による無線通信とを切り替えてもよい。
【0026】
本実施形態においては、第1無線通信部141を有する複数の照明装置Lと制御装置Ctとが、たとえば2.4GHz帯の第1無線電波を用いた独自プロトコルにより、
図1に示すメッシュネットワークである第1無線通信ネットワークCn1を構築している。第1プロトコルは、後述のように複数の照明装置L間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。
【0027】
なお、本実施形態においては、制御装置Ctは、第1無線通信ネットワークCn1のルートノード(root node)である。複数の照明装置Lのいずれかは、GM(ゲートモジュール)として機能してもよい。ゲートモジュールは、クラスタのルートノードであり、制御装置Ctに接続する。このとき、ゲートモジュールは、他のゲートモジュールとともにメッシュネットワークを構築し、制御装置Ctに通信接続する。ゲートモジュールは、他のゲートモジュールや制御装置Ctとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。同様に、照明装置Lも他の照明装置Lまたはゲートモジュールとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。通常の照明装置Lもゲートモジュールとして機能する照明装置Lも、ハードウェア構成は同じである。照明装置Lが搭載するソフトウエアを異なるようにするか、モード切替によって通常の照明装置Lとして動作するか、ゲートモジュールとして動作するかを切り替えてもよい。
【0028】
第3無線電波を用いた無線通信は、たとえば無線タグWtが、当該無線タグWtの無線タグ情報を送信するために用いられ、第1無線通信部141は、無線タグWtからの第3無線電波を受信する。
【0029】
第2無線通信部142は、第2無線電波を出力するためのものである。第2無線電波は、第1無線電波および第3無線電波と異なる無線電波であり、周波数帯やプロトコルが互いに異なる。また、第1無線電波と第2無線電波の周波数帯や送信プロトコルを同じものを採用し、電力が異なるように設定するようにしても良い。異なる電力の第1無線電波と第2無線電波を利用することでも、照明装置L等の中継ユニットは、第1無線電波を用いた第1無線通信ネットワークCn1を構成し、第1無線電波とは別に第2無線電波を出力することといえる。第2無線電波を用いた第2無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第2プロトコルを用いた無線通信として説明する。第2プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえば920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。第2プロトコルとしては、たとえば近距離に位置する無線タグWtと無線通信を行うことを意図した場合に、たとえば、Bluetooth(登録商標)が選択される。
【0030】
また、第1無線通信部141および第2無線通信部142のいずれかまたは双方は、パケット通信を用いたビーコン信号を送信してもよい。ビーコン信号は、所定間隔毎に送信される。ビーコン信号の送信間隔は、たとえば制御装置Ctからの設定信号等によって設定され、たとえば、100~500msである。出力間隔を長くすることで、電力消費を抑えることができる。
【0031】
ビーコン信号は、照明装置Lの自器具の識別情報(照明装置ID)を含んでいてもよい。また、ビーコン信号は、タイムスタンプを含んでいてもよい。この識別情報は、照明装置Lの位置を直接示す位置情報であってもよいし、MACアドレス等であってもよい。
【0032】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信モジュール14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0033】
〔無線タグWt〕
無線タグWtは、本実施形態の管理システムA1にの管理処理に用いられるデバイスである。
図3は、無線タグWtのブロック図である。本実施形の無線タグWtは、制御部42、記憶部43、無線通信部44および自己発電部45を備える。なお、無線タグWtの具体的構成は何ら限定されず、チップ状の専用のタグデバイスとして構成されていてもよい。あるいは、粘着層を有する樹脂シート等に支持された構成であってもよい。本実施形態の無線タグWtは、
図1に示すように、商品棚Sfの棚Sbに配置される。
【0034】
以降の説明においては、無線タグWtの一般的な構成を述べる場合に無線タグWtと称するとともに、複数の無線タグWtを区別する場合に無線タグWt1、・・・、無線タグWtm等の符号を適宜用いる場合がある。複数の無線タグWt1~Wtmは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の無線タグWt1~Wtmが同一の構成である場合を例に説明する。また、複数の無線タグWt1~Wtmが、商品棚Sfの複数の棚Sb1~棚Sbmに個別に配置されている。
【0035】
制御部42は、無線タグWtの各部を制御するためのものである。制御部42は、本発明における無線タグ側制御部に相当する。制御部42の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部43は、制御部42の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。記憶部43は、本発明における無線タグ側記憶部に相当する。本実施形態においては、記憶部43には、無線タグWt毎に固有の無線タグ情報が記憶されている。無線タグ情報の具体例は何ら限定されず、たとえばタグIDであってもよい。
【0036】
無線通信部44は、照明装置Lと上述した第1無線電波(第1プロトコル)を用いた無線通信、または第3無線電波(第3プロトコル)を用いた無線通信を行うためのものである。
【0037】
自己発電部45は、制御部42および無線通信部44等に動作に必要な電力を供給するためのものである。自己発電部45は、外部から得たエネルギーを電力に変換する自己発電機能を果たす。自己発電部45の自己発電の方式は、何ら限定されない。本実施形態においては、自己発電部45は、アンテナ部451を有している。自己発電部45は、第2無線電波をアンテナ部451によって受信すると、受信によって生じる誘導電流を利用して発電を行う。誘導電流の起電のための無線電波の電力は、5dBm以上が好ましく、更に10dBm以上の無線電波を受信することにより無線タグWtの各部を制御することが十分な誘導電流を起電することができる。自己発電部45が自己発電した電力は、制御部42および無線通信部44等に供給される。
【0038】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の中継ユニット(照明装置L)および複数の無線タグWtを用いた管理制御や、複数の照明装置L1~Lnの点灯制御を行うものである。制御装置Ctは、本実施形態の場合には、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)が設置されている部屋と同じ部屋に設置されていてもよいし、同じ建物の別の部屋や別のフロアに設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、管理システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよく、他の構成において複数の制御装置Ctを備えていてもよい。
【0039】
図4は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0040】
表示部21は、後述する管理システムA1の管理処理においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0041】
制御部22は、複数の中継ユニット(照明装置L)および複数の無線タグWtを用いた管理制御や、複数の照明装置L1~Lnの点灯制御を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、対象とする中継ユニット(照明装置L)へ制御データを送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0042】
無線通信部24は、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)の無線通信モジュール14の第1無線通信部141と無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1プロトコルを用いた無線通信である。
図1に示す例においては、制御装置Ctは、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とともに第1無線通信ネットワークCn1を構成する。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)への制御データを第1無線通信ネットワークCn1を介して送信する。なお、制御装置Ctは、無線通信部24に加えて、インターネットに接続する有線または無線の通信回路を有していてもよい。
【0043】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0044】
制御装置Ctは、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)の照明装置ID等の識別情報や複数の無線タグWtの無線タグ情報を保有しており、これらがたとえば記憶部23に記憶されている。制御装置Ctが保有する識別情報は、たとえば照明装置Lが保有する照明装置IDとしてのMACアドレスや無線タグWtが保有するタグIDまたは識別アドレスであってもよい。
【0045】
〔設定装置Md〕
設定装置Mdは、管理システムA1における複数の中継ユニットの識別アドレスおよび動作条件の設定を行うための装置である。設定装置Mdの具体的構成は何ら限定されない。設定装置Mdの具体的構成は、何ら限定されず、たとえば、デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末等が挙げられる。
【0046】
図5に示すように、本実施形態の設定装置Mdは、表示部51、制御部52、記憶部53、無線通信部54、電源部55および操作部58を備える。
【0047】
表示部51は、設定装置Mdの操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部51は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。
【0048】
無線通信部54は、複数の中継ユニットおよび制御装置Ctと無線通信する機能を果たす。無線通信部54は、たとえば後述の識別信号を複数の中継ユニットに送信し、また後述の設定信号を制御装置Ctに送信する。無線通信部54は、所定のプロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。所定のプロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえば920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、所定のプロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。なお、無線通信部54が複数の中継ユニットおよび制御装置Ctと無線通信する際に用いるプロトコルは、管理システムA1が構築された後の第1無線通信ネットワークCn1で用いられるプロトコルと同じであることが好ましいが、異なるプロトコルであってもよい。
【0049】
制御部52は、設定装置Mdの各部を制御するためのものである。制御部52の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部53は、制御部52の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0050】
電源部55は、表示部51、制御部52および無線通信部54等の動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部55は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリーである。バッテリーの充電方式は、接触式の充電器を 利用するものでも、非接触式の充電器を利用するものでもよい。
【0051】
操作部58は、設定装置Mdを操作するためのものである。操作部58は、たとえばキーボードおよびマウス等である。なお、表示部51がタッチパネルとして機能する場合、設定装置Mdは、操作部58を備えていなくてもよい。
【0052】
設定装置Mdは、複数の中継ユニットの固有情報を保有しており、これらがたとえば記憶部53に記憶されている。設定装置Mdが保有する固有情報は、たとえば照明装置Lが保有するMACアドレスであってもよい。
【0053】
〔クラウドCL〕
クラウドCLは、本発明の外部のサーバの一例に相当する。クラウドCLは、たとえば商用クラウドサービス等によって構築されており、制御部61、記憶部62および通信部63を有する。制御部61は、本発明のサーバ側制御部の一例に相当する。制御部61は、後述のクラウドCLの動作を制御するものであり、たとえばCPU等が用いられる。記憶部62は、本発明のサーバ側記憶部の一例に相当する。記憶部62は、管理システムA1における商品状況データ等を保存するものであり、半導体メモリ、ハードディスク等が用いられる。通信部63は、サーバ側通信部の一例に相当する。通信部63は、たとえば公衆通信網(インターネット)を介して、制御装置Ctと通信を行うものであり、有線通信および無線通信のいずれかまたは双方が可能である。なお、本発明のサーバは、クラウドCLに限定されず、たとえば公衆通信網(インターネット)を介して制御装置Ctとは、異なる場所に設置されたサーバ機器や、制御装置Ctと同じ店舗に設置されたサーバ機器等であってもよい。
【0054】
〔時計ユニットUt〕
時計ユニットUtは、たとえばFM電波を受信することにより、時刻情報を取得する機能と、時刻情報をたとえばWi-Fi(登録商標)によって制御装置Ctに送信する機能とを有する。
【0055】
次に、管理システムA1の動作について、以下に説明する。
【0056】
本実施形態の管理システムA1が、店舗に設置された場合を説明する。商品棚Sfは、店舗内において商品Gdが載置されるものである。店舗には、複数の商品棚Sfが設置されていてもよい。各商品棚Sfが有する棚Sbの個数は、何ら限定されない。本例の管理システムA1では、複数の棚Sb1~Sbmに載置された複数の商品Gdを管理する。
【0057】
図6に示すように、時間情報の同期および第1無線通信ネットワークCn1の構築を行う(ステップS1)。
【0058】
第1無線通信ネットワークCn1の構築では、たとえば、設定装置Mdを用いて複数の照明装置L(中継ユニット)の識別アドレスを決定する。設定装置Mdは、複数の照明装置L(中継ユニット)毎に、固有情報であるMACアドレスおよび識別アドレスを含む識別信号を生成し、各照明装置L(中継ユニット)に向けて無線通信部54から送信する。あるいは、設定装置Mdから送信された識別信号を制御装置Ctが受信し、制御装置Ctが複数の照明装置Lに送信してもよい。次いで、各照明装置L(中継ユニット)において、無線通信モジュール14の第1無線通信部141が識別信号を受信し、制御部12に識別信号を転送する。識別信号を受けた制御部12は、識別アドレスを各々の記憶部13に記憶する。これにより、制御装置Ctおよび複数の照明装置Lによって第1無線通信ネットワークCn1が構築される。
【0059】
時刻情報の同期は、第1無線通信ネットワークCn1を構成する制御装置Ctおよび複数の照明装置L(中継ユニット)を対象として行う。具体的には、時計ユニットUtが時刻情報を送信し、制御装置Ctが受信する。制御装置Ctは、時刻情報を第1プロトコルに変換することにより時刻データを作成し、第1無線通信ネットワークCn1を介して複数の照明装置L(中継ユニット)に送信する。時刻情報を受信した照明装置L1~Lnは、自装置の時刻を時刻データに同期させ、また時刻データを次の照明装置Lに転送する。
【0060】
次に、複数の照明装置Lから第2無線電波を出力する(ステップS2)。第2無線電波の出力は、本実施形態では、照明装置Lの無線通信モジュール14の第2無線通信部142が行う。第2無線通信部142が出力する第2無線電波の電力は、第1無線通信部141が出力する第1無線電波の電力よりも大きい。この第2無線電波の電力は、無線タグWtによるエナジーハーベスティングを実現しうる程度の大きさに設定される。第2無線通信部142からの第2無線電波の出力間隔は何ら限定されず、たとえば、100ms~500ms程度である。
【0061】
次に、無線タグWtが、第1無線電波または第3無線電波を用いて、無線タグ情報を送信する(ステップS3)。本実施形態では、無線タグWtが、第3無線電波を用いて、商品状況データを送信する。無線タグWtでは、照明装置Lからの第2無線電波を自己発電部45のアンテナ部451が受信する。アンテナ部451の受信により、第2無線電波が誘導電流となって電力に変換される。無線タグWtの制御部42は、自己発電部45からの電力を利用して、無線通信部44から無線タグ情報を送信する。
【0062】
無線タグWtから送信された無線タグ情報は、この無線タグWtの近くに配置された照明装置L(
図6の例では、照明装置Ln)が受信する(ステップS4)。照明装置Lによって受信される第3無線電波(第3通信プロトコル)の無線タグ情報の受信強度は、この無線タグWtが配置された棚Sbの商品Gdの載置状況によって異なる。
【0063】
図7は、商品棚Sfに配置された複数の無線タグWtおよび商品棚Sfに載置された複数の商品Gdを示している。商品棚Sfは、複数の棚Sb1~Sbmを有する。複数の棚Sb1~Sbmには、複数の無線タグWt1~Wtmが個別に配置されている。無線タグWtが棚Sbに配置される形態は何ら限定されない。棚Sbに無線タグWtを固定する手段として、接合、嵌合、係合、締結、磁力等の種々の手法を採用可能である。また、棚Sbの上面に配置してもよいし、棚Sbの材質によっては棚Sbの下面に取り付けてもよい。図示された例においては、無線タグWtは、棚Sbの上面に接着等の手法により配置されている。
【0064】
図示された例においては、棚Sbに載置される複数の商品Gdは、棚Sbの上面に配置された無線タグWt上に積み重ねられる。同図(a)は、複数の棚Sb1~Sbmのすべてに、3つずつの商品Gdが積み重ねられた状態で載置されている。本例においては、各棚Sbの商品Gdの最大載置数が3である。この場合、無線タグWt1~Wtmの無線タグ情報の送信を担う第3無線電波は、複数の商品Gd(同図においては3つの商品Gd)を通して照明装置Lに受信される。この際の照明装置Lによる受信強度は、棚Sbに商品Gdが所定数だけ満載されている状況に対応する。
【0065】
同図(b)は、当該店舗の顧客が、商品Gdを適宜購入した状態を示している。同図(b)においては、各棚Sbに載置された商品Gdの個数が異なっている。棚Sb2には、3つの商品Gdが載置されている。このため、無線タグWt2からの第3無線電波の受信強度は、同図(a)の場合の受信強度とほぼ同じである。棚Sb1には、2つの商品Gdが載置されている。無線タグWt1からの第3無線電波は、2つの商品Gdを通して照明装置Lに受信される。この際の照明装置Lによる受信強度は、1つの商品Gdによって低減される受信強度に相当する分だけ、同図(a)の場合の受信強度よりも強い、すなわち、受信強度の値が大きくなる。
【0066】
同図(b)の棚Sb3では、さらに商品Gdが購入され、1つの商品Gdが載置されている。このため、無線タグWt3からの第3無線電波の受信強度の値は、無線タグWt2からの第3無線電波の受信強度の値よりも、更に大きな値となる。そして、棚Sbmでは、すべての商品Gdが購入され、商品Gdの載置数が0である。このため、無線タグWtmからの第3無線電波の受信強度は、同図(a)の場合の受信強度と同じとなる。
【0067】
このように、照明装置Lが無線タグWtからの第3無線電波を受信した際の受信強度(測定データ)は、無線タグWtが配置された棚Sbに載置された商品Gdの個数と相関するデータであり、無線タグWt毎の商品状況データの一例である。
【0068】
図6に示すように、無線タグWtからの第3無線電波を受信した照明装置Lnは、第3無線電波(第3プロトコル)によって送信された無線タグWtの無線タグ情報に、上述の受信強度(測定データ)およびタイムスタンプを付与する。そして、照明装置Lnは、第3プロトコルを第1プロトコルに変換し、受信強度(測定データ)およびタイムスタンプが付与された無線タグ情報を、第1無線通信ネットワークCn1を介して送信する。なお、無線タグWtからの無線タグ情報の送信(ステップS3)が、第1無線電波(第1プロトコル)によって行われる構成の場合、ステップS4でのプロトコルの変換は不要である。
【0069】
照明装置Lnからの無線タグ情報を第1無線通信ネットワークCn1を介して受信した照明装置Lは、第1無線通信ネットワークCn1を介してこの無線タグ情報を転送する。そして、照明装置L1は、第1無線通信ネットワークCn1を介してこの無線タグ情報を制御装置Ctに転送する(ステップS5)。
【0070】
制御装置Ctは、受信した無線タグ情報および付与された受信強度(測定データ)、タイムスタンプを、クラウドCLに送信する(ステップS6)。
【0071】
クラウドCLでは、無線タグ情報および付与された受信強度(測定データ)、タイムスタンプを用いて、商品管理処理を行う(ステップS7)。たとえば、クラウドCLは、記憶部62に無線タグWtの無線タグ情報と棚Sbとの対応が記憶されている。この対応は、たとえば、設定装置Mdによって設定された対応情報が、制御装置Ctを介してクラウドCLに送信されたものであってもよい。あるいは、ステップS6において、クラウドCLが、無線タグ情報に基づいて、対応する棚Sbの情報をクラウドCLに送信してもよい。
【0072】
クラウドCLの制御部61は、無線タグ情報に付与された受信強度(測定データ)から、対応する棚Sbに配置された商品Gdの個数を推定する。本例においては、受信強度の強さ(受信強度の数値の大小)に応じて、載置された商品Gdの個数を、0,1,2,3のうちから推定する。この推定された商品Gdの個数が、タイムスタンプに示された時刻に、対応する無線タグWtの棚Sbに載置されていたと認識される。商品管理処理の結果得られた商品管理情報は、記憶部62に記憶される。なお、商品Gdの個数の推定処理を、制御装置Ctが行う構成であってもよい。
【0073】
クラウドCLでの商品管理処理で得られた商品管理情報は、たとえばクラウドCLと通信可能なタブレット等の移動端末(図示略)で読み込み可能であってもよい。移動端末は、たとえば、独自アプリがインストールされており、読み込んだ商品管理情報を、表やグラフ、あるいは商品棚Sfが配置された店舗レイアウトと併せて表示することができる。
【0074】
次に、管理システムA1の作用について説明する。
【0075】
本実施形態によれば、
図6および
図7を参照して説明したとおり無線タグWtに積み上げられた商品Gdの個数を、第1無線通信ネットワークCn1を介して制御装置Ctに集約し、商品状況データとしてクラウドCLに保存することができる。商品状況データは、各棚Sbにおける商品Gdの単なる有無を示すにとどまらず、各棚Sbにおける商品Gdの個数の変化が認識されることにより、商品Gdの個数を含む。したがって、管理システムA1によれば、各無線タグWt毎に複数の商品Gdの個数の変化を認識することができる。
【0076】
図8~
図20は、他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0077】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る管理システムの処理を示すフローチャートであり、上述のステップS3の一部に相当する。本実施形態では、自己発電部45が電波受信による自己発電を開始すると(ステップS3-1-1)、照明装置Lからの第2無線電波の強度に応じた発電を行う(ステップS3-1-2)。すなわち、自己発電部45の発電による電力は、アンテナ部451が受信する第2無線電波の強度に依存する。
図7を参照して説明したとおり、無線タグWtが配置された棚Sbには、複数の商品Gdが載置される。アンテナ部451によって受信する第2無線電波の強度は、商品Gdの個数が多いほど弱く(無線電波強度の数値が小さく)なり、商品Gdの個数が少ないほど強く(無線電波強度の数値が大きく)なる。
【0078】
無線タグWtの制御部42は、自己発電部45の発電による電力が、第1電力範囲内であるか、第2電力範囲内であるかを判断する(ステップS3-1-3)。第1電力範囲および第2電力範囲は、自己発電部45による単位時間あたりの電力を規定する範囲である。第2電力範囲は、第1電力範囲よりも低電力の範囲である。たとえば、自己発電部45による発電の電圧が一定である場合、自己発電部45による単位時間あたりの電力の大小は、電流の大小によって決定される。したがって、自己発電部45の発電による電力が、第1電力範囲内であるか、第2電力範囲内であるかを判断は、自己発電部45の発電による電流が、第1電力範囲に相当する第1電流範囲内であるか、第2電力範囲に相当する第2電流範囲内であるか、によって判断してもよい。
【0079】
自己発電部45による電力が第1電力範囲内である場合(ステップS3-1-3:Yes)、制御部42は、無線タグ情報の送信頻度を第1送信頻度に設定する(ステップS3-1-4)。一方、自己発電部45による電力が第1電力範囲内でない場合(ステップS3-1-3:No)、制御部42は、自己発電部45による電力が第2電力範囲内であるかを判断する。自己発電部45による電力が第2電力範囲内である場合(ステップS3-1-5:Yes)、制御部42は、無線タグ情報の送信頻度を第2送信頻度に設定する(ステップS3-1-6)。第1送信頻度と第2送信頻度とは、互いの頻度が異なっており、第2送信頻度の方が第1送信頻度よりも低い。たとえば、第1送信頻度が5Sに1回の頻度に設定される場合、第2送信頻度は、たとえば60Sに1回に設定される。
【0080】
なお、第1送信頻度および第2送信頻度のみが設定される構成に限定されない。たとえば、商品Gdの載置個数が、0,1,2,3の4通りである場合、互いの電力範囲が異なる第1、第2、第3および第4電力範囲を設定し、これらに対応する第1、第2、第3および第4送信頻度を設定してもよい。第1、第2、第3および第4送信頻度は、互いの頻度が異なる。たとえば、第1、第2、第3および第4電力範囲の順で高電力であり、商品Gdの載置個数が、0個、1個、2個および3個に対応する。また、第1、第2、第3および第4送信頻度の順で高頻度であり、商品Gdの載置個数が、0個、1個、2個および3個に対応する。
【0081】
上述のステップS4では、無線タグWtからの第3無線電波を受信する照明装置Lが、無線タグWtからの送信頻度を測定データとして、無線タグ情報に付与する。そして、照明装置Lは、測定データとしての送信頻度とタイムスタンプ等が付与された無線タグ情報を送信する。ステップS5,S6を経て、ステップS7では、クラウドCLにおいて、送信頻度に基づいて商品Gdの載置数を推定する。これにより、上述の商品管理情報が得られる。
【0082】
本実施形態によっても、各無線タグWt毎に複数の商品Gdの個数の変化を認識することができる。また、本発明の測定データ(商品状況データ)は、商品Gdの載置数と相関するデータであればよく、受信強度、送信頻度等、種々のデータを用いることができる。
【0083】
<第3実施形態>
図9~
図11は、本発明の第3実施形態に係る管理システムを示している。本実施形態の管理システムA3は、主に無線タグWtの構成および商品棚Sfの構成が異なる。
【0084】
図10は、本実施形態の無線タグWtを示している。本実施形態の自己発電部45は、受光部452を有する。受光部452は、光電変換機能を果たすものであり、たとえばフォトトランジスタやフォトダイオード等である。受光部452が光を受光すると、受光部452の光電変換機能により電力が生じる。自己発電部45は、この電力を制御部42および無線通信部44等に供給する。受光部452の発電によって生じる単位時間あたりの電力は、受光部452が受ける光の照度(強弱)に依存する。
【0085】
図9に示すように、商品棚Sfには、複数の照明部Slが設けられている。照明部Slは、たとえばLED等を光源として有しており、棚Sbに対応して設けられている。図示された例においては、照明部Slは、対応する棚Sbの上方であって前方(顧客が存在する側)に配置されている。照明部Slは、棚Sbに載置された商品Gdを照らす。また、本実施形態では、無線タグWtは、棚Sbの奥方の壁部Sw等に固定されている。同図の無線タグWt3の場合、対応する棚Sb3に商品Gdが載置されていない。このため、無線タグWt3には、照明部Sl3からの光がほとんど遮られずに到達する。無線タグWtに到達する照明部Slからの光の明るさは、載置された商品Gdの個数と相関する。図示された例においては、棚Sbの前後方向(図中左右方向)に複数の商品Gdが配列される。このため、載置された商品Gdの個数が多いほど、無線タグWtが受ける照明部Slからの光は暗くなる。
【0086】
図11は、本実施形態に係る管理システムの処理を示すフローチャートであり、上述のステップS3の一部に相当する。本実施形態では、自己発電部45が電波受信による自己発電を開始すると(ステップS3-2-1)、照明部Slからの光の明るさに応じた発電を行う(ステップS3-2-2)。無線タグWtの制御部42は、自己発電部45の発電による電力が、第1電力範囲内であるか、第2電力範囲内であるかを判断する(ステップS3-2-3)。自己発電部45による電力が第1電力範囲内である場合(ステップS3-2-3:Yes)、制御部42は、無線タグ情報の送信頻度を第1送信頻度に設定する(ステップS3-2-4)。一方、自己発電部45による電力が第1電力範囲内でない場合(ステップS3-2-3:No)、制御部42は、自己発電部45による電力が第2電力範囲内であるかを判断する。自己発電部45による電力が第2電力範囲内である場合(ステップS3-2-5:Yes)、制御部42は、無線タグ情報の送信頻度を第2送信頻度に設定する(ステップS3-2-6)。
【0087】
なお、上述した通り、商品Gdの載置個数が、0,1,2,3の4通りである場合、互いの電力範囲が異なる第1、第2、第3および第4電力範囲を設定し、これらの対応する第1、第2、第3および第4送信頻度を設定してもよい。この後は、上述の第2実施形態と同様に、ステップS4~7が実行される。
【0088】
本実施形態によっても、各無線タグWt毎に複数の商品Gdの個数の変化を認識することができる。また、本実施形態から理解されるように、自己発電部45の自己発電を実現する手法は何ら限定されない。また、自己発電に用いられるエネルギー(本実施形態においては、照明部Slからの光)を自己発電部45が受ける度合いが、載置された商品Gdの個数に相関するもの(影響されるもの)であれば、種々のエネルギーやエネルギー変換機構を採用することができる。
【0089】
<第4実施形態>
図12は、本発明の第4実施形態に係る管理システムを示している。本実施形態の管理システムA4は、第1無線通信ネットワークCn1および第2無線通信ネットワークCn2を備えている。
【0090】
第1無線通信ネットワークCn1は、制御装置Ctと複数の照明装置L1~Lnによって構築されている。第2無線通信ネットワークCn2は、別の制御装置Ctと複数の照明装置Ln+1~Lpによって構築されており、果たす機能は、第1無線通信ネットワークCn1と同様である。本実施形態においては、第1無線通信ネットワークCn1を構築する複数の照明装置L1~Lnが、複数の無線タグWt1~Wtmと通信し、第2無線通信ネットワークCn2を構築する複数のLn+1~Lpが、複数の無線タグWtm+1~Wtqと通信する。クラウドCLは、第1無線通信ネットワークCn1の制御装置Ctおよび第2無線通信ネットワークCn2の制御装置Ctの双方と通信する。
【0091】
このような実施形態によっても、各無線タグWt毎に複数の商品Gdの個数の変化を認識することができる。また、本実施形態から理解されるように、無線通信ネットワークの個数は何ら限定されず、3つ以上であってもよい。クラウドCLと通信可能な複数の無線通信ネットワーク(第1無線通信ネットワークCn1および第2無線通信ネットワークCn2)を備えることにより、より多くの個数の無線タグWtを用いて商品管理処理を行うことができる。これは、たとえばある店舗の異なる階に複数の無線通信ネットワークをそれぞれ構築することにより、複数階を有する店舗全体の商品管理を一括して行うことができる。また、たとえばチェーン店の形態をなす複数の店舗のそれぞれに無線通信ネットワークを構築することにより、チェーン店全体の商品管理を一括して行うことができる。
【0092】
<第5実施形態>
図13~
図16は、本発明の第5実施形態に係る管理システムを示している。
図13は、本実施形態のクラウドCLの制御部61および記憶部62の具体的構成を示すブロック図である。
【0093】
制御部61は、発注基準点設定部611、基準在庫量判断部612、発注基準日設定部613、発注点設定部614および在庫量判断部615を有する。記憶部62は、製品情報記憶部621および発注基準日間隔記憶部622を有する。
【0094】
発注基準点設定部611は、製品情報記憶部621に記憶されている発注点に発注点追加数を加算して発注基準点を設定する。基準在庫量判断部612は、商品Gdの在庫量が製品情報記憶部621に記憶されている発注基準点より下回ったか否かを判断する。発注基準日設定部613は、発注基準点間隔比率に発注点を乗算することにより新たな発注点を設定する。つまり、次式にしたがって発注点を設定することになる。新たな発注点=現在の発注点×発注基準点間隔比率。在庫量判断部615は、商品Gdの在庫量が製品情報記憶部621に記憶されている発注点より下回ったか否かを判断したり、製品の欠品が発生したか否かを判断したりする。
【0095】
発注基準日間隔記憶部622は、商品Gdの発注量、発注点、発注基準点、発注実績などを製品情報として記憶している。ここで、製品の発注量は予め設定された値である。発注点は発注点設定部により適宜設定される値である。発注基準点は、発注基準日設定部613により発注点に発注点追加数を加算することにより算出されるものであり、適宜更新される値である。発注実績は、商品Gdの発注した回数を累積して記憶される。
【0096】
発注基準日間隔記憶部622は、過去の発注基準日間隔(1回前の間隔と2回前の間隔、など)を記憶している。
【0097】
図14は、本実施形態のクラウドCLにおける商品Gdの発注処理の一例を示している。同図に示された発注処理に係るステップS8-1~S8-6は、たとえば
図6のステップS7の後に適宜実行される。
【0098】
まず、ステップS8-1において、発注基準点設定部611が、製品情報記憶部621に記憶されている発注点を発注基準点に設定する。次いで、ステップS8-2において、基準在庫量判断部612は、ステップS1~S7で得られた商品管理情報に基づいて、商品Gdの在庫量が発注基準点を下回ったかを判断する。商品Gdの在庫量が発注基準点を下回った場合(ステップS8-2:Yes)発注基準日設定部613は、在庫量が発注基準日を下回った日を発注基準日として設定する。発注基準日間隔記憶部622は、製品の発注基準日等を発注基準日データとして記憶する(ステップS8-3)。商品Gdの在庫量が発注基準点を下回らなかった場合、ステップS8-2に回帰する。
【0099】
次に、ステップS8-4において、発注点設定部614は、発注基準日間隔に基づいて、新しい発注点を設定する。
【0100】
次に、ステップS8-5において、在庫量判断部615は、商品Gdの在庫量が新しい発注点を下回ったかを判断する。商品Gdの在庫量が新しい発注点を下回った場合(ステップS8-5:Yes)、制御部61は、商品Gdを発注する処理を行う(S8-6)。
【0101】
図15は、ステップS8-1~S8-6の発注処理の一例を示している。(a)~(c)に示すグラフは、横軸が日数、縦軸が商品Gdの在庫量である。同図(a)において、日付d1以前に発注点1が設定されている。日付d1において在庫量が発注点1以下であるため(ステップS8-5:Yes)、発注処理を行っている(ステップS8-6)。この発注に応じて、日付d2に所定数の商品Gdが入荷し、在庫量が発注点1を超えた状態となる。なお、発注処理から入荷までの日数は、一定であるとして扱う。同様に、日付d3において在庫量が発注点1以下であるため(ステップS8-5:Yes)、発注処理を行っており(ステップS8-6)、日付d4に入荷している。日付d1および日付d3は、発注基準日として記憶される(ステップS8-3)。
【0102】
ここで、次に在庫量が発注点1以下となる日付d5の時点を例に、ステップS8-2
~S8-6の処理を説明する。日付d5において、在庫量が発注点1以下となり(ステップS8-2:Yes)、日付d5を発注基準日として記憶する(ステップS8-3)。
【0103】
次に、発注点の設定を行う(ステップS8-4)。本処理では、まず、発注基準点間隔を算出する。発注基準点間隔pd1は、日付d1と日付d3との間隔(日数)である。発注基準点間隔pd2は、日付d3と日付d5との間隔(日数)である。ここで、日付d1~d4における在庫量の減少割合よりも、日付d4=d5における減少割合の方が緩やかである。このため、発注基準点間隔pd2は、発注基準点間隔pd1よりも長い日数となる。次いで、新たな発注点2を発注点1に発注基準点間隔比率を乗じて算出する。発注基準点間隔比率は、最新の発注基準点間隔に対する1つ前の発注基準点間隔の比率であり、同図(a)の場合、発注基準点間隔比率は、発注基準点間隔pd1/発注基準点間隔pd2である。発注基準点間隔pd2<発注基準点間隔pd1であるため、発注基準点間隔比率は、1よりも小さい値となる。したがって、同図(b)に示すように、新たな発注点2は、発注点1よりも小さい値となる。
【0104】
ステップS8-4を実行した直後に、在庫量が新しい発注点2以下であるかを判断する(ステップS8-5)。発注点2が発注点1よりも小さい値に設定されたため、日付d5では、在庫量は、発注点2よりも大きい(ステップS8-5:No)。このため、発注はなされない。
【0105】
次に、日付d6において、在庫量が発注点2以下となる(ステップS8-5:Yes)。このため、日付d6に発注を行う(ステップS8-6)。この後は、同様の処理を繰り返す。たとえば、日付d8においては、最先の発注基準点間隔pd3と、一つ前の発注基準点間隔pd2’とを用いて、ステップS8-4を行う。
【0106】
図16は、ステップS8-1~S8-6の発注処理の他の例を示している。同図(a)に示すように、日付d5において在庫量が発注点1以下となっている(ステップS8-2)。日付d5における最新の発注基準点間隔pd2は、一つ前の発注基準点間隔pd1よりも短い日数となっている。このため、ステップS8-4において、発注基準点間隔比率(=発注基準点間隔pd1/発注基準点間隔pd2)は、1よりも大きい値となる。したがって、同図(b)に示すように、新たな発注点2は、発注点1よりも大きい値となる。ステップS8-4の直後にステップS8-5を判断すると、在庫量は、新たな発注点2よりも小さい(ステップS8-5:Yes)。このため、日付d5において発注が行われる(ステップS8-6)。この後は、同様の処理を繰り返す。たとえば、日付d7においては、最先の発注基準点間隔pd3と、一つ前の発注基準点間隔pd2とを用いて、ステップS8-4を行う。
【0107】
このような実施形態によっても、各無線タグWt毎に複数の商品Gdの個数の変化を認識することができる。また、第1~第4実施形態として説明した管理システムに、本実施形態の発注処理を組み合わせることにより、対象となる商品棚Sfにおける商品Gdの在庫量を、リアルタイムで且つ網羅的に収集することができる。商品Gdの在庫量は、上述の発注処理における発注の判断の根拠となるデータである。実際の在庫量をタイムリーに収集することにより、商品Gdの発注処理をより的確なタイミングで、過不足無く行うことができる。また、店舗単位での在庫量や、チェーン店全体の在庫量を把握可能であることにより、店舗単位の発注や、チェーン店全体の発注を臨機応変に処理することができる。
【0108】
<無線タグ集合体Waを用いた構成例>
図17および
図18は、本発明に係る無線タグ集合体の一例を示している。無線タグ集合体Waは、複数の無線タグWtを含んでおり、支持シート81、接合層82および剥離層83を有する。
【0109】
支持シート81は、長尺状や矩形状等のシート材であり、たとえばポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートなどの樹脂からなる。支持シート81の厚さは何ら限定されず、たとえば5~500μmである。支持シート81の表面または内部には、複数の無線タグWtが配置されている。無線タグWtが支持シート81に配置される態様は何ら限定されない。たとえば、無線タグWtを構成する制御部42、記憶部43、無線通信部44および自己発電部45が、支持シート81の表面に形成されていてもよい。また、無線タグWtを保護するための保護層(図示略)として、ポリエステルやポリオレフィン、ポリカーボネート樹脂などからなるフィルムを採用してもよい。保護層の厚さは、たとえば1~100μmである。
【0110】
接合層82は、支持シート81の裏面に形成されている。接合層82は、後述するように、無線タグ集合体Waから分割された個片を、棚Sb等の対象物に接合するための層である。接合層82の具体的構成は何ら限定されず、たとえばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂を主成分とする粘着剤を含み、厚さがたとえば3~50μmである。剥離層83は、使用前の無線タグ集合体Waを扱う際に、接合層82が意図しない物体に付着することを防止するためのものである。剥離層83としては、たとえばコート紙、ポリイミド樹脂などのフィルム材が用いられる。
【0111】
また、無線タグ集合体Waは、複数の切断予定線84を有する。切断予定線84は、支持シート81を切断することを補助または誘引する部位であり、たとえばミシン目線や溝部等によって構成されている。切断予定線84は、隣り合う無線タグWt同士を区画している。なお、本実施形態においては、切断予定線84は、支持シート81、接合層82および剥離層83を一括して切断可能に構成されているが、たとえば支持シート81および接合層82のみを切断可能な構成であってもよい。
【0112】
図示された例においては、長尺状の無線タグ集合体Waである場合に、複数の無線タグWtが、長手方向に互いに離れて配列されている。また、各々が短手方向に横断する複数の切断予定線84が、長手方向に互いに離れて形成されている。本例と異なり、たとえば無線タグ集合体Waが矩形状であり、複数の無線タグWtがマトリクス状に配置されている場合、複数の切断予定線84を格子状に形成してもよい。
【0113】
図19は、無線タグ集合体Waの製造方法の一例を示している。支持シート81が巻かれたロールから、支持シート81が順次送り出される。この支持シート81の表面に無線タグWtが順次取り付けられる。また、支持シート81の裏面側からは、接合層82および剥離層83が一括して巻かれたロールから、接合層82および剥離層83が順次送り出され、接合層82が支持シート81の裏面に接合される。この後は、図示しないミシン目形成ツール(たとえば刃部や針部を有するツール)によって、複数の切断予定線84を形成する。これにより、無線タグ集合体Waが得られる。
【0114】
図19は、無線タグ集合体Waの使用例を示している。同図においては、長尺状の無線タグ集合体Waが用いられている。同図(a)では、複数の切断予定線84を1つ飛ばしに切断することにより、各々が2つずつの無線タグWtを含む複数の個片が、棚Sbに取り付けられている。各無線タグWtが配置された箇所は、たとえば商品Gdが積み上げられる箇所に相当する。同図(b)では、複数の切断予定線84を3つ飛ばしに切断することにより、各々が4つずつの無線タグWtを含む複数の個片が、棚Sbに取り付けられている。なお、無線タグWtを含む個片は、たとえば
図9に示すように、商品棚Sfの壁部Swに取り付けられてもよい。
【0115】
このような形態によれば、
図18に示すように、複数の無線タグWtを含む無線タグ集合体Waを一括して製造することができる。また、無線タグWtを設置する箇所の大きさや形状等に応じて、任意の個数の無線タグWtを含む個片を形成することができる。
【0116】
<管理システム 参考例>
図20は、管理システムの参考例を示している。本参考例の管理システムBでは、無線タグWtが、商品Gdに取り付けられている。商品Gdは、棚Sbの奥方から手前へと順に陳列される。また、顧客は、手前の商品Gdから奥方の商品Gdへと順に取り出して購入する。
【0117】
棚Sb1,Sb2,Sb3のそれぞれの最も奥方には、無線タグWt1,Wt2,Wt3が取り付けられた商品Gdが配置されている。無線タグWt1,Wt2,Wt3の設定は、たとえば、各商品Gdが棚Sb1,Sb2,Sb3に配置された状態で、設定装置Mdからの操作により、その時点で各棚Sbの奥方に位置する無線タグWtを、それぞれ無線タグWt1,Wt2,Wt3として定義し、制御装置Ctの記憶部23に記憶する。
【0118】
本例では、棚Sb1,Sb2,Sb3の前方または斜め上に、照明装置L2が配置されている。各棚Sb1,Sb2,Sb3に配置された無線タグWtからの第1無線電波または第3無線電波が、照明装置L2によって受信しやすい配置とされている。また、照明装置Lからの第2無線電波が、各無線タグWtによって受信しやすい配置とされている。
【0119】
たとえば、棚Sb2には、最も奥方に1つのみの商品Gdが配置されている。このため、無線タグWt2からの第1無線電波または第3無線電波の受信強度の数値は、大きな値となる。棚Sb3には、2つの商品Gdが配置されている。このため、無線タグWt3からの第1無線電波または第3無線電波の受信強度の値は、無線タグWt2からの受信強度の値よりも弱い値となる。さらに、棚Sb1では、3つの商品Gdが配置されている。このため、無線タグWt1からの第1無線電波または第3無線電波の受信強度の値は、無線タグWt3からの受信強度の値よりもさらに小さい値となる。この受信強度を用いて、
図6および
図7を参照して説明した管理処理を行う。これにより、クラウドCLには、棚Sb1,Sb2,Sb3のそれぞれの商品状況データが保存される。また、照明装置L2からの第2無線電波は、無線タグWt2に最も強く到達し、無線タグWt3,Wt1の順に弱くなる。この第2無線電波の強弱に基づいて、たとえば
図8に示す管理処理を行うことにより、クラウドCLには、棚Sb1,Sb2,Sb3のそれぞれの商品状況データが保存される。
【0120】
また、同図に示すように、棚Sb1,Sb2,Sb3にそれぞれ無線タグWt11,Wt12,Wt13を取り付けてもよい。無線タグWt11,Wt12,Wt13は、棚Sb1,Sb2,Sb3に個別に対応付けられている。また、無線タグWt11,Wt12,Wt13は、棚Sb1,Sb2,Sb3における商品Gd載置位置よりもさらに前方に取り付けられており、照明装置L2と良好な無線通信を行うことが可能である。
【0121】
各棚Sbに載置された商品Gdの無線タグWtが、無線タグWt11,Wt12,Wt13のうち当該棚Sbに対応するものと紐付けられる処理を実行することにより、各棚Sbに載置された商品Gdの個数を商品状況データとしてクラウドCLに保存してもよい。無線タグWt11,Wt12,Wt13と商品Gdとの紐付け処理としては、たとえば、Bluetooth(登録商標)のペアリング処理が挙げられる。
【0122】
本参考例から、無線タグWtが商品Gdに取り付けられる場合であっても、各棚Sbに載置された商品Gdの個数を認識し、商品状況データとしてクラウドCLに保存可能であることが理解できる。
【0123】
本発明に係る管理システムおよび無線タグ集合体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る管理システムおよび無線タグ集合体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0124】
A1,A3,A4,B:管理システム
1 :発注点
2 :発注点
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信モジュール
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信部
25 :電源部
42 :制御部
43 :記憶部
44 :無線通信部
45 :自己発電部
51 :表示部
52 :制御部
53 :記憶部
54 :無線通信部
55 :電源部
58 :操作部
61 :制御部
62 :記憶部
63 :通信部
81 :支持シート
82 :接合層
83 :剥離層
84 :切断予定線
141 :第1無線通信部
142 :第2無線通信部
451 :アンテナ部
452 :受光部
611 :発注基準点設定部
612 :基準在庫量判断部
613 :発注基準日設定部
614 :発注点設定部
615 :在庫量判断部
621 :製品情報記憶部
622 :発注基準日間隔記憶部
CL :クラウド
Cn1 :第1無線通信ネットワーク
Cn2 :第2無線通信ネットワーク
Ct :制御装置
Gd :商品
L,L1,L2,Ln:照明装置(中継ユニット)
Md :設定装置
Sb,Sb1,Sb2,Sb3,Sbm:棚
Sf :商品棚
Sl :照明部
Sl3 :照明部
Sw :壁部
Ut :時計ユニット
Wa :無線タグ集合体
Wt,Wt1,Wt11,Wt12,Wt13,Wt2,Wt3,Wtm:無線タグ
d1,d2,d3,d4,d5,d6,d7,d8:日付
pd1,pd2,pd2',pd3:発注基準点間隔