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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034625
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/00 20060101AFI20230306BHJP
   G06F 3/06 20060101ALI20230306BHJP
   G06F 3/08 20060101ALI20230306BHJP
   G06F 13/10 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G06F3/00 S
G06F3/06 301A
G06F3/08 H
G06F13/10 340A
G06F3/06 305C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140951
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】507071866
【氏名又は名称】株式会社ストレージ・ビジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】和田 英幸
(72)【発明者】
【氏名】新谷 徹行
(57)【要約】
【課題】冗長性を有しつつ、高速での転送を実現させる記憶装置を提供する。
【解決手段】不揮発性メモリを2つ以上有する記憶装置であって、RAIDコントローラと、該RAIDコントローラによって管理される2つ以上の前記不揮発性メモリとが、1枚の基板に配設されることで、複数の前記不揮発性メモリが所定のRAIDを構成するように設けられる。複数の前記不揮発性メモリは、ホットプラグ接続及び/又はホットスワップ接続が可能なように構成され、前記基板は、前記不揮発性メモリにデータを記憶させるホストコンピュータとの間で所定のケーブルにより接続可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリを2つ以上有する記憶装置であって、
RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)コントローラと、
該RAIDコントローラによって管理される2つ以上の前記不揮発性メモリとが、1枚の基板に配設されることで、複数の前記不揮発性メモリが所定のRAIDを構成するように設けられ、
複数の前記不揮発性メモリは、ホットプラグ接続及び/又はホットスワップ接続が可能なように構成され、
前記基板は、前記不揮発性メモリにデータを記憶させるホストコンピュータとの間で所定のケーブルにより接続可能である
ことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記RAIDコントローラは、前記不揮発性メモリをミラーリング接続するように構成され、
前記RAIDコントローラは、前記不揮発性メモリにミラーリングによりデータを記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記不揮発性メモリがSSD(ソリッドステートドライブ)であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記SSDの接続規格がNVMe(Non-Volatile Memory Express)であり、該SSDの接続端子がM.2の規格に適合するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の記憶装置。
【請求項5】
前記ケーブルがPCIe(Peripheral Component Interconnect-Express)規格に適合したFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の記憶装置。
【請求項6】
前記SSDの放熱及び/又は排熱を目的とした放熱シートを備えることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1つに記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置に関し、具体的には、冗長性を有しつつ、高速での転送を実現させる記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主にパソコンに用いられるストレージとして利用される不揮発性メモリとして、近年では、HDD(ハードディスクドライブ)に代わって、SSD(ソリッドステートドライブ)が用いられることが増えてきている。
【0003】
HDDやSDDなどの不揮発性メモリに記憶されたデータを保護する技術として、RAIDコントローラによって管理される複数の不揮発性メモリがミラーリング接続されるように構成されるミラーリングという手法がある。ミラーリングは、RAIDコントローラによって同一のデータを複数のメモリに二重に記憶しておき、一方のメモリに記憶されていたデータが破損や消失した場合であっても、他方のメモリに記憶されていたデータを復元することによって、データの完全な消失を防ぐものである。
【0004】
また、記憶していたデータが破損や消失したメモリを交換する必要が生じた場合に、ホットプラグ及び/又はホットスワップに対応していないメモリの場合、電源を落としてからメモリの交換作業を行わなければならない。一方、ホットプラグ及び/又はホットスワップに対応しているメモリであれば、その機器の電源を落とすことなく稼働させたまま安全にメモリを交換することができるだけでなく、機器は接続とほぼ同時にそのメモリを認識し、即時に使用することが可能となる。
【0005】
先行技術において、SSDミラーリングを提供するハードウェアを、M.2コネクタを介してホットプラグ可能とするストレージシステム等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-153287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、M.2コネクタは、SSDの一端側(接続端子側)をコネクタに接続し、他端側をM.2コネクタを備える基板上にネジで固定する形式として公知である。一般に、M.2コネクタは、ホストコンピュータなどのマザーボード上に直接設けられており、また、M.2コネクタに接続するSSDも基板上にチップなどの回路が露出したモジュールであるため、ホットプラグ又はホットスワップの脱着に適していないことは周知である。しかしながら、先行技術においては、SSDミラーリングを提供するハードウェアを、M.2コネクタを介してホットプラグ可能とする具体的な構成の記載も示唆もない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、M.2コネクタを用いて、ホットプラグ及び/又はホットスワップを可能としつつ、NVMe接続をしたSSDによるミラーリングによって、冗長性を損なうことなく、高速での転送を実現させる記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、不揮発性メモリを2つ以上有する記憶装置であって、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)コントローラと、該RAIDコントローラによって管理される2つ以上の前記不揮発性メモリとが、1枚の基板に配設されることで、複数の前記不揮発性メモリが所定のRAIDを構成するように設けられ、複数の前記不揮発性メモリは、ホットプラグ接続及び/又はホットスワップ接続が可能なように構成され、前記基板は、前記不揮発性メモリにデータを記憶させるホストコンピュータとの間で所定のケーブルにより接続可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記RAIDコントローラは、前記不揮発性メモリをミラーリング接続するように構成され、前記RAIDコントローラは、前記不揮発性メモリにミラーリングによりデータを記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記不揮発性メモリがSSD(ソリッドステートドライブ)であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記SSDの接続規格がNVMe(Non-Volatile Memory Express)であり、該SSDの接続端子の規格がM.2であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1つに記載の構成に加え、前記ケーブルがPCIe(Peripheral Component Interconnect-Express)規格に適合したFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5の何れか1つに記載の構成に加え、前記SSDの放熱及び/又は排熱を目的とした放熱シートを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、RAIDコントローラによって管理される複数の不揮発性メモリによって所定のRAIDを構成するので冗長性を担保することができるとともに、ホットプラグ接続及び/又はホットスワップ接続が可能となっているため、ホストコンピュータの電源を落とすことなく稼働させたまま安全に不揮発性メモリを交換することができるだけでなく、基板への接続とほぼ同時にその不揮発性メモリを認識し、即時に使用することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、不揮発性メモリがミラーリング接続するように構成され、不揮発性メモリがミラーリングにより同一のデータを二重に記憶するので、冗長性を確保することができ、記憶装置としての信頼性や安全性の向上が期待できる。
【0017】
請求項3の発明によれば、不揮発性メモリとしてSDDを用いるため、HDDと比較して、メモリにおけるデータの読込み及び書込みの速度が速く、データを高速で転送することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、物理的に小型化されているだけでなく、従来の通信プロトコルと比較して、コマンドキューの最大キュー深度が大幅に増加しており、データの転送などの処理の高速化が可能になる。
【0019】
請求項5の発明によれば、所定のケーブルがPCIe規格に適合したFFCであるため、高速であるだけでなく、高性能な伝送が可能となる。
【0020】
請求項6の発明によれば、放熱シートを備えることによってSSDの放熱や排熱を促進し、サーマルスロットリングが作動することによって、SSDの読込み及び書込みの性能を低下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態に係る記憶装置1の全体構造を示す機能ブロック図と、ケーブル5を用いて記憶装置1とホストコンピュータ6とを接続した場合の図である。
図2】この発明の実施の形態に係る記憶装置1において、RAIDコントローラによって管理される複数の不揮発性メモリがRAIDを構成していることの一例を示す図である。
図3】この発明の実施の形態に係る記憶装置1において、ホットプラグ及び/又はホットスワップを可能とする、不揮発性メモリ2A及び2Bの接続方法に関する構成を説明していることの一例を示す図である。
図4】この発明の実施の形態に係る記憶装置1において、ミラーリングに用いられているSSDが故障したことを検知されてから復旧するまでの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態について、図1から図4までを用いて説明する。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態に係る記憶装置1の全体構造を示す機能ブロック図と、ケーブル5を用いて記憶装置1とホストコンピュータ6とを接続した場合の図である。
【0024】
図1に示す記憶装置1は、1枚の基板において、主に補助記憶装置として機能する複数の不揮発性メモリ2A及び2B、ホットプラグ及び/又はホットスワップの脱着を可能とするホットプラグアダプタ3、複数の不揮発性メモリを管理するRAIDコントローラ4、RAIDコントローラ4と後述する所定の筐体8とが接着されるように備えられている放熱シート7、不揮発性メモリ2A及び2Bと、RAIDコントローラ4との間に設けられている電源制御部100が備えられており、ケーブル5を通じて、ホストコンピュータ6と接続可能となっている。
【0025】
記憶装置1は、内部記憶装置としてホストコンピュータ6の内部に格納されていても良いし、ホストコンピュータ6の外部に接続をする外部記憶装置として用いても良い。本明細書においては、記憶装置1がホストコンピュータ6の内部に格納されている場合を例として、説明する。
【0026】
図1は、RAIDコントローラ4が複数の不揮発性メモリにミラーリングによりデータを記憶する場合として、記憶装置1に不揮発性メモリ2A及び2Bの2つのメモリが配設されている例を説明しているが、記憶装置として1つの基板に2つ以上の不揮発性メモリが配設されていれば良い。不揮発性メモリは、主に補助記憶装置として用いられ、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどがある。
【0027】
不揮発性メモリ2A及び2Bは、RAIDコントローラ4によって、記憶すべきデータの記憶を受け付ける。RAIDコントローラ4が不揮発性メモリ2A及び2Bにデータを記憶させる際、同一のデータを二重にして不揮発性メモリ2A及び2Bの2つのメモリに記憶させる。ミラーリングによるデータの記憶は、記憶装置としての信頼性を高めることができる。本明細書においては、不揮発性メモリ2A及び2Bは、SSDとして説明をするが、これに限られない。SSDは、USBメモリと同様、NAND型フラッシュメモリで構成されている。
【0028】
不揮発性メモリ2A及び2Bは、半導体メモリであって、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を構成する。不揮発性メモリ2A及び2Bは、たとえば、8ギガバイトから2テラバイト程度の記憶容量を有する大容量の記憶媒体であるが、4テラバイトや8テラバイトなどの記憶容量を有する大容量の記憶媒体であっても良い。
【0029】
ホットプラグアダプタ3は、不揮発性メモリ2A、2Bと、RAIDコントローラ4との規格を変換して相互にデータ通信を可能にする通信インターフェースである。ホットプラグアダプタ3は、ホストコンピュータ6の電源を落とすことなく稼働させたまま、記憶装置1に配設された不揮発性メモリ2A及び2Bの脱着を可能とするアダプタである。ホットプラグに対応させるアダプタを備えることによって、電源を落とさず、稼働中のコンピュータにハードウェアやデバイスを接続すると、即時認識し使用可能な状態とすることができる。具体的には、図3において説明する。
【0030】
RAIDコントローラ4は、記憶装置1に配設された不揮発性メモリ2A及び2Bを論理的に1つのメモリとしてまとめるために読込み及び書込みの制御を行うための装置である。RAIDを構成する場合に必要となる装置であり、本明細書においては、RAIDコントローラはハードウェアとして説明をするが、ソフトウェアとして構成をしても良い。RAID1を構成した場合には、ミラーリングとして、RAIDコントローラ4は、書き込んだデータを不揮発性メモリ2A及び2Bの2つのメモリに同一のデータを振り分けて二重に記憶させる。
【0031】
ケーブル5は、記憶装置1とホストコンピュータ6とを接続させるケーブルである。本明細書においては、ケーブル5としてFFC(フレキシブルフラットケーブル)について説明をするが、他の種類・規格のケーブルを用いても良い。FFCは、丸型の電線に用いられる丸型絶縁体と異なり、平型導体を用いているため、丸型の電線と比較をして、大幅に厚みが薄い。また、幅方向に平型導体を一定間隔で並べた構造になっているため、容易に多芯化することができる。ケーブル5としてFFCを用いることによって、伝送を高速化することができる。特に、通信規格としてNVMeを採用したM.2SSD(M.2コネクタに接続することができるSSDをいい、以下同じ)による高速化された伝送が可能なFFCが望ましい。
【0032】
ホストコンピュータ6は、処理能力を有し、ネットワークを通じて処理やサービスを別のコンピュータに提供するコンピュータであり、ネットワークに接続されているパソコンなどからの計算や制御の要求を集中して処理する。本明細書においては、たとえば、ホストコンピュータ6のCPU(Central Processing Unit)(図示せず)は、ケーブル5を通じて、RAIDコントローラ4に対して、不揮発性メモリ2A及び2Bへ同一のデータを二重にして書き込みすることを命令したり、不揮発性メモリ2A又は2Bからデータの読込みを命令する。
【0033】
放熱シート7は、熱伝導性に優れたシートであり、発熱部から効果的に熱を伝え、発熱部の放熱を促す役割を担う。板金により形成された筐体8が基板を取り囲むように備えられ、筐体8と、発熱部であるRAIDコントローラ4との間に接着するように放熱シート7が用いられる。不揮発性メモリ2A及び2Bから発生する熱が放熱シート7を通じて筐体8に伝導し、筐体8から効率的に熱を放出する。PCIe接続をしたSSDは、SATA接続をしたSSDと比較とすると、高性能であることもあり、発熱量が大きくなる。不揮発性メモリ2A及び2Bにおける発熱による記憶装置1の誤作動、故障、性能の低下を防止するためにも、効率的に放熱や排熱を促進する機能が必要となる。本発明の実施の形態においては、RAIDコントローラ4と筐体8との間に放熱シート7を備えているが、RAIDコントローラ4とヒートシンクとの間に放熱シート7を備えても良いし、発熱による記憶装置1の誤作動、故障、性能の低下を防止することができれば、公知のヒートシンクのみを用いても良い。
【0034】
電源制御部100は、不揮発性メモリ2A及び2Bと、RAIDコントローラ4との間に設けられ、ドライブ検出信号により不揮発性メモリ2A及び2Bの存在を検出する機能と、FET(Field Effect Transistor)により不揮発性メモリ2A及び2Bの電源を制御する機能とを実行する。電源制御部100の機能の詳細は、後述する。
【0035】
本実施形態の通信装置に適用される各種プロトコルについて以下説明する。
【0036】
PCIeは、Peripheral Component Interconnect-Expressの略称であり、拡張バス、拡張スロットなど(高速CPU、高速メモリなど)のコネクタの接続規格の1つである。送信用と受信用のデータ伝送路を2本束ね、レーン(一対の接続端子による基本的な伝送路の構成)を複数備えることによって、高速でのデータ転送が可能となる。
【0037】
NVMeは、Non-Volatile Memory Expressの略称であり、SSDをはじめとした不揮発性メモリを使用したフラッシュメモリのために最適化された接続規格をいう。NVMeは、従来の通信規格であるAHCI(Advanced Host Contoroller Interface)と比較をして、データの転送速度、生産性、スループット、容量が優れている。記憶装置1におけるSSDの接続規格としてNVMeを用いることによって、コマンド処理速度のキューが増えているため、データの読込み及び書込みの多数を同時処理することができ、処理の大幅な高速化が望める。
【0038】
M.2は、SSDの接続端子の規格の1つである。M.2は、mSATA(Mini SATA)の後継として開発された接続端子の規格であり、機能性が優れつつ、大きさも柔軟性を有することから、小型のデバイスのメモリとして適した規格とされている。現状、通常のSSDは、転送速度の高速化が困難になってきている。一方で、M.2SSDは、基板の種類や規格によって最大転送速度が異なるものの、転送速度の高速化が試みられている。M.2SSDを接続するためのインターフェース規格としては主にNVMeとSATA(シリアルATA)の2種類がある。SATA接続の場合、通常のHDDやSSDと同じSATAインターフェースを用いて転送しているため高速とはならないが、NVMe接続の場合、PCIeを利用して転送しているため高速となる。より具体的には、M.2SSDは、NVMe接続をした場合、SATA接続の約7倍の数値である40Gbpsもの速度を出すことが可能となる。
【0039】
図2は、この発明の実施の形態に係る記憶装置1において、RAIDコントローラ4によって管理される複数の不揮発性メモリがRAIDを構成していることの一例を示す図である。
【0040】
仮に記憶装置において1つのみのメモリが備えられていた場合、そのメモリが故障すると、メモリを含むシステム全体が停止することになる。HDDは精密機械装置であるため、故障率が高く、SSDは記憶素子の寿命が短い。そこで、ミラーリングのために用いられるRAIDコントローラと複数のメモリのいずれもが同時に故障する確率は、1台のメモリが故障する確率よりも遥かに低い。ミラーリングによるデータの記憶は、1台のメモリによる記憶よりも信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、RAIDを実現させる手段としては、RAIDコントローラのようなハードウェアRAID又はソフトウェアRAIDを用いる必要がある。本明細書においては、ハードウェアRAIDであるRAIDコントローラを例に説明をするが、ソフトウェアRAIDを用いても良い。
【0042】
図2は、RAID1を例にしてミラーリングによる方式を示しているが、他のRAIDを用いて他の方式の構成をしても良いし、たとえば、RAID0とRAID1の組合せのように複数種類のRAIDから構成をさせても良い。
【0043】
ホストコンピュータ6のCPU(図示せず)がケーブル5を通じてRAIDコントローラ4に対して複数の不揮発性メモリにデータを記憶するように命令をしたときは、RAIDコントローラ4は、それぞれの不揮発性メモリに同一のデータを二重に記憶させる。図2においては、RAIDコントローラ4は、同一のデータ10Aを不揮発性メモリ2A及び2Bの2つのメモリに二重に記憶させている。
【0044】
同様に、RAIDコントローラ4が、ケーブル5を通じて、ホストコンピュータ6のCPU(図示せず)からデータ10B、10C及び10Dを記憶するように命令を受けたときは、RAIDコントローラ4は、同一のデータ10B、10C及び10Dを不揮発性メモリ2A及びメモリ2Bの2つのメモリに二重に記憶させる。2つのメモリに同一のデータを二重に記憶させることによって、一方のメモリに何らかの障害が発生して、そのメモリに記憶されていたデータが消失した場合であっても、他方のメモリに記憶されているデータが存在するため、すべてのデータの消失を防止することができ、記憶されているデータを障害が発生していないメモリから消失したメモリに複製することによる冗長化によって記憶装置としての信頼性や安全性を確保することができる。
【0045】
図3は、この発明の実施の形態に係る記憶装置1において、ホットプラグ及び/又はホットスワップを可能とする、不揮発性メモリ2A及び2Bの接続方法に関する構成を説明していることの一例を示す図である。
【0046】
不揮発性メモリ2A及び2Bと、RAIDコントローラ4とは、PCIeインターフェースを通じて、接続されている。同様に、不揮発性メモリ2A及び2Bと、RAIDコントローラ4とは、不揮発性メモリ2A及び2Bと、RAIDコントローラ4との間に、ドライブ検出信号により不揮発性メモリ2A及び2Bの存在を検出する機能と、FETにより不揮発性メモリ2A及び2Bの電源を制御する機能とを実行する電源制御部100を設けるように接続されている。
【0047】
この実施の形態において「ドライブ検出信号」は、図3に示すように、不揮発性メモリ2A及び2Bによって印加される3.3Vの信号を示す。このドライブ検出信号は、電源制御部100を介してRAIDコントローラ4によって検知される。これにより、RAIDコントローラ3は、不揮発性メモリ2A及び2Bが記憶装置1のメモリスロット(図示せず)に接続されていることを検知する。ただし、「ドライブ検出信号」は、不揮発性メモリ2A及び2Bが記憶装置1に接続されていることを他の構成によって検出しうる信号であればどのようなものでもよい。
【0048】
ここで、たとえば、一方の不揮発性メモリ2Aが故障した場合を考える。まず、RAIDコントローラ4が不揮発性メモリ2Aの故障を検知する。たとえば、PCIeインターフェースを通じて行われるコマンドに対する応答がない場合やエラーの応答がある場合、RAIDコントローラ4をリセットした後に再度実行を行っても改善がされない場合(コマンドに対する応答がないときやエラーの応答があるときなど)などは、RAIDコントローラ4は、不揮発性メモリ2Aが故障しているとして検知する。不揮発性メモリ2Aの故障を検知した場合、電源制御部100は、故障が生じた不揮発性メモリ2Aへの電源の供給を中止する制御をし、故障している不揮発性メモリ2Aの電源を落とす。この際、PCIeインターフェースにより接続されているRAIDコントローラ4と不揮発性メモリ2Aのみ脱着が行われる。RAIDコントローラ4は、電源制御部100を通じてドライブ検出信号が検出されたか否かによって、故障した不揮発性メモリ2Aが取り外されたことと、新たに不揮発性メモリ2Aが取り付けられたこととを検知する。たとえば、RAIDコントローラ4内の回路(図示せず)が不揮発性メモリ2Aや2Bの出力するドライブ検出信号がHigh(3.3V)からLow(0V)に変化するような変化を検出したときは、RAIDコントローラ4は、ホストコンピュータ6のCPU(図示せず)に対して、割り込み通知によってその変化を通知する。割り込み通知を受けたことによって、ホストコンピュータ6のCPU(図示せず)は、不揮発性メモリ2Aの脱着を検知する。新たな不揮発性メモリ2Aが取り付けられたことを検知したときは、RAIDコントローラ4は、電源制御部100を通じて、新たな不揮発性メモリ2Aへ電源を供給する制御を再開し、不揮発性メモリ2Aの存在を認識する。なお、不揮発性メモリ2Bが故障した場合も、上記と同様の手順によって不揮発性メモリ2Bの交換が行われる。ミラードライブに用いられているSSDが故障をしてから復旧するまでの具体的なフローは、図4において説明する。
【0049】
図4は、この発明の実施の形態に係る記憶装置1において、RAID1としてミラーリングに用いられているSSDが故障したことを検知されてから復旧するまでの一例を示すフローチャートである。
【0050】
まず、2台のSSDのうち1台についてデータの読込み及び/又は書込みができなくなるなど何らかの障害が発生した場合、ホストコンピュータ6の検知部(図示せず)は、その障害を検知する(ステップS101)。
【0051】
障害が発生した1台のSSDは、ホストコンピュータ6のバックグラウンド及びRAIDコントローラ4を通じて復旧を図る(ステップS102)。
【0052】
ホストコンピュータ6のバックグランド及びRAIDコントローラ4によって、障害が発生したSSDが復旧したときは(ステップS102:Yes)、障害の復旧措置は終了する(ステップS105)。すなわち、RAIDコントローラ4が、正常なSSDが記憶しているデータを正常なSSDから障害が発生したSSDに対して複製させることによって、ミラーリングに用いられている2台のSSDが読込み及び書込みが可能な状態に復旧したことを意味する。
【0053】
ホストコンピュータ6のバックグランド及びRAIDコントローラ4によって、障害が発生したSSDを復旧させることができなかったときは(ステップS102:No)、障害が発生しているSSDを正常なSSDと交換をする(ステップS103)。記憶装置1にホットプラグアダプタ3が設置されている場合には、SSDの交換の際にホストコンピュータ6の電源を落とさず、ホストコンピュータ6を稼働させたまま、SSDの交換が可能である。なお、SSDの交換は、公知の方法で行うことができる。
【0054】
RAIDコントローラ4は、障害が発生していない既存のSSDから、故障が発生したことによって交換した正常なSSDへ既存のSSDに記憶されているデータの複製を行い、交換した正常なSSDへデータを記憶させる(ステップS104)。
【0055】
障害が発生していない既存のSSDから、故障が発生したことによって交換した正常なSSDへ、既存のSSDに記憶されているデータのコピーが完了すると、復旧措置は終了する(ステップS105)。すなわち、ミラーリングに用いられている2台のSSDが読込み及び書込みが可能な状態に復旧したことを意味する。
【0056】
図4において、RAID1としてミラーリングを例に説明をしたが、他のRAIDを用いて他の方式の構成をしても良いし、RAID0とRAID1の組合せのように複数種類のRAIDから構成をさせても良い。
【0057】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0058】
1・・・記憶装置
2A、2B・・・不揮発性メモリ
3・・・ホットプラグアダプタ
4・・・RAIDコントローラ
5・・・ケーブル
6・・・ホストコンピュータ
7・・・放熱シート
8・・・筐体
10A、10B、10C、10D・・・データ
100・・・電源制御部
図1
図2
図3
図4