(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003463
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】外歯歯車の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 53/28 20060101AFI20230110BHJP
B21H 1/04 20060101ALI20230110BHJP
B21H 5/00 20060101ALI20230110BHJP
B21H 5/02 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B21D53/28
B21H1/04 Z
B21H5/00 Z
B21H5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104557
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000227906
【氏名又は名称】日本イスエード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100206139
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 匡
(72)【発明者】
【氏名】出牛 洋行
(57)【要約】
【課題】 軽量化や製造コストの低減を図り、さらには精度よく、且つ安定した状態で製造することができる外歯歯車の製造方法を得る。
【解決手段】 金属製の円形板からなる歯車素材5をクランパーにて両側から挟持し、歯車素材5の外周端部7に押圧ローラを押し当て外周端部7を増肉して外歯形成部を形成した後、歯切りにより外歯形成部に歯部を形成する外歯歯車の製造方法であって、対向面同士を突き合わせたときリング状の外歯形成部成形溝18を形成するように構成されクランパー10,11を使用し、歯車素材5を両側から挟持し、外歯形成部成形溝18内に歯車素材5の外周端部7を配置し、断面R状の凹部からなる第1押圧面20を有する第1押圧ローラ21を外周端部7に押し当て押し潰して外歯形成部成形溝18内に増肉部22を形成し、平面状の第2押圧面を有する第2押圧ローラを増肉部に押し当て外歯形成部を形成するようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の円形板からなる歯車素材をクランパーにて両側から挟持し、前記クランパーを回転させながら、前記歯車素材の外周端部に押圧ローラを押し当て前記外周端部を増肉して外歯形成部を形成した後、歯切りにより前記外歯形成部に歯部を形成する外歯歯車の製造方法であって、
前記クランパーは、その対向面に、円柱状の挟持突部と、該挟持突部の基部側に外周に向かって垂直壁面部が形成され、対向する前記クランパーの対向面に形成された前記挟持突部同士を突き合わせたとき、対向する前記垂直壁面部と突き合わせた前記挟持突部の外周面部の間に形成されるリング状の溝を外歯形成部成形溝とし、突き合わせた前記挟持突部間に前記歯車素材を挟持したときの前記外歯形成部成形溝の溝幅を前記歯部の歯幅となるように構成されており、
このように構成された前記クランパーを使用して、前記歯車素材を、この軸方向両側から挟持し、前記外歯形成部成形溝内に前記外周端部を配置する工程と、前記外歯形成部成形溝内に配置された前記外周端部に、前記外歯形成部成形溝に密に嵌入する厚さを有し、外周面に断面R状の凹部からなる第1押圧面を有する第1押圧ローラを押し当てて、前記外周端部を押し潰しながら前記第1押圧ローラを前記外歯形成部成形溝内に圧入させ、前記第1押圧面で前記外周端部を押し潰して前記外歯形成部成形溝内に増肉部を形成する工程と、前記外歯形成部成形溝に密に嵌入する厚さを有し、外周面が平面状の第2押圧面を有する第2押圧ローラを前記外歯形成部成形溝内に圧入させ、前記第2押圧面を前記増肉部に押し当てて押し潰し、前記外歯形成部を形成する工程と、を含むことを特徴とする外歯歯車の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の円形板からなる歯車素材の外周端部に歯部を有する外歯歯車の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外歯歯車(例えば、平歯車や、はすば歯車等)の製造方法としては、例えば、鋳造による方法、鋳造や丸棒からの歯切り盤を用いた切削加工による方法、鍛造により直接押し出す方法、鉄粉を型込めして焼結する方法等が一般に知られている。
【0003】
上記鋳造や切削加工による方法では、製造作業が煩雑で時間がかかり生産性が悪く、また軽量化が困難であり、特に切削加工による場合には切屑が生じ材料の無駄が多くなるといった問題点があった。また、鍛造により直接押し出す方法によれば、大きなエネルギーを必要とし、また鉄粉を型込めして焼結する方法によれば、材料費が非常に高く、いずれも製造コストが嵩んでしまうといった問題点があった。
【0004】
上記問題点を解決し得る外歯歯車の製造方法として、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示された製造方法では、まず、金属製の円板状の素材を互いに対向する一対のマンドレルにて素材の軸方向両側から挟持し、マンドレルを回転させながら、素材の外周端部に増肉ローラを押し当てて、素材の外周端部に増肉部を形成する(特許文献1の
図1~
図3参照)。
増肉ローラは、断面円弧状の凹部からなる押圧面が形成されており、素材の外周端部に増肉ローラの押圧面を押し当てて増肉ローラの外周端がマンドレルの外周面に当接するまで素材の外周端部を押し潰して、押し潰した素材の外周端部を凹部からなる押圧面とマンドレルの外周面との間に封じ込め肉厚部を形成するようになっている。
次に、増肉ローラと同様に、断面円弧状の凹部からなる押圧面が形成されたカーリングローラの押圧面を前記増肉部に押し当て更に押し潰すことにより好ましい形状の増肉部を形成する(特許文献1の
図4参照)。
次に、断面矩形状の凹部からなる押圧面が形成されたバックアップローラの押圧面を前記増肉部に押し当て更に押し潰すことにより歯幅を規制した外歯形成部を形成し、この外歯形成部の外周面に歯付けローラを押し当て歯部を形成する(特許文献1の
図6参照)。
【0005】
このような特許文献1に開示された外歯歯車の製造方法によれば、歯部の歯幅よりも薄手の厚みを有する円板状の素材を用い、この素材の外周端部に増肉部を形成した後、増肉部に歯部の形成に必要な厚みを有する外歯形成部を形成することから、外歯歯車の軽量化を図りつつ、製造コストを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献1に開示された技術では、増肉ローラ、カーリングローラは、素材の外周端部に押圧面を押し当てて増肉ローラ、カーリングローラの外周端がマンドレルの外周面に当接するまで素材の外周端部を押し潰して、押し潰した素材の外周端部を凹部からなる押圧面とマンドレルの外周面との間に封じ込め肉厚部を形成するようになっているが、この場合、増肉ローラ、カーリングローラの押圧面の凹部空間の大きさと押し潰される素材の外周端部の体積の大きさが同じであることが求められ、増肉ローラ、カーリングローラの押圧面の凹部空間の大きさが素材の外周端部の体積よりも大きい場合、押し潰されて形成された増肉部に隙間が生じ、また増肉ローラ、カーリングローラの押圧面の凹部空間の大きさが素材の外周端部の体積よりも小さい場合、押し潰された素材の一部が増肉ローラ、カーリングローラの押圧面の凹部から外部へはみ出してしまう場合がある。
また、バックアップローラによる外歯形成部の形成にあっても同様なことがいえる。
【0008】
このように、増肉ローラ、カーリングローラで形成された増肉部やバックアップローラで形成された外歯形成部に隙間が生じたり、また、増肉ローラ、カーリングローラ、バックアップローラの押圧面の凹部から押し潰された素材の一部が外部へはみ出してしまった場合、外歯歯車を精度よく、且つ安定した状態で製造することができない虞があるといった問題があった。
【0009】
本発明の目的は、軽量化や製造コストの低減を図り、さらには精度よく、且つ安定した状態で製造することができる外歯歯車の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、金属製の円形板からなる歯車素材をクランパーにて両側から挟持し、前記クランパーを回転させながら、前記歯車素材の外周端部に押圧ローラを押し当て前記外周端部を増肉して外歯形成部を形成した後、歯切りにより前記外歯形成部に歯部を形成する外歯歯車の製造方法であって、前記クランパーは、その対向面に、円柱状の挟持突部と、該挟持突部の基部側に外周に向かって垂直壁面部が形成され、対向する前記クランパーの対向面に形成された前記挟持突部同士を突き合わせたとき、対向する前記垂直壁面部と突き合わせた前記挟持突部の外周面部の間に形成されるリング状の溝を外歯形成部成形溝とし、突き合わせた前記挟持突部間に前記歯車素材を挟持したときの前記外歯形成部成形溝の溝幅を前記歯部の歯幅となるように構成されており、このように構成された前記クランパーを使用して、前記歯車素材を、この軸方向両側から挟持し、前記外歯形成部成形溝内に前記外周端部を配置する工程と、前記外歯形成部成形溝内に配置された前記外周端部に、前記外歯形成部成形溝に密に嵌入する厚さを有し、外周面に断面R状の凹部からなる第1押圧面を有する第1押圧ローラを押し当てて、前記外周端部を押し潰しながら前記第1押圧ローラを前記外歯形成部成形溝内に圧入させ、前記第1押圧面で前記外周端部を押し潰して前記外歯形成部成形溝内に増肉部を形成する工程と、前記外歯形成部成形溝に密に嵌入する厚さを有し、外周面が平面状の第2押圧面を有する第2押圧ローラを前記外歯形成部成形溝内に圧入させ、前記第2押圧面を前記増肉部に押し当てて押し潰し、前記外歯形成部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の本発明によれば、前記クランパーは、その対向面に、円柱状の挟持突部と、該挟持突部の基部側に外周に向かって垂直壁面部が形成され、対向する前記クランパーの対向面に形成された前記挟持突部同士を突き合わせたとき、対向する前記垂直壁面部と突き合わせた前記挟持突部の外周面部の間に形成されるリング状の溝を外歯形成部成形溝とし、突き合わせた前記挟持突部間に前記歯車素材を挟持したときの前記外歯形成部成形溝の溝幅を前記歯部の歯幅となるように構成されており、このように構成された前記クランパーを使用して、前記歯車素材を、この軸方向両側から挟持し、前記外歯形成部成形溝内に前記外周端部を配置し、前記外歯形成部成形溝内に配置された前記外周端部に、前記外歯形成部成形溝に密に嵌入する厚を有し、外周面に断面円弧状の凹部からなる第1押圧面を有する第1押圧ローラを押し当てて、前記第1押圧面で前記外周端部を押し潰しながら前記外歯形成部成形溝内に圧入させ、前記外周端部を押し潰して前記外歯形成部成形溝内に増肉部を形成するので、前記外歯形成部成形溝内に形成された増肉部は、歯部の歯幅をもって且つ隙間のない密な状態で断面蒲鉾状に形成され、また、前記外歯形成部成形溝内で押し潰された前記外周端部の肉の一部が前記外歯形成部成形溝外へはみ出ることはない。
【0012】
そして、この後、前記外歯形成部成形溝内に前記外歯形成部成形溝に密に嵌入する厚を有し、外周面が平面状の第2押圧面を有する第2押圧ローラを圧入させ、前記第2押圧ローラを前記増肉部に押し当てて押し潰し、前記外歯形成部を形成するので、前記外歯形成部成形溝内に形成された前記外歯形成部は、歯部の歯幅をもって且つ隙間のない密な状態で外周面が平面状に形成され、また、前記外歯形成部成形溝内で押し潰された前記外周端部の肉の一部が前記外歯形成部成形溝外へはみ出ることはない。
このようにして形成された前記外歯形成部に歯切りにより歯部を形成するので、外歯歯車を精度よく、且つ安定した状態で製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係る外歯歯車の製造方法によれば、外歯歯車の軽量化や製造コストの低減を図ることができ、さらには外歯歯車を精度よく且つ、安定した状態で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る外歯歯車の製造方法の実施の形態の一例を示し、(a)は本例で製造される外歯歯車を示す正面図であり、(b)は側面図である。
【
図2】(a)は歯車素材を示す正面図であり、(b)は側面図である。
【
図3】歯車素材の外周端部を押し潰して増肉する工程を示す説明図である。
【
図4】(a)、(b)、(c)は
図3に示す工程で、歯車素材の外周端部を押し潰して増肉する過程を示す説明図である。
【
図5】歯車素材の外周端部に増肉部を形成した状態を示す説明図である。
【
図6】
図5に示す増肉部を外歯形成部に形成する工程を示す説明図である。
【
図7】
図6の工程で歯車素材の外周端部に形成した外歯形成部に歯切により歯部を形成する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る外歯歯車の製造方法の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る外歯歯車の製造方法の実施の形態の一例を示し、(a)は本例で製造される外歯歯車を示す正面図、(b)は側面図、
図2(a)は歯車素材を示す正面図、(b)は側面図、
図3は歯車素材の外周端部を押し潰して増肉する工程を示す説明図、
図4(a)、(b)、(c)は
図3に示す工程で、歯車素材の外周端部を押し潰して増肉する過程を示す説明図、
図5は歯車素材の外周端部に増肉部を形成した状態を示す説明図、
図6は
図5に示す増肉部を外歯形成部に形成する工程を示す説明図、
図7は
図6の工程で歯車素材の外周端部に形成した外歯形成部に歯切により歯部を形成する工程を示す説明図である。
【0016】
本発明に係る外歯歯車の製造方法にて製造される外歯歯車1は、所定の径寸法の円盤部2の外周に、円盤部2の厚み幅より幅広で所定の歯幅寸法に応じた幅寸法L1を有する外歯形成部3が形成され、外歯形成部3の外周面に歯部4が形成されている(
図1,2参照。)。
【0017】
上記の外歯歯車1の製造方法の各工程を
図2~
図7により説明する。
(第1工程)
先ず、金属板を所定の直径寸法に打ち抜き、円形板からなる歯車素材5を形成する。
歯車素材5は、
図2に示す様に、中心部に円盤部2となる円盤部予定エリア6が配置され、円盤部予定エリア6の外周に外歯形成部3となる歯車素材5の外周端部7を構成する外歯形成部予定エリア8が配置されている。
円盤部予定エリア6の直径寸法L2は円盤部2の直径寸法L3と同寸法に設定されている。また、外歯形成部予定エリア8の径方向の寸法L4は、後述するところの、外歯形成部予定エリア8を押し潰して形成される外歯形成部3の肉量が得られる寸法に設定されている。また、歯車素材5の円盤部予定エリア6の中心には、ボス穴9が形成されている。
【0018】
(第2工程)
次に、このように形成された歯車素材5を互いに対向する一対のクランパー10,11にて両側から挟持する。
【0019】
クランパー10,11は、
図3に示す様に、その対向面に、クランパー10,11の回転軸を中心軸とする円柱状の挟持突部12,13と、挟持突部12,13の基部側に外周に向かって垂直壁面部14,15が形成されている。挟持突部12,13の直径寸法は円盤部予定エリア6の直径寸法L2(円盤部2の直径寸法L3)と同寸法となっている。
【0020】
また、クランパー10,11の挟持突部12,13同士を付き合わせたとき、対向する垂直壁面部14,15と突き合わせた挟持突部12,13の外周面部16,17の間に形成されるリング状の溝を外歯形成部成形溝18としている。外歯形成部成形溝18の溝幅は、突き合わせた挟持突部12,13の間に歯車素材5を挟持したときの外歯形成部成形溝18の溝幅L5を歯部4の歯幅(外歯形成部3の幅幅寸法L1)となるように構成されている。
【0021】
また、クランパー11の挟持突部13の先端面の中心には、歯車素材5の円盤部予定エリア6の中心に形成されているボス穴9に挿入し、歯車素材5の位置を決める位置決め突部19が形成され、クランパー10の挟持突部12の先端面の中心には、位置決め突部19が嵌合する位置決め孔20が形成されている。
【0022】
このように構成されたクランパー10,11を使用して、歯車素材5を両側から挟持する。
クランパー10,11による歯車素材5の挟持は、歯車素材5の円盤部予定エリア6を、クランパー10,11の対向面に形成されている挟持突部12,13を突き合わせるようにして挟持する。このとき、クランパー11の挟持突部13の先端面に形成されている位置決め突部19を歯車素材5の円盤部予定エリア6の中心に形成されているボス穴9に挿入し、ボス穴9から突出させてクランパー10の挟持突部12の先端面に形成されている位置決め孔20に嵌合することにより、クランパー10,11の対向面に形成されている挟持突部12,13で歯車素材5の円盤部予定エリア6が確実に挟持される。
【0023】
挟持突部12,13により円盤部予定エリア6を挟持された歯車素材5の外歯形成部予定エリア8(外周端部7)は、クランパー10,11の対向する垂直壁面部14,15と突き合わせた挟持突部12,13の外周面部16,17の間に形成される外歯形成部成形溝18内に配置され、露出した状態となる。
【0024】
(第3工程)
このようにして歯車素材5をクランパー10,11で挟持したら、次に、同じく、
図3に示す様に、外歯形成部成形溝18の直上に、外歯形成部成形溝18の溝幅に密に嵌入する厚さを有し、外周面に断面R状の凹部からなる第1押圧面20を有する第1押圧ローラ21を配置する。第1押圧ローラ21は回転可能に支持されている。
【0025】
そして、歯車素材5をクランプしたクランパー10,11を回転させながら、第1押圧ローラ17を外歯形成部成形溝15に向けて下降させ、
図4に示す様に、外歯形成部成形溝18内に配置され露出している歯車素材5の外周端部7に第1押圧ローラ21の第1押圧面20を押し当てて、外周端部7を構成する外歯形成部予定エリア8を押し潰しながら第1押圧ローラ21を外歯形成部成形溝18内に圧入させ、第1押圧面20で外周端部7を押し潰し、第1押圧ローラ21の第1押圧面20と外歯形成部成形溝18の垂直壁面部14,15と挟持突部12,13の外周面部16,17により外歯形成部成形溝18内に増肉部22を形成する(
図5参照。)。
【0026】
このようにして形成された増肉部22は、第1押圧ローラ21の第1押圧面20と外歯形成部成形溝18の垂直壁面部14,15と挟持突部12,13の外周面部16,17により、歯部4の歯幅(外歯形成部3の幅)の歯幅と肉厚をもって且つ隙間のない密な状態で断面蒲鉾状に形成され、また、外歯形成部成形溝18内で押し潰された外周端部7の肉の一部が垂直壁面部14,15と第1押圧ローラ21の間から外歯形成部成形溝18外へはみ出ることはない。
【0027】
(第4工程)
このようにして外歯形成部成形溝18内に増肉部22を形成したら、次に、外歯形成部成形溝18の直上に、第1押圧ローラ21と同様に、外歯形成部成形溝18の溝幅に密に嵌入する厚さを有し、外周面が平面状の第2押圧面23を有する第2押圧ローラ24を配置する。第2押圧ローラ24は回転可能に支持されている。
【0028】
そして、
図6に示す様に、歯車素材5をクランプしたクランパー10,11を回転させながら、第2押圧ローラ24を圧入させ、外歯形成部成形溝18内に形成されている増肉部22に第2押圧ローラ24の第2押圧面23を押し当てて押し潰し、第2押圧ローラ24の第2押圧面23と外歯形成部成形溝18の垂直壁面部14,15と挟持突部12,13の外周面部16,17により外歯形成部3を形成する。
【0029】
このようにして外歯形成部成形溝18内に形成された外歯形成部3は、第2押圧ローラ24の第2押圧面23と外歯形成部成形溝18の垂直壁面部14,15と挟持突部12,13の外周面部16,17により、歯部4の歯幅と所定の肉厚をもって且つ隙間のない密な状態で外周面が平面状に形成され、また、外歯形成部成形溝18内で押し潰された増肉部22の肉の一部が垂直壁面部14,15と第2押圧ローラ24の間から外歯形成部成形溝18外へはみ出ることはない。
【0030】
(第5工程)
このようにして歯車素材5の外周に外歯形成部3を形成したら、次に、歯車素材5をクランパー10,11から外し、別に用意したクランパー25,26にて歯車素材5を両側から挟持する。
【0031】
クランパー25,26は、
図7に示す様に、外歯形成部成形溝18の深さ寸法、即ち垂直壁面部14,15の高さ寸法がクランパー10,11より短いという以外は、クランパー10,11と同一の構成となっており、同一の部分はクランパー10,11と同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
クランパー25,26の外歯形成部成形溝18の深さ寸法、即ち垂直壁面部14,15の高さ寸法は、外歯形成部配置溝18内において、外歯形成部3の外周面側が所定長さ分クランパー25,26の外周面27,28よりも外側に突出する長さとなっている。上記の所定長さ分とは、歯部4の形成にあたり必要とされる歯部4の基端から頂部までの長さに相当する長さである。
【0033】
このように構成されたクランパー25,26を使用して、外周に外歯形成部3を形成した歯車素材5を両側からクランパー10,11と同様の手法で挟持すると、外歯形成部成形溝18内に配置された外歯形成部3は、その外周面側が所定長さ分クランパー25,26の外周面27,28よりも外側に突出した状態となる(
図7参照)。
【0034】
(第6工程)
このようにして外周に外歯形成部3を形成した歯車素材5をクランパー25,26で挟持したら、次に、歯切り盤29を用いて外歯形成部3の外歯形成部成形溝18から外部へ突出している部分に歯切り加工を行う。歯切り盤29にあっては公知の歯切り盤が用いられる。
このようにして外歯形成部3に歯部4が形成され、
図1に示す外歯歯車1の製造が完了する。
【符号の説明】
【0035】
1 外歯歯車
2 円盤部
3 外歯形成部
4 歯部
5 歯車素材
6 円盤部予定エリア
7 外周端部
8 外歯形成部予定エリア
9 ボス穴
10,11 クランパー
12,13 挟持突部
14,15 垂直面部
16,17 外周面部
18 外歯形成部成形溝
19 位置決め突部
20 第1押圧面
21 第1押圧ローラ
22 増肉部
23 第2押圧面
24 第2押圧ローラ
25,26 クランパー
27,28 外周面
29 歯切り盤