IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図1
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図2
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図3
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図4
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図5
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図6
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図7
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図8
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図9
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図10
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図11
  • 特開-媒体処理装置および媒体処理方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034631
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】媒体処理装置および媒体処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20230306BHJP
   G07D 11/20 20190101ALI20230306BHJP
   G07B 5/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A61L2/10
G07D11/20
G07B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140960
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】目出 和也
(72)【発明者】
【氏名】横田 勇亮
【テーマコード(参考)】
3E141
4C058
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA05
3E141AA08
3E141BA01
3E141BA03
3E141BA06
3E141BA14
3E141CA20
3E141FG11
3E141FJ08
3E141FJ10
3E141FK08
4C058AA30
4C058BB06
4C058CC04
4C058CC05
4C058DD05
4C058DD11
4C058DD14
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK34
4C058KK44
(57)【要約】
【課題】状況に適合した媒体の消毒を行うことができる媒体処理装置および媒体処理方法を提供する。
【解決手段】媒体処理装置は、媒体を処理する媒体処理装置であって、前記処理が行われる際に前記媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されている前記媒体を消毒するように配置されている消毒装置と、前記搬送部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記搬送部を制御することによって、前記処理の実行中に前記媒体が前記消毒装置を通過する時間を調整し、前記時間を調整することによって、前記消毒装置による前記媒体の消毒レベルを調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を処理する媒体処理装置であって、
前記処理が行われる際に前記媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されている前記媒体を消毒するように配置されている消毒装置と、
前記搬送部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記搬送部を制御することによって、前記処理の実行中に前記媒体が前記消毒装置を通過する時間を調整し、
前記時間を調整することによって、前記消毒装置による前記媒体の消毒レベルを調整する
媒体処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記処理の実行中に前記媒体が前記消毒装置を通過する時間が短い第1設定と、前記処理の実行中に前記媒体が前記消毒装置を通過する時間が長い第2設定とを少なくとも含む設定群の中から1つの設定を選択することにより、前記消毒レベルを調整する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記第1設定において前記搬送部が前記媒体を搬送する搬送速度は、前記第2設定において前記搬送部が前記媒体を搬送する搬送速度よりも大きい、
請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記第1設定において前記搬送部が前記媒体を前記消毒装置に搬送する回数は、前記第2設定において前記搬送部が前記媒体を前記消毒装置に搬送する回数よりも少ない、
請求項2または3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記媒体に対して行われる処理を示す情報である処理情報と、前記処理情報によって示される処理の実行によって達成される前記媒体の消毒の程度に対応する消毒指数と、前記処理情報によって示される処理の実行に要する時間の程度に対応する時間指数とが、互いに関連付けられて設定毎に記憶部に記憶されており、
前記制御部は、予め定められている条件を満たす設定を前記記憶部から取得することにより、前記設定を選択する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、複数の処理毎に、前記処理情報と、前記消毒指数と、前記時間指数とを互いに関連付けて記憶している、
請求項5に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記複数の処理情報を、前記搬送部による前記媒体の搬送の始点と終点の組み合わせ毎にカテゴリー分けして記憶している、
請求項6に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、第1カテゴリーに含まれる前記処理情報と、第2カテゴリーに含まれる前記処理情報とを互いに関連付けて記憶しており、
前記制御部は、前記第1カテゴリーに含まれる前記処理情報によって示される処理が実行された後、実行された処理を示す前記処理情報に関連付けられており、かつ、前記第2カテゴリーに含まれる前記処理情報によって示される処理を実行するように前記搬送部を制御する、
請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記記憶部は、設定毎に、前記第1カテゴリーに含まれる前記処理情報に対応付けられている前記消毒指数と、前記第2カテゴリーに含まれる前記処理情報に対応付けられている前記消毒指数との合計である合計消毒指数、および、前記第1カテゴリーに含まれる前記処理情報に対応付けられている前記時間指数と、前記第2カテゴリーに含まれる前記処理情報に対応付けられている前記時間指数との合計である合計時間指数を記憶しており、
前記制御部は、前記条件を満たす設定を前記記憶部から取得することにより、前記設定群の中から選択される前記1つの設定を選択する、
請求項8に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記第1カテゴリーに含まれる前記処理情報が示す処理はいずれも入金処理の一種であり、前記第2カテゴリーに含まれる前記処理情報が示す処理はいずれも出金処理の一種である、
請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記記憶部をさらに備える、
請求項5から10のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記記憶部に記憶されている情報をネットワークを介して受信することができるように構成されている通信部をさらに備える、
請求項5から10のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記設定を選択する操作を受け付ける指示受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記指示受付部が受け付けた操作に基づいて前記設定を選択する、
請求項5から12のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
前記媒体処理装置が設置されている施設の混雑度に関する情報を取得する混雑度情報取得部をさらに備え、
前記条件は、前記混雑度情報取得部が取得した情報に基づいて定められている、
請求項5から13のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項15】
前記媒体を排出する排出部と、
前記搬送部が前記排出部に前記媒体を搬送する処理によって達成される前記消毒レベルに対応する報知を行う報知部と、をさらに備える、
請求項1から14のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項16】
前記報知部は、前記消毒レベルに応じて発光状態を変更する光源、前記消毒レベルに応じて表示内容を変更するディスプレイ、および、前記消毒レベルに応じて出力内容を変更する音源の少なくとも1つを備えている、請求項15に記載の媒体処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記消毒レベルが予め定められているレベルに達するまで前記媒体が前記消毒装置を通過するように、前記搬送部を制御する、
請求項15または16に記載の媒体処理装置。
【請求項18】
前記搬送部は、前記媒体を循環搬送する循環搬送部を備え、
前記消毒装置は、前記循環搬送部によって搬送されている前記媒体を消毒するように配置されており、
前記制御部は、前記消毒レベルが前記レベルに達するまで前記媒体が前記循環搬送部を循環するように、前記搬送部を制御する、
請求項17に記載の媒体処理装置。
【請求項19】
前記消毒装置は、前記搬送部によって搬送されている前記媒体に紫外線を照射するように構成され、
前記制御部は、前記搬送部を制御することによって、前記消毒装置による前記媒体に対する紫外線の照射時間を調整する、
請求項1から18のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項20】
媒体を処理する媒体処理方法であって、
前記処理が行われている間に前記媒体を搬送部が搬送し、
搬送されている前記媒体を消毒装置が消毒し、
前記搬送部を制御することによって、前記処理の実行中に前記媒体が前記消毒装置を通過する時間を調整し、
前記時間を調整することによって、前記消毒装置による前記媒体の消毒レベルを調整する、ことを含む
媒体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体処理装置および媒体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されている紙葉類処理装置のように、従来から、様々な媒体処理装置が知られている。
【0003】
一方、近年、媒体の清潔度、特に菌やウイルスの媒体への付着に対する関心が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/064810号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体を処理する際に媒体を消毒することで菌やウイルスの影響を除去または低減することができる。しかしながら、媒体をどの程度消毒するかは、状況によって変わりうるし、媒体の消毒にどの程度の時間をかけることができるかも、状況によって変わりうる。
【0006】
本開示は、状況に適合した媒体の消毒を行うことができる媒体処理装置および媒体処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる媒体処理装置は、媒体を処理する媒体処理装置であって、前記処理が行われる際に前記媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されている前記媒体を消毒するように配置されている消毒装置と、前記搬送部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記搬送部を制御することによって、前記処理の実行中に前記媒体が前記消毒装置を通過する時間を調整し、前記時間を調整することによって、前記消毒装置による前記媒体の消毒レベルを調整する。
【0008】
制御部は、処理の実行中に媒体が消毒装置を通過する時間が短い第1設定と、処理の実行中に媒体が消毒装置を通過する時間が長い第2設定とを少なくとも含む設定群の中から1つの設定を選択することにより、消毒レベルを調整してもよい。
【0009】
第1設定において搬送部が媒体を搬送する搬送速度は、第2設定において搬送部が媒体を搬送する搬送速度よりも大きくてもよい。換言すれば、制御部は、搬送部による媒体の搬送速度を調整することにより、媒体が消毒装置を通過する時間を調整し、ひいては、消毒レベルを調整してもよい。
【0010】
第1設定において搬送部が媒体を消毒装置に搬送する回数は、第2設定において搬送部が媒体を消毒装置に搬送する回数よりも少なくてもよい。換言すれば、制御部は、搬送部が媒体を消毒装置に搬送する回数を調整することにより、媒体が消毒装置を通過する時間(合計時間)を調整し、ひいては、消毒レベルを調整してもよい。
【0011】
媒体に対して行われる処理を示す情報である処理情報と、処理情報によって示される処理の実行によって達成される媒体の消毒の程度に対応する消毒指数と、処理情報によって示される処理の実行に要する時間の程度に対応する時間指数とが、互いに関連付けられて設定毎に記憶部に記憶されており、制御部は、予め定められている条件を満たす設定を記憶部から取得することにより、設定を選択してもよい。予め定められている条件は、例えば、媒体を処理する際に媒体が予め定められた位置(例えば一時保留部)を通過する設定であるか否かという条件であってもよい。予め定められている条件は、例えば、媒体処理に要する時間が予め定められている閾値以下であるか否か、という条件であってもよい。予め定められている条件は、消毒レベルが予め定められている閾値以上であるか否か、という条件であってもよい。予め定められている条件は、例えば、媒体処理装置のユーザーによって定められていてもよい。
【0012】
記憶部は、複数の処理毎に、処理情報と、消毒指数と、時間指数とを互いに関連付けて記憶していてもよい。
【0013】
記憶部は、複数の処理情報を、搬送部による媒体の搬送の始点と終点の組み合わせ毎にカテゴリー分けして記憶していてもよい。途中のルートまたは搬送速度は異なるものの、始点と終点が共通する複数の処理は、同じカテゴリーに含ませることができる。そのように処理をカテゴリー分けするように、記憶部は、処理情報(例えば処理の名称)をカテゴリー分けして記憶してもよい。
【0014】
記憶部は、第1カテゴリーに含まれる処理情報と、第2カテゴリーに含まれる処理情報とを互いに関連付けて記憶しており、制御部は、第1カテゴリーに含まれる処理情報によって示される処理が実行された後、実行された処理を示す処理情報に関連付けられており、かつ、第2カテゴリーに含まれる処理情報によって示される処理を実行するように搬送部を制御してもよい。換言すれば、第2カテゴリーに含まれる処理は、第1カテゴリーに含まれる処理の後に行われる処理であってもよい。
【0015】
記憶部は、設定毎に、第1カテゴリーに含まれる処理情報に対応付けられている消毒指数と、第2カテゴリーに含まれる処理情報に対応付けられている消毒指数との合計である合計消毒指数、および、第1カテゴリーに含まれる処理情報に対応付けられている時間指数と、第2カテゴリーに含まれる処理情報に対応付けられている時間指数との合計である合計時間指数を記憶しており、制御部は、条件を満たす設定を記憶部から取得することにより、設定群の中から選択される設定を選択してもよい。
【0016】
第1カテゴリーに含まれる処理情報が示す処理はいずれも入金処理の一種であり、第2カテゴリーに含まれる処理情報が示す処理はいずれも出金処理の一種であってもよい。換言すれば、第1カテゴリーは、入金処理を意味するカテゴリーであり、第2カテゴリーは出金処理を意味するカテゴリーであってもよい。
【0017】
媒体処理装置は、記憶部をさらに備えてもよい。制御部は、記憶部から情報を受け取り、搬送部を制御することができる。
【0018】
媒体処理装置は、記憶部に記憶されている情報をネットワークを介して受信することができるように構成されている通信部をさらに備えてもよい。制御部は、通信部を介して記憶部から情報を受け取り、搬送部を制御することができる。
【0019】
媒体処理装置は、設定を選択する操作を受け付ける指示受付部をさらに備え、制御部は、指示受付部が受け付けた操作に基づいて設定を選択してもよい。媒体処理装置のユーザーは、状況に合わせて臨機応変に指示を与えることができ、媒体処理装置は、状況に合わせて適切な媒体処理および消毒を行うことができる。
【0020】
媒体処理装置は、媒体処理装置が設置されている施設の混雑度に関する情報を取得する混雑度情報取得部をさらに備え、条件は、混雑度情報取得部が取得した情報に基づいて定められてもよい。媒体処理装置は、自動的に設定を選択し、状況に合わせて適切な媒体処理および消毒を行うことができる。
【0021】
媒体処理装置は、媒体を排出する排出部と、搬送部が排出部に媒体を搬送する処理によって達成される消毒レベルに対応する報知を行う報知部と、をさらに備えてもよい。
【0022】
報知部は、消毒レベルに応じて発光状態を変更する光源、消毒レベルに応じて表示内容を変更するディスプレイ、および、消毒レベルに応じて出力内容を変更する音源の少なくとも1つを備えていてもよい。
【0023】
制御部は、消毒レベルが予め定められているレベルに達するまで媒体が消毒装置を通過するように、搬送部を制御してもよい。
【0024】
搬送部は、媒体を循環搬送する循環搬送部を備え、消毒装置は、循環搬送部によって搬送されている媒体を消毒するように配置されており、制御部は、消毒レベルが予め定められているレベルに達するまで媒体が循環搬送部を循環するように、搬送部を制御してもよい。
【0025】
消毒装置は、搬送部によって搬送されている媒体に紫外線を照射するように構成され、制御部は、搬送部を制御することによって、消毒装置による媒体に対する紫外線の照射時間を調整してもよい。
【0026】
媒体処理装置は、媒体として貨幣を処理する貨幣処理装置であってもよいし、媒体として紙幣を処理する紙幣処理装置であってもよいし、媒体として硬貨を処理する硬貨処理装置であってもよい。媒体は小切手でもよい。
【0027】
制御部は、媒体処理装置の過去の運用状況に基づいて、設定を選択してもよい。過去の運用状況が、入金処理よりも出金処理が多いことを示している場合、制御部は、出金処理をより迅速に行うことができる設定を選択してもよい。また、過去の運用状況が、出金処理よりも入金処理が多いことを示している場合、制御部は、入金処理を迅速に行うことができる設定を選択してもよい。
【0028】
本開示にかかる媒体処理方法は、媒体を処理する媒体処理方法であって、前記処理が行われている間に前記媒体を搬送部が搬送し、搬送されている前記媒体を消毒装置が消毒し、前記搬送部を制御することによって、前記処理の実行中に前記媒体が前記消毒装置を通過する時間を調整し、前記時間を調整することによって、前記消毒装置による前記媒体の消毒レベルを調整することを含む。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、状況に適合した媒体の消毒を行うことができる媒体処理装置および媒体処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態に係る媒体処理装置の模式図。
図2】設定群の一例を示す図。
図3】消毒指数の概念を例示する図。
図4】設定群の一例を示す図。
図5】設定群の一例を示す図。
図6】設定群の一例を示す図。
図7】第2実施形態に係る媒体処理装置の模式図。
図8】第3実施形態に係る媒体処理装置の模式図。
図9】第4実施形態に係る媒体処理装置における設定群の一例を示す図。
図10】第4実施形態に係る媒体処理装置の変形例の模式図。
図11】第5実施形態に係る媒体処理装置の斜視図。
図12】第6実施形態に係る媒体処理装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本明細書には、「第1設定」のように、「第1」、「第2」等の助数詞が付されている構成または概念が記載されているが、これらの助数詞は、複数ある同一または類似の構成または概念を互いに区別しやすくするための便宜的なものに過ぎない。よって、場合によっては、「第1」という助数詞が付されている構成または概念と「第2」という助数詞が付されている構成または概念とを互いに入れ替えて読むことも可能である。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る媒体処理装置1の模式図である。媒体処理装置1は、媒体の一例である紙幣を処理する紙幣処理装置である。
【0033】
媒体処理装置1は、銀行等の金融機関、コンビニエンスストア等の流通店舗または警備輸送機関等の施設に設置され、紙幣を処理する装置である。具体例として、紙幣硬貨入金機、紙幣硬貨出金機、紙幣硬貨入出金機、現金自動預け払い機、税公金支払機、両替機、出納機、券売機、自動販売機、釣銭機、売上金入出金機、紙幣計数機、紙幣整理機、紙幣結束機、電子マネーチャージ機および紙幣消毒装置が挙げられる。
【0034】
媒体処理装置1は、第1端点11と第2端点12との間で紙幣を搬送する搬送部13を備えている。媒体処理装置1が、入金処理を行うことができる紙幣処理装置である場合、第1端点11は入金部または入出金部であり、第2端点12は、紙幣を収納する収納部である。媒体処理装置1が、出金処理を行うことができる紙幣処理装置である場合、第1端点11は出金部または入出金部であり、第2端点12は、収納部である。第1端点11と第2端点12の組み合わせは上記の組み合わせには限られず、例えば、第1端点11が入金部であり、第2端点12が出金部であってもよい。また、第1端点11が一時保留部であり、第2端点12が収納部であってもよい。あるいは、媒体処理装置1が、精査処理を行うことができる紙幣処理装置である場合、第1端点11および第2端点12の両方が収納部であってもよい。
【0035】
また、媒体処理装置1は、消毒装置14を備えている。消毒装置14は、搬送部13によって搬送されている紙幣を消毒することができるように搬送部13に隣接して配置されている。消毒装置14は、搬送部13に組み込まれていてもよい。消毒装置14は、媒体処理装置1が処理する紙幣を消毒する。消毒装置14は、紫外線照射装置、消毒物質供給装置および加熱装置の1つ以上を備えることができる。
【0036】
消毒装置14が紫外線照射装置を備える場合、消毒は紙幣に対する紫外線照射によって行われる。消毒装置14が消毒物質供給装置を備える場合、消毒は紙幣と消毒作用を有する物質との接触によって行われる。なお、消毒作用を有する物質は、液体であってもよいし、気体であってもよいし、粉体であってもよい。また、消毒装置14が加熱装置を備える場合、消毒は紙幣の加熱によって行われる。
【0037】
なお、本明細書において、消毒とは、ヒト等の生物の疾病の原因となりうる菌またはウイルスの感染力を除去または低減することであり、殺菌、滅菌、失活または破壊を包含する概念である。
【0038】
制御部15は、搬送部13および消毒装置14を制御する。消毒装置14が紫外線照射装置を備える場合、制御部15は、搬送部13を制御することによって、消毒装置14による紙幣に対する紫外線の照射時間を調整することができる。第1端点11および第2端点12が機械要素を備える場合、制御部15は、第1端点11および第2端点12を制御してもよい。
【0039】
制御部15は、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置とメモリーを有する。演算処理装置は、メモリーに記憶されたプログラムを読み出して実行する。制御部15は、プログラムを実行することにより、媒体処理装置1の全体を統括制御する。
【0040】
制御部15は、媒体処理装置1を構成する一要素であってもよいし、媒体処理装置1とは別体のコンピュータであってもよい。つまり、媒体処理装置1は制御部15を備えてもよい。また、媒体処理装置1は、無線または有線で制御部15に直接接続されて、または、ネットワークを介して制御部15に接続されて、制御部15によって制御されてもよい。
【0041】
以上のように構成されている媒体処理装置1は、次のように紙幣を処理する。紙幣の処理(例えば、入金処理、出金処理または精査処理)を行う際、制御部15は、搬送部13を制御し、第1端点11から第2端点12に紙幣を搬送する。その際、紙幣は消毒装置14(つまり、消毒装置14によって消毒されることができる位置)を通過する。このとき、制御部15は、消毒装置14を作動させる。よって、搬送部13によって搬送されている紙幣は消毒装置14によって消毒される。
【0042】
制御部15は、紙幣がどの程度消毒されるか、つまり、紙幣の消毒レベルを調整することができる。具体的には、搬送部13を制御し、紙幣の処理の実行中に、紙幣が消毒装置14を通過する時間の長さを調整することで、消毒レベルを調整することができる。例えば、搬送部13が紙幣を搬送する速度を低減すると、紙幣が消毒装置14を通過する時間が長くなる。時間が長くなると、消毒される時間が長くなる。つまり、消毒レベルを上げることができる。逆に、搬送部13が紙幣を搬送する速度を増加させると、紙幣が消毒装置14を通過する時間が短くなる。時間が短くなると、消毒される時間が短くなる。つまり、消毒レベルを下げることができる。
【0043】
また、搬送部13を制御し、紙幣の処理の実行中に、紙幣が消毒装置14を通過する回数を調整することで、紙幣が消毒装置14を通過する時間(つまり合計時間)の長さを調整することができ、ひいては、消毒レベルを調整することができる。例えば、紙幣が消毒装置14を通過する回数を多くすると、紙幣が消毒装置14を通過する時間が長くなる。時間が長くなると、消毒される時間が長くなる。つまり、消毒レベルを上げることができる。逆に、紙幣が消毒装置14を通過する回数を少なくすると、紙幣が消毒装置14を通過する時間が短くなる。時間が短くなると、消毒される時間が短くなる。つまり、消毒レベルを下げることができる。
【0044】
以上のように紙幣の消毒レベルを調整することにより、要求されるレベルを満たすように紙幣を消毒しつつ、紙幣を処理することができる。
【0045】
制御部15は、設定群の中から1つの設定を選択することにより、消毒レベルを調整してもよい。設定群は、紙幣の処理の実行中に紙幣が消毒装置14を通過する時間がそれぞれ互いに異なる複数の設定を含む。この場合、設定群には、少なくとも2つの設定、つまり第1設定と第2設定が含まれる。第1設定は、処理の実行中に紙幣が消毒装置14を通過する時間が短い設定であり、第2設定は、処理の実行中に紙幣が消毒装置14を通過する時間が、第1設定における時間よりも長い設定である。設定群は、制御部15が実行するプログラムに組み込まれていてもよい。この場合、制御部15は、所定の条件に従って、実行する設定を設定群から選択することができる。
【0046】
図2は、設定群の一例を示す図である。図2に示される例では、高速ダイレクト入金の設定と低速ダイレクト入金の設定が予め定められている。高速ダイレクト入金とは、入金処理の一種であり、搬送部13によって比較的高速で、入金部から収納部まで一時保留部を経由することなくダイレクトに紙幣が搬送される処理である。また、低速ダイレクト入金とは、入金処理の一種であり、搬送部13によって比較的低速で、入金部から収納部まで一時保留部を経由することなくダイレクトに紙幣が搬送される処理である。
【0047】
消毒指数とは、紙幣の処理の実行によって達成される紙幣の消毒の程度(換言すれば、得られる消毒効果)に対応する指数である。消毒指数は達成される消毒の程度を絶対的に示す数値ではなく相対的に示す数値である。例えば、搬送部13が低速で紙幣を搬送し、紙幣が消毒装置14を1回通過することで得られる消毒効果の大きさを基準とし、その値を1とした場合における、消毒効果の相対的な大きさの程度を消毒指数は示している。図2に示される例では、低速ダイレクト入金の消毒指数は1であり、高速ダイレクト入金の消毒指数は0.5である。これは、低速ダイレクト入金を行うと、高速ダイレクト入金を行った場合のおよそ2倍の消毒効果が得られることを意味している。「およそ」とされる理由は以下の通りである。つまり、図3に示されるように、消毒指数は、ある一定の幅の消毒の程度毎に段階的に変化する数値であり、1つの消毒指数によって得られる消毒効果が一意に特定されるわけではないからである。換言すれば、消毒指数は、達成される消毒の程度(例えば除菌率)に対して無段階に(例えば直線的に、または、ある曲線に沿って)変化する数値ではなく、ある程度の幅毎に段階的に変化する数値であるからである。
【0048】
時間指数とは、紙幣の処理の実行に要する時間の程度に対応する指数である。時間指数は要する時間の程度を絶対的に示す数値ではなく相対的に示す数値である。例えば、搬送部13が高速で紙幣を搬送し、紙幣が入金部から収納部までダイレクトに搬送される場合に必要な時間の大きさを基準とし、その値を1とした場合における、処理に必要な時間の相対的な長さの程度を消毒指数は示している。図2に示される例では、高速ダイレクト入金の時間指数は1であり、低速ダイレクト入金の時間指数は1.5である。これは、低速ダイレクト入金には高速ダイレクト入金のおよそ1.5倍の時間が必要であることを意味している。「およそ」とされる理由は以下の通りである。つまり、時間指数は、ある一定の長さの時間毎に段階的に変化する数値であり、1つの時間指数によって実際に要する時間が一意に特定されるわけではないからである。換言すれば、時間指数は、実際にかかる時間に対して無段階に(例えば直線的に、または、ある曲線に沿って)変化する数値ではなく、ある程度の長さ毎に段階的に変化する数値であるからである。
【0049】
図2に示される例では、消毒指数は消毒レベルに対応する。つまり、消毒指数が相対的に大きい低速ダイレクト入金を行うことで、消毒指数が相対的に小さい高速ダイレクト入金が行われる場合よりも、紙幣の消毒レベルを相対的に高くすることができる。
【0050】
また、図2に示される例では、高速ダイレクト入金を第1設定とし、低速ダイレクト入金を第2設定とすることができる。第1設定と第2設定を含む設定群が予め設定されており、制御部15は、設定群の中から第1設定または第2設定を選択することで、消毒レベルを調整することができる。
【0051】
図4は、設定群の他の一例を示す図である。図4に示される例では、高速ダイレクト出金の設定と低速ダイレクト出金の設定が予め定められている。高速ダイレクト出金とは、出金処理の一種であり、搬送部13によって比較的高速で、収納部から出金部まで一時保留部を経由することなくダイレクトに紙幣が搬送される処理である。また、低速ダイレクト出金とは、出金処理の一種であり、搬送部13によって比較的低速で、収納部から出金部まで一時保留部を経由することなくダイレクトに紙幣が搬送される処理である。
【0052】
図4に示される例では、消毒指数は消毒レベルに対応する。つまり、消毒指数が相対的に大きい低速ダイレクト出金を行うことで、消毒指数が相対的に小さい高速ダイレクト出金が行われる場合よりも、紙幣の消毒レベルを相対的に高くすることができる。
【0053】
また、図4に示される例では、高速ダイレクト出金を第1設定とし、低速ダイレクト出金を第2設定とすることができる。第1設定と第2設定を含む設定群が予め設定されており、制御部15は、設定群の中から第1設定または第2設定を選択することで、消毒レベルを調整することができる。
【0054】
図5は、設定群のさらに他の一例を示す図である。図5に示される例では、高速ダイレクト入金、低速ダイレクト入金、高速一時保留入金、変速一時保留入金および低速一時保留入金の設定が予め定められている。
【0055】
高速一時保留入金とは、入金処理の一種であり、搬送部13によって比較的高速(後に説明する低速一時保留入金における紙幣の搬送速度よりも速い搬送速度)で、入金部から一時保留部に紙幣が搬送された後、一時保留部から収納部に紙幣が搬送される処理である。入金部から一時保留部に搬送される際、および、一時保留部から収納部に搬送される際に、紙幣は消毒装置14を通過する。つまり、高速一時保留入金が行われる場合、紙幣は、消毒装置14を高速で2回通過する。
【0056】
変速一時保留入金とは、入金処理の一種であり、入金部から一時保留部に紙幣が搬送された後、一時保留部から収納部に紙幣が搬送される処理である。入金部から一時保留部へ紙幣が搬送されるときの搬送速度は比較的高速である。また、一時保留部から収納部へ紙幣が搬送されるときの搬送速度は比較的低速、つまり、入金部から一時保留部へ紙幣が搬送されるときの搬送速度よりも低速である。換言すると、変速一時保留入金とは、紙幣が入金処理されるときの始点と終点との間における一部の区間で、紙幣が高速で搬送され、他の一部の区間で、紙幣が低速で搬送される処理である。入金部から一時保留部に搬送される際、および、一時保留部から収納部に搬送される際に、紙幣は消毒装置14を通過する。つまり、変速一時保留入金が行われる場合、紙幣は、消毒装置14を高速で1回通過し、低速で1回通過する。変速一時保留入金を行うと、入金された紙幣が、一旦、一時保留部に比較的短時間のうちに収納されることになる。この動作により、入金処理された紙幣を確定させることができる。よって、入金者を入金作業から解放することができる。そして、入金者を解放した後に、時間をかけて、一時保留部から収納部への紙幣搬送および2回目の消毒処理を行うことができる。つまり、変速一時保留入金を行うことにより、入金者を短時間で入金作業から解放しつつ、より長い時間をかけて紙幣の消毒を行うことができる。
【0057】
低速一時保留入金とは、入金処理の一種であり、搬送部13によって比較的低速(上述の高速一時保留入金における紙幣の搬送速度よりも遅い搬送速度)で、入金部から一時保留部に紙幣が搬送された後、一時保留部から収納部に紙幣が搬送される処理である。入金部から一時保留部に搬送される際、および、一時保留部から収納部に搬送される際に、紙幣は消毒装置14を通過する。つまり、低速一時保留入金が行われる場合、紙幣は、消毒装置14を低速で2回通過する。
【0058】
高速一時保留入金が行われる場合の消毒指数は、1である。これは、消毒装置14を高速で1回通過するときの消毒効果(消毒指数0.5に相当)のおよそ2倍(2回分)の消毒効果が得られることを示している。高速一時保留入金が行われる場合の消毒指数は、低速ダイレクト入金の消毒指数と同じ1である。これは、高速一時保留入金が行われる場合、搬送部13による紙幣の搬送速度は大きいものの、消毒装置14を通過する回数が増えるので、低速ダイレクト入金が行われるときと同程度の消毒効果を得ることができるということを示している。
【0059】
変速一時保留入金が行われる場合の消毒指数は1.5である。これは、消毒装置14を低速で通過するときの消毒効果(消毒指数1に相当)と、消毒装置14を高速で通過するときの消毒効果(消毒指数0.5に相当)の合計と同程度の消毒効果が得られることを示している。
【0060】
低速一時保留入金が行われる場合の消毒指数は、2である。これは、消毒装置14を低速で1回通過するときの消毒効果(消毒指数1に相当)のおよそ2倍(2回分)の消毒効果が得られることを示している。
【0061】
高速一時保留入金が行われる場合の時間指数は2である。これは、高速一時保留入金は高速ダイレクト入金のおよそ2倍の時間を要することを示している。また、変速一時保留入金が行われる場合の時間指数は2.5である。これは、変速一時保留入金は高速ダイレクト入金のおよそ2.5倍の時間を要することを示している。また、低速一時保留入金が行われる場合の時間指数は3である。これは、低速一時保留入金は高速ダイレクト入金のおよそ3倍の時間を要することを示している。
【0062】
図5に示される例では、消毒指数は消毒レベルに対応する。つまり、消毒指数が相対的に大きい設定の処理を行うことで、消毒指数が相対的に小さい設定の処理が行われる場合よりも、紙幣の消毒レベルを相対的に高くすることができる。
【0063】
また、図5に示される例では、5つの設定のうちの1つの設定を第1設定とし、5つの設定のうちの他の1つを第2設定とすることができる。第1設定と第2設定を含む設定群が予め設定されており、制御部15は、設定群の中から第1設定または第2設定を選択することで、消毒レベルを調整することができる。図5に示される例では、第1設定および第2設定に加えて、第3設定、第4設定および第5設定も設定することができることは言うまでもない。
【0064】
図6は、設定群のさらに他の一例を示す図である。図6に示される例では、高速ダイレクト出金、低速ダイレクト出金、高速一時保留出金、変速一時保留出金および低速一時保留出金の設定が予め定められている。
【0065】
高速一時保留出金とは、出金処理の一種であり、搬送部13によって比較的高速で、収納部から一時保留部に紙幣が搬送された後、一時保留部から出金部に紙幣が搬送される処理である。収納部から一時保留部に搬送される際、および、一時保留部から出金部に搬送される際に、紙幣は消毒装置14を通過する。つまり、高速一時保留出金が行われる場合、紙幣は、消毒装置14を高速で2回通過する。
【0066】
変速一時保留出金とは、出金処理の一種であり、収納部から一時保留部に紙幣が搬送された後、一時保留部から出金部に紙幣が搬送される処理である。収納部から一時保留部へ紙幣が搬送されるときの搬送速度は比較的低速である。また、一時保留部から出金部へ紙幣が搬送されるときの搬送速度は比較的高速である。収納部から一時保留部に搬送される際、および、一時保留部から出金部に搬送される際に、紙幣は消毒装置14を通過する。つまり、変速一時保留出金が行われる場合、紙幣は、消毒装置14を高速で1回通過し、低速で1回通過する。なお、収納部から一時保留部へ紙幣が搬送されるときの搬送速度が比較的高速で、一時保留部から出金部へ紙幣が搬送されるときの搬送速度が比較的低速であってもよい。
【0067】
低速一時保留出金とは、出金処理の一種であり、搬送部13による搬送速度が比較的低速で、収納部から一時保留部に紙幣が搬送された後、一時保留部から出金部に紙幣が搬送される処理である。収納部から一時保留部に搬送される際、および、一時保留部から出金部に搬送される際に、紙幣は消毒装置14を通過する。つまり、低速一時保留出金が行われる場合、紙幣は、消毒装置14を低速で2回通過する。
【0068】
消毒指数および時間指数の意味は図5に示される例と同じである。
【0069】
図6に示される例では、消毒指数は消毒レベルに対応する。つまり、消毒指数が相対的に大きい設定の処理を行うことで、消毒指数が相対的に小さい設定の処理が行われる場合よりも、紙幣の消毒レベルを相対的に高くすることができる。
【0070】
また、図6に示される例では、5つの設定のうちの1つの設定を第1設定とし、5つの設定のうちの他の1つを第2設定とすることができる。第1設定と第2設定を含む設定群が予め設定されており、制御部15は、設定群の中から第1設定または第2設定を選択することで、消毒レベルを調整することができる。図6に示される例では、第1設定および第2設定に加えて、第3設定、第4設定および第5設定も設定することができることは言うまでもない。
【0071】
媒体処理装置1が入金処理を行う装置である場合、制御部15は、図2または図5に示される設定群の中から1つの設定を選択し、選択した設定の処理を実行するように搬送部13および消毒装置14を制御することができる。また、媒体処理装置1が出金処理を行う装置である場合、制御部15は、図4または図6に示される設定群の中から1つの設定を選択し、選択した設定の処理を実行するように搬送部13および消毒装置14を制御することができる。
【0072】
以上から明らかなように、第2設定における紙幣の搬送速度を第1設定における紙幣の搬送速度よりも小さくすることで、第2設定の処理が行われる時に紙幣が消毒装置14を通過する時間を、第1設定の処理が行われる時に紙幣が消毒装置14を通過する時間よりも長くすることができる。また、第2設定において紙幣が消毒装置14を通過する回数を第1設定において紙幣が消毒装置14を通過する回数よりも多くすることで、第2設定の処理が行われる時に紙幣が消毒装置14を通過する時間(合計時間)を、第1設定の処理が行われる時に紙幣が消毒装置14を通過する時間(合計時間)よりも長くすることができる。そして、第1設定または第2設定を設定群から選択することにより、紙幣の消毒レベルを調整することができる。
【0073】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る媒体処理装置1の模式図である。媒体処理装置1は、媒体の一例である紙幣を処理する紙幣処理装置である。第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号が付されており、それらの説明は省略される。
【0074】
第2実施形態において、媒体処理装置1は、記憶部16を備えている。記憶部16の具体例として、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、SSD(solid state drive)、HDD(hard disk drive)等が挙げられる。記憶部16は、図2および図4から図6に示される設定群の1つ以上を記憶している。つまり、記憶部16は、処理の種類(例えば高速ダイレクト入金および低速一時保留出金)と、消毒指数と、時間指数とを互いに関連付けて記憶している。制御部15は、記憶部16から設定を取得する(つまり情報を読み出す)ことにより、設定を選択し、設定どおりの処理を行い、消毒レベルを調整することができる。
【0075】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係る媒体処理装置1の模式図である。媒体処理装置1は、媒体の一例である紙幣を処理する紙幣処理装置である。第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号が付されており、それらの説明は省略される。
【0076】
第3実施形態において、媒体処理装置1は、媒体処理装置1の筐体2の外部に設置されている記憶部16から、ネットワークを介して情報を受信可能に構成されている通信部17を備えている。記憶部16の具体例として、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、SSD(solid state drive)、HDD(hard disk drive)等が挙げられる。また、記憶部16は、媒体処理装置1の筐体2の外側に配置されているコンピュータの中に収納されていてもよく、このコンピュータは、媒体処理装置1が設置される施設内および施設外のいずれに設置されてもよい。記憶部16は、図2および図4から図6に示される設定群の1つ以上を記憶している。つまり、記憶部16は、処理の種類(例えば高速ダイレクト入金および低速一時保留出金)と、消毒指数と、時間指数とを互いに関連付けて記憶している。制御部15は、通信部17を介して、外部にある記憶部16から設定を取得する(つまり情報を読み出す)ことにより、設定を選択し、設定どおりの処理を行い、消毒レベルを調整することができる。
【0077】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態に係る媒体処理装置1における設定群の一例を示す図である。第4実施形態に係る媒体処理装置1は、図7または図8に示される媒体処理装置1と同じ構成を有している。つまり、媒体処理装置1は、記憶部16を備えている、または、記憶部16と通信可能な通信部17を備えている。いずれの場合も、記憶部16は、図9に示される設定群を記憶している。制御部15は、記憶部16に記憶されている設定群から予め定められている条件を満たす設定を取得することで設定を選択し、選択した設定を実行するように搬送部13を制御する。
【0078】
第4実施形態に係る媒体処理装置1は、入金処理および出金処理を行うことができるように構成されている。つまり、第4実施形態において、第1端点11は、入出金部である。第1端点11は、入金部と出金部の組み合わせであってもよい。第2端点12は、収納部である。第2端点12は、複数の収納部の組み合わせであってもよい。入金処理の際、搬送部13は第1端点11から第2端点12に紙幣を搬送する。出金処理の際、搬送部13は第2端点12から第1端点11に紙幣を搬送する。出金処理では、入金処理において収納部に収納された紙幣が出金される。つまり、各紙幣に対して、入金処理が行われた後に出金処理が行われる。
【0079】
図9に示される例では、紙幣に対して行われる処理を示す情報である処理情報(例えば、処理の名称または処理毎に割り当てられた処理番号)が、搬送部13による紙幣の搬送の始点と終点の組み合わせ毎にカテゴリーごとに分類されている。すなわち、搬送の始点が入出金部または入金部であり、終点が収納部である処理(つまり、入金処理)を示す処理情報は、入金カテゴリーに分類されている。また、搬送の始点が収納部であり、終点が入出金部または出金部である処理(つまり、出金処理)を示す処理情報は、出金カテゴリーに分類されている。入金カテゴリーは第1カテゴリーの一例であり、出金カテゴリーは第2カテゴリーの一例である。
【0080】
なお、媒体処理装置1が処理する媒体が貨幣ではない場合も、搬送部13による媒体の搬送の始点と終点の組み合わせ毎に、複数の処理情報を、第1カテゴリー(例えば、媒体取込処理)と第2カテゴリー(例えば、媒体排出処理)にカテゴリー分けすることができる。
【0081】
また、図9に示される設定群においては、入金カテゴリーに含まれる処理情報と、出金カテゴリーに含まれる処理情報とが互いに対応付けられている。つまり、入金カテゴリーに含まれる1つの処理と出金カテゴリーに含まれる1つの処理とが互いに対応づけられて、1つの設定を構成している。
【0082】
例えば、1行目に示されているように、高速ダイレクト入金と高速ダイレクト出金が対応付けられて、1つの設定が構成されている。ある紙幣に対してこの設定が実行される場合、入金の際に高速ダイレクト入金が行われ、その後、出金の際に高速ダイレクト出金が行われる。また、2行目に示されているように、高速ダイレクト入金と高速一時保留入金が対応付けられて、1つの設定が構成されている。ある紙幣に対してこの設定が実行される場合、入金の際に高速ダイレクト入金が行われ、その後、出金の際に高速一時保留出金が行われる。つまり、制御部15は、入金カテゴリーに含まれる処理情報によって示される処理(例えば1行目の高速ダイレクト入金または2行目の高速ダイレクト入金)が実行された後、この処理に関連付けられており、かつ、出金カテゴリーに含まれる処理情報によって示される処理(例えば1行目の高速ダイレクト出金または2行目の高速一時保留出金)を実行するように、搬送部13を制御する。
【0083】
また、図9に示される設定群においては、入金カテゴリーに含まれる処理と、出金カテゴリーに含まれる処理の組み合わせである設定毎に、合計消毒指数と合計時間指数が記憶されている。合計消毒指数は、入金カテゴリーに含まれる処理情報に関連付けられている消毒指数と、出金カテゴリーに含まれる処理情報に関連付けられている消毒指数の合計である。また、合計時間指数は、入金カテゴリーに含まれる処理情報に関連付けられている時間指数と、出金カテゴリーに含まれる処理情報に関連付けられている時間指数の合計である。
【0084】
例えば、1行目に示されているように、高速ダイレクト入金と高速ダイレクト出金が対応付けられた設定の合計消毒指数は1であり、合計時間指数は2である。
【0085】
また、図9に示される設定群においては、合計消毒指数の範囲毎に、各設定(入金カテゴリーに含まれる処理情報と出金カテゴリーに含まれる処理情報の組み合わせ)が、クラス分けされており、各クラスに消毒レベルが設定されている。図9に示される例では、1から4の消毒レベルが設定されている。本実施形態において、消毒レベルは、数字が大きいほど消毒の度合い(効果)が大きい。
【0086】
例えば、消毒レベル1のクラスには、高速ダイレクト入金と高速ダイレクト出金の組み合わせと、高速ダイレクト入金と高速一時保留出金の組み合わせと、高速一時保留入金と高速ダイレクト出金の組み合わせと、高速一時保留入金と高速ダイレクト出金の組み合わせと、高速一時保留入金と高速一時保留出金の組み合わせの設定が含まれている。
【0087】
なお、同じ組み合わせの設定が複数のクラスに含まれていてもよい。例えば、図9に示される例では、高速一時保留入金と高速一時保留出金の組み合わせの設定が、消毒レベル1にも消毒レベル2にも含まれている。このような重複が生じるか否かは、媒体処理装置1を設置し運用する者(例えば銀行。以下、単に「ユーザー」と記載することがある。)による媒体処理装置1の運用の仕方によって決定される。つまり、このような重複はあってもなくてもよい。
【0088】
媒体処理装置1のユーザーは、図9に示される設定群の中から、任意の1つの設定を予め選択しておき、選択された設定を実行するように媒体処理装置1に指示を与えておくことができる。
【0089】
あるいは、媒体処理装置1のユーザーは、消毒レベルを選択してもよい。この場合、選択された消毒レベルにクラス分けされている1つ以上の設定の中から1つの設定を媒体処理装置1が選択して実行してもよい。
【0090】
例えば、相当に高度の消毒が求められる施設に媒体処理装置1が設置される場合、ユーザーは、消毒レベル4を選択することができる。図9に示される設定群の場合、消毒レベル4にクラス分けされている設定は、低速一時保留入金と低速一時保留出金の組み合わせだけである。よって、消毒レベル4が選択された場合、媒体処理装置1は、入金処理時に低速一時保留入金の処理を行い、出金処理時に、低速一時保留出金の処理を行う。
【0091】
また、高度の消毒レベルは求められないものの迅速な紙幣の処理が求められる施設に媒体処理装置1が設置される場合、ユーザーは、消毒レベル1を選択することができる。図9に示される設定群の場合、消毒レベル1には、4つの設定がクラス分けされている。媒体処理装置1は、この4つの設定の中から、ユーザーによって指定される条件を満たす設定を選択し実行する。例えば、施設の方針として、厳密な紙幣の識別が重視される場合には、高速一時保留入金と高速一時保留出金の組み合わせの設定が選択される。また、施設の方針として、より迅速な紙幣処理が重視される場合には、高速ダイレクト入金と高速ダイレクト出金の組み合わせの設定が選択される。また、迅速さが重視されつつある程度厳密な紙幣の識別も重視される場合には、高速ダイレクト入金と高速一時保留出金の組み合わせの設定、または、高速一時保留入金と高速ダイレクト出金の組み合わせの設定が選択される。
【0092】
また、高度な消毒と迅速な紙幣の処理の両立が求められる場合には、ユーザーは、消毒レベル2または消毒レベル3を選択することができる。媒体処理装置1は、選択された消毒レベルにクラス分けされている設定の中から、ユーザーによって指定される条件を満たす設定を選択し実行する。例えば、入金処理を行う際には一時保留部を経由させてから紙幣を収納部に収納することをユーザーが指定している場合は、入金カテゴリーに低速ダイレクト入金または高速ダイレクト入金が含まれる設定は、選択対象から除外される。また、出金処理を行う際には一時保留部を経由させてから紙幣を出金部に搬送することをユーザーが指定している場合は、出金カテゴリーに低速ダイレクト出金または高速ダイレクト出金が含まれる設定は、選択対象から除外される。
【0093】
なお、一時保留部を経由させることにより、紙幣は第1端点11と第2端点12との間で移動する際に識別部を2回通過することになる。よって、より確実に紙幣を管理することができる。
【0094】
また、選択された消毒レベルにクラス分けされている複数の設定の中に、条件を満たす設定、つまり、選択可能な設定が複数ある場合、媒体処理装置1は、入金時と出金時の合計処理時間が短い設定、つまり、合計時間指数が小さい設定を選択することができる。
【0095】
また、この場合において、さらに、合計時間指数が同じ設定が複数ある場合、媒体処理装置1は、媒体処理装置1が設置された施設における媒体処理装置1の運用状況に最もよく適合する設定を選択してもよい。例えば、入金する客が出金する客よりも多く、入金処理が出金処理よりも多く行われる場合、媒体処理装置は、入金処理時の時間指数がより小さい設定を選択することができる。逆もしかりである。
【0096】
例えば、消毒レベル2にクラス分けされている6つの設定の中には、合計時間指数が3.5である4つの設定が含まれている。媒体処理装置1が、入金処理が出金処理よりもかなり多く行われる施設に設置される場合、この4つの設定の中から、入金処理の時間指数が1であり最も小さい設定である高速ダイレクト入金と変速一時保留出金との組み合わせの設定が選択されてもよい。また、出金処理が入金処理よりもかなり多く行われる施設に設置される場合、この4つの設定の中から、出金処理の時間指数が1であり最も小さい設定である高速ダイレクト出金と変速一時保留入金の組み合わせの設定が選択されてもよい。また、媒体処理装置1が、差は大きくないものの入金処理が出金処理よりも多く行われる施設に設置される場合、この4つの設定の中から、入金処理の時間指数が1.5であり出金処理の時間指数が2である設定である低速ダイレクト入金と高速一時保留出金の組み合わせの設定が選択されてもよい。また、媒体処理装置1が、差は大きくないものの出金処理が入金処理よりも多く行われる施設に設置される場合、この4つの設定の中から、入金処理の時間指数が2であり出金処理の時間指数が1.5である設定である高速一時保留入金と低速ダイレクト出金の組み合わせの設定が選択されてもよい。このような設定の選択は、ユーザーによって手動で行われてもよいし、媒体処理装置1によって過去の運用状況に基づいて自動的に行われてもよい。
【0097】
本実施形態によれば、媒体処理装置1に紙幣が入金されてから出金されるまでの間に行われる一連の処理を最適なものとすることができる。よって、媒体処理装置1による紙幣の消毒を、媒体処理装置1が設置された施設やユーザーから課される条件に適合させて、確実に行うことができる。
【0098】
図10は、第4実施形態に係る媒体処理装置1の変形例の模式図である。本変形例において、媒体処理装置1は、指示受付部18および混雑度情報取得部20の少なくとも一方を備えている。
【0099】
指示受付部18は、例えばタッチパネルおよびキーボード等のマンマシンインターフェースで構成されており、媒体処理装置1のユーザーから処理に関する指示を受け付け、受け付けた指示を制御部15に伝える。制御部15は、指示受付部18が受け付けた指示に基づいて、条件を設定し、条件を満たす設定を選択し、選択された設定の処理を実行するように搬送部13を制御する。指示受付部18を備えることで、媒体処理装置1は、ユーザーから容易に指示を受け付けることができる。なお、指示受付部18は、媒体処理装置1が備える構成要素ではなくてもよい。例えば、指示受付部18は、媒体処理装置1に対して指示を送ることができるようにネットワークを介して接続されており、かつ、ディスプレイとキーボードまたはマウス等の入力装置を備えているコンピュータによって構成されていてもよい。
【0100】
制御部15は、図9に示される設定群を指示受付部18に表示させてもよい。媒体処理装置1の操作者は、指示受付部18に表示された設定群を視認し、所望の設定を選択することができる。1つの消毒レベルに複数の設定が含まれている場合、合計時間指数が小さい設定が、合計時間指数が大きい設定より優先されて、例えば上側に、表示されてもよい。換言すれば、1つの消毒レベルの中において、上から合計時間指数の大きさの順に並んで、複数の設定が表示されてもよい。このように表示することにより、媒体処理装置1の操作者が、業務効率を考慮しながら適切な設定を選択することを支援することができる。例えば、操作者は、希望する消毒レベルが満たされつつより短時間で完了する処理を選択することができる。なお、1つの消毒レベルに複数の設定が含まれている場合、合計時間指数が最も小さい設定が、他の設定より強調されて表示されてもよい。例えば大きく及び/または目立つ色で、強調表示されてもよい。
【0101】
混雑度情報取得部20は、例えばカメラおよび人感センサ等のセンサで構成されており、媒体処理装置1が設置されている施設の混雑度に関する情報を取得し、取得した情報を制御部15に伝える。制御部15は、混雑度情報取得部20が取得した情報に基づいて、条件を設定し、条件を満たす設定を選択し、選択された設定の処理を実行するように搬送部13を制御する。混雑度情報取得部20から情報を取得することができることで、媒体処理装置1は、媒体処理装置1が設置されている施設の混雑度に応じた適切な処理および紙幣の消毒を行うことができる。
【0102】
なお、混雑度情報取得部20は、媒体処理装置1の構成要素ではなくてもよい。この場合、媒体処理装置1は、媒体処理装置1を構成する機器としての混雑度情報取得部20に代えて、施設または媒体処理装置1そのものに設置されている混雑度情報取得部20と通信可能な通信部17(図8参照)を備えていてもよい。この場合、混雑度情報取得部20は、上述のセンサであってもよいことはもちろんであり、また、媒体処理装置1が設置されている施設における受付装置であってもよい。例えば、単位時間当たりに受付装置が顧客を受け付ける数に基づいて、施設の混雑度を算出することができる。
【0103】
また、混雑度に関する情報は、媒体処理装置1の過去の運用状況から得ることもできる。例えば、特定の時間帯(例えば特定の曜日または時間)に、出金処理が多く行われている(出金に関する取引件数が多い)場合、この時間帯は出金客で混雑していると推測することができる。そこで、制御部15は、出金処理がより迅速に完了するようにするために、この時間帯では、より短時間で完了する(時間指数が小さい)出金処理を選択してもよい。入金処理についても同様であることは言うまでもない。
【0104】
(第5実施形態)
図11は第5実施形態に係る媒体処理装置1の斜視図である。媒体処理装置1は、筐体2を備える。筐体2の上側かつ前側には、図1等に示される第1端点11の具体例である入金部3、第1出金部4aおよび第2出金部4bが配置されている。媒体処理装置1は、第2出金部4bを備えていなくてもよい。以降、第1出金部4aおよび第2出金部4bを総称して、出金部と記載する場合がある。
【0105】
なお、処理される媒体が貨幣ではない場合、媒体処理装置1は、入金部3に代えて取込部を備えることができ、出金部に代えて排出部を備えることができる。換言すれば、入金部は取込部の一例であり、出金部は排出部の一例である。
【0106】
出金部の周辺には、複数の報知部5が配置されている。報知部5は、発光状態を変更することができるLED等の光源を備えている。報知部5は、図1等に示される制御部15によって制御され、搬送部13が出金部に紙幣を搬送する処理によって達成される消毒レベルに対応するように発光する。例えば、出金される紙幣の消毒レベルが非常に高い場合に紫色で発光し、消毒レベルが高い場合に青色で発光し、消毒レベルが不明である場合に白色で発光する。消毒レベルに応じて発光状態が変化することにより、媒体処理装置1から出金された紙幣を受け取る者に、消毒レベルを伝えると共に安心感を与えることができる。
【0107】
なお、色を変えることに代えて、点灯状態を変えたり(例えば、光りっぱなしにするか、点滅させるか、または、消灯させるかという状態を変えたり、点滅速さを変えたりする)、または、光の強度を変えることなどによって、発光状態が変更されてもよい。
【0108】
また、報知部5は、光源、ディスプレイ、および、音源の少なくとも1つを備えることができる。ディスプレイは、消毒レベルに応じて表示内容、例えば表示する文字列、または、表示領域の一部または全部の表示色を変更することで、消毒レベルに対応する報知を行うことができる。音源は、消毒レベルに応じて出力内容、例えば発する音声の内容、または、音量を変更することで、消毒レベルに対応する報知を行うことができる。
【0109】
なお、消毒装置14が紫外線照射装置を備える場合、消毒装置14を出金部の近傍に配置すると共に、可視光を選択的に透過し、紫外線を遮断する部材で形成されたシャッターを出金部に配置してもよい。このように構成することにより、媒体処理装置1は、紫外線が媒体処理装置1の外に漏れないようにしつつ、操作者に消毒装置14から出射された可視光を視認させることができる。よって、操作者は、消毒装置14が作動していることを目視確認することができ、紫外線照射された紙幣が排出されたことを認識することができる。
【0110】
また、消毒装置14による紙幣等の媒体の消毒の状態は、処理対象の媒体に代えて、特殊な試験紙を媒体処理装置1に取り込ませ、試験紙の変化に基づいて確認してもよい。例えば、消毒装置14が紫外線照射装置を備える場合、試験紙として、紫外線の波長領域の光に特異的に反応する物質が印刷等によって表面に付されている試験紙を用いることができる。媒体処理装置1は、このような試験紙を第1端点11から媒体処理装置1の内部に取り込み、搬送部13で搬送し、その途中で消毒装置14を通過させる。例えば、紫外線の波長領域の光に特異的に反応する物質の発色の濃度に基づいて、消毒装置14の状態、例えば長期使用による劣化度合い、を検査することができる。また、この検査結果に基づいて、間接的に、媒体処理装置1による媒体の消毒の状態を確認することができる。
【0111】
なお、試験紙による消毒の状態の判断は、例えば以下のように行うことができる。
(1)媒体処理装置1が、試験紙の表面に付されている物質の発色の状態を検知することができる識別装置を内蔵しており、この識別装置による検知結果に基づいて、制御部15が判断する。このようにすることにより、消毒装置14の状態を迅速に確認することができる。また、試験紙が媒体処理装置1の外に排出されないので、スムーズに確認作業を行うことができる。
(2)媒体処理装置1が、消毒装置14を通過した後の試験紙を媒体処理装置1の外に排出し、スキャナ等の読取装置が、排出された試験紙の表面の状態を読み取り、判定する。
(3)媒体処理装置1が、消毒装置14を通過した後の試験紙を媒体処理装置1の外に排出し、検査者が、排出された試験紙の表面の状態を目視し、判定する。なお、この際、試験紙の表面の色と、消毒装置14の状態と対応づけられている比較対照用の色一覧とが比較され、色一覧から、試験紙の表面の色と同じまたは近い色が選択される。
【0112】
なお、消毒装置14が消毒物質供給装置を備える場合、試験紙は、消毒作用を有する物質に特異的に反応する物質が付されている試験紙とすることができる。また、消毒装置14が加熱装置を備える場合、試験紙は、特定の温度に特異的に反応する物質が付されている試験紙とすることができる。
【0113】
(第6実施形態)
図12は、第6実施形態に係る媒体処理装置1の模式図である。本実施形態に係る媒体処理装置1は、紙幣リサイクラーである。図12は、紙幣リサイクラーである媒体処理装置1の内部構造を示している。以下の説明において、前あるいは前方とは、後述する入金口211及び出金口221が形成されている側であり、後ろあるいは後方とは、その逆側である。
【0114】
媒体処理装置1は、紙幣の処理を行う。媒体処理装置1は、上部の処理部100と、下部の金庫部500とを有している。処理部100は、上部筐体120と、上部筐体120の内部に配置された入金部121、出金部122、リジェクト部123、一時保留部124、識別部125、消毒装置14、上側搬送部131、制御部15、および、記憶部16を有する。入金部121および出金部122は、図1等に示される第1端点11の具体例である。
【0115】
金庫部500は、金庫筐体501によって構成されている。金庫筐体501の中には、複数の収納装置531~535、下側搬送部542及び第2下側搬送部543が配置されている。複数の収納装置531~535は、図1等に示される第2端点12の具体例である。
【0116】
入金部121は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣が投入される部分である。また、入金部121は、計数処理の際に、計数対象の紙幣が投入される部分であってもよい。入金部121は、入金口211を有している。入金口211は、上部筐体120の前部において、上向きに開口している。操作者は、入金口211を通じて、入金部121に、紙幣を手で投入する。入金部121は、紙幣を一枚ずつ媒体処理装置1内に取り込む機構を有している。
【0117】
出金部122は、例えば出金処理の際に、収納装置531~535から繰り出された紙幣が搬送される部分である。また、出金部122は、入金処理の際に発生したリジェクト紙幣が搬送される部分としても使用される。また、出金部122は、計数処理の際に計数された正常な紙幣が搬送される部分としても使用される。出金部122は、複数枚の紙幣を、重ねた状態で保持できる。出金部122は、出金口221を有している。出金口221は、入金口211よりも前の位置において、上向きに開口している。操作者は、出金部122に集積されている紙幣を、出金口221を通じて手で取り出すことができる。
【0118】
リジェクト部123は、例えば計数処理の際に発生したリジェクト紙幣が搬送される部分である。リジェクト部123は、上部筐体120内の前部に配置されている。リジェクト部123は、複数枚の紙幣を、重ねた状態で保持するよう構成されている。リジェクト部123は、第2出金口231を有している。第2出金口231は、上部筐体120の前部において前向きに開口している。
【0119】
一時保留部124は、例えば入金処理または出金処理の際に、入金対象の紙幣を一時的に収納する。一時保留部124は、収納した紙幣を繰り出すことができる。一時保留部124は、テープ式の収納ユニットである。一時保留部124は、紙幣を、テープと共にドラムに巻き取ることによって、紙幣を収納する。
【0120】
識別部125は、第1搬送路411に配置されている。識別部125は、第1搬送路411に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、記番号を取得し、また、真偽、金種及び正損を識別する。
【0121】
消毒装置14は、第1搬送路411に配置されている。後に説明するように、第1搬送路411は、紙幣を循環搬送するように構成されている循環搬送部である。第1搬送路411で循環する毎に、紙幣は消毒装置14を通過する。
【0122】
制御部15は、媒体処理装置1の制御装置であり、媒体処理装置1を統括制御する。記憶部16は、制御部15が実行するプログラム、および、媒体処理装置1が紙幣を処理する際の設定(図2~5および8参照)を記憶する。制御部15は、搬送部13による紙幣の搬送速度を少なくとも2段階に設定することができる。つまり、制御部15は、搬送部13に、高速搬送および低速搬送を行わせることができる。
【0123】
図12に示す例では、媒体処理装置1は、5つの収納装置531~535を有する。以下の説明において、これら5つの収納装置を、第1収納装置531、第2収納装置532、第3収納装置533、第4収納装置534、及び、第5収納装置535と記載することがある。
【0124】
第1収納装置531、第2収納装置532、及び第3収納装置533は、それぞれ、一つの収納部Sを有する。第4収納装置534及び第5収納装置535は、それぞれ、二つの収納部(第1収納部S1及び第2収納部S2)を有する。
【0125】
各収納部S、各第1収納部S1および各第2収納部S2は、搬送機構を有している。搬送機構は、収納装置531~535の外から中へ紙幣を投入し、収納装置531~535の中から外へ紙幣を繰り出す。
【0126】
上側搬送部131、下側搬送部542および第2下側搬送部543は、搬送部13を構成している。搬送部13は、媒体処理装置1内で、紙幣と紙幣との間に適宜の間隔を空けて、紙幣を一枚ずつ搬送する。
【0127】
上側搬送部131は、第1搬送路411、第2搬送路412、第3搬送路413、第4搬送路414、第5搬送路415、第6搬送路416、第7搬送路417、及び、第8搬送路418を有している。
【0128】
なお、金庫筐体501を形成する上壁には、三つの搬送路が、上下方向に貫通して形成されている。これら三つの搬送路は、前後方向に並んでいる。三つの搬送路の一つは、第6搬送路416と第9搬送路421とを接続している。また別の搬送路は、第7搬送路417と第10搬送路422とを接続する。また別の搬送路は、第8搬送路418と第11搬送路420とを接続する。
【0129】
第1搬送路411は、ループ状に構成されている。搬送部13は、紙幣を、第1搬送路411に沿って、図1における時計回り方向及び反時計回り方向のそれぞれに循環するように搬送することができる。すなわち、第1搬送路411は、紙幣を循環搬送するように構成されている循環搬送部である。
【0130】
第2搬送路412は、入金部121と第1搬送路411とを互いに接続する。第2搬送路412は、入金部121から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0131】
第3搬送路413は、出金部122と第1搬送路411とを互いに接続する。第3搬送路413は、第1搬送路411から出金部122へ向かって、紙幣を搬送する。
【0132】
第4搬送路414は、リジェクト部123と第1搬送路411とを互いに接続する。第4搬送路414は、第1搬送路411からリジェクト部123へ向かって、紙幣を搬送する。
【0133】
第5搬送路415は、一時保留部124と第1搬送路411とを互いに接続する。第5搬送路415は、第1搬送路411から一時保留部124へ向かって、紙幣を搬送すると共に、一時保留部124から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0134】
第6搬送路416は、下側搬送部542と第1搬送路411とを互いに接続する。第6搬送路416は、第1搬送路411から下側搬送部542へ向かって、紙幣を搬送すると共に、下側搬送部542から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0135】
第7搬送路417は、下側搬送部542と第1搬送路411とを互いに接続する。第7搬送路417は、第1搬送路411から下側搬送部542へ向かって、紙幣を搬送すると共に、下側搬送部542から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0136】
下側搬送部542は、第9搬送路421、第10搬送路422、及び、第11搬送路420を有している。
【0137】
第9搬送路421は、第2下側搬送部543と、第6搬送路416とを互いに接続する。第9搬送路421は、第6搬送路416から第2下側搬送部543へ向かって、紙幣を搬送すると共に、第2下側搬送部543から第6搬送路416へ向かって、紙幣を搬送する。
【0138】
第10搬送路422は、第1収納装置531、第2収納装置532、及び第3収納装置533のそれぞれの収納部Sと、第7搬送路417とを互いに接続する。第10搬送路422は、第7搬送路417から各収納装置531~533へ向かって、紙幣を搬送すると共に、各収納装置531~533から第7搬送路417へ向かって、紙幣を搬送する。
【0139】
第11搬送路420は、第5収納装置535の第1収納部S1と第8搬送路418とを互いに接続する。第11搬送路420は、第8搬送路418から第5収納装置535へ向かって、紙幣を搬送すると共に、第5収納装置535から第8搬送路418へ向かって、紙幣を搬送する。
【0140】
第2下側搬送部543は、途中で分岐して、第4収納装置534の第2収納部S2、および、第5収納装置535の第2収納部S2に接続されている。第2下側搬送部543は、第1搬送路411から第4収納装置534の第2収納部S2へ向かって、紙幣を搬送すると共に、この第2収納部S2から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。また、第2下側搬送部543は、第1搬送路411から第5収納装置535の第2収納部S2へ向かって、紙幣を搬送すると共に、この第2収納部S2から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0141】
搬送部13の各部には、図示は省略するが、紙幣の通過を検知する通過センサが配置されている。搬送部13は、制御部15からの指令を受けると、通過センサの検知信号に基づいて、紙幣を、所定の搬送先に搬送する。
【0142】
以上のように構成されている紙幣リサイクラーである媒体処理装置1において、紙幣は例えば次のように処理される。
【0143】
(1)一時保留入金処理
入金部121に載置された紙幣は、搬送部13によって識別部125に搬送され、識別される。続いて、この紙幣は搬送部13によって消毒装置14に搬送され、消毒される。続いて、この紙幣は一時保留部124に搬送され、一時的に保留される。
【0144】
制御部15は、各紙幣の識別結果に応じて、各紙幣をどの収納装置531~535に収納すべきか決定する。入金部121から取り込むべき紙幣が全て一時保留部124に保留されると、制御部15は、搬送先として決定された収納装置531~535に各紙幣を搬送するように、一時保留部124、搬送部13および収納装置531~535を制御する。
【0145】
一時保留部124から繰り出された紙幣は、収納先である収納装置531~535に搬送される途中で、再度消毒装置14を通過し、2回目の消毒をされる。
【0146】
入金部121から一時保留部124への紙幣の搬送、および、一時保留部124から収納装置531~535への搬送が高速で行われると、高速一時保留入金となる。入金部121から一時保留部124への紙幣の搬送が高速で行われ、一時保留部124から収納装置531~535への搬送が低速で行われると、変速一時保留入金となる。入金部121から一時保留部124への紙幣の搬送、および、一時保留部124から収納装置531~535への搬送が低速で行われると、低速一時保留入金となる。
(2)ダイレクト入金処理
入金部121に載置された紙幣は、搬送部13によって識別部125に搬送され、識別される。続いて、この紙幣は搬送部13によって消毒装置14に搬送され、消毒される。
【0147】
制御部15は、各紙幣の識別結果に応じて、各紙幣をどの収納装置531~535に収納すべきか決定する。制御部15は、搬送先として決定された収納装置531~535に各紙幣を搬送するように、入金部121、搬送部13および収納装置531~535を制御する。
【0148】
入金部121から収納装置531~535への搬送が高速で行われると、高速ダイレクト入金となる。入金部121から収納装置531~535への搬送が低速で行われると、低速ダイレクト入金となる。
【0149】
一時保留入金とダイレクト入金のいずれが行われる場合も、制御部15は、消毒レベルが予め定められているレベルに達するまで、紙幣を第1搬送路411で循環させることで繰り返し消毒装置14を通過させ、複数回の消毒を行ってもよい。
【0150】
(3)一時保留出金処理
収納装置531~535に収納されている紙幣は、媒体処理装置1に対して入力された出金指示に基づいて、収納している紙幣を搬送部13に繰り出す。繰り出された紙幣は、搬送部13によって消毒装置14に搬送され、消毒される。続いて、この紙幣は搬送部13によって識別部125に搬送され、識別される。続いて、この紙幣は一時保留部124に搬送され、一時的に保留される。
【0151】
出金すべき紙幣が全て一時保留部124に一時保留されると、制御部15は、一時保留部124、搬送部13および出金部122を制御して、出金すべき紙幣を一時保留部124から出金部122に搬送する。このとき、紙幣は再び消毒装置14を通過する。
【0152】
すなわち、収納装置531~535から繰り出された紙幣は、2回消毒された後、出金部122から出金される。
【0153】
収納装置531~535から一時保留部124への紙幣の搬送、および、一時保留部124から出金部122への搬送が高速で行われると、高速一時保留出金となる。収納装置531~535から一時保留部124への紙幣の搬送が高速で行われ、一時保留部124から出金部122への搬送が低速で行われると、または、収納装置531~535から一時保留部124への紙幣の搬送が低速で行われ、一時保留部124から出金部122への搬送が高速で行われると、変速一時保留出金となる。収納装置531~535から一時保留部124への紙幣の搬送、および、一時保留部124から出金部122への搬送が低速で行われると、低速一時保留出金となる。
【0154】
(4)ダイレクト出金処理
収納装置531~535から繰り出された紙幣は、搬送部13によって消毒装置14に搬送され、消毒される。続いて、この紙幣は識別部125に搬送され、識別される。続いて、この紙幣は、出金部122に搬送され、出金される。
【0155】
収納装置531~535から出金部122への搬送が高速で行われると、高速ダイレクト出金となる。収納装置531~535から出金部122への搬送が低速で行われると、低速ダイレクト出金となる。
【0156】
一時保留出金とダイレクト出金のいずれが行われる場合も、制御部15は、消毒レベルが予め定められているレベルに達するまで、紙幣を第1搬送路411で循環させることで繰り返し消毒装置14を通過させ、複数回の消毒を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本開示は、流通、金融その他各種産業分野で使用される媒体処理装置として、またはそのような媒体処理装置による媒体処理方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0158】
1 媒体処理装置
11 第1端点
12 第2端点
13 搬送部
14 消毒装置
15 制御部
16 記憶部
17 通信部
18 指示受付部
20 混雑度情報取得部
2 筐体
3、121 入金部
4a 第1出金部
4b 第2出金部
5 報知部
100 処理部
120 上部筐体
122 出金部
123 リジェクト部
124 一時保留部
125 識別部
131 上側搬送部
211 入金口
221 出金口
231 第2出金口
411 第1搬送路
412 第2搬送路
413 第3搬送路
414 第4搬送路
415 第5搬送路
416 第6搬送路
417 第7搬送路
418 第8搬送路
420 第11搬送路
421 第9搬送路
422 第10搬送路
500 金庫部
501 金庫筐体
531 第1収納装置
532 第2収納装置
533 第3収納装置
534 第4収納装置
535 第5収納装置
542 下側搬送部
543 第2下側搬送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12