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  • 特開-アクセルペダル踏み間違い防止装置 図1
  • 特開-アクセルペダル踏み間違い防止装置 図2
  • 特開-アクセルペダル踏み間違い防止装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003469
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】アクセルペダル踏み間違い防止装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 28/10 20060101AFI20230110BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20230110BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20230110BHJP
   G05G 5/04 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B60K28/10 Z
B60K26/02
G05G1/30 E
G05G5/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104565
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】514308450
【氏名又は名称】原 功
(74)【代理人】
【識別番号】100184767
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100098556
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々 紘造
(74)【代理人】
【識別番号】100137501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々 百合子
(72)【発明者】
【氏名】原 功
【テーマコード(参考)】
3D037
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EB02
3D037FA24
3J070AA32
3J070BA10
3J070BA41
3J070CA02
3J070CA43
3J070CE04
3J070DA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】後から簡便に取り付けでき、構造が単純で、かつ、アクセルとブレーキの踏み間違い防止効果も高い、アクセルペダル踏み間違い防止装置を提供すること。
【解決手段】運転席の足元スペースを囲む面に固定され、踏み込みに耐える強度を持つ材質よりなり、アクセルペダル31の、踵側の先部分32を除く大部分又は一部を覆うようにした、アクセルペダル踏み間違い防止装置であって、少なくとも、アクセルペダルの中央部から踵側先端へその長さの1/3をアクセルペダルの幅方向の中心線を含む1/3の幅で覆い、かつ、少なくとも、踵側の先部分は先端から中央部方向へ1cmアクセルペダルを覆わない、アクセルペダル踏み間違い防止装置。
本発明によれば、誤って勢いよくアクセルペダル踏み込もうとしても、アクセルペダルの大部分又は一部が覆われているために、踏み込むことができず、アクセルペダルを誤って踏み込むことを防止できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の足元スペースを囲む面に固定され、踏み込みに耐える強度を持つ材質よりなり、アクセルペダルの、踵側の先部分を除く大部分又は一部を覆うようにした、アクセルペダル踏み間違い防止装置であって、
少なくとも、アクセルペダルの中央部から踵側先端へその長さの1/3をアクセルペダルの幅方向の中心線を含む1/3の幅で覆い、かつ、少なくとも、踵側の先部分は先端から中央部方向へ1cmアクセルペダルを覆わない、アクセルペダル踏み間違い防止装置。
【請求項2】
アクセルペダルストッパーを取り付けるための床面の突起に固定されることで、運転席の足元スペースを囲む面に固定される、請求項1のアクセルペダル踏み間違い防止装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダルの踏み間違いを防止する装置に関する。さらに詳しくは、アクセルペダルの大部分又は一部を強度の高い材料で覆い、アクセルペダルを踏みにくくして、アクセルペダルの踏み間違いを防止する、アクセルペダル踏み間違い防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクセルとブレーキの踏み間違えによる交通事故が社会問題となっている。この問題を解決するため、多数の技術が開発されている。例えば、アクセルペダルの踏み込み速度を検知して、一定以上であれば走行不能状態になるように、自動車を制御する装置(特許文献1)が知られているが、踏み込み速度を検知するセンサーやエンジン燃料の供給を止める装置が必要となり、後からの取り付けは難しい。また、アクセルペダルをアクセルレバーとして、アクセルは足の側面で操作するようにした装置(特許文献2)が存在するが、この装置は、後から取り付けできるものの、車種や年式によりアクセルの構造は異なるため、その取り付けが簡単にはできない上、車種によっては取り付けられない場合がある。さらに、アクセルを誤って踏んだときはこれを踏み直そうとしてしまうという仮定のもと、この踏み直し時にアクセルを踏まないように、アクセルを踏まない台を取り付ける方法(特許文献3)が知られている。しかし、踏み直し時に効果が限定されるうえ、アクセルペダル踏み間違い防止のため、アクセルペダルの踏みやすさを思い切って制限するという技術思想もないので、どの程度の踏み間違い防止効果があるか不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61ー190314
【特許文献2】特開平7ー132808
【特許文献3】特開2018ー162048
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、後から簡便に取り付けでき、構造が単純で、かつ、アクセルとブレーキの踏み間違い防止効果も高い、アクセルペダル踏み間違い防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するために種々検討の結果、アクセルペダルの踏みやすさを思い切って制限することでアクセルペダルの踏み間違いを防止することに思い至った。この考え方であれば、構造が単純で簡便に取り付けができるアクセルペダル踏み間違い防止装置を提供できることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は以下のとおりである。
1.運転席の足元スペースを囲む面に固定され、踏み込みに耐える強度を持つ材質よりなり、アクセルペダルの、踵側の先部分を除く大部分又は一部を覆うようにした、アクセルペダル踏み間違い防止装置であって、
少なくとも、アクセルペダルの中央部から踵側先端へその長さの1/3をアクセルペダルの幅方向の中心線を含む1/3の幅で覆い、かつ、少なくとも、踵側の先部分は先端から中央部方向へ1cmアクセルペダルを覆わない、アクセルペダル踏み間違い防止装置。
2.アクセルペダルストッパーを取り付けるための床面の突起に固定されることで、運転席の足元スペースを囲む面に固定される、前記1のアクセルペダル踏み間違い防止装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の、アクセルペダル踏み間違い防止装置によれば、誤って勢いよくアクセルペダル踏み込もうとしても、アクセルペダルの大部分又は一部が覆われているために、踏み込むことができず、アクセルペダルを誤って踏み込むことを防止できる。誤ってアクセルペダルを踏み込むときは、広い面積でアクセルペダルを踏み込もうとするので、本発明のようにアクセルペダルを覆うことで、踏み間違いを防止できる。
また、ブレーキペダルは全面を踏み、アクセルペダルはアクセルペダルの踵側の先部分をつま先で注意深く踏むことになるので、それぞれの踏み込み方が異なることになって、足裏の操作感覚の違いから、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違えを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のアクセルペダル踏み間違い防止装置を示した。
図2】アクセルペダル踏み間違い防止装置を設置したときの、アクセルペダルと踏み間違い防止装置の位置関係を示した。
図3】本発明のアクセルペダル踏み間違い防止装置の、他の一例を示した。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0009】
本発明の装置は、強度の高い部材でアクセルペダルの大部分又は一部を覆って、アクセルペダルを踏みにくくし、アクセルペダルの踏み間違いを防止する装置である(例えば、図1、2参照)。
1.本発明の装置の固定する部分について
【0010】
本発明のアクセルペダルふみ間違い防止装置は、運転席の足元スペースを囲む面に固定されるが、運転席の足元スペースを囲む面には、運転席の床面、足元スペースの側面、上面が含まれる。踏み込んだときの安定性から、運転席の床面に固定されているのがより好ましい。もちろん、複数の面で固定してもよく、床面で固定しつつ、補助的に側面で固定してもよい。
【0011】
足元スペースを囲む面への固定方法は限定されないが、運転席床面には、アクセルペダルストッパーを取り付けるための突起が存在するのでこれを利用して、固定するのがより好ましい。突起は、ボルト形状であることがほとんどなので、本発明のアクセルペダルふみ間違い防止装置の、固定面に面する固定する部分(以下、固定部)(1(図1))に穴2を設け、そこにボルトを通し、上からナットで締めて、その上からアクセルペダルストッパーをとりつける。こうすれば、簡便に、本発明の装置を取り付けることができる。
突起はフロアシートに覆われていることがあるので、この場合は、フロアシートに穴をあけて、突起を露出させて取り付ける。固定部の穴は、運転席床面に向かって押し出すように開ければ、くぼみの底に穴が開くように穿孔されるので(2)、フロアシートなどにより、運転席床面と距離が生じても、孔が運転席床面に直接達しやすくなり、ナットで締め付けた際に、本発明の装置がぐらつかず安定する。さらに、本発明の装置を安定させるために、フロアシートに接する固定部の周囲あるいは隅を爪状(3)にして、フロアシートへ食い込むようにしてもよい。
アクセルペダルストッパーを取り付けるための突起は、どのような車種であっても、存在し、アクセルペダルとの位置関係も車種ごとに大きな違いはないので、この突起を利用すれば、より、後から簡便に、そして、車種を選ばず、本発明の装置を設置することができる。
【0012】
固定部1の形状は、本発明の装置を安定して支えられる形状であれば特に制限はない。多角形や楕円形でもよいし、長い板状の材料を組み合わせて、X状、+状、T字状としてもよい。例えば、90°倒したT字状のようにすれば(図1 1)本発明の装置を安定して支えることができる。
【0013】
本発明の装置のアクセルぺダルを覆う部分21(図1)は、固定部1でしっかりと支えられているが、両者をつなぐ構造に特に制限はない。例えばアーム11でつながっていて、アームを通してアクセルペダルを覆う部分を支える構造としてもよい。さらに、アームに対向する位置に、補助的にアクセルペダルを覆う部分を支える、支え棒12を設置してもよい。また、アームを、対向位置にもう1本設けて、アクセルペダルを覆う部分を、より頑丈に、支える構造としてもよい。
この両者をつなぐ構造に、長さ調節機構を設ければ、仮に、アクセルペダルの高さが車種ごとに大きく異なっても、1つの装置で対応できる。
2.アクセルペダルを覆う部分について
【0014】
アクセルペダル31(図2)は、本発明の装置により、アクセルペダルの踵側の先部分32を除く大部分又は一部が上から覆われる。覆われる程度は、運転者が、アクセルペダルを踏みこもうとしたときに、アクセルペダルを保護して、アクセルペダルを踏み込めない程度に覆われていればよい。具体的には、少なくとも、アクセルペダルの中央部から踵側先端へその長さの1/3を幅方向の中心線を含む1/3の幅で覆われていればよい。幅方向の中心線を含むとは、本発明の装置のアクセルペダルを覆う部分が、アクセルペダルの幅方向の中心線の、少なくとも、一部を覆うことである。なお、アクセルペダルが完全な長方形でないときは、割合から覆う部分の長さや幅を計算するときのアクセルペダルの長さや幅は、一番短い部分を基準にする。
例えばアクセルペダルの全長が12cm、最も狭い部分で幅が4.5cmであれば、アクセルペダル中央部から踵側の先端へ2cmを幅方向中心線の一部を覆う形で幅1.5cm、少なくとも覆えばよい。
覆われる程度として、より好ましいのは、全長方向は、アクセルペダルつま先側から測って、全長の1.5/4の地点から3/4の地点まで、幅方向は、端から測って、全幅の1/4の地点から3/4の地点までを、少なくとも覆うことである。なるべく広い面積で覆った方が、足がずれ落ちて、アクセルペダルに触れてしまう事態を回避できる。
アクセルペダルの中央部からつま先側先端(以下、アクセルペダルのつま先側部分)の覆われている程度に、特に制限はない。このアクセルペダルのつま先側部分33が全く覆われていなくても一定の効果は発揮する。
【0015】
覆うということは、完全に覆われていることだけでなく、一部、欠けるような形で、不完全に覆われていてもよい。例えば、格子状、縞状、に覆うことを含み、さらには、枠体で覆うことも含む(図3 21)。枠体であっても、足の大きさより小さいので、足がアクセルペダルを踏みこむことを防止できる。
【0016】
アクセルペダルを覆う部分21(図1)の全体の形状に特に制限はない。例えば、長方形状や楕円状にすることができる。
【0017】
アクセルペダルの踵側の先部分32(図2)は、本発明の装置で覆われないようにする。この覆われていない部分で、運転手はつま先を使って、アクセルペダルを踏みこむことができる。覆われていない部分は、運転手がその部分をつかって、アクセルペダルを踏みこむことができる程度に覆われていなければよい。運転手がアクセル操作をするには、少なくとも、1cm程度アクセルペダルの踵側の先部分が露出する必要があると考えられ、少なくとも踵側の先端から1cmは覆われていないことが必要である。より好ましくは、少なくとも1.5cm、特に好ましくは、少なくとも2cmは覆われていないことである。なお、例えば、足先の形状に合わせて円弧上にアクセルペダルの踵側の先部分を露出させることも可能で(図2 32)、この場合の1cmは、最もアクセルペダルが覆われていない部分で測定する。
【0018】
アクセルペダル31とアクセルペダルを覆う部分21の間の隙間は、一定程度より狭い方が好ましく、少なくとも足が入らない程度とする。この隙間は、より好ましくは0~10mm、特に好ましくは5~10mmである。この値は、アクセルペダルとアクセルペダルを覆う部分の間の隙間が一定でないときは、最も狭い部分の隙間を測定する。
3.材質について
【0019】
本発明のアクセルペダルふみ間違い防止装置の材質は、アクセルペダルを踏みこんだときに、これに耐える強度を持つ必要がある。例えば、鉄などの金属、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂を主材質とすることができる。
4.製造方法
【0020】
本発明のアクセルペダルふみ間違い防止装置は、鉄などの金属材料をネジ類で接続したり溶接したりして製造してもよいし、樹脂成形することで製造してもよい。
5.使用方法
【0021】
本発明の装置は、アクセルペダルを上側から覆うように、運転席の足元スペースに設置して使用する。後付けで使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のアクセルペダル踏み間違い防止装置は、後から簡便に取り付けできて、踏み間違い防止効果も高いので、その取付需要が高まり、自動車部品の産業分野に有用である。
【符号の説明】
【0023】
1 固定部
2 穴
3 爪
11 アーム
12 支え棒
21 アクセルペダルを覆う部分
31 アクセルペダル
32 アクセルペダルの踵側の先部分
33 アクセルペダルのつま先側部分

図1
図2
図3