(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034697
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】浮体
(51)【国際特許分類】
B63B 25/16 20060101AFI20230306BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20230306BHJP
B63H 21/14 20060101ALI20230306BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20230306BHJP
F25J 1/02 20060101ALI20230306BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20230306BHJP
F25J 3/08 20060101ALI20230306BHJP
F02B 43/10 20060101ALI20230306BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20230306BHJP
F02M 25/00 20060101ALI20230306BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B63B25/16 A
B63H21/38 B
B63B25/16 D
B63H21/14
F17C13/00 302A
F25J1/02
F25J3/06
F25J3/08
F02B43/10 Z
F02M21/02 N
F02M21/02 301A
F02M25/00 F
F23K5/00 307Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141040
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 大祐
【テーマコード(参考)】
3E172
3K068
4D047
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD01
3E172HA04
3E172HA08
3E172HA12
3E172JA08
3K068AA11
3K068AB14
3K068AB29
3K068CB01
4D047AA07
4D047AB00
4D047BA02
4D047BA09
4D047BB06
4D047CA16
4D047DA01
(57)【要約】
【課題】タンク内に貯留されている混合ガス中の不活性ガスを取り除き、該混合ガスの単位体積当たりの熱量を増加させることができる浮体を提供する。
【解決手段】浮体本体と、前記浮体本体に設けられて、アンモニアが貯留されるとともに、アンモニアと該アンモニアとは異なる他のガスとの混合ガスが気相分として貯留されたタンクと、前記タンク内の前記混合ガスが導かれて、該混合ガスを圧縮する圧縮部と、前記圧縮部によって圧縮された前記混合ガスが導入されることで、該混合ガスを前記アンモニアと前記他のガスとに分離する分離膜と、前記分離膜によって分離されて前記タンク内に戻される前記アンモニアを冷却する冷却部と、を備える浮体。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体本体と、
前記浮体本体に設けられて、アンモニアが貯留されるとともに、アンモニアと該アンモニアとは異なる他のガスとの混合ガスが気相分として貯留されたタンクと、
前記タンク内の前記混合ガスが導かれて、該混合ガスを圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部によって圧縮された前記混合ガスが導入されることで、該混合ガスを前記アンモニアと前記他のガスとに分離する分離膜と、
前記分離膜によって分離されて前記タンク内に戻される前記アンモニアを冷却する冷却部と、
を備える浮体。
【請求項2】
前記圧縮部で圧縮された前記混合ガスを凝縮可能なコンデンサと、
前記コンデンサによって凝縮された前記混合ガスを断熱膨張可能な膨張弁と、
を更に備え、
前記圧縮部、前記コンデンサ、及び前記膨張弁によって、前記混合ガスを再液化させる再液化装置が構成されており、
前記圧縮部により圧縮された前記混合ガスを前記分離膜に供給するアンモニア回収モードと、前記圧縮部により圧縮された前記混合ガスを前記コンデンサに供給する再液化モードとに切り替え可能な切替部を更に備える請求項1に記載の浮体。
【請求項3】
前記圧縮部で圧縮された前記混合ガスを凝縮可能なコンデンサと、
前記コンデンサによって凝縮された前記混合ガスを断熱膨張可能な膨張弁と、
を更に備え、
前記圧縮部、前記コンデンサ、及び前記膨張弁によって、前記混合ガスを再液化させる再液化装置が構成されており、
前記コンデンサは、前記冷却部を兼ねており、
前記圧縮部により圧縮された前記混合ガスを前記分離膜に供給するとともに、前記分離膜により分離された前記アンモニアを前記コンデンサに供給するアンモニア回収モードと、前記圧縮部により圧縮された前記混合ガスを前記分離膜を経由させずに前記コンデンサに供給する再液化モードとに切り替え可能な切替部を備える請求項1に記載の浮体。
【請求項4】
前記タンクに貯留された前記アンモニアを燃料として燃焼装置に供給する供給ラインと、
前記供給ラインを介して前記タンクから前記燃焼装置に前記他のガスを供給可能なガス供給装置と、
前記供給ラインを介して前記燃焼装置に供給された前記他のガスとともに前記燃焼装置、及び前記供給ラインの内部に残留した前記アンモニアが導入される一時貯留部と、
前記一時貯留部と前記タンクとを接続するとともに、前記一時貯留部内で気化した前記アンモニアを前記他のガスとともに前記タンク内に戻す回収ラインと、
を更に備える請求項1から3の何れか一項に記載の浮体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、LNG等を主燃料とする船舶が開示されている。LNG等の液化ガスを主燃料とする船舶では、液化ガスを貯蔵するタンク内でタンク外部からの自然入熱により液化ガスが気化してBOG(boil off gas)が発生する。タンク内でBOGが増加するとタンク内の圧力が上昇する。タンク内の圧力上昇を抑制するためのBOGの処理としては、特許文献1のように再液化装置の冷凍サイクルを用いて圧縮されたBOGを再液化させてタンク内に液体燃料として戻す処理や、気体燃料として燃焼装置に導入する処理等が有る。
【0003】
一方で、船舶の分野では脱炭素燃料であるアンモニアを主機等の燃焼装置の燃料として導入することが検討されている。液化ガスの一種であるアンモニアを燃焼装置の燃料とした場合、アンモニアを貯蔵するタンク内でもBOGが発生するため、上記のようなBOGの処理が必要となる。
また、船舶の運航中における液化ガスのタンク内には、ポンプ等の装置に用いられるシールガスや、配管内雰囲気の置換に用いられるパージガス等の不活性ガスが混入する。したがって、タンク内における気相分は、この不活性ガスとBOGとの混合ガスとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された船舶では、貯蔵タンク内のBOGを再液化させて液化ガスとするが、不活性ガスは再液化されずに気体状態のままこの液化ガス中に混在し、タンク内へ一緒に戻る場合が有る。即ち、混合ガス中の不活性ガスの割合が高まってしまう場合が有る。したがって、例えば、タンク内に貯留されている混合ガスを気体燃料とする場合には、混合ガスの単位体積当たりの熱量が低下してしまうという課題が有る。また、混合ガス中の不活性ガスの割合が高まると、再液化効率が低下してしまう場合が有る。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、タンク内に貯留されている混合ガスの単位体積当たりの熱量を増加させることができる浮体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る浮体は、浮体本体と、前記浮体本体に設けられて、アンモニアが貯留されるとともに、アンモニアと該アンモニアとは異なる他のガスとの混合ガスが気相分として貯留されたタンクと、前記タンク内の前記混合ガスが導かれて、該混合ガスを圧縮する圧縮部と、前記圧縮部によって圧縮された前記混合ガスが導入されることで、該混合ガスを前記アンモニアと前記他のガスとに分離する分離膜と、前記分離膜によって分離されて前記タンク内に戻される前記アンモニアを冷却する冷却部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、タンク内に貯留されている混合ガスの単位体積当たりの熱量を増加させることができる浮体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る浮体の側面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係るBOG処理系統を示す図である。
【
図3】本開示の第二実施形態に係るBOG処理系統を示す図である。
【
図4】本開示の第三実施形態に係るBOG処理系統を示す図である。
【
図5】本開示のその他の実施形態に係るBOG処理系統を示す図である。
【
図6】本開示のその他の実施形態に係るBOG処理系統を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の各実施形態に係る浮体を図面に基づき説明する。
【0011】
[第一実施形態]
(浮体の構成)
本実施形態における浮体は、アンモニアを燃料とする船舶である。浮体の船種は、特定のものに限られることはない。浮体の船種には、例えば液化ガス運搬船、フェリー、RO-RO船、自動車運搬船、客船等が挙げられる。
【0012】
図1及び
図2に示すように、浮体1は、浮体本体10と、上部構造20と、燃焼装置30と、タンク40と、燃料供給系統50と、ガス供給系統60と、パージ系統70と、アンモニア回収系統80と、BOG処理系統120と、を備えている。
【0013】
(浮体本体)
図1に示すように、浮体本体10は、舷側11A,11Bと、船底12と、上甲板13と、を有している船体である。舷側11A,11Bは、左右の舷側11A,11B及び舷側11A,11Bをそれぞれ形成する一対の舷側外板を有している。船底12は、これら舷側11A,11Bを接続する二重底の船底12外板を有している。上甲板13は、一対の舷側外板に亘って設けられている。
【0014】
これら舷側11A,11B、船底12、及び上甲板13により、浮体本体10の外殻は、船首尾方向Faに直交する断面視で、箱型形状を成している。本実施形態における船首尾方向Faとは、浮体本体10の船尾15から船首14にかけて延びる方向である。
【0015】
(上部構造)
上部構造20は、上甲板13から上下方向Dvの上方側に向かうように設けられている構造物である。上部構造20内には、例えば、居住区や船橋等が設けられている。
【0016】
(燃焼装置)
燃焼装置30は、燃料を燃焼させることで熱エネルギーを発生させる装置である。燃焼装置30は、例えば、浮体本体10内部に設けられている機関室(図示省略)等の区画に設けられている。燃焼装置30としては、浮体1を推進させるための主機や、船内に電気を供給する発電機、作動流体としての蒸気を発生させるボイラ等を例示できる。本実施形態における燃焼装置30は、燃料としてアンモニアを用いる主機である。
【0017】
(タンク)
タンク40は、燃焼装置30用の燃料としてアンモニアを内部に貯留するタンク40である。本実施形態におけるタンク40は、上部構造20よりも船首尾方向Faにおける船尾15側の上甲板13上に設けられている。
【0018】
(燃料供給系統)
燃料供給系統50は、タンク40から燃焼装置30にアンモニアを供給する系統である。本実施形態における燃料供給系統50は、例えば、浮体本体10内部に設けられている。
図2に示すように、燃料供給系統50は、供給ライン51と、リターンライン52と、を含んでいる。
【0019】
供給ライン51は、タンク40と燃焼装置30とを接続している管である。供給ライン51には、燃料としてのアンモニアがタンク40から燃焼装置30に向かって流れる。したがって、燃焼装置30には、供給ライン51を介してタンク40からアンモニアが導入される。なお、供給ライン51には、タンク40から燃焼装置30へアンモニアを圧送するためのポンプ(図示省略)と、このポンプによって燃焼装置30へ導かれる供給ライン51内のアンモニアを加熱する熱交換器(図示省略)等が設けられている。
【0020】
リターンライン52は、燃焼装置30とタンク40とを接続している管である。リターンライン52の一端は燃焼装置30に接続されており、他端はタンク40に接続されている。リターンライン52には、燃焼装置30内で燃焼しきらずに残留したアンモニアが燃焼装置30からタンク40に向かって流れる。したがって、リターンライン52によってタンク40に送られたアンモニアは、タンク40内で供給ライン51内に再度供給されることで、燃焼装置30の燃焼に再度用いられる。
【0021】
(ガス供給系統)
ガス供給系統60は、不活性ガスを燃料供給系統50及び燃焼装置30に送り、燃料供給系統50及び燃焼装置30に存在するアンモニアをパージする系統である。本実施形態におけるガス供給系統60は、例えば、浮体本体10内部に設けられている。ガス供給系統60は、不活性ガス供給装置61と、第一パージライン62と、第一パージ弁63と、を含んでいる。
【0022】
不活性ガス供給装置61は、アンモニアと非反応性のパージ用の不活性ガスを生成するとともに圧送する装置である。不活性ガスには、例えば窒素ガス(N2)等の気体が挙げられる。本実施形態における不活性ガス供給装置61は、例えば、浮体本体10内部に設けられている。
以下、不活性ガスをアンモニアとは異なる気体として、他のガスと称する。
【0023】
第一パージライン62は、不活性ガス供給装置61が生成する不活性ガスが流れる管である。第一パージライン62の一端は、不活性ガス供給装置61に接続されている。第一パージライン62の他端は、供給ライン51に接続されている。
【0024】
不活性ガス供給装置61から第一パージライン62を介して圧送される他のガスは、供給ライン51に流入した後、燃焼装置30、リターンライン52の順に圧送される。これにより、この他のガスは、供給ライン51内、燃焼装置30内、及びリターンライン52内に存在するアンモニアを押し出す(パージする)。
【0025】
第一パージ弁63は、第一パージライン62に設けられている自動操作弁である。第一パージ弁63は、通常時は閉塞状態とされており、所定のタイミングで開放状態とされる。第一パージ弁63が開放状態になると、他のガスが第一パージライン62内を不活性ガス供給装置61から供給ライン51に向かって流れることが可能になる。なお、本実施形態で示す自動操作弁は、電磁弁や、電動モータで駆動する弁等を含む。
【0026】
(パージ系統)
パージ系統70は、供給ライン51内、燃焼装置30内、及びリターンライン52内に残留するアンモニアをタンク40に導く系統である。本実施形態におけるパージ系統70は、例えば、浮体本体10内部に設けられている。パージ系統70は、複数の第二パージライン71と、複数の第二パージ弁72と、を含んでいる。
【0027】
複数の第二パージライン71の一端は、供給ライン51及びリターンライン52にそれぞれ接続されている。複数の第二パージライン71の他端は、燃料供給系統50外部のアンモニア回収系統80に向かって延びている。供給ライン51内、燃焼装置30内、及びリターンライン52に存在するアンモニアが他のガスにパージされることで、このアンモニアは第二パージライン71内を他のガスとともに燃料供給系統50の外部へ押し出される。
【0028】
本実施形態では、一例として、二つの第二パージライン71が、それぞれ供給ライン51と一時貯留部81、及びリターンライン52と一時貯留部81を接続している。
【0029】
複数の第二パージ弁72は、複数の第二パージライン71にそれぞれ一つずつ設けられている自動操作弁である。第二パージ弁72は、通常時は閉塞状態とされており、第一パージ弁63とともに開放状態とされる。したがって、第一パージ弁63及び第二パージ弁72が開放状態になると、他のガスは第一パージライン62を流れて、供給ライン51内、燃焼装置30内、及びリターンライン52内に流入する。
【0030】
他のガスがこれら供給ライン51内、燃焼装置30内、及びリターンライン52内に流入すると、この他のガスによりパージされたアンモニアは、各第二パージライン71を介して一時貯留部81に向かって流れる。即ち、供給ライン51内、燃焼装置30内、及びリターンライン52内に残留しているアンモニアが他のガスに置換される(パージされる)。
【0031】
(アンモニア回収系統)
アンモニア回収系統80は、燃料供給系統50からパージされたアンモニアを、パージ系統70を通じて一時的に回収するとともに、この回収したアンモニアをタンク40に戻す系統である。本実施形態におけるアンモニア回収系統80は、例えば、浮体本体10内部に設けられている。
アンモニア回収系統80は、一時貯留部81と、回収ライン82と、を含んでいる。
【0032】
一時貯留部81は、供給ライン51内、燃焼装置30内、及びリターンライン52内に残留したアンモニアを内部に一時的に貯留する容器である。一時貯留部81には、第二パージライン71を通じて供給ライン51内、燃焼装置30内、及びリターンライン52内のアンモニアが導入される。本実施形態における一時貯留部81は、例えば、浮体本体10内部に設けられている。
【0033】
回収ライン82は、一時貯留部81内の気化したアンモニアをタンク40に戻すための管である。回収ライン82は、一時貯留部81とタンク40とを接続している。したがって、一時貯留部81内のアンモニアは回収ライン82内をタンク40に向かって流れる。
【0034】
なお、アンモニア回収系統80は、一時貯留部81内に貯留されたオイルを一時貯留部81の外部へ取り出して回収するオイルキャッチタンクや、回収ライン82内をアンモニア及び他のガスとともに同伴して流れるミスト状のオイルを上記オイルキャッチタンクに回収するためのオイルミストセパレータを含んでいてもよい。
【0035】
燃焼装置30には、この燃焼装置30で生じた排ガスG1を浮体本体10外部へ導くためのダクトである煙道110の一端が接続されている。煙道110の他端は、上甲板13を貫通して浮体本体10外部における上下方向Dvの上方側に延びている。なお、
図1に示すように煙道110の浮体本体10外部に延びている部分は、船体構造170及びファンネル180によって囲まれている。
【0036】
(BOG処理系統)
BOG処理系統120は、タンク40内に気相分として貯留されたアンモニアとこのアンモニアとは異なる他のガスとの混合ガスを処理する系統である。本実施形態における混合ガスは、タンク40内の液化アンモニアが揮発することによって生じるBOGと、燃料供給系統50及びアンモニア回収系統80から流入する他のガスとが混合した気体である。本実施形態におけるBOG処理系統120は、例えば、浮体本体10内部に設けられている。
【0037】
BOG処理系統120は、第一処理ライン126と、圧縮部121と、第二処理ライン127と、分離膜122と、第一アンモニアライン130と、冷却部123と、ガスライン132と、を含んでいる。
【0038】
(第一処理ライン)
第一処理ライン126は、タンク40内の混合ガスを圧縮部121へ導く管である。第一処理ライン126は、タンク40と圧縮部121とを接続している。第一処理ライン126内では、タンク40から導入された混合ガスが圧縮部121に向かって流れる。
【0039】
(圧縮部)
圧縮部121は、タンク40内の混合ガスを圧縮する。圧縮部121には、第一処理ライン126を介して混合ガスが導入される。本実施形態における圧縮部121は、例えば、浮体本体10内部に設けられている。圧縮部121には、本実施形態の燃焼装置30(主機)とは異なるエンジン等に用いられる圧縮機を例示できる。
【0040】
(第二処理ライン)
第二処理ライン127は、圧縮部121によって圧縮された混合ガスを分離膜122へ導く管である。第二処理ライン127は、圧縮部121と分離膜122とを接続している。第二処理ライン127内では、圧縮部121によって圧縮された混合ガスが分離膜122に向かって流れる。
【0041】
(分離膜)
分離膜122は、圧縮部121によって圧縮された混合ガスが導入されることで、該混合ガスをアンモニアと他のガスとに分離する装置である。分離膜122には、第二処理ライン127を介して圧縮部121から混合ガスが導入される。本実施形態における分離膜122としては、例えばゼオライト分離膜を用いることができる。
【0042】
(第一アンモニアライン)
第一アンモニアライン130は、分離膜122によって混合ガスから分離したアンモニアをタンク40へ導く管である。第一アンモニアライン130は、分離膜122とタンク40とを接続している。第一アンモニアライン130内では、分離膜122によって分離されたアンモニアがタンク40に向かって流れる。
【0043】
(冷却部)
冷却部123は、分離膜122によって分離されてタンク40内に戻されるアンモニアを冷却する装置である。冷却部123は、第一アンモニアライン130の中途に設けられている熱交換器である。冷却部123には、例えば、BOG供給系統の外部から冷却水が導入される。冷却水には、例えば海水や、造水器(図示省略)等によって作られた清水が採用される。
冷却部123は、この冷却水と第一アンモニアライン130内をタンク40に向かって流れるアンモニアとを熱交換させることで、このアンモニアを冷却させる。
【0044】
(ガスライン)
ガスライン132は、分離膜122によって混合ガスから分離した他のガスをBOG処理系統120の外部へ取り出す管である。ガスライン132の一端は、分離膜122に接続されている。ガスライン132の他端は、浮体本体10外部へ延びている。なお、ガスライン132内を流通する他のガスにアンモニアが少量含まれる場合は、外部の空気等とこの他のガスに含まれるアンモニアとを混合することでアンモニアの濃度を低下させる希釈装置(図示省略)が、ガスライン132の中途に設けられていてもよい。
【0045】
(作用効果)
上記実施形態に係る浮体1の構成によれば、タンク40内に気相分として貯留されている混合ガスは、圧縮部121に導かれて圧縮された後、分離膜122を経てアンモニアになる。混合ガスから分離されたこのアンモニアは冷却部123で冷却されてタンク40内へ戻される。この作用が繰り返されることにより、タンク40内の気相分における他のガスの割合を減少させることができる。したがって、タンク40内に気相分として貯留されている混合ガスの単位体積当たりの熱量を増加させることができる。
【0046】
また、上記実施形態に係る浮体1の構成によれば、一時貯留部81に燃焼装置30、供給ライン51、及びリターンライン52の内部に残留したアンモニアが導入されて、この一時貯留部81内で気化したアンモニアが他のガスとともにタンク40内に戻される。即ち、燃焼装置30、供給ライン51、及びリターンライン52内に残留したアンモニアを他のガスとともにタンク40内に回収することができる。一方で、タンク40内における混合ガス中の他のガスの割合を減少させることができるため、タンク40内における混合ガスの熱量を低下させることがない。したがって、燃焼装置30、供給ライン51、及びリターンライン52内のアンモニアを他のガスとともに積極的に回収することができる。
【0047】
[第二実施形態]
次に、本開示の第二実施形態に係る浮体の構成について図面を参照して説明する。第二実施形態では、BOG処理系統の構成が第一実施形態のBOG処理系統120に対して異なっている。第一実施形態と同一部分には同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
【0048】
(BOG処理系統)
図3に示すように、BOG処理系統120aは、第一処理ライン126と、圧縮部121と、分離ライン128と、分離膜122と、第一アンモニアライン130と、冷却部123と、ガスライン132と、再液化ライン129と、コンデンサ124と、膨張弁125と、切替部150と、を含んでいる。
本実施形態における第一アンモニアライン130、冷却部123、及びガスライン132は、第一実施形態と同様の構成を成している。
【0049】
(第一処理ライン)
第一処理ライン126は、タンク40内の混合ガスを圧縮部121へ導く管である。第一処理ライン126は、タンク40と圧縮部121の第一圧縮機121aとを接続している。第一処理ライン126内では、タンク40から導入された混合ガスが、圧縮部121が有する第一圧縮機121aに向かって流れる。
【0050】
(圧縮部)
圧縮部121は、タンク40内の混合ガスを圧縮する。本実施形態の圧縮部121は、多段圧縮機である。圧縮部121は、第一圧縮機121aと、段間ライン121dと、中間冷却器121bと、第二圧縮機121cと、を有している。
【0051】
第一圧縮機121aは、タンク40内の混合ガスを圧縮する圧縮機である、第一圧縮機121aには、第一処理ライン126を介して混合ガスが導入される。第一圧縮機121aは、この混合ガスを中間圧力まで圧縮した後に吐出する。即ち、第一圧縮機121aは、圧縮部121における低圧側の圧縮機である。
【0052】
段間ライン121dは、圧縮部121における低圧側の第一圧縮機121aから吐出された混合ガスを第二圧縮機121cに導く管である。段間ライン121d内には、第一圧縮機121aで圧縮された混合ガスが流れる。
【0053】
中間冷却器121bは、第一圧縮機121aが圧縮した混合ガスを冷却する熱交換器である。中間冷却器121bは、段間ライン121dの中途に設けられている。中間冷却器121bには、例えば、BOG供給系統の外部から冷却水が導入される。中間冷却器121bは、この冷却水と段間ライン121d内を流れる混合ガスとを熱交換させることで、この混合ガスを所定の温度まで冷却する。
【0054】
第二圧縮機121cは、中間冷却器121bによって冷却された混合ガスを圧縮する圧縮機である、第二圧縮機121cには、段間ライン121dを介して中間冷却器121bで冷却された混合ガスが導入される。第二圧縮機121cは、この混合ガスを中間圧力よりも高い最高圧力まで圧縮した後に吐出する。
【0055】
(分離ライン)
分離ライン128は、圧縮部121の第二圧縮機121cによって圧縮された混合ガスを分離膜122へ導く管である。分離ライン128は、圧縮部121の第二圧縮機121cと分離膜122とを接続している。分離ライン128内では、圧縮部121の第二圧縮機121cによって圧縮された混合ガスが分離膜122に向かって流れる。
【0056】
(分離膜)
分離膜122は、第一実施形態と同様の構成を成している。分離膜122は、圧縮部121の第二圧縮機121cによって圧縮された混合ガスが導入されることで、該混合ガスをアンモニアと他のガスとに分離する装置である。分離膜122には、分離ライン128を介して圧縮部121から混合ガスが導入される。
【0057】
(再液化ライン)
再液化ライン129は、圧縮部121の第二圧縮機121cで圧縮された混合ガスをタンク40に導く管である。再液化ライン129は、分離ライン128とタンク40とを接続している。即ち、再液化ライン129の一端は、分離ライン128から分岐するように接続されており、分離ライン128の他端は、タンク40に接続されている。再液化ライン129内では、圧縮部121の第二圧縮機121cで圧縮された混合ガスがタンク40に向かって流れる。
【0058】
(コンデンサ)
コンデンサ124は、圧縮部121の第二圧縮機121cで圧縮された混合ガスを冷却して凝縮する凝縮器である。即ち、コンデンサ124は、圧縮部121の第二圧縮機121cによって圧縮された混合ガスを再液化させる。コンデンサ124は、再液化ライン129の中途に設けられている。
【0059】
コンデンサ124には、例えば、BOG供給系統の外部から冷却水が導入される。コンデンサ124は、この冷却水と再液化ライン129内を流れる混合ガスとを熱交換させることで、この混合ガスに含まれるアンモニアが凝縮する温度まで冷却する。
【0060】
(膨張弁)
膨張弁125は、コンデンサ124によって凝縮(再液化)された混合ガスを断熱膨張させて圧力を下げるとともに温度を低下させる弁である。本実施形態における膨張弁125は、電子式または機械式膨張弁であり、コンデンサ124から送られる凝縮したアンモニアを気液混合の流体に変える。したがって、分離ライン128から再液化ライン129に流入した混合ガスは、コンデンサ124で再液化され、膨張弁125で断熱膨張により減圧、減温された後、タンク40内へ流入する。
【0061】
本実施形態におけるこれら圧縮部121、コンデンサ124、及び膨張弁125は、混合ガスを再液化させる再液化装置140を構成している。
【0062】
(切替部)
切替部150は、圧縮部121により圧縮された混合ガスを分離膜122に供給する状態と、圧縮部121により圧縮された混合ガスをコンデンサ124に供給する状態とに切り替え可能な装置である。
切替部150は、第一切替弁128aと、第二切替弁129aと、弁制御装置150aと、を有している。
【0063】
第一切替弁128aは、分離ライン128と再液化ライン129とが接続される箇所よりも分離膜122側の分離ライン128に設けられている自動操作弁である。第一切替弁128aは、他のガス分離操作時は開放状態とされており、所定のタイミングで閉塞状態となる。第一切替弁128aは、閉塞状態となると分離ライン128内を流れる混合ガスが分離膜122に流入不可能となるように遮断する。
【0064】
第二切替弁129aは、分離ライン128と再液化ライン129とが接続される箇所とコンデンサ124との間における再液化ライン129に設けられている自動操作弁である。第二切替弁129aは、第一切替弁128aが開放状態とされている時は閉塞状態とされ、第一切替弁128aが閉塞状態とされている時に開放状態とされる。第二切替弁129aは、閉塞状態となると再液化ライン129内を流れる混合ガスがコンデンサ124に流入不可能となるように遮断する。
【0065】
弁制御装置150aは、第一切替弁128a及び第二切替弁129aの開放及び閉塞の状態を制御する装置である。弁制御装置150aと、第一切替弁128a及び第二切替弁129aとは有線又は無線で接続されている。弁制御装置150aは、第一切替弁128a及び第二切替弁129aに開放及び閉塞の状態を指示する信号をそれぞれに送信する。第一切替弁128a及び第二切替弁129aは、弁制御装置150aから送信されるこの信号に基づいて、開放状態又は閉塞状態となる。
【0066】
第一切替弁128aが開放状態とされ、第二切替弁129aが閉塞状態とされると、圧縮部121によって圧縮された混合ガスが分離膜122に供給可能な状態となる。分離膜122に供給された混合ガスは、この分離膜122によって他のガスとアンモニアとに分離される。この分離されたアンモニアは冷却部123を経て冷却されて液体となった後、タンク40に戻される。即ち、切替部150が圧縮部121により圧縮された混合ガスを分離膜122に供給する状態とすると、混合ガス中に含まれるアンモニアのみがタンク40に回収される。本実施形態では、この状態をアンモニア回収モードと称する。
【0067】
第一切替弁128aが閉塞状態とされ、第二切替弁129aが開放状態とされると、圧縮部121によって圧縮された混合ガスが再液化ライン129に設けられているコンデンサ124に供給可能な状態となる。コンデンサ124に供給された混合ガスは、凝縮(再液化)されて液体となった後、膨張弁125を経てタンク40に戻される。即ち、切替部150が圧縮部121により圧縮された混合ガスをコンデンサ124に供給する状態とすると、混合ガスが再液化される。本実施形態では、この状態を再液化モードと称する。
【0068】
弁制御装置150aは、例えば制御盤等の操作入力部(図示省略)の入力情報に基づいて、アンモニア回収モード又は再液化モードに自動で切り替える。
【0069】
(作用効果)
上記実施形態に係る浮体1の構成によれば、切替部150がアンモニア回収モードと再液化モードとに切り替え可能である。切替部150がアンモニア回収モードとすることでタンク40内における混合ガス中の他のガスの占める割合は減少する。例えば、混合ガス中の他のガスの占める割合が減少した場合に、切替部150により再液化モードとする。これにより、タンク40内の混合ガスは再液化装置140の圧縮部121に導かれて圧縮された後、再液化装置140のコンデンサ124によって凝縮(再液化)される。したがって、単位体積当たりのアンモニアの割合が高まった混合ガスを再液化装置140により再液化させることができるため、再液化装置140の再液化効率を向上させることができる。
【0070】
また、切替部150がアンモニア回収モードとすることで、分離膜122に導入する混合ガスの圧縮に再液化装置140の圧縮機を用いることができる。したがって、浮体1が備える既存の設備に対しての追設等を抑制することができる。
【0071】
[第三実施形態]
次に、本開示の第三実施形態に係る浮体の構成について図面を参照して説明する。第三実施形態では、BOG処理系統の構成が第一実施形態及び第二実施形態のBOG処理系統120aに対して異なっている。第一実施形態及び第二実施形態と同一部分には同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
【0072】
(BOG処理系統)
図4に示すように、BOG処理系統120bは、第一処理ライン126と、圧縮部121と、分離ライン128と、分離膜122と、再液化ライン129と、第一アンモニアライン130と、コンデンサ124と、ガスライン132と、膨張弁125と、第二アンモニアライン131と、切替部150と、を含んでいる。
本実施形態における第一処理ライン126、圧縮部121、分離ライン128、分離膜122、及びガスライン132は、第一実施形態と同様の構成を成している。
【0073】
(再液化ライン)
再液化ライン129は、圧縮部121の第二圧縮機121cで圧縮された混合ガスをタンク40に導く管である。再液化ライン129は、分離ライン128とタンク40とを接続している。即ち、再液化ライン129の一端は、分離ライン128から分岐するように接続されており、分離ライン128の他端は、タンク40に接続されている。再液化ライン129内では、圧縮部121の第二圧縮機121cで圧縮された混合ガスがタンク40に向かって流れる。
【0074】
(第一アンモニアライン)
第一アンモニアライン130は、分離膜122によって混合ガスから分離したアンモニアを再液化ライン129へ導く管である。第一アンモニアライン130は、分離膜122と再液化ライン129とを接続している。第一アンモニアライン130内では、分離膜122によって分離されたアンモニアが再液化ライン129内に向かって流れる。
【0075】
(コンデンサ)
コンデンサ124は、圧縮部121の第二圧縮機121cで圧縮された混合ガス、及び分離膜122によって混合ガスから分離されたアンモニアを冷却して凝縮する熱交換器である。即ち、本実施形態におけるコンデンサ124は、第一実施形態及び第二実施形態で説明した冷却部123を兼ねており、圧縮部121の第二圧縮機121cによって圧縮された混合ガスと、分離膜122によって混合ガスから分離されたアンモニアとを再液化させる。コンデンサ124は、再液化ライン129と第一アンモニアライン130とが接続する箇所よりもタンク40側の再液化ライン129に設けられている。
【0076】
(膨張弁)
膨張弁125は、コンデンサ124によって凝縮(再液化)された混合ガスを断熱膨張させて圧力を下げるとともに温度を低下させる弁である。膨張弁125は、コンデンサ124よりもタンク40側の再液化ライン129に設けられている。本実施形態における膨張弁125は、電子式または機械式膨張弁であり、コンデンサ124から送られる凝縮したアンモニアを気液混合の流体に変える。したがって、再液化ライン129内を流れる混合ガスは、コンデンサ124で再液化され、膨張弁125で断熱膨張により減圧、減温された後、タンク40内へ流入する。
【0077】
コンデンサ124からタンク40に向かって再液化ライン129に流入する流体には、混合ガスの場合とアンモニアの場合とがある。以下では、これらを単に流体と称する。
本実施形態では、圧縮部121とコンデンサ124と膨張弁125は、混合ガスを再液化させる再液化装置140を構成している。
【0078】
(第二アンモニアライン)
第二アンモニアライン131は、コンデンサ124によって冷却されたアンモニアをタンク40に導く管である。第二アンモニアライン131は、コンデンサ124と膨張弁125との間における再液化ライン129とタンク40とを接続している。第二アンモニアライン131内では、コンデンサ124で冷却されたアンモニアがタンク40に向かって流れる。
【0079】
(切替部)
切替部150は、圧縮部121により圧縮された混合ガスを分離膜122に供給する状態と、圧縮部121により圧縮された混合ガスをコンデンサ124に直接供給する状態とに切り替え可能な装置である。
切替部150は、第一切替弁128aと、第二切替弁129aと、第三切替弁129bと、第四切替弁131aと、弁制御装置150bと、を有している。
【0080】
第一切替弁128aは、分離ライン128と再液化ライン129とが接続される箇所よりも分離膜122側の分離ライン128に設けられている自動操作弁である。第一切替弁128aは、他のガス分離操作時は開放状態とされており、所定のタイミングで閉塞状態となる。第一切替弁128aは、閉塞状態となると分離ライン128内を流れる混合ガスが分離膜122に流入不可能となるように遮断する。
【0081】
第二切替弁129aは、分離ライン128及び再液化ライン129が接続される箇所と、コンデンサ124との間における再液化ライン129に設けられている自動操作弁である。第二切替弁129aは、第一切替弁128aが開放状態とされている時は閉塞状態とされ、第一切替弁128aが閉塞状態とされている時に開放状態とされる。第二切替弁129aは、閉塞状態となると再液化ライン129内を流れる混合ガスがコンデンサ124に流入不可能となるように遮断する。
【0082】
第三切替弁129bは、膨張弁125よりもタンク40側の再液化ライン129に設けられている自動操作弁である。第三切替弁129bは、第一切替弁128aが開放状態とされている時は閉塞状態とされ、第一切替弁128aが閉塞状態とされている時に開放状態とされる。即ち、第三切替弁129bは第二切替弁129aと同一の開閉状態となるように操作される。第三切替弁129bは、閉塞状態となると再液化ライン129内を流れる流体がタンク40に流入不可能となるように遮断する。
【0083】
第四切替弁131aは、第二アンモニアライン131に設けられている自動操作弁である。第四切替弁131aは、第一切替弁128aが開放状態とされている時は開放状態とされ、第一切替弁128aが閉塞状態とされている時に閉塞状態とされる。即ち、第四切替弁131aは第一切替弁128aと同一の開閉状態となるように操作される。第四切替弁131aは、閉塞状態となると第二アンモニアライン131内を流れる流体がタンク40に流入不可能となるように遮断する。
【0084】
弁制御装置150bは、第一切替弁128a、第二切替弁129a、第三切替弁129b、及び第四切替弁131aの開放及び閉塞の状態を制御・監視する装置である。弁制御装置150bと、第一切替弁128a、第二切替弁129a、第三切替弁129b、及び第四切替弁131aとは有線又は無線で接続されている。弁制御装置150bは、第一切替弁128a、第二切替弁129a、第三切替弁129b、及び第四切替弁131aに開放及び閉塞の状態を指示する信号を送受信する。第一切替弁128a、第二切替弁129a、第三切替弁129b、及び第四切替弁131aは、弁制御装置150bから送信されるこの信号に基づいて、開放状態又は閉塞状態となる。
【0085】
第一切替弁128a及び第四切替弁131aが開放状態とされ、第二切替弁129a及び第三切替弁129bが閉塞状態とされると、圧縮部121の第二圧縮機121cによって圧縮された混合ガスが分離膜122に供給可能な状態となる。分離膜122に供給された混合ガスは、この分離膜122によって他のガスとアンモニアとに分離される。この分離されたアンモニアは冷却部123としてのコンデンサ124を経て冷却された後、第二アンモニアライン131に流入してタンク40に戻される。即ち、切替部150が圧縮部121により圧縮された混合ガスを分離膜122に供給する状態とすると、混合ガス中に含まれるアンモニアがタンク40に回収される。本実施形態では、この状態をアンモニア回収モードと称する。
【0086】
第一切替弁128a及び第四切替弁131aが閉塞状態とされ、第二切替弁129a及び第三切替弁129bが開放状態とされると、圧縮部121の第二圧縮機121cによって圧縮された混合ガスが再液化ライン129に設けられているコンデンサ124に供給可能な状態となる。コンデンサ124に供給された混合ガスは、凝縮(再液化)されて液体となった後、膨張弁125を経てタンク40に戻される。即ち、切替部150が圧縮部121により圧縮された混合ガスをコンデンサ124に供給する状態とすると、混合ガスが再液化される。本実施形態では、この状態を再液化モードと称する。
【0087】
(作用効果)
上記実施形態に係る浮体1の構成によれば、切替部150がアンモニア回収モードと再液化モードとに切り替え可能である。切替部150がアンモニア回収モードとすることでタンク40内における混合ガス中の他のガスの占める割合は減少する。混合ガス中の他のガスの占める割合が減少したら、切替部150が再液化モードとすることで、タンク40内の混合ガスは再液化装置140の圧縮部121に導かれて圧縮された後、再液化装置140のコンデンサ124によって凝縮(再液化)される。したがって、単位体積当たりのアンモニアの割合が高まった混合ガスを再液化装置140が再液化させるため、再液化装置140の再液化効率を向上させることができる。
【0088】
また、切替部150がアンモニア回収モードとすることで、分離膜122に導入する混合ガスの圧縮に再液化装置140の圧縮機を用いるとともに、分離膜122によって分離されたアンモニアは、冷却部123としての再液化装置140のコンデンサ124によって凝縮(再液化)する。したがって、浮体1が備える既存の設備に対しての追設等を抑制することができる。
【0089】
[その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0090】
また、上記実施形態に記載の複数の第二パージライン71の一端は、供給ライン51及びリターンライン52にそれぞれ接続されているが、この構成に限定されることはない。第二パージライン71の数は適宜の数でよく、第二パージライン71の数は、二つに限定されることはない。例えば、第二パージライン71の一端は、燃焼装置30等の適宜の箇所に接続されてよい。
【0091】
また、上記実施形態では、弁制御装置150a,150bは、操作入力部の入力情報に基づいて各切替弁(第一切替弁128a、第二切替弁129a、第三切替弁、及び第四切替弁)を自動で切り替えているが、この構成に限定されることはない。例えば、切替部150は弁制御装置150a,150bを有さず、切替部150が有する各切替弁を手動で切り替えることで、アンモニア回収モードと再液化モードとに切り替えてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、燃焼装置30が、気体のアンモニアを燃料とする主機やボイラ等である場合、燃焼装置30には供給ライン51を介してタンク40から気体のアンモニアが送給される。この場合、燃料供給系統50は、リターンライン52を含んでいなくてもよい。
【0093】
また、
図5に示すように、実施形態に記載の浮体1は、供給ライン51に設けられるとともにリターンライン52の他端が接続されるアンモニアバッファータンク53を更に備えてもよい。アンモニアバッファータンク53は、燃焼装置30の内部へ供給されずに戻ってきた、即ち燃焼に使用されなかった燃料アンモニアを燃焼装置30から回収する。アンモニアバッファータンク53は、この回収したアンモニアを供給ライン51に再度主機の燃料として用いられるアンモニアとして供給する。
【0094】
この場合、BOG処理系統120,120a,120bにおける第一処理ライン126、再液化ライン129、及び第一アンモニアライン130又は第二アンモニアライン131は、このアンモニアバッファータンク53に接続されてもよい。
【0095】
また、
図6に示すように、浮体1がアンモニアバッファータンク53を備える場合に、BOG処理系統120,120a,120bにおける第一処理ライン126、再液化ライン129、及び第一アンモニアライン130又は第二アンモニアライン131は、タンク40に接続されてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、浮体1は、アンモニアを燃料とする船舶とされているが、アンモニアを燃料とする船舶に限定されることはない。浮体1は、LNGやLPG等の液化ガスを燃料としてもよい。また、浮体1は、FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)やFSU(浮体式LNG貯蔵設備)等であってもよい。
【0097】
[付記]
実施形態に記載の浮体は、例えば以下のように把握される。
【0098】
(1)第1の態様に係る浮体1は、浮体本体10と、前記浮体本体10に設けられて、アンモニアが貯留されるとともに、アンモニアと該アンモニアとは異なる他のガスとの混合ガスが気相分として貯留されたタンク40と、前記タンク40内の前記混合ガスが導かれて、該混合ガスを圧縮する圧縮部121と、前記圧縮部121によって圧縮された前記混合ガスが導入されることで、該混合ガスを前記アンモニアと前記他のガスとに分離する分離膜122と、前記分離膜122によって分離されて前記タンク40内に戻される前記アンモニアを冷却する冷却部123と、を備える。
【0099】
これにより、タンク40内に気相分として貯留されている混合ガスは、圧縮部121に導かれて圧縮された後、分離膜122を経てアンモニアになる。混合ガスから分離されたこのアンモニアは冷却部123で冷却されてタンク40内へ戻される。この作用が繰り返されることにより、タンク40内の気相分における他のガスの割合を減少させることができる。
【0100】
(2)第2の態様に係る浮体1は、(1)の浮体1であって、前記圧縮部121で圧縮された前記混合ガスを凝縮可能なコンデンサ124と、前記コンデンサ124によって凝縮された前記混合ガスを断熱膨張可能な膨張弁125と、を更に備え、前記圧縮部121、前記コンデンサ124、及び前記膨張弁125によって、前記混合ガスを再液化させる再液化装置140が構成されており、前記圧縮部121により圧縮された前記混合ガスを前記分離膜122に供給するアンモニア回収モードと、前記圧縮部121により圧縮された前記混合ガスを前記コンデンサ124に供給する再液化モードとに切り替え可能な切替部150を更に備える。
【0101】
これにより、切替部150がアンモニア回収モードとすることでタンク40内における混合ガス中の他のガスの占める割合は減少する。他のガスの占める割合が減少したら、切替部150が再液化モードとすることで、タンク40内の混合ガスは再液化装置140の圧縮部121に導かれて圧縮された後、再液化装置140のコンデンサ124によって凝縮される。
また、分離膜122に導入する混合ガスの圧縮に再液化装置140の圧縮機を用いることができる。
【0102】
(3)第3の態様に係る浮体1は、(1)の浮体1であって、前記圧縮部121で圧縮された前記混合ガスを凝縮可能なコンデンサ124と、前記コンデンサ124によって凝縮された前記混合ガスを断熱膨張可能な膨張弁125と、を更に備え、前記圧縮部121、前記コンデンサ124、及び前記膨張弁125によって、前記混合ガスを再液化させる再液化装置140が構成されており、前記コンデンサ124は、前記冷却部123を兼ねており、前記圧縮部121により圧縮された前記混合ガスを前記分離膜122に供給するとともに、前記分離膜122により分離された前記アンモニアを前記コンデンサ124に供給する第一の状態と、前記圧縮部121により圧縮された前記混合ガスを前記分離膜122を経由させずに前記コンデンサ124に供給する第二の状態とに切り替え可能な切替部150を備える。
【0103】
これにより、切替部150がアンモニア回収モードとすることでタンク40内における混合ガス中の他のガスの占める割合は減少する。他のガスの占める割合が減少したら、切替部150が再液化モードとすることで、タンク40内の混合ガスは再液化装置140の圧縮部121に導かれて圧縮された後、再液化装置140のコンデンサ124によって凝縮される。
また、分離膜122に導入する混合ガスの圧縮に再液化装置140の圧縮機を用いるとともに、分離膜122によって分離されたアンモニアは、冷却部123としての再液化装置140のコンデンサ124によって冷却する。
【0104】
(4)第4の態様に係る浮体1は、(1)から(3)の何れかの浮体1であって、前記タンク40に貯留された前記アンモニアを燃料として燃焼装置30に供給する供給ライン51と、前記供給ライン51を介して前記タンク40から前記燃焼装置30に前記他のガスを供給可能なガス供給装置と、前記供給ライン51を介して前記燃焼装置30に供給された前記他のガスとともに前記燃焼装置30、及び前記供給ライン51の内部に残留した前記アンモニアが導入される一時貯留部81と、前記一時貯留部81と前記タンク40とを接続するとともに、前記一時貯留部81内で気化した前記アンモニアを前記他のガスとともに前記タンク40内に戻す回収ライン82と、を更に備える。
【0105】
これにより、一時貯留部81に燃焼装置30、及び供給ライン51の内部に残留したアンモニアが導入されて、この一時貯留部81内で気化したアンモニアが他のガスとともにタンク40内に戻される。即ち、燃焼装置30内に残留したアンモニアを他のガスとともにタンク40内に回収することができる。一方、タンク40内における混合ガス中の他のガスの割合を減少させることができるため、タンク40内における混合ガスの熱量が低下することがない。
【符号の説明】
【0106】
1…浮体 10…浮体本体 11A,11B…舷側 12…船底 13…上甲板 14…船首 15…船尾 20…上部構造 30…燃焼装置 40…タンク 50…燃料供給系統 51…供給ライン 52…リターンライン 53…アンモニアバッファータンク 60…ガス供給系統 61…不活性ガス供給装置 62…第一パージライン 63…第一パージ弁 70…パージ系統 71…第二パージライン 72…第二パージ弁 80…アンモニア回収系統 81…一時貯留部 82…回収ライン 110…煙道 120,120a,120b…BOG処理系統 121…圧縮部 121a…第一圧縮機 121b…中間冷却器 121c…第二圧縮機 121d…段間ライン 122…分離膜 123…冷却部 124…コンデンサ 125…膨張弁 126…第一処理ライン 127…第二処理ライン 128…分離ライン 128a…第一切替弁 129…再液化ライン129 129a…第二切替弁 129b…第三切替弁 130…第一アンモニアライン 131…第二アンモニアライン 131a…第四切替弁 132…ガスライン 140…再液化装置 150…切替部 150a,150b…弁制御装置 170…船体構造 180…ファンネル Dv…上下方向 Fa…船首尾方向 G1…排ガス