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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034724
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】浴槽用温水循環装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A47K3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141082
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】早田 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 明
(72)【発明者】
【氏名】飛下 英樹
(57)【要約】
【課題】髪の毛などの異物がケース内に侵入するのを抑制できる浴槽用温水循環装置を提供する。
【解決手段】浴槽に設置され、前記浴槽内に向けて湯水を噴出する浴槽用温水循環装置であって、浴槽に取り付けられるケースと、前記ケース内に設けられ前記浴槽内の湯水を循環させるポンプと、前記ポンプの作動により前記浴槽内の湯水が吸い込まれる吸込部と、前記ポンプの作動により前記吸込部から吸い込まれた湯水を前記浴槽内に向けて噴出させる噴出部と、前記浴槽内に位置して前記ケースの表面を覆う化粧カバーと、を備え、前記ケースと前記化粧カバーとの間には、凹凸状の溝部が形成されていることを特徴とする浴槽用温水循環装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に設置され、前記浴槽内に向けて湯水を噴出する浴槽用温水循環装置であって、
浴槽に取り付けられるケースと、
前記ケース内に設けられ前記浴槽内の湯水を循環させるポンプと、
前記ポンプの作動により前記浴槽内の湯水が吸い込まれる吸込部と、
前記ポンプの作動により前記吸込部から吸い込まれた湯水を前記浴槽内に向けて噴出させる噴出部と、
前記浴槽内に位置して前記ケースの表面を覆う化粧カバーと、
を備え、
前記ケースと前記化粧カバーとの間には、凹凸状の溝部が形成されていることを特徴とする浴槽用温水循環装置。
【請求項2】
前記化粧カバーは、前記ケースから着脱可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用温水循環装置。
【請求項3】
前記溝部は、前記ケースの周縁部に設けられた第1波形部と、前記化粧カバーの周縁部に設けられた第2波形部と、が噛合することにより波形状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の浴槽用温水循環装置。
【請求項4】
前記第1波形部は、前記ケースの周縁部で径方向に凹凸して設けられており、
前記第2波形部は、前記化粧カバーの径方向に凹凸して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の浴槽用温水循環装置。
【請求項5】
前記ケースは、本体部と、前記本体部に取り付けられるリング部材と、を有し、
前記リング部材は、周縁部に設けられた前記第1波形部と、前記化粧カバーが係合する係合部と、を有することを特徴とする請求項3または4に記載の浴槽用温水循環装置。
【請求項6】
前記溝部は、前記ケースの周縁部に設けられた第1櫛歯部と、前記化粧カバーの周縁部に設けられた第2櫛歯部と、が噛合することにより櫛歯状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の浴槽用温水循環装置。
【請求項7】
前記化粧カバーは、前記浴槽内の湯水を前記ケース内に流入させるための複数の貫通孔を有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の浴槽用温水循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に浴槽用温水循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽に設置され、浴槽内の湯水を循環させることにより入浴者の身体に湯水を噴出する浴槽用温水循環装置が知られている(例えば、特許文献1)。浴槽用温水循環装置は、入浴者の身体に向けて湯水を噴出することにより、入浴者の身体にマッサージ効果を付与することができ、入浴時のリラクゼーション効果を高めることができる。
【0003】
浴槽用温水循環装置においては、例えば浴槽内の湯水を吸い込む吸込部と、吸い込んだ湯水を噴出する噴出部と、湯水を循環させるポンプと、がケースに一体的に設けられたものが知られている(特許文献1)。このような浴槽用温水循環装置は、ケースから化粧カバーを取り外して、ケース内部やポンプなどのメンテナンスを簡単にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-70185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴槽用温水循環装置のポンプを作動させた場合には、浴槽内の湯水がケース内に流入する。湯水は、吸込口からケースの内部に流入する以外にも、ケースと化粧カバーとの隙間からケースの内部に流入する。この湯水の流れに髪の毛などの異物が乗った場合には、異物がケースの内部に侵入してしまうおそれがある。また、ケースの内部に異物が侵入すると、ポンプが正常に作動しなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、髪の毛などの異物がケース内に侵入するのを抑制できる浴槽用温水循環装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、浴槽に設置され、前記浴槽内に向けて湯水を噴出する浴槽用温水循環装置であって、浴槽に取り付けられるケースと、前記ケース内に設けられ前記浴槽内の湯水を循環させるポンプと、前記ポンプの作動により前記浴槽内の湯水が吸い込まれる吸込部と、前記ポンプの作動により前記吸込部から吸い込まれた湯水を前記浴槽内に向けて噴出させる噴出部と、前記浴槽内に位置して前記ケースの表面を覆う化粧カバーと、を備え、前記ケースと前記化粧カバーとの間には、凹凸状の溝部が形成されていることを特徴とする浴槽用温水循環装置である。
【0008】
この浴槽用温水循環装置によれば、ケースと化粧カバーとの間に形成された凹凸状の溝部により、髪の毛などの異物がケース内に吸い込まれるのを抑制できる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記化粧カバーは、前記ケースから着脱可能となっていることを特徴とする浴槽用温水循環装置である。
【0010】
この浴槽用温水循環装置によれば、ケースから化粧カバーを取り外して、ケースの内部やポンプなどの清掃やメンテナンスを簡単にできる。また、化粧カバーをケースから着脱可能としても、ケースと化粧カバーとの間から髪の毛などの異物がケース内に侵入するのを抑制できる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記溝部は、前記ケースの周縁部に設けられた第1波形部と、前記化粧カバーの周縁部に設けられた第2波形部と、が噛合することにより波形状となっていることを特徴とする浴槽用温水循環装置である。
【0012】
この浴槽用温水循環装置によれば、溝部を波形状とすることで、髪の毛などの異物の侵入を効果的に抑制できる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記第1波形部は、前記ケースの周縁部で径方向に凹凸して設けられており、前記第2波形部は、前記化粧カバーの径方向に凹凸して設けられていることを特徴とする浴槽用温水循環装置である。
【0014】
この浴槽用温水循環装置によれば、化粧カバーをケースに取り付けた場合に、溝部が視認できなくなるので浴槽用温水循環装置の見栄えを向上できる。
【0015】
第5の発明は、第3または第4の発明において、前記ケースは、本体部と、前記本体部に取り付けられるリング部材と、を有し、前記リング部材は、周縁部に設けられた前記第1波形部と、前記化粧カバーが係合する係合部と、を有することを特徴とする浴槽用温水循環装置である。
【0016】
この浴槽用温水循環装置によれば、リング部材が本体部に取り付けられていなければ化粧カバーを取り付けることができないので、化粧カバーの誤組付けを抑制できる。例えば、メンテナンス等でリング部材を取り外す場合があっても、リング部材を本体部に正しく取り付けなければ化粧カバーを取り付けることができないので、浴槽用温水循環装置を正しい使用状態で利用することができる。
【0017】
第6の発明は、第1または第2の発明において、前記溝部は、前記ケースの周縁部に設けられた第1櫛歯部と、前記化粧カバーの周縁部に設けられた第2櫛歯部と、が噛合することにより櫛歯状となっていることを特徴とする浴槽用温水循環装置である。
【0018】
この浴槽用温水循環装置によれば、溝部を櫛歯状とすることで、髪の毛などの異物の侵入を効果的に抑制できる。
【0019】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記化粧カバーは、前記浴槽内の湯水を前記ケース内に流入させるための複数の貫通孔を有していることを特徴とする浴槽用温水循環装置である。
【0020】
この浴槽用温水循環装置によれば、貫通孔からケース内に湯水を効果的に吸入させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の態様によれば、髪の毛などの異物がケース内に侵入するのを抑制できる浴槽用温水循環装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る浴槽用温水循環装置が供えられた浴槽を示す斜視図である。
図2】浴槽用温水循環装置を単体で示す斜視図である。
図3】浴槽用温水循環装置を背面側からみた背面図である。
図4図3中の浴槽用温水循環装置を矢示A-A方向からみた断面図である。
図5図3中のB部を拡大して示す拡大図である。
図6】ケースから化粧カバーを取り外した状態を示す分解斜視図である。
図7】ケースからリング部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図8】化粧カバーの裏面側を示す斜視図である。
図9】第1変形例に係る浴槽用温水循環装置を示す斜視図である。
図10】第2変形例に係る浴槽用温水循環装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る浴槽用温水循環装置が供えられた浴槽を示す斜視図である。
図1に示すように、浴槽用温水循環装置10は、浴槽100に設置される。
【0024】
浴槽100は、内壁面部102を有する。内壁面部102は、入浴者の背中を支持する背もたれ面部104を有する。背もたれ面部104には、浴槽用温水循環装置10が設けられている。浴槽用温水循環装置10は、浴槽100に設置され、浴槽100内に向けて湯水を噴出する。浴槽用温水循環装置10は、例えば入浴者の腰や背中などに湯水を噴出するジェットバス装置となっている。浴槽用温水循環装置10は、例えば入浴者の抗重力筋である脊柱起立筋の位置を狙って湯水を噴射する。
【0025】
これにより、浴槽用温水循環装置10は、入浴者の腰などに刺激を与え、入浴時のリラクゼーション効果をより高めることができる。この例では、2個の浴槽用温水循環装置10が左右方向に離間して設けられている。なお、浴槽用温水循環装置10は、浴槽100に1個設けられていてもよいし、3個以上設けられていてもよい。また、浴槽用温水循環装置10は、浴槽100の背もたれ面部104に限らず、他の面に設けられていてもよい。
【0026】
ここで、本願明細書においては、背もたれ面部104に背中を当接させた入浴者からみて上方を「上方」とし、下方を「下方」とし、前方を「前方」とし、後方を「後方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」として説明する。
【0027】
次に、浴槽100に設けられる浴槽用温水循環装置10について説明する。
図2は、浴槽用温水循環装置を単体で示す斜視図である。
図3は、浴槽用温水循環装置を背面側からみた背面図である。
図4は、図3中の浴槽用温水循環装置を矢示A-A方向からみた断面図である。
図5は、図3中のB部を拡大して示す拡大図である。
図6は、ケースから化粧カバーを取り外した状態を示す分解斜視図である。
図7は、ケースからリング部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図8は、化粧カバーの裏面側を示す斜視図である。
浴槽用温水循環装置10は、ケース20、吸込部35、噴出部37、ポンプ40、および化粧カバー60を備える。浴槽用温水循環装置10は、正面視で円形状に形成されている。
【0028】
ケース20は、浴槽100の背もたれ面部104に取り付けられる。ケース20は、例えば樹脂材料や金属材料により形成された筒状体となっている。ケース20は、本体部30と、本体部30に取り付けられるリング部材50と、を有している。
【0029】
本体部30は、背もたれ面部104の取付孔に挿通する筒部31と、筒部31の前方に設けられた流路形成部33と、を有している。筒部31の前端側には、径方向外側に突出するフランジ部31aが設けられている。また、筒部31の外面には、おねじ部31bが設けられている。図4に示すように、ケース20は、筒部31のフランジ部31aが背もたれ面部104の内面に当接した状態で、図示しない固定部材をおねじ部31bに螺合することで、浴槽100に取り付けられる。
【0030】
筒部31の上端側には、空気導入部31cが設けられている。空気導入部31cは、管路(図示せず)により空気吸入口(図示せず)に接続されている。空気導入部31cからケース20内に導入された空気は、例えばエジェクタ効果により湯水に混入される。これにより、浴槽用温水循環装置10は、気泡噴流を発生させることができるようになっている。空気導入部31cは、必要に応じて設けられていればよい。
【0031】
流路形成部33は、例えば筒部31のフランジ部31aに取り付けられている。流路形成部33は、ケース20内に湯水の流路を形成する。流路形成部33は、浴槽100内の湯水を吸い込む吸込部35と、浴槽100に向けて湯水を噴出させる噴出部37と、を有している。流路形成部33は、吸込部35と噴出部37との間に湯水の流路33aを形成する。
【0032】
図6に示すように、吸込部35は、本体部30の下端側に位置している。吸込部35は、ポンプ40の作動により、浴槽100内の湯水が吸い込まれる開口となっている。吸込部35には、湯水に混入した髪の毛などの異物を補足するフィルタ(図示せず)が設けられている。
【0033】
噴出部37は、本体部30の上端側に位置している。噴出部37は、前方に向けて突出している。噴出部37は、ポンプ40の作動により吸込部35から吸い込まれた湯水を浴槽100内に向けて噴出させる。噴出部37は、例えば入浴者の腰に向けて湯水を噴出させることができる位置に設けられている。
【0034】
ポンプ40は、ケース20内に設けられ、浴槽100内の湯水を循環させる。ポンプ40は、空気導入部31cの下方に位置して、筒部31内に取り付けられている。ポンプ40は、図示しないリモコンや電源に接続されている。ポンプ40は、インペラ42を有している。インペラ42は、吸込部35の後方で流路33a内に位置している。リモコンが操作されると、ポンプ40のインペラ42が作動する。浴槽100内の湯水は、インペラ42の作動により吸込部35から吸い込まれて噴出部37から噴出する。
【0035】
リング部材50は、本体部30を構成する流路形成部33の前面に取り付けられている。図6図7に示すように、リング部材50は、中央部が前後方向に貫通したリング状に形成されている。リング部材50の外径は、流路形成部33の外径よりも大きくなっている。リング部材50は、本体部30とは別体として設けられている。そして、リング部材50は、周縁部51に設けられた第1波形部52と、後述の化粧カバー60の爪部64が係合する係合部56と、を有している。
【0036】
第1波形部52は、流路形成部33よりも径方向外側に設けられている。すなわち、図6に示すように、リング部材50が流路形成部33に取り付けられた状態では、第1波形部52はケース20の前端側の周縁部51に設けられる。第1波形部52は、径方向に凹凸して設けられている。第1波形部52は、リング部材50の外周面で周方向に連続して設けられている。
【0037】
リング部材50の周縁部51は、複数個の位置決め部54を有している。複数個の位置決め部54は、周方向に離間して設けられている。位置決め部54は、後述の化粧カバー60をケース20に取り付けるときに、ケース20に対する化粧カバー60の位置を決める部分となっている。位置決め部54は、第1波形部52とは異なる形状や大きさとなっている。また、リング部材50の内周面50aと裏面との間の角部は、化粧カバー60の爪部64が係合する係合部56となっている。
【0038】
化粧カバー60は、浴槽100内に位置してケース20の表面(前面)を覆っている。化粧カバー60は、例えば樹脂材料や金属材料により形成されている。化粧カバー60は、ケース20の表面を覆う被覆部62と、被覆部62の外周端から後方(背もたれ面部104)に向けて延びる周縁部66と、を有している。化粧カバー60は、被覆部62と周縁部66とにより皿状に形成されている。
【0039】
被覆部62には、噴出部37が挿通する挿通孔62cが上端側に設けられている。挿通孔62cは、噴出部37に対応する位置で被覆部62の表面62aから裏面62bに向けて貫通している。また、被覆部62は、浴槽100内の湯水をケース20内に流入させるための複数の貫通孔62dを有している。複数の貫通孔62dは、被覆部62の外周側で周方向に離間して設けられている。浴槽100内の湯水は、ポンプ40が作動することにより、貫通孔62dを介して吸込部35から流路33aに吸い込まれる。
【0040】
図8に示すように、爪部64は、被覆部62の裏面62bから後方(ケース20)に向けて突出している。化粧カバー60をケース20に取り付ける場合には、化粧カバー60をケース20に向けて押し付ける。これにより、爪部64の先端は、リング部材50の内部を貫通して係合部56に係合する。化粧カバー60をケース20から取り外すときには、化粧カバー60を引っ張る。これにより、係合部56に係合している爪部64の係合を解除させることができる。従って、化粧カバー60は、ケース20から簡単に着脱することができる。化粧カバー60をケース20から取り外すことで、ケース20内およびポンプ40のメンテナンスや清掃を行うことができる。
【0041】
化粧カバー60は、リング部材50の係合部56に係合する。そして、リング部材50は、ケース20の流路形成部33に取り付けられる。従って、化粧カバー60は、リング部材50が流路形成部33に取り付けられていなければ、ケース20に取り付けることができないようになっている。また、被覆部62の裏面62bには、複数のリブ65が設けられている。化粧カバー60は、複数のリブ65により剛性や強度を向上させている。
【0042】
周縁部66は、ケース20の外周側を覆っている。図4に示すように、周縁部66の先端は、背もたれ面部104に近接している。周縁部66は、第2波形部68を有している。第2波形部68は、周縁部66の裏面に位置して化粧カバー60の径方向に凹凸して設けられている。第2波形部68は、リング部材50の第1波形部52に対応する位置に設けられている。具体的には、第2波形部68の凸状部分は、第1波形部52の凹状部分に対応して設けられ、第2波形部68の凹状部分は、第1波形部52の凸状部分に対応して設けられている。
【0043】
また、周縁部66は、複数個の嵌合部69を有している。複数個の嵌合部69は、リング部材50の位置決め部54に対応する位置に設けられている。嵌合部69は、第2波形部68とは異なる形状や大きさとなっている。嵌合部69は、化粧カバー60をケース20に取り付けるときに位置決め部54に嵌合する。これにより、化粧カバー60をケース20に対して正確な位置に取り付けることができるようになっている。
【0044】
次に、ケース20と化粧カバー60との間に形成される凹凸状の溝部70について説明する。
【0045】
溝部70は、ケース20(リング部材50)の第1波形部52と、化粧カバー60の第2波形部68と、が噛合することにより形成される部分となっている。すなわち、溝部70は、ケース20と化粧カバー60との間の境界部分である。図4図5に示すように、溝部70は、第1波形部52と第2波形部68とが噛合することにより波形状となっている。
【0046】
溝部70は、化粧カバー60の着脱のしやすさや製造公差などにより、ケース20の外部と内部とを連通する隙間を有する。従って、浴槽100内の湯水は、ポンプ40の作動により化粧カバー60の貫通孔62dからケース20の内部に流入する以外にも溝部70からケース20の内部に流入する。
【0047】
ここで、例えば溝部が凹凸のない円状に形成されていた場合には、湯水の流れに乗った髪の毛などの異物が円状の溝部に沿ってケース内に吸い込まれるおそれがある。貫通孔62dや吸込部35などは、例えばフィルタ(図示せず)を設けてケース20内への異物の侵入を抑制することができる。一方、ケースと化粧カバーとの間の溝部にフィルタなどを設けた場合には、ケースから化粧カバーの着脱がしにくくなるおそれがある。また、溝部は、細い隙間となっているので、フィルタを取り付けるのが困難になるおそれがある。
【0048】
そこで、ケース20と化粧カバー60との間の溝部70は、ケース20の第1波形部52と化粧カバー60の第2波形部68とが噛合することにより波形状(凹凸状)に形成されている。これにより、図5に示すように、例えば背もたれ面部104と化粧カバー60との間から侵入した髪の毛Hは、波形状に形を変形させなければ溝部70からケース20の内部に侵入できないようになっている。言い換えると、髪の毛Hなどの異物は波形状に変形しにくいため、波形状に形成された溝部70から髪の毛Hなどの異物がケース20内に吸い込まれることを抑制できる。
【0049】
また、第1波形部52は、ケース20の周縁部(外周面)で径方向に凹凸しており、第2波形部68は、化粧カバー60の周縁部66の裏面側で凹凸している。これにより、化粧カバー60をケース20に取り付けた場合には、溝部70を化粧カバー60の周縁部66で隠すことができる。従って、化粧カバー60の周縁部66により溝部70が視認できなくなるので、浴槽用温水循環装置10の見栄えを向上できる。
【0050】
従って、浴槽用温水循環装置10は、ポンプ40を作動させた場合に、髪の毛などの異物がケース20内に吸い込まれるのを抑制できる。その結果、ケース20と化粧カバー60との間やポンプ40のインペラ42に髪の毛などの異物が絡まるのを抑制できる。
【0051】
図9は、第1変形例に係る浴槽用温水循環装置を示す斜視図である。
上述した実施形態では、ケース20の径方向に凹凸状の第1波形部52を設け、化粧カバー60の径方向に凹凸状の第2波形部68を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図9に示す第1変形例の浴槽用温水循環装置80のように、ケース82の第1波形部83と、化粧カバー84の第2波形部85と、を前後方向に凹凸状に形成してもよい。これにより、浴槽用温水循環装置80は、ケース82と化粧カバー84との境界部に前後方向に波形状の溝部86を形成することができる。
【0052】
図10は、第2変形例に係る浴槽用温水循環装置を示す斜視図である。
上述した実施形態では、ケース20に第1波形部52を設け、化粧カバー60に第2波形部68を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図10に示す第2変形例の浴槽用温水循環装置90のように、溝部96は、ケース92の周縁部に設けられた第1櫛歯部93と、化粧カバー94の周縁部に設けられた第2櫛歯部95と、が噛合することにより櫛歯状となっていてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、リング部材50が本体部30とは別体である場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様は、これに限らず例えばリング部材50が本体部30に一体となっていてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、溝部70が波形状、また櫛歯状となっている場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様は、これに限らず、溝部70が、髪の毛や異物が吸い込まれにくい形状を有していればよく、例えば溝部70の形状が、半円弧が連なった形状等となっていてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、溝部70が波形状として、曲線の波形状となっている場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様は、これに限らず、溝部70の波形状が、髪の毛や異物が吸い込まれにくい形状を有していればよく、例えば溝部70の形状が三角形状、矩形形状、またはノコギリ形状等で構成される波形形状となっていてもよい。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴槽用温水循環装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0057】
10 浴槽用温水循環装置
20 ケース
30 本体部
31 筒部
31a フランジ部
31b おねじ部
31c 空気導入部
33 流路形成部
33a 流路
35 吸込部
37 噴出部
40 ポンプ
42 インペラ
50 リング部材
50a 内周面
51 周縁部
52 第1波形部
54 位置決め部
56 係合部
60 化粧カバー
62 被覆部
62a 表面
62b 裏面
62c 挿通孔
62d 貫通孔
64 爪部
65 リブ
66 周縁部
68 第2波形部
69 嵌合部
70 溝部
80 浴槽用温水循環装置
82 ケース
83 第1波形部
84 化粧カバー
85 第2波形部
86 溝部
90 浴槽用温水循環装置
92 ケース
93 第1櫛歯部
94 化粧カバー
95 第2櫛歯部
96 溝部
100 浴槽
102 内壁面部
104 背もたれ面部
H 髪の毛

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10