(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034788
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 29/00 20060101AFI20230306BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20230306BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
F25D29/00 A
F25D11/00 101B
F25D17/08 306
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141197
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】吉池 真史
(72)【発明者】
【氏名】青木 均史
(72)【発明者】
【氏名】設楽 真輔
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA01
3L045LA12
3L045NA07
3L045NA15
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA13
3L345AA14
3L345AA16
3L345BB01
3L345BB02
3L345DD08
3L345DD18
3L345DD21
3L345DD33
3L345EE13
3L345EE45
3L345EE53
3L345FF12
3L345FF45
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】小冷凍室温度計測部により小冷凍室の庫内温度を正確に検知できる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫10は、小冷凍室131と、冷凍室13に送風される空気が冷却器116により冷却される冷却室115と、空気を冷却室115から冷凍室13に送風する送風ファン24と、冷却室115から冷凍室13に空気が吹き出される吹出口33と、小冷凍室131の内部の温度を計測する小冷凍室温度計測部26と、を具備する。また、小冷凍室温度計測部26は、小冷凍室131の上面よりも上方側に配置される。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配設された断熱材と、を有する断熱箱体と、
前記内箱の内部に形成された冷凍室と、
前記冷凍室の内部に区画形成された小冷凍室と、
前記冷凍室に送風される空気が冷却器により冷却される冷却室と、
前記空気を前記冷却室から前記冷凍室に送風する送風ファンと、
前記冷却室から前記冷凍室に前記空気が吹き出される吹出口と、
前記小冷凍室の内部の温度を計測する小冷凍室温度計測部と、を具備し、
前記小冷凍室温度計測部は、前記小冷凍室の上面よりも上方側に配置されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記小冷凍室温度計測部と、前記吹出口とは、幅方向においてずれて配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記小冷凍室温度計測部は、前記小冷凍室の温度を検知する温度センサ部と、前記温度センサ部を囲うセンサ被覆部と、を有し、
前記内箱の上面を部分的に開口した内箱開口部から、前記センサ被覆部が前記小冷凍室に臨むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前後方向に引き出し可能に配置された小冷凍室容器と、
前記内箱の上面に取り付けられるケーシング部と、更に具備し、
前記ケーシング部は、上面部と、前記上面部の幅方向端部側から下方に向かって伸びて前記小冷凍室容器を前記前後方向にスライド可能に支持するレール部と、前記上面部を部分的に開口したケーシング開口部と、を有し、
前記小冷凍室は、前記小冷凍室容器および前記ケーシング部により囲まれる空間であり、
前記ケーシング開口部から前記センサ被覆部が前記小冷凍室に臨むことを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
演算制御部を、更に具備し、
前記演算制御部は、前記小冷凍室温度計測部の出力に基づいて、前記小冷凍室の内部に収納された被冷凍物を冷却する能力を高めることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項6】
冷蔵室と、
前記冷蔵室および前記冷凍室を、それぞれまたは同時に冷やすことが可能な冷却回路と、を更に具備し、
前記演算制御部は、前記扉の開閉動作を検知したら、前記冷蔵室の冷却を停止し、前記冷凍室のみを冷却する前記冷却回路に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、小冷凍室の庫内温度を検知する温度計測部を有する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されたような、小冷凍室の庫内温度を検知する冷蔵庫が知られている。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載された冷蔵庫では、小冷凍室を仕切る縦仕切部の下面よりも上方に凹んだ位置に、冷凍室の温度を測定するサーミスタが設けられている。また、このサーミスタからの出力に基づいて、急速冷凍機能を実行している。このようにすることで、冷凍室と冷蔵室等との間の断熱性能の低下を抑制しつつ、食品が収納されたら、自動的に急速冷凍を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された冷蔵庫では、小冷凍室の庫内温度を正確に検知する観点から改善の余地があった。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載された冷蔵庫では、温度を検知するサーミスタが、冷気吹出口の近傍に配置されている。よって、吹出口からサーミスタに向けて冷気が吹き出され、サーミスタにより正確に温度を検知することができない場合がある課題があった。
【0007】
また、当該サーミスタの出力に基づいて急速冷凍機能を実行する場合、サーミスタにより小冷凍室の庫内温度を正確に検知出来なければ、急速冷凍機能が誤作動してしまう課題があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小冷凍室温度計測部により小冷凍室の庫内温度を正確に検知できる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷蔵庫は、外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配設された断熱材と、を有する断熱箱体と、前記内箱の内部に形成された冷凍室と、前記冷凍室の内部に区画形成された小冷凍室と、前記冷凍室に送風される空気が冷却器により冷却される冷却室と、前記空気を前記冷却室から前記冷凍室に送風する送風ファンと、前記冷却室から前記冷凍室に前記空気が吹き出される吹出口と、前記小冷凍室の内部の温度を計測する小冷凍室温度計測部と、を具備し、前記小冷凍室温度計測部は、前記小冷凍室の上面よりも上方側に配置されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫では、前記小冷凍室温度計測部と、前記吹出口とは、幅方向においてずれて配置されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、前記小冷凍室温度計測部は、前記小冷凍室の温度を検知する温度センサ部と、前記温度センサ部を囲うセンサ被覆部と、を有し、前記内箱の上面を部分的に開口した内箱開口部から、前記センサ被覆部が前記小冷凍室に臨むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫では、前後方向に引き出し可能に配置された小冷凍室容器と、前記内箱の上面に取り付けられるケーシング部と、更に具備し、前記ケーシング部は、上面部と、前記上面部の幅方向端部側から下方に向かって伸びて前記小冷凍室容器を前記前後方向にスライド可能に支持するレール部と、前記上面部を部分的に開口したケーシング開口部と、を有し、前記小冷凍室は、前記小冷凍室容器および前記ケーシング部により囲まれる空間であり、前記ケーシング開口部から前記センサ被覆部が前記小冷凍室に臨むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、演算制御部を、更に具備し、前記演算制御部は、前記小冷凍室温度計測部の出力に基づいて、前記小冷凍室の内部に収納された被冷凍物を冷却する能力を高めることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、冷蔵室と、前記冷蔵室および前記冷凍室を、それぞれまたは同時に冷やすことが可能な冷却回路と、を更に具備し、前記演算制御部は、前記扉の開閉動作を検知したら、前記冷蔵室の冷却を停止し、前記冷凍室のみを冷却する前記冷却回路に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷蔵庫は、外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配設された断熱材と、を有する断熱箱体と、前記内箱の内部に形成された冷凍室と、前記冷凍室の内部に区画形成された小冷凍室と、前記冷凍室に送風される空気が冷却器により冷却される冷却室と、前記空気を前記冷却室から前記冷凍室に送風する送風ファンと、前記冷却室から前記冷凍室に前記空気が吹き出される吹出口と、前記小冷凍室の内部の温度を計測する小冷凍室温度計測部と、を具備し、前記小冷凍室温度計測部は、前記小冷凍室の上面よりも上方側に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、小冷凍室温度計測部を、小冷凍室の上面よりも上方側に配置することにより、吹出口から吹き出された空気が、小冷凍室温度計測部に直接的に吹き付けられないので、小冷凍室の庫内温度を小冷凍室温度計測部により正確に検知することができる。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、前記小冷凍室温度計測部と、前記吹出口とは、幅方向においてずれて配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、小冷凍室温度計測部と吹出口とを、幅方向においてずれて配置することにより、吹出口から吹き出された空気を、小冷凍室温度計測部から更に遠ざけ、小冷凍室温度計測部により小冷凍室の庫内温度を更に正確に検知することができる。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記小冷凍室温度計測部は、前記小冷凍室の温度を検知する温度センサ部と、前記温度センサ部を囲うセンサ被覆部と、を有し、前記内箱の上面を部分的に開口した内箱開口部から、前記センサ被覆部が前記小冷凍室に臨むことを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、内箱開口部から、センサ被覆部が小冷凍室に臨むことにより、センサ被覆部により温度センサ部を保護することができる。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、前後方向に引き出し可能に配置された小冷凍室容器と、前記内箱の上面に取り付けられるケーシング部と、更に具備し、前記ケーシング部は、上面部と、前記上面部の幅方向端部側から下方に向かって伸びて前記小冷凍室容器を前記前後方向にスライド可能に支持するレール部と、前記上面部を部分的に開口したケーシング開口部と、を有し、前記小冷凍室は、前記小冷凍室容器および前記ケーシング部により囲まれる空間であり、前記ケーシング開口部から前記センサ被覆部が前記小冷凍室に臨むことを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、ケーシング開口部からセンサ被覆部が小冷凍室に臨むことにより、貯蔵物の出し入れを行うために、小冷凍室容器を前後方向に移動させた際に、貯蔵物が温度センサ部に接触することを防止できる。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫では、演算制御部を、更に具備し、前記演算制御部は、前記小冷凍室温度計測部の出力に基づいて、前記小冷凍室の内部に収納された被冷凍物を冷却する能力を高めることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、小冷凍室温度計測部により小冷凍室の庫内温度を正確に検知することで、小冷凍室の内部に被冷凍物が収納されたことを正確に判断でき、自動クイック冷凍機能が誤作動することを抑止出来る。
【0020】
また、本発明の冷蔵庫では、冷蔵室と、前記冷蔵室および前記冷凍室を、それぞれまたは同時に冷やすことが可能な冷却回路と、を更に具備し、前記演算制御部は、前記扉の開閉動作を検知したら、前記冷蔵室の冷却を停止し、前記冷凍室のみを冷却する前記冷却回路に切り替えることを特徴とする。従って、本発明によれば、冷蔵室と冷凍室とを冷却回路により個別に冷却する冷蔵庫であっても、小冷凍室に被冷凍物が貯蔵されたことを良好に検知でき、被冷凍物を効果的に凍結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の、断熱扉を開けた状態の外観を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の内部構成を示す側方断面図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の内部構成を部分的に示す側方断面図である。
【
図4B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫において、小冷凍室温度計測部およびその近傍を示す側方断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫において、小冷凍室温度計測部を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫において、冷凍室を構成する内箱を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫において、冷凍室を構成する内箱を示す分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫において、小冷凍室およびその近傍を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。本実施形態の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、上下前後左右の各方向を用いて説明するが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右である。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を、前方左側から見た斜視図である。冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室とを有している。冷蔵庫10は、後述するように、クイック冷凍機能を備えている。
【0024】
冷蔵庫10は、貯蔵室として、上方側から、冷蔵室12および冷凍室13を有している。冷蔵室12の前方開口は、回転式の断熱扉18および断熱扉19で閉鎖されている。冷凍室13の前面開口は、断熱扉20および断熱扉21で閉鎖されている。断熱扉18、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21は、回転式の扉であり、左右方向外側端部を回転中心として回転することができる。
【0025】
図2は、断熱扉18、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21が開放状態となっている冷蔵庫10を示す正面図である。
【0026】
前述したように、断熱箱体11の内部には貯蔵室として、冷蔵室12および冷凍室13が形成されている。
【0027】
冷蔵室12は、収納された被冷蔵物を冷蔵温度帯域に冷却する貯蔵室であり、その庫内温度は、例えば、2℃以上5度以下の温度帯域に冷却されている。また、冷蔵室12を閉鎖する断熱扉18および断熱扉19の内側面には、収納ポケット17が配設されている。
【0028】
冷凍室13は、収納された被冷凍物16を冷凍温度帯域に冷却する貯蔵室であり、その庫内温度は、例えば、-20℃以上-18度以下の温度帯域に冷却されている。冷凍室13には、複数の収納容器31が収納されている。ここでは、行列状に6個の収納容器31が配置されている。個々の収納容器31は、上面が開口する略箱状の樹脂から成る容器であり、前後方向に沿って引出自在とされている。
【0029】
冷凍室13の内部において、右方上端に配置された収納容器31の上端部近傍に、小冷凍室131が形成されている。小冷凍室131は、肉や魚などの生鮮食品等を早期に凍結させるクイック冷凍室である。小冷凍室131の詳細は、
図3等を参照して後述する。小冷凍室131は、クイック冷凍コーナーとも称される。
【0030】
図3は、冷蔵庫10の側方断面図である。
図3では、冷蔵庫10の内部における冷気の流れを点線の矢印で示している。
【0031】
断熱箱体11は、所定形状に曲折加工された鋼板からなる外箱111と、外箱111と離間した内側に配置された合成樹脂板から成る内箱112と、外箱111と内箱112との間に充填された断熱材113とから構成されている。
【0032】
断熱箱体11の内部の貯蔵室は、上記したように、上方から冷蔵室12および冷凍室13に区画されている。冷蔵室12と冷凍室13とは断熱壁34で区画されている。断熱壁34は、断熱箱体11と同様の断熱構造を有している。
【0033】
冷蔵室12の内部は、複数の収納棚15により上下方向に区画されている。
【0034】
冷凍室13の奥側には、冷却室115が形成されている。冷却室115の内部には、冷却器である蒸発器116が配設されている。冷蔵庫10の下端側後方には機械室14が区画形成され、機械室14には圧縮機22が配置されている。蒸発器116および圧縮機22は、ここでは図示しない凝縮器および膨張手段と共に、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成している。蒸気圧縮冷凍サイクルを運転することで、蒸発器116により冷却室115の内部の冷気を冷却し、この冷気を各貯蔵室に送風することで、各貯蔵室の庫内温度が所定の冷却温度帯域とされる。
【0035】
冷却室115の内部において、蒸発器116の上方側には送風ファン24が配置されている。送風ファン24は、軸流送風機または遠心送風機であり、蒸発器116が冷却した蒸発器116の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。
【0036】
冷却室115の内部であって、蒸発器116の下方には、除霜ヒータ117が配置される。蒸気圧縮冷凍サイクルの運転に伴い、蒸発器116の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、後述する演算制御部は、圧縮機22を停止して冷却室115を閉鎖し、除霜ヒータ117を通電して加熱することで、霜を溶融除去する除霜運転を行う。
【0037】
冷却室115の前側には主送風路114が形成されている。また、主送風路114から上方に向かって冷蔵室送風路28が形成されている。冷蔵室送風路28には、冷蔵室ダンパ29が取り付けてある。冷蔵室送風路28には、冷気を冷蔵室12に吹き出すための開口である吹出口23が形成されている。
【0038】
蒸発器116により冷却された冷却室115の内部の空気は、送風ファン24により主送風路114に向かって送風された後に、冷凍室13に送風され、冷凍室13を所定の冷凍温度帯域に冷却する。冷凍室13を冷却した空気は、ここでは図示しない帰還風路を経由して冷却室115に帰還する。また、送風ファン24が送風した空気の一部は、冷蔵室ダンパ29、冷蔵室送風路28および吹出口23を経由して冷蔵室12に送風され、冷蔵室12を所定の冷蔵温度帯域に冷却する。冷蔵室12を冷却した空気は、ここでは図示しない帰還風路を経由して冷却室115に帰還する。
【0039】
小冷凍室131は、冷凍室13の最上部に形成されている。小冷凍室131は、小冷凍室容器32により囲まれる部位である。小冷凍室容器32は、上部が開口する樹脂製容器であり、前後方向に引き出し自在に配置されている。また、小冷凍室容器32は、最上段に配置された収納容器31の内部に配置される。即ち、小冷凍室131は、下面および側面が小冷凍室容器32により構成され、上面が断熱壁34の下面から構成される空間である。
【0040】
小冷凍室131には、例えば、肉や魚である被冷凍物16が収納される。小冷凍室131においてクイック冷凍を行うことで、被冷凍物16を早期に凍結させ、これより被冷凍物16の鮮度を良好に保持することができる。小冷凍室131に対して食品等の出し入れを行う際には、断熱扉21を回動させることで開き、最上段の収納容器31を前方に引出し、更に、小冷凍室容器32を前方に引き出す。
【0041】
更に、小冷凍室131には、送風ファン24から送風された空気が、吹出口33から直に送り込まれる。また、小冷凍室容器32に面する、断熱壁34の下面には、小冷凍室温度計測部26が配設される。小冷凍室温度計測部26は、例えばサーミスタから成り、断熱壁34の下面から下方に向かって突出しないように配置されている。また、後述するように、左右方向において、最上段の吹出口33と小冷凍室温度計測部26は、ずらされている。このようにすることで、吹出口33から吹き出された低温の空気が、小冷凍室温度計測部26に直に吹き付けられることがなく、小冷凍室温度計測部26により被冷凍物16の温度を正確に検知できる。
【0042】
冷蔵庫10は、前述したように、クイック冷凍機能を有する。クイック冷凍機能とは、ユーザが小冷凍室131に被冷凍物16を収納した際に、被冷凍物16を急速に凍結させる機能である。クイック冷凍機能は、ユーザがコントロールパネルを操作することによって実行することができる。更に、クイック冷凍機能は、ユーザが特段の操作を行わずとも、小冷凍室温度計測部26の検知温度に基づいて、演算制御部が実行する自動クイック冷凍機能として実行することができる。なお、クイック冷凍機能は、急速冷凍機能とも称されることもある。
【0043】
図4Aおよび
図4Bを参照して、小冷凍室温度計測部26等の構成を説明する。
図4Aは、小冷凍室131の近傍の内部構成を示す側方断面図である。
図4Bは、小冷凍室温度計測部26およびその近傍を拡大して示す側方断面図である。
図4Bでは、内箱開口部27の内部において、小冷凍室131の上面の位置を破線で示している。
【0044】
図4Aを参照して、小冷凍室温度計測部26は、小冷凍室131の天井面に配設されている。換言すると、小冷凍室温度計測部26は、断熱壁34に埋め込まれた構成となっている。小冷凍室131は、断熱壁34の直下に形成された薄い略直方体形状を呈する空間である。よって、断熱壁34の下面に小冷凍室温度計測部26を配設することで、小冷凍室131の庫内温度を正確に計測することができる。また、小冷凍室容器32の底面には、アルミニウム板等から成る金属トレイ25が配設されており、金属トレイ25の上面に被冷凍物16が載置される。このようにすることで、被冷凍物16から金属トレイ25に良好に伝熱し、被冷凍物16を更に効果的に冷却出来る。
【0045】
図4Bを参照して、小冷凍室温度計測部26は、小冷凍室131の温度を検知する温度センサ部261と、温度センサ部261を囲うセンサ被覆部262と、を有している。
【0046】
温度センサ部261は、例えば、サーミスタであり、小冷凍室131の内部温度を示す電気信号を、ここでは図示しない演算制御部に出力する。
【0047】
センサ被覆部262は、温度センサ部261を囲う合成樹脂等から成る容器である。センサ被覆部262の内部には支持部265が配置されている。支持部265は、センサ被覆部262の下面から立設された部位であり、センサ被覆部262の内部において温度センサ部261を固定する。
【0048】
小冷凍室温度計測部26は、ケーシング開口部303および内箱開口部27から、小冷凍室131に臨んでいる。ケーシング開口部303は、内箱112を開口した部位である。ケーシング開口部303は、後述するケーシング部30の上面部301を開口した部位である。
【0049】
温度センサ部261は、小冷凍室131の上面よりも上方側に配置される。より具体的には、温度センサ部261の下端は、小冷凍室131の上面を構成しているケーシング部30の上面部301の下面よりも、上方に配置されている。ここでは、小冷凍室131の上面に相当する部分を破線で示している。このようにすることで、
図4Aに示した吹出口33から小冷凍室131の内部に吹き出された空気が、小冷凍室131の上面に沿って前方に向かって進行しても、その空気が直接的に温度センサ部261に吹き付けられることを抑制できる。よって、小冷凍室131の庫内温度を、温度センサ部261により正確に検知することができる。
【0050】
温度センサ部261が、係る構成とされていることにより、より確実に自動クイック冷凍機能を実行することができる。具体的には、
図4Aを参照して、ユーザが断熱扉21、収納容器31および小冷凍室容器32を開閉することより、被冷凍物16を小冷凍室131に収納したら、図示しない演算制御部は、小冷凍室温度計測部26の検知温度の経時変化をモニタリングする。その後、小冷凍室温度計測部26により検知した検知温度の変化が、閾値よりも大きい場合、即ち、小冷凍室131の温度低下が緩やかである場合は、演算制御部は、被冷凍物16が肉などの食品であると判断し、自動クイック冷凍を実行する。即ち、前述した圧縮機22の回転数を高め、被冷凍物16を早期に凍結させる。このようにすることで、被冷凍物16が解凍された際に発生するドリップの量を低減し、被冷凍物16の鮮度を良好に保つことができる。
【0051】
図5は、小冷凍室温度計測部26を示す斜視図である。小冷凍室温度計測部26では、前述した温度センサ部261は、センサ被覆部262に内蔵される。
【0052】
センサ被覆部262は、上方部分を構成する略蓋形状の上方被覆部266と、下方部分を構成する略蓋形状の下方被覆部267と、を有する。
【0053】
開口部263は、下方被覆部267の前方側面および後方側面を部分的に開口することで形成される。開口部263は、前述した小冷凍室131とセンサ被覆部262の内部空間とを連通させている。開口部263は、下方被覆部267の前方側面において、左右方向に沿って複数が形成される。また、開口部263は、下方被覆部267の後方側面においても、左右方向に沿って複数が形成される。係る構成により、開口部263を経由して、小冷凍室131の内部の空気がセンサ被覆部262の内部に適度に進入し、センサ被覆部262に内蔵された温度センサ部261により、小冷凍室131の内部の温度を正確に検知することができる。
図4Bを参照して、開口部263の下方部分は、小冷凍室131の上面よりも下方側に配置され、開口部263の上方部分は、小冷凍室131の上面よりも上方側に配置される。
【0054】
鍔部264は、下方被覆部267の上縁部を、前方、後方、左方および右方に向かって鍔状に突出させた部位である。
図4Bを参照して、鍔部264は、内箱開口部27の周囲において、内箱112の上面に当接する部位である。このようにすることで、上下方向において、小冷凍室温度計測部26に内蔵される温度センサ部261の位置を正確に規定でき、温度センサ部261により小冷凍室131の庫内温度を正確に検知することができる。
【0055】
図6は、冷凍室13を構成する内箱112を示す斜視図である。内箱112の上面には、ケーシング部30が取り付けられている。
【0056】
ケーシング部30は、射出成形された合成樹脂等から成り、上面部301と、レール部302と、を有する。また、ケーシング部30に、前述した小冷凍室容器32が前方から挿入されることで、ケーシング部30と小冷凍室容器32により囲まれる空間として、前述した小冷凍室131が形成される。
【0057】
上面部301は、略長方形状を呈し、内箱112の天井面に当接する部位である。
【0058】
レール部302は、上面部301の左端部および右端部から下方に向かって伸びる。レール部302は、前述した小冷凍室容器32を、前後方向にスライド可能に支持する。
【0059】
上面部301を開口することでケーシング開口部303が形成されている。前述したように、ケーシング開口部303を経由して、小冷凍室温度計測部26は小冷凍室131に臨んでいる。
【0060】
図7は、冷凍室13を構成する内箱112を示す分解斜視図である。前述したように、内箱112の上面部を開口することで内箱開口部27が形成されている。また、内箱112の天井面に、ケーシング部30は下方から組み付けられる。内箱112の内箱開口部27と、ケーシング部30のケーシング開口部303とは、上方から見て互いに重畳するように配置されている。このようにすることで、小冷凍室温度計測部26を、内箱開口部27およびケーシング開口部303を経由して、小冷凍室131の室内に臨ませることを特徴とするができる。
【0061】
また、センサ被覆部262に収納される温度センサ部261からは、導線35が伸びている。温度センサ部261は、導線35を経由して、ここでは図示しない演算制御部と接続される。
【0062】
小冷凍室温度計測部26、内箱開口部27およびその近傍の内箱112の上面は、固定テープ36により被覆される。このようにすることで、内箱開口部27を介して内箱112の内部に発泡樹脂が侵入することが防止される。
【0063】
図8は、小冷凍室131およびその近傍を示す正面図である。ここでは、小冷凍室131を構成する小冷凍室容器32を図示していない。
【0064】
吹出口33は、内箱112の後面に形成され、且つ、前方に向かって突出する筒状の部位である。吹出口33を経由して、前述した冷却室115からの空気が、小冷凍室131に向けて吹き出される。
【0065】
小冷凍室温度計測部26と、吹出口33とは、幅方向においてずれて配置される。ここでは、小冷凍室温度計測部26は、吹出口33の左方側に配置される。具体的には、小冷凍室温度計測部26の右端部は、吹出口33の左端部よりも、左方側に配置されている。即ち、左右方向において、小冷凍室温度計測部26と吹出口33とは、重畳しないように配置されている。また、小冷凍室温度計測部26に内蔵される、ここでは図示しない温度センサ部261も、吹出口33よりも左方側に配置されている。
【0066】
このようにすることで、吹出口33から吹き出された低温の空気は、小冷凍室温度計測部26の右方側を吹き抜けるので、小冷凍室温度計測部26に直に吹き付けられることがない。よって、小冷凍室温度計測部26により、小冷凍室131の庫内温度を正確に検知することができ、小冷凍室温度計測部26の検知温度に基づいて自動クイック機能を実行することができる。
【0067】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0068】
具体的には、
図4Bに示したように、小冷凍室温度計測部26を、小冷凍室131の上面よりも上方側に配置することにより、吹出口33から吹き出された空気が、小冷凍室温度計測部26に直接的に吹き付けられないので、小冷凍室131の庫内温度を小冷凍室温度計測部26により正確に検知することができる。
【0069】
更に、
図8を参照して、小冷凍室温度計測部26と吹出口33とを、幅方向においてずれて配置することにより、吹出口33から吹き出された空気を、小冷凍室温度計測部26から更に遠ざけ、小冷凍室温度計測部26により小冷凍室131の庫内温度を更に正確に検知することができる。
【0070】
更に、
図4Bを参照して、内箱開口部27から、センサ被覆部262が小冷凍室131に臨むことにより、センサ被覆部262により温度センサ部261を保護することができる。
【0071】
更に、
図7を参照して、ケーシング開口部303からセンサ被覆部262が小冷凍室131に臨むことにより、貯蔵物の出し入れを行うために、小冷凍室容器32を前後方向に移動させた際に、貯蔵物が温度センサ部261に接触することを防止できる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0073】
例えば、
図3を参照して、冷蔵室12と冷凍室13とを、それぞれまたは同時に冷やすことが可能な冷却回路を有することができる。具体的には、冷蔵室12を冷却する冷蔵室用冷却器を、蒸発器116とは別途に設け、冷蔵室用冷却器により冷蔵室12を冷却し、蒸発器116により冷凍室13を冷却する。係る構成の場合、例えばCPUである演算制御部は、開閉検知部が、断熱扉21の開閉動作を検知したら、冷凍室13のみを冷却する冷却回路に切り替える。具体的には、演算制御部は、冷蔵室用冷却器による冷蔵室12の冷却を停止し、蒸発器116による冷凍室13の冷却を続行する。
【符号の説明】
【0074】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
111 外箱
112 内箱
113 断熱材
114 主送風路
115 冷却室
116 蒸発器
117 除霜ヒータ
12 冷蔵室
13 冷凍室
131 小冷凍室
14 機械室
15 収納棚
16 被冷凍物
17 収納ポケット
18 断熱扉
19 断熱扉
20 断熱扉
21 断熱扉
22 圧縮機
23 吹出口
24 送風ファン
25 金属トレイ
26 小冷凍室温度計測部
261 温度センサ部
262 センサ被覆部
263 開口部
264 鍔部
265 支持部
266 上方被覆部
267 下方被覆部
27 内箱開口部
28 冷蔵室送風路
29 冷蔵室ダンパ
30 ケーシング部
301 上面部
302 レール部
303 ケーシング開口部
31 収納容器
32 小冷凍室容器
33 吹出口
34 断熱壁
35 導線
36 固定テープ