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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034821
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】プロテクタ、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230306BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230306BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20230306BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230306BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20230306BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H02G3/30
F16B2/10 E
F16L57/00 A
B60R16/02 623C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141256
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 友
(72)【発明者】
【氏名】下川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】下村 浩介
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 喜仙
(72)【発明者】
【氏名】東 健介
(72)【発明者】
【氏名】太田 一夫
【テーマコード(参考)】
3H024
3J022
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB02
3H024AC03
3J022DA11
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022ED26
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GA20
3J022GB23
3J022GB27
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD11
5G357DE08
5G357DG04
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA15
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】組み付け作業性を向上することができるプロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤハーネスWHが備えるプロテクタ1は、内部に導電性を有する配索材Wが配索されるプロテクタ本体10と、プロテクタ本体10周りに装着され、固定対象100に固定される固定部材20とを備え、固定部材20は、プロテクタ本体10に装着された状態で、プロテクタ本体10における配索材Wの配索方向Dに沿って当該プロテクタ本体10上を相対移動可能、かつ、当該プロテクタ本体10周りに相対回転可能であること特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に導電性を有する配索材が配索されるプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体周りに装着され、固定対象に固定される固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記プロテクタ本体に装着された状態で、前記プロテクタ本体における前記配索材の配索方向に沿って当該プロテクタ本体上を相対移動可能、かつ、当該プロテクタ本体周りに相対回転可能であること特徴とする、
プロテクタ。
【請求項2】
前記プロテクタ本体、又は、前記固定部材の一方は、前記プロテクタ本体、又は、前記固定部材の他方側に向かって突出して形成され、前記プロテクタ本体と前記固定部材との相対移動、又は、相対回転に伴って、前記他方と当接して摺動可能である摺動突部を有する、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記プロテクタ本体は、前記配索方向に沿った前記固定部材の相対移動の範囲を規制する移動規制部を有する、
請求項1又は請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記プロテクタ本体は、前記プロテクタ本体周りの前記固定部材の相対回転の範囲を規制する回転規制部を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記固定部材は、円環に沿った内周面を有し、
前記プロテクタ本体は、前記固定部材の前記内周面に沿う曲面をなし当該内周面と対向して前記固定部材を相対移動可能、かつ、相対回転可能に支持する外周面を有する、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記プロテクタ本体は、内部に前記配索材が湾曲して配索される本体部、前記本体部の前記配索方向の両端部にそれぞれ設けられ結束部材を介して当該本体部の内部に湾曲して配索された前記配索材が結束される一対の結束部、及び、前記配索方向に対して前記本体部の一方の端部側に設けられ前記外周面が形成された固定部材装着部を含んで構成される、
請求項5に記載のプロテクタ。
【請求項7】
導電性を有する配索材と、
前記配索材に外装されるプロテクタとを備え、
前記プロテクタは、
前記配索材が配索されるプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体に装着され、固定対象に固定される固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記プロテクタ本体に装着された状態で、前記プロテクタ本体における前記配索材の配索方向に沿って当該プロテクタ本体上を相対移動可能、かつ、当該プロテクタ本体周りに相対回転可能であること特徴とする、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、第一固定部材と、第二固定部材と、第三固定部材と、ワイヤハーネスとを含むワイヤハーネス配索構造が開示されている。第一固定部材は、振動伝達源を固定対象とする。第二固定部材及び第三固定部材は、非振動伝達源を固定対象とする。ワイヤハーネスは、これら第一固定部材、第二固定部材及び第三固定部材の配設先となる。そしてさらに、このワイヤハーネス配索構造は、第三固定部材を第一固定部材及び第二固定部材の間に配置するとともに、第三固定部材をワイヤハーネスの所定の動き代を確保した状態に形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-247818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のワイヤハーネス配索構造は、例えば、寸法公差や各部のバラツキ等の影響も踏まえて、固定対象への組み付け作業性向上の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、組み付け作業性を向上することができるプロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るプロテクタは、内部に導電性を有する配索材が配索されるプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体周りに装着され、固定対象に固定される固定部材とを備え、前記固定部材は、前記プロテクタ本体に装着された状態で、前記プロテクタ本体における前記配索材の配索方向に沿って当該プロテクタ本体上を相対移動可能、かつ、当該プロテクタ本体周りに相対回転可能であること特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、前記配索材に外装されるプロテクタとを備え、前記プロテクタは、前記配索材が配索されるプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体に装着され、固定対象に固定される固定部材とを備え、前記固定部材は、前記プロテクタ本体に装着された状態で、前記プロテクタ本体における前記配索材の配索方向に沿って当該プロテクタ本体上を相対移動可能、かつ、当該プロテクタ本体周りに相対回転可能であること特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、組み付け作業性を向上することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を表す断面図である。
図3図3は、実施形態に係るワイヤハーネスが備えるプロテクタ本体の開放状態を表す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るワイヤハーネスが備えるプロテクタ本体への配索材配索後の状態を表す斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るワイヤハーネスが備えるプロテクタ本体への固定部材組み付け前の状態を表す斜視図である
図6図6は、実施形態に係るワイヤハーネスが備えるプロテクタ本体への固定部材組み付け前の状態を表す部分斜視図である
図7図7は、実施形態に係るワイヤハーネスが備える固定部材を含む部分断面図である。
図8図8は、実施形態に係るワイヤハーネスが備える固定部材を含む部分断面図である。
図9図9は、実施形態に係るワイヤハーネスが備える固定部材の相対移動の範囲を説明する部分平面図である。
図10図10は、実施形態に係るワイヤハーネスが備える固定部材の相対移動の範囲を説明する部分平面図である。
図11図11は、実施形態に係るワイヤハーネスが備える固定部材の相対回転の範囲を説明する断面図である。
図12図12は、実施形態に係るワイヤハーネスが備える固定部材の相対回転の範囲を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1図2に示すワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。本実施形態のワイヤハーネスWHは、配索材Wと、プロテクタ1とを備える。配索材Wは、例えば、導電性を有する複数の金属素線を束ねた芯線を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。配索材Wは、複数の絶縁電線を束ねたものであってもよい。また、配索材Wは、導電性を有する金属棒を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁金属棒であってもよい。プロテクタ1は、ワイヤハーネスWHに組み込まれ、配索材Wに組み付けられる保護部材である。プロテクタ1は、内部に配索方向Dに沿って複数の配索材Wが挿通、配索され当該配索材Wに外装される。プロテクタ1は、内部に配索された当該配索材Wを保護すると共に、車両に固定され配索材Wの配索経路を規制する。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、コルゲートチューブ、グロメット、電気接続箱、コネクタ等の種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0012】
このような構成にあって、本実施形態に係るプロテクタ1は、プロテクタ本体10と、固定部材20とを備え、プロテクタ本体10が固定部材20を介して固定対象100に固定されるものである。本実施形態のプロテクタ1は、プロテクタ本体10と固定部材20とが別体に形成される。その上で、プロテクタ1は、このような固定部材20を介した固定構造において、当該固定部材20がプロテクタ本体10に対して相対移動可能、かつ、相対回転可能に装着されることで、組み付け作業性の向上を実現したものである。以下、各図を参照してプロテクタ1の構成について詳細に説明する。
【0013】
なおここで、プロテクタ1を固定する対象となる固定対象100は、例えば、車両のボデー等の配索面101に固定されたブラケットBRによって構成される。固定対象100を構成するブラケットBRは、配索材Wをボデー等の配索面101に沿って配索した状態で、プロテクタ1を当該配索面101に支持するための構造体である。ここでは、固定対象100を構成するブラケットBRは、略L字状に屈曲された板金によって構成されており、一方の板状部位の略中央に、固定部材20を係止固定するための係止孔BRaを有している。ブラケットBRは、この係止孔BRaが形成された板状部位が配索面101の法線に沿うような位置関係で配索面101に固定されている。
【0014】
なお、以下の説明では、互いに交差する3つの方向をそれぞれ「第1方向X」、「第2方向Y」、及び、「第3方向Z」という。第1方向Xと第2方向Yと第3方向Zとは、相互に直交する。例えば、ワイヤハーネスWHが組み込まれる車両が水平面に位置する状態で、第1方向X、第2方向Yは、水平方向に沿い、第3方向Zは、鉛直方向に沿うものとして説明するがこれに限らない。またここでは、ブラケットBRが設けられる配索面101は、第3方向Z(鉛直方向)に対して若干の傾斜を有した面として構成されるものとして説明するがこれに限らない。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0015】
具体的には、プロテクタ本体10は、図1図2図3図4図5に示すように、内部に配索材Wが配索される部材であり、プロテクタ1において配索材Wを保護し配索経路を規制する主たる部材を構成する。プロテクタ本体10は、絶縁性を有する樹脂材料によって全体として略筒状に形成され、内部に配索材Wが配索される配索空間部S1を形成する。プロテクタ本体10は、配索空間部S1に配索材Wが挿通され、配索される。
【0016】
本実施形態のプロテクタ本体10は、全体が略L字状に屈曲して形成され、配索空間部S1に配索材Wが湾曲して配索される。ここでは、プロテクタ本体10に配索される配索材Wの配索方向Dは、3次元的に湾曲した方向となっている。この配索材Wの配索方向Dは、配索空間部S1に配索される配索材Wの延在方向に相当する。
【0017】
また、本実施形態のプロテクタ本体10は、ベース部材11とカバー部材12とによって全体が略L字状の筒状に形成される。ベース部材11とカバー部材12とは、共に略樋状に形成され、互いに向かい合って組み付けられることで、内部に配索空間部S1を形成する。ここでは、ベース部材11とカバー部材12とは、相互に連結され一体で形成されるものとして説明するがこれに限らず、互いに別体に形成された上で相互に組み付けられてもよい。
【0018】
より具体的には、ベース部材11は、配索空間部S1を形成する主たる部材である。ベース部材11は、底部11a、側壁部11b、及び、樋状部11cを含んで構成される。底部11aは、要求される配索空間部S1の形状に対応した板状、すなわち、配索方向Dに沿って湾曲した板状に形成されている。側壁部11bは、底部11aから一方側(カバー部材12が位置する側)に突出して板状に形成される。側壁部11bは、一対で設けられ、それぞれが凹状部位、凸状部位、湾曲部位、又は、屈曲部位等を含む様々な形状をなしている。樋状部11cは、底部11a、側壁部11bの配索方向Dの一方の端部側に形成される。樋状部11cは、略半円弧樋状に形成される。ベース部材11は、底部11a、一対の側壁部11b、及び、樋状部11cによって囲われた内部空間部が配索空間部S1を構成する。
【0019】
また、ベース部材11は、底部11a、側壁部11b、及び、樋状部11cによって、一対の配索口部11d、11e、及び、開口部11fが形成される。配索口部11d、11eは、配索空間部S1に配索される配索材Wが挿通される開口であり、ベース部材11において、配索方向Dの両端にそれぞれ形成される。ここでは、配索口部11dは、底部11a、及び、側壁部11bの配索方向Dの一方側の端部によって形成され、配索方向Dに沿って一方側(ここでは、概ね第2方向Yに沿って一方側)に開口する。配索口部11eは、樋状部11cの配索方向Dの他方側の端部によって形成され、配索方向Dに沿って他方側(ここでは、概ね第1方向Xに沿って他方側)に開口する。開口部11fは、ベース部材11において、配索方向Dと交差する方向に沿って底部11aと対向して形成される。開口部11fは、側壁部11b、及び、樋状部11cの底部11a側とは反対側の端部によって形成され、配索方向Dと交差する方向に沿って一方側(ここでは、概ね第3方向Zに沿って一方側)に開口する。
【0020】
カバー部材12は、ベース部材11に組み付けられ、当該ベース部材11の開口部11fを塞ぐ部材である。カバー部材12は、蓋部12a、側壁部12b、及び、樋状部12cを含んで構成される。蓋部12aは、開口部11fを覆うことができるように、当該開口部11fの形状に対応した板状、すなわち、配索方向Dに沿って湾曲した板状に形成されている。側壁部12bは、蓋部12aから一方側(ベース部材11が位置する側)に突出して板状に形成される。側壁部12bは、一対で設けられ、それぞれが側壁部11bと対応した形状となっている。側壁部12bは、カバー部材12がベース部材11に組み付けられ蓋部12aが開口部11fを塞いだ状態で、側壁部11bの外側に隣接して位置する。樋状部12cは、蓋部12a、側壁部12bの配索方向Dの一方の端部側に形成される。樋状部12cは、略半円弧樋状に形成され、カバー部材12がベース部材11に組み付けられ開口部11fを塞いだ状態で、樋状部11cと組み合わさって略円筒状をなす。カバー部材12は、蓋部12a、側壁部12b、及び、樋状部12cによって囲われた内部空間部が配索空間部S1を構成する。
【0021】
また、カバー部材12は、蓋部12a、側壁部12b、及び、樋状部12cによって、一対の配索口部12d、12eが形成される。配索口部12d、12eは、配索空間部S1に配索される配索材Wが挿通される開口であり、カバー部材12において、配索方向Dの両端にそれぞれ形成される。ここでは、配索口部12dは、蓋部12a、及び、側壁部12bの配索方向Dの一方側の端部によって形成され、配索方向Dに沿って一方側(ここでは、概ね第2方向Yに沿って一方側)に開口する。配索口部12eは、樋状部12cの配索方向Dの他方側の端部によって形成され、配索方向Dに沿って他方側(ここでは、概ね第1方向Xに沿って他方側)に開口する。配索口部12dは、カバー部材12がベース部材11に組み付けられ開口部11fを塞いだ状態で、配索口部11dと組み合わさって1つの開口を構成する。配索口部12eは、カバー部材12がベース部材11に組み付けられ開口部11fを塞いだ状態で、配索口部11eと組み合わさって他の1つの開口を構成する。
【0022】
上記のように構成されるベース部材11とカバー部材12とは、ヒンジ部13を介して相互に連結され一体で形成されている。ヒンジ部13は、ベース部材11とカバー部材12とを相対回動可能に連結する。この構成により、ベース部材11とカバー部材12とは、ヒンジ部13を回動中心として、開口部11f(言い換えれば配索空間部S1)が閉鎖された閉鎖位置(図1図2図5等参照)と、開口部11f(言い換えれば配索空間部S1)が開放された開放位置(図3図4等参照)とに相対回動可能である。ベース部材11とカバー部材12とは、閉鎖位置にある状態で、ベース部材11に形成された複数の係止爪部11gと、カバー部材12に形成された複数の係止孔部12fとが相互に係止されることで、ベース部材11とカバー部材12とが閉鎖位置で相互に係止される。この状態で、ベース部材11とカバー部材12とは、カバー部材12が開口部11fを塞ぎ、上述したように全体として略筒状をなし内部に配索空間部S1を形成する。
【0023】
そして、本実施形態のプロテクタ本体10は、上記のように構成されるベース部材11、及び、カバー部材12によって、本体部14、一対の結束部15、及び、固定部材装着部16が構成される。言い換えれば、プロテクタ本体10は、ベース部材11、及び、カバー部材12によって構成された本体部14、一対の結束部15、及び、固定部材装着部16を含んで構成される。ここでは、プロテクタ本体10は、当該本体部14、当該結束部15、及び、当該固定部材装着部16が一体で形成される。
【0024】
本体部14は、プロテクタ本体10の主たる部分を構成する部分であり、上記のように内部の配索空間部S1に配索材Wが湾曲して配索される部分である。本体部14は、ベース部材11の底部11a、側壁部11bと、カバー部材12の蓋部12a、側壁部12bとによって全体が略L字状の筒状に形成され、内部に当該配索空間部S1が形成される。
【0025】
一対の結束部15は、本体部14の配索方向Dの両端部にそれぞれ設けられ結束部材15aを介して当該本体部14の内部に湾曲して配索された配索材Wが結束される部分である(特に図3図4参照)。ここで、結束部材15aは、例えば、いわゆる結束バンドであり、ヘッド部、及び、ヘッド部から延在するバンド部を含んで構成される。一対の結束部15のうち一方は、本体部14において、配索方向Dの中央位置より配索口部11d側の端部(ここでは、概ね第2方向Yに沿っている部位)に設けられる。一対の結束部15のうち他方は、本体部14において、配索方向Dの中央位置より配索口部11e側の端部(ここでは、概ね第1方向Xに沿っている部位)に設けられる。各結束部15は、それぞれ一対の挿通孔15bを含んで構成される。
【0026】
挿通孔15bは、ベース部材11の底部11aに設けられ、配索空間部S1の内外に渡って結束部材15aを挿通可能とする孔である。挿通孔15bは、底部11aを板厚方向(ここでは、概ね第3方向Z)に沿って貫通して形成され、配索空間部S1の内外を連通する。各挿通孔15bは、配索方向Dに沿って湾曲して配索された配索材Wをベース部材11の底部11aに結束固定するための結束部材15aが設けられる。挿通孔15bは、各結束部15において、1つの結束部材15aに対して一対で設けられる。各結束部15において、一対の挿通孔15bは、配索方向Dと交差する方向に沿って間隔をあけて形成される。
【0027】
各結束部15は、それぞれ、結束部材15aが一対の挿通孔15bを介して配索空間部S1の内外に渡って挿通される。そして、一対の挿通孔15bに渡って挿通された結束部材15aは、バンド部が配索材Wと底部11aとに巻き回された状態で、当該バンド部がヘッド部に係止されることで、当該配索材Wを当該底部11aに結束固定する。この構成により、配索空間部S1に湾曲して配索された配索材Wは、各結束部15において、ベース部材11の底部11aに対して結束部材15aによって結束され、動きが拘束される。
【0028】
固定部材装着部16は、配索方向Dに対して本体部14の一方の端部側に設けられ、固定部材20が相対移動可能、かつ、相対回転可能に装着される部分である。言い換えれば、固定部材装着部16は、固定部材20が装着された状態で、固定部材20の相対移動における移動軸を構成し、かつ、固定部材20の相対回転における回転軸を構成する。固定部材装着部16は、全体として略円筒状に形成され、内部に配索材Wが挿通される配索空間部S1を形成しつつ、上記のような固定部材20の移動軸、及び、回転軸としても機能する。ここでは、固定部材装着部16は、本体部14において配索口部11dが形成された端部とは反対の端部側に設けられ、当該端部から配索方向Dに沿って突出するようにして延在する。
【0029】
本実施形態の固定部材装着部16は、ベース部材11の樋状部11cと、カバー部材12の樋状部12cとによって全体が略円筒状に形成され、内部に上記配索空間部S1が形成される。ここでは、固定部材装着部16は、カバー部材12がベース部材11に組み付けられ開口部11fを塞いだ状態で、樋状部11cと樋状部12cとが組み合わさって、配索方向Dに沿った軸線Cを中心とした略円筒状をなす。この構成により、固定部材装着部16は、固定部材20を相対移動可能、かつ、相対回転可能に支持する外周面16aが形成される。この固定部材装着部16が有する外周面16aは、固定部材20を摺動可能に支持する摺動面を構成する。ここでは、外周面16aは、第1方向Xに沿った軸線Cを中心とした略円環状をなしている。
【0030】
なお、固定部材装着部16は、カバー部材12がベース部材11に組み付けられ開口部11fを塞いだ状態で、本体部14側とは反対側の端部において、配索口部11eと配索口部12eが組み合わさった1つの開口を形成している。
【0031】
そして、本実施形態の固定部材装着部16は、移動規制部17、及び、回転規制部18を有する。
【0032】
移動規制部17は、配索方向Dに沿った固定部材20の相対移動の範囲を規制する部分である。本実施形態の移動規制部17は、一対の規制壁部17a、17bを含んで構成される。規制壁部17a、17bは、共に固定部材装着部16の外周面16aから径方向(軸線Cと直交する方向)に沿って突出して形成される。規制壁部17aは、固定部材装着部16において、配索方向Dの本体部14側の端部に形成される。一方、規制壁部17bは、固定部材装着部16において、配索方向Dの配索口部11e、12e側の端部に形成される。これにより、規制壁部17aと規制壁部17bとは、配索方向D(ここでは軸線Cに沿った方向)に対して間隔をあけて位置することとなる。ここでは、規制壁部17aは、本体部14側の膨出形状と一体的に形成されている。一方、規制壁部17bは、略円弧板状に形成されている。この構成により、移動規制部17は、配索方向Dに対して固定部材20が規制壁部17a、17bと当接する範囲で、配索方向Dに沿った固定部材20の相対移動の範囲を規制することができる(後述する図9図10等も参照)。なお、本実施形態の規制壁部17a、17bは、共にベース部材11の樋状部11cと、カバー部材12の樋状部12cとに渡って2つの部位に分かれて設けられているがこれに限らず、少なくともどちらか一方に設けられていればよい。
【0033】
回転規制部18は、固定部材装着部16周り、言い換えれば、軸線C周りの固定部材20の相対回転の範囲を規制する部分である。本実施形態の回転規制部18は、規制突起部18aを含んで構成される。規制突起部18aは、固定部材装着部16の外周面16aから径方向に沿って突出して形成される。規制突起部18aは、固定部材装着部16において、配索方向Dの略中央部に形成される。ここでは、規制突起部18aは、カバー部材12の樋状部12cにおいて、外周面16aから略台形板状に突出して形成される。この構成により、回転規制部18は、固定部材装着部16周り方向(つまり、周方向)に対して規制突起部18aが固定部材20の内面と当接する範囲で、固定部材装着部16周りの固定部材20の相対回転の範囲を規制することができる(後述する図11図12等も参照)。
【0034】
次に、固定部材20について説明する。固定部材20は、図1図2図5図6に示すように、プロテクタ本体10周りに装着され、固定対象100に固定される部材である。固定部材20は、クランプなどと呼ばれる場合もある。固定部材20は、プロテクタ本体10に装着された状態で、固定部材装着部16における配索材Wの配索方向Dに沿って当該プロテクタ本体10上を相対移動可能、かつ、当該プロテクタ本体10周りに相対回転可能である。ここでは、固定部材20は、プロテクタ本体10において、固定部材装着部16に装着され、当該固定部材装着部16の外周面16a上を相対移動可能、かつ、当該固定部材装着部16周りに相対回転可能である。言い換えれば、固定部材20は、配索方向Dに沿った軸線Cに沿って固定部材装着部16の外周面16a上を摺動移動可能、かつ、外周面16a周りに相対回転可能に外周面16aに装着、支持される。
【0035】
本実施形態の固定部材20は、環状部21と、固定部22とを含んで構成され、これらが絶縁性の樹脂材料等によって一体で形成される。
【0036】
環状部21は、略円環状に形成された部分であり、内部に固定部材装着部16が挿通される部分である。本実施形態の環状部21は、第1部位21Aと第2部位21Bとが係合部21Cで係合された状態で略円環状に形成される。ここでは、環状部21は、第1部位21A、第2部位21B、係合部21Cに加えて、ヒンジ部21Dを含み、これらが一体で形成されるものとして説明するがこれに限らない。例えば、環状部21は、ヒンジ部21Dを有さず、第1部位21Aと第2部位21Bとが別体で形成された上で、複数の係合部21Cで係合し一体化されることで略円環状とされる構成であってもよい。
【0037】
第1部位21A、及び、第2部位21Bは、それぞれ略半円樋状に形成された部分である。第1部位21Aと第2部位21Bとは、湾曲して窪んだ側が互いに対向して組み合わさった状態で略円筒状をなす。第1部位21Aと第2部位21Bとは、ヒンジ部21Dを介して相対回動可能に連結される。ヒンジ部21Dは、第1部位21Aと第2部位21Bとの間に介在し、第1部位21Aと第2部位21Bとを相対回動可能に連結する部分である。ヒンジ部21Dは、第1部位21A、第2部位21Bにおいて、周方向に沿って互いに向かい合う端部同士の間に介在して薄肉部位(第1部位21A、第2部位21B等の板厚よりも薄厚の部位)として形成される。第1部位21Aと第2部位21Bとは、このヒンジ部21Dを回動中心として閉鎖位置(図1図2等参照)と開放位置(図5図6参照)とに回動(開閉)可能である。ここで、閉鎖位置とは、第1部位21Aと第2部位21Bとが相互に組み合わさって略円筒状をなす位置である。一方、開放位置とは、第1部位21Aと第2部位21Bとがヒンジ部21D側とは反対側の端部において隙間をあけて離間した位置である。係合部21Cは、第1部位21Aと第2部位21Bとが閉鎖位置にある状態、すなわち、第1部位21Aと第2部位21Bとが相互に組み合わさって略円筒状をなす状態で、第1部位21Aと第2部位21Bとを係合(ロック)するロック部分である。係合部21Cは、一例として、第1部位21Aの端部に設けられた係合爪部21Caと、第2部位21Bの端部に設けられた係合爪部21Cbとが係止されることで、第1部位21Aと第2部位21Bとが当該閉鎖位置にある状態を保持する(図2等参照)。
【0038】
そして、本実施形態の環状部21は、第1部位21Aと第2部位21Bとが閉鎖位置にある状態で、円環に沿った内周面21aを有する。内周面21aは、固定部材20の環状部21が固定部材装着部16の外周面16aに装着された状態で軸線Cを中心とした円環に沿っていればよく、完全な円環状でなくてもよい。ここでは、内周面21aは、一部が欠けた略円環状(いわゆるランドルト環のような形状)に形成されている。この固定部材20の環状部21が有する内周面21aは、固定部材装着部16の外周面16aと対向し当該外周面16aに支持される支持面を構成する。言い換えれば、上述した固定部材装着部16の外周面16aは、この内周面21aに沿う曲面をなし当該内周面21aと対向して固定部材20を相対移動可能、かつ、相対回転可能に支持する。
【0039】
本実施形態の環状部21は、この内周面21aに当接凹部21bが形成されており(特に図2参照)、これにより、当該内周面21aが上述したように一部が欠けた略円環状に形成される。当接凹部21bは、固定部材20の環状部21が固定部材装着部16の外周面16aに装着された状態で、外周面16aに形成されている規制突起部18aが入り込む凹部である。ここでは、当接凹部21bは、第1部位21Aと第2部位21Bとが閉鎖位置にある状態で、係合爪部21Cbの背面側(内方側)の空間部として形成されている。この構成により、固定部材20は、当該固定部材20の固定部材装着部16周りの相対回転に伴って、当接凹部21bに入り込んだ規制突起部18aが当接凹部21bの壁面と当接することで当該相対回転の範囲が規制される(後述する図11図12等も参照)。
【0040】
また、本実施形態の環状部21は、内周面21aに摺動突部21cを有する。摺動突部21cは、図7図8にも示すように、内周面21aから固定部材装着部16の外周面16a側に向かって突出して形成され、固定部材装着部16と固定部材20との相対移動、又は、相対回転に伴って、外周面16aと当接して摺動可能な部分である。つまりここでは、環状部21の内周面21aは、この摺動突部21cを介して固定部材装着部16の外周面16aに支持されることとなる。
【0041】
本実施形態の摺動突部21cは、内周面21aにおいて、周方向(軸線C周り方向)に沿ってリブ状に形成される。摺動突部21cは、内周面21aの全周に渡って断続的に略円弧状(一部が欠けた略円環状)に形成されている。また、摺動突部21cは、配索方向D(軸線Cに沿った方向)に沿って間隔をあけて複数組設けられる。各摺動突部21cは、固定部材20が固定部材装着部16の外周面16a上を配索方向Dに沿って相対移動した際にも回転規制部18を構成する規制突起部18aと干渉しない位置に形成される(特に図8等参照)。ここでは、摺動突部21cは、配索方向Dに対して、1組が規制突起部18aの一方側に位置し、別の1組が規制突起部18aの他方側に位置する。ここでは、各摺動突部21cは、配索方向Dに沿った断面視において、固定部材装着部16の外周面16a側に向けて先細りの断面形状をなしている(特に図7図8等参照)。そして、各摺動突部21cは、固定部材20の内周面21aと固定部材装着部16の外周面16aとの間に介在し、一方(ここでは、内周面21a)を他方(ここでは、外周面16a)に対して支持し、両者が相対移動、あるいは、相対回転する際に外周面16a上を摺動する。
【0042】
固定部22は、固定部材20において車両に固定される部分である。固定部22は、略矩形箱状に形成されており、固定対象100を構成するブラケットBRにおいて係止孔BRaが形成された板状部位が内側に挿入、嵌合されることで当該ブラケットBRに固定される。固定部22は、種々の公知の固定構造によって構成され、一例として、アーム部22aに設けられた係止爪部22bに、固定部22の内部に差し込まれたブラケットBRの係止孔BRaが係止されることで当該ブラケットBRに固定される(特に図2等参照)。
【0043】
上記のように構成されるプロテクタ1は、図3図4に示すように、プロテクタ本体10のベース部材11の開口部11fが開放された状態で配索空間部S1に配索材Wが配索された後、結束部材15aを介して各結束部15に配索材Wが結束される。その後、プロテクタ1は、図5に示すように、開口部11fを塞ぐようにして、ベース部材11にカバー部材12が係止され組み付けられる。
【0044】
そして、プロテクタ1は、図5図6に示すように、ベース部材11とカバー部材12とが閉鎖位置にあるプロテクタ本体10において、固定部材装着部16の外周面16aに対して固定部材20が装着される。この場合、固定部材20は、第1部位21Aと第2部位21Bとが開放位置にある状態で固定部材装着部16の外周面16aに装着される。このとき、固定部材20は、環状部21の内周面21a側に設けられた当接凹部21bに対して、固定部材装着部16の外周面16aに設けられた規制突起部18aが入り込む位置関係で固定部材装着部16に装着される。その後、固定部材20は、図1に示すように、第1部位21Aと第2部位21Bとが閉鎖位置とされ略円筒状をなした状態で、係合部21Cによって第1部位21Aと第2部位21Bとが係止され閉鎖位置にある状態が保持される。
【0045】
この状態で、固定部材20は、樋状部11cと樋状部12cとを組み合わせることで略円筒状に形成された固定部材装着部16が開いていしまわないように拘束する拘束具としても機能する。これにより、プロテクタ1は、固定部材装着部16に樋状部11cと樋状部12cとを係止しておくための構造を設けなくても、この固定部材20によって、樋状部11cと樋状部12cとが組み合わさって略円筒状の固定部材装着部16を形成した状態を維持することができる。
【0046】
そして、固定部材20は、このように固定部材装着部16の外周面16a上に装着された状態で、外周面16a上に配索方向Dに沿って相対移動可能に支持される。このとき、固定部材20は、図9図10に示すように、移動規制部17を構成する当該規制壁部17a、17bに当接することで配索方向Dに沿った移動が範囲R1で規制される。この構成により、固定部材20は、配索方向Dに対して規制壁部17aと規制壁部17bとの範囲R1で、固定部材装着部16の外周面16a上を相対移動可能となる。
【0047】
またさらに、固定部材20は、このように固定部材装着部16の外周面16a上に装着された状態で、外周面16a周りに相対回転可能に支持される。このとき、固定部材20は、図11図12に示すように、回転規制部18を構成する規制突起部18aが当接凹部21bの壁面と当接することで外周面16a周りの回転が範囲R2で規制される。この構成により、固定部材20は、固定部材装着部16周り方向(つまり、周方向)に対して規制突起部18aが当接凹部21bの壁面と当接する範囲R2で、外周面16a周りに相対回転可能となる。
【0048】
そして、プロテクタ1は、図1図2に示すように、上記のように固定部材装着部16に対して固定部材20が相対移動可能、かつ、相対回転可能に装着された状態で、固定対象100を構成するブラケットBRに対して固定部材20の固定部22が固定される。つまり、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の固定部材装着部16に装着された固定部材20の姿勢に自由度が確保された状態で、当該固定部材20の固定部22の内部にブラケットBRを差し込み、当該ブラケットBRに固定することができる。
【0049】
以上で説明したワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の内部に配索方向Dに沿って配索材Wが配索される。そして、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10が固定部材20を介して固定対象100を構成するブラケットBRに固定されることで、プロテクタ1によって配索材Wを保護しつつ、車両内において当該配索材Wの配索経路を規制し固定することができる。
【0050】
このとき、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20がプロテクタ本体10に対して相対移動可能、かつ、相対回転可能に装着された状態で、当該固定部材20をブラケットBRに固定する作業を行わせることができる。つまり、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10に装着された固定部材20の姿勢に自由度が確保された状態で、当該固定部材20をブラケットBRに固定する作業を行わせることができる。
【0051】
この構成により、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、適正な取付ストロークを確保しつつ、ワイヤハーネスWHの寸法公差、固定対象100を構成するブラケットBRの取付位置・角度公差やこれらに起因したブラケットBRへの固定部材20の差し込み方向のバラツキ等を吸収することができる。例えば、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20がプロテクタ本体10に対して配索方向Dに沿って相対移動することで、ワイヤハーネスWHの寸法公差や固定対象100を構成するブラケットBRの取付位置公差を吸収することができる。また、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、例えば、固定部材20がプロテクタ本体10に対してプロテクタ本体10周りに相対回転することで、固定対象100を構成するブラケットBRの取付角度公差やブラケットBRへの固定部材20の差し込み方向のバラツキ等を吸収することができる。
【0052】
この結果、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20をブラケットBRに固定する組み付け作業をし易くすることができ、組み付け作業性を向上することができる。
【0053】
ここでは、以上で説明したワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20が円環に沿った内周面21aを有し、プロテクタ本体10が当該内周面21aに沿う曲面をなし当該内周面21aと対向して固定部材20を相対移動可能、かつ、相対回転可能に支持する外周面16aを有する。この構成により、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10周りに装着された固定部材20が外周面16a上を配索方向Dに沿って相対移動可能、かつ、外周面16a周りに相対回転可能となる構成を実現することができる。この結果、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、上記のように組み付け作業性を向上することができる。
【0054】
また、以上で説明したワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10、又は、固定部材20の一方、ここでは、固定部材20が摺動突部21cを有する。これにより、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20の内周面21aと固定部材装着部16の外周面16aとの間に摺動突部21cが介在し、両者が相対移動、あるいは、相対回転する際に当該摺動突部21cが外周面16aに当接しながらを摺動する。この構成により、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、例えば、内周面21aと外周面16aとが全面に渡って当接して摺動する場合と比較して、固定部材20を移動、回転させる際に発生する摩擦抵抗を低減することができ、比較的に小さな力で当該固定部材20を取り扱うことができる。この結果、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20をブラケットBRに固定する際に、ガタツキを抑えた上で固定部材20を容易に移動、回転させながら作業を行わせることができるので、さらに組み付け作業性を向上することができる。
【0055】
また、以上で説明したワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10が移動規制部17を有する。この構成により、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、配索方向Dに沿った固定部材20の相対移動の範囲R1を、移動規制部17によって規制することができる。ここでは、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20が移動規制部17を構成する規制壁部17a、17bに当接することで、配索方向Dに沿った固定部材20の移動を規制壁部17aと規制壁部17bとの範囲R1に制限することができる。これにより、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20をブラケットBRに固定する際に当該固定部材20の相対移動を所定の範囲R1に制限しておくことができるので、配索方向Dに対して固定部材20を組み付け作業がし易い範囲に留め置いた上で、大きく固定部材20の位置を調整することなく、組み付け作業を行わせることができる。この結果、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、さらに組み付け作業性を向上することができる。
【0056】
また、以上で説明したワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10が回転規制部18を有する。この構成により、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10周りの固定部材20の相対回転の範囲R2を、回転規制部18によって規制することができる。ここでは、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20の当接凹部21bの壁面が回転規制部18を構成する規制突起部18aに当接することで、プロテクタ本体10周りの回転を規制突起部18aと当接凹部21bの壁面とが当接する範囲R2に制限することができる。これにより、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、固定部材20をブラケットBRに固定する際に当該固定部材20の相対回転を所定の範囲R2に制限しておくことができるので、周方向に対して固定部材20を組み付け作業がし易い範囲に留め置いた上で、大きく固定部材20の角度を調整することなく、組み付け作業を行わせることができる。この結果、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、さらに組み付け作業性を向上することができる。
【0057】
なお、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、車両に搭載された使用状態においても、プロテクタ本体10と固定部材20との相対移動、相対回転が許容された状態となっているものの範囲R1、R2内に制限されており、実用上問題のない程度となっている。
【0058】
また、以上で説明したワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、プロテクタ本体10が本体部14、一対の結束部15、及び、固定部材装着部16を含んで構成される。これにより、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、配索材Wが本体部14の内部に湾曲して配索された上で、当該本体部14の配索方向Dの両端部に位置する一対の結束部15において当該配索材Wを本体部14に結束しておくことができる。この構成により、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、例えば、配索材Wの外径違いによる線長(配索長)のバラツキ等をこれら本体部14、及び、一対の結束部15の部位で吸収しておくことができる。例えば、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、相対的に小径の配索材Wを本体部14の内部においてより内側を通して配索した上で両端の結束部15で結束する一方、相対的に大径の配索材Wを本体部14の内部においてより外側を通して配索した上で両端の結束部15で結束する。これにより、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、上記のような配索材Wの外径違いによる線長のバラツキ等を吸収することができる。その上で、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、本体部14の一方の端部側に連接された固定部材装着部16の外周面16a周りに、相対移動可能、かつ、相対回転可能に固定部材20が装着される。この結果、ワイヤハーネスWH、プロテクタ1は、配索材Wの剛性等の影響を抑制した上で上記のように組み付け作業を行うことができるので、さらに組み付け作業性を向上することができる。
【0059】
なお、上述した本発明の実施形態に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0060】
以上の説明では、プロテクタ本体10は、全体が略L字状に屈曲して形成され、配索空間部S1に配索材Wが湾曲して配索されるものとして説明したがこれに限らず、全体が直線状に形成されてもよい。すなわち、プロテクタ本体10に配索される配索材Wの配索方向Dは、3次元的に湾曲した方向となっているものとして説明したがこれに限らない。
【0061】
以上の説明では、固定部材装着部16は、樋状部11cと樋状部12cとが組み合わさって軸線Cを中心とした略円筒状に形成され、外周面16aは、軸線Cを中心とした略円環状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。固定部材装着部16は、完全な円筒状でなくてもよく、一部が欠けた円筒状(いわゆるランドルト環のような形状)であってもよい。同様に、外周面16aは、軸線Cを中心とした円環に沿っていればよく、一部が欠けた円環状(いわゆるランドルト環のような形状)に形成されてもよい。
【0062】
以上の説明では、摺動突部21cは、内周面21aにおいて、周方向(軸線C周り方向)に沿って略円弧リブ状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。摺動突部21cは、内周面21aにおいて、周方向(軸線C周り方向)に沿って完全な円環状に形成されてもよいし、周方向に対して交差した略螺旋状に形成されてもよい。さらに、摺動突部21cは、複数の点状の突起部等によって構成されてもよい。
【0063】
以上の説明では、摺動突部21cは、固定部材20の環状部21側に設けられるものとして説明したがこれに限らず、固定部材装着部16側に設けられていてもよい。この場合、摺動突部は、固定部材装着部16の外周面16aから固定部材20の内周面21a側に向かって突出して形成され、固定部材装着部16と固定部材20との相対移動、又は、相対回転に伴って、内周面21aと当接して摺動可能な部分として形成される。つまり、プロテクタ1においては、プロテクタ本体10、又は、固定部材20の一方は、プロテクタ本体10、又は、固定部材20の他方側に向かって突出して形成され、プロテクタ本体10と固定部材20との相対移動、又は、相対回転に伴って、他方と当接して摺動可能である摺動突部を有するように構成されてもよい。また、そもそも、このプロテクタ1は、摺動突部21c自体を有さず、内周面21aと外周面16aとが面接触する構成であってもよい。
【0064】
以上の説明では、プロテクタ本体10は、移動規制部17、及び、回転規制部18を有するものとして説明したがこれに限らず、これらを有さない構成であってもよい。
【0065】
本実施形態に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 プロテクタ
10 プロテクタ本体
11 ベース部材
12 カバー部材
13 ヒンジ部
14 本体部
15 結束部
15a 結束部材
15b 挿通孔
16 固定部材装着部
16a 外周面
17 移動規制部
17a、17b 規制壁部
18 回転規制部
18a 規制突起部
20 固定部材
21 環状部
21a 内周面
21b 当接凹部
21c 摺動突部
22 固定部
100 固定対象
BR ブラケット
C 軸線
D 配索方向
R1、R2 範囲
S1 配索空間部
W 配索材
WH ワイヤハーネス
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12