(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003485
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】建具用ユニット
(51)【国際特許分類】
E06B 9/84 20060101AFI20230110BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
E06B9/84 C
E06B9/17 M
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104587
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 啓成
(72)【発明者】
【氏名】山藤 義広
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CB04
2E042CB05
2E042CB16
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】建具の構成部品を形成するユニットにおいて、施工時の作業性を向上させる。
【解決手段】
建具の構成部品を形成する1つあるいは複数のユニット6、7であって、ユニット6、7は、複数の要素が複数本の螺子を用いて組み立てられており、当該ユニットの外部に露出している複数本の螺子は、施工時に使用される第1グループと、施工時に使用されない第2グループと、からなり、第1グループに属する螺子(69、69´、77、78)と、第2グループに属する螺子(螺子S1、S2、S3、S4、623、624)は、視覚的に識別可能である。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具の構成部品を形成する1つあるいは複数のユニットであって、
前記ユニットは、複数の要素が複数本の螺子を用いて組み立てられており、当該ユニットの外部に露出している複数本の螺子は、施工時に使用される第1グループと、施工時に使用されない第2グループと、からなり、
前記第1グループに属する螺子と、前記第2グループに属する螺子は、視覚的に識別可能である、
建具用ユニット。
【請求項2】
前記第1グループに属する螺子と、前記第2グループに属する螺子は、螺子の色を異ならしめることによって、視覚的に識別可能である、
請求項1に記載の建具用ユニット。
【請求項3】
前記第1グループに属する螺子は、第1の方向に螺入する第1サブグループと、第1の方向に直交する第2の方向に螺入する第2サブグループと、からなり、
第1サブグループに属する螺子と、前記第2サブグループに属する螺子は、視覚的に識別可能である、
請求項1、2いずれか1項に記載の建具用ユニット。
【請求項4】
第1サブグループに属する螺子と、前記第2サブグループに属する螺子は、螺子の形状を異ならしめることによって、視覚的に識別可能である、
請求項3に記載の建具用ユニット。
【請求項5】
前記ユニットは、スライダを備えており、前記第1の方向は、スライダの移動方向に直交する方向であり、前記第2の方向は、スライダの移動方向であり、前記第2サブグループに属する螺子の頭部の形状は、スライダの移動方向に直交する方向から締緩可能な形状となっている、
請求項4に記載の建具用ユニット。
【請求項6】
前記第2サブグループに属する螺子は、施工時における前記スライダの位置決めに用いられる螺子である、
請求項5に記載の建具用ユニット。
【請求項7】
前記ユニットは、可動要素を備えており、前記第1グループに属する螺子は、前記可動要素とワイヤの連結に使用される螺子を含む、
請求項1~6いずれか1項に記載の建具用ユニット。
【請求項8】
前記第1グループに属する螺子は、前記ワイヤのアウターワイヤと前記ユニットの本体の連結に使用される螺子を含む、
請求項7に記載の建具用ユニット。
【請求項9】
前記閉鎖装置は、第1ユニットと第2ユニットを組み立てることで構成され、
前記第1グループに属する螺子は、前記第1ユニットと前記第2ユニットを連結する螺子を含む、
請求項1~8いずれか1項に記載の建具用ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具の構成部品を形成する建具用ユニットに関するものである。本発明に関連して、建具には、シャッター装置やドア装置が含まれる。1つの態様では、前記建具の構成部品は閉鎖装置であり、より具体的な態様例では、火災時に、自動閉鎖機構の作動あるいは手動閉鎖機構の操作によってブレーキを解放することでシャッターカーテンを自重降下させる防火シャッターの閉鎖装置である。
【背景技術】
【0002】
防火シャッターは、火災時に、防災盤からの信号で自動閉鎖機構が作動してブレ-キを解放し、シャッターカーテンが自重降下して建物開口部を閉鎖するようになっている。また、防火シャッターは火災検知信号によらず手動閉鎖機構からの操作で随時ブレーキを解放して自重降下させることもできるようになっている。また、防火シャッターには、自重降下するシャッターカーテンに避難者が挟まれるのを防止するために、自重降下するシャッターカーテンを機械的に停止させる機械式危害防止装置が設けられる。
【0003】
このような閉鎖装置及び機械式危害防止装置を備えた防火シャッターは、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された閉鎖装置は、自動閉鎖機構の第1可動部と開閉機のブレーキを解放させる作動部の第2可動部がワイヤで接続されており、火災発生時に感知器の火災信号を受けた防災盤からの信号を受信した自動閉鎖機構の作動によって第1可動部が移動してワイヤを介して第2可動部をブレーキ解放方向に移動させることで、開閉機のブレーキ解放レバーを押圧してブレーキを解放してシャッターカーテンの自重降下を行うものである。また、手動閉鎖機構からの手動操作による随時のシャッターカーテンの自重降下も可能となっている。機械式危害防止装置は、自重降下中にシャッターカーテン下端の座板が人や障害物を検知することに連動して、第2可動部をブレーキ復帰方向に移動させて、開閉機のブレーキ解放レバー及びブレーキを復帰させ、シャッターを一時停止させる構造となっており、シャッター一時停止後に、障害物が取り除かれると、シャッターカーテンは自重で再降下して開口部を閉鎖するようになっている。
【0004】
このような防火シャッターの閉鎖装置は、複数の構成要素を用いた現場における施工を経て完成する。具体的には、例えば、現場において、複数の構成要素からなるユニットを所定位置に取り付けたり、手動閉鎖用ワイヤを所定の可動要素に連結したり、ブレーキ復帰用ワイヤを所定の可動要素に連結したりする作業が必要となる。閉鎖装置を構成するユニットは複数の構成要素を螺子を用いて組み立てることで構成されており、複数の螺子が露出している一方、現場における施工時には所定の螺子を緩めたり、締めたりする作業が必要となる。
【0005】
施工時(施工後のメンテナンス時を含む)において、数ある螺子の中から迅速に施工時に必要な螺子を特定する一方、誤って必要の無い螺子を緩めたり、外したりすることを防止することが望ましい。この問題は、建具の構成部品の形成するユニット(複数の要素が複数本の螺子を用いて組み立てられている)に一般化することができる。
【特許文献1】特許第6570986号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、建具の構成部品を形成するユニットにおいて、施工時の作業性を向上させることを目的とするものである。
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
建具の構成部品を形成する1つあるいは複数のユニットであって、
前記ユニットは、複数の要素が複数本の螺子を用いて組み立てられており、当該ユニットの外部に露出している複数本の螺子は、施工時に使用される第1グループと、施工時に使用されない第2グループと、からなり、
前記第1グループに属する螺子と、前記第2グループに属する螺子は、視覚的に識別可能である、
建具の構成部品を形成するユニット、である。
【0008】
1つの態様では、前記第1グループに属する螺子と、前記第2グループに属する螺子は、螺子の色を異ならしめることによって、視覚的に識別可能である。
後述する実施形態では、第1グループに属する螺子を黒色螺子とすることで、第2グループに属する螺子(シルバー等の金属色)に対して視覚的に識別可能としているが、第1グループに属する螺子の色は限定されない。
なお、螺子の色を異ならしめることによる識別に加えて/代えて、螺子の頭部の形状を異ならしめることにより識別可能としてもよい。
【0009】
1つの態様では、前記第1グループに属する螺子は、第1の方向に螺入する第1サブグループと、第1の方向に直交する第2の方向に螺入する第2サブグループと、からなり、
第1サブグループに属する螺子と、前記第2サブグループに属する螺子は、視覚的に識別可能である。
1つの態様では、第1サブグループに属する螺子と、前記第2サブグループに属する螺子は、螺子の形状を異ならしめることによって、視覚的に識別可能である。
【0010】
1つの態様では、前記ユニットは、スライダを備えており、前記第1の方向は、スライダの移動方向に直交する方向であり、前記第2の方向は、スライダの移動方向であり、前記第2サブグループに属する螺子の頭部の形状は、スライダの移動方向に直交する方向から締緩可能な形状となっている。
1つの態様では、前記第1サブグループに属する螺子の頭部は円形であり、前記第2サブグループに属する螺子の頭部は六角形である。
1つの態様では、前記第2サブグループに属する螺子は、施工時における前記スライダの位置決めに用いられる螺子であり、当該螺子は、施工後に取り外される。
【0011】
1つの態様では、前記ユニットは、可動要素(スライダを含む)を備えており、前記第1グループに属する螺子は、前記可動要素とワイヤの連結に使用される螺子を含む。
1つの態様では、前記第1グループに属する螺子は、前記ワイヤのアウターワイヤと前記ユニットの本体の連結に使用される螺子を含む。
【0012】
典型的な態様では、前記建具の構成部品は閉鎖装置であり、火災時に、自動閉鎖機構の作動あるいは手動閉鎖機構の操作によってブレーキを解放することでシャッターカーテンを自重降下させる防火シャッターの閉鎖装置である。
1つの態様では、前記閉鎖装置は、第1ユニットと、第2ユニット、から構成され、前記第1ユニットは、複数の要素が複数本の螺子を用いて組み立てられており、前記第2ユニットは、複数の要素が複数本の螺子を用いて組み立てられており、前記第1ユニットは少なくとも1つのスライダを備えており、前記第2ユニットは少なくとも1つのスライダを備えている。
1つの態様では、前記閉鎖装置は、第1ユニットと第2ユニットを組み立てることで構成され、
前記第1グループに属する複数本の螺子は、前記第1ユニットと前記第2ユニットを連結する螺子を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、数ある螺子の中から迅速に施工時に必要な螺子を特定できる一方、誤って必要の無い螺子を緩めたり、外したりすることを防止し、もって、建具の構成部品を形成するユニットにおいて、施工時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】危害防止装置を備えた電動シャッター装置の概略正面図である。図中、要素間を繋ぐ実線は電線であり、一点鎖線はワイヤである。
【
図2】危害防止装置を備えた電動シャッター装置(開口部全閉状態)の全体正面図である。
【
図3】開閉機に閉鎖装置が取り付けられた状態を示す図である。
【
図4】左図は、操作ボックスの正面図、右図は、左図におけるA-A線断面図である。
【
図5】
図4左図におけるB-B断面図であって、復旧用レバーを下方に回動した状態を示す。
【
図6】上図は閉鎖装置の平面図、下図は閉鎖装置の側面図である。尚、下図では、障害物検知よりワイヤW1が引っ張られた状態を示している。
【
図9】第1ユニットの第1スライダを示す図である。
【
図11】第2ユニットの平面図、側面図、斜視図である。
【
図13】第2ユニットの第2スライダを示す図である。
【
図14】第2ユニットの第3スライダを示す図である。
【
図15】定常状態にある閉鎖装置の平面図、側面図、断面図である。
【
図16】
図15の状態から自動閉鎖機構が作動した状態にある閉鎖装置の平面図、側面図、断面図である。
【
図17】
図16の状態から障害物検知手段が作動した状態にある閉鎖装置の平面図、側面図、断面図である。
【
図18】
図15の状態から手動閉鎖機構が作動した状態にある閉鎖装置の平面図、側面図、断面図である。
【
図19】
図18の状態から障害物検知手段が作動した状態にある閉鎖装置の平面図、側面図、断面図である。。
【
図20】上図は定常状態にある閉鎖装置を示し、中央図は定常状態から自動閉鎖機構が作動した後の閉鎖装置を示し、下図は、自動閉鎖機構作動後の障害物検知時の閉鎖装置を示す。
【
図21】上図は電動開閉時の閉鎖装置(定常状態)を示し、下図は電動降下中の障害物検知時の閉鎖装置を示す。
【
図22】上図は定常状態にある閉鎖装置を示し、中央図は定常状態から自動閉鎖機構が作動した後の閉鎖装置を示し、下図は自動閉鎖装置作動後に非常閉鎖スイッチを作動させた後の状態(ワイヤが緩んで、保持手段が第2側にスライド移動して、第1スライダに係止した状態)を示す。下図の状態において、復旧レバーによってワイヤを引っ張って緊張状態に復帰させることで、自動閉鎖機構は上図に示す定常状態に復旧する。
【
図23】第1ユニットの平面図、左側面図、右側面図、正面図、底面図であって、第1ユニットの組立に用いる螺子において、施工時に使用する螺子が黒色で示してある。
【
図24】第2ユニットの平面図、左側面図、右側面図、正面図であって、第2ユニットの組立に用いる螺子において、施工時に使用する螺子が黒色で示してある。
【
図25】第1ユニットの平面図及びワイヤ固定部の部分図であって、第1ユニットの組立に用いる螺子において、施工時に使用する螺子が黒色で示してあり、平面図において、ワイヤの取付に用いられる押さえ板は第1姿勢にあり、部分図において、ワイヤの取付に用いられる押さえ板は第2姿勢にある。
【
図26】第2ユニットの底面図及びワイヤ固定部の部分図であって、第2ユニットの組立に用いる螺子において、施工時に使用する螺子が黒色で示してあり、平面図において、ワイヤの取付に用いられる押さえ板は第1姿勢にあり、部分図において、ワイヤの取付に用いられる押さえ板は第2姿勢にある。
【
図27】ワイヤが取り付けられた第1ユニットの斜視図であり、第2ユニット(図示せず)に対する第1ユニットの取付前の状態を示している。
【
図28】開閉機に取り付けられた第2ユニットに対する第1ユニットの取付を説明する図である。
【
図29】上図は、第2ユニットのスライダユニットがフリーな状態(左右方向にスライド可能)を示し、中央図は、スライダユニットが第1位置に位置決めされた状態を示し、下図は、第1位置に位置決めされたスライダユニットにワイヤが取り付けられた状態を示す。
【
図30】上図は、第2ユニットのスライダユニットの第1位置から第1方向への移動を規制する第1移動規制手段を解除して、スライダユニットの第1位置から第2方向への移動を規制する手段を取り外す工程を示し、下図は、解除された第1移動規制手段を復帰させてスライダユニットの第1位置から第1方向への移動を規制した状態を示す。
【
図31】上図は、スライダユニットが第1位置にある第2ユニットを示し、下図は、スライダユニットが仮固定位置にある第1ユニットを示す。
【
図32】上図は、スライダユニットが仮固定位置にある第1ユニットを示し、下図は、上図の仮固定位置からスライダユニットが第1位置へ移動した状態を示す。
【
図33】第2移動規制手段及び第3移動規制手段を兼用するスペーサを示す図である。
【
図34】開閉機に対する第2ユニットの取付工程を示すフローチャートである。
【
図35】開閉機に取り付けられた第2ユニットに対する第1ユニットの取付工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]機械式危害防止装置付きシャッターの全体構成
本実施形態に係る機械式危害防止装置付きシャッターの全体構成について説明する。
図1、
図2に示すように、シャッター装置は、開口部を開閉するシャッターカーテン1を備え、シャッターカーテン1の上端は、開口部上方に位置して設けた巻取シャフト(図示せず)に連結されており、開口部左右両端にはガイドレール2が立設されている。シャッターカーテン1は、開口幅方向に延びる複数枚の長尺状のスラットを上下に連結して構成されており、下端には座板3が設けてある。開口部全開状態では、シャッターカーテン1が巻取シャフトに巻き取られており、この状態から巻取シャフトが回転することで、シャッターカーテン1が、幅方向左右両端がガイドレール2に案内されながら降下してシャッターカーテン1下端の座板3が着床することで、開口部が全閉される。座板3は開口部幅方向に延びる長尺状の上座板30と、上座板30の下方側に上座板30に対して相対的に上下動自在に吊持された長尺状の下座板31とからなり、座板3は、自重降下あるいは電動下降するシャッターカーテン1が障害物に当たった時に障害物を検知する障害物検知手段の一構成要素となっている。
【0016】
巻取シャフトは開閉機Мの出力軸と伝動連結されており、開口部全開状態において、開閉機Мのブレーキによって巻取シャフトの回転を規制することで、開口部全開状態が維持されている。
図3等に示すように、開閉機Мのブレーキケースからブレーキ解放レバーМLが突出しており、ブレーキ解放レバーМLをブレーキ解放方向に移動させることで、開閉機Мの出力軸及び巻取シャフトの回転を規制しているブレーキが解放される。具体的な態様例では、ブレーキ手段は、開閉機出力軸またはこの出力軸と一体で回転する回転部材に対して接離自在に対向するブレーキ板を有しており、開口部全開状態ではスプリング等の付勢手段によってブレーキ板が圧接されており、ブレーキが働いて巻取シャフトの回転が規制されている。この状態において、ブレーキ解放レバーをスプリングに抗して揺動させることでブレーキ板が離隔してブレーキが解放され、巻取シャフトの回転が可能となって、シャッターカーテンが自重降下するようになっている。また、ブレーキ解放レバーをフリーにすれば、前記付勢手段であるスプリングによってブレーキ板が圧接されて自動的にブレーキ及びブレーキ解放レバーが復帰するようになっている。すなわち、開閉機Мのブレーキは、ブレーキ解放レバーの移動によって強制的に解放されると共に、ブレーキ解放レバーによる強制力が解除されると付勢手段により復帰する。
【0017】
シャッター装置は、火災時に開口部全開状態にあるシャッターカーテン1を自重降下させるための閉鎖装置5を備えている。
図1、
図2では、開閉機Мの下側に隣接して閉鎖装置5が取り付けられており、
図3では、開閉機Мの上側に隣接して閉鎖装置5が取り付けられているが、閉鎖装置5の取付位置及び取付姿勢は、開閉機Мの取付姿勢や開閉機Мのタイプに応じて、適宜選択され得る。
【0018】
閉鎖装置5は、火災検知信号の入力に基づいて、作動して、開閉機Мのブレーキを解放し、シャッターカーテン1を自重降下させて開口部を全閉して防火区画を形成する。開口部全開状態において、火災が発生すると、火災感知器4aによって火災が感知され、防災盤4bからの火災検知信号に基づく通電によって閉鎖装置5の自動閉鎖機構が作動し、自動閉鎖機構の作動に連動して開閉機Мのブレーキを解放して、シャッターカーテン1を自重降下させる。また、シャッター装置は、火災検知信号の入力とは別に、随時手動でシャッターカーテン1を自重降下させることを可能とする手動閉鎖機構ないし装置を備えている。
【0019】
本実施形態に係る閉鎖装置5は、第1ユニット6と第2ユニット7から組み立てられた一体型であって、開閉機Мに隣接して取り付けることで、ワイヤを用いずに、作動力をブレーキ解放レバーМLに作用させるようになっている。第1ユニット6は自動閉鎖機構、及び、手動閉鎖機構の部分を構成し、第2ユニット7は、自動閉鎖機構ないし手動閉鎖機構の作動に連動して、開閉機のブレーキ解放レバーを解放するブレーキ解放・復帰機構を構成する。本実施形態に係る閉鎖装置5の構成や作動の詳細については、後述する。
【0020】
シャッター装置は、いわゆる危害防止装置を備えており、自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板3が障害物に当たって当該障害物を検知すると、ブレーキ復帰用ワイヤを介して開閉機Мのブレーキを復帰させて、シャッターカーテン1の自重降下を停止させるようになっている。ブレーキ復帰用ワイヤは、ワイヤW1とワイヤW2とから構成されている。開口部上方部位には、開口幅方向の開閉機Мが設置された側に寄って、中継装置8が設けてあり、座板3には、中継装置8の下方に位置するように開口幅方向の一側に寄って、ロック装置9が設けてある。ロック装置9は、中継装置8の略直下に位置するロックドラムと、ロックドラムに隣接する巻取ドラムと、障害物検知時にロックドラムの回転をロックするロック機構と、を備えている。障害物検知手段は、一例では、座板3を構成する上座板30と下座板31との間に回動可能に設けた検知レバーが用いられる。ワイヤW1とワイヤW2は中継装置8を介して接続されている。ワイヤW1の一端はブレーキ解放・復帰機構に接続されており、他端は中継装置8に連結されている。ワイヤW1はアウターワイヤW1´内を延出している。ワイヤW2の一端は中継装置8に連結されており、他端は座板3に設けたロック装置9のロックドラムに巻回されて当該ロックドラムを経由して、巻取ドラムに巻回可能に連結されている。ワイヤW2は、シャッターカーテン1の降下に伴ってシャッターカーテン1の面部に沿って延びるように引き出される。ロック装置9は、上座板30に設けられ、降下中のシャッターカーテン1の下座板31が障害物に当たって上座板30に対して相対的に上動することで、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)の引き出しを機械的に規制し、当該引き出しが規制されたブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)が引っ張られることで、ブレーキ解放・復帰機構の復帰機構が作動するようになっている。
【0021】
危害防止装置は、自重降下中のシャッターカーテン1の下座板31が障害物に当たった場合には、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)が引っ張られることで、ブレーキ復帰機構が作動して、ブレーキが復帰して巻取シャフトの回転が規制され、シャッターカーテン1の自重降下を機械的に停止させる。障害物が除去されると、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)の引き出しが可能となって、ブレーキ解放・復帰機構のブレーキ解放機構が作動して、シャッターカーテン1が再自重降下する。また、障害物除去後において、シャッターカーテン1が自重で再降下するタイミングを遅延させるようになっている。中継装置8やロック装置9の構成、障害物検知手段の構成、及び、障害物除去後の再自重降下の遅延手段の構成の詳細な具体的な態様例については、例えば、特許文献1を参照することができる。
【0022】
図1、
図2に示すように、シャッター装置の近傍の壁面には、操作し易い高さに操作ボックス10が設けてある。
図4に示すように、操作ボックス10は、縦長直方体の箱体であり、前面には蓋体100が開閉可能に設けてあり、蓋体100の閉鎖状態を維持するシリンダ錠を備えており、蓋体100にはシリンダ錠を施解錠するための鍵を差し込むための鍵穴1000を有している。操作ボックス10は、スイッチボックスとしての機能を備え、内部には、開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチSからなる開閉操作スイッチ101が配置されている。
図1に示すように、開閉操作スイッチ101は、制御部(障障害物検知用制御盤11A、シャッター制御盤11B)と電気的に接続されている。なお、手動式のシャッター装置の場合には、操作ボックス10に開閉操作機能(開閉操作スイッチ101)を設けないものでもよい。
【0023】
本実施形態に係る操作ボックス10は、開閉操作スイッチ101を用いた開閉操作機能に加えて、非常閉鎖スイッチ102を用いた手動閉鎖機能、復旧用レバー103を用いた自動閉鎖機構及び手動閉鎖機構の復旧機能を備えている。手動閉鎖機構の構成要素であるワイヤW3の一端は閉鎖装置5の第1ユニット6に接続されており、ワイヤW3の他端は、操作ボックス10内まで延びており、固定手段ないしロック手段によって緊張状態で固定される。操作ボックス10の蓋体100には、非常操作スイッチ102の押圧部102´が表示されており、蓋体100が閉鎖した状態で、押圧部102´を押すことで、非常操作スイッチ102が作動して、ワイヤW3の固定手段ないしロック手段を解除して緊張状態を緩和させて、ワイヤW3を緩めるようになっており、ワイヤ3を緩めることに連動して手動閉鎖機構が作動するようになっている。
【0024】
図4、
図5に示すように、操作ボックス10の前面には蓋体100に隣接して復旧用レバー103が設けてあり、復旧用レバー103は通常時には操作ボックス10の前面と面一状態で収納されており、非常操作スイッチ102の押圧操作に連動して、収納姿勢から突出姿勢(103´で示す)となる。突出姿勢の復旧用レバー103´を、下方に回動操作することで(103´´で示す)、緩んだワイヤW3を引っ張って、緊張状態として、ワイヤW3の他端側がロックされ、ワイヤW3は緊張状態が維持される。その後、収納姿勢へ戻して初期姿勢にセットする。操作ボックス10の非常閉鎖スイッチ102と復旧用レバー103は、手動操作部を構成しており、非常閉鎖スイッチ102を押すことによる第1操作(手動閉鎖操作)、復旧用レバー103の回動操作による第2操作(復旧操作)が実行される。手動閉鎖機能、自動閉鎖機構及び手動閉鎖機構の復旧機能の詳細については、後述する。
【0025】
本実施形態に係る機械式危害防止装置付きシャッターの態様としては、いわゆる管理併用シャッターとして用いる態様、あるいは、通常は開口部開口状態にあり、火災時にシャッターカーテン1を自重降下させて防火区画を形成する防火シャッターとして用いる態様があり得る。管理併用シャッターの場合、通常時には、シャッターカーテン1は、操作ボックス10の開閉操作スイッチ101から操作によって、開閉機Мによって巻取シャフトを正逆回転駆動することで電動昇降して開口部を開閉し、火災時には、シャッターカーテン1を自重降下させる防火シャッターとして作動する。管理併用シャッターとして用いる場合、本実施形態に係るシャッター装置の制御部は、電動開閉モード(通常モード)と自重降下モード(火災モード)で異なる制御を実行するようになっている。
【0026】
本実施形態に係る制御部は、障害物検知用制御盤11Aと、シャッター制御盤11Bと、からなる。
図1に示すように、本実施形態では、閉鎖装置5と障害物検知用制御盤11Aが電気的に接続されており、障害物検知用制御盤11Aとシャッター制御盤11Bが電気的に接続されており、操作ボックス10内の開閉操作スイッチ101と障害物検知用制御盤11Aが電気的に接続されている。電動昇降時において、開閉操作スイッチ101からの入力に基づく開放信号、閉鎖信号、停止信号は、障害物検知用制御盤11Aを介してシャッター制御盤11Bに送信される。図示の態様では、障害物検知用制御盤11Aとシャッター制御盤11Bは物理的に離隔しているが、制御部は、障害物検知用制御盤11Aの機能とシャッター制御盤11Bの機能を備えた1つの制御部であってもよい。
【0027】
本実施形態に係る管理併用シャッターでは、電動降下中のシャッターカーテン1の下端の座板3が障害物に当たった場合にも、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)によるブレーキ解放・復帰機構の可動部(第3スライダ71)の移動を検知して、電動降下中のシャッターカーテン1を停止させるようになっている。すなわち、電動降下であるか自重降下であるかを問わず、閉鎖中のシャッターカーテン1が障害物に当たった時のシャッターカーテン1の降下の停止は、ブレーキ解放・復帰機構を介して行われる。より具体的には、電動降下の場合は、可動部(第3スライダ71)の移動を検知した第2マイクロスイッチSW2(
図21参照)の作動による開閉機Мの停止、自重降下の場合は、可動部(第3スライダ71)の移動に伴うブレーキ解放レバーМLの機械的な復帰、によって、降下中のシャッターカーテン1が停止する。
【0028】
[B]閉鎖装置
図3、
図6等に示すように、本実施形態に係る閉鎖装置5は、第1ユニット6と第2ユニット7を組み立てることで構成されている。第1ユニット6は自動閉鎖機構、及び、手動閉鎖機構の部分を構成し、第2ユニット7は、自動閉鎖機構ないし手動閉鎖機構の作動に連動して、開閉機МのブレーキレバーМLを解放し、障害物検知時にはブレーキレバーМLを復帰させるブレーキ解放・復帰機構を構成する。以下に、閉鎖装置5の構成を詳細に説明する。
【0029】
[B-1]第1ユニット
第1ユニット6は、第1位置と第2位置との間でスライド移動可能である第1スライダ60と、第1スライダ60を第1位置から第2位置へ向かって付勢する第1コイルスプリング61と、火災検知信号の入力に応じて、第1位置にある第1スライダ60を第2位置へスライド移動させる自動閉鎖機構と、を備えている。なお、第1ユニット6の説明において、第1位置に近い側を第1側、第2位置に近い側を第2側とする。また、部材の部分の名称として用いる「立ち上がり片」は、当該部材の姿勢によっては、例えば、下向きに延びる片や、水平に延びる片となり得る点に留意されたい。
【0030】
自動閉鎖機構は、第1位置にある第1スライダ60に係止して、第1スライダ60を第1位置に保持する保持手段62と、防災盤4bからの火災検知信号の入力に基づく通電により作動して第1位置にある第1スライダ60と保持手段62の係止状態を解除するソレノイド63と、を備えている。保持手段62は、第1位置と第2位置との間でスライド移動可能なベース620と、ベースの先端に回動可能に設けたラッチ部ないし係止部621と、からなり、係止部621が第1スライダ60に係止可能となっている。
【0031】
ソレノイド63は、第1スライダ60のスライド移動方向に延びる軸部(プランジャ)630を備え、軸部630の先端には、連結片625が取り付けられており、軸部630の先端は、連結片625を介して保持手段62の係止部621に連結されている。軸部630は可動軸部であって、ソレノイド63は、防災盤4bからの火災検知信号の入力に基づく瞬時の通電により、軸部630が第1側に引っ張られることで、係止部621を係止状態が外れる方向に回動させて、第1スライダ60と保持手段62の係止部621との係止状態を解除する。非通電時には、ソレノイド63の軸部630は、第2側に向かって引き出し可能となっている。
【0032】
第1ユニット6には、自動閉鎖機構が作動したことを検知する検知手段(マイクロスイッチSW)が設けてある。マイクロスイッチSWが、自動閉鎖機構が作動することで、第1スライダ60が第1位置から第2位置へ移動したことを検知すると、検知信号が防災盤4bに送信されて、マイクロスイッチSWの検知に応じて、防災盤4bからの火災検知信号に基づくソレノイド63への通電が遮断されるようになっている。
【0033】
第1ユニット6は、プレート状の底壁640と底壁の第1側、第2側から対向状に立ち上がる第1側壁641、第2側壁642とを備えた本体ないしフレーム64を有している。第1側壁641と第2側壁642間を架け渡すように一対のスライドシャフト65が並行状に設けてある。第1スライダ60は、スライドシャフト65に沿って第1位置と第2位置との間でスライド移動可能となっており、スライドシャフト65には第1コイルスプリング61が外装されている。本体64の底壁640において、第1側に寄った位置にはL形状の部材が固定されており、当該部材の立ち上がり部から当接立ち上がり片643が設けてあり、当接立ち上がり片643にはスライドシャフト65が挿通している。
【0034】
図8に第1ユニット6の本体64の部品図を示す。底壁640の第2側に寄った部位には、開口6400が形成されており、第1側に寄った部位には、開口6401が形成されている。底壁640において、開口6400と開口6401の間には、後述するガイドプレート622を取り付ける螺子623、624(
図10参照)の頭部を受け入れる孔部6402、6403が形成されている。第2側壁642の基端側には、底壁640に隣接して開口6420が形成されている。
【0035】
図9に示すように、第1スライダ60は、本体64の底壁640に平行して延びるプレート状の面部600と、面部600の第1側、第2側から対向状に垂直に立ち上がる第1立ち上がり片601、第2立ち上がり片602と、から側面視略コ字形状を備えており、第1立ち上がり片601、第2立ち上がり片602には、スライドシャフト65を挿通させる孔6010、6020が形成されている。本実施形態に係る第1スライダ60において、立ち上がり片601、602は、それぞれ、面部600の幅方向両側から立ち上がる一対の立ち上がり片601、601;602、602である。面部600の略中央部位には開口6000が形成されており、開口6000の第1側に位置して、コイルスプリング67の係止用孔6001が形成されている。
【0036】
上述のように、本体64の底壁640には、第1側に寄った位置に当接立ち上がり片643が設けてあり、スライドシャフト65に外装した第1コイルスプリング61は、第1側の端部が当接立ち上がり片643に当接し、第2側の端部が第1スライダ60の第2立ち上がり片602に当接するようになっている。第1スライダ60が第1位置にある時には、第1スライダ60の第2立ち上がり片602と当接立ち上がり片643との間隔が小さくなっており(第1スライダ60が第2位置にある時に比べて)、第1コイルスプリング61は圧縮状態にある。このことは、例えば、
図15における第1コイルスプリング61の長さと
図16における第2コイルスプリング61の長さを対比すれば明らかである。第1コイルスプリング61は、自動閉鎖機構及び手動閉鎖機構に共通の作動スプリングである。
【0037】
第1スライダ60の面部600の第2側の外面には、第1スライダ60のスライド移動の動きを第2スライダ70に伝動するための連動手段ないし伝動手段の要素としての突片603が設けてある。本実施形態では、突片603は側面視L形状のアームの部分であり、アームは、ベース604と、ベース604から立ち上がる突片603と、ベース604の先端の舌状の突片605とからななり、アームは、ベース604を第1スライダ60の面部600の外面に螺子(溶接でもよい)で固定することで第1スライダ60と一体化されている。突片603は、本体64の底壁640に形成した開口部6400を挿通しており、第1スライダ60が第1位置と第2位置との間でスライド移動する時には、突片603が開口6400内を移動するようになっている。
【0038】
第1スライダ60が第2位置へ移動した時には、突片605が本体64の第2側壁642に形成された開口6420から突出するようになっている(
図16参照)。本実施形態に係る閉鎖装置5は、第1ユニット6と第2ユニット7を組み立てることで構成されており、第1ユニット6を独立して用いることも可能である。したがって、第1スライダ60のスライド移動時の突片603の変位(突片603の突出方向に対して垂直方向に往復動可能)、突片605の変位(突片605の突出方向に沿って往復動可能)を選択的に用いることで、第1ユニット6単独で、危害防止機構が要求されない開口部に設置されるシャッターの閉鎖装置として用いることが可能である。より具体的には、第1ユニット6を単独で、危害防止機構を備えない閉鎖装置の開閉機に、突片603と突片605から選択した1つの突片によってブレーキ解放レバーをブレーキ解放方向に押圧できる姿勢・位置で取り付け、自動閉鎖機構ないし手動閉鎖機構の作動によって、選択された突片がブレーキ解放レバーをブレーキ解放方向に押圧して、ブレーキを解放し、シャッターカーテンを自重降下させるように用いることができる。
【0039】
図9に示すように、第1スライダ60の面部600の第2側の内面には、面部600に形成した開口6000の第2側の縁部に隣接して、保持手段62の係止部621が係止する被係止部606が突成されている。本実施形態に係る被係止部606は、一対の側片6060と、底片6061からコ字形状を有しており、底片6061が面部600から立ち上がる姿勢で、面部600に固定されている。
【0040】
保持手段62は、第1スライダ60の被係止部606に係止する回動可能な係止部621を備え、また、第1位置と第2位置との間でスライド移動可能である。保持手段62は、係止部621を第1スライダ60の被係止部606に係止する方向に付勢する第1付勢手段(コイルスプリング66)と、自動閉鎖機構の作動時に第1スライダ60が第1位置から第2位置へ移動することに応じて、保持手段62に第1位置から第2位置へ向かって移動する力を付勢する第2付勢手段(コイルスプリング67)と、を備えている。
【0041】
保持手段62のベース620は、第1スライダ60の面部600と本体64の底壁640との間に位置している。
図10に示すように、保持手段62のベース620は、移動方向に延びる長方形状の底面6200と、底面6200の幅方向両端の側片6201と、を備え、側片6201の先端側(第2側)の立ち上がり片6202が係止部621の軸部6212の支持部となっており、底面6200の基端側(第1側)は、側片6201の基端を越えて幅広の延出面6200´が一体形成されており、延出面6200´の基端から立ち上がり片6203が形成されている。
【0042】
底面6200には、長さ方向(移動方向)に延びる2つの長孔6204、6205が形成されている。底面6200の上面には、移動方向に延びる長方形状のガイドプレート622が位置しており、ガイドプレート622は、長さ方向の2箇所において、2本の螺子623、624を用いて本体64の底壁640(
図10では図示せず)と連結されている。各螺子623、624の軸部は各長孔6204、6205内を挿通しており、保持手段62のベース620は、底壁640とガイドプレート622の間に位置して、ガイドプレート622に案内されながら第1位置と第2位置との間でスライド移動可能となっている。底面6200には、長孔6205の第1側に位置して開口6206が形成されており、開口6206の第1側の縁部にワイヤW3の一端側の端部が固定されるようになっている。
【0043】
保持手段62の係止部621は、第1角部、第2角部、第3角部を有する側面視略三角形状の一対の側片6210を備え、側片6210の第1角部間に設けた軸部には一対の係止ローラ6211が設けられており、側片6210の第2角部間に設けた軸部6212を回動支点として、ベース620の先端の立ち上がり片6202に回動可能に接続されている。側片6210の第3角部間に設けた軸部6213には連結片625が連結されており、連結片625には、ソレノイド63の軸部630の先端が連結されている。保持手段62は、ベース620が第1スライダ60の面部600と本体64の底壁640の間に位置し、係止手段621が第1スライダ60の面部600の開口6000に位置して、面部600に固定された被係止部606の上方(図示の姿勢において)に位置するようになっており、係止姿勢では、係止部621の側片6210の第1角部は第2角部よりも第2側に位置しており、第1角部及び第2角部は、面部600に対して略同じ高さに位置しており(第1角部と第2角部を結ぶ辺は面部600に略平行している)、第3角部は、面部600からより離間した位置(図示の姿勢では、より上方)にあり、第1角部は第3角部よりも第2側に位置しており、第3角部は第2角部よりも若干第2側に位置している。係止部621は、第3角部が第1側(図での右側)に移動することで、係止状態が解除される方向に回動し、第3角部を第2側(図での左側)に向かって付勢することで、係止姿勢が維持されるように付勢されている。
【0044】
図10に示すように、連結片625は、軸部6213が取り付けられる第1部分と、第1部分の第1側に位置して高さ方向に延びる第2部分と、からなり、連結片625には、軸部6213に近い側の第1孔6250、軸部6213から離れた側の第2孔6251が形成されている。軸部6213(軸部6213の取付穴)の中心と第1孔6250の中心を結ぶ線と、第1孔6250の中心と第2孔6251の中心を結ぶ線の角度は直角である。連結片625は、軸部6213と第1孔6250が、面部600に対して略同じ高さに位置する姿勢で取り付けられている。
【0045】
ソレノイド63の軸部630の先端が、連結片625の第1孔6250を通るピンによって連結片625に接続されている。第1孔6250は、側片6210の第3角部と略同じ高さに位置しており(係止部621の回動支点に対して)、ソレノイド63の通電によって、軸部630が第1側に引っ張られた時に、連結片625を介して、係止部621の第3角部が第1側に引っ張られて、係止部621が、第1角部に位置する係止ローラ6211が第1スライド60の被係止部606から離れる方向に回動して、保持手段62と第1スライダ60の係止状態が解除されるようになっている。
【0046】
保持手段62の連結片625の第2孔6251には、コイルスプリング66の一端が連結されており、コイルスプリング66の他端は、本体64の第2側壁642の係止孔6421に連結されている。本実施形態に係るコイルスプリング66は、第1スライダ60及び保持手段62のスライド移動方向(第1コイルスプリング61、スライドシャフト65と平行)に延びている。コイルスプリング66は、係止部621を係止方向(軸部6212を回動支点として、係止ローラ6211が下方に移動する方向)に付勢して、係止部621が第1スライダ60の被係止部606に係止する姿勢を維持する第1付勢手段として機能する。コイルスプリング66の一端が連結される連結片625の第2孔6251は、係止部621の回動支点である軸部6212から離間して位置しており、コイルスプリング66が、連結片625を介して係止部621を第2側へ引っ張る方向に付勢することで、係止部621の係止ローラ6211を下方に押し付けるように付勢し、係止部621の係止ローラ6211が第1スライダ60の被係止部606に係止姿勢が維持される。
【0047】
瞬時の通電によるソレノイド63の作動によって、コイルスプリング66の付勢力に抗して、係止部621が係止状態が外れる方向に回動した後(通電遮断後)には、コイルスプリング66によって、係止部621は係止姿勢に復帰するように回動する。なお、本実施形態では、係止姿勢に復帰するように回動する係止部621の係止ローラ6211が被係止部606に載るように当接した状態となり、自動閉鎖機構作動後において、被係止部606が完全に係止姿勢まで復帰するものではない(
図16参照)。
【0048】
第1付勢手段は、係止部621を係止方向に付勢するように、係止部621の回動基端部位に設けたねじりバネでもよいが、本実施形態に係るコイルスプリング66は、保持手段62のスライド移動時において、係止部621の係止姿勢を安定させる作用を備えている点において有利である。これについては、作動した閉鎖装置5の復旧のセクションにおいて説明する。
【0049】
本実施形態では、保持手段62の係止部621の係止ローラ6211が被係止部606に点接触で係止するようになっており、係止状態における接触抵抗を低減するようにしている。非常事態である火災時において、より確実に開閉機Мのブレーキを解放して、シャッターカーテン1を自重降下させて防火区画を形成するためには、より大きい作動力でブレーキ解放レバーを押圧することが望ましく、閉鎖装置を作動させるためのバネ力(本実施形態では第1コイルスプリング61のバネ力)を大きくすることでこの作動力を大きくすることができる。この時、係止部すなわちラッチ部に作用する接触抵抗も大きくなるが(ラッチが外れないと、自動閉鎖機構が作動しない)、本実施形態では、係止ローラ6211が被係止部606の側片6060に点接触で係止することで、係止状態における接触抵抗を低減し、係止ローラ6211が回転自在であることと協働して、第1コイルスプリング61をバネ力を大きくするものでありながら、火災時には係止状態がスムーズに外れて、自動閉鎖機構がより大きな作動力を発揮できるようにしている。
【0050】
保持手段62のベース620の基端側部位(第1側の端部)には、立ち上がり片6203が形成されており、第1スライダ60の面部600の第1側部位に形成した係止用孔6001と立ち上がり片6203との間には、第2付勢手段としてのコイルスプリング67が設けてある。本実施形態では、第1ユニット6において、第1スライダ60の面部600と保持手段62の立ち上がり片6203の上方部位が略同じ高さ位置にあり、コイルスプリング67は、第1スライダ60、保持手段62のスライド移動方向に延びており、スライド移動方向に伸縮するようになっている。
【0051】
コイルスプリング67は引張バネであって、第1スライダ60が保持手段62(第1位置を維持する)に対して、第1位置から第2位置へ移動することに応じてコイルスプリング67が引張し、元の長さに戻るように作用する力が、保持手段62を第1位置から第2位置へ移動させる付勢力として蓄勢されていくようになっている。すなわち、自動閉鎖機構の作動により、第1位置に保持された保持手段62と第1スライダ60の係止状態が解除された時には、第1位置を維持する保持手段62に対して、第1スライダ60が第1位置から第2位置へスライド移動し、この時、第2付勢手段として機能するコイルスプリング67によって、保持手段62を第1位置から第2位置へ移動させる付勢力が蓄勢される。
【0052】
自動閉鎖機構が作動した時には、ソレノイド63の通電によって、保持手段62と第1スライダ60の係止状態が解除され、第1コイルスプリング61の付勢力によって、第1スライダ60のみが第1位置から第2位置へスライド移動する一方、ワイヤW3は緊張状態にあり、保持手段62は第1位置に維持される。この時、引張するコイルスプリング67には、保持手段62を第1位置から第2位置へ移動させる付勢力が蓄勢される。
【0053】
保持手段62のベース620の基端側部位(開口6206の第1側の縁部)には、手動操作で第1スライダ60を第1位置から第2位置へ移動させる手動閉鎖機構を構成するワイヤW3の一端が接続されている。ワイヤW3の他端側には手動操作部(非常閉鎖スイッチ102)が設けてある。ワイヤW3は、アウターワイヤW3´内を延びている。ワイヤW3は、第1位置にある第1スライダ60と保持手段62が係止状態にある時(すなわち、保持手段62が第1位置にある時)に緊張状態が保持されており、ワイヤW3が緊張状態にある時には、保持手段62の第1位置が維持されている。ワイヤW3は、操作ボックス10側において、他端側を引っ張ってワイヤW3を緊張状態とし、緊張状態のワイヤW3の他端側を固定することで、緊張状態が維持されるようになっている。
【0054】
手動閉鎖機構は、第1スライダ60が保持手段62に係止した状態で、手動操作部の第1操作(すなわち、操作ボックス10の非常閉鎖スイッチ102の押圧操作)によって、緊張状態にあるワイヤW3の他端側の固定手段を解除して、ワイヤW3を緩ませることで、第1コイルスプリング61の付勢力によって、第1位置にある第1スライダ60及び保持手段62を、係止状態を維持した状態で、第2位置へ移動させるようになっている。
【0055】
[B-2]第2ユニット
図11に示すように、第2ユニット7は、第1スライダ60のスライド移動に連動して第1位置と第2位置との間でスライド移動可能である第2スライダ70と、第1位置と第2位置との間でスライド移動可能であり、第1位置から第2位置へ第2スライダ70と一体でスライド移動し、第2位置から第1位置へ第2スライダ70と独立してスライド移動可能な第3スライダ71と、第2スライダ70と第2スライダ71の間に設けた第2コイルスプリング72と、を備えている。第3スライダ71は、第2スライダ70の第1位置から第2位置への移動時に第2コイルスプリング72介して第2スライダ70と一体でスライド移動して開閉機のブレーキを解放し、第2コイルスプリング72を圧縮することで第2スライダ70とは独立して第1位置へ移動して開閉機のブレーキを復帰させることが可能となっている。なお、第2ユニット7の説明において、第1位置に近い側を第1側、第2位置に近い側を第2側とする。また、部材の部分の名称として用いる「立ち上がり片」は、当該部材の姿勢によっては、例えば、下向きに延びる片や、水平に延びる片となり得る点に留意されたい。
【0056】
第3スライダに71は、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)のワイヤW1の一端が接続されており、ワイヤW1の他端側は、機械式危害防止装置の中継装置8に接続されている。自重降下中の障害物検知時に、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)が引っ張られることで、第2位置にある第3スライダ71を、第2コイルスプリング72を圧縮させながら、第2スライダ70とは独立して、第1位置に向かって第1側へスライド移動させて、ブレーキを復帰するようになっている。障害物検知時には、第3スライダ71は定常位置(第1位置)を越えて、第1側へ移動可能となっている。すなわち、第3スライダ71は、定常位置ないし第1位置(ブレーキ復帰位置)、定常位置から第2側に移動した第2位置(ブレーキ解放位置)、定常位置から第1側に移動した第3位置(障害物検知位置)の3つの位置をとる。
【0057】
第2ユニット7は、プレート状の底壁730と底壁730の第1側、第2側から対向状に立ち上がる第1側壁731、第2側壁732とを備えた本体ないしフレーム73を有している。第1側壁731と第2側壁732間を架け渡すように一対の第2スライドシャフト74が並行状に設けてある。第2スライダ70、第3スライダ71は、第2スライドシャフト74に沿って第1位置と第2位置との間でスライド移動可能となっており、スライドシャフト74には第2コイルスプリング72が外装されている。
【0058】
第2ユニット7の本体73の部品図を
図12に示す。本実施形態に係る本体73において、底壁730の中央部位から第2側にかけて開口7300が形成されている。第1側壁731の幅方向両側には左右の折り曲げ片7310が形成されており、左右の折り曲げ片7310の間に形成した一対の中央折り曲げ片7311の間に、アウターワイヤW1´の一端側を挿入して固定するようになっている。第2側壁732の幅方向両側には左右の折り曲げ片7320が形成されている。
【0059】
図13に示すように、第2スライダ70は、本体73の底壁730に平行して延びるプレート状の面部700と、面部700の第1側、第2側から対向状に垂直に立ち上がる第1立ち上がり片701、第2立ち上がり片702と、から側面視略コ字形状を備えており、第1立ち上がり片701、第2立ち上がり片702には、スライドシャフト74を挿通させる孔7010、7020が形成されている。
【0060】
本実施形態では、第2スライダ70の面部700は、第1ユニット6に近い側に位置しており、面部700には第1スライダ60の突片603を受け入れる開口703が形成されており、第1スライダ60の突片603が開口703の縁部に当接することで、第1スライダ60のスライド移動の動きが第2スライダ70に伝達され、第2スライダ70は、第1スライダ60の第1位置から第2位置へのスライド移動に連動して、第1位置から第2位置へスライド移動する。本実施形態では、面部700の第2側の端部は第2立ち上がり片702より第2側に突出する突状部となっており、突状部の基端部位に開口703が形成されている。また、面部700には中央部位から第1立ち上がり片701の基端側部位に亘って開口7000が形成されており、第1立ち上がり片701の基端側部位は凹状の端縁となっている。
【0061】
図14に示すように、第3スライダ71は、本体73の底壁730に平行して延びるプレート状の面部710と、面部の第1側、第2側から対向状に垂直に立ち上がる第1立ち上がり片711、第2立ち上がり片712と、から側面視略コ字形状を備えており、第1立ち上がり片711、第2立ち上がり片712には、スライドシャフト74を挿通させる孔7110、7120が形成されている。面部710の第2側の端縁は凹状の端縁となっており、幅方向中央部位には面部710に対して湾曲状に突成された圧迫片713が一体形成されている。第3スライダ71の圧迫片713は、第2ユニット7の本体73の底壁730の開口7300内に位置している。第1立ち上がり片711の幅方向中央部位には、一対の折り曲げ片714が形成されており、折り曲げ片714の間にワイヤW1を挿入して固定するようになっている。
【0062】
本実施形態では、第3スライダ71の面部710は、開閉機Мのケースに近い側に位置しており、開閉機Мのブレーキ解放レバーМLの先端は、本体73の底壁730の開口7300から第2ユニット7内に延びている。閉鎖装置の作動によって、第3スライダ71が第1位置から第2位置へスライド移動することで、面部710に突成された圧迫片713がブレーキ解放レバーМLをブレーキ解放方向に圧迫して、ブレーキを解放するようになっている。
【0063】
図11に示すように、第2スライダ70と第3スライダ71は、面部700、710を離間対向させ、第2スライダ70の第2立ち上がり片702が第3スライダ71の第2立ち上がり片712よりも第2側壁732側に位置して、第2スライダ70の第2立ち上がり片702の内側に第3スライダ71の第2立ち上がり片712が当接し、第3スライダ71の第1立ち上がり片711が第2スライダ70の第1立ち上がり片701よりも第1側壁731側に位置して、第3スライダ71の第1立ち上がり片711の内側に第2スライダ70の第1立ち上がり片701が当接した状態で第2スライドシャフト74に組み込まれており、第2スライドシャフト74に外装された第2コイルスプリング72の第1側の端部は、第2スライダ70の第1立ち上がり片701の内側に当接し、第2側の端部は第3スライダ71の第2立ち上がり片712の内側に当接している。
【0064】
第1スライダ60が第1位置から第2位置にスライド移動することに連動して、第2スライダ70が第1位置から第2位置へスライド移動する時に、第2スライダ70の第1立ち上がり片701が第2コイルスプリング72の第1側の端部を第2側へ押すことで、第3スライダ71の第2立ち上がり片712が第2コイルスプリング72の第1側の端部によって第2側へ押圧され、第2スライダ70、第2コイルスプリング72、第3スライダ71が一体で第2位置へスライド移動し、第3スライダ71の圧迫片713がブレーキ解放レバーМLを押してブレーキを解放して、シャッターカーテン1を自重降下させる。
【0065】
自重降下中のシャッターカーテン1が障害物に当たって障害物検知が行われると、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)が引かれることで、ワイヤW1の一端に接続されている第3スライダ71が第2位置から第1位置へ向かうように第1側に引っ張られ、第3スライダ71は、第3スライダ71の第2立ち上がり片712が第2コイルスプリング72を圧縮させながら(この時、第3スライダ71には、第2側へ向かう付勢力が蓄勢される)、第2スライダ(第2位置を維持している)70とは独立して第1位置へ向かって第1側へスライド移動し、第3スライダ71の圧迫片713によるブレーキ解放レバーМLの圧迫が解放され、ブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止する。
【0066】
障害物検知に基づくシャッターカーテン1の降下停止後に、障害物が取り除かれると、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)の緊張状態が解放されて、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)が緩み、圧縮された第2コイルスプリング72の付勢力で、第3スライダ71が第2位置へ向かって第2側にスライド移動し、第3スライダ71の圧迫片713がブレーキ解放レバーМLを押圧してブレーキを再び解放して、シャッターカーテン1を再自重降下させる。
【0067】
図21に示すように、第1ユニット7には、第1マイクロスイッチSW1、第2マイクロスイッチSW2が設けてある。第1マイクロスイッチSW1は、自動閉鎖機構あるいは手動閉鎖機構が作動したことを検知する手段である。本実施形態では、第1マイクロスイッチSW1は、自動閉鎖機構あるいは手動閉鎖機構の作動に連動して、第2ユニット7の第2スライダ70が第1位置から第2位置へ移動したことを検知するように、第2スライダ70の移動路に位置して、第2ユニット7の不動部位(本体73の所定部位)に設けてある。第1マイクロスイッチSW1の検知によって、電動開閉モードと自重降下モードを識別することができ、自動閉鎖機構ないし手動閉鎖機構の作動に連動して、第2スライダ70が第1位置から第2位置へスライド移動することで自重降下モードになり、電動動作禁止に移行する。1つの態様では、第1マイクロスイッチSW1は、監視時には接点がONであり、作動時には接点がOFFとなる。第1マイクロスイッチSW1がONからOFF状態となると、障害物検知用制御盤11Aに作動確認信号が入力され、シャッターカーテン1が電動開閉中の場合には、シャッター制御盤11Bを介して開閉機Мの駆動を停止し、また、開閉用操作スイッチ101の押操作が無効とされ、速やかに自重降下が開始する。すなわち、第1マイクロスイッチSW1がONの時には電動開閉モードにあり、第1マイクロスイッチSW1がOFFの時には自重降下モードとなる。本実施形態では、第1マイクロスイッチSW1はONからOFFとなることで作動するが、OFFからONとなることで作動するように設計し得ることが当業者に理解される。
【0068】
第2マイクロスイッチSW2は、シャッターカーテン1の電動降下時に障害物検知があったことを検知する検知手段である。本実施形態では、第2マイクロスイッチSW2は、定常位置にある第3スライダ71が第1側に移動したことを検知するように、第3スライダ71の移動路の所定位置において、第2ユニット7の不動部位(本体73の所定部位)に設けてある。第2マイクロスイッチSW2は、障害物検知時に作動するものであり、1つの態様では、監視時(通常のシャッター開閉時)には接点がOFFであり、マイクロスイッチ作動時には接点がONとなる。すなわち、シャッターカーテン1の電動降下時に第2マイクロスイッチSW2がOFFからON状態となった時に、障害物検知が行われたものとする。シャッターカーテン1の電動降下時に第2マイクロスイッチSW2がOFFからON状態となると、障害物検知用制御盤11Aに障害物検知信号が入力され、シャッター制御盤11Bを介して開閉機Мの電動降下を停止させる。本実施形態では、第1マイクロスイッチSW1はOFFからONとなることで作動するが、ONからOFFとなることで作動するように設計し得ることが当業者に理解される。
【0069】
[B-3]閉鎖装置の組立
閉鎖装置5は、第1ユニット6と第2ユニット7を、第1スライダ60、第2スライダ70、第3スライダ71のスライド移動方向に直交する方向に重なるように組み立てることで構成されている。また、
図3に示すように、第1ユニット6と第2ユニット7は、開閉機Мのブレーキ解放レバーМLの突出方向に重なるように組み立てられている。第1ユニット6の本体64には、第1スライダ60、第1コイルスプリング61、保持手段62、ソレノイド63、スライドシャフト65、マイクロスイッチSWが組み込まれており、第2ユニット7の本体73には、第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72、スライドシャフト64、第1マイクロスイッチSW1、第2マイクロスイッチSW2が組み込まれており、第1ユニット6と第2ユニット7は、箱状の本体64と箱状の本体73を重ねるように連結することで組み立てられている。
【0070】
第1ユニット6の本体64の第1側壁641の外面には、第1部分680と第2部分681とから側面視L形状の取付片68が第2部分681を介して固定されており、第1部分680は、底壁640と面一となるように延びている。第1ユニット6と第2ユニット7は、本体73の第1側壁731の折り曲げ片7310を取付片68の第2部分680に重ねて当接させ螺子で連結し、本体73の第1側壁732の折り曲げ片7320を本体64の底壁640の第2側部位に重ねて当接させて螺子で連結することで、組み立てられている(
図15参照)。第1ユニット6と第2ユニット7を組み立てた状態において、側面と、第1ユニット6の上面(
図6下図の姿勢において)が開放状となっている。重箱状の第1ユニット6と第2ユニット7の3面の開放部位を覆うように、断面視コ字形状のカバー(図示せず)を取り付けてもよい。
【0071】
第1ユニット6と第2ユニット7から組み立てられた閉鎖装置5において、第1ユニット6において、第1スライダ60の面部600は、本体64の底壁640に近い側で底壁640と対向しており、第2ユニット7において、第2スライダ70の面部700は、本体73の底壁730から遠い側(底壁640に近い側)で底壁640と対向しており、第1スライダ60の突出片603は底壁640の開口6400から第2ユニット7の本体73内に突出しており、突片603は、さらに、第2ユニット7の第2スライダ70の面部700の開口703に挿入されている。第1スライダ60と第2スライダ70は、一体で第1位置から第2位置へ、第2位置から第1位置へスライド移動可能となっている。第1コイルスプリング61は、圧縮バネであり、圧縮状態(第1スライダ60が第1位置にある時、すなわち定常状態)からの第1復元力と、閉鎖装置5の閉鎖機構の作動時、すなわち、第1スライダ60が第2位置にある時の長さ(本実施形態では、通常長さよりも少し圧縮された状態)から圧縮を開始させるための第1圧縮力を備え、第1圧縮力は第1復元力よりも小さい。第2コイルスプリング72は、圧縮バネであり、圧縮状態(第3スライダ71が障害物検知時に第1側へ移動した状態)からの第2復元力と、第2コイルスプリング72が第2スライダ70、第3スライダ71と一体で第2位置に移動した時の状態、すなわち、通常長さ、から圧縮を開始させるための第2圧縮力を備え、第2圧縮力は第2復元力よりも小さく、前記第1圧縮力は、前記第2復元力よりも大きい。第2コイルスプリング72は、所定の第1の力が作用した時には圧縮し、第1の力よりも小さい所定の第2の力が作用した時には長さが不変である。閉鎖装置5の閉鎖機構の作動時には、第1スライダ60のスライド移動に伴う第2スライダ70のスライド移動時に第2コイルスプリング72に力が作用するが、その時の力は第2の力であって、第2コイルスプリング72は実質的に圧縮されることなく長さが不変であり、第2スライダ70と第3スライダ71が一体で第1位置から第2位置へ移動する。第2ユニット7において、第3スライダ71の面部710は、本体73の底壁730に近い側で底壁730と対向しており、圧迫片713が底壁730の開口7300内に突出している。閉鎖装置5は、ブレーキ解放レバーМLを第2ユニット7の底壁730の開口7300内に受け入れるようにして、底壁730を開閉機Мのケースに当接ないし近接させて取り付けられる。圧迫片713は、ブレーキ解放レバーМLの第1側に位置している。閉鎖装置5が作動すると、第1スライダ60が第1位置から第2位置にスライド移動し、第2スライダ70の開口703内に位置する第1スライダ60の突出片603が第2側に移動することで、第2スライダ70、第2コイルスプリング72、第3スライダ71が一体で第1位置から第2位置に移動し、圧迫片713がブレーキ解放レバーМLを第2側に押圧することで、ブレーキ解放レバーをブレーキ解放方向に回動させる。第1コイルスプリング61の伸長による作動力は、第1スライダ60から第2スライダ70に直接伝達され、第2スライダ70と一体でスライド移動する第3スライダ71の圧迫片713によってブレーキ解放レバーを押圧するので、第1コイルスプリング61のバネ力を、効率よくかつ安定してブレーキ解放力として出力することができる。第3スライダ71には、障害物検知時に第3スライダ71を第1側へ引っ張るブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1)が連結されており、障害物検知時には、第3スライダ71が第1側へ引っ張られるが、この時にワイヤW1に作用する力は第1の力であって、第コイルスプリング72が圧縮されて、第3スライダ71が第2スライダ70(第2位置にある)から独立して第1側に移動して、ブレーキが解放されるる。障害物が取り除かれると、ワイヤW1を引っ張る力が解除され、第2コイルスプリングの第2復元力によって、第3スライダ71が第1位置へスライド移動して、ブレーキを復帰させる。この時、第1コイルスプリング61の上記第1圧縮力(第1スライダ60が第2位置にある時の第1コイルスプリング61を圧縮させる力)は、第2コイルスプリング72の上記第2圧縮力(通常長さの第2コイルスプリング72を圧縮させる力)及び上記第2復元力(圧縮された第2コイルスプリング72が伸長する力)よりも大きいので、ワイヤW1を引っ張る力が第2位置にある第2スライダ70及び第1スライダ60に影響を与えることがない。第1スライダ60と第2スライダ70は、一体で第2位置から第1位置へスライド移動可能となっており、作動した閉鎖機構の復旧時に第2位置にある第1スライダ60を第1位置へスライド移動させると、第2位置にある第2スライダ70及び第3スライダ71が、一体で第1位置へスライド移動するようになっている。
【0072】
閉鎖装置5は、多くの構成要素を限られたスペースの所定位置に配置して組み立てる必要があるが、本実施形態に係る閉鎖装置5は、第1ユニット6と、第2ユニット7を、それぞれ別個に組み立てて、第1ユニット6と第2ユニット7を重ね合わせて螺子で連結することで組み立てることができ、現場における組立作業性が良い。より具体的には、第1ユニット6、第2ユニット7が現場に搬入されると、第2ユニット7を、ブレーキ解放レバーМLを本体73の底壁730の開口7300内に受け入れるようにして、開閉機Мに固定し、第2ユニット7の第3スライダ71にワイヤW1の一端側を固定する。この時、ワイヤW1の他端側は中継装置8には取り付けられていない。第1ユニット6の保持手段62にワイヤW3の一端側を固定する。この時、ワイヤW3の他端側と操作ボックス10の手動操作部との取付調整は行われていない。第2ユニット7に対して、第2ユニット7の第2スライダ70の面部700の開口703に第1ユニット6の第1スライダ60の突片603を挿入させて、第1ユニット6を重ね合わせ、第1ユニット6の本体64と第2ユニット7の本体73を螺子で固定する。その後で、ワイヤW1の他端側、ワイヤW3の他端側の取付調整を行う。この時、ワイヤW1の一端側は第3スライダ71に連結されており、第3スライダ71と第2スライダ70との間には第2コイルスプリング72が介装されており、第2スライダ70の位置は、第1スライダ60の突片603が第2スライダ70の開口703に挿入されていることで固定されており、第3スライダ71は第2コイルスプリング72を圧縮させる大きな力を作用させない限り、第1側へ移動することができない。ワイヤW1の他端側を手動で引っ張る程度の力では第2コイルスプリング72は圧縮しない。したがって、ワイヤW1の他端側を中継装置8に取り付ける際に、ワイヤW1の位置が移動することがなく、ワイヤW1の取付調整を容易に行うことができる。例えば、特許文献1に開示されたものでは、固定ピースで仮固定した上で、中継装置に対して取付調整を行っていた。
【0073】
[B-4]閉鎖装置の動作
[B-4-1]定常状態
図15は、待機姿勢ないし定常状態にある閉鎖装置5を示す。第1ユニット6の第1スライダ60、保持手段62、第2ユニット7の第2スライダ70、第3スライダ71は第1の位置にあり、保持手段62の係止部621が第1スライダ60の被係止部606に係止しており、ワイヤW3は緊張状態にあり、ソレノイド63は非通電状態にあり、軸部630は、第1の位置にある。第1コイルスプリング61は圧縮状態にある。第1スライダ60の突片603が第2スライダ70の面部700の開口703内に位置しており、開口縁に当接ないし近接している。開閉機Мのブレーキ解放レバーМLは第1位置(ブレーキ作動状態)にあり、第2ユニット7の第3スライダ71の圧迫片73が、ブレーキ解放レバーМLに当接(非押圧状態)ないし近接している(
図20上図)。
【0074】
[B-4-2]自動閉鎖機構の作動
火災時に火災検知信号が入力されると、自動閉鎖機構が作動して、シャッターカーテン1を自重降下させる。具体的には、火災検知信号の入力に基づいてソレノイド63が通電して、軸部630を引っ張ることで、保持手段62の係止部621を係止方向と反対側に回動させて、係止部621の係止ローラ6211と第1スライダ60の被係止部606との係止状態が解除され、第1コイルスプリング61が伸長することで、第1スライダ60が第1位置から第2位置へスライド移動し、第1スライダ60の突片603が第1位置から第2位置へ移動することに連動して、第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72が一体で第2位置へスライド移動する。第3スライダ71が第2位置へ移動することで、第3スライダ71の圧迫片713がブレーキ解放レバーを押圧して、ブレーキを解放することで、シャッターカーテンが自重降下する。
【0075】
図16は、自動閉鎖機構作動後の閉鎖装置5を示す。第1ユニット6の第1スライダ60、第2ユニット7の第2スライダ70、第3スライダ71は第2の位置にあり、保持手段62の係止部621と第1スライダ60の被係止部606の係止状態が解除された状態にある。ワイヤW3は緊張状態にあり、ソレノイド63は瞬時の通電後に非通電状態に戻るが、係止部621が被係止部606に載った状態にあり、軸部630は、引っ張られた位置にある。第1コイルスプリング61は伸長状態にある。コイルスプリング66の長さは、
図15の状態に比べて軸部630により連結片625が第1側へ引っ張られる分だけ長い。コイルスプリング67は伸長状態にある(
図22中央図)。第1スライダ60の突片603が第2スライダ70の面部700の開口703の縁部に当接しており、開閉機Мのブレーキ解放レバーМLは第2位置(ブレーキ解放状態)にあり、第2ユニット7の第3スライダ71の圧迫片73が、ブレーキ解放レバーМLに当接して、ブレーキ解放レバーМLをブレーキ解放方向に押圧している(
図20中央図)。また、第1スライダ60の突片605は、第1ユニット6の本体64の第2側壁642の開口6420から突出量が大きくなるように突出する。
【0076】
[B-4-3]自動閉鎖機構の作動後のブレーキ復帰
自重降下中のシャッターカーテン1が障害物に当たって障害物検知が行われると、ブレーキ復帰用(ワイヤW1+ワイヤW2)が引かれることで、ワイヤW1の一端に接続されている第3スライダ71が第2位置から第1位置へ向かうように第1側に引っ張られ、第3スライダ71は、第3スライダ71の第2立ち上がり片712が第2コイルスプリング72を圧縮させながら(この時、第3スライダ71には、第2側へ向かう付勢力が蓄勢される)、第2スライダ(第2位置を維持している)70とは独立して第1側へ向かってスライド移動し、第3スライダ71の圧迫片713によるブレーキ解放レバーМLのブレーキ解放方向への圧迫が解放され、ブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止する。
【0077】
図17は、自動閉鎖機構の作動後のブレーキ復帰状態を示す。第3スライダ71が第1位置からさらに第2側にスライド移動した状態にあり、第2スライダ70が第2位置にあり、第2コイルスプリング72が圧縮状態にある。第3スライダ71の圧迫片713は、ブレーキ解放レバーМLから離間しており、圧迫片713によるブレーキ解放レバーМLのブレーキ解放方向への圧迫が解放され、ブレーキが復帰している(
図20下図)。第1ユニット6の各構成要素(第1スライダ60、第1コイルスプリング61、保持手段62等)の位置・姿勢は自動閉鎖機構の作動後の状態と同じである。この状態において、障害物が取り除かれると、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)の緊張状態が解放されて、ワイヤW1が緩み、圧縮された第2コイルスプリング72の付勢力で、第3スライダ71が第2側に向かって第2位置へスライド移動し、第3スライダ71の圧迫片713がブレーキ解放レバーМLをブレーキ解放方向に押圧してブレーキを再び解放して、
図16、
図20中央図の状態となり、シャッターカーテン1が再自重降下する。
【0078】
[B-4-4]手動閉鎖機構の作動
開口部全開状態において、操作ボックス10の非常閉鎖スイッチ102を押すことによって手動閉鎖機構を作動させて、シャッターカーテン1を自重降下させることができる。具体的には、非常閉鎖スイッチ102を押すと、緊張状態にあるワイヤW3が緩んで、保持手段62を第1位置に保持する力が解除され、第1コイルスプリング61が伸長することで、第1スライダ60に保持手段62が係止した状態で、第1スライダ60と保持手段62が一体で第1位置から第2位置へスライド移動し、第1スライダ60の突片603が第1位置から第2位置へ移動することに連動して、第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72が一体で第2位置へスライド移動する。第3スライダ71が第2位置へ移動することで、第3スライダ71の圧迫片713がブレーキ解放レバーМLをブレーキ解放方向に押圧して、ブレーキを解放することで、シャッターカーテン1が自重降下する。
【0079】
図18は、手動閉鎖機構作動後の閉鎖装置5を示す。第1ユニット6の第1スライダ60、保持手段62、第2ユニット7の第2スライダ70、第3スライダ71は第2の位置にあり、保持手段62の係止部621と第1スライダ60の被係止部606は係止状態にある。ワイヤW3は緩んだ状態にあり、ソレノイド63は非通電状態であって、軸部630は、保持手段62が第1位置から第2位置へ移動することに応じて第1の位置から第2の位置に伸長している。第1コイルスプリング61は伸長状態にある。コイルスプリング66は、
図15に示す状態に比べて縮んでいる。第1スライダ60の突片603が第2スライダ70の面部700の開口703内に位置して開口縁に当接している。第2ユニット7の第3スライダ71の圧迫片73が、ブレーキ解放レバーМLに当接してブレーキ解放レバーМLをブレーキ解放方向に押圧しており、開閉機Мのブレーキ解放レバーМLはブレーキ解放状態にある。
【0080】
[B-4-5]手動閉鎖機構の作動後のブレーキ復帰
自重降下中のシャッターカーテン1が障害物に当たって障害物検知が行われると、ブレーキ復帰用ワイヤ(W1+W2)が引かれることで、ワイヤW1の一端に接続されている第3スライダ71が第2位置から第1位置へ向かうように第1側に引っ張られ、第3スライダ71は、第3スライダ71の第2立ち上がり片712が第2コイルスプリング72を圧縮させながら(この時、第3スライダ71には、第2側へ向かう付勢力が蓄勢される)、第2スライダ(第2位置を維持している)70とは独立して第1位置へ向かってスライド移動し、第3スライダ71の圧迫片713によるブレーキ解放レバーの圧迫が解放され、ブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテンが停止する。
【0081】
図19は、手動閉鎖機構の作動後のブレーキ復帰状態を示す。第3スライダ71が第1位置からさらに第1側にスライド移動した状態にあり、第2スライダ70が第2位置にあり、第2コイルスプリング72が圧縮状態にある。第1ユニット6の各構成要素(第1スライダ60、第1コイルスプリング61、保持手段62等)の位置・姿勢は手動閉鎖機構の作動後の状態と同じである。障害物が取り除かれると、ブレーキ復帰用ワイヤ(ワイヤW1+ワイヤW2)の緊張状態が解放されて、ワイヤW1が緩み、圧縮された第2コイルスプリング72の付勢力で、第3スライダ71が第2側に向かって第2位置へスライド移動し、第3スライダ71の圧迫片713がブレーキ解放レバーを押してブレーキを再び解放して、
図18の状態となり、シャッターカーテン1を再自重降下させる。
【0082】
[B-5]作動した閉鎖装置の復旧
本実施形態に係る操作ボックス10は、手動閉鎖機能に加えて、自動閉鎖機構及び手動閉鎖機構の復旧機能を備えている。操作ボックス10には、手動閉鎖用の非常時閉鎖スイッチ102と、復帰用レバー103が設けてあり、非常時閉鎖スイッチ102の押し操作、及び、復帰用レバー103の手動回動操作は、操作ボックス10の蓋体100が閉鎖された状態で行うことができる。手動閉鎖機構の構成要素であるワイヤW3の一端は、閉鎖装置5の第1ユニット6の保持手段62に連結されており、ワイヤW3の他端は、操作ボックス10内まで延びており、操作ボックス10内には、ワイヤW3の端部(他端)を固定するワイヤ端固定部が設けてある。ワイヤ端部固定部の位置は、ロック手段によって固定可能となっており、ワイヤW3を緊張状態としてワイヤ端固定部をロックすることで、ワイヤW3の緊張状態が維持されるようになっている。ワイヤW3は、また、復旧機構の構成要素でもある。
【0083】
手動操作部の操作部、具体的には、操作ボックス10の非常時閉鎖スイッチ102、復旧用レバー103は、ワイヤW3の他端側に機械的に連結されている。非常閉鎖スイッチ102を押すと、ロック手段によるロックが外れてワイヤ端固定部が所定距離上動して緊張状態にあるワイヤW3が緩み、復帰用レバー103がカバー体100の面に対して手前に傾斜状に傾動する(手動閉鎖機構の作動姿勢)。傾斜状の回動レバー103´を手前に下方に回動すると、ワイヤ端固定部がロック位置まで引き下げられてワイヤW3が所定距離引っ張られ、ワイヤW3に張力が加わった状態でワイヤW3の移動がロック手段により規制される。その後、回動レバー103´´を上方へ回動して操作ボックス10内に収めて、セット状態になる。
【0084】
閉鎖装置5の第1ユニット6の第1スライダ60及び第1コイルスプリング61、ワイヤW3は、自動閉鎖機構と手動閉鎖機構に共通する要素であり、復旧用レバー103は、閉鎖装置(自動閉鎖機構、手動閉鎖機構)5の復旧用の共通の操作部であり、復旧用レバー103はワイヤW3を引っ張ることで、作動した閉鎖装置(自動閉鎖機構、手動閉鎖機構)5を復旧させるようになっている。すなわち、本実施形態に係る復旧装置は、1つの復旧装置で自動閉鎖機構の復旧及び手動閉鎖機構の復旧を行うことができる。特許文献1に開示されているような自動閉鎖装置を復旧させる復旧装置が不要であり、復旧装置を含めた閉鎖装置全体の構成要素の部品点数を低減させ、よりシンプルな構成の閉鎖装置を得ることができる。
【0085】
[B-5-1]自動閉鎖機構の復旧
図22上図は定常状態にある閉鎖装置5を示す。第1ユニット6の第1スライダ60、保持手段62、第2ユニット7の第2スライダ70、第3スライダ71は第1の位置にあり、保持手段62の係止部621の係止ローラ6211が第1スライダ60の被係止部606に係止しており、ワイヤW3は緊張状態にあり、ソレノイド63は非通電状態にあり、軸部630は、第1の位置にある。第1コイルスプリング61(
図22上図では図示せず)は圧縮状態にある。
【0086】
この状態から自動閉鎖機構が作動する時には、火災検知信号の入力に基づいてソレノイド63が通電して、軸部630を第1側へ引っ張ることで、保持手段62の係止部621を係止方向と反対側に回動させて、係止部621の係止ローラ6211と第1スライダ60の被係止部606との係止状態が解除され、第1コイルスプリング61が伸長することで、第1スライダ60が第1位置から第2位置へスライド移動し、第1スライダ60の突片603が第1位置から第2位置へ移動することに連動して、第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72が一体で第2位置へスライド移動する。第3スライダ71が第2位置へ移動することで、第3スライダ71の圧迫片713がブレーキ解放レバーを押圧して、ブレーキを解放することで、シャッターカーテン1が自重降下する。
【0087】
図22中央図は、自動閉鎖機構作動後の閉鎖装置5を示している。第1ユニット6の第1スライダ60、第2ユニット7の第2スライダ70、第3スライダ71は第2の位置にあり、保持手段62の係止部621と第1スライダ60の被係止部606の係止状態が解除された状態にある。ワイヤW3は緊張状態にあり、ソレノイド63は瞬時の通電後に非通電状態に戻るが、係止部621の係止ローラ6211が被係止部606に載った状態で当接している。自動閉鎖機構が作動して、第1スライダ60が第1位置から第2位置へスライド移動する時に、ワイヤW3が緊張状態で保持手段62が第1位置を維持しており、コイルスプリング67が第1スライダ60に引っ張られて伸長し、保持手段62には、第1位置から第2位置へスライド移動する方向の付勢力が蓄勢される。
【0088】
図22中央図に示す自動閉鎖機構作動後の状態で手動操作部の第1操作(非常閉鎖スイッチ102の押圧)によって、緊張状態にあるワイヤW3を緩ませると、コイルスプリング67の付勢力によって保持手段62が第2側へ引っ張られることで、第1位置から第2位置へ移動する。
【0089】
この時、保持手段62の係止部621は、係止ローラ6211が第2位置にある第1スライダ60の被係止部606に点接触して載った状態であり、かつ、コイルスプリング66によって係止方向に付勢された状態であり、第1位置の保持手段62が第2位置にスライド移動する時に、係止ローラ6211が被係止部606を乗り越えて被係止部606の第2側に移動し、第1スライダ60の被係止部606に自動的に係止して、第2位置にある第1スライダ60の被係止部606と第2位置にある保持手段62の係止部621の係止ローラ6211が係止状態となる。この状態を
図22下図に示す。
図22下図に示す状態は、手動閉鎖機構作動後の状態(
図18)と同じである。
【0090】
この状態で、手動操作部の第2操作(復旧用レバー103)の回動操作により、ワイヤW3を他端側に引っ張ることで、第2位置にある第1スライダ60及び保持手段62を、係止状態が維持された状態で一体で第1側に向かって第1位置に移動させて
図22上図の状態とし、再びワイヤW3を緊張状態としてワイヤW3の他端側をロックして固定することで、作動した自動閉鎖機構を復旧させる。
【0091】
復旧用レバー103の回動によって、ワイヤW3を引っ張る時に、係止部621の係止ローラ6211と第1スライダ60の被係止部606との係止部には大きな力が作用するが、コイルスプリング66によって、係止部621は係止姿勢が維持された状態で第2位置から第1位置へ安定してスライド移動することができる。復旧用レバー103によってワイヤW3を引っ張り切った時点に最も大きな力が係止部に作用すると考えられるが、本実施形態では、第1スライダ60及び保持手段62が第1位置になる時にコイルスプリング66が最も伸長した状態となり、この時、コイルスプリング66が、連結片625を介して、係止部621の回動支点(軸部6212)から離間した部位を第2側に引っ張ることで、コイルスプリング66により保持手段62の係止部621を係止方向に付勢させる力(係止状態を維持する力)が最も大きくなって、係止状態が外れることがないようになっている。
【0092】
[B-5-2]手動閉鎖機構の復旧
作動した手動閉鎖機構の復旧は、手動操作部の第2操作により、ワイヤW1を他端側に引っ張ることで、第2位置にある第1スライダ60及び保持手段62を第1位置に移動させ、ワイヤW1を緊張状態とすることで、手動閉鎖機構を復旧させる。
【0093】
[B-6]電動降下時の作動部の動き
図21を参照しつつ、電動降下時の障害物検知について説明する。
図21上図は、電動開閉時の閉鎖装置5を示す。閉鎖装置5の第1ユニット6の各構成要素、第2ユニット7の各構成要素は定常状態にある。具体的には、第1ユニット6の第1スライダ60、保持手段62、第2ユニット7の第2スライダ70、第3スライダ71は第1の位置にあり、保持手段62の係止部621が第1スライダ60の被係止部606に係止しており、ワイヤW3は緊張状態にあり、ソレノイド63は非通電状態にあり、軸部630は、第1の位置にある。第1コイルスプリング61(
図21では図示せず)は圧縮状態にある。第1スライダ60の突片603が第2スライダ70の面部700の開口703内に位置している。操作ボックス10の開閉操作スイッチ101から開閉操作によって、制御部(障害物検知用制御盤11A、シャッター制御盤11B)を介して開閉機Мの出力軸を回転させることで、巻取シャフトを正逆回転させて、シャッターカーテン1を昇降させるようになっている。第2ユニット7の第1マイクロスイッチSW1が、第2スライダ70が定常位置(第1位置)にあることを検知することで、シャッターが電動開閉モードであることを判定する。
【0094】
シャッターカーテン1の電動降下時に、シャッターカーテン1の下端の座板3が障害物に当接すると、ロック装置9によってブレーキ復帰用ワイヤ(W1+W2)の引き出しが規制され、ワイヤW1によって、第3スライダ71が第2側へ引っ張られることで、第2コイルスプリング72を圧縮しながら第3スライダ71が定常位置から第2側へ移動し、この第3スライダ71の動きを第2マイクロスイッチSW2が検知することで、障害物検知信号が障害物検知用制御盤11Aに送信される。障害物検知用制御盤11Aに障害物検知信号の入力があると、シャッター制御盤11Bを介して開閉機Мの電動降下を停止させる(1つの形態では、停止後一旦上昇させた後停止、すなわちタッチアップさせる)。障害物が取り除かれると、ブレーキ復帰用ワイヤ(W1+W2)の引っ張り力が無くなり、圧縮した第2コイルスプリング72が伸長して、第2スライダ71が定常位置に復帰して、障害物検知信号の入力が解除され、電動開閉操作が可能となる。
【0095】
[C]制御部
本発明に係る機械式危害防止装置付き電動シャッターにおいて、電動開閉モード(通常モード)と自重降下モード(火災モード)で異なる制御が行われる。通常の電動開閉時には、シャッターカーテン1の動作制御は通常モードで行われる。火災検知信号の入力に基づく自動閉鎖機構の作動または手動閉鎖操作の作動による自重降下時には、制御モードが通常モードから自重降下モードに変わり、シャッターカーテン1の動作制御は自重降下モードで行われる。本実施形態では、制御部は、障害物検知用制御盤11Aと、シャッター制御盤11Bと、からなる。以下、詳細に説明する。
【0096】
[C-1]電動開閉モード
通常モードでは開閉操作スイッチ101の押しボタン操作でシャッターカーテン1の電動開閉が行われる。より具体的には、開口部全閉状態あるいは半開状態で開放スイッチUを押すと、障害物検知用制御盤11Aを介してシャッター制御盤11Bに信号が送信され、開閉機Мが作動して巻取シャフトを第1の方向に回転させてシャッターカーテン1を巻取りながら上昇させる。シャッターカーテン1の上昇時に、ワイヤW2はロック装置9の巻取ドラムに巻き取られていく。シャッターカーテン1が予め設定された上限位置まで上昇すると上限リミットスイッチが作動して開閉機Мの作動が停止し、巻取シャフトの回転が停止してシャッターカーテン1の巻き取りが停止する。
【0097】
開口部全開状態あるいは半開状態で閉鎖スイッチDを押すと、障害物検知用制御盤11Aを介してシャッター制御盤11Bに信号が送信され、開閉機Мが作動して巻取シャフトを第2の方向に回転させてシャッターカーテン1を降下させる。シャッターカーテン1の下降時に、ワイヤW2は、シャッターカーテン1の面部に沿って延びながら巻取ドラムから引き出されていく。下降中のシャッターカーテン1の下端の下座板31が障害物に当たると、下座板31が上座板30に対して相対的に上動し、ロック装置9によってワイヤW2の引き出しが規制され、上座板30が下座板31に対して下動することで、引き出しが規制されたワイヤW2が引かれ、中継装置8を介してワイヤW1が引かれて、第3スライダ71が定常位置から第1側(図では右側)へ移動して第2マイクロスイッチSW2がOFFからONとなり、障害物検知信号(座板作動信号)が障害物検知用制御盤11Aに送信される。障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤11Aは、シャッター制御盤11Bを介して、開閉機Мの作動を所定時間(例えば1秒間)停止させ、その後開閉機Мを作動させてシャッターカーテン1を所定時間(例えば1.5秒間)反転上昇させた後(タッチアップ)、停止させる。その後、開閉操作スイッチ101の閉鎖スイッチDを押すことで、シャッターカーテン1を電動再降下させることができる。
【0098】
電動降下するシャッターカーテン1の下端の下座板31が着床すると、下座板31が上座板30に対して相対的に上動し、ロック装置9によってワイヤW2の引き出しが規制され、上座板30が下座板31に対して下動することで、引き出しが規制されたワイヤW2が引かれ、中継装置8を介してワイヤW1が引かれて、第3スライダ71が定常位置から第2側(図では右側)へ移動して第2マイクロスイッチSW2がOFFからONとなり、障害物検知信号が障害物検知用制御盤11Aに送信される。障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤11Aは、シャッター制御盤11Bを介して、開閉機Мの作動を停止してシャッターカーテン1の降下を停止させる。
【0099】
[C-2]自重降下モード
防災盤4bからの火災検知信号の入力により自動閉鎖機構が作動すると、第1スライダ70と保持手段62の係止状態が解除され、第1スライダ70が第1位置から第2位置へスライド移動し、第1スライダ60の移動に連動して、第2スライダ70、第3スライダ71が第1位置から第2位置へスライド移動して、ブレーキが解放される。または、非常時閉鎖スイッチ102の押し操作によってワイヤW1の緊張が緩和されると、保持手段62を第1位置に維持する緊張力が解除され、第1スライダ70と保持手段62が一体で第1位置から第2位置へスライド移動し、第1スライダ60の移動に連動して、第2スライダ70、第3スライダ71が第1位置から第2位置へスライド移動して、ブレーキが解放される。第2スライダ70が第1位置から第2位置へスライド移動することで、第1マイクロスイッチSW1がONからOFFとなると、第2ユニット7から障害物検知用制御盤11Aに作動確認信号が連続で出力され、障害物検知用制御盤11Aは作動確認信号を受信することで、電動開閉モード(通常モード)から自重降下モード(火災モード)に変わる。障害物検知用制御盤11Aが自重降下モードとなると、開閉操作スイッチ101の開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチSからの電動開閉操作(電動開閉のための押しボタン操作)が無効化され、シャッターカーテン1が電動開閉中の場合には、シャッターカーテン1の移動が停止され、速やかに自重降下が開始する。
【0100】
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の下座板31が障害物に当たると、下座板31が上座板30に対して相対的に上動し、ロック装置9によってワイヤW2の引き出しが規制され、上座板30が下座板31に対して下動することで、引き出しが規制されたワイヤW2が引かれ、中継装置8を介してワイヤW1が引かれて、ブレーキ解放位置まで移動した第3スライダ71が第1位置へ向かって第2側へ移動して開閉機Мのブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止する。
【0101】
障害物が除去されると、上動した下座板31の下動が可能となり、ワイヤW2の引き出し規制が解除されて、第2コイルスプリング72が伸長して第3スライダ71がブレーキ解放位置に移動して、ブレーキ解放レバーМLによって開閉機Мのブレーキが解放され、シャッターカーテン1は再自重降下する。自重降下中のシャッターカーテン1の下端の下座板31が着床すると、下座板31が上座板30に対して相対的に上動し、ロック装置9によってワイヤW2の引き出しが規制され、上座板30が下座板31に対して下動することで、引き出しが規制されたワイヤW2が引かれ、中継装置8を介してワイヤW1が引かれて、第3スライダ71がブレーキ解放位置から定常位置へ移動し、ブレーキが復帰する。開閉機Мのブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止して全閉状態となる。
【0102】
[D]施工時の作業性が向上された閉鎖装置
本実施形態に係る閉鎖装置5は、第1ユニット6と第2ユニット7を、第1スライダ60、第2スライダ70、第3スライダ71のスライド移動方向に直交する方向に重ねて組み立てることで構成されており、
図3に示すように、第1ユニット6と第2ユニット7は、開閉機Мのブレーキ解放レバーМLの突出方向に重なるように組み立てられている。
【0103】
[D-1]第1ユニットの組立に用いられる螺子
図6に示すように、第1ユニット6の本体64には、第1スライダ60、第1コイルスプリング61、保持手段62、ソレノイド63、スライドシャフト65、マイクロスイッチSWが組み込まれている。第1ユニット6は、自動閉鎖機構を備えており、自動閉鎖機構は、第1スライダ60と係止状態となって第1位置に保持する保持手段62と、火災検知信号に基づく通電により作動して第1位置にある第1スライダ60と保持手段の係止状態を解除するソレノイド63と、を備えている。保持手段62には、手動閉鎖用ワイヤであるワイヤW3の一端が連結され、ワイヤW3の他端側は手動閉鎖機構の復帰用レバー103(
図1,
図5参照)に連結されるようになっている。アウターワイヤW3´の一端側は、第1ユニット6の本体64に連結されるようになっている。
【0104】
図23、
図25に示すように、スライドシャフト65の長さ方向端部は、本体64の第1側壁641、第2側壁642に螺子S1を用いて固定されており、第1側壁641、第2側壁642の外面には、螺子S1の頭部が露出している。第1ユニット6の本体64の第1側壁641の外面には、一対の第1部分680と、第2部分681と、から側面視L形状の取付片68が第2部分681を介して螺子S2を用いて固定されており、螺子S2の頭部が露出している。取付片68の一対の第1部分680間には、第1部分680と平行状に延びる一対の第3部分682が形成されている。第1ユニット6の本体64の第1側壁641の外面には、保持手段62のソレノイド63を支持する板状部材を取り付けるための螺子S3の頭部が露出している。本体64の底壁640には、当接立ち上がり片643を形成するL形状の部材が、螺子S4を用いて固定されており、底壁640の外面には、螺子S4の頭部が露出している。第1ユニット6の本体64の底壁640の外面には、保持手段62のガイドプレート622を取り付ける螺子623、624の頭部が露出している。
【0105】
図25に示すように、ワイヤW3は、保持手段62のベース620に形成された開口6206の第1側の縁部に当該ワイヤW3の一端側の端部が係止された状態で、ベース620と押さえ板690の間にワイヤW3を挟んで、2本の螺子69を締めて固定するようになっている。本実施形態に係る押さえ板690は一方の螺子69の軸部を挿通させた状態で回動可能となっており、係止凹部691に他方の螺子69の軸部を受け入れるようになっている。ワイヤW3は、アウターワイヤW3´内を挿通しており、アウターワイヤW3´は、一対の第3部分682の間に位置させた状態で、押さえ板690´でアウターワイヤW3´を挟み込んで、2本の螺子69´を締めて本体64に固定するようになっている。
【0106】
上述のように、第1ユニット6は、複数の要素を複数本の螺子を用いて組み立てることで構成されているが、第1ユニット6の本体64の外部に露出している複数本の螺子(S1、S2、S3、S4、69、69´、623、624)は、現場における第1ユニット6の施工時に使用される第1グループ(螺子69、69´)と、施工時に使用されない第2グループ(螺子S1、S2、S3、S4、623、624)と、からなる。
【0107】
図23、
図25に示すように、第1グループに属する螺子69、69´は、黒色であり、一方、第2グループに属する螺子S1、S2、S3、S4、623、624は、金属色(シルバー)であり、本体64や第1スライダ60の金属色(シルバー)と同じである。第1グループに属する複数本の螺子69、69´と、第2グループに属する複数本の螺子S1、S2、S3、S4、623、624は、螺子の色を異ならしめることによって、視覚的に識別可能となっている。
【0108】
[D-2]第2ユニットの組立に用いられる螺子
図11、
図21に示すように、第2ユニット7の本体73には、第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72、スライドシャフト74、第1マイクロスイッチSW1、第2マイクロスイッチSW2が組み込まれている。第2ユニット7の第3スライダ71には、ワイヤW1(ワイヤW2と共にブレーキ復帰用ワイヤを構成する)の一端側が連結されるようになっている。ワイヤW1の他端側は中継装置8に連結されるようになっている(
図1参照)。アウターワイヤW1の一端側は、第2ユニット7の本体73に連結されるようになっている。
【0109】
図24、
図26に示すように、スライドシャフト74の長さ方向端部は、本体73の第1側壁731、第2側壁732に螺子S1を用いて固定されており、第1側壁731、第2側壁732の外面には、螺子S1の頭部が露出している。
【0110】
図26に示すように、ワイヤW1は、第3スライダ71の一対の折り曲げ片714の間に当該ワイヤW1の一端側の端部が係止された状態で、折り曲げ片714と押さえ板770の間にワイヤW1の端部を挟んで、2本の螺子77を締めて固定するようになっている。本実施形態に係る押さえ板770は一方の螺子77の軸部を挿通させた状態で回動可能となっており、係止凹部771に他方の螺子77の軸部を受け入れるようになっている。ワイヤW1は、アウターワイヤW1´内を挿通しており、アウターワイヤW1´は、一対の中央折り曲げ片7311の間に、アウターワイヤW1´の一端側を位置させた状態で、押さえ板780でアウターワイヤW1´を挟み込んで、2本の螺子78を締めて本体73に固定するようになっている。
【0111】
第2ユニット7の第2側壁732には、螺子76が設けてある。螺子76は六角状の頭部760と、軸部761と、からなり、軸部761は、第2スライダ70のスライド移動方向に延びており、軸部761の先端が、第2スライダ70の面部700の第2側の突状部700´の先端縁に当接可能となっている(
図26参照)。
【0112】
上述のように、第2ユニット7は、複数の要素を複数本の螺子を用いて組み立てることで構成されているが、第2ユニット7の本体73の外部に露出している複数本の螺子(S1、76、77、78)は、現場における第1ユニット6の施工時に使用される第1グループ(螺子76、77、78)と、施工時に使用されない第2グループ(螺子S1)と、からなる。
【0113】
第1グループに属する螺子76、77、78は、黒色であり、第2グループに属する螺子S1は、金属色(シルバー)であり、本体64や第2スライダ70、第3スライダ71の金属色(シルバー)と同じである。第1グループに属する複数本の螺子76、77、78と、第2グループに属する複数本の螺子は、螺子の色を異ならしめることによって、視覚的に識別可能となっている。
【0114】
第1グループに属する螺子76、77、78は、さらに、第1の方向(第1スライダ70、第2スライダ71のスライド移動方向に直交する方向)に螺入する第1サブグループに属する螺子77、78と、第1の方向に直交する第2の方向(第1スライダ70、第2スライダ71のスライド移動方向)に螺入(螺進・螺退)する第2サブグループに属する螺子76と、に分けられる。本実施形態では、第1サブグループに属する螺子77、78は頭部が丸い螺子であり、第2サブグループに属する螺子76は頭部が六角形状の螺子であり、第1サブグループの螺子と第2サブグループの螺子の形状を異ならしめることによって、視覚的に識別可能である。
【0115】
[D-3]第1ユニットと第2ユニットの組立に用いられる螺子
第1ユニット6と第2ユニット7は、箱状の本体64と箱状の本体73を重ねるように連結することで組み立てられる。1つの態様では、
図28に示すように、最初に、第2ユニット7が開閉機Мの下面に取り付けられ、開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7に対して第1ユニット6が取り付けられる。
【0116】
第2ユニット7の本体73の第1側壁731の幅方向両側に形成された折り曲げ片7310には、それぞれ螺子孔7312が形成されており(
図26参照)、各螺子孔7312に螺子79を予め仮固定しておく(
図28参照)。第1ユニット6の取付片68の一対の第1部分680の夫々には、螺子79の軸部を受け入れ可能な係止溝683が形成されている(
図25参照)。開閉機Мに第2ユニット7が取り付けられた状態で、第1ユニット6の係止溝683を、螺子79に係止させることで、第1ユニット6の一端側を、第2ユニット7から支持させて預けることができる。本実施形態に係る螺子79は黒色の螺子である。
【0117】
第1ユニット6の本体64の底壁640の他端側の角部には、孔(螺子孔でも挿通孔でもよい)6404が形成されており(
図25参照)、第2ユニット7の本体73の第2側壁732の幅方向両側に形成された折り曲げ片7320には、螺子孔7321が形成されている(
図26参照)。第1ユニット6の先端側の係止溝683を第2ユニット7の螺子79に係止させた状態で、先端側を支点として、第1ユニット6の基端側を上方に回動させ、第1ユニット6の本体64の底壁640に形成された孔6404を、第2ユニット7の折り曲げ片7320に形成された螺子孔7321に一致させて、下側から螺子79´で固定する(
図27参照)。本実施形態に係る螺子79´は黒色の螺子である。
【0118】
[D-3]現場における第1ユニット、第2ユニットの施工
第1ユニット6と第2ユニット7は、現場における所定の施工を経て防火シャッターの閉鎖装置を構成する。第1ユニット6は、スライドシャフト65上で移動可能な第1スライダ60と、第1スライダ60を第1方向へ付勢する第1コイルスプリング61と、を備え、火災時には、自動閉鎖機構の作動によって、第1スライダ60が第1位置から第2位置へ向かって第1方向に移動するようになっている。
図6に示すように、第1ユニット6において、第1スライダ60と、第1スライダ60と係止状態にある保持手段62と、からスライダユニット(第1スライダユニット)が形成されており、スライダユニットを形成する保持手段62にはワイヤW3が連結可能となっており、手動閉鎖機構の非常閉鎖スイッチ102によって緊張状態にあるワイヤW3を緩めることで、第1コイルスプリング61の付勢力を用いて当該スライダユニットを第1位置から第2位置へ向かって第1方向に移動させるようになっている。
【0119】
第2ユニット7は、スライドシャフト74上で移動可能なスライダユニット(第2スライダユニット)を備えており、このスライダユニットは、第1スライダ60の移動に連動して移動可能な第2スライダ70と、第2スライダ70との間に第2コイルスプリング72を備え、第2スライダ70の第1位置から第2位置への第1方向への移動時に第2コイルスプリング72を介して第2スライダ70と一体で移動して開閉機Мのブレーキを解放し、第2コイルスプリング72を圧縮することで第2スライダ70とは独立して第1位置へ向かって第2方向へ移動して開閉機Мのブレーキを復帰させる第3スライダ71と、を備えている。スライダユニットの第3スライダ71には、障害物検知時に第3スライダ71を第2方向へ引っ張るブレーキ復帰用ワイヤを構成するワイヤW1が連結可能となっている。
【0120】
第1ユニット6と第2ユニット7は、第1スライダ60と第2スライダ70を連動させる連動手段を備えている。本実施形態では、第1スライダ60は、第2ユニットに向かって延びる突片603を備え、第2スライダ70は、第1スライダ60の突片603を受け入れる開口703を備え、開口703内に突片603が位置して、開口703の縁に当接可能となっており、突片603と開口703から連動手段が構成されている。
【0121】
図29上図に示すように、第2スライダ70と、第3スライダ71と、第2コイルスプリング72と、からなるスライダユニットは、フリーな状態では、スライドシャフト74上で左右方向(第1方向、第2方向)へスライド可能となっている。
【0122】
図29中央図に示すように、第2スライダ70と、第3スライダ71と、第2コイルスプリング72と、からなるスライダユニットは、第1方向への移動を規制する第1移動規制手段としての螺子76と、第2方向への移動を規制する第2移動規制手段としてのスペーサ75と、によって、第1方向及び第2方向への移動が規制されることで第1位置が決定される。
【0123】
図33に示すように、スペーサ75は、平面視長方形状の面部750と、面部750の長手方向両端から対向状に垂直に立ち上がる一対の側面部751と、からなる。側面部751の一方の側縁は垂直縁752を含み、他方の側縁は、面部750に近い側の第1垂直縁753と、面部750から遠い側の第2垂直縁754と、第1垂直縁753と第2垂直縁754間で延びる水平縁755と、を含み、垂直縁752と第1垂直縁753の間の最短距離d1は、底面部750の短手方向の幅寸法と同じであり、垂直縁752と第2垂直縁754の間の最短距離d2は、d1よりも短い。本実施形態では、1種類のスペーサ75を用意することで、2つの距離d1、d2が設定可能となっている。スペーサ75が距離d2を設定する場合には、スペーサ75´として表示するようにしている(
図31下図参照)。
【0124】
螺子76は、第2ユニット7の本体73の第2側壁732に螺入されており、頭部76が第2側壁732の外面に当接した最も深い螺入姿勢において、軸部761の先端が、第2スライダ70の突状部700´の先端縁に当接することで、第2スライダ70の第1位置を決定し、この状態から第2スライダ70が第1方向へ移動することが規制されている。第2ユニット7の取付時や第2ユニット7に対する第1ユニット6の取付時において、第1位置にあるスライダユニット(第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72)が第1方向に所定距離移動すると、第3スライダ71の圧迫片713が、ブレーキ解放レバーМLを押圧して、取付作業中に、誤って開閉機Мのブレーキが解放されて、シャッターカーテン1が自重降下を開始してしまうおそれがある。本実施形態では、螺子76の軸部761(スライダユニットの移動方向に延びる)の先端が、第2スライダ70の突状部700´の先端縁に当接することで、第1位置にあるスライダユニットが第1方向へ移動することが規制されている。
【0125】
図29中央図に示すように、スペーサ75は、第3スライダ71の第1立ち上がり片711の外面と、本体73の第1側壁731の内面の間に挟まるように位置しており、この状態から第3スライダ71が第2方向へ移動することが規制されている。
図29中央図と
図31上図は実質的に同じ図であり、
図31上図に示すように、スペーサ75の垂直縁752が第3スライダ71の第1立ち上がり片711の外面に当接し、スペーサ75の垂直縁753が本体73の第1側壁731の内面に当接することで、第2スライダ70と、第3スライダ71と、第2コイルスプリング72と、からなるスライダユニットの第1位置を決定し、この状態から第2方向への移動が規制されている。
【0126】
上述のように、螺子76とスペーサ75を用いて、第2スライダ70と、第3スライダ71と、第2コイルスプリング72と、からなるスライダユニットの第1方向及び第2方向への移動を規制することで、スライダユニットの第1位置が決定される。スライダユニットが第1位置にある時に、第3スライダ71の第1位置が決定され、ワイヤW1が接続される第3スライダ71の位置決めが行われる。
図29下図に示すように、螺子76とスペーサ75からなる位置決め手段により位置決めされた第3スライダ71に、ワイヤW1を連結することで、ワイヤW1が適正位置にセットされるように設計されている。
【0127】
ワイヤW1の取り付けについて、より具体的に説明する。
図26に示すように、ワイヤW1の一端側の長さ方向に直交する方向に延びる第1姿勢にある押さえ板770を、一方の螺子77の軸部を回動支点として回動させて、取り付けられるワイヤW1の一端側の長さ方向に延びる第2姿勢とし、第3スライダ71の一対の折り曲げ片714の間にワイヤW1の一端側の端部を係止させて係止状態とし、押さえ板770を回動させて第1姿勢として、係止凹部771に他方の螺子77の軸部を受け入れ、2本の螺子77を締めることで、ワイヤW1の一端側の端部を第3スライダ71に固定する。
【0128】
ワイヤW1は、アウターワイヤW1´内を挿通しており、アウターワイヤW1´は、一対の中央折り曲げ片7311の間に、アウターワイヤW1´の一端側を位置させた状態で、押さえ板780でアウターワイヤW1´を挟み込んで、2本の螺子78を締めて固定する。
【0129】
本実施形態において、螺子77、78は黒色であり、他の複数本の螺子S1を含む第2ユニット7の他の部位(本体73、第2スライダ70、第3スライダ71等)に対して、色で識別可能となっており、作業時に、使用する螺子77、78及びその位置を容易に認識可能となっている。したがって、予め黒色螺子が取付時に使用される螺子であることを告知しておくことで、迷うことなく使用する螺子77、78を認識して、これにアクセスすることができ、また、誤って他の螺子S1を緩めたり、取り外してしまったりするようなことを防止する。なお、第2ユニット7が現場に搬入された状態において、螺子77、78が締められた状態にある時には、ワイヤW1、アウターワイヤW1´の連結作業に先立って、螺子77、78を緩める必要があることが当業者に理解される。
【0130】
スペーサ75は、ワイヤW1が適正位置にセットされた後に取り外される。1つの態様では、
図30上図に示すように、螺子76を少し緩めて、第2スライダ70と、第3スライダ71と、第2コイルスプリング72と、からなるスライダユニットの第1方向への移動を許容することで、第3スライダ71の第1立ち上がり片711の外面と、本体73の第1側壁731の内面との間の距離がd1よりも大きくなって、スペーサ75を容易に取り外すことができる。
図30下図に示すように、スペーサ75を取り外した後は、螺子76を再び締め込んで、螺子76の軸部761の先端を、第2スライダ70の突状部700´の先端縁に当接させることで、作業時(第2ユニット7に対する第1ユニット6の取付時等)に、第1位置にある第2スライダ70が第1方向へ移動することが規制する。
【0131】
第1ユニット6において、第1スライダ60と、第1スライダ60と係止状態にある保持手段62と、からなるスライダユニットは、第1コイルスプリング61によって第1方向へ移動するように付勢されているが、スライダユニットは、ワイヤW3が保持手段62に接続される前に、第3移動規制手段としてのスペーサ75´によって、第1方向への移動が規制された仮固定位置にセットされる。
【0132】
図31下図は、第1スライダ60と、第1スライダ60と係止状態にある保持手段62と、からなるスライダユニットが仮固定位置にセットされた状態を示し、スペーサ75´の垂直縁752が第1ユニット6の本体64の第2側壁642の内面に当接し、スペーサ75´の垂直縁754が第1スライダ60の面部600の端縁600´に当接することで、第1スライダ60の第1方向への移動が規制されている。第1スライダ60は、第1コイルスプリング61の一端側が第2立ち上がり片602の内面に当接することによって第1方向へ付勢されており、第1コイルスプリング61の他端側は、不動部材である当接立ち上がり片643に当接しているので、第1コイルスプリング61を強い力で圧縮しない限り、第1スライダ60と、第1スライダ60と係止状態にある保持手段62と、からなるスライダユニットが第2方向へ移動することは規制され、仮固定位置が維持される。
【0133】
図31上図において、第2ユニット7の第2スライダ70は第1位置にあり、下図において、第1ユニット6の第1スライダ60は仮固定位置にあり、この状態において、第1スライダ60の突片603と第2スライダ70の開口703は位置合わせされており、第2ユニット7に対して第1ユニット6を重ねるように取り付ける際に、第2ユニット7の第1スライダ7の開口703に、第1ユニット6の第1スライダ6の突片603が挿入されて連動手段を構成するようになっている。すなわち、移動規制手段としての螺子76、スペーサ75、スペーサ75´は、連動手段の位置合わせ手段として機能するようになっている。すなわち、螺子76、スペーサ75、スペーサ75´は、位置合わせ兼移動規制手段である。
【0134】
図32を参照して、第1ユニット6におけるワイヤW3の連結について説明する。第1スライダ60と、第1スライダ60と係止状態にある保持手段62と、からなるスライダユニットが仮固定位置にある時に、保持手段62にワイヤW3の一端側を固定する。
図25に示すように、ワイヤW3の一端側の長さ方向に直交する方向に延びる第1姿勢にある押さえ板690を、一方の螺子69の軸部を回動支点として回動させて、取り付けられるワイヤW3の一端側の長さ方向に延びる第2姿勢とし、保持手段62のベース620に形成された開口6206の第1側の縁部にワイヤW3の一端側の端部が係止させて係止状態とし、押さえ板690を回動させて第1姿勢として、係止凹部691に他方の螺子69の軸部を受け入れ、2本の螺子69を締めることで、ワイヤW3の一端側の端部を保持手段62に固定する。
【0135】
ワイヤW3は、アウターワイヤW3´内を挿通しており、アウターワイヤW3´は、一対の第3部分682の間に位置させた状態で、押さえ板690´でアウターワイヤW3´を挟み込んで、2本の螺子69´を締めて固定する。
【0136】
本実施形態において、螺子69、69´は黒色であり、他の複数本の螺子S1、S2、S3、S4、623、624を含む第1ユニット6の他の部位(本体64、スライダ60等)に対して、色で識別可能となっており、作業時に、使用する螺子69、69´及びその位置を容易に認識可能となっている。したがって、予め黒色螺子が取付時に使用される螺子であることを告知しておくことで、迷うことなく使用する螺子69、69´を認識して、これにアクセスすることができ、また、誤って他の螺子S1、S2、S3、S4、623、624を緩めたり、取り外してしまったりするようなことを防止する。なお、第1ユニット6が現場に搬入された状態において、螺子69、69´が締められた状態にある時には、ワイヤW3、アウターワイヤW3´の連結作業に先立って、螺子69、69´を緩める必要があることが当業者に理解される。
【0137】
ワイヤW3の他端側は、操作ボックス10に設けた手動閉鎖機構の復旧用レバー103と連結される。この時、復旧用レバー103はカバー体100の面に対して手前に傾斜状に傾動した状態にあり、さらに、復旧用レバー103´を手前に下方に回動すると、ワイヤ端固定部がロック位置まで引き下げられてワイヤW3が所定距離引っ張られ、ワイヤW3に張力が加わった状態でワイヤW3の移動がロック手段により規制される(
図5参照)。
図32上図の状態において、ワイヤW3の他端側が引かれることで、仮固定位置にあるスライダユニット(第1スライダ60、保持手段62)は、ワイヤW3を介して第2方向に僅かに引かれれて、第1位置に位置決めされる(
図32下図参照)。この時、ワイヤW3は適正位置にセットされる。
【0138】
スペーサ75´は、手動閉鎖機構のセット時に自動的に取り外される。具体的には、仮固定位置にある第1スライダ60が第2方向へ移動することで、第1スライダ60の第2立ち上がり片602の外面と、本体64の第2側壁642の内面との間の距離がd2よりも大きくなって、スペーサ75´が自動的に脱落するようになっている。
【0139】
本実施形態では、異なる距離d1、d2を1種類の部材によって規定することで、部材を共通化して部品点数を減らしているが、2種類のスペーサを用意してもよい。また、スペーサの形状は図示の形状に限定されるものではなく、例えば、ブロックであってもよく、あるいは、軸部材(典型的には螺子)であってもよい。
【0140】
図34、
図35を参照しつつ、第1ユニット6と第2ユニット7からなる閉鎖装置の取付工程について説明する。1つの態様では、第1ユニット6、第2ユニット7は、工場でプレセットされ、かつ、重箱状に仮連結された状態(さらに、図示しない断面視コ字形状のカバーが、第1ユニット6と第2ユニット7の3面の開放部位を覆うよう取り付けられた状態)で、現場に搬入される。この場合、現場で、カバーを取り外し、さらに、黒色の螺子79、79´を取り外すことで、第1ユニット6と第2ユニット7に分解する。
【0141】
図34を参照しつつ、第2ユニット7の取付について説明する。第2ユニット7はプレセットされた状態で、開閉機Мに取り付けられる。第2ユニット7において、第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72からなるスライダユニットは、第1移動規制手段としての螺子76の軸部761の先端が第2スライダ70の突状部700´の先端縁に当接し、第2スライダ71の第1立ち上がり片711と本体73の第1側壁731との間に第2移動規制手段としてのスペーサ75を設けることによって、第1位置に位置決めされたプレセット状態にある。プレセットされた第2ユニット7を開閉機Мの所定位置に取り付けた時に、第2ユニット7の第3スライダ71の圧迫片713は、ブレーキ解放レバーМLに対して適正位置にセットされる。
【0142】
開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7に対して、ワイヤW1、アウターワイヤW1´を取り付ける。ワイヤW1の一端側は、黒色螺子77を用いて、第1位置にある第3スライダ71に連結され、ワイヤW1の他端側は、中継装置8に連結される。アウターワイヤW1´の一端側は、黒色螺子78を用いて、第2ユニット7の本体73に連結される。
【0143】
第1位置にある第3スライダ71に対してワイヤW1が位置決め固定された後に、螺子76を少し緩めて、スペーサ75を取り外す。その後、螺子76を締め戻して、第1位置にある第2スライダ70の第1方向への移動を規制する。開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7に対して第1ユニット6が取り付けられる。
【0144】
開閉機Мに対する第2ユニット7の取付時において、螺子76によって、第1位置にあるスライダユニット(第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72)が第1方向に移動することが規制されているので、誤って第3スライダ71の圧迫片713が、ブレーキ解放レバーМLを押圧して、開閉機Мのブレーキが解放されて、シャッターカーテン1が自重降下を開始してしまうことが防止される。開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7に対する第1ユニット6の取付時において、螺子76によって、第1位置にあるスライダユニット(第2スライダ70、第3スライダ71、第2コイルスプリング72)が第1方向に移動することが規制されているので、誤って第3スライダ71の圧迫片713が、ブレーキ解放レバーМLを押圧して、開閉機Мのブレーキが解放されて、シャッターカーテン1が自重降下を開始してしまうことが防止される。螺子76は六角螺子なので、螺子76の軸部761の長さ方向に直交する方向から六角形状の頭部760を回転させて、螺子76を締緩することが可能であり、開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7の本体73の第2側壁732の外側のスペースが狭い場合であっても、第2側壁732に対する螺子76の締緩が可能である。
【0145】
図35を参照しつつ、第1ユニット6の取付について説明する。第1ユニット6はプレセットされた状態で、開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7に取り付けられる。第1ユニット6おいて、第1スライダ60と、第1スライダ60と係止状態にある保持手段62と、からなるスライダユニットは、第1スライダ60の第2立ち上がり片602と本体64の第2側壁642との間に第3移動規制手段としてのスペーサ75´を設けることによって、仮固定位置に位置決めされたプレセット状態にある。
【0146】
プレセットされた第1ユニット6に対して、ワイヤW3、アウターワイヤW3´を取り付ける。ワイヤW3の一端側は、黒色螺子69を用いて、仮固定位置にあるスライダユニットの保持手段62に連結され、アウターワイヤW3´の一端側は、黒色螺子69´を用いて、第1ユニット6の本体64に連結される。
【0147】
プレセットされ、かつ、ワイヤW3、アウターワイヤW3´の一端側が連結された第1ユニット6を、黒色の螺子79、79´を用いて、開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7に対して取り付ける。この時、第1位置にある第2スライダ70の開口703と、仮固定位置にある第1スライダ6の突片603が位置合わせされており、第1スライダ60の突片603が第2スライダ70の開口703に嵌り込むようになっている。
【0148】
開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7に第1ユニット6が取り付けられた状態で、ワイヤW3の他端側を、復旧用レバー103に連結し、復旧用レバー103を回動して、手動閉鎖装置をセットする。この時、ワイヤW3の他端側が僅かに引っ張られ、第1スライダ60及び保持手段62が仮固定位置から第1位置に移動する。第1スライダ60が仮固定位置から第1位置に移動する時に、スペーサ75´は自動的に脱落するようになっている。第1ユニット6と第2ユニット7からなる閉鎖装置の取付が完了したら、最後に螺子76を第2ユニット7から取り外し、自動閉鎖機構ないし手動閉鎖機構の作動時に、第1位置にあるスライダ(第2スライダ70、第3スライダ71、第1スライダ60)の第1方向への移動を可能とする。本実施形態に係る閉鎖装置5は、第1ユニット6と第2ユニット7を、第1スライダ60、第2スライダ70、第3スライダ71のスライド移動方向に直交する方向に重ねて組み立てることで構成されているが、螺子76は、第1ユニット6と第2ユニット7の積層方向と異なる方向に螺進・螺退する螺子であり、また、頭部760が第2ユニット7の外面に露出していることから、第1ユニット6と第2ユニット7が積層されて開閉機Мに取り付けられた後において、螺子76の頭部760を回して、螺子76を第2ユニット7から取り外すことが可能である。また、螺子76は六角螺子なので、開閉機Мに取り付けられた第2ユニット7の本体73の第2側壁732の外側のスペースが狭い場合であっても、螺子76の軸部761の長さ方向に直交する方向から六角形状の頭部760を回転させて、第2側壁732から螺子76を取り外すことが可能である。
【0149】
[付記]
本明細書には、
第1位置と第2位置との間で移動可能であり、第1バネによって第1位置から第2位置へ向かって付勢されている第1可動体と、
第1位置にある第1可動体を第2位置へ移動させる自動閉鎖機構と、
第1可動体の移動に連動して第1位置と第2位置との間で移動可能である第2可動体と、
第1位置と第2位置との間で移動可能であり、第2可動体との間に第2バネを備え、第2可動体の第1位置から第2位置への移動時に第2バネを介して前記第2可動体と一体で移動して開閉機のブレーキを解放し、第2バネを圧縮することで第2可動体とは独立して第1位置へ向かって移動して開閉機のブレーキを復帰させる第3可動体と、
を備え、
第1可動体と、第1バネと、自動閉鎖機構と、から第1ユニットが形成され、
第2可動体と、第3可動体と、第2バネと、から第2ユニットが形成され、
第1ユニットと第2ユニットは、第1可動体、第2可動体、第3可動体の移動方向に直交する方向に重なるように組み立てられており、
第1可動体と第2可動体を連動させる連動手段を備えている、
防火シャッターの閉鎖装置、が開示されている。
1つの態様では、前記連動手段は、第1可動体の部分と第2可動体の部分が当接することで、前記第1可動体と前記第2可動体が一体で第1位置から第2位置へ、第2位置から第1位置へスライド移動可能となるように構成されている。
1つの態様では、第1可動体は、第2ユニットに向かって延びる突片を備え、
第2可動体は、第1可動体の前記突片を受け入れる開口を備え、前記開口内に前記突片が位置しており、
前記連動手段は、前記突片と前記開口の縁部とからなる。
連動手段は、第1可動体の突片と第2可動体の開口の組み合わせに限定されるものではなく、例えば、第1可動体の開口と第2可動体の突片の組み合わせ、第1可動体の突片ないし突部と第2可動体の突片ないし凸部の組み合わせであってもよい。
1つの態様では、前記第1可動体と第2可動体は、一体で第1位置から第2位置へ、第2位置から第1位置へスライド移動可能であり、
第3可動体には、障害物検知時に当該第3可動体を第1側へ引っ張るブレーキ復帰用ワイヤが連結されており、
前記第2バネは、圧縮バネであり、所定の第1の力が作用した時には圧縮し、第1の力よりも小さい所定の第2の力が作用した時には長さが不変であり、
障害物検知時には、前記第3可動体が第1の力で第1側へ引っ張られることで、前記第2バネが圧縮されて、前記第3可動体が前記第2可動体から独立して第1側に移動し、
自動閉鎖機構の作動時には、前記第2バネの長さは不変であり、前記第2可動体と前記第3可動体が一体で第1位置から第2位置へ移動する。
1つの態様では、前記第1バネは、圧縮バネであり、第1可動体が第1位置にある圧縮状態からの第1復元力と、第1可動体が第2位置にある状態から圧縮を開始させるための第1圧縮力を備え、第1圧縮力は第1復元力よりも小さく、
前記第2バネは、圧縮バネであり、第3可動体が第1位置へ向かって移動した圧縮状態からの第2復元力と、第2可動体、第3可動体と一体で第2位置に移動した時の状態から圧縮を開始させるための第2圧縮力を備え、第2圧縮力は第2復元力よりも小さく、
前記第1圧縮力は、前記第2復元力よりも大きい。
1つの態様では、前記自動閉鎖機構は、
前記第1可動体と係止状態となって第1位置に保持する保持手段と、
火災検知信号に基づく通電により作動して第1位置にある可動体と保持手段の係止状態を解除するソレノイドと、
を備えている。
1つの態様では、前記第1可動体は、面部と、第1側立ち上がり片と、第2側立ち上がり片と、を備え、
前記自動閉鎖機構は、前記面部の幅方向中央に位置しており、前記第1側立ち上がり片と前記第2側立ち上がり片の間には、前記自動閉鎖機構の両側に位置してスライドシャフトが並行状に設けてあり、前記第1バネは、前記自動閉鎖機構の両側に位置して前記スライドシャフトにそれぞれ外装された2本のコイルスプリングである。
1つの態様では、前記第1ユニットには、手動操作で第1可動体を第1位置から第2位置へ移動させる手動閉鎖機構を構成するワイヤが接続されている。
1つの態様では、前記ワイヤの一端が前記保持手段に連結され、他端側には手動操作部が設けてあり、
前記ワイヤは、第1位置にある第1可動体と保持手段が係止状態にある時に緊張状態が保持されており、
前記手動閉鎖機構は、前記第1可動体が保持手段に係止した状態で、前記手動操作部の第1操作によって、該ワイヤの緊張状態を解除して、該ワイヤを緩ませて、前記第1可動体及び前記保持手段を第2位置へ移動させる。
1つの態様では、前記保持手段は、第1位置と第2位置との間でスライド移動可能なベースと前記ベースの先端に回動可能に設けた係止部と、からなり、前記係止部を可動体に係止する方向に付勢する第1付勢手段と、自動閉鎖機構の作動時の前記可動体の移動に応じて、当該保持手段を第1位置から第2位置へ向かって付勢する第2付勢手段と、を備えている。
1つの態様では、前記第1ユニットは、第1可動体、第1バネ、自動閉鎖機構が組み込まれた第1本体を備え、
前記第2ユニットは、第2可動体、第3可動体、第2バネ、が組み込まれた第2本体を備え、
前記第1ユニットと前記第2ユニットは、前記第1本体と前記第2本体を連結することで組み立てられている。
【符号の説明】
【0150】
1 シャッターカーテン
5 閉鎖装置
6 第1ユニット
60 第1スライダ
61 第1コイルスプリング
62 保持手段
63 ソレノイド
69 ワイヤ取付に用いる螺子
69´ アウターワイヤ取付に用いる螺子
7 第2ユニット
70 第2スライダ
71 第3スライダ
72 第2コイルスプリング
75 スペーサ(位置決め手段、移動規制手段)
75´ スペーサ(位置決め手段、移動規制手段)
76 螺子(位置決め手段、移動規制手段)
77 ワイヤ取付に用いる螺子
78 アウターワイヤ取付に用いる螺子
10 操作ボックス
102 非常時閉鎖スイッチ
103 復旧用レバー
W1、W2 ブレーキ復帰用ワイヤ
W3 ワイヤ