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特開2023-34859緊結金具、鋼製部材の緊結構造及び鋼製部材の緊結方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034859
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】緊結金具、鋼製部材の緊結構造及び鋼製部材の緊結方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 5/10 20060101AFI20230306BHJP
   E01F 15/04 20060101ALI20230306BHJP
   E21D 11/14 20060101ALI20230306BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
E21D5/10
E01F15/04 A
E21D11/14
F16B35/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141307
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】大高 範寛
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雄充
【テーマコード(参考)】
2D101
2D155
【Fターム(参考)】
2D101CA06
2D101EA02
2D101FA22
2D101FB12
2D155GB01
2D155GC07
2D155KB04
(57)【要約】
【課題】施工時間を短縮することが可能となり、施工における騒音を低減することが可能となり、緊結力を十分に確保することが可能となる緊結金具を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る緊結金具1は、貫通孔92が形成される鋼製部材同士を緊結するためのものであって、隣接する鋼製部材9-1、9-2に形成される各々の貫通孔92-1、92-2に貫通可能な貫通部2と、貫通部2の一端部側に螺合可能な頭部30と、頭部30と鋼製部材9-2との間に配置されるとともに貫通孔92よりも径大に形成される拡径部31と、を有する第1係止部3と、を備え、貫通部2は、一端部側に頭部30が螺合されるネジ部29と、ネジ部29に対して直交して延びる第2係止部22と、を有し、第2係止部22は、ネジ部29から繋がる第1延伸部23と、ネジ部29の延伸方向に直交する面内方向で第1延伸部23から屈曲して延びる第2延伸部24と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成される鋼製部材同士を緊結するための緊結金具であって、
隣接する鋼製部材に形成される各々の貫通孔に貫通可能な貫通部と、
前記貫通部の一端部側に螺合可能な頭部と、前記頭部と前記鋼製部材との間に配置されるとともに前記貫通孔よりも径大に形成される拡径部と、を有する第1係止部と、を備え、
前記貫通部は、
一端部側に前記頭部が螺合されるネジ部と、
前記ネジ部に対して直交して延びる第2係止部と、を有し、
前記第1係止部と前記第2係止部とは、隣接する前記鋼製部材同士を挟んで緊結するものであり、
前記第2係止部は、前記ネジ部から繋がる第1延伸部と、前記ネジ部の延伸方向に直交する面内方向で前記第1延伸部から屈曲して延びる第2延伸部と、を有すること
を特徴とする緊結金具。
【請求項2】
貫通孔が形成される鋼製部材同士を緊結する鋼製部材の緊結構造であって、
第1貫通孔が形成される第1鋼製部材と、
第2貫通孔が形成される、前記第1鋼製部材に隣接する第2鋼製部材と、
前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材とを緊結するための緊結金具とを備え、
前記緊結金具は、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とに貫通される貫通部と、
前記貫通部の一端部側に設けられる頭部と、前記頭部と前記第1鋼製部材との間に配置されるとともに前記第1貫通孔よりも径大に形成される拡径部と、を有する第1係止部と、を有し、
前記貫通部は、
一端部側に前記頭部が螺合されるネジ部と、
前記ネジ部に対して直交して延びる第2係止部と、を有し、
前記第1係止部と前記第2係止部とは、隣接する前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材を挟んで緊結するものであり、
前記第2係止部は、前記ネジ部から繋がる第1延伸部と、前記ネジ部の延伸方向に直交する面内方向で前記第1延伸部から屈曲して延びる第2延伸部と、を有すること
を特徴とする鋼製部材の緊結構造。
【請求項3】
前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材は、前記貫通孔が形成されるフランジを有するライナープレートであること
を特徴とする請求項2記載の鋼製部材の緊結構造。
【請求項4】
前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材は、コルゲート鋼板であること
を特徴とする請求項2記載の鋼製部材の緊結構造。
【請求項5】
前記第1鋼製部材は、鋼板であり、
前記第2鋼製部材は、筒状に形成される支柱であること
を特徴とする請求項2記載の鋼製部材の緊結構造。
【請求項6】
貫通孔が形成される鋼製部材を緊結する鋼製部材の緊結方法であって、
第1鋼製部材に形成される第1貫通孔と、前記第1鋼製部材に隣接する第2鋼製部材に形成される第2貫通孔とに貫通される貫通部と、
前記貫通部の一端部側に螺合可能な頭部と、前記第1貫通孔よりも径大に形成される拡径部と、を有する第1係止部と、を備え、
前記貫通部は、
一端部側に前記頭部が螺合されるネジ部と、
前記ネジ部に対して直交して延びる第2係止部と、を有し、
前記第2係止部は、前記ネジ部から繋がる第1延伸部と、前記ネジ部の延伸方向に直交する面内方向で前記第1延伸部から屈曲して延びる第2延伸部と、を有する、緊結金具を用いて、
予め前記ネジ部に前記頭部を螺合させておき、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とに、前記第2係止部を貫通させ、前記第1係止部と前記第2係止部との間に、前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材とを配置する貫通工程と、
前記ネジ部に前記頭部を更に螺合させることにより、前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材とを前記第1係止部と前記第2係止部とにより挟んで緊結する緊結工程と、を備えること
を特徴とする鋼製部材の緊結方法。
【請求項7】
複数の前記緊結金具を用いて、各々の前記緊結金具について前記貫通工程を行った後に、各々の前記緊結金具について前記緊結工程を行うこと
を特徴とする請求項6記載の鋼製部材の緊結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊結金具、鋼製部材の緊結構造及び鋼製部材の緊結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ライナープレートやコルゲート鋼板等の鋼製部材が互いに連結されて構造物が構築される。例えば、ライナープレート同士が複数連結されて、深礎杭、集水井、水中仮締切、橋脚等を構築する際の土留めとして用いられる。例えば、コルゲート鋼板同士が複数連結されて、水路として用いられる。
【0003】
ライナープレート等の鋼製部材は、隣接する鋼製部材に順次連結されて、筒状やU字状に構築される。通常、こうした鋼製部材同士を連結する場合、隣接する鋼製部材同士をボルト接合することとなる。しかしながら、ボルト接合の場合には、ボルトを波形鋼板に貫通させた上で、ナットを螺着させる。このため、ボルトにナットを螺着させるのに時間を要し、施工に時間がかかるという問題点がある。
【0004】
従来、ライナープレート同士を連結する作業を簡単に行うことを目的として、特許文献1~2の開示技術が提案されている。
【0005】
特許文献1に開示されたライナープレートの緊結金具は、上下のライナープレートの接触させたそれぞれのフランジの孔に挿入する差し込み部と、接触させた2枚のフランジを挟む挟持部からなることを特徴とする。
【0006】
特許文献2に開示されたライナープレートの仮止め具は、上下のライナープレートの接触させた双方のフランジの孔に挿入する差し込み部と、その2枚のフランジを挿入できる間隔のスリットを設けた挟持部と、差し込み部と挟持部とを接続する接続部とからなり、接続部から挟持部へかけて「く」の字状に折ったことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平3-69093号公報
【特許文献2】実開平2-125095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1、2の開示技術では、挟持部でフランジを挟み込むときやライナープレートから取り外すときには、専用の冶具やハンマー等の打撃手段で叩き込む必要がある。このため、騒音が発生してしまうという問題点があった。また、特許文献1、2の開示技術では、単にフランジ同士を挟んで固定するだけであるため、フランジ同士を固定する力が比較的に低いという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、施工時間を短縮することが可能となり、施工における騒音を低減することが可能となり、緊結力を十分に確保することが可能となる緊結金具、鋼製部材の緊結構造及び鋼製部材の緊結方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る緊結金具は、貫通孔が形成される鋼製部材同士を緊結するための緊結金具であって、隣接する鋼製部材に形成される各々の貫通孔に貫通可能な貫通部と、前記貫通部の一端部側に螺合可能な頭部と、前記頭部と前記鋼製部材との間に配置されるとともに前記貫通孔よりも径大に形成される拡径部と、を有する第1係止部と、を備え、前記貫通部は、一端部側に前記頭部が螺合されるネジ部と、前記ネジ部に対して直交して延びる第2係止部と、を有し、前記第1係止部と前記第2係止部とは、隣接する前記鋼製部材同士を挟んで緊結するものであり、前記第2係止部は、前記ネジ部から繋がる第1延伸部と、前記ネジ部の延伸方向に直交する面内方向で前記第1延伸部から屈曲して延びる第2延伸部と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る鋼製部材の緊結構造は、貫通孔が形成される鋼製部材同士を緊結する鋼製部材の緊結構造であって、第1貫通孔が形成される第1鋼製部材と、第2貫通孔が形成される、前記第1鋼製部材に隣接する第2鋼製部材と、前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材とを緊結するための緊結金具とを備え、前記緊結金具は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とに貫通される貫通部と、前記貫通部の一端部側に設けられる頭部と、前記頭部と前記第1鋼製部材との間に配置されるとともに前記第1貫通孔よりも径大に形成される拡径部と、を有する第1係止部と、を有し、前記貫通部は、一端部側に前記頭部が螺合されるネジ部と、前記ネジ部に対して直交して延びる第2係止部と、を有し、前記第1係止部と前記第2係止部とは、隣接する前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材を挟んで緊結するものであり、前記第2係止部は、前記ネジ部から繋がる第1延伸部と、前記ネジ部の延伸方向に直交する面内方向で前記第1延伸部から屈曲して延びる第2延伸部と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る鋼製部材の緊結方法は、貫通孔が形成される鋼製部材を緊結する鋼製部材の緊結方法であって、第1鋼製部材に形成される第1貫通孔と、前記第1鋼製部材に隣接する第2鋼製部材に形成される第2貫通孔とに貫通される貫通部と、前記貫通部の一端部側に螺合可能な頭部と、前記第1貫通孔よりも径大に形成される拡径部と、を有する第1係止部と、を備え、前記貫通部は、一端部側に前記頭部が螺合されるネジ部と、前記ネジ部に対して直交して延びる第2係止部と、を有し、前記第2係止部は、前記ネジ部から繋がる第1延伸部と、前記ネジ部の延伸方向に直交する面内方向で前記第1延伸部から屈曲して延びる第2延伸部と、を有する、緊結金具を用いて、予め前記ネジ部に前記頭部を螺合させておき、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とに、前記第2係止部を貫通させ、前記第1係止部と前記第2係止部との間に、前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材とを配置する貫通工程と、前記ネジ部に前記頭部を更に螺合させることにより、前記第1鋼製部材と前記第2鋼製部材とを前記第1係止部と前記第2係止部とにより挟んで緊結する緊結工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施工時間を短縮することが可能となり、施工における騒音を低減することが可能となり、緊結力を十分に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態に係る鋼製部材の緊結構造の第1例を示す斜視図である。
図2図2(a)は、第1実施形態に係る鋼製部材の緊結構造の第1例を示す正面図であり、図2(b)は、その側面図である。
図3図3(a)は、第1実施形態に係る緊結金具の第1例を示す側面図であり、図3(b)は、その平面図である。
図4図4(a)は、鋼製部材の緊結方法における貫通工程において貫通部を他端部側から貫通する前の状態を示す正面図であり、図4(b)は、その側面図である。
図5図5(a)は、ライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図5(b)は、ライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。
図6図6(a)は、第1実施形態に係る緊結金具の第2例を示す正面図であり、図6(b)は、その側面図である。
図7図7(a)は、第1実施形態に係る鋼製部材の緊結構造の第2例を示す正面図であり、図7(b)は、その側面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る鋼製部材の緊結構造の一例を示す斜視図である。
図9図9(a)は、第2実施形態に係る鋼製部材の緊結構造の一例を示す正面図であり、図9(b)は、その側面図である。
図10図10(a)は、鋼製部材の緊結方法における貫通工程において貫通部を他端部側から貫通する前の状態を示す正面図であり、図10(b)は、その側面図である。
図11図11(a)は、鋼製部材の緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図11(b)は、鋼製部材の緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。
図12図12は、緊結時にネジ部の軸心が傾く状態を示す正面図である。
図13図13(a)は、第3実施形態の第1例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図13(b)は、第3実施形態の第1例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。
図14図14(a)は、第3実施形態の第2例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図14(b)は、第3実施形態の第2例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。
図15図15(a)は、第4実施形態の第1例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図15(b)は、第4実施形態の第1例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。
図16図16(a)は、第4実施形態の第2例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図16(b)は、第4実施形態の第2例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。
図17図17は、第5実施形態に係る鋼製部材の緊結構造の一例を示す斜視図である。
図18図18(a)は、第5実施形態に係る鋼製部材の緊結構造の一例を示す側面図であり、図18(b)は、その底面図である。
図19図19は、鋼製部材の緊結方法における貫通工程において貫通部を他端部側から貫通する前の状態を示す側面図である。
図20図20(a)は、鋼製部材の緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す側面図であり、図20(b)は、鋼製部材の緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した緊結金具、鋼製部材の緊結構造及び鋼製部材の緊結方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る鋼製部材の緊結構造100の第1例を示す斜視図である。図2(a)は、第1実施形態に係る鋼製部材の緊結構造100の第1例を示す正面図であり、図2(b)は、その側面図である。図3(a)は、第1実施形態に係る緊結金具1の第1例を示す側面図であり、図3(b)は、その平面図である。
【0017】
鋼製部材の緊結構造100では、鋼製部材としてライナープレート9が用いられる。鋼製部材の緊結構造100は、フランジ91に貫通孔92が形成されるライナープレート9同士を緊結するものである。
【0018】
ライナープレート9は、隣接する他のライナープレート9に緊結されて、筒状に構築されるものである。筒状に構築されたライナープレート9は、立坑内や地上等に設けられ、深礎杭、集水井、水中仮締切、橋脚等を構築する際の土留め等として用いられる。
【0019】
ライナープレート9は、上下方向に波形に形成される波形鋼板と、波形鋼板の上端、下端及び両側端にそれぞれフランジ91を有する。フランジ91には、貫通孔92が形成される。
【0020】
ライナープレート9は、波形鋼板の上端及び下端のフランジ91を周方向フランジとし、波形鋼板の両側端のフランジ91を軸方向フランジとしたとき、鋼製部材の緊結構造100は、上下方向に隣接するライナープレート同士を緊結するものとして、周方向フランジ同士が緊結されるものであってもよい。また、鋼製部材の緊結構造100は、側方向に隣接するライナープレート同士を緊結するものとして、軸方向フランジ同士が緊結されるものであってもよい。
【0021】
鋼製部材の緊結構造100は、第1ライナープレート9-1と、第2ライナープレート9-2と、緊結金具1とを備える。
【0022】
第1ライナープレート9-1は、第1貫通孔92-1が形成される第1フランジ91-1を有する。第2ライナープレート9-2は、第1ライナープレート9-1に隣接するものであって、第2貫通孔92-2が形成される第2フランジ91-2を有する。
【0023】
緊結金具1は、第1ライナープレート9-1と第2ライナープレート9-2とを緊結するためのものである。緊結金具1は、貫通部2と、第1係止部3とを備える。
【0024】
貫通部2は、円柱状等に形成される鋼製等の棒状の部材が用いられる。貫通部2は、第1貫通孔92-1と、第2貫通孔92-2とに貫通される。貫通部2は、一端部2a側に第1係止部3が螺合されて設けられる。
【0025】
貫通部2は、棒状の部材が少なくとも複数回屈曲されて形成される。貫通部2は、一端部2a側に第1係止部3が螺合されるネジ部29と、ネジ部29に対して直交して延びる第2係止部22と、を有する。ネジ部29は、円柱状に形成された外面に第1係止部3が螺合可能なネジ山又はネジ溝が形成されるものである。貫通部2は、例えば折り曲げられて形成されてもよい。貫通部2は、鍛造、鋳物等により形成されてもよい。貫通部2は、3つの棒状の部材が溶接等により接合されて形成されてもよい。ここで、直交とは、厳密な90°ではなく、例えば±3°程度の製造上の誤差を含む。
【0026】
貫通部2は、ネジ部29と第2係止部22とを繋ぐ角部が湾曲して形成されて、ネジ部29と第2係止部22とが直交して配置される。ネジ部29と第2係止部22とに沿う仮想的な面を第1曲がり面L1とする。後述する第1延伸部23と第2延伸部24とに沿う仮想的な面を第2曲がり面L2とする。
【0027】
貫通部2は、貫通部2の他端部2b側に第2係止部22を有する。第2係止部22は、第2フランジ91-2に平行に形成される。第2係止部22は、例えば、円柱状に形成されるが、四角柱、六角形柱等の角柱状等に形成されてもよい。
【0028】
第2係止部22は、ネジ部29に対して直交して延び、L字状に形成される。第2係止部22は、ネジ部29に繋がる第1延伸部23と、ネジ部29の延伸方向に直交する面内方向で第1延伸部23から屈曲される第2延伸部24と、を有する。第2係止部22は、第2曲がり面L2に沿って、棒状の部材がL字状に折り曲げられて第1延伸部23と第2延伸部24とが形成されてもよい。第1延伸部23は、一端がネジ部29に繋がり、ネジ部29に対して直交して延びる。第1延伸部23は、他端が第2延伸部24に繋がる。第2延伸部24は、第2貫通孔92-2の半径よりも長く形成される。第2延伸部24は、第1延伸部23に対して直交することが好ましいが、屈曲していれば直交でなくてもよい。
【0029】
第1係止部3は、貫通部2の一端部2a側のネジ部29に螺合されて設けられる。第1係止部3は、第1貫通孔92-1及び第2貫通孔92-2よりも径大に形成される。第1係止部3は、少なくとも2辺が平行に形成されることが好ましく、例えば六角柱状等の角柱状に形成される。
【0030】
第1係止部3と第2係止部22とは、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを挟んで緊結するものである。第1係止部3は、第1フランジ91-1に当接され、第2係止部22は、第2フランジ91-2に当接される。なお、第1係止部3は、第2フランジ91-2に当接され、第2係止部22は、第1フランジ91-1に当接されてもよい。
【0031】
第1係止部3は、例えばフランジ付きナットが用いられ、ナットとしての頭部30と、頭部30よりも径大に形成されるフランジとしての拡径部31と、を有する。すなわち、第1係止部3は、頭部30と拡径部31とが一体化される。第1係止部3は、ネジ部29に螺合可能であることから、第1係止部3と第2係止部22との距離H1は、適宜調整することができる。拡径部31は、ナットの下部に付いた鍔(フランジ)部分でありワッシャーと同じ役目を果たす。第1係止部3は、フランジ付きナットのかわりに、ナットとしての頭部30とワッシャーとしての拡径部31とが溶接等により一体化されるものが用いられてもよい。なお、第1係止部3は、頭部30と拡径部31とが分離可能に構成されてもよい。
【0032】
次に、鋼製部材の緊結方法について、説明する。鋼製部材の連結方法は、フランジ91に貫通孔92が形成されるライナープレート9同士を緊結するものであって、緊結金具1が用いられる。鋼製部材の緊結方法では、貫通工程と、緊結工程とを備える。鋼製部材の緊結方法では、予め第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とを対向させておく。
【0033】
図4(a)は、鋼製部材の緊結方法における貫通工程において貫通部2を他端部2b側から貫通する前の状態を示す正面図であり、図4(b)は、その側面図である。
【0034】
貫通工程では、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が、第1フランジ91-1の厚みt1と第2フランジ91-2の厚みt2との和よりも大きくなるように、予め第1係止部3を貫通部2の一端部2aに螺合させておく。
【0035】
そして、貫通工程では、第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とに、貫通部2を他端部2b側から貫通させる。このとき、貫通工程では、第1曲がり面Lがフランジ91の幅の範囲内に収まるように、貫通させる。
【0036】
図5(a)は、ライナープレートの緊結方法において第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図である。そして、貫通工程では、第1曲がり面Lに沿う方向に回転させて、第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とに、貫通部2を貫通させ、第1係止部3と第2係止部22との間に、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを配置する。
【0037】
このとき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が、第1フランジ91-1の厚みt1と第2フランジ91-2の厚みt2との和よりも大きいため、貫通工程では、第1係止部3が第1フランジ91-1に係止され、第2係止部22が第2フランジ91-2から離間されることとなる。
【0038】
また、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1と、第1フランジ91-1の厚みt1と第2フランジ91-2の厚みt2との和と、の差Δhとし、第1係止部3の高さh1としたとき、差Δhは、第1係止部3の高さh1よりも小さいことが好ましい。
【0039】
図5(b)は、ライナープレートの緊結方法において第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。緊結工程では、貫通部2の一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3を螺合させる。これにより、図5(b)に示すように、第2フランジ91-2から離間された第2係止部22が第2フランジ91-2に近づいていき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が徐々に小さくなり、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。このとき、第1延伸部23と第2延伸部24とが第2フランジ91-2に接触される。
【0040】
緊結工程では、ネジ部29に第1係止部3を螺合させる際には、スパナ等の所定の挟持手段により第1係止部3を挟持しつつ、挟持した第1係止部3に対してネジ部29をインパクトレンチ等で回転させることにより、ネジ部29に第1係止部3の頭部30を螺合してもよい。また、緊結工程では、ネジ部29に第1係止部3の頭部30を螺合させる際には、シノ等により貫通部2を押さえつつ、第1係止部3の頭部30をネジ部29に対して回転させることにより、ネジ部29に第1係止部3を螺合してもよい。このように、第1係止部3及び貫通部2の少なくとも何れかを挟持しておくことにより、第1係止部3とネジ部29との供回りを防止することができる。
【0041】
また、緊結工程では、第1係止部3の頭部30をネジ部29に対して回転させる際には、貫通部2の他端部2bを第2ライナープレート9-2に当接させた上で、第1係止部3をネジ部29に対して回転させることが好ましい。これにより、鋼製部材に当接した他端部2bの回転ができなくなる。このため、第1係止部3とネジ部29との供回りを防止することができる。
【0042】
このようにして、緊結工程では、第1ライナープレート9-1と第2ライナープレート9-2とを、第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。
【0043】
以上により、ライナープレートの緊結方法が完了する。
【0044】
ライナープレートの緊結方法では、複数の緊結金具1を用いて、各々の緊結金具1について順次貫通工程を行った後、貫通工程の完了した各々の緊結金具1について一括して緊結工程を行ってもよい。また、ライナープレートの緊結方法では、複数の緊結金具1を用いて、各々の緊結金具1について貫通工程と緊結工程とを繰り返して行ってもよい。
【0045】
本実施形態によれば、貫通部2は、一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3の頭部30が螺合される。これにより、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2の厚みによらずに、第1係止部3と第2係止部22が、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを挟んで緊結することができる。このため、汎用性を高くすることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態によれば、貫通部2は、一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3の頭部30が螺合される。これにより、第1係止部3と第2係止部22が、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを挟んでより強固に緊結することができる。このため、緊結力を十分に確保することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、従来の金具のような挟持部をフランジに挟み込むときやライナープレートから取り外すときに必要であった、専用の冶具やハンマー等の打撃手段で叩き込む作業を省略することができる。したがって、施工における騒音を低減することが可能となる。
【0048】
ここで、締結されたライナープレート同士に外力が作用してライナープレート同士が開くような変形が生じた場合、第1延伸部23のみを有する緊結金具では、当該緊結金具が鋼製部材から脱落し、終局荷重において脆性的な破壊を引き起こすおそれがある。この点、本実施形態によれば、第2係止部22は、ネジ部29から繋がる第1延伸部23と、ネジ部29の延伸方向に直交する面内方向で第1延伸部23から屈曲して延びる第2延伸部24と、を有する。これにより、外力が作用して鋼製部材同士が開くような変形が生じた場合であっても、第2延伸部24がライナープレートに係止された状態を維持でき、緊結金具1の脱落を抑制することができる。このため、終局荷重において脆性的な破壊を防止することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態によれば、貫通工程では、予めネジ部29に第1係止部3の頭部30を螺合させておき、緊結工程では、ネジ部29に第1係止部3の頭部30を更に螺合させることにより、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。これにより、従来のボルトによりライナープレート同士を接合する際には必要であった、ボルトにナットを一から螺着させる作業を省略することができる。このため、施工時間を短縮することが可能となる。
【0050】
本実施形態によれば、緊結工程では、ネジ部29に第1係止部3の頭部30を更に螺合させることにより、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。これにより、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2の厚みによらずに、第1係止部3と第2係止部22が、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを挟んで緊結することができる。このため、汎用性を高くすることが可能となる。
【0051】
本実施形態によれば、第2係止部22が第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とに貫通可能である。これにより、第1ライナープレート9-1と第2ライナープレート9-2とを緊結したとき、フランジ91の内側に形成される空間に緊結金具1を突出させることなく、フランジ91の幅の範囲内に緊結金具1を収めることができる。このため、筒状に緊結した複数のライナープレート9に必要な設計径を確保することができ、施工費用を低減させることが可能となる。
【0052】
さらに、本実施形態によれば、差Δhは、第1係止部3の高さh1よりも小さい。これにより、第1係止部3と第2係止部22が第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを挟んで緊結するのに必要な距離を、第1係止部3の高さh1より小さくすることができる。このため、第1係止部3と第2係止部22が、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを挟んで緊結する作業を容易に行うことができ、施工時間を短縮することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態によれば、複数の緊結金具1を用いて、各々の緊結金具1に対して貫通工程を行った後、各々の緊結金具1に対して緊結工程を行う。これにより、複数の緊結金具1を用いて鋼製部材を緊結する際に、インパクトレンチ等で緊結金具1を緊結する際の段取り替えの時間を短縮することができる。このため、施工時間の大幅に短縮することが可能となる。
【0054】
図6(a)は、第1実施形態に係る緊結金具1の第2例を示す正面図であり、図6(b)は、その側面図である。
【0055】
この緊結金具1では、貫通部2は、ネジ部29と第2係止部22とを繋ぐ角部が直角に形成されて、ネジ部29と第2係止部22とが直交して配置される。かかる場合であっても、上述した作用効果を発揮させることが可能となる。
【0056】
図7(a)は、第1実施形態に係る鋼製部材の緊結構造100の第2例を示す正面図であり、図7(b)は、その側面図である。
【0057】
本例に係るライナープレートの緊結構造100では、第1ライナープレート9-1と、第2ライナープレート9-2と、緊結金具1と、補強リング7と、を備える。
【0058】
補強リング7は、第1ライナープレート9-1と第2ライナープレートの間に設けられるものであって、緊結したライナープレート同士を補強するためのものである。補強リング7は、例えばH形鋼が用いられる。
【0059】
補強リング7は、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2との間に配置される補強ウェブ71と、補強ウェブ71の両端部に設けられる一対の補強フランジ72とを有する。補強フランジ72は、フランジ91の内側端部91aよりも内側に配置されることとなる。
【0060】
上記したように、本実施形態によれば、第2係止部22が第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とに貫通可能である。これにより、第1ライナープレート9-1と第2ライナープレート9-2とを緊結したとき、フランジ91の内側に形成される空間に緊結金具1を突出させることなく、フランジ91の幅の範囲内に緊結金具1を収めることができる。
【0061】
このため、緊結金具1に阻害されずに、ライナープレート9の内側に補強フランジ72を有する補強リング7を用いることができ、補強リング7を用いて緊結したライナープレートの補強を行うことができる。
【0062】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る鋼製部材の緊結構造100の一例を示す斜視図である。図9(a)は、第2実施形態に係る鋼製部材の緊結構造100の一例を示す正面図であり、図9(b)は、その側面図である。
【0063】
鋼製部材の緊結構造100では、鋼製部材としてコルゲート鋼板90が用いられる。鋼製部材の緊結構造100は、端部に貫通孔92が形成されるコルゲート鋼板90同士を緊結するものである。
【0064】
コルゲート鋼板90は、隣接する他のコルゲート鋼板90に緊結されて、断面U字状等に構築されるものである。U字状に構築されたコルゲート鋼板90は、地面等に設けられ、水路等として用いられる。
【0065】
コルゲート鋼板90は、山部94と谷部95が繰り返し形成される波形に形成され、山部94の端部に貫通孔92が形成される。複数のコルゲート鋼板90は、端部同士が重ね合わされて、緊結金具1により互いに緊結される。なお、第2実施形態では、山部94に貫通孔92が形成される形態について説明するが、谷部95に貫通孔92が形成されて、緊結金具1により緊結されてもよい。
【0066】
鋼製部材の緊結構造100は、第1コルゲート鋼板90-1と、第2コルゲート鋼板90-2と、緊結金具1とを備える。
【0067】
次に、鋼製部材の緊結方法について、説明する。鋼製部材の連結方法は、貫通孔92が形成されるコルゲート鋼板90同士を緊結するものであって、緊結金具1が用いられる。鋼製部材の緊結方法では、貫通工程と、緊結工程とを備える。鋼製部材の緊結方法では、予め第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とを対向させておく。
【0068】
図10(a)は、鋼製部材の緊結方法における貫通工程において貫通部2を他端部2b側から貫通する前の状態を示す正面図であり、図10(b)は、その側面図である。
【0069】
貫通工程では、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が、第1コルゲート鋼板90-1の厚みt1と第2コルゲート鋼板90-2の厚みt2との和よりも大きくなるように、予め第1係止部3の頭部30を貫通部2の一端部2aに螺合させておく。
【0070】
そして、貫通工程では、第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とに、貫通部2を他端部2b側から貫通させる。
【0071】
図11(a)は、鋼製部材の緊結方法において第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図である。そして、貫通工程では、第1曲がり面Lに沿う方向に回転させて、第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とに、貫通部2を貫通させ、第1係止部3と第2係止部22との間に、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを配置する。
【0072】
このとき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が、第1フランジ91-1の厚みt1と第2フランジ91-2の厚みt2との和よりも大きいため、貫通工程では、第1係止部3が第1コルゲート鋼板90-1に係止され、第2係止部22が第2コルゲート鋼板90-2から離間されることとなる。
【0073】
また、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1と、第1コルゲート鋼板90-1の厚みt1と第2コルゲート鋼板90-2の厚みt2との和と、の差Δhとし、第1係止部3の高さh1としたとき、差Δhは、第1係止部3の高さh1よりも小さいことが好ましい。
【0074】
図11(b)は、鋼製部材の緊結方法において第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。緊結工程では、貫通部2の一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3の頭部30を螺合させる。これにより、図11(b)に示すように、第2コルゲート鋼板90-2から離間された第2係止部22が第2コルゲート鋼板90-2に近づいていき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が徐々に小さくなり、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。
【0075】
このようにして、緊結工程では、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを、第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。
【0076】
本実施形態によれば、貫通部2は、一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3が螺合される。これにより、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2の厚みによらずに、第1係止部3と第2係止部22が、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを挟んで緊結することができる。このため、汎用性を高くすることが可能となる。
【0077】
また、本実施形態によれば、貫通部2は、一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3が螺合される。これにより、第1係止部3と第2係止部22が、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを挟んでより強固に緊結することができる。このため、緊結力を十分に確保することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態によれば、従来の金具のような挟持部をフランジに挟み込むときやライナープレートから取り外すときに必要であった、専用の冶具やハンマー等の打撃手段で叩き込む作業を省略することができる。したがって、施工における騒音を低減することが可能となる。
【0079】
本実施形態によれば、第2係止部22は、ネジ部29から繋がる第1延伸部23と、ネジ部29の延伸方向に直交する面内方向で第1延伸部23から屈曲して延びる第2延伸部24と、を有する。これにより、外力が作用してコルゲート鋼板同士が開くような変形が生じた場合であっても、第2延伸部24がコルゲート鋼板に係止された状態を維持でき、緊結金具1の脱落を抑制することができる。このため、終局荷重において脆性的な破壊を防止することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態によれば、貫通工程では、予めネジ部29に第1係止部3を螺合させておき、緊結工程では、ネジ部29に第1係止部3を更に螺合させることにより、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを、第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。これにより、従来のボルトによりコルゲート鋼板同士を接合する際には必要であった、ボルトにナットを一から螺着させる作業を省略することができる。このため、施工時間を短縮することが可能となる。
【0081】
本実施形態によれば、緊結工程では、ネジ部29に第1係止部3を更に螺合させることにより、第1コルゲート鋼板-1と第2コルゲート鋼板90-2とを、第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。これにより、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2の厚みによらずに、第1係止部3と第2係止部22が、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを挟んで緊結することができる。このため、汎用性を高くすることが可能となる。
【0082】
さらに、本実施形態によれば、差Δhは、第1係止部3の高さh1よりも小さい。これにより、第1係止部3と第2係止部22が第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを挟んで緊結するのに必要な距離を、第1係止部3の高さh1より小さくすることができる。このため、第1係止部3と第2係止部22が、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2とを挟んで緊結する作業を容易に行うことができ、施工時間を短縮することが可能となる。
【0083】
さらに、本実施形態によれば、第2貫通孔92-2が鋼製部材の山部94に形成される。これにより、貫通部2の他端部2bを鋼製部材に当接させた上で、第1係止部3をネジ部29に対して回転させることができる。このため、鋼製部材に当接した他端部2bの回転ができなくなるため、第1係止部3とネジ部29との供回りを防止することができる。
【0084】
本実施形態によれば、頭部30と拡径部31とが一体化される。これにより、頭部30と拡径部31とが分離される場合よりもネジ部29の軸心Cからの距離を長く確保することができる。このため、ネジ部29の軸心Cが傾くのを抑制することができ、第1コルゲート鋼板90-1と第2コルゲート鋼板90-2との固定度の低下を抑制することが可能となる。
【0085】
(第3実施形態)
図12は緊結時にネジ部29の軸心Cが傾く状態を示す正面図である。図5(b)の緊結状態では、第2係止部22が第2フランジ91-2と平行になることで、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを強固に固定することが可能となる。しかし、図5(b)の状態からさらに緊結が増すと、図13に示すように、貫通部2が過度に引き抜かれようとし、ネジ部29の軸心Cが傾く状態となる場合がある。このとき、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2との固定度が低下する可能性があり好ましくない。図5(b)の状態から図13の状態に移行する際、図5(b)に示す第2貫通孔92-2と第2係止部22の直交部分との接触点A1が、図13では他端部2b側に移動している(接触点A1→A1’)。この移動を抑制することができれば、ネジ部29の軸心Cも傾かない。以下の第3実施形態と第4実施形態では、にその対策を示す実施例を述べる。
【0086】
図13(a)は、第3実施形態の第1例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図13(b)は、第3実施形態の第1例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。図14(a)は、第3実施形態の第2例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図14(b)は、第3実施形態の第2例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。
【0087】
第3実施形態に係る緊結金具1では、第2係止部22は、第2フランジ91-2に接触される第1突起部25を有する。第1突起部25は、第2フランジ91-2の第2貫通孔92-2に近接した位置に設けられることが好ましい。
【0088】
図13に示すように、第1突起部25は、ネジ山等のねじ切り加工により形成される。このとき、貫通部2は、例えば、全ネジボルトをL字状に折り曲げ加工されたものが用いられてもよい。
【0089】
図14に示すように、貫通部2は、直線状の棒状部材をL字状に折り曲げ加工されたものが用いられ、この第1突起部25は、当該棒状部材をL字状に折り曲げ加工することによって折り曲げの内側に形成される突起である。第1突起部25は、鋼片等の突起状に形成される突起物が第2係止部22に取り付けられて形成されてもよい。
【0090】
第3実施形態に係る鋼製部材の緊結方法において、貫通工程では、図13(a)及び図14(a)に示すように、第1曲がり面Lに沿う方向に回転させて、第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とに、貫通部2の角部28を貫通させ、第1係止部3と第2係止部22との間に、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを配置する。
【0091】
このとき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が、第1フランジ91-1の厚みt1と第2フランジ91-2の厚みt2との和よりも大きいため、貫通工程では、第1係止部3が第1フランジ91-1に係止され、第2係止部22の第1突起部25が第2フランジ91-2から離間されることとなる。
【0092】
次に、緊結工程では、貫通部2の一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3を螺合させる。これにより、図13(b)及び図14(b)に示すように、第2フランジ91-2から離間された第2係止部22の第1突起部25が第2フランジ91-2に近づいていき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が徐々に小さくなり、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを第1係止部3と第2係止部22の第1突起部25とにより挟んで緊結する。このとき、第1突起部25を第2フランジ91-2に食い込ませることができる。
【0093】
本実施形態によれば、第2係止部22は、第2フランジ91-2に接触される面に第1突起部25を有する。これにより、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを第1係止部3と第2係止部22の第1突起部25とにより挟んで緊結したとき、第1突起部25を第2フランジ91-2に食い込ませることができる。これにより、第2係止部22が第2フランジ91-2に対してずれるのを抑制することができる。その結果、ネジ部29の軸心Cの傾きが抑制され、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを強固に固定することができる。
【0094】
ここで、過度な緊結等により、緊結金具1が引き抜かれようとした場合、第2フランジ91-2の第2貫通孔92-2の角部付近が、最も貫通部2からの接触力を受ける。この点、本実施形態によれば、第1突起部25は、第2フランジ91-2の第2貫通孔92-2に近接した位置に設けられる。これにより、第2係止部22が第2フランジ91-2に対してずれるのを効果的に抑制することができる。このため、ネジ部29の軸心Cの傾きが抑制され、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを更に強固に固定することができる。
【0095】
(第4実施形態)
図15(a)は、第4実施形態の第1例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図15(b)は、第4実施形態の第1例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。図16(a)は、第4実施形態の第2例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結する前の状態を示す正面図であり、図16(b)は、第4実施形態の第2例に係るライナープレートの緊結方法において第1係止部と第2係止部とにより挟んで緊結した後の状態を示す正面図である。
【0096】
第4実施形態に係る緊結金具1では、第2フランジ91-2は、第2係止部22に接触される第2突起部96を有する。第2突起部96は、第2フランジ91-2の第2貫通孔92-2に近接した位置に設けられることが好ましい。
【0097】
図15に示すように、第2突起部96は、第2貫通孔92-2の周端に形成される突起物であり、バーリング加工により形成される。
【0098】
図16に示すように、第2突起部96は、環状に形成される環状体が第2フランジ91-2に溶接等により取り付けられたものであってもよい。
【0099】
第4実施形態に係る鋼製部材の緊結方法において、貫通工程では、図15(a)及び図16(a)に示すように、第1曲がり面Lに沿う方向に回転させて、第1貫通孔92-1と第2貫通孔92-2とに、貫通部2の角部28を貫通させ、第1係止部3と第2係止部22との間に、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを配置する。
【0100】
このとき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が、第1フランジ91-1の厚みt1と第2フランジ91-2の厚みt2との和よりも大きいため、貫通工程では、第1係止部3が第1フランジ91-1に係止され、第2係止部22が第2フランジ91-2から離間されることとなる。
【0101】
次に、緊結工程では、貫通部2の一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3を螺合させる。これにより、図15(b)及び図16(b)に示すように、第2フランジ91-2から離間された第2係止部22が第2フランジ91-2に近づいていき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が徐々に小さくなり、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2に形成される第2突起部96とを第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。このとき、第2突起部96を第2係止部22に食い込ませることができる。
【0102】
本実施形態によれば、第2コルゲート鋼板90-2、第2係止部22に接触される第2突起部96を有する。これにより、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結したとき、第2突起部96を第2係止部22に食い込ませることができる。このため、過度な緊結等により、緊結金具1が引き抜かれようとした場合、第2係止部22が第2フランジ91-2に対してずれるのを抑制することができる。その結果、ネジ部29の軸心Cの傾きが抑制され、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを強固に固定することができる。
【0103】
ここで、過度な緊結等により、緊結金具1が引き抜かれようとした場合、第2フランジ91-2の第2貫通孔92-2の角部付近が、最も貫通部2からの接触力を受ける。この点、本実施形態によれば、第2突起部96は、第2フランジ91-2の第2貫通孔92-2に近接した位置に設けられる。これにより、第2係止部22が第2フランジ91-2に対してずれるのを効果的に抑制することができる。このため、ネジ部29の軸心Cの傾きが抑制され、第1フランジ91-1と第2フランジ91-2とを更に強固に固定することができる。
【0104】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る鋼製部材の緊結構造100について説明する。図17は、第5実施形態に係る鋼製部材の緊結構造100の一例を示す斜視図である。図18(a)は、第5実施形態に係る鋼製部材の緊結構造100の一例を示す側面図であり、図18(b)は、その底面図である。
【0105】
本実施形態では、第1鋼製部材として鋼板8-1が用いられ、第2鋼製部材として筒状の支柱8-2が用いられる。鋼製部材の緊結構造100は、鋼板8-1と、支柱8-2とを緊結するものである。
【0106】
鋼板8-1は、隣接する支柱8-2に緊結される。鋼板8-1は、鋼板が曲げ加工されており、支柱8-2に接触する部分が湾曲して形成される。鋼板8-1は、支柱8-2に接触する部分に第2貫通孔82-2が形成される。鋼板8-1は、両端に孔が形成され、この孔を介して図示しない防護柵等の柵用パネルが接続可能な接続金具が用いられる。
【0107】
支柱8-2は、断面円形状等の筒状に形成され、下端が地面に固定される。支柱8-2は、側壁部に第2貫通孔82-2が形成され、第2貫通孔82-2に対向する位置には貫通孔が形成されていない。
【0108】
鋼製部材の緊結構造100は、鋼板8-1と、支柱8-2と、緊結金具1とを備える。
【0109】
次に、鋼製部材の緊結方法について、説明する。鋼製部材の連結方法は、第1貫通孔82-1が形成される鋼板8-1と、第2貫通孔82-2が形成される支柱8-2と、を緊結するものであって、緊結金具1が用いられる。鋼製部材の緊結方法では、貫通工程と、緊結工程とを備える。鋼製部材の緊結方法では、予め第1貫通孔82-1と第2貫通孔82-2とを対向させておく。
【0110】
図19は、鋼製部材の緊結方法における貫通工程において貫通部2を他端部2b側から貫通する前の状態を示す側面図である。
【0111】
貫通工程では、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が、鋼板8-1の厚みt1と支柱8-2の厚みt2との和よりも大きくなるように、予め第1係止部3の頭部30を貫通部2の一端部2aに螺合させておく。
【0112】
そして、貫通工程では、第1貫通孔82-1と第2貫通孔82-2とに、貫通部2を他端部2b側から貫通させる。
【0113】
図20(a)は、鋼製部材の緊結方法において第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する前の状態を示す側面図である。そして、貫通工程では、第1曲がり面Lに沿う方向に回転させて、第1貫通孔82-1と第2貫通孔82-2とに、貫通部2の角部28を貫通させ、第1係止部3と第2係止部22との間に、鋼板8-1と支柱8-2とを配置する。
【0114】
このとき、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が、鋼板8-1の厚みt1と支柱8-2の厚みt2との和よりも大きい。
【0115】
また、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1と、鋼板8-1の厚みt1と支柱8-2の厚みt2との和と、の差Δhとし、第1係止部3の高さh1としたとき、差Δhは、第1係止部3の高さh1よりも小さいことが好ましい。
【0116】
図20(b)は、鋼製部材の緊結方法において第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結した後の状態を示す側面図である。緊結工程では、貫通部2の一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3の頭部30を螺合させる。これにより、図21(b)に示すように、第1係止部3から第2係止部22までの距離H1が徐々に小さくなり、鋼板8-1と支柱8-2とを第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。
【0117】
このようにして、緊結工程では、鋼板8-1と支柱8-2とを、第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。
【0118】
本実施形態によれば、貫通部2は、一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3が螺合される。これにより、鋼板8-1と支柱8-2の厚みによらずに、第1係止部3と第2係止部22が、鋼板8-1と支柱8-2とを挟んで緊結することができる。このため、汎用性を高くすることが可能となる。
【0119】
また、本実施形態によれば、貫通部2は、一端部2aに形成されるネジ部29に第1係止部3が螺合される。これにより、第1係止部3と第2係止部22が、鋼板8-1と支柱8-2とを挟んでより強固に緊結することができる。このため、緊結力を十分に確保することが可能となる。
【0120】
本実施形態によれば、第2係止部22は、ネジ部29から繋がる第1延伸部23と、ネジ部29の延伸方向に直交する面内方向で第1延伸部23から屈曲して延びる第2延伸部24と、を有する。これにより、外力が作用して鋼製部材同士が開くような変形が生じた場合であっても、第2延伸部24が鋼製部材に係止された状態を維持でき、緊結金具1の脱落を抑制することができる。このため、終局荷重において脆性的な破壊を防止することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態によれば、貫通工程では、予めネジ部29に第1係止部3を螺合させておき、緊結工程では、ネジ部29に第1係止部3を更に螺合させることにより、鋼板8-1と支柱8-2とを、第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。これにより、従来のボルトにより鋼板と支柱とを接合する際には必要であった、ボルトにナットを一から螺着させる作業を省略することができる。このため、施工時間を短縮することが可能となる。
【0122】
また、本実施形態によれば、鋼板8-1と支柱8-2とを、第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結するため、支柱8-2の筒状の側壁部に第2貫通孔82-2が形成さればよく、この第2貫通孔82-2に対向する位置には貫通孔を形成する必要がない。このため、従来の鋼板を固定する際に必要であった支柱を貫通する貫通ボルトによる接合作業が不要となる。このため、施工作業をより短時間で行うことが可能となる。
【0123】
本実施形態によれば、緊結工程では、ネジ部29に第1係止部3を更に螺合させることにより、鋼板8-1と支柱8-2とを、第1係止部3と第2係止部22とにより挟んで緊結する。これにより、鋼板8-1と支柱8-2の厚みによらずに、第1係止部3と第2係止部22が、鋼板8-1と支柱8-2とを挟んで緊結することができる。このため、汎用性を高くすることが可能となる。
【0124】
さらに、本実施形態によれば、差Δhは、第1係止部3の高さh1よりも小さい。これにより、第1係止部3と第2係止部22が鋼板8-1と支柱8-2とを挟んで緊結するのに必要な距離を、第1係止部3の高さh1より小さくすることができる。このため、第1係止部3と第2係止部22が、鋼板8-1と支柱8-2とを挟んで緊結する作業を容易に行うことができ、施工時間を短縮することが可能となる。
【0125】
さらに、本実施形態によれば、第2貫通孔82-2が筒状の支柱8-2に形成される。これにより、貫通部2の他端部2bを支柱8-2の内面に当接させた上で、第1係止部3をネジ部29に対して回転させることができる。このため、支柱8-2の湾曲した内面に当接した他端部2bの回転ができなくなるため、第1係止部3とネジ部29との供回りを防止することができる。
【0126】
本実施形態によれば、頭部30と拡径部31とが一体化される。これにより、頭部30と拡径部31とが分離される場合よりもネジ部29の軸心Cからの距離を長く確保することができる。このため、ネジ部29の軸心Cが傾くのを抑制することができ、鋼板8-1と支柱8-2との固定度の低下を抑制することが可能となる。
【0127】
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。さらに、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
100 :鋼製部材の緊結構造
1 :緊結金具
2 :貫通部
2a :一端部
2b :他端部
22 :第2係止部
23 :第1延伸部
24 :第2延伸部
25 :第1突起部
28 :角部
29 :ネジ部
3 :第1係止部
30 :頭部
31 :拡径部
7 :補強リング
71 :補強ウェブ
72 :補強フランジ
8-1 :鋼板
82-1 :第1貫通孔
8-2 :支柱
82-2 :第2貫通孔
9 :ライナープレート
9-1 :第1ライナープレート
9-2 :第2ライナープレート
91 :フランジ
91-1 :第1フランジ
91-2 :第2フランジ
91a :内側端部
90 :コルゲート鋼板
90-1 :第1コルゲート鋼板
90-2 :第2コルゲート鋼板
92 :貫通孔
92-1 :第1貫通孔
92-2 :第2貫通孔
94 :山部
95 :谷部
96 :第2突起部
図1
図2
図3
図4
図5
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