IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上田技研産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図1
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図2
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図3
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図4
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図5
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図6
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図7
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図8
  • 特開-揺れセンサ及びそれを用いた警報装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003486
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】揺れセンサ及びそれを用いた警報装置
(51)【国際特許分類】
   G01H 1/00 20060101AFI20230110BHJP
   G08B 13/02 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G01H1/00 R
G08B13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104589
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】397019139
【氏名又は名称】上田技研産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 全宏
【テーマコード(参考)】
2G064
5C084
【Fターム(参考)】
2G064BA07
2G064BA08
2G064BA21
2G064BB11
2G064BB22
2G064BB64
5C084AA03
5C084AA09
5C084BB23
5C084CC02
5C084CC38
5C084DD79
5C084DD81
5C084DD87
5C084GG01
5C084HH01
(57)【要約】
【課題】部品点数が少なく小型化や軽量化が可能な、球体を用いた揺れセンサを提供する。
【解決手段】揺れセンサSは、上面に第1導電領域を有する第1板状部材1と、前記第1板状部材1の上方に前記第1板状部材と離隔対向して配置され、上下方向に貫通し、内周面の少なくとも一部に第2導電領域を有する開口部21が設けられた第2板状部材2と、前記第1板状部材1の前記第1導電領域を転がり移動可能に配置され、前記開口部21内に一部が位置し、少なくとも表面が導体である球体3とを有する。前記第1板状部材1と第2板状部材2との間隔Hは前記球体3の直径dよりも短く、前記開口部21の内径Lは前記球体3の直径dよりも短く、前記球体3は、前記開口部21の内周面に接触しない第1状態と、前記開口部21の内周面に接触した第2状態とに転がり移動可能とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に第1導電領域を有する第1板状部材と、
前記第1板状部材の上方に前記第1板状部材と離隔対向して配置され、上下方向に貫通し、内周面の少なくとも一部に第2導電領域を有する開口部が設けられた第2板状部材と、
前記第1板状部材の前記第1導電領域を転がり移動可能に配置され、前記開口部内に一部が位置し、少なくとも表面が導体である球体と、
を有し、
前記第1板状部材と第2板状部材との間隔が前記球体の直径よりも短く、
前記開口部の内径が前記球体の直径よりも短く、
前記球体は、前記開口部の内周面に接触しない第1状態と、前記開口部の内周面に接触した第2状態とに転がり移動可能とされている
ことを特徴とする揺れセンサ。
【請求項2】
前記第1板状部材は前記第1導電領域に凹部を有し、
前記球体は前記凹部によって第1状態に位置決めされる請求項1記載の揺れセンサ。
【請求項3】
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に配置され、前記球体に非接触で前記球体の周囲を囲む筒状で絶縁性の周壁部材と、
前記第2板状部材の前記開口部の上方を前記球体に非接触で覆う蓋部材とをさらに備え、
前記球体が、前記第1板状部材と、前記第2板状部材と、前記周壁部材と、前記蓋部材とで構成される気密空間に収納される請求項1又は2記載の揺れセンサ。
【請求項4】
前記球体の密度が4.5g/cm以上である請求項1~3のいずれかに記載の揺れセンサ。
【請求項5】
前記請求項1~4のいずれかに記載の揺れセンサと、
前記揺れセンサによる揺れ検知を外部に報知する報知手段と、
前記揺れセンサからの検知信号を検出し、前記報知手段を駆動制御する制御手段と、
少なくとも前記揺れセンサと、前記報知手段と、前記制御手段とに電力を供給する電源と、
前記電源からの電力供給を入切する主スイッチと、
を有することを特徴とする警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は揺れセンサ及びそれを用いた警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
賽銭箱から賽銭が盗まれるのを防止する、あるいは賽銭の入った賽銭箱そのもののが盗まれるのを防止する等のためこれまでから種々の警報装置が提案されている。例えば、既存の賽銭箱等に取り付け可能な装置として、特許文献1では、振動や揺れ、傾きを振り子の振れで検知する警報装置が提案されている。
【0003】
しかしながら、このような振り子を用いた検知センサでは、例えば賽銭箱に投入された賽銭の衝撃によって振り子が揺れて警報装置が作動して参拝者に不快な思いさせるおそれがある。
【0004】
そこで検知センサとして球体の転動を利用したものを使用することも考えられる。球体の転動を利用した検知センサは、上下方向の振動の検知を鈍くすることが可能で、投入された賽銭が賽銭箱の中に設置された警報装置に当たっても警報装置が作動し難くすることができる可能性がある。例えば特許文献2には、導電板が設けられた基板と、導電板の周囲を囲む枠状導電部材と、枠状導電部材で囲まれた領域に導電板と接触する球状導電部材とを備え、球状導電部材が転動して枠状導電部材に接触し、導電板と枠状導電部材とが球状導電部材を介して導通することで振動や傾きを検知するセンサが提案されている。
【0005】
このような球体の
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-55285号公報
【特許文献2】特開2015-8722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、球体の転動を利用したこれまでの検知センサは、部品点数が多く小型化や軽量化が難しいと考えられる。
【0008】
そこで、本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数が少なく小型化や軽量化が可能な、球体を用いた揺れセンサを提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的は、不必要な警報の報知を抑制可能な警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る揺れセンサは、上面に第1導電領域を有する第1板状部材と、前記第1板状部材の上方に前記第1板状部材と離隔対向して配置され、上下方向に貫通し、内周面の少なくとも一部に第2導電領域を有する開口部が設けられた第2板状部材と、前記第1板状部材の前記導電領域を転がり移動可能に配置され、前記開口部内に一部が位置し、少なくとも表面が導体である球体とを有し、前記第1板状部材と第2板状部材との間隔が前記球体の直径よりも短く、前記開口部の内径が前記球体の直径よりも短く、前記球体は、前記開口部の内周面に接触しない第1状態と、前記開口部の内周面に接触した第2状態とに転がり移動可能とされていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、球体が転がり移動して、第1状態から第2状態あるいは第2状態から第1状態に状態が変化することで揺れが検知される。そして、第1板状部材と第2板状部材との間隔を調整することで検知感度が調整される。
【0012】
また前記構成の揺れセンサにおいて、前記第1板状部材は前記第1導電領域に凹部を有し、前記球体は前記凹部によって第1状態に位置決めされる構成であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、前記球体は凹部によって第1状態に位置決めされやすくなり、また前記球体の第1状態の維持が安定する。
【0014】
また前記構成の揺れセンサにおいて、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に配置され、前記球体に非接触で前記球体の周囲を囲む筒状で絶縁性の周壁部材と、前記第2板状部材の前記開口部の上方を前記球体に非接触で覆う蓋部材をさらに備え、前記球体が、前記第1板状部材と、前記第2板状部材と、前記周壁部材と、前記蓋部材とで構成される気密空間に収納される構成であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、気密空間内に水分等の浸入が抑制され、球体、第1導電領域および第2導電領域の経時劣化が抑えられる。
【0016】
また前記構成の揺れセンサにおいて、前記球体の密度が4.5g/cm以上であるのが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、球体の慣性力が大きく、取り付け対象物が水平方向にゆっくりと移動した場合であっても球体が相対移動して当該移動を検知することができる。
【0018】
また本発明によれば、前記のいずれかに記載の揺れセンサと、前記揺れセンサによる揺れ検知を外部に報知する報知手段と、前記揺れセンサからの検知信号を検出し、前記報知手段を駆動制御する制御手段と、少なくとも前記揺れセンサと、前記報知手段と、前記制御手段とに電力を供給する電源と、前記電源からの電力供給を入切する主スイッチとを有することを特徴とする警報装置が提供される。
【0019】
上記構成によれば、揺れセンサの検知感度が取り付け対象物や使用環境などに応じて調整され、報知手段による不必要な報知が抑えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の揺れセンサによれば、部品点数が少なく小型化や軽量化が可能となる。
【0021】
また本発明の警報装置によれば、不必要な警報の報知が抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る揺れセンサの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の揺れセンサの組立図である。
図3図1の揺れセンサの垂直断面図である。
図4】本発明に係る警報装置の一例を示すブロック図である。
図5】本発明に係る警報装置の一例を示す回路図である。
図6】本発明に係る警報装置のフローチャート例である。
図7】本発明に係る警報装置を賽銭箱に設置した場合の説明図である。
図8】揺れセンサの水平状態を調整する構造例の説明図である。
図9】本発明に係る警報装置をドアに設置した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る揺れセンサ及び警報装置について図に基づいてより詳細に説明するが本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。なお、本明細書における「上下方向」、「前後方向」、「左右方向」は、各図に示す「上下方向」、「前後方向」、「左右方向」を意味するものとする。
【0024】
(揺れセンサ)
図1に本発明に係る揺れセンサの一実施形態を示す斜視図を示し、図2にその組立図、図3に垂直断面をそれぞれ示す。これらの図に示す揺れセンサSは、平面視四角形の第1板状部材1と、第1板状部材1の上面に取り付けられた円筒状で絶縁性の周壁部材4と、周壁部材4内に転動可能に収容された球体3と、周壁部材4の上端面に第1板状部材1と略平行に取り付けられた、上下方向に貫通する開口部21を有する平面視四角形の第2板状部材2と、開口部21の上方を封鎖するように第2板状部材2に取り付けられた略半球状の蓋部材5とを有する。以下、各部材について説明する。
【0025】
(第1板状部材1)
第1板状部材1は、導電性を有する金属材料から形成されている。したがって、第1板状部材1は上面全体が第1導電領域を構成する。金属材料としては、例えば、銅、タングステン、ニッケル、モリブデン、金、銀などの金属およびこれらの合金などが挙げられる。
【0026】
第1板状部材1の平面視略中央には、球体3の直径に対して格段に小さい、底面直径が球体3の直径の1/20~1/10程度の逆円錐形状の凹部11が形成されている。この凹部11によって後述する球体3が第1状態に位置決めされる。第1板状部材1の上面の左前の角部には第1板状部材1の外縁から外方に突出するように板状の端子12が設けられている。
【0027】
(第2板状部材2)
第2板状部材2は、第1板状部材1と略同一の外形を有し、導電性を有する金属材料から形成されている。そして必要により、導電性をより高めるために表面は金などの蒸着層が設けられていてもよい。第2板状部材2の平面視略中央部には上下方向に貫通する円形の開口部21が設けられている。開口部21の内径L(図3に図示)は、後述する球体3の直径dよりも小さく設定されている。また第2板状部材2が導電性の金属材料から形成されていることから、開口部21の内周面の全体が第2導電領域を構成する。第2板状部材2の上面の左後の角部には第2板状部材2の外縁から外方に突出するように板状の端子22が設けられている。
【0028】
(球体3)
球体3は、鋼球の表面が金で蒸着されたものである。勿論、球体3自体が導電性を有する金属材料等から形成されていてもよい。球体3の直径d(図3に図示)に特に限定はなく、揺れセンサSを使用する装置、あるいは当該装置が取り付けられる物の大きさや形状、検知する揺れの大きさや強さなどから適宜決定すればよいが、通常、5mm~50mm程度が好ましい。また球体3の密度についても特に限定はないが、揺れセンサSの取付対象物のゆっくりとした水平移動(揺れ)をも検知可能とする観点からは球体3はある程度の質量を有しているのが好ましい。すなわち、球体3の質量が大きければ、取付対象物が水平方向に低速で移動した場合、第1板状部材は移動する一方で球体3は慣性力によって移動しにくいので、結果的に第1状態から第2状態または第2状態から第1状態に球体3の状態が変化して揺れセンサSは取付対象物の移動を検知する。球体3の好ましい密度は4.5g/cm以上である。球体3の密度の好ましい上限値は10g/cmである。
【0029】
(周壁部材4)
周壁部材4は、球体3に非接触で球体3を周囲を囲む共に、第1板状部材1と第2板状部材2との間隔を定める役割を果たす。本実施形態では、周壁部材4は円筒形状を有し樹脂などの絶縁性を有する材料で構成されている。周壁部材4の内径D(図3に図示)は球体3の直径d(図3に図示)よりも大きい。周壁部材4の上下方向高さは球体3の直径dよりも短く設定される。すなわち、第1板状部材1と第2板状部材2との間隔H(図3に図示)は球体3の直径dよりも短く設定される。周壁部材4の形状は円筒形状に限定されるものはなく、球体3に非接触で球体3を周囲を囲むことが可能な形状であればよい。
【0030】
(蓋部材5)
蓋部材5は、第2板状部材2の開口部21の上方を球体3と非接触で覆う役割を果たす。本実施形態では蓋部材5は略半球形状で、樹脂などの絶縁性を有する材料で構成されている。蓋部材5の形状は略半球形状に限定されるものはなく、開口部21の上方を球体3の上部に非接触で覆うことが可能な形状であればよい。
【0031】
(揺れセンサSの組立て)
上記部材から構成される揺れセンサSは、次のようにして組立られる。まず、第1板状部材1の上面に周壁部材4の下端面が取り付けられる。このとき、周壁部材4は、平面視において周壁部材4の軸線上に第1板状部材1の凹部11が位置するように位置決めされる。第1板状部材1と周壁部材4の取付けは、接着剤の塗布など従来公知の取付手段を用いることができる。次いで、周壁部材4の内部に球体3が挿入される。そして、周壁部材4の上端面に第2板状部材2の下面が取り付けられる。このとき、第2板状部材2の開口部21内に球体3の上部が位置する。第2板状部材2と周壁部材4の取付けは、接着剤の塗布など従来公知の取付手段を用いることができる。次いで、蓋部材5が、第2板状部材2の開口部21の上方を覆うように取り付けられる。第2板状部材2と蓋部材5の取付けは、接着剤の塗布など従来公知の取付手段を用いることができる。なお、第2板状部材2が周壁部材4に取り付けられる前に、蓋部材5が第2板状部材2に取り付けられていてもよい。
【0032】
(作用効果)
このような構造の揺れセンサSでは、通常状態が水平状態である場合、球体3は第1板状部材1の凹部11によって第2板状部材2の開口部21の内周面に接触しない第1状態に位置決めされている。このとき第1板状部材1と第2板状部材2とは間は導通不能である。そして、揺れセンサSに振動や傾斜、衝撃が加わると、球体3は転がり移動して第2板状部材2の開口部21の内周面に接触した第2状態となる。球体3が第2板状部材2の開口部21の内周面に接触すると、第1板状部材1と第2板状部材2と間は導通可能となる。揺れセンサSは、第1状態から第2状態への状態変化を揺れとして検知する。なお、第2状態への状態変化は一瞬であってもよく継続していてもよい。また逆に、通常状態が傾斜状態である場合、揺れセンサSは、球体3が第2状態から第1状態への状態変化を揺れとして検知する。
【0033】
揺れセンサSの検知感度は、第2板状部材2の開口部21の内周面と球体3との距離や開口部21の大きさで調整可能である。具体的には、開口部21の大きさが同じである場合には、第1板状部材1と第2板状部材2との間隔Hを短くすれば、第2板状部材2の開口部21の内周面と球体3との距離が短くなり検知感度はよくなる。また第1板状部材1と第2板状部材2との間隔Hが同じである場合には、開口部21の内径L(図3に図示)を小さくすれば、第2板状部材2の開口部21の内周面と球体3との距離が短くなり検知感度はよくなる。
【0034】
本実施形態では、球体3は、第1板状部材1と、第2板状部材2と、周壁部材4と、蓋部材5とで構成される気密空間に収納されている。気密空間へはゴミや埃の侵入、雨水や湿気の浸入などが抑えられるので、球体3の転がり性や導電領域の導電性は長期間にわたって良好に保持され揺れセンサSの検知感度は良好に維持される。
【0035】
また周壁部材4を使用せず、例えばボルトとナットなどで第1板状部材1と第2板状部材2とを間隔Hを調整可能に取り付ければ、部材を交換することなく揺れセンサSの検知感度を第1板状部材1と第2板状部材2との間隔Hで調整することができるようになる。
【0036】
(他の実施形態)
前記実施形態では、第1板状部材1の上面の全体が第1導電領域とされていたが、球体3が転がり移動できる領域だけを導電性部材で形成して第1導電領域としてもよい。例えば、第1板状部材1の球体3が転がり移動できる領域に凹部を形成し、凹部に銅などの導電性の金属部材を第1板状部材1の上面と面一となるように取り付ける。あるいは、第1板状部材1の球体3が転がり移動できる領域を金などの金属を蒸着する。この場合、第1導電領域と端子12との間は従来公知の手段で導電可能に接続される。
【0037】
また前記実施形態では第2板状部材2も全体が導電性の金属材料で構成されていたが、第2板状部材2の開口部21の内周面だけを銅などの導電性の金属材料で構成する、あるいは金など金属を蒸着して第2導電領域としてもよい。この場合、第2導電領域と端子22との間は従来公知の手段で導電可能に接続される。
【0038】
(警報装置)
図4に、本発明に係る揺れセンサSを用いた警報装置ALの一例を示すブロック図を示し、図5に回路図を示す。これらの図に示す警報装置ALは、制御部(制御手段)6と、乾電池などでよい電源71と、主スイッチ72と、報知手段としての警報スピーカ73と、前記説明した揺れセンサSと、所定時間の経過を報知するLED(Light Emitting Diode)74とを有する。制御部6は制御回路61とメモリ62、タイマ63とを有し、メモリ62にはタイマ63の設定時間や入出力の設定などが記憶される。
【0039】
図5に示すように、警報スピーカ73は圧電素子からなるスピーカであって、発振回路によって周波数が調整される。本発明で使用する報知手段に特に限定はないが、消費電力の少なさから圧電素子スピーカが好ましく使用される。
【0040】
図6に警報装置ALの制御フローチャートを示す。主スイッチ72が入れられると制御部(ICチップ)のピンRA2,RA4,RA5(図5に図示)の入力ピンか出力ピンかが設定される(ステップS101)。続いて、各種の初期設定がなされる。すなわち、RA5=1(警報スピーカ停止)、RA2=0(LED点灯)、タイマクリアとされる(ステップS102)。その後タイマーが60秒以上経過したかどうかが判断される(ステップS103)。すなわち、警報装置ALの主スイッチ72を入れてから取付対象物に警報装置ALを設置するまでの作業における揺れセンサSの揺れは検知しないようにする。タイマが60秒経過するとRA2=1となってLED74が消灯する(ステップS104)。次に、RA4に入力されている状態が変数aに保存される(ステップS105)。すなわち、揺れセンサSが第1状態(オフ状態)であるか第2状態(オン状態)であるかがメモリ62に保存される。そして、RA4に入力される状態が変化したかどうかが判断される(ステップS106)。すなわち、揺れセンサSが第1状態から第2状態、または第2状態から第1状態に変化したかどうかが判断される。RA4に入力される状態が保持されている状態と異なると揺れが発生したとして、タイマがクリアされ、RA2=0(LED点灯)、RA5=0(警報スピーカ発音)とされる(ステップS107)。そして、タイマが10秒以上経過したかどうかが判断される(ステップS108)。つまり10秒間警報スピーカ73は発音し、LED74は点灯する。タイマが10秒経過すると、タイマはクリアされ、RA2=1となってLED74が消灯し、RA5=1(警報スピーカ停止)とされる(ステップS109)。次いで、タイマが3秒以上経過したかどうかが判断される(ステップS110)。タイマが3秒経過すると、ステップS105に戻ってRA4に入力されている状態が変数aに保存される。そして、ステップS106からステップS110までの上記の制御が主スイッチ72が切られるまで繰り返し行われる。
【0041】
なお、警報装置ALの上記制御においてタイマの設定時間などは外部入力操作によって所望の設定値に変更可能である。
【0042】
(使用形態)
(賽銭箱)
本発明の警報装置ALは、例えば賽銭箱内に設置し盗難防止に使用することができる。図7は本発明に係る警報装置ALが賽銭箱MBに設置された一例を示す斜視図である。
【0043】
賽銭箱MBは、上面開口で略直方体形状の箱本体81と、箱本体81の内底部に位置し、箱本体81に対して出し入れ可能な賽銭受け部82とを備える。箱本体81の上面開口部には、下面が水平面で左右方向に延在する三角柱811が、硬貨及び紙幣が通過可能な隙間を有して前後方向に所定間隔で設けられている。また、箱本体81の右側壁の下部には賽銭受け部82を出し入れ可能な収納開口812が設けられている。賽銭受け部82は上面開口の直方体形状であって、底面積は箱本体81の内底面と同じか僅かに小さく、高さは箱本体81の収納開口812の高さと同じか僅かに小さい。賽銭受け部82の高さは一般に数cm~十数cm程度の範囲で箱本体81の大きさに合わせて適宜決定される。そして、賽銭受け部82が収納開口812から箱本体81内に収納された状態において賽銭受け部82の右側壁と箱本体81の右側壁の外面は面一となるよう設定されている。
【0044】
このような構成の賽銭箱の賽銭受け部82内に警報装置ALが載置される。警報装置ALは賽銭受け部82内に単に載置されるだけでよくその他の設置作業は不要である。具体的には警報装置ALの主スイッチ72がオンにされるとLED74が点灯して制御の開始が報知される。図6に示した制御フローチャートが実行される場合には、主スイッチ72がオンされてから60秒以内に、警報装置ALが賽銭受け部82内に載置され賽銭受け部82は収納開口812から箱本体81内に収納されて、箱本体81と賽銭受け部82と間に掛け金83が設けられ丸カン84に南京錠(不図示)が取り付けられる。すなわち主スイッチ72がオンされてから60秒以内は揺れセンサSが揺れを検知しても報知手段が作動しない、警報装置ALが所定の位置に設置されるため猶予時間である。勿論、猶予時間は制御部6への外部入力設定により変更可能である。
【0045】
なお、警報装置ALの設置にあたっては、揺れセンサSの第1板状部材1の上面が水平となるように警報装置ALは設置されるのが望ましい。すなわち、第1板状部材1が水平状態で球体3が第1状態にあると、揺れセンサSは上下方向を除くあらゆる方向の揺れを検知可能となる。
【0046】
揺れセンサSの水平状態の調整は例えば図8に示すような構造とすることによって行うことができる。図8に示す揺れセンサSは、周壁部材4の外周に周壁部材4に対して垂直に外方に突出する軸部41を有する。軸部41は、警報装置ALのケースCAの壁に形成された外部と内部とを貫通する孔43を挿通し、外部に突出した軸部41の端部に軸部41よりも大径の円柱状のツマミ42が設けられている。ツマミ42が回動されることによって揺れセンサSが揺動し、揺れセンサSの水平状態が調整可能とされる。
【0047】
このような警報装置ALが設置された賽銭箱MBにおいて、警報装置ALは上下方向の揺れの検知は鈍いので、賽銭が投入されて賽銭受け部82に落下したことで警報装置ALの警報スピーカ73が発音することは十分に抑制される。一方、賽銭箱MBが持ち上げられた場合や傾けられた場合、賽銭受け部82が箱本体81から引き出された場合には警報装置ALの警報スピーカ73が所定時間(10秒間)発音する。また従来の装置と異なって、警報装置ALでは、賽銭受け部82が水平を維持しながらゆっくりと賽銭箱から引き出されたときでも、球体3が慣性力によって相対的に移動して警報装置ALは賽銭受け部82の移動(揺れ)を検知し警報スピーカ73が発音される。
【0048】
(ドア開閉検知)
本発明の警報装置ALはドアの開閉検知にも使用することができる。図9は本発明に係る警報装置ALが回動式ドアDRに設置された一例を示す斜視図である。警報装置ALはドアDRの取っ手HDの上方位置に取り付けられている。ドアDRが開閉されると揺れセンサSが揺れを検知し警報装置ALの警報スピーカ73が発音する。警報装置ALの設置位置はドアDRの開閉によって揺れセンサSが揺れる位置であれば特に限定はない。なお、前述のように、警報装置ALの設置にあたっては、揺れセンサSの第1板状部材1の上面が水平となるように、図8に示す揺れセンサSのツマミ42が回動されて揺れセンサSが回動される。
【0049】
なお、警報装置ALによるドアDRの開閉検知が、例えば来客を知らせる等の場合には、警報スピーカ73からの発音は来客者に驚きや不快感を与えない音色にするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の揺れセンサによれば、部品点数が少なく小型化や軽量化が可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1 第1板状部材
2 第2板状部材
3 球体
4 周壁部材
5 蓋体
6 制御部(制御手段)
11 凹部
21 開口部
71 電源
72 主スイッチ
73 警報スピーカ(報知手段)
74 LED
d 球体の直径
D 周壁部材の内径
H 第1板状部材と第2板状部材との間隔
L 開口部の内径
S 揺れセンサ
AL 警報装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9