(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034869
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/10 20060101AFI20230306BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230306BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20230306BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20230306BHJP
【FI】
G08B25/10 A
G08B25/04 K
G08B21/02
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141318
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森野 弘之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 靖
(72)【発明者】
【氏名】羽立 征治
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
5C086AA53
5C086BA19
5C086BA22
5C086CA06
5C086CB27
5C086DA08
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA02
5C087AA32
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD15
5C087DD28
5C087EE05
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG10
5C087GG66
5C087GG84
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】作業員への誤警告を回避しつつ、対象物と作業員との接触をより確実に回避することができる監視システムを提供する。
【解決手段】監視システム20は、対象物11と作業員12A,12Bとが接触しないように監視空間10を監視するシステムである。監視システム20は、測位システム30と警告システム40とを有する。測位システム30は、UWB電波を用い、監視空間10において、複数のアンカー31と通信可能なタグであって作業員が所持する作業員タグ33について、複数のアンカー31に対する位置を測位する。警告システム40は、アンカー31を基準として、対象物11と作業員12A,12Bとが接触する可能性のある危険エリア15を監視空間10に設定し、測位システム30が測位した作業員タグ33の位置が危険エリア15である場合に、当該作業員タグ33を所持している作業員12Bに警告を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視空間を移動可能な対象物と前記監視空間で作業する作業員とが接触しないように監視する監視システムであって、
UWB電波を用い、前記監視空間において、複数のアンカーと通信可能なタグであって前記作業員が所持する作業員タグについて、前記複数のアンカーに対する位置を測位する測位システムと、
前記アンカーを基準として、前記対象物と前記作業員とが接触する可能性のある危険エリアを前記監視空間に設定し、前記測位システムが測位した前記作業員タグの位置が前記危険エリアである場合に、当該作業員タグを所持している作業員に警告を行う警告システムと、を備える
監視システム。
【請求項2】
前記タグとして、前記監視空間における安全エリアを示す安全エリアタグを有し、
前記測位システムは、前記安全エリアタグについて前記複数のアンカーに対する位置を測位し、
前記警告システムは、前記安全エリアタグの位置に基づいて前記監視空間に安全エリアを設定し、前記安全エリア以外のエリアに前記危険エリアを設定する
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視空間がトンネル内の空間であり、
前記対象物が前記トンネルを走行する走行車両であり、かつ、前記複数のアンカーが前記走行車両に設置されており、
前記警告システムは、前記走行車両の周囲を前記危険エリアに設定する
請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記警告システムは、前記走行車両の進行方向および進行速度を取得し、前記取得した進行方向および進行速度に応じて前記危険エリアを設定する
請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記監視空間が立坑内の空間であり、
前記対象物が吊り荷であり、
前記タグとして、前記吊り荷に搭載される吊り荷タグを有し、
前記測位システムは、
前記立坑の深度に応じて前記複数のアンカーが設置されているとともに、前記吊り荷タグについて前記複数のアンカーに対する位置を測位し、
前記警告システムは、
前記吊り荷タグの直下のエリアを前記危険エリアに設定する
請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項6】
前記警告システムは、
前記吊り荷の形状を取得し、前記取得した形状に基づいて、前記吊り荷の直下のエリアを前記危険エリアに設定する
請求項5に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物と作業員との接触が回避されるように監視空間を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場などにおいては、作業員の安全を確保する必要がある。こうした作業員の安全を確保するシステムとして、例えば、特許文献1のようなシステムが知られている。特許文献1のシステムでは、建設現場に要注意領域が設けられている。そして、その要注意領域に、該要注意領域にかかわる特定の作業員とコミュニケーションがとれていない作業員がいる場合に、その作業員に対して警告を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、作業に集中しているときなどに、作業員が特定の作業員とのコミュニケーションを忘れ、警告を行う必要がない作業員に対して警告を行ってしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する監視システムは、監視空間を移動可能な対象物と前記監視空間で作業する作業員とが接触しないように監視する監視システムであって、UWB電波を用い、前記監視空間において、複数のアンカーと通信可能なタグであって前記作業員が所持する作業員タグについて、前記複数のアンカーに対する位置を測位する測位システムと、前記アンカーを基準として、前記対象物と前記作業員とが接触する可能性のある危険エリアを前記監視空間に設定し、前記測位システムが測位した前記作業員タグの位置が前記危険エリアである場合に、当該作業員タグを所持している作業員に警告を行う警告システムと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作業員への誤警告を回避しつつ、対象物と作業員との接触をより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】監視システムの一実施形態の概略構成を示す図。
【
図2】第1実施形態における監視システムの概略構成を示す図。
【
図3】第1実施形態において、情報処理装置が実行する処理の一例を示す図。
【
図4】第2実施形態における監視システムの概略構成を示す図。
【
図5】第2実施形態において、情報処理装置が実行する処理の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(監視システムの概略構成)
図1を参照して、監視システムの一実施形態の概略構成について説明する。
図1に示すように、監視システム20は、監視空間10を移動可能な対象物11と監視空間10で作業する作業員12A,12Bとの接触が回避されるように監視空間10を監視するシステムである。監視空間10は、トンネルや立坑など、衛星測位システム(GNSS)に基づく信号の受信環境が悪い空間である。
【0009】
監視システム20は、測位システム30と警告システム40とを備えて構成されている。
測位システム30は、UWB(Ultra Wide Band)電波を利用して通信可能なタグと複数のアンカー31のほか、データ収集器32を有する。タグのうち、作業員が所持するタグは、作業員タグ33である。アンカー31は、その受信範囲に位置する作業員タグ33からのUWB電波を受信する。アンカー31は、受信したUWB電波に基づく信号をデータ収集器32に出力する。データ収集器32は、各アンカー31からの信号に基づいて、各アンカー31から作業員タグ33までの距離を算出する。データ収集器32は、算出した距離を測位データとして警告システム40に送信する。
【0010】
警告システム40は、アクセスポイント41を介して無線通信可能な情報処理装置42と端末43とを有する。アクセスポイント41は、監視空間10の全エリアが情報処理装置42と端末43の通信範囲に含まれるように監視空間10の各所に設置されている。
【0011】
情報処理装置42は、各種情報を取得し、その取得した各種の情報、および、メモリーに記憶したプログラムや各種のデータに基づいて各種の処理を実行する。情報処理装置42は、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、或いは、それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0012】
情報処理装置42は、予め入力されるエリア条件を記憶する記憶部45を有する。情報処理装置42は、記憶部45に記憶したエリア条件に基づいて、複数のアンカー31のうちの1つを原点とした座標系を監視空間10に設定するとともに監視空間10の座標系に危険エリア15を設定する。情報処理装置42は、データ収集器32が送信した測位データに基づいて、監視空間10の座標系における作業員タグ33の座標を算出する。情報処理装置42は、危険エリア15と作業員タグ33の座標とに基づいて、危険エリア15に位置している作業員12Bに対して警告を行う。
【0013】
警告を行う際、情報処理装置42は、作業員12Bが所持する端末43に対して、アクセスポイント41を介して警告信号を送信する。警告信号を受信した端末43は、警告音を発することにより、危険エリア15に位置していることを作業員12Bに通知する。
【0014】
(第1実施形態)
図2および
図3を参照して、監視システム20の第1実施形態について説明する。
図2に示すように、第1実施形態の監視システム20においては、トンネル50の坑内を監視空間、トンネル50に敷設された軌条設備51を走行する走行車両52を対象物としている。監視システム20は、走行中の走行車両52と作業員12C,12D,12Eとの接触が回避されるようにトンネル50内を監視する。なお、
図2において示されている各種のタグは、各アンカー31の受信範囲内にあるものを示している。また、走行車両52の進行方向をX方向、上面視においてX方向に直交する方向をY方向、高さ方向をZ方向という。
【0015】
この監視システム20の測位システム30では、複数のアンカー31(本実施形態では4つ)およびデータ収集器32が走行車両52に搭載されている。
この監視システム20の警告システム40では、アクセスポイント41がトンネル50の各所に設置されているとともに情報処理装置42が走行車両52に搭載されている。
【0016】
この監視システム20では、複数のアンカー31と通信可能なタグとして、トンネル50における安全エリア55を示す安全エリアタグ56A,56B,56Cが設置されている。安全エリアタグ56A,56B,56Cは、例えば、軌条設備51から離れた位置にトンネル50に沿うように設置された作業員通路の手摺に固定されている。なお、
図2においては、3つの安全エリアタグ56A,56B,56Cのみを図示しているが、図示範囲の+X方向側にも安全エリアタグが設置されている。
【0017】
情報処理装置42には、エリア条件として、トンネル50の座標系における原点となる1つのアンカー31、該アンカー31を基準とした他のアンカー31の座標、危険エリア条件、安全エリア条件が予め入力される。
【0018】
第1実施形態の危険エリア条件には、上面視において、原点となるアンカー31を中心とする半径が危険距離Lの円のうち、該アンカー31よりも走行車両52の進行方向側に位置する座標を危険エリア15とすることが規定されている。
【0019】
また、危険エリア条件は、危険距離Lについての条件を含んでいる。具体的には、走行車両52の進行速度が大きいほど危険距離Lが大きくなるように、走行車両52の進行速度ごとの危険距離Lが危険エリア条件に規定されている。
【0020】
第1実施形態の安全エリア条件は、作業員通路が安全エリア55となる条件である。具体的に、安全エリア条件には、安全エリアタグ56A,56B,56Cを順に結んだ境界線57を境界として、Y方向における走行車両52の反対側に位置する座標を安全エリア55とすることが規定されている。
【0021】
(情報処理装置が実行する処理)
第1実施形態の監視システム20において、情報処理装置42が実行する一連の処理について説明する。なお、この一連の処理は、繰り返し実行される。
【0022】
図3に示すように、情報処理装置42は、データ収集器32が送信した測位データを受信すると(ステップS101)、安全エリアタグ56A,56B,56Cの座標と安全エリア条件とに基づいて、作業員通路を安全エリア55に設定する(ステップS102)。
【0023】
次に、情報処理装置42は、X方向における各安全エリアタグ56A,56B,56Cの座標変化に基づいて、走行車両52の進行方向を取得するとともに(ステップS103)、走行車両52の進行速度を算出する(ステップS104)。そして、情報処理装置42は、算出した進行速度と危険エリア条件とに基づいて、その進行速度に応じた危険距離Lを設定する(ステップS105)。
【0024】
次に、情報処理装置42は、危険エリアを設定する(ステップS106)。具体的には、情報処理装置42は、安全エリア55を除いたエリアに対し、原点となるアンカー31を基準として、ステップS105で設定した危険距離L内のエリアであって、ステップS103で取得した走行車両52の進行方向側のエリアを危険エリア15に設定する。
【0025】
そして、情報処理装置42は、ステップS101で受信した測位データに基づく作業員タグ33の座標とステップS106で設定した危険エリア15とに基づいて、作業員が危険エリア15にいるか否かを判断する(ステップS107)。
【0026】
危険エリア15に作業員がいない場合(ステップS107:NO)、情報処理装置42は、一連の処理を終了する。一方、危険エリア15に作業員がいる場合(ステップS107:YES)、情報処理装置42は、その作業員が所持する端末43に対して、アクセスポイント41を介して警告信号を送信する(ステップS108)。警告信号を受信した端末43は、警告音を発することで作業員に対して危険エリアに位置していることを通知して一連の処理を終了する。例えば、
図3に示すように、危険エリア15に作業員12Dがいる場合、危険エリア15にいる作業員12Dに対してのみ警告が行われる。一方、安全エリア55にいる作業員12Cと危険エリア15外にいる作業員12Eとに対しては警告が行われることがない。
【0027】
第1実施形態の監視システム20によれば、以下の説明する効果を得ることができる。
(1-1)監視システム20は、トンネル50を移動可能な走行車両52とトンネル50で作業する作業員とが接触しないように監視するシステムである。監視システム20は、UWB電波を用いた測位システム30であって、複数のアンカー31と、複数のアンカー31と通信可能なタグであって作業員が所持する作業員タグ33と、を有し、トンネル50において複数のアンカー31に対するタグの位置を測位する測位システム30と、アンカー31を基準として、走行車両52と作業員とが接触する可能性のある危険エリア15をトンネル50に設定し、測位システム30が測位した作業員タグ33の座標が危険エリア15である場合に、当該作業員タグ33を所持している作業員12Dに警告を行う警告システムと、を備える。
【0028】
このようにUWB電波を用いることで、衛星測位システム(GNSS)に基づく信号の受信環境が悪い空間であっても、危険エリア15のエリア設定や作業員12の座標についての精度を高めることができる。これにより、作業員に対する誤警告に加えて、対象物である走行車両52と作業員12Dとの接触をより確実に回避することができる。
【0029】
(1-2)監視システム20は、タグとして、トンネル50における安全エリア55を示す安全エリアタグ56A,56B,56Cを有する。警告システム40は、安全エリアタグ56A,56B,56Cの座標に基づいて安全エリア55を設定し、安全エリア55以外のエリアに危険エリア15を設定する。これにより、安全エリアタグ56A,56B,56Cの設置位置に応じて安全エリア55を設定することができるとともに、その安全エリア55にいる作業員への誤警告を回避することができる。
【0030】
(1-3)監視システム20においては、複数のアンカー31が走行車両52に設定されている。また、警告システム40は、走行車両52の周囲を危険エリア15に設定する。これにより、トンネル50の座標系が走行車両52を中心として設定されることから、走行車両52の移動に合わせて危険エリア15を設定することができる。
【0031】
(1-4)警告システム40は、走行車両52の進行方向を取得し、取得した進行方向に応じて危険エリア15を設定する。これにより、走行車両52の進行方向とは反対側にいる作業員への誤警告を回避することができる。
【0032】
(1-5)警告システム40は、走行車両52の進行速度を取得し、取得した走行車両52の進行速度が大きいほど危険距離Lが大きい危険エリア15を設定する。これにより、進行速度が大きいほど、より遠くにいる作業員に対して警告することができる。その結果、走行車両52の制動距離を加味したうえで作業員に対して警告することができる。
【0033】
(第2実施形態)
図4および
図5を参照して、上述した監視システム20の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の監視システム20は、第1実施形態における監視システム20と主要な構成が同じである。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。
【0034】
図4に示すように、第2実施形態の監視システム20においては、トンネルに通じる立坑60を監視空間、クレーン61によって立坑60内を移動可能な吊り荷62を対象物としている。監視システム20は、吊り荷62と作業員12F,12Gとの接触が回避されるように立坑60を監視する。
【0035】
測位システム30において、複数のアンカー31は、立坑60の側壁60Sに設置されている。複数のアンカー31は、各アンカー31の受信範囲を考慮しつつ、立坑60内の広い範囲(例えば、立坑60内の全エリア)が受信範囲となるように設置される。複数のアンカー31は、第1深度付近に設置された複数の第1アンカー31Aと、第1深度よりも深い第2深度付近に設置された複数の第2アンカー31Bと、を含んでいる。
【0036】
測位システム30において、第1アンカー31Aおよび第2アンカー31Bと通信可能なタグには、吊り荷62の所定位置(クレーン61のフック位置付近)に取り付けられた吊り荷タグ65が含まれている。測位システム30において、データ収集器32は、複数の第1アンカー31Aからの信号を受信する第1データ収集器32Aと、複数の第2アンカー31Bからの信号を受信する第2データ収集器32Bと、を含んでいる。第1データ収集器32Aは、各第1アンカー31Aからの信号に基づいて算出した各種タグまでの距離を第1測位データとして情報処理装置42に送信する。第2データ収集器32Bは、各第2アンカー31Bからの信号に基づいて算出した各種タグまでの距離を第2測位データとして情報処理装置42に送信する。
【0037】
警告システム40において、アクセスポイント41は、立坑60内の全エリアが通信範囲となるように、立坑60の側壁60Sなどの各所に設置されている。
警告システム40は、上方から見た吊り荷62の形状を撮像する撮像機67を有する。撮像機67は、例えば、クレーン61に設置される。撮像機67は、情報処理装置42と通信可能に構成されている。撮像機67は、吊り荷62を撮像した撮像データを情報処理装置42に送信する。なお、吊り荷タグ65は、撮像機67に対する相対位置が所定位置となるように吊り荷62に取り付けられる。
【0038】
情報処理装置42には、エリア条件として、監視空間10の座標系における原点となる1つのアンカー(例えば、第1アンカー31Aのうちの1つ)、該アンカーを基準とした他のアンカーの座標、危険エリア条件が予め入力される。
【0039】
第2実施形態の危険エリア条件には、吊り荷タグ65の座標および撮像機67からの撮像データに基づいて、吊り荷62の直下に位置する座標であって、上面視において吊り荷62が内接する円に含まれる座標を危険エリア15とすることが規定されている。
【0040】
(情報処理装置が実行する処理)
第2実施形態の監視システム20において、情報処理装置42が実行する一連の処理について説明する。なお、この一連の処理は、クレーン61を用いた吊り荷62の搬送中に繰り返し実行される。
【0041】
図5に示すように、情報処理装置42は、撮像機67からの撮像データに基づいて、上面視における吊り荷62の形状を取得する(ステップS201)。また、情報処理装置42は、測位データを取得する(ステップS202)。ステップS202において、情報処理装置42は、第1データ収集器32Aが送信した第1測位データおよび第2データ収集器32Bが送信した第2測位データを受信する。
【0042】
次に、情報処理装置42は、危険エリア15を設定する(ステップS203)。具体的には、情報処理装置42は、受信した第1測位データおよび第2測位データに基づいて吊り荷タグ65の座標を算出する。情報処理装置42は、その吊り荷タグ65の座標、撮像データに基づく吊り荷62の形状、および、危険エリア条件に基づいて、吊り荷62の直下のエリアを危険エリア15に設定する。
【0043】
そして、情報処理装置42は、ステップS202で取得した第1測位データおよび第2即データに基づく作業員タグ33の座標とステップS203で設定した危険エリア15の座標とに基づいて、作業員が危険エリア15にいるか否かを判断する(ステップS204)。
【0044】
危険エリア15に作業員がいない場合(ステップS204:NO)、情報処理装置42は、一連の処理を一旦終了する。一方、危険エリア15に作業員がいる場合(ステップS204:YES)、情報処理装置42は、その作業員が所持する端末43に対して、アクセスポイント41を介して警告信号を送信する(ステップS205)。警告信号を受信した端末43は、警告音を発することで作業員に対して危険エリアに位置していることを通知する。例えば、
図4に示すように、危険エリア15にいる作業員12Gに対して警告が行われる。
【0045】
第2実施形態の監視システムによれば、第1実施形態に記載した(1-1)の効果に加えて、以下に説明する効果を得ることができる。。
(2-1)監視システム20は、立坑60内を移動可能な吊り荷62に対する作業員の接触を監視する。監視システム20は、タグとして、吊り荷62に搭載される吊り荷タグ65を有する。測位システム30は、立坑60の側壁60Sに複数のアンカー31が深度に応じて設置されているとともに、吊り荷タグ65について複数のアンカー31に対する位置を測位し、警告システム40は、吊り荷タグ65の直下のエリアを危険エリア15に設定する。これにより、GPSなどの電波が届かない立坑60において、吊り荷62と作業員との接触を回避することができる。
【0046】
(2-2)警告システム40は、吊り荷62を撮像する撮像機67を有する。警告システム40は、撮像機67が撮像した撮像データに基づいて吊り荷62の形状を取得する。警告システム40は、取得した吊り荷62の形状に基づいて、該吊り荷62の直下のエリアを危険エリアに設定することができる。
【0047】
第1実施形態および第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第1実施形態、第2実施形態、および、以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
・第2実施形態において、警告システム40は、吊り荷62の形状を撮像機67の撮像データに基づいて取得している。これに限らず、警告システム40は、情報処理装置42に対する手動入力により、吊り荷62の形状を取得してもよい。
【0049】
・第2実施形態において、警告システム40は、吊り荷62の形状に基づいて、吊り荷62の直下のエリアを危険エリア15に設定している。これに限らず、警告システム40は、吊り荷タグ65の座標を基準とした所定の大きさの円や四角形などの直下のエリアを危険エリア15に設定してもよい。
【0050】
・第2実施形態において、吊り荷62が水平方向に移動している場合、情報処理装置42は、吊り荷62の進行方向に応じて危険エリア15を変化させてもよい。具体的には、情報処理装置42は、吊り荷タグ65の座標の変化に基づいて吊り荷62の進行方向を取得する。そして、情報処理装置42は、その取得した進行方向側が大きくなるように危険エリア15を設定する。また、情報処理装置42は、吊り荷62の進行速度に応じて危険エリア15を変化させてもよい。具体的には、情報処理装置42は、吊り荷タグ65の座標の変化に基づいて吊り荷62の進行速度を取得する。そして、情報処理装置42は、その取得した進行速度が大きいほど、進行方向側が大きくなるように危険エリア15を設定する。また、情報処理装置42は、進行方向側へ長く延びる細長いエリアを危険エリア15に設定してもよい。
【0051】
・第1実施形態において、危険エリア15は、走行車両52の進行速度にかかわらず、同じ大きさのエリアであってもよい。
・第1実施形態において、危険エリア15は、走行車両52の進行方向側だけでなく、走行車両52の進行方向とは反対側のエリアに設定されてもよい。
【0052】
・第1実施形態において、情報処理装置42は、安全エリアタグ56A,56B,56Cの座標の変化に基づいて走行車両52の進行方向を取得した。これに限らず、情報処理装置42は、走行車両52の操作レバーの操作信号を取得し、その取得した操作信号に基づいて進行方向を取得してもよい。また、タグとして、進行方向を検出するための進行方向タグを監視空間10に固定配置するとともにその進行方向タグの座標の変化に基づいて走行車両52の進行方向を取得してもよい。
【0053】
・第2実施形態において、立坑60内に安全エリアが設定されてもよい。立坑60においては、例えば、複数の安全エリアタグ56A,56B,56Cを順に結んで囲まれる部分の直下のエリアを安全エリアに設定することができる。
【0054】
・第1実施形態において、安全エリアは、安全エリアタグ56A,56B,56Cの座標に基づいて設定される構成に限られない。例えば、安全エリアは、監視空間10を仮想的に再現可能なBIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)などに基づいて予め設定されてもよい。こうした構成においては、安全エリアの位置とトンネル50の各所に予め設置される安全エリア基準タグの位置とがモデルに含まれている。情報処理装置42は、安全エリア基準タグの位置と複数のアンカー31との相対位置に基づいて、複数のアンカー31に対する安全エリアの位置を特定する。これは、第2実施形態において安全エリアを設定する場合も同様である。
【符号の説明】
【0055】
10…監視空間、11…対象物、12…作業員、15…危険エリア、20…監視システム、30…測位システム、31…アンカー、31A…第1アンカー、31B…第2アンカー、32…データ収集器、32A…第1データ収集器、32B…第2データ収集器、33…作業員タグ、40…警告システム、41…アクセスポイント、42…情報処理装置、43…端末、45…記憶部、50…トンネル、51…軌条設備、52…走行車両、53…端末、55…安全エリア、56…安全エリアタグ、57…境界線、60…立坑、60S…側壁、61…クレーン、62…吊り荷、65…吊り荷タグ、67…撮像機。