(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034935
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ワーク加工方法およびレーザ加工機
(51)【国際特許分類】
B23K 26/36 20140101AFI20230306BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20230306BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20230306BHJP
B23K 26/0622 20140101ALI20230306BHJP
【FI】
B23K26/36
B23K26/073
B23K26/08
B23K26/0622
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141429
(22)【出願日】2021-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】太田 道春
(72)【発明者】
【氏名】近藤 昌樹
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AB01
4E168AD03
4E168AD18
4E168CB02
4E168DA34
4E168DA46
4E168DA47
4E168DA54
4E168EA13
4E168EA17
4E168EA19
4E168HA00
4E168JA02
4E168KA07
(57)【要約】
【課題】ワークの加工時間を短縮しつつ、ワークに所望の形状を有する複数の凹部を加工することが可能なワーク加工方法およびレーザ加工機、を提供する。
【解決手段】ワーク加工方法は、扁平状レーザ光をワークWに向けてパルス状に照射する照射区間Saと、扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間Sbとを交互に実行するように、レーザ光出射部より扁平状レーザ光を出射するステップと、ワークWおよびレーザ光出射部の移動方向と、扁平状レーザ光の長軸方向とがなす角度が、ワークWおよびレーザ光出射部の移動方向と、扁平状レーザ光の短軸方向とがなす角度よりも大きくなり、かつ、複数回実行される照射区間Saの間において、各照射区間Saで扁平状レーザ光が照射されるワークW上の領域が互いに重なり合わないように、ワークWおよびレーザ光出射部を相対的に移動させるステップとを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状レーザ光をワークに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間と、前記ワークに対する前記扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間とを交互に実行するように、レーザ光出射部より前記扁平状レーザ光を出射するステップを備え、
前記扁平状レーザ光は、その光軸に直交する平面により切断された場合に、短軸方向と、前記短軸方向と直交し、前記短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有し、さらに、
前記レーザ光出射部から前記ワークに向けて出射される前記扁平状レーザ光の光軸方向に見て、前記ワークおよび前記レーザ光出射部の移動方向と、前記長軸方向とがなす角度がαであり、前記ワークおよび前記レーザ光出射部の移動方向と、前記短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αは、角度βよりも大きくなり、かつ、複数回実行される前記照射区間の間において、各前記照射区間で前記扁平状レーザ光が照射される前記ワーク上の領域が互いに重なり合わないように、前記レーザ光出射部により前記照射区間および前記停止区間が交互に実行される間、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を相対的に移動させるステップを備える、ワーク加工方法。
【請求項2】
前記角度αは、90°である、請求項1に記載のワーク加工方法。
【請求項3】
前記扁平状レーザ光は、長円断面を有する、請求項1または2に記載のワーク加工方法。
【請求項4】
前記相対的に移動させるステップ時、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を一定速度で相対的に移動させる、請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク加工方法。
【請求項5】
前記扁平状レーザ光を出射するステップ時、前記照射区間において、前記扁平状レーザ光を前記ワークに向けてパルス状に照射する、請求項1から4のいずれか1項に記載のワーク加工方法。
【請求項6】
前記ワークは、円筒形状を有し、
前記扁平状レーザ光を出射するステップ時、前記レーザ光出射部より前記ワークの周面に向けて前記扁平状レーザ光を出射し、
前記相対的に移動させるステップ時、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を、前記ワークの軸方向、かつ、前記ワークの周方向に相対的に移動させる、請求項1から5のいずれか1項に記載のワーク加工方法。
【請求項7】
前記扁平状レーザ光を出射するステップ時、前記ワークの軸方向に互いに間隔を設けて配置される複数の前記レーザ光出射部より前記ワークの周面に向けて、前記扁平状レーザ光を出射する、請求項6に記載のワーク加工方法。
【請求項8】
レーザ光を、扁平状レーザ光とする光学部品を備え、
前記扁平状レーザ光は、その光軸に直交する平面により切断された場合に、短軸方向と、前記短軸方向と直交し、前記短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有し、さらに、
前記扁平状レーザ光をワークに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間と、前記ワークに対する前記扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間とを交互に実行するように、前記扁平状レーザ光を出射するレーザ光出射部と、
前記レーザ光出射部から前記ワークに向けて出射される前記扁平状レーザ光の光軸方向に見て、前記ワークおよび前記レーザ光出射部の移動方向と、前記長軸方向とがなす角度がαであり、前記ワークおよび前記レーザ光出射部の移動方向と、前記短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αは、角度βよりも大きくなり、かつ、複数回実行される前記照射区間の間において、各前記照射区間で前記扁平状レーザ光が照射される前記ワーク上の領域が互いに重なり合わないように、前記レーザ光出射部により前記照射区間および前記停止区間が交互に実行される間、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を相対的に移動させる移動機構部とを備える、レーザ加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワーク加工方法およびレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2009-131896号公報(特許文献1)には、金属材料からなるローラの表面に複数の凹部を形成するためのローラ加工方法が開示されている。特許文献1に開示されるローラ加工方法は、ローラを回転させる工程と、回転されるローラの位置を検出する工程と、ローラが一回転する毎にレーザ光をローラの表面の同一箇所に照射することを複数回繰り返して、ローラの表面に凹部を形成する工程とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザヘッドからワークに向けてレーザ光を照射することにより、ワーク表面に複数の凹部を加工するワーク加工方法が知られている。このようなワーク加工方法において、レーザヘッドからワークに向けたレーザ光の照射と、レーザヘッドおよび/またはワークの移動および停止とを交互に繰り返すことによって、ワーク表面に複数の凹部を加工する場合が想定される。
【0005】
しかしながら、この場合、レーザ光の照射の合間に、レーザヘッドおよび/またはワークを加減速させるための時間を要するため、ワークの加工時間が長くなる。一方、レーザヘッドおよび/またはワークを移動させたまま、レーザ光を照射すると、レーザ光の照射領域がレーザヘッドおよびワークの相対的な移動方向に間延びするため、所望の形状の凹部を加工することができない。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、ワークの加工時間を短縮しつつ、ワークに所望の形状を有する複数の凹部を加工することが可能なワーク加工方法およびレーザ加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従ったワーク加工方法は、扁平状レーザ光をワークに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間と、ワークに対する扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間とを交互に実行するように、レーザ光出射部より扁平状レーザ光を出射するステップを備える。扁平状レーザ光は、その光軸に直交する平面により切断された場合に、短軸方向と、短軸方向と直交し、短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有する。ワーク加工方法は、レーザ光出射部からワークに向けて出射される扁平状レーザ光の光軸方向に見て、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、長軸方向とがなす角度がαであり、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αは、角度βよりも大きくなり、かつ、複数回実行される照射区間の間において、各照射区間で扁平状レーザ光が照射されるワーク上の領域が互いに重なり合わないように、レーザ光出射部により照射区間および停止区間が交互に実行される間、ワークおよびレーザ光出射部を相対的に移動させるステップをさらに備える。
【0008】
このように構成されたワーク加工方法によれば、レーザ光出射部により、照射区間と、停止区間とを交互に実行する間、移動機構部により、ワークおよびレーザ光出射部を相対的に移動させる。これにより、ワークおよびレーザ光出射部を相対的に移動させ続けながら、ワークに複数の凹部を加工することが可能となるため、ワークの加工時間を短縮することができる。また、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、扁平状レーザ光の長軸方向および短軸方向とがそれぞれなす角度αおよび角度βが、α>βの関係を満たすように、移動機構部によりワークおよびレーザ光出射部を相対的に移動させる。これにより、各照射区間で扁平状レーザ光が照射されるワーク表面上の領域が、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向に間延びすることを抑制して、ワークに所望の形状を有する複数の凹部を加工することができる。
【0009】
また好ましくは、角度αは、90°である。
【0010】
このように構成されたワーク加工方法によれば、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、扁平状レーザ光の長軸方向とを直交関係とすることによって、各照射区間で扁平状レーザ光が照射されるワーク表面上の領域が、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向に間延びすることをより効果的に抑制できる。
【0011】
また好ましくは、扁平状レーザ光は、長円断面を有する。
【0012】
このように構成されたワーク加工方法によれば、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、長円断面を有する扁平状レーザ光の長軸方向および短軸方向とがそれぞれなす角度αおよび角度βが、α>βの関係を満たすことによって、各照射区間で扁平状レーザ光が照射されるワーク表面上の領域が、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向に間延びすることを抑制できる。
【0013】
また好ましくは、相対的に移動させるステップ時、ワークおよびレーザ光出射部を一定速度で相対的に移動させる。
【0014】
このように構成されたワーク加工方法によれば、レーザ光出射部および移動機構部の制御を簡易にしつつ、ワークに複数の凹部を加工することができる。
【0015】
また好ましくは、扁平状レーザ光を出射するステップ時、照射区間において、扁平状レーザ光をワークに向けてパルス状に照射する。
【0016】
このように構成されたワーク加工方法によれば、ワークにレーザ光による熱損傷が生じることを抑制できる。
【0017】
また好ましくは、ワークは、円筒形状を有する。扁平状レーザ光を出射するステップ時、レーザ光出射部よりワークの周面に向けて扁平状レーザ光を出射する。相対的に移動させるステップ時、ワークおよびレーザ光出射部を、ワークの軸方向、かつ、ワークの周方向に相対的に移動させる。
【0018】
このように構成されたワーク加工方法によれば、円筒形状を有するワークの周面に、螺旋状に並ぶ複数の凹部を、短時間で、かつ、高精度に加工することができる。
【0019】
また好ましくは、扁平状レーザ光を出射するステップ時、ワークの軸方向に互いに間隔を設けて配置される複数のレーザ光出射部よりワークの周面に向けて、扁平状レーザ光を出射する。
【0020】
このように構成されたワーク加工方法によれば、円筒形状を有するワークの周面に、螺旋状に並ぶ複数の凹部をさらに短時間で加工することができる。
【0021】
この発明に従ったレーザ加工機は、レーザ光を、扁平状レーザ光とする光学部品を備える。扁平状レーザ光は、その光軸に直交する平面により切断された場合に、短軸方向と、短軸方向と直交し、短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有する。レーザ加工機は、扁平状レーザ光をワークに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間と、ワークに対する扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間とを交互に実行するように、扁平状レーザ光を出射するレーザ光出射部と、レーザ光出射部からワークに向けて出射される扁平状レーザ光の光軸方向に見て、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、長軸方向とがなす角度がαであり、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αは、角度βよりも大きくなり、かつ、複数回実行される照射区間の間において、各照射区間で扁平状レーザ光が照射されるワーク上の領域が互いに重なり合わないように、レーザ光出射部により照射区間および停止区間が交互に実行される間、ワークおよびレーザ光出射部を相対的に移動させる移動機構部とをさらに備える。
【0022】
このように構成されたレーザ加工機によれば、ワークの加工時間を短縮しつつ、ワークに所望の形状を有する複数の凹部を加工することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上に説明したように、この発明に従えば、ワークの加工時間を短縮しつつ、ワークに所望の形状を有する複数の凹部を加工することが可能なワーク加工方法およびレーザ加工機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の実施の形態におけるワーク加工方法を用いたワーク加工の様子を示す図である。
【
図2】この発明の実施の形態におけるワーク加工方法を用いたワーク加工の様子を示す別の図である。
【
図3】この発明の実施の形態におけるワーク加工方法を用いたワーク加工の様子を示すさらに別の図である。
【
図4】ワークに対してレーザ光出射部が走査されるルートを模式的に示す図である。
【
図5】レーザ光出射部から出射されるレーザ光のレーザ出力の変化を模式的に示すグラフである。
【
図6】
図5中のレーザ光のレーザ出力の変化をより具体的に示すグラフである。
【
図7】パルスエネルギ、パルス間隔およびパルス数を示す図である。
【
図8】
図5中の照射区間および停止区間と、ワーク表面上のレーザ光の照射領域との関係を模式的に示す図である。
【
図9】
図8中のIX-IX線上の矢視方向に見たワークを示す断面図である。
【
図10】
図3中のワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、扁平状レーザ光の長軸方向および短軸方向とがなす角度の変形例を示す図である。
【
図11】
図5中に示すレーザ光のレーザ出力の変化の変形例を模式的に示すグラフである。
【
図12】ワークに向けた扁平状レーザ光の照射の形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0026】
図1から
図3は、この発明の実施の形態におけるワーク加工方法を用いたワーク加工の様子を示す図である。
図1から
図3を参照して、本実施の形態におけるワーク加工方法は、レーザ加工によりワークWを加工する方法である。
【0027】
ワークWは、鋳鉄等の金属からなる。ワークWは、中心軸110を中心とする円筒形状を有する。ワークWは、シリンダライナであり、エンジンブロックに設けられたシリンダボアに挿入される。
【0028】
本実施の形態におけるワーク加工方法は、ワークWの表面に複数の凹部を形成するための方法である。ワーク加工方法は、ワークWの内周面に、中心軸110を中心に螺旋状に並ぶ複数の凹部(ディンプル)を形成するための方法である。レーザ加工機10は、本実施の形態におけるワーク加工方法に用いられる。
【0029】
以下においては、レーザ加工機10の構造と、そのレーザ加工機10を用いた場合の本実施の形態におけるワーク加工方法とについて説明する。レーザ加工機10は、レーザヘッド31と、レーザ発振器41とを有する。
【0030】
レーザ発振器41は、ワークWの加工に用いられるレーザ光を発振する。レーザ発振器41で発振されたレーザ光は、光ファイバ42を通じてレーザヘッド31に導かれる。レーザヘッド31は、レーザ発振器41からのレーザ光をワークWに向けて照射する。レーザヘッド31は、レーザ光をワークWの内周面に向けて照射する。
【0031】
レーザヘッド31は、ヘッド本体32と、レーザ光出射部33とを有する。ヘッド本体32には、光ファイバ42が接続されている。
【0032】
レーザ光出射部33は、ヘッド本体32と一体に設けられている。ワークWの加工時、レーザ光出射部33は、ワークWと対向して位置決めされる。レーザ光出射部33(レーザヘッド31)は、円筒形状を有するワークWの内側に配置される。レーザ光出射部33は、ワークWの内周面と対向して位置決めされる。
【0033】
レーザヘッド31は、第1光学部品34と、第2光学部品35(本発明における「光学部品」に対応)と、第3光学部品36とをさらに有する。
【0034】
第1光学部品34、第2光学部品35および第3光学部品36は、レーザヘッド31におけるレーザ光の光路上に設けられている。第1光学部品34、第2光学部品35および第3光学部品36は、挙げた順に、レーザヘッド31におけるレーザ光の光路の上流側から下流側に並んでいる。第1光学部品34および第2光学部品35は、ヘッド本体32に配置されている。第3光学部品36は、レーザ光出射部33に配置されている。
【0035】
第1光学部品34は、レーザ発振器41からレーザヘッド31に導かれたレーザ光を平行光にする。第1光学部品34は、コリメーションレンズを含む。
【0036】
第2光学部品35は、第1光学部品34からのレーザ光を、扁平状レーザ光にする。第2光学部品35は、シリンドリカルレンズを含む。第2光学部品35は、扁平形状の開口部が設けられたマスクを含んでもよい。第2光学部品35は、回折型光学部品(DOE:Diffractive Optical Element)を含んでもよい。
【0037】
第3光学部品36は、第2光学部品35からの扁平状レーザ光をワークWの表面上に集光する。第3光学部品36は、集光レンズを含む。
【0038】
レーザ光出射部33は、第3光学部品36からの扁平状レーザ光Lを出射する。レーザ光出射部33から出射された扁平状レーザ光Lは、光軸120を中心に直進し、ワークWの表面(内周面)に照射される。
【0039】
なお、レーザヘッド31には、レーザ光の進行方向を変化させるためのミラー、または、レンズ等を保護するための保護ガラスなどの光学部品がさらに設けられてもよい。レーザ光は、ワーク上の加工位置まで、空間的にミラーにより伝送されてもよいし、光ファイバにより伝送されてもよい。
【0040】
図3に示されるように、扁平状レーザ光Lは、光軸120に直交する平面180により切断された場合に、短軸方向(矢印160に示される方向)と、短軸方向(矢印160に示される方向)と直交し、短軸方向(矢印160に示される方向)における長さdaよりも大きい長さdbの長軸方向(矢印170に示される方向)とを含む扁平断面を有する。扁平状レーザ光Lは、長円断面を有する。
【0041】
なお、扁平状レーザ光が有する扁平断面は、上記の長円形状に限られず、たとえば、菱形形状、長方形または平行四辺形などの多角形であってもよいし、互いに平行な2本の直線と、2本の直線の一方端に接続される半円と、2本の直線の他方端に接続される半円とが組み合わさったトラック形状であってもよい。
【0042】
扁平状レーザ光が有する扁平形状は、光軸120を通り、短軸方向に延びる直線を挟んで、対称形状を有することが好ましい。扁平状レーザ光が有する扁平形状は、光軸120を通り、長軸方向に延びる直線を挟んで、対称形状を有することが好ましい。
【0043】
レーザ光出射部33から出射された扁平状レーザ光Lは、ワークWの表面(内周面)に、レーザ光が照射される照射領域Gを形成する。照射領域Gは、扁平形状、より具体的には、長円形状を有する。
【0044】
図4は、ワークに対してレーザ光出射部が走査されるルートを模式的に示す図である。
図1から
図4を参照して、レーザ加工機10は、移動機構部21をさらに有する。移動機構部21は、ワークWおよびレーザ光出射部33を相対的に移動させる。移動機構部21は、ワークWおよびレーザ光出射部33を一定速度で相対的に移動させる。
【0045】
レーザ加工機10は、移動機構部21として、第1移動機構部21Aと、第2移動機構部21Bとをさらに有する。
【0046】
第1移動機構部21Aは、ワークWに対してレーザ光出射部33(レーザヘッド31)を移動させる。第1移動機構部21Aは、レーザ光出射部33(レーザヘッド31)を、ワークWの中心軸110の軸方向に移動させる。
【0047】
第1移動機構部21Aは、本体部22と、アーム部23とを有する。アーム部23は、本体部22から延出し、レーザヘッド31(ヘッド本体32)に接続されている。アーム部23は、ワークWの中心軸110の軸方向に延びている。本体部22には、アーム部23をワークWの中心軸110の軸方向に沿って進退させるための直動アクチュエータが内蔵されている。直動アクチュエータは、たとえば、モータと、モータから出力された回転運動を直線運動に変換して、アーム部23に伝達するラックピニオンとの組み合わせであってもよい。
【0048】
第2移動機構部21Bは、レーザ光出射部33に対してワークWを移動させる。第2移動機構部21Bは、ワークWを中心軸110を中心に回転させる。
【0049】
第2移動機構部21Bは、ワーク主軸からなる。第2移動機構部21Bは、チャック24を有する。チャック24は、ワークWを着脱可能に保持する。第2移動機構部21Bは、モータ駆動によって、チャック24により保持されたワークWを中心軸110を中心に回転させる。
【0050】
このような構成により、移動機構部21(第1移動機構部21A,第2移動機構部21B)は、ワークWおよびレーザ光出射部33を、ワークWの軸方向(中心軸110の軸方向)、かつ、ワークWの周方向(中心軸110を中心とする周方向)に相対的に移動させる。レーザ光出射部33は、ワークWの内周面と対向する姿勢を維持したまま、ワークWに対して、中心軸110を中心に螺旋状に走査される。
【0051】
なお、
図3および
図4、ならびに、後出の
図8、
図10および
図12中には、ワークWおよびレーザ光出射部33の相対的な移動方向(中心軸110を中心に螺旋状に延びる方向)が、矢印Dにより示されている。
【0052】
移動機構部21は、静止するワークWに対して、レーザ光出射部33(レーザヘッド31)を、ワークWの軸方向、かつ、ワークWの周方向に移動させるものであってもよいし、静止するレーザ光出射部33(レーザヘッド31)に対して、ワークWを、ワークWの軸方向、かつ、ワークWの周方向に移動(動作)させるものであってもよい。本発明における移動機構部は、ワーク加工に伴ってワークおよびレーザ光出射部を相対的に移動させることが可能なものであれば、特に限定されない。
【0053】
図5は、レーザ光出射部から出射されるレーザ光のレーザ出力(パルス出力)の変化を模式的に示すグラフである。
図6は、
図5中のレーザ光のレーザ出力の変化をより具体的に示すグラフである。
図7は、パルスエネルギ、パルス間隔およびパルス数を示す図である。
【0054】
図5から
図7を参照して、レーザ光出射部33は、扁平状レーザ光LをワークWに向けてパルス状に照射する照射区間Saと、ワークWに対する扁平状レーザ光Lの照射を停止する停止区間Sbとを交互に実行するように、扁平状レーザ光Lを出射する。
【0055】
照射区間Saでは、レーザ光出射部33から扁平状レーザ光Lのパルス波を連続的に出射する。パルス波は、パルス幅が1×10
-15sのオーダであるフェムト秒レーザである。パルス波のパルスエネルギ(
図6中の面積Kに相当)は、たとえば、1μJである。パルス波の間隔(パルス間隔)は、たとえば、0.2μsである。各照射区間Saにおけるパルス波の波数(パルス数)は、たとえば、50である。各照射区間Saの時間(t2-t1)は、たとえば、10μsである。各照射区間Saの時間は、10μs未満であってもよいし、5μs以下であってもよい。
【0056】
なお、パルス波として、パルス幅が1×10
-12sのオーダであるピコ秒レーザが用いられてもよい。フェムト秒レーザまたはピコ秒レーザを用いることによって、ワークへの熱影響をより効果的に抑えることができる。また、レーザ発振器41は、1shotから数10MHzの発振が可能であるため、
図6および
図7に示されるパルス間隔が0.1μsとなる間隔でレーザ照射することが可能であり、多数のレーザパルスにより生産性を向上させることができる。
【0057】
停止区間Sbでは、レーザ光出射部33からの扁平状レーザ光Lの出射を停止させる。各停止区間Sbの時間(t3-t2)は、各照射区間Saの時間(t2-t1)以上であってもよいし、各照射区間Saの時間(t2-t1)未満であってもよい。照射区間Saおよび停止区間Sbは、交互に繰り返し実行される。
【0058】
図8は、
図5中の照射区間および停止区間と、ワーク表面上のレーザ光の照射領域との関係を模式的に示す図である。
図9は、
図8中のIX-IX線上の矢視方向に見たワークを示す断面図である。
【0059】
図1から
図9を参照して、移動機構部21(第1移動機構部21A,第2移動機構部21B)は、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向と、レーザ光出射部33からワークWに向けて出射される扁平状レーザ光Lの長軸方向とが直交関係となり、かつ、複数回実行される照射区間Saの間において、各照射区間Saで扁平状レーザ光Lが照射されるワークW上の領域Jが互いに重なり合わないように、レーザ光出射部33により照射区間Saおよび停止区間Sbが交互に実行される間、ワークWおよびレーザ光出射部33を相対的に移動させる。
【0060】
図3および
図8に示されるように、ワークWおよびレーザ光出射部33の相対的な移動方向(矢印Dに示される方向)は、扁平状レーザ光Lにおける長軸方向(矢印170に示される方向)と直交する。ワークWおよびレーザ光出射部33の相対的な移動方向(矢印Dに示される方向)は、扁平状レーザ光Lにおける短軸方向(矢印160に示される方向)と平行である。
【0061】
図8および
図9に示されるように、照射区間Saおよび停止区間Sbが交互に実行されるように、レーザ光出射部33より扁平状レーザ光Lを出射しつつ、移動機構部21(第1移動機構部21A,第2移動機構部21B)によって、ワークWおよびレーザ光出射部33を相対的にワークWの中心軸110を中心に螺旋状に移動させる。これにより、ワークWの表面(内表面)に、中心軸110を中心に螺旋状に並ぶ複数の凹部51を形成する。
【0062】
凹部51の深さHは、たとえば、3μm以上10μm以下である。凹部51の直径は、たとえば、10μm以上50μm以下である。凹部51の深さは、凹部51の直径以下である。凹部51の深さが、凹部51の直径より大きい場合であってもよい。
【0063】
各照射区間Saにおいて、パルス状の扁平状レーザ光LがワークWの表面(内周面)に照射されることによって、凹部51が形成される。より具体的には、ワークWの表面(内周面)には、扁平状レーザ光Lのパルス波が照射されるごとに、レーザ光の照射領域Gが形成される。ワークWおよびレーザ光出射部33が相対的に移動しつつ、複数のパルス波が一定のパルス間隔で照射されることによって、複数の照射領域Gが、隣接する照射領域G同士が部分的に重なり合いながら、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向に並んで形成される。凹部51は、複数の照射領域Gに対応する範囲にパルスエネルギが投入され、ワークWが非熱的に蒸発、プラズマ化されることによって形成される。
【0064】
一方、各停止区間Sbにおいて、扁平状レーザ光Lの照射が停止されることによって、隣接する凹部51の間の非加工領域が設けられる。
【0065】
各照射区間Saで扁平状レーザ光Lが照射されるワークW上の領域Jは、隣接する照射領域G同士が部分的に重なり合いながら、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向に並ぶ複数の照射領域Gに対応している。複数の領域Jは、互いに重なり合うことなく、中心軸110を中心に螺旋状に並んでいる。
【0066】
本実施の形態におけるワーク加工方法では、ワークWおよびレーザ光出射部33を相対的に移動させ続けながら、ワークWに複数の凹部51を加工するため、ワークWおよびレーザ光出射部33の相対的な移動および停止と、レーザ光の照射とを繰り返す場合と比較して、ワークWの加工時間を短縮することができる。
【0067】
また、長円断面を有する扁平状レーザ光Lにおける長軸方向と、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向とが直交関係であるため、各照射区間Saにおいて、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向に直交する方向に、長軸半径を有し、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向に平行な方向に短軸半径を有する複数の照射領域Gが、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向に並んで形成される。これにより、アスペクト比が1に近い所望の形状の凹部51をワークWに形成することができる。加えて、ワークWに向けて扁平状レーザ光Lをパルス状に照射するため、ワークWにレーザ光による熱損傷(熱だれ)が生じることを抑制できる。これにより、凹部51の形状をさらに高精度に仕上げることができる。
【0068】
図10は、
図3中のワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、扁平状レーザ光の長軸方向および短軸方向とがなす角度の変形例を示す図である。
【0069】
図10を参照して、レーザ光出射部33からワークWに向けて出射される扁平状レーザ光Lの光軸120の軸方向に見て、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向(矢印Dに示される方向)と、扁平状レーザ光Lの長軸方向(矢印170に示される方向)とがなす角度がαであり、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向(矢印Dに示される方向)と、扁平状レーザ光Lの短軸方向(矢印160に示される方向)とがなす角度がβである(α+β=90°)。この場合に、角度αが、角度βよりも大きくなる(α>β)。本変形例では、角度αが、45°よりも大きく、90°よりも小さい範囲である。
【0070】
角度αは、60°以上であってよいし、80°以上であってもよいし、85°以上であってもよい。
【0071】
本変形例に示されるように、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向と、扁平状レーザ光Lの長軸方向とが45°よりも大きく、90°よりも小さい範囲の角度αをなす場合、凹部51の形状が、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向に間延びすることを抑制できる。一方、
図3に示されるように、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向と、扁平状レーザ光Lの長軸方向とが、90°の角度をなす場合、凹部51の形状がワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向に間延びすることを最も効率的に抑制できる。
【0072】
図11は、
図5中に示すレーザ光のレーザ出力の変化の変形例を模式的に示すグラフである。
図11を参照して、本変形例では、照射区間Saにおいて、扁平状レーザ光LをワークWに向けて連続的に照射する。この場合であっても、ワークWの加工時間を短縮しつつ、アスペクト比が1に近い所望の形状の凹部51をワークWに形成することができる。
【0073】
図12は、ワークに向けた扁平状レーザ光の照射の形態の変形例を示す図である。
図12を参照して、本変形例では、レーザ加工機10が、複数のレーザヘッド31(レーザ光出射部33)を有する。複数のレーザヘッド31(レーザ光出射部33)は、ワークWの中心軸110の軸方向において、互いに間隔を開けて配置されている。
【0074】
このような構成において、照射区間Saおよび停止区間Sbが交互に実行されるように、複数のレーザ光出射部33より扁平状レーザ光Lを出射しつつ、移動機構部21によって、ワークWおよび複数のレーザ光出射部33を相対的にワークWの中心軸110を中心に螺旋状に移動させる。これにより、ワークWに複数の凹部51をより短時間で形成することができる。
【0075】
以上に説明した、本実施の形態におけるワーク加工方法の構成についてまとめると、ワーク加工方法は、扁平状レーザ光LをワークWに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間Saと、ワークWに対する扁平状レーザ光Lの照射を停止する停止区間Sbとを交互に実行するように、レーザ光出射部33より扁平状レーザ光Lを出射するステップを備える。扁平状レーザ光Lは、その光軸120に直交する平面180により切断された場合に、短軸方向と、短軸方向と直交し、短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有する。ワーク加工方法は、レーザ光出射部33からワークWに向けて出射される扁平状レーザ光Lの光軸120の軸方向に見て、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向と、扁平状レーザ光Lの長軸方向とがなす角度がαであり、ワークWおよびレーザ光出射部33の移動方向と、扁平状レーザ光Lの短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αが、角度βよりも大きくなり、かつ、複数回実行される照射区間Saの間において、各照射区間Saで扁平状レーザ光Lが照射されるワークW上の領域Jが互いに重なり合わないように、レーザ光出射部33により照射区間Saおよび停止区間Sbが交互に実行される間、ワークWおよびレーザ光出射部33を相対的に移動させるステップをさらに備える。
【0076】
このように構成された、この発明の実施の形態におけるワーク加工方法およびレーザ加工機10によれば、ワークWの加工時間を短縮しつつ、ワークWに所望の形状を有する複数の凹部51を加工することができる。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
この発明は、レーザ加工を用いてワークを加工する方法に適用される。
【符号の説明】
【0079】
10 レーザ加工機、21 移動機構部、21A 第1移動機構部、21B 第2移動機構部、22 本体部、23 アーム部、24 チャック、31 レーザヘッド、32 ヘッド本体、33 レーザ光出射部、34 第1光学部品、35 第2光学部品、36 第3光学部品、41 レーザ発振器、42 光ファイバ、51 凹部、110 中心軸、120 光軸、180 平面、G 照射領域、L 扁平状レーザ光、J 領域、Sa 照射区間、Sb 停止区間、W ワーク。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状レーザ光をワークに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間と、前記ワークに対する前記扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間とを交互に実行するように、レーザ光出射部より前記扁平状レーザ光を出射するステップを備え、
前記扁平状レーザ光は、その光軸に直交する平面により切断された場合に、短軸方向と、前記短軸方向と直交し、前記短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有し、さらに、
前記レーザ光出射部から前記ワークに向けて出射される前記扁平状レーザ光の光軸方向に見て、前記ワークおよび前記レーザ光出射部の移動方向と、前記長軸方向とがなす角度がαであり、前記ワークおよび前記レーザ光出射部の移動方向と、前記短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αは、角度βよりも大きく、90°よりも小さい範囲であり、かつ、複数回実行される前記照射区間の間において、各前記照射区間で前記扁平状レーザ光が照射される前記ワーク上の領域が互いに重なり合わないように、前記レーザ光出射部により前記照射区間および前記停止区間が交互に実行される間、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を相対的に移動させるステップを備え、
前記ワークは、円筒形状を有し、
前記扁平状レーザ光を出射するステップ時、前記レーザ光出射部より前記ワークの周面に向けて前記扁平状レーザ光を出射し、
前記相対的に移動させるステップ時、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を、前記ワークの軸方向に相対的に移動させると同時に、前記ワークの周方向に相対的に移動させることにより、前記レーザ光出射部を前記ワークに対して螺旋状に走査する、ワーク加工方法。
【請求項2】
前記扁平状レーザ光は、長円断面を有する、請求項1に記載のワーク加工方法。
【請求項3】
前記相対的に移動させるステップ時、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を一定速度で相対的に移動させる、請求項1または2に記載のワーク加工方法。
【請求項4】
前記扁平状レーザ光を出射するステップ時、前記照射区間において、前記扁平状レーザ光を前記ワークに向けてパルス状に照射する、請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク加工方法。
【請求項5】
前記扁平状レーザ光を出射するステップ時、前記ワークの軸方向に互いに間隔を設けて配置される複数の前記レーザ光出射部より前記ワークの周面に向けて、前記扁平状レーザ光を出射する、請求項1から4のいずれか1項に記載のワーク加工方法。
【請求項6】
レーザ光を、扁平状レーザ光とする光学部品を備え、
前記扁平状レーザ光は、その光軸に直交する平面により切断された場合に、短軸方向と、前記短軸方向と直交し、前記短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有し、さらに、
前記扁平状レーザ光をワークに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間と、前記ワークに対する前記扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間とを交互に実行するように、前記扁平状レーザ光を出射するレーザ光出射部と、
前記レーザ光出射部から前記ワークに向けて出射される前記扁平状レーザ光の光軸方向に見て、前記ワークおよび前記レーザ光出射部の移動方向と、前記長軸方向とがなす角度がαであり、前記ワークおよび前記レーザ光出射部の移動方向と、前記短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αは、角度βよりも大きく、90°よりも小さい範囲であり、かつ、複数回実行される前記照射区間の間において、各前記照射区間で前記扁平状レーザ光が照射される前記ワーク上の領域が互いに重なり合わないように、前記レーザ光出射部により前記照射区間および前記停止区間が交互に実行される間、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を相対的に移動させる移動機構部とを備え、
前記ワークが円筒形状を有する場合に、前記レーザ光出射部は、前記ワークの周面に向けて前記扁平状レーザ光を出射し、
前記移動機構部は、前記ワークおよび前記レーザ光出射部を、前記ワークの軸方向に相対的に移動させると同時に、前記ワークの周方向に相対的に移動させることにより、前記レーザ光出射部を前記ワークに対して螺旋状に走査する、レーザ加工機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この発明に従ったワーク加工方法は、扁平状レーザ光をワークに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間と、ワークに対する扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間とを交互に実行するように、レーザ光出射部より扁平状レーザ光を出射するステップを備える。扁平状レーザ光は、その光軸に直交する平面により切断された場合に、短軸方向と、短軸方向と直交し、短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有する。ワーク加工方法は、レーザ光出射部からワークに向けて出射される扁平状レーザ光の光軸方向に見て、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、長軸方向とがなす角度がαであり、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αは、角度βよりも大きく、90°よりも小さい範囲であり、かつ、複数回実行される照射区間の間において、各照射区間で扁平状レーザ光が照射されるワーク上の領域が互いに重なり合わないように、レーザ光出射部により照射区間および停止区間が交互に実行される間、ワークおよびレーザ光出射部を相対的に移動させるステップをさらに備える。ワークは、円筒形状を有する。扁平状レーザ光を出射するステップ時、レーザ光出射部よりワークの周面に向けて扁平状レーザ光を出射する。相対的に移動させるステップ時、ワークおよびレーザ光出射部を、ワークの軸方向に相対的に移動させると同時に、ワークの周方向に相対的に移動させることにより、レーザ光出射部をワークに対して螺旋状に走査する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
この発明に従ったレーザ加工機は、レーザ光を、扁平状レーザ光とする光学部品を備える。扁平状レーザ光は、その光軸に直交する平面により切断された場合に、短軸方向と、短軸方向と直交し、短軸方向における長さよりも大きい長さの長軸方向とを含む扁平断面を有する。レーザ加工機は、扁平状レーザ光をワークに向けて連続的またはパルス状に照射する照射区間と、ワークに対する扁平状レーザ光の照射を停止する停止区間とを交互に実行するように、扁平状レーザ光を出射するレーザ光出射部と、レーザ光出射部からワークに向けて出射される扁平状レーザ光の光軸方向に見て、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、長軸方向とがなす角度がαであり、ワークおよびレーザ光出射部の移動方向と、短軸方向とがなす角度がβである場合に(α+β=90°)、角度αは、角度βよりも大きく、90°よりも小さい範囲であり、かつ、複数回実行される照射区間の間において、各照射区間で扁平状レーザ光が照射されるワーク上の領域が互いに重なり合わないように、レーザ光出射部により照射区間および停止区間が交互に実行される間、ワークおよびレーザ光出射部を相対的に移動させる移動機構部とをさらに備える。ワークが円筒形状を有する場合に、レーザ光出射部は、ワークの周面に向けて扁平状レーザ光を出射する。移動機構部は、ワークおよびレーザ光出射部を、ワークの軸方向に相対的に移動させると同時に、ワークの周方向に相対的に移動させることにより、レーザ光出射部をワークに対して螺旋状に走査する。