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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035103
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20230306BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230306BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20230306BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20230306BHJP
   F21V 17/10 20060101ALI20230306BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230306BHJP
【FI】
F21S8/02 420
F21V29/503
F21V29/70
F21V17/00 155
F21V17/10 200
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141721
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】森田 隆敏
(72)【発明者】
【氏名】厨 謙三
(72)【発明者】
【氏名】中村 康一
(72)【発明者】
【氏名】門 健太
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011BA02
(57)【要約】
【課題】取り外しが容易な天井埋込型の照明器具を提供すること。
【解決手段】天井材に形成された取付孔に挿入されるとともに、天井面よりも突出して取付孔の開口径よりも大きい外径の突出部を有する器具本体と、器具本体に設けられた光源モジュールと、突出部に取り付けられ、突出部を覆う透光性のカバーと、器具本体に設けられ、取付孔に器具本体を取り付けるための弾性部材と、突出部及びカバーのいずれかに設けられ、器具本体の周方向における弾性部材の位置を示すマーキングと、を備える、天井埋込型の照明器具である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井材に形成された取付孔に挿入されるとともに、天井面よりも突出して前記取付孔の開口径よりも大きい外径の突出部を有する器具本体と、
前記器具本体に設けられた光源モジュールと、
前記突出部に取り付けられ、前記突出部を覆う透光性のカバーと、
前記器具本体に設けられ、前記取付孔に前記器具本体を取り付けるための弾性部材と、
前記突出部及び前記カバーのいずれかに設けられ、前記器具本体の周方向における前記弾性部材の位置を示すマーキングと、を備える、天井埋込型の照明器具。
【請求項2】
前記マーキングは、前記器具本体の周方向において、前記弾性部材と互いに少なくとも一部が重なるように配置される、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記マーキングは、前記突出部の外周及び前記カバーの内周のいずれかに形成された溝である、請求項1から2いずれかに記載の照明器具。
【請求項4】
前記器具本体は、前記突出部と前記天井面の間で前記突出部よりも径方向外側に張り出したフランジ部を有し、
前記フランジ部の下端と前記カバーの上端との間には隙間が形成され、
前記マーキングは、前記突出部の外周に設けられて前記隙間から視認可能である、請求項1から3いずれかに記載の照明器具。
【請求項5】
前記突出部の外周面と前記カバーの内周面との間には隙間が形成され、
前記突出部及び前記カバーのいずれかは、前記隙間の一部を埋めるように前記突出部の外周面及び前記カバーの内周面のいずれかから突出する凸部を有する、請求項1から4いずれかに記載の照明器具。
【請求項6】
前記突出部は、前記突出部の外周面に周方向に延びて設けられ、下方が張り出した段差部を有し、
前記カバーは、前記カバーの内周面から突出して設けられ、前記段差部により上下方向に係止される爪部を有する、請求項1から5いずれかに記載の照明器具。
【請求項7】
前記弾性部材は、長尺状の板材を折り曲げて形成され、前記器具本体から張り出す方向に弾性変形可能な板ばねであり、
前記板ばねは、長手方向の中央に両端よりも幅が狭くて前記器具本体の上部に固定される幅狭部を有する、請求項1から6いずれかに記載の照明器具。
【請求項8】
前記板ばねは、長手方向の両端から前記幅狭部に向かうに従って幅が狭い、請求項7に記載の照明器具。
【請求項9】
前記幅狭部の幅は、前記板ばねを前記器具本体に固定するための締結部材の頭部の幅と同等である、請求項7から8いずれかに記載の照明器具。
【請求項10】
前記光源モジュールは、基板と、前記基板上に設けられた光源と、前記光源側とは反対側の前記基板上に設けられたヒートシンクと、を有し、
前記幅狭部は、前記ヒートシンクと、前記器具本体の上部と、の間に挟持される、請求項7から9いずれかに記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井材に形成された取付孔に挿入されて取り付けられる天井埋込型の照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般的に、天井埋込型の照明器具は、天井材の取付孔に室内側から挿入される器具本体と、天井面よりも突出する器具本体の開口部を覆うように取り付けられる透光性のカバーと、器具本体を取付孔に取り付けるための弾性部材と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-149790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天井材の取付孔に取り付けられた天井埋込型の照明器具を取り外す際には、作業者は、室内側に露出したカバーの外周部等を手で把持し、照明器具を揺動させながら取付孔から室内側に引き抜くことにより取り外し作業を行う。しかしながら、揺動させる方向と弾性部材の位置との関係によっては、照明器具の取り外しが困難な場合があった。
【0005】
本開示は、取り外しが容易な天井埋込型の照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、天井材に形成された取付孔に挿入されるとともに、天井面よりも突出して前記取付孔の開口径よりも大きい外径の突出部を有する器具本体と、前記器具本体の上部に設けられた光源モジュールと、前記突出部に取り付けられ、前記突出部を覆う透光性のカバーと、前記器具本体に設けられ、前記取付孔に前記器具本体を取り付けるための弾性部材と、前記突出部及び前記カバーのいずれかに設けられ、前記器具本体の周方向における前記弾性部材の位置を示すマーキングと、を備える、天井埋込型の照明器具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る照明器具の正面図である。
図2】第1実施形態に係る照明器具の背面図である。
図3】第1実施形態に係る照明器具の平面図である。
図4】第1実施形態に係る照明器具の底面図である。
図5】第1実施形態に係る照明器具の右側面図である。
図6】第1実施形態に係る照明器具の左側面図である。
図7図3のA-A線断面図である。
図8図3のB-B線断面図である。
図9】弾性部材の上方斜視図である。
図10】弾性部材の平面図である。
図11】取付孔に取り付けられた第1実施形態に係る照明器具のカバーを取り外した状態の下方斜視図である。
図12】取付孔に取り付けられた第1実施形態に係る照明器具の下方斜視図である。
図13】第1実施形態に係る照明器具の一部透過左側面図である。
図14】第1実施形態に係る照明器具の器具本体の一部の左側面図である。
図15】マーキングの第1の態様を示す図である。
図16】マーキングの第2の態様を示す図である。
図17】マーキングの第3の態様を示す図である。
図18】マーキングの第4の態様を示す図である。
図19】マーキングの第5の態様を示す図である。
図20】マーキングの第6の態様を示す図である。
図21】マーキングの第7の態様を示す図である。
図22】マーキングの第8の態様を示す図である。
図23】天井材の取付孔から照明器具を取り外す様子を示す左側面図である。
図24】天井材の取付孔から照明器具を取り外す様子を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の第1実施形態に係る照明器具1は、例えば浴室等の天井材に形成された円形状の取付孔に、室内側から取り付けられる天井埋込型のダウンライトである。図1図6の6面図と、図7及び図8の断面図に示されるように、照明器具1は、器具本体2と、光源モジュール3と、カバー4と、弾性部材5と、マーキング6と、を備える。以下、説明する図中のX方向は左右方向、Y方向は前後方向、Z方向は上下方向をそれぞれ表している。
【0009】
器具本体2は、例えば浴室等の天井材に形成された円形状の取付孔に対して、室内側から挿入される。本実施形態の器具本体2は、筒状である。器具本体2は、例えばポリカーボネート等の熱可塑性樹脂やアルミ等の金属により形成されるが、これらに限られない。器具本体2は、上方から順に配置された、相対的に小径の小径部21と、相対的に大径の大径部22と、天井面よりも室内側に突出して開口する円筒状の突出開口部23と、を有する。
【0010】
図1及び図2に示されるように小径部21は、小径部21の中心軸Cを挟んで互いに反対側となる位置の外周部に、外周面から突出する一対の爪部211,212を有する。大径部22は、大径部22の中心軸Cを挟んで互いに反対側となる位置の外周部に、略L字状の一対の切り欠き221,222を有する。小径部21の一対の爪部211,212が、対応する大径部22の一対の切り欠き221,222に上方から差し込まれた状態で、小径部21と大径部22とを中心軸Cまわりに相対的に回転させることにより、一対の爪部211,212が一対の切り欠き221,222にそれぞれ係止される。これら一対の爪部211,212が一対の切り欠き221,222にそれぞれ係止された状態で、小径部21は大径部22にねじ213によりねじ固定される。
【0011】
図7の断面図に示されるように器具本体2は、内側面に、光源モジュール3が発する光を反射して室内側に導くリフレクタ部20を有する。小径部21の内形形状と大径部22の内形形状は連続しており、これにより、本実施形態の器具本体2の内形形状は、上方から下方に向かうに従って拡径する円錐台形状を有する。即ち、本実施形態のリフレクタ部20は、円錐台形状を有する。リフレクタ部20は、例えば熱可塑性樹脂等を器具本体2の内側表面にコーティングすることにより形成される。
【0012】
本実施形態の突出開口部23は、円筒状である。突出開口部23は、照明器具1が天井材の取付孔に取り付けられた状態において、天井面より下方の室内側に突出して開口する。この突出開口部23は、フランジ部231と、突出部232と、開口233と、を有する。フランジ部231の上面側には、環状の止水パッキン24が設けられている。この止水パッキン24により、取付孔まわりが止水される。
【0013】
フランジ部231は、突出部232と天井面の間で、全周に亘って突出部232よりも径方向外側に張り出して形成される。フランジ部231は、取付孔の周縁の天井面に当接するように配置される。突出部232は、円筒状であり、下端に開口233が形成され、リフレクタ部20により反射された光がこの開口233から下方の室内側に向かって照射される。
【0014】
図1図7に示されるように光源モジュール3は、器具本体2の上部に設けられる。図7及び図8の断面図に示されるように、光源モジュール3は、光源31と、基板32と、電子部品33と、ヒートシンク34と、電源ケーブル35と、ケース36と、を有する。
【0015】
光源31としては、複数のLEDが用いられる。複数のLEDで構成される光源31は、基板32の下面に実装される。複数の電子部品33及び電源ケーブル35は、基板32の上面に実装される。基板32には、ヒートシンク34が取り付けられる。ヒートシンク34は、板状の金具を折り曲げ成形したものであり、光源31が実装された基板32側とは反対側の上面に面接合される。このヒートシンク34により、光源31から発生する熱が効率良く放熱される。これら光源31、基板32、電子部品33、ヒートシンク34は、ケース36内に収容される。
【0016】
ケース36は、上面が開口する箱状の下側ケース361と、下面が開口する蓋状の上側ケース362と、を有する。下側ケース361に上側ケース362を覆い被せることにより、ケース36が構成される。図8に示されるように下側ケース361は、一端側の下面に開口363を有する。この開口363の位置に、基板32の下面に実装された複数のLEDからなる光源31が配置されるように、基板32がケース36内に収容配置される。ケース36は、下側ケース361の一端側の下面に形成された開口363が、筒状の器具本体2の小径部21の開口210に対向するように、器具本体2の小径部21の上部に配置され、ねじ364によりねじ固定される。これにより、光源31から発する光が下方に向けて照射され、リフレクタ部20を内側面に有する器具本体2の内部に導入される。
【0017】
光源モジュール3は、器具本体2から張り出す方向に延びて設けられている。下側ケース361は、その下面から下方に延設された脚部365を有する。この脚部365は、通常時は天井裏面から離間しており、照明器具1を取り外す際に照明器具1が傾いたときに天井裏面に当接することで、光源モジュール3を支持することができるため、光源モジュール3の傾きが抑制され、照明器具1が取付孔から外れるのが抑制される。
【0018】
カバー4は、突出部232及び開口233を覆うように、突出部232に取り付けられる。カバー4は透光性のカバーであり、光源モジュール3が発する光を室内側に拡散させる。
【0019】
カバー4は、有底円筒形状を有し、その開口40を上方の突出開口部23側に向けて、突出部232に取り付けられる。具体的には、図7及び図8の断面図に示されるように、カバー4の開口40の内側に全周に亘って形成された平面部41に、突出開口部23の突出部232の開口端が突き合わされた状態で、溶着により接合されている。
【0020】
本実施形態では、フランジ部231の下端とカバー4の上端との間には、隙間7が形成されている。そのため、突出部232の外周に設けられた後述のマーキング6は、この隙間7から視認可能であり、弾性部材5の位置を示す目印として機能する。このマーキング6については、後段で詳述する。
【0021】
弾性部材5は、器具本体2に設けられ、天井材の取付孔に器具本体2を取り付けるために用いられる。本実施形態の弾性部材5は、板ばねで構成される。弾性部材5としては、弾性変形し、弾性力を発揮することで照明器具を天井材の取付孔に取り付け可能なものであればよい。例えば、クリップ等を用いることもできる。
【0022】
図9及び図10に示されるように、本実施形態の弾性部材5は、長尺状の1本の金属製の板材を折り曲げ成形して得られる板ばねである。弾性部材5は、長手方向の中央に両端よりも幅が狭い幅狭部51を有する。この中央に位置する幅狭部51を挟んだ両側は、蛇腹状に折り曲げ成形されている。そのため弾性部材5は、幅狭部51側から順に、一対の第1屈曲部52,52と、一対の第2屈曲部53,53と、一対の第3屈曲部54,54と、を有する。これにより、弾性部材5は、長手方向に弾性変形可能であるため、器具本体2の径方向外側、つまり器具本体2から張り出す方向に弾性力を発生させることで、照明器具1を取付孔に取り付け可能となっている。
【0023】
具体的には、照明器具1を天井材の取付孔に取り付ける際には、弾性部材5の両端の蛇腹を手で折り畳んだ状態で、照明器具1を室内側から取付孔に挿入する。弾性部材5が取付孔を通過すると、天井裏において弾性部材5が器具本体2から張り出す方向に弾性変形する。これにより、照明器具1は取付孔に取り付けられる。
【0024】
ところで、従来の照明器具取り付け用の弾性部材としては、幅が均一な長尺状の1本の板ばねが一般的であり、この場合、照明器具が大きくなるほど必要な弾性力も大きくなり、それに伴って板ばね自体も大きくなる。板ばねが大きくなると、板ばねを器具本体に固定するためには大きな固定スペースが必要となるため、基板等の小型化が困難であり、他の部品等と干渉するおそれがある。これに対して本実施形態では、図3図7及び図8に示されるように、弾性部材5の中央の幅狭部51が、器具本体2の上部を構成する上側ケース362と、光源31側とは反対側の基板32上に設けられたヒートシンク34と、の間に挟持されて、器具本体2の上部にねじ364によりねじ固定される。そのため、弾性部材5の固定スペースを省スペース化できるため、設計自由度が上がるうえ、光源31を構成する複数のLEDと一体化された基板32の小型化が可能である。ひいては、照明器具1の小型化が可能である。ねじ364は、上述のケース36を器具本体2の上部に固定するためのねじでもあり、このねじ364により、基板32等を含めた光源モジュール3と弾性部材5とが器具本体2の上部に共締めされる。
【0025】
弾性部材5の幅狭部51の幅は、弾性部材5を器具本体2に固定するための締結部材であるねじ364の頭部の幅と同等であることが好ましい。これにより、弾性部材5をより確実に器具本体2に固定できるとともに、基板32ひいては照明器具1をより小型化できる。弾性部材5を構成する板ばねは、例えば長手方向の両端から幅狭部51に向かうに従って幅が狭くなるように構成してもよい。この場合には、基板32、ひいては照明器具1のさらなる小型化が期待できる。
【0026】
図11図14に示されるように、本実施形態のマーキング6は、突出部232に設けられ、器具本体2の周方向における弾性部材5の位置を示す。上述した通り、本実施形態ではフランジ部231の下端とカバー4の上端との間に隙間7が形成されているため、突出部232の外周に設けられたマーキング6は、この隙間7から視認可能であり、弾性部材5の位置を示す目印として機能する。ただし、この隙間7は小さいため、本実施形態のマーキング6は、例えば浴室ユニット内の人の目線からは視認が容易ではないが、照明交換作業者が脚立等を利用して目線を近付けると容易に視認可能なものである。マーキング6は、突出部232ではなくカバー4側に設けられてもよい。この場合、カバー4が透明及び半透明のいずれかであれば、例えばカバー4の内周面に凸部を設けることで濃淡差が生じるため、マーキングとして機能し得る。
【0027】
図13に示されるように、マーキング6は、器具本体2の周方向において弾性部材5と互いに少なくとも一部が重なるように配置される。即ち、マーキング6と弾性部材5の位置が周方向で少なくとも一部が重なっている。これにより、マーキング6によって弾性部材5の位置を容易に把握することができる。周方向に垂直な上下方向におけるマーキング6と弾性部材5の位置は、特に限定されない。
【0028】
図14に示されるように、突出部232は、突出部232の外周面に周方向に延びて設けられ、下方が張り出した段差部60を有する。図7及び図12に示されるように、カバー4は、カバー4の内周面から突出して設けられ、段差部60により上下方向に係止される爪部9を有する。これにより、カバー4の溶着が外れた場合であっても、カバー4の脱落を回避できる。このマーキング6については、後段で詳述する。
【0029】
本実施形態では、図7に示されるように、カバー4側の肉厚内に爪部9が設けられている。これにより、例えば突出部232側に凹部や切り欠きを設けた場合には金型の抜きによるスライド空間等が形成されてしまうのと比べて、突出部232側の肉厚に大きな変化がないため、発光に大きな影響が出ないようになっている。即ち、図7中のR1は発光均一領域を表しており、R2は発光不均一領域を表しているところ、発光均一領域R1の領域が大きいことが分かり、より均一な発光が可能である。
【0030】
マーキング6についてさらに詳しく説明する。マーキング6の形状としては、種々の形状が挙げられる。フランジ部231の下端とカバー4の上端との間に隙間7が形成される場合には、図15図20に示されるようなマーキングが例示される。
【0031】
図15に示されるマーキング6の第1の態様では、突出開口部23の突出部232のフランジ部231側において周方向の一部を除いて形成された第1周方向凸部611と、該第1周方向凸部611の周方向の一端において開口233近傍まで延設された上下方向凸部612と、該上下方向凸部612の下端から第1周方向凸部611の他端に向かって周方向に延びる第2周方向凸部613と、を有する。これらの凸部により、周方向に延び、下方が張り出した段差部60が形成されている。第2周方向凸部613からフランジ部231にかけて相対的に突出度合の小さい凸部614も形成されており、後述のカバー4の爪部9がこの凸部614を乗り超えることで、爪部9が段差部60に係止される。
【0032】
このマーキング6の第1の態様は、突出部232のフランジ231側において周方向に形状の変化があるため、フランジ部231の下端とカバー4の上端との間に形成された隙間7から視認可能である。このマーキング6の第1の態様では、段差部60を有するため、カバー4の内周面から突出する爪部9をカバー4に設けることにより、爪部9が段差部60によって上下方向に係止される。これにより、溶着が外れた場合であってもカバー4の脱落が回避される。このマーキング6の第1の態様によれば、照明器具1を取付孔から取り外すために作業者がマーキング6の部分を手で把持する際に、段差部60を構成する上記の各凸部によってカバー4の撓みを抑制でき、溶着が外れるのを抑制できる。
【0033】
図16に示されるマーキング62の第2の態様では、突出開口部23の突出部232のフランジ部231側において周方向の一部を除いて形成された周方向凸部621と、該周方向凸部621の周方向の一端において開口233近傍まで延設された上下方向凸部622と、を有する。このマーキング62の第2の態様は、上述の第1の態様と同様に、フランジ部231の下端とカバー4の上端との間に形成された隙間7から視認可能である。このマーキング62の第2の態様によれば、照明器具1を取り外す際のカバー4の撓みを抑制でき、溶着が外れるのを抑制できる。マーキング62の第2の態様によれば、フランジ部231から開口233に向かって径方向の寸法が大きくなる部分が無いため、器具本体2を金型成形する際に金型を抜き易く、金型の費用を削減できる。
【0034】
図17に示されるマーキング63の第3の態様では、突出開口部23の突出部232のフランジ部231側において周方向の一部を除いて形成された周方向凸部631と、該周方向凸部631が形成されていない部分においてフランジ部231から開口233近傍まで延設され且つフランジ部231側が開口233側よりも幅が狭い上下方向凸部632と、を有する。このマーキング63の第3の態様は、上述の第1の態様と同様に、フランジ部231の下端とカバー4の上端との間に形成された隙間7から視認可能である。このマーキング63の第3の態様によれば、照明器具1を取り外す際のカバー4の撓みをより確実に抑制でき、溶着が外れるのをより確実に抑制できる。
【0035】
図18に示されるマーキングの第4の態様では、突出開口部23の突出部232のフランジ部231側において周方向の一部を除いて形成された周方向凸部641と、該周方向凸部641の周方向の両端において開口233近傍まで延設された一対の上下方向凸部642,642と、を有する。このマーキング64の第4の態様は、上述の第1の態様と同様に、フランジ部231の下端とカバー4の上端との間に形成された隙間7から視認可能である。このマーキング64の第4の態様によれば、照明器具1を取り外す際のカバー4の撓みを抑制でき、溶着が外れるのを抑制できるうえ、器具本体2の金型成形時に金型費用を削減できる。
【0036】
図19に示されるマーキング65の第5の態様は、突出開口部23の突出部232のフランジ部231側において周方向の一部を除いて形成された周方向凸部651と、該周方向凸部651が形成されていない部分においてフランジ部231から開口233近傍まで延設された上下方向凸部652と、を有する。このマーキング65の第5の態様によれば、上述の第1の態様と同様に、フランジ部231の下端とカバー4の上端との間に形成された隙間7から視認可能である。このマーキング65の第5の態様によれば、照明器具1を取り外す際のカバー4の撓みを抑制でき、溶着が外れるのを抑制できるうえ、器具本体2の金型成形時に金型費用を削減できる。
【0037】
図20に示されるマーキング66の第6の態様は、上述の第5の態様における上下方向凸部652を、周方向に2本に分割して一対の上下方向凸部662,662としたものである。このマーキング66の第6の態様によれば、第5の態様と同等の効果が得られる。
【0038】
フランジ部231の下端とカバー4の上端との間に隙間7が形成されない場合には、図21及び図22に示されるようなマーキングが例示される。
【0039】
図21に示されるマーキング67の第7の態様は、突出開口部23の突出部232のフランジ部231側において全外周に亘って形成された周方向凸部671と、該周方向凸部671の周方向の一部から開口233に向かって延設された上下方向凸部672と、を有する。図22に示されるマーキング68の第8の態様は、突出開口部23の突出部232のフランジ部231側から開口233近傍にかけて広範囲に全周に亘って形成された周方向凸部681と、該周方向凸部681の周方向の一部が上下方向に一部切り欠かれた上下方向切り欠き部682と、を有する。
【0040】
これらマーキング67,68の第7及び第8の態様では、突出部232の上部において周方向に形状の変化が無いため、フランジ部231の下端とカバー4の上端との間に隙間7があったとしてもマーキングとして機能し得ない。これらのマーキング67,68は、透光性のカバーの中でも、光を拡散させるよりも光を透過させる透明性の高いカバーを用いることによって、カバーを介して視認可能となり、マーキングとして機能する。これらマーキング67,68の第7及び第8の態様によれば、上述の第1の態様と同様に、照明器具1を取り外す際のカバー4の撓みを抑制でき、溶着が外れるのを抑制できるうえ、器具本体2の金型成形時に金型費用を削減できる。
【0041】
従来、天井材の取付孔に取り付けられた天井埋込型の照明器具を取り外す際には、作業者は、室内側に露出したカバーの外周部等を手で把持し、照明器具を揺動させながら取付孔から室内側に引き抜くことにより取り外し作業を行う。しかしながら、揺動させる方向と弾性部材の位置との関係によっては、照明器具の取り外しが困難な場合があった。具体的には、例えば図23に示されるように、揺動方向によっては天井材100の天井裏面やその周辺部等に照明器具1の一部、例えば光源モジュール3の脚部365等が干渉する等して、照明器具1の取り外しが困難であった。
【0042】
これに対して上述の各マーキングの態様によれば、弾性部材5の位置を容易に把握できるため、図24に示されるように、弾性部材5が弾性変形する方向に揺動させることが容易となる結果、照明器具1を取付孔から容易に取り外すことができる。
【0043】
マーキング6は、突出部232の外周及びカバー4の内周のいずれかに形成された溝で構成されてもよい。これにより、照明器具1の外観意匠に悪影響を与えることなく、弾性部材5の位置を容易に把握でき、照明器具1を容易に取り外すことができる。
【0044】
突出部232の外周面とカバー4の内周面との間には、隙間(不図示)が形成されていてもよい。この場合、突出部232及びカバー4のいずれかは、この隙間の一部を埋めるように突出部232の外周面及びカバー4の内周面のいずれかから突出する凸部を有することが好ましい。この凸部により、マーキング6が構成されてもよい。この場合、カバー4が半透明カバーであれば、凸部を設けたことによって濃淡差が生じるため、マーキングとして機能し得る。加えて、照明器具1を取り外す時にカバー4を指で押さえ付けたときに、凸部によってカバー4の撓みを抑制できる。そのため、溶着部の変形量を少なくでき、カバー4の溶着が外れるのを抑制できる。
【0045】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良は本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 照明器具、2 器具本体、3 光源モジュール、4 カバー、5 弾性部材、6 マーキング、7 隙間、9 爪部、23 突出開口部、31 光源、32基板、34 ヒートシンク、51 幅狭部、60 段差部、231 フランジ部、232 突出部、233 開口、364 ねじ
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