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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035112
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/70 20180101AFI20230306BHJP
【FI】
G06F8/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141731
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長野 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 秀敏
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BB18
5B376DA08
5B376DA22
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】完成品に組み込まれた部品に関する情報を、企業間をまたいで入手する。
【解決手段】ソフトウェアで動作する部品を組み込んで完成品を製造する製造企業にて、完成品および部品に関する情報と、製造企業に部品を提供する提供企業と契約したソフトウェアに関するデータの開示範囲とを管理する製品ライフサイクル管理システムと、提供企業にて、開示範囲と、ソフトウェアに関するデータであるソフトウェア関連データと、を管理する製品ライフサイクル管理システムとを有し、製品ライフサイクル管理システムが、開示範囲内でソフトウェア関連データの開示を製品ライフサイクル管理システムに要求し、製品ライフサイクル管理システムが、要求されたソフトウェア関連データが開示範囲内であれば、そのソフトウェア関連データを製品ライフサイクル管理システムに送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアで動作する部品を組み込んで完成品を製造する製造企業にて、前記完成品および前記部品に関する情報と、前記製造企業に前記部品を提供する提供企業と契約した前記ソフトウェアに関するデータの開示範囲と、を管理する第1ライフサイクル管理システムと、
前記提供企業にて、前記開示範囲と、前記ソフトウェアに関するデータであるソフトウェア関連データと、を管理する第2ライフサイクル管理システムと、
を有し、
前記第1ライフサイクル管理システムは、前記開示範囲内で前記ソフトウェア関連データの開示を前記第2ライフサイクル管理システムに要求し、
前記第2ライフサイクル管理システムは、要求されたソフトウェア関連データが前記開示範囲内であれば、当該ソフトウェア関連データを前記第1ライフサイクル管理システムに送信する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記第2ライフサイクル管理システムは、前記ソフトウェア関連データを前記ソフトウェアのバージョン毎に記録しており、前記製造企業に提供したバージョンの前記ソフトウェアに関する前記ソフトウェア関連データを前記第1ライフサイクル管理システムに送信する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1ライフサイクル管理システムおよび前記第2ライフサイクル管理システムは、前記開示範囲を含む契約に関するデータを双方で管理しており、
前記第1ライフサイクル管理システムは、前記契約に基づき、前記ソフトウェア関連データが開示可能であるか否か確認し、開示可能であれば、当該ソフトウェア関連データを前記第2ライフサイクル管理システムに要求し、
前記第2ライフサイクル管理システムは、前記第1ライフサイクル管理システムからの要求を受け、前記契約に基づき、前記ソフトウェア関連データが開示可能であるか否か確認し、開示可能であれば、当該ソフトウェア関連データを前記第1ライフサイクル管理システムに送信する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記ソフトウェア関連データは、前記ソフトウェアのソースコードと内部構造情報の少なくとも一方を含み、
前記契約における開示範囲には、前記ソースコードおよび前記内部構造情報のいずれも開示可能とするもの、前記ソースコードは開示不可とし前記内部構造情報は開示可能とするもの、前記ソースコードおよび前記内部構造情報のいずれも開示不可とするもの、が含まれる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1ライフサイクル管理システムは、
前記完成品を示す完成品識別情報と該完成品に組み込まれる部品の部品名および該部品を示す部品識別情報とを対応付けた第1製品情報管理データを管理する第1製品情報管理部と、
前記完成品に係る仕様毎に該仕様に関する、前記部品識別情報と該部品上で動作するソフトウェアを示すソフトウェア識別情報とを対応づけた仕様情報管理データを管理する仕様情報管理部と、
前記ソフトウェア識別情報と前記ソフトウェアの提供企業を識別する提供企業情報とを対応づけた調達管理データを管理する調達管理部と、
前記提供企業と契約した前記ソフトウェアに関する開示範囲を示す契約開示レベルを示す第1契約情報管理データを管理する第1契約情報管理部と、
前記第1製品情報管理データと前記仕様情報管理データと前記調達管理データと前記第1契約情報管理データとにアクセス可能な第1影響範囲分析部と、
を有し、前記完成品の製造および運用を含むライフサイクルを管理し、
前記第2ライフサイクル管理システムは、
前記ソフトウェアのソフトウェア識別情報と提供されたソフトウェアのバージョン情報とを対応づけた第2製品情報管理データを管理する第2製品情報管理部と、
前記部品を提供する製造企業と契約した前記ソフトウェアに関する開示範囲を示す契約開示レベルを示す第2契約情報管理データを管理する第2契約情報管理部と、
前記ソフトウェアおよびそのバージョン毎に前記ソフトウェア識別情報と前記バージョンを示すバージョン情報と前記ソフトウェアについて開示可能なレベルのソフトウェア関連データとを対応づけたソフトウェア管理データを管理するソフトウェア管理部と、
前記第2契約情報管理データおよび前記ソフトウェア関連データにアクセス可能な第2影響範囲分析部と、
を有し、前記部品およびソフトウェアの開発、提供および運用を含むライフサイクルを管理し、
前記第1影響範囲分析部は、部品名を指定されると、前記第1製品情報管理データにアクセスして前記指定された部品名に対応する部品識別情報を取得し、前記仕様情報管理データにアクセスして前記取得した部品識別情報に対応するソフトウェア識別情報を取得し、前記調達管理データにアクセスして前記取得したソフトウェア識別情報に対応づけられた提供企業情報を取得し、前記契約情報管理データにアクセスして前記取得した提供企業情報により示される提供企業の契約開示レベルを取得し、前記提供企業の第2ライフサイクル管理システムへ、前記取得した契約開示レベルの開示範囲内のソフトウェア関連データの開示を要求する要求を送信し、
前記第2影響範囲分析部は、前記要求を受信し、前記第2契約情報管理データにアクセスして前記要求にて要求されている前記ソフトウェア関連データが、前記要求の送信元の第1ライフサイクル管理システムに対応する製造企業の開示範囲内であれば、提供されているソフトウェアのバージョン情報を、前記第2製品情報管理データから取得し、当該ソフトウェアに関するソフトウェア関連データを、前記ソフトウェア管理データから取得して、前記製造企業の第1ライフサイクル管理システムに送信し、
前記第1影響範囲分析部は、前記指定された部品名と、前記第2影響範囲分析部から送信されたソフトウェア関連データとを表示する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記仕様情報管理部は、前記仕様情報管理データにおいて、更に、前記仕様に関して遵守すべき法規を示す関連法規情報を管理し、
前記第1影響範囲分析部は、前記仕様情報管理データにアクセスして前記部品識別情報に対応する関連法規情報を更に取得し、前記指定された部品名および前記ソフトウェア関連データと共に前記取得した関連法規情報を表示する、請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記完成品が自動車であり、前記部品がECUである、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1製品情報管理部は、前記第1製品情報管理データにて、前記部品に関連する前記完成品の機能を示す機能名を更に対応付け、
前記第1影響範囲分析部は、
機能名を指定されると、前記第1製品情報管理データにアクセスして当該機能名に対応する部品の部品識別情報を取得し、
前記取得した部品識別情報に対応するソフトウェア識別情報を取得し、
前記取得したソフトウェア識別情報により示されるソフトウェアを提供する企業を示す提供企業情報を取得し、
前記取得した提供企業情報により示される提供企業の契約開示レベルを取得し、
前記提供企業情報により示される提供企業の第2ライフサイクル管理システムへ、前記取得した契約開示レベルの開示範囲内の前記ソフトウェアに関するデータの開示を要求する要求を送信する、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項9】
ソフトウェアで動作する部品を組み込んで完成品を製造する製造企業の情報処理システムである、第1ライフサイクル管理システムが、前記完成品および前記部品に関する情報と、前記製造企業に前記部品を提供する提供企業と契約した前記ソフトウェアに関するデータの開示範囲と、を管理し、
前記提供企業の情報処理システムである第2ライフサイクル管理システムが、前記開示範囲と、前記ソフトウェアに関するデータであるソフトウェア関連データと、を管理し、
前記第1ライフサイクル管理システムが、前記開示範囲内でソフトウェア関連データの開示を前記第2ライフサイクル管理システムに要求し、
前記第2ライフサイクル管理システムが、要求されたソフトウェア関連データが前記開示範囲内であれば、該ソフトウェア関連データを前記第1ライフサイクル管理システムに送信する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、企業にて製品に関連する情報を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソフトウェア開発の各工程における複数の成果物の関連を管理するトレーサビリティ管理の手法が開示されている。特許文献1に開示された手法は、トレーサビリティ管理において、要件毎にアクセス権を付与し、公開あるいは非公開を設定したうえで、アクセス制限を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-005802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、製品には様々な部品が組み込まれているが、これらの部品は、製品を製造する企業となる製品製造企業において全て製造されているとは限らない。製品製造企業は、製品に用いる部品を製造する企業となる部品提供企業から部品を調達し、その部品を組み込んだ製品を製造する場合がある。また、部品には、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた部品もある。
【0005】
特許文献1に開示された手法は、ソフトウェア開発を行う企業内でのものであり、外部の企業等から成果物に関する情報にアクセスすることは想定されていない。そのため、実際には、例えば、製品製造企業は、部品の自社内での来歴を確認した後、部品提供企業との契約条件を確認し、部品提供企業に対してメールなどで部品提供企業での部品の来歴の確認を依頼し、部品提供企業では依頼を受けて部品の来歴を確認して製品製造企業に通知するという煩雑なことが行われている。
【0006】
本開示のひとつの目的は、完成品に組み込まれた部品に関する情報を、企業間をまたいで入手することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本開示の情報処理システムは、ソフトウェアで動作する部品を組み込んで完成品を製造する製造企業にて、前記完成品および前記部品に関する情報と、前記製造企業に前記部品を提供する提供企業と契約した前記ソフトウェアに関するデータの開示範囲と、を管理する第1ライフサイクル管理システムと、前記提供企業にて、前記開示範囲と、前記ソフトウェアに関するデータであるソフトウェア関連データと、を管理する第2ライフサイクル管理システムと、を有し、前記第1ライフサイクル管理システムは、前記開示範囲内で前記ソフトウェア関連データの開示を前記第2ライフサイクル管理システムに要求し、前記第2ライフサイクル管理システムは、要求されたソフトウェア関連データが前記開示範囲内であれば、当該ソフトウェア関連データを前記第1ライフサイクル管理システムに送信する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、完成品に組み込まれた部品に関する情報を、企業間をまたいで入手することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理システムが利用される完成品および部品の一例を示す図である。
図2】情報処理システムの実施の一形態を示す図である。
図3図2に示した完成品メーカーが有する製品ライフサイクル管理システムの構成を示すブロック図である。
図4図2に示した部品サプライヤーが有する製品ライフサイクル管理システムの構成を示すブロック図である。
図5図3および図4に示した各システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図2および図3に示した情報処理システムにおける情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
図7図2に示した製品情報管理システムにて管理されている製品情報管理データの一例を示す図である。
図8図2に示した仕様情報管理システムにて管理されている仕様情報管理データの一例を示す図である。
図9図2に示した調達システムにて管理されている調達管理データの一例を示す図である。
図10図2に示した契約情報管理システムにて管理されている契約情報管理データの一例を示す図である。
図11図3に示した契約情報管理システムにて管理されている契約情報管理データの一例を示す図である。
図12図3に示した製品情報管理システムにて管理されている製品情報管理データの一例を示す図である。
図13図3に示したソフトウェア管理システムにて管理されているソフトウェア管理データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、情報処理システムが適用される完成品および部品の一例を示す図である。
【0012】
情報処理システムは例えば図1に示すように、完成品となる自動車11に組み込まれ、ソフトウェア13で自動車11を電子制御する部品となるECU(Electronic Control Unit)12の管理に利用される。これにより、自動車を製造する企業の管理システムから、ECUおよびそのソフトウェアを提供した企業の管理システム上のソフトウェアのデータを取得することが可能となる。
【0013】
図2は、情報処理システムの実施の一形態を示す図である。
【0014】
本形態の情報処理システムは図2に示すように、図1に示した自動車11のようにソフトウェア13で動作する部品となるECU12を組み込んで完成品となる自動車11を製造する製造企業となる完成品メーカーが有する製品ライフサイクル管理システム21と、図1に示したECU12のように部品を製造して完成品メーカーに提供する提供企業となる部品サプライヤーが有する製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nとが、インターネットなどの通信回線91を介して接続可能に構成されている。完成品メーカーはOEMと呼ばれる。なお、製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nは、製品ライフサイクル管理システム21が製造する完成品に組み込まれる部品を製造する企業の数だけ設けられていることが好ましいが、製品ライフサイクル管理システム21が製造する完成品に組み込まれる部品を製造する企業の一部だけであってもよい。
【0015】
製品ライフサイクル管理システム21(第1ライフサイクル管理システム)は、完成品およびそれに組み込まれる部品に関する情報と、部品サプライヤーと契約したソフトウェアに関するデータの開示範囲とを管理するものであって、開示範囲内でソフトウェア関連データの開示を製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nに要求する。
【0016】
製品ライフサイクル管理システム31-1~31-n(第2ライフサイクル管理システム)は、完成品メーカーと契約したソフトウェアに関するデータの開示範囲と、自社で製造する部品のソフトウェアに関するデータであるソフトウェア関連データとを管理するものであって、製品ライフサイクル管理システム21から要求されたソフトウェア関連データが、完成品メーカーと契約したソフトウェアに関するデータの開示範囲内であれば、要求されたソフトウェア関連データを製品ライフサイクル管理システム21に送信する。
【0017】
このように構成することで、製造企業が提供企業から部品とソフトウェアを調達して完成品を製造する構成において、企業間をまたいだ情報の入手が可能になる。
【0018】
図3は、図2に示した製品ライフサイクル管理システム21の構成を示すブロック図である。
【0019】
図2に示した製品ライフサイクル管理システム21は図3に示すように、仕様情報管理システム22と、製品情報管理システム23と、調達システム24と、契約情報管理システム25と、ソフトウェア管理システム26と、影響範囲分析システム27と、通信装置28とを有している。
【0020】
仕様情報管理システム22は、完成品に係る仕様毎にその仕様に関する、その完成品に組み込まれる部品を示す部品識別情報と、その部品上で動作するソフトウェアを示すソフトウェア識別情報とを対応づけた仕様情報管理データを管理する。
【0021】
製品情報管理システム23(第1製品情報管理部)は、完成品を示す完成品識別情報と、その完成品に組み込まれる部品の部品名およびその部品を示す部品識別情報とを対応付けた第1製品情報管理データを管理する。
【0022】
調達システム24は、ソフトウェア識別情報と、ソフトウェアの提供企業を識別する提供企業情報とを対応づけた調達管理データを管理する。
【0023】
契約情報管理システム25(第1契約情報管理部)は、製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nを有する提供企業のそれぞれと契約したソフトウェアに関する開示範囲を示す契約開示レベルを示す第1契約情報管理データを管理する。
【0024】
ソフトウェア管理システム26は、自社開発のソフトウェアの情報や、外部調達のソフトウェアの簡易的な管理情報を管理する。
【0025】
影響範囲分析システム27は、製品情報管理システム23にて管理される第1製品情報管理データと、仕様情報管理システム22にて管理される仕様情報管理データと、調達システム24にて管理される調達管理データと、契約情報管理システム25にて管理される第1契約情報管理データとにアクセス可能に構成され、部品名を指定されると、第1製品情報管理データにアクセスし、指定された部品名に対応する部品識別情報を取得し、次に仕様情報管理データにアクセスし、取得した部品識別情報に対応するソフトウェア識別情報を取得し、次に、調達管理データにアクセスし、取得したソフトウェア識別情報に対応づけられた提供企業情報を取得し、次に、契約情報管理データにアクセスし、取得した提供企業情報により示される部品サプライヤーの契約開示レベルを取得し、次に、その部品サプライヤーが有する製品ライフサイクル管理システムに対して、取得した契約開示レベルの開示範囲内のソフトウェア関連データの開示を要求する要求を、通信装置28を介して送信する。また、影響範囲分析システム27は、指定された部品名と、製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nから送信されたソフトウェア関連データとを表示する。
【0026】
図4は、図2に示した製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nの構成を示すブロック図である。
【0027】
図2に示した製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nは図4に示すように、仕様情報管理システム32と、製品情報管理システム33と、調達システム34と、契約情報管理システム35と、ソフトウェア管理システム36と、影響範囲分析システム37と、通信装置38とを有している。
【0028】
仕様情報管理システム32は、自社で製造する部品の詳細な仕様に関する仕様データを管理する。
【0029】
製品情報管理システム33(第2製品情報管理部)は、ソフトウェアのソフトウェア識別情報と提供されたソフトウェアのバージョン情報とを対応づけた第2製品情報管理データを管理する。
【0030】
調達システム34は、自社で製造する部品に係る調達データを管理する。
【0031】
契約情報管理システム35(第2契約情報管理部)は、製品ライフサイクル管理システム21を有する完成品メーカーと契約したソフトウェアに関する開示範囲を示す契約開示レベルを示す第2契約情報管理データを管理する。
【0032】
ソフトウェア管理システム36は、ソフトウェアおよびそのバージョン毎に、ソフトウェア識別情報と、バージョンを示すバージョン情報と、ソフトウェアについて開示可能なレベルのソフトウェア関連データとを対応づけたソフトウェア管理データを管理する。
【0033】
影響範囲分析システム37(第2影響範囲分析部)は、契約情報管理システム35にて管理される第2契約情報管理データと、ソフトウェア管理システム36にて管理されるソフトウェア関連データにアクセス可能に構成され、製品ライフサイクル管理システム21から送信されてきた要求を、通信装置38を介して受信した場合、第2契約情報管理データにアクセスし、受信した要求にて要求されているソフトウェア関連データが、その要求の送信元の製品ライフサイクル管理システム21に対応する完成品メーカーの開示範囲内であれば、提供されているソフトウェアのバージョン情報を第2製品情報管理データから取得し、そのソフトウェアに関するソフトウェア関連データをソフトウェア管理データから取得して、通信装置38を介して完成品メーカーの製品ライフサイクル管理システム21に送信する。
【0034】
図5は、図3および図4に示した各システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0035】
図3および図4に示した各システムのハードウェア構成は図5に示すように、プロセッサ41とメインメモリ42と記憶装置43と通信装置44と入力装置45と表示装置46とがバス47を介して接続されたものとなっている。
【0036】
プロセッサ41は、記憶装置43からメインメモリ42に読み出されたソフトウェアプログラムを実行することにより、図3および図4に示した各機能を実現する。
【0037】
通信装置44は、他の装置に接続するためのものである。
【0038】
入力装置45は、記憶装置43に設定された様々なテーブルに情報を入力するためのものである。
【0039】
表示装置46は、プロセッサ41における実行結果を表示出力するものである。
【0040】
以下に、上記のように構成された情報処理システムにおける情報処理方法について説明する。
【0041】
図6は、図2および図3に示した情報処理システムにおける情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
【0042】
製品ライフサイクル管理システム21を有する完成品メーカーが製造する完成品に組み込まれた部品に不具合が発生した場合、製品ライフサイクル管理システム21の影響範囲分析システム27に対して、不具合が発生した部品の部品名が入力されると(ステップS101)、影響範囲分析システム27が、まず、製品情報管理システム23にて管理されている製品情報管理データにアクセスし、入力された部品名を用いて製品情報管理データからその部品の部品識別情報となる部品番号を検索して取得する(ステップS102)。
【0043】
図7は、図2に示した製品情報管理システム23にて管理されている製品情報管理データの一例を示す図である。
【0044】
図2に示した製品情報管理システム23は図7に示すように、完成品毎に、その完成品を示す完成品識別情報、製品名およびその機能を示す機能名と、その完成品に組み込まれる部品の部品名と、その部品番号とが対応づけられた製品情報管理データを管理している。そのため、影響範囲分析システム27は、製品情報管理システム23にて管理されている製品情報管理データにアクセスすることで、入力された部品名を用いて製品情報管理データからその部品の部品識別情報となる部品番号を検索して取得することができる。
【0045】
次に影響範囲分析システム27は、仕様情報管理システム22にて管理されている仕様情報管理データにアクセスし、ステップS102にて取得された部品番号を用いて、仕様情報管理データから部品番号に対応するソフトウェア識別情報となるソフトウェアIDを検索して取得する(ステップS103)。
【0046】
図8は、図2に示した仕様情報管理システム22にて管理されている仕様情報管理データの一例を示す図である。
【0047】
図2に示した仕様情報管理システム22は図8に示すように、完成品に係る仕様毎にその仕様を示す仕様IDが付与され、この仕様IDに、その分類と、仕様の内容と、順守すべき法規を示す関連法規と、部品番号と、その部品上で動作するソフトウェアを示すソフトウェア識別情報となるソフトウェアIDとが対応づけられた仕様情報管理データを管理している。そのため、影響範囲分析システム27は、ステップS102にて取得された部品番号を用いて、仕様情報管理データから部品番号に対応するソフトウェアIDを検索して取得することができる。
【0048】
次に影響範囲分析システム27は、調達システム24にて管理されている調達管理データにアクセスし、ステップS103にて取得されたソフトウェアIDを用いて、調達管理データからソフトウェアIDに対応する提供企業情報となる契約先の名称を検索して取得する(ステップS104)。
【0049】
図9は、図2に示した調達システム24にて管理されている調達管理データの一例を示す図である。
【0050】
図2に示した調達システム24は図9に示すように、調達される部品毎に、部品調達を特定するための調達IDが付与され、この調達IDに、調達品IDとしてソフトウェアIDと、その部品の調達先となる契約先の名称とが対応づけられた調達管理データを管理している。そのため、影響範囲分析システム27は、ステップS103にて取得されたソフトウェアIDを用いて、調達管理データからソフトウェアIDに対応する提供企業の名称を検索して取得することができる。
【0051】
次に影響範囲分析システム27は、契約情報管理システム25にて管理されている契約情報管理データにアクセスし、ステップS104にて取得された契約先の名称を用いて、契約情報管理データから会社名に対応する契約情報を検索し、その契約情報に含まれる契約開示レベルを取得する(ステップS105)。
【0052】
図10は、図2に示した契約情報管理システム25にて管理されている契約情報管理データの一例を示す図である。
【0053】
図2に示した契約情報管理システム25は図10に示すように、契約毎に、契約を特定するための契約IDが付与され、この契約IDに、契約先の名称と、その契約先に対する契約開示レベルとなる開示可能な範囲とが対応づけられた契約情報管理データを管理している。そのため、影響範囲分析システム27は、ステップS104にて取得された契約先の名称を用いて、契約情報管理データから契約先の名称に対応する契約開示レベルとなる開示可能な範囲を検索して取得することができる。
【0054】
ステップS105にて取得した開示可能な範囲において、ステップS101にて入力された部品名の部品のソフトウェアが開示可能である場合(ステップS106)、影響範囲分析システム27は、その他に必要な情報があればその情報が補足情報として入力された後(ステップS107)、その部品を製造する部品サプライヤーが有する製品ライフサイクル管理システム(例えば製品ライフサイクル管理システム31-1)に対して、ステップS105にて取得した契約開示レベルの開示範囲内のソフトウェア関連データの開示を要求する要求を、通信装置28を介して送信する(ステップS108)。
【0055】
ステップS108にて製品ライフサイクル管理システム21から送信された要求を製品ライフサイクル管理システム31-1にて受信すると、製品ライフサイクル管理システム31-1の影響範囲分析システム37がまず、契約情報管理システム35にて管理されている契約情報管理データにアクセスし、ソフトウェア関連データの開示を要求する要求を送信してきた完成品メーカーについて、要求されたソフトウェア関連データが開示可能な範囲内であるかどうかを判断する(ステップS109)。
【0056】
図11は、図3に示した契約情報管理システム35にて管理されている契約情報管理データの一例を示す図である。
【0057】
図3に示した契約情報管理システム35は図11に示すように、契約毎に、契約を特定するための契約IDが付与され、この契約IDに、契約先の名称と、その契約先に対する契約開示レベルとなる開示可能な範囲とが対応づけられた契約情報管理データを管理している。そのため、影響範囲分析システム37は、ステップS108にてソフトウェア関連データの開示を要求する要求を送信してきた企業について、要求されたソフトウェア関連データが開示可能な範囲内であるかどうかを判断することができる。
【0058】
ステップS108にてソフトウェア関連データの開示を要求する要求を送信してきた企業について、要求されたソフトウェア関連データが開示可能な範囲内である場合は、影響範囲分析システム37は、製品情報管理システム33にて管理されている製品情報管理データにアクセスし、提供されているソフトウェアのバージョン情報を製品情報管理データから取得する(ステップS110)。
【0059】
図12は、図3に示した製品情報管理システム33にて管理されている製品情報管理データの一例を示す図である。
【0060】
図3に示した製品情報管理システム33は図12に示すように、完成品メーカーに提供したソフトウェアについて、ソフトウェアを特定するためのソフトウェアIDが付与され、このソフトウェアIDに、完成品メーカーに現在提供しているソフトウェアのバージョン情報が対応づけられた製品情報管理データを管理している。また、製品情報管理データにおいては、ソフトウェアを提供した契約先の名称がそのソフトウェアIDに対応づけられていてもよい。これにより、影響範囲分析システム37は、ステップS108にてソフトウェア関連データの開示を要求する要求を送信してきた企業に現在提供しているソフトウェアのバージョン情報を製品情報管理データから取得することができる。
【0061】
次に、影響範囲分析システム37は、ソフトウェア管理システム36にて管理されているソフトウェア管理データにアクセスし、ソフトウェアIDとステップS110にて取得されたバージョン情報とから、そのソフトウェアのソフトウェア関連データをソフトウェア管理データから検索して取得する(ステップS111)。
【0062】
図13は、図3に示したソフトウェア管理システム36にて管理されているソフトウェア管理データの一例を示す図である。
【0063】
図3に示したソフトウェア管理システム36は図13に示すように、完成品メーカーに提供したソフトウェアについて、ソフトウェアを特定するためのソフトウェアIDが付与され、このソフトウェアIDに、完成品メーカーに現在提供しているソフトウェアのバージョン情報と、ソフトウェア関連データであるソースコードとが対応づけられたソフトウェア管理データを管理している。そのため、影響範囲分析システム37は、ステップS110にて取得されたソフトウェアのバージョン情報を用いて、そのソフトウェアのソフトウェア関連データをソフトウェア管理データから検索して取得することができる。なお、ソフトウェア関連データとしては、ソフトウェアのソースコードのみではなく、ソフトウェアのソースコードと内部構造情報の少なくとも一方を含むことが考えられる。その場合、契約における開示範囲には、ソースコードおよび内部構造情報のいずれも開示可能とするもの、ソースコードは開示不可とし内部構造情報は開示可能とするもの、ソースコードおよび内部構造情報のいずれも開示不可とするものが含まれれば、契約によりソフトウェアのコースコードと内部構造情報の開示可否を定め、企業間で契約に応じて柔軟なデータの開示を実現できる。
【0064】
その後、影響範囲分析システム37は、ステップS111にてソフトウェア管理データから取得したソフトウェア関連データを、通信装置38を介して完成品メーカーの製品ライフサイクル管理システムに送信する(ステップS112)。
【0065】
製品ライフサイクル管理システム31の影響範囲分析システム37から送信されたソフトウェア関連データを、製品ライフサイクル管理システム21の通信装置28を介して影響範囲分析システム27が受信すると、影響範囲分析システム27は、ステップS101にて入力された部品名と、製品ライフサイクル管理システム31-1から送信されたソフトウェア関連データとを表示する。
【0066】
上述した一連の処理によって、完成品メーカーから部品サプライヤーに対して、完成品に組み込まれた部品のソフトウェア関連データを要求して取得することが可能となる。
【0067】
また、部品サプライヤーの製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nが、ソフトウェア管理システム36にてソフトウェア関連データをソフトウェアのバージョン毎に記録しており、完成品メーカーに提供したバージョンのソフトウェアに関するソフトウェア関連データを完成品メーカーの製品ライフサイクル管理システム21に送信することにより、完成品メーカーは完成品に組み込んだ部品に適用されているバージョンのソフトウェアに関するデータを容易に入手することができる。
【0068】
また、製品ライフサイクル管理システム21,31の双方で、開示範囲を含む契約に関するデータを管理しており、製品ライフサイクル管理システム21が、製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nを有する部品サプライヤーとの契約に基づき、ソフトウェア関連データが開示可能であるか否か確認し、開示可能であれば、そのソフトウェア関連データを製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nに要求し、製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nが、製品ライフサイクル管理システム21からの要求を受け、製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nを有する完成品メーカーとの契約に基づき、ソフトウェア関連データが開示可能であるか否か確認し、開示可能であれば、そのソフトウェア関連データを製品ライフサイクル管理システム21に送信することにより、契約による開示範囲を製造企業と提供企業の双方で管理し、ソフトウェア関連データの開示に際して双方で契約を確認するので、契約された範囲での開示を確実に行うことができる。
【0069】
また、上述したように、完成品メーカーが有する製品ライフサイクル管理システム21の仕様情報管理システム22が、管理している仕様情報管理データにおいて、更に、部品の仕様に関して遵守すべき法規を示す関連法規情報を管理しているため、影響範囲分析システム27が、仕様情報管理データにアクセスして部品識別情報に対応する関連法規情報を更に取得し、ステップS101にて入力された部品名と、部品サプライヤーから送信されてきたソフトウェア関連データと共に、取得した関連法規情報を表示する構成としてもよい。それにより、製造企業にて提供企業から企業間をまたいで取得したソフトウェア関連データと共に関連法規の情報を表示することができる。
【0070】
また、上述したように、製品情報管理システム23にて管理されている製品情報管理データにおいては、完成品の機能を示す機能名も、その完成品に組み込まれる部品の部品番号と対応づけられているため、完成品メーカーが有する製品ライフサイクル管理システム21の影響範囲分析システム27が、機能名を指定されると、製品情報管理システム23が管理している製品情報管理データにアクセスし、指定された機能名に対応する部品の部品識別情報を取得し、取得した部品識別情報に対応するソフトウェア識別情報を取得し、取得したソフトウェア識別情報により示されるソフトウェアを提供する企業を示す提供企業情報を取得し、取得した提供企業情報により示される提供企業の契約開示レベルを取得し、提供企業情報により示される部品サプライヤーの製品ライフサイクル管理システム31-1~31-nに対して、取得した契約開示レベルの開示範囲内のソフトウェアに関するデータの開示を要求する要求を送信するように構成することも考えられる。その場合、機能名から影響範囲を特定し、関連する部品のソフトウェアの情報を取得することが得できる。
【0071】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態のみに限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
11…自動車、12…ECU、13…ソフトウェア、21…製品ライフサイクル管理システム(完成品メーカー)、22,32…仕様情報管理システム、23,33…製品情報管理システム、24,34…調達システム、25,35…契約情報管理システム、26,36…ソフトウェア管理システム、27,37…影響範囲分析システム、28,38…通信装置、31…製品ライフサイクル管理システム(部品サプライヤー)、41…プロセッサ、42…メインメモリ、43…記憶装置、44…通信装置、45…入力装置、46…表示装置、47…バス、91…通信回線
図1
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図13