IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-水栓装置 図1
  • 特開-水栓装置 図2
  • 特開-水栓装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035121
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20230306BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
E03C1/05
E03C1/042 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141744
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 基紀
(72)【発明者】
【氏名】辻田 正実
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 陽一
(72)【発明者】
【氏名】小森 康寛
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BC04
2D060BC30
2D060BD01
2D060BD03
2D060BE02
2D060BE20
2D060BF03
2D060CA04
2D060CA07
2D060CA09
2D060CB03
2D060CB05
2D060CD02
(57)【要約】
【課題】水栓装置において、センサによる検知対象の検知結果に応じて、複数の吐水モードによる吐水、および止水を実行すること。
【解決手段】実施形態に係る水栓装置は、導電部を有するスパウト本体部と、スパウト本体部に設けられ、洗浄水を吐水する吐水部と、吐水部付近の所定の検知範囲内における検知対象を検知する第1センサと、導電部を電極として、検知対象を検知する静電式の第2センサと、第1センサによる検知結果に応じて吐水を行う第1吐水モードと、第2センサによる検知結果に応じて吐水を行う第2吐水モードとを実行可能な制御装置とを備える。スパウト本体部は、導電部よりも導電性の低い非電極部を備える。非電極部は、吐水部の周囲に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部を有するスパウト本体部と、
前記スパウト本体部に設けられ、洗浄水を吐水する吐水部と、
前記吐水部付近の所定の検知範囲内における検知対象を検知する第1センサと、
前記導電部を電極として、検知対象を検知する静電式の第2センサと、
前記第1センサによる検知結果に応じて吐水を行う第1吐水モードと、前記第2センサによる検知結果に応じて吐水を行う第2吐水モードとを実行可能な制御装置と
を備え、
前記スパウト本体部は、前記導電部よりも導電性の低い非電極部を備え、
前記非電極部は、前記吐水部の周囲に設けられる、水栓装置。
【請求項2】
前記非電極部は、絶縁体である、請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記非電極部は、上面視において前記導電部によって隠されるように設けられる、請求項1または2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記第1センサは、光電センサであり、
前記光電センサの透過窓は、前記吐水部よりも前記スパウト本体部の先端側に設けられ、
前記非電極部は、前記透過窓よりも前記スパウト本体部の先端側まで設けられる、請求項1~3のいずれか1つに記載の水栓装置。
【請求項5】
前記第1吐水モードは、原水を吐水するモードであり、
前記第2吐水モードは、改質水を吐水するモードである、請求項1~4のいずれか1つに記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサによる検知対象の検知結果に応じて、水道水を吐水、および止水する水栓装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-248474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記する水栓装置では、複数の吐水モードを有する場合に、センサによる検知対象の検知結果に応じて、複数の吐水モードによる吐水、および止水を実行することができない。
【0005】
実施形態の一態様は、センサによる検知対象の検知結果に応じて、複数の吐水モードによる吐水、および止水を実行する水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る水栓装置は、導電部を有するスパウト本体部と、前記スパウト本体部に設けられ、洗浄水を吐水する吐水部と、前記吐水部付近の所定の検知範囲内における検知対象を検知する第1センサと、前記導電部を電極として、検知対象を検知する静電式の第2センサと、前記第1センサによる検知結果に応じて吐水を行う第1吐水モードと、前記第2センサによる検知結果に応じて吐水を行う第2吐水モードとを実行可能な制御装置とを備える。前記スパウト本体部は、前記導電部よりも導電性の低い非電極部を備える。前記非電極部は、前記吐水部の周囲に設けられる。
【0007】
これにより、水栓装置は、第1センサ、および第2センサによる検知対象の検知結果に応じて、第1吐水モード、および第2吐水モードによる吐水、および止水を実行することができる。水栓装置は、第1吐水キャップの周囲に非電極部を設けることによって、第1吐水キャップの周囲における第1センサによる検知対象の検知を第2センサよりも優先させることができる。そのため、水栓装置は、検知対象がスパウトに近づく方向に応じて、第1吐水モードによる吐水と、第2吐水モードによる吐水とを分けることができる。従って、使用者は、第1吐水モード、および第2吐水モードによる吐水を簡易な操作によって実行することができる。
【0008】
また、前記非電極部は、絶縁体である。
【0009】
これにより、水栓装置は、第1吐出キャップ付近において第2センサによる検知対象の検知を抑制することができる。すなわち、水栓装置は、第1吐水モード、または第2吐水モードによる吐水を精度良く区別し、吐水することができる。また、水栓装置は、非電極部によってスパウト本体部に隙間が生じることを抑制し、例えば、水跳ねによってスパウト本体部へ洗浄水が浸入することを抑制することができる。
【0010】
また、前記非電極部は、上面視において前記導電部によって隠されるように設けられる。
【0011】
これにより、水栓装置は、使用者が水栓装置を使用する際に、非電極部を使用者から見えにくくすることができる。そのため、水栓装置は、デザイン性の低下を抑制しつつ、複数の吐水モードによる吐水を自動的に行うことができる。
【0012】
また、前記第1センサは、光電センサである。前記光電センサの透過窓は、前記吐水部よりも前記スパウト本体部の先端側に設けられる。前記非電極部は、前記透過窓よりも前記スパウト本体部の先端側まで設けられる。
【0013】
これにより、水栓装置は、検知対象がスパウト本体部の先端側から差し出された場合に、第2センサよりも先に第1センサによって検知対象を検知することができる。そのため、水栓装置は、検知対象がスパウト本体部の先端側から差し出された場合に、第1吐水モードによる吐水を確実に実行することができる。
【0014】
また、前記第1吐水モードは、原水を吐水するモードである。前記第2吐水モードは、改質水を吐水するモードである。
【0015】
これにより、水性装置は、例えば、使用者がスパウト本体部の先端からスパウト本体部の下方に手を差し出した場合、第1センサによって手を検知して、水道水を吐水する。また、水栓装置は、例えば、使用者がスパウト本体部の上方に手をかざした場合、第2センサによって手を検知し、除菌水を吐水する。そのため、複数の吐水モードによって水道水、または除菌水を吐水可能な水栓装置において、使用者は、通常の使用方法において水道水を吐水させることができ、さらに第2センサによって手を検知させることで除菌水を使用することができる。
【発明の効果】
【0016】
実施形態の一態様によれば、センサによる検知対象の検知結果に応じて、複数の吐水モードによる吐水、および止水を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態に係る水栓装置を説明する模式図である。
図2図2は、スパウトの先端側における下面図である。
図3図3は、水栓装置による検知範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する水栓装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。以下では、鉛直方向を下向きとする上下方向を規定し説明する。
【0019】
<水栓装置の構成>
実施形態に係る水栓装置1について、図1、および図2を参照し説明する。図1は、実施形態に係る水栓装置1を説明する模式図である。図1では、水栓装置1のスパウト本体部2が断面で示される。図2は、スパウト本体部2の先端側における下面図である。
【0020】
水栓装置1は、例えば、洗面台などの基部100に取り付けられ、検知対象を検知すると、洗浄水を吐水、および止水する。すなわち、水栓装置1は、自動で吐水、および止水する自動水栓である。
【0021】
検知対象は、人体を含む。検知対象は、使用者の手を含む。検知対象は、洗浄対象物を含む。洗浄対象物は、例えば、歯ブラシや、コップを含む。
【0022】
洗浄水は、原水を含む。洗浄水は、改質水を含んでもよい。原水は、例えば、水道水である。改質水は、除菌水、浄水、またはアルカリイオン水である。除菌水、およびアルカリイオン水は、例えば、水道水が電気分解されて生成される。浄水は、例えば、水道水がフィルターを通されることで生成される。以下では、原水として水道水、および改質水として除菌水が用いられる一例について説明する。
【0023】
水栓装置1は、スパウト本体部2と、第1通水部3と、第2通水部4と、第1センサ5と、制御装置7と、吐水部10とを備える。
【0024】
スパウト本体部2は、導電部2a(第2センサ6)と、非電極部2bとを備える。導電部2aは、導電性の部材で構成される。導電部2aは、例えば、金属製である。導電部2aは、導電性のカーボンや、導電性のプラスチックなどであってもよい。
【0025】
導電部2aは、例えば、洗面台などの基部100に取り付けられる。導電部2aは、例えば、略L字状である。導電部2aは、略J字状であってもよく、直線状であってもよい。導電部2aの先端側の下方には、孔10cが形成される。孔10cには、非電極部2bが設けられる。孔2cは、上面視において使用者に視認されないように形成される。
【0026】
非電極部2bは、導電部2aよりも導電性が低い。非電極部2bは、絶縁体である。非電極部2bは、例えば、樹脂によって構成される。非電極部2bは、上面視において導電部2aによって隠れるように設けられる。非電極部2bには、吐水部10の第1吐水キャップ11が取り付けられる。また、非電極部2bには、第1センサ5が取り付けられる。
【0027】
吐水部10は、第1吐水キャップ11と、第2吐水キャップ12とを備える。第1吐水キャップ11は、スパウト本体部2の先端側に設けられる。第1吐水キャップ11は、第1通水部3を介して供給される水道水を吐水する。第1吐水キャップ11には、水道水を吐水する第1吐水口11aが形成される。第1吐水キャップ11は、下方、または斜め下方に向けて水道水を吐水するように設けられる。
【0028】
第1吐水キャップ11は、例えば、金属製である。第1吐水キャップ11は、スパウト本体部2の導電部2aと電気的に接続されない。例えば、導電部2aと第1吐水キャップ11との間には、空隙が設けられる。なお、空隙は、水栓装置1のサイズやデザインを考慮しながら設けられる。第1吐水キャップ11は、樹脂などの絶縁体で構成されてもよい。
【0029】
第2吐水キャップ12は、例えば、第1吐水キャップ11よりも基部100側に設けられる。第2吐水キャップ12は、第2通水部4を介して供給される除菌水を吐水する。第2吐水キャップ12には、除菌水を吐水する第2吐水口12aが形成される。第2吐水キャップ12は、斜め下方、また下方に向けて除菌水を吐水するように設けられる。第2吐水キャップ12は、例えば、金属製である。
【0030】
なお、第2吐水キャップ12は、スパウト本体部2の先端側に設けられてもよく、第1吐水キャップ11に近接して設けられてもよい。第2吐水キャップ12が、スパウト本体部2の先端側に設けられる場合、例えば、第2吐水キャップ12は、スパウト本体部2の導電部2aと電気的に接続されない。例えば、第2吐水キャップ12は、樹脂などの絶縁体で構成されてもよい。導電部2aと第2吐水キャップ12との間には、空隙が設けられてもよい。なお、空隙は、水栓装置1のサイズやデザインを考慮しながら設けられる。
【0031】
第1通水部3は、第1供給管20と、第1バルブ21とを含む。第1供給管20は、例えば、樹脂などの絶縁体で構成される。なお、第1吐水キャップ11が樹脂などの絶縁体で構成される場合、第1供給管20は、金属製であってもよい。第1供給管20の一端は、水道水の供給源に接続される。第1供給管20の他端は、第1吐水キャップ11に接続される。第1供給管20の一部は、スパウト本体部2に収容される。
【0032】
第1バルブ21は、第1供給管20に設けられる。第1バルブ21は、電磁バルブであり、アクチュエータを含む。アクチュエータは、モータなどを含む。第1バルブ21は、アクチュエータによって開閉される。第1バルブ21は、制御装置7から送信される信号に基づいてアクチュエータが動作することで開閉される。第1バルブ21が開くと、第1吐水キャップ11から水道水が吐水される。第1バルブ21が閉じると、水道水が止水される。
【0033】
第2通水部4は、第2供給管25と、第2バルブ26とを含む。第2供給管25の一端は、除菌水の供給源に接続される。第2供給管25の他端は、第2吐水キャップ12に接続される。第2供給管25の一部は、スパウト本体部2に収容される。
【0034】
第2バルブ26は、第2供給管25に設けられる。第2バルブ26は、電磁バルブであり、アクチュエータを含む。第2バルブ26は、アクチュエータによって開閉される。第2バルブ26は、制御装置7から送信される信号に基づいてアクチュエータが動作することで開閉される。第2バルブ26が開くと、第2吐水キャップ12から除菌水が吐水される。第2バルブ26が閉じると、除菌水が止水される。
【0035】
第1センサ5は、第1吐水キャップ11付近の所定の検知範囲内における検知対象の有無を検知する。所定の検知範囲は、予め設定された範囲であり、第1吐水キャップ11の下方側を含む範囲である。
【0036】
第1センサ5は、例えば、第1吐水キャップ11よりもスパウト本体部2の先端側に設けられる。第1センサ5は、非電極部2bに設けられる。第1センサ5は、第1吐水キャップ11の近傍に設けられる。第1センサ5は、第1吐水キャップ11に隣接して設けられる。
【0037】
第1センサ5は、例えば、光電センサである。例えば、第1センサ5は、検出光を投光し、検知対象から反射した検出光の反射光を受光することによって、検知対象の有無を検知する。第1センサ5において光を透過させる透過窓5aは、第1吐水キャップ11よりもスパウト本体部2の先端側に設けられる。なお、スパウト本体部2の非電極部2bは、透過窓5aよりもスパウト本体部2の先端側まで設けられる。
【0038】
第2センサ6は、第1センサ5よりも広範囲の検知範囲内において検知対象の有無を検知する。第2センサ6は、スパウト本体部2の導電部2aを電極とする静電センサである。導電部2a(第2センサ6)は、接続部6aを介して制御装置7と接続される。
【0039】
導電部2a(第2センサ6)にて検知対象を検知した検知信号を制御装置7へ電送する接続部6aの長さを極力短くすることで、接続部6a(例えばハーネス)から侵入するノイズを抑制し、検知信号への影響を抑制することができる。
【0040】
したがって、導電部2a(第2センサ6)が取り付けられている基部100の下側付近に、導電部2a(第2センサ6)にて検知対象を検知した検知信号を入力し検知可否を判断できる信号に変換する静電センサICなどを有する静電センサ基板を制御装置7と別に配置してもよい。これにより、導電部2a(第2センサ6)と静電センサ基板を接続する接続部6aの長さを短くすることができる。
【0041】
導電部2a(第2センサ6)に検知対象が近づくと、静電容量が変化する。第2センサ6は、静電容量の変化量に応じて、検知対象の有無を検知する。例えば、静電容量は、導電部2aに検知対象が近づくと大きくなる。
【0042】
第2センサ6は、導電部2aを電極とするため、導電部2a(第2センサ6)の上方、および導電部2a(第2センサ6)の側方を含む導電部2a(第2センサ6)の周囲に検知範囲を有する。
【0043】
制御装置7は、たとえばコンピュータであり、制御部7aと記憶部7bとを備える。
【0044】
記憶部7bには、水栓装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。記憶部7bは、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等の記憶装置によって実現される。
【0045】
制御部7aは、記憶部7bに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって水栓装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、記憶媒体から制御装置7の記憶部7bにインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク、メモリカードなどがある。
【0046】
制御装置7は、第1吐水モードと、第2吐水モードとを実行可能である。
【0047】
第1吐水モードは、第1センサ5による検知結果に応じて第1吐水キャップ11からの水道水の吐水、および止水を切り替えるモードである。
【0048】
制御装置7は、第1センサ5によって検知対象が検知された場合に、第1バルブ21を開くための信号を生成し、生成した信号を第1バルブ21に送信する。これによって、第1バルブ21が開き、水道水が第1吐水キャップ11から吐水される。制御装置7は、水道水を吐水した状態で第1センサ5によって検知対象が検知されない場合に、第1バルブ21を閉じるための信号を生成し、生成した信号を第1バルブ21に送信する。これによって、第1バルブ21が閉じ、水道水が止水される。
【0049】
第2吐水モードは、第2センサ6による検知結果に応じて第2吐水キャップ12による除菌水の吐水、および止水を行うモードである。なお、第2吐水モードでは、第1センサ5による検知結果に応じて除菌水の止水が行われてもよい。
【0050】
制御装置7は、第2センサ6によって検知対象が検知された場合に、第2バルブ26を開くための信号を生成し、生成した信号を第2バルブ26に送信する。これによって、第2バルブ26が開き、除菌水が第2吐水キャップ12から吐水される。制御装置7は、除菌水を吐水した状態で第2センサ6によって検知対象が検知されない場合に、第2バルブ26を閉じるための信号を生成し、生成した信号を第2バルブ26に送信する。これによって、第2バルブ26が閉じ、除菌水が止水される。
【0051】
なお、制御装置7は、第1センサ5による検知結果に応じて水道水を吐水した状態で、第2センサ6によって検知対象が検知された場合には、除菌水の吐水を行わない。また、制御装置7は、第2センサ6による検知結果に応じて除菌水を吐水した状態で、第1センサ5によって検知対象が検知された場合には、水道水の吐水を行わない。
【0052】
<検知範囲>
スパウト本体部2は、導電部2aの先端側の下方に非電極部2bを有する。そのため、図3に示すように、非電極部2bの下方は、第2センサ6による検知範囲が狭くなる。図3は、水栓装置1による検知範囲を示す図である。図3では、第2センサ6による検知範囲をハッチングで示す。
【0053】
例えば、使用者が手をスパウト本体部2の先端側から、スパウト本体部2の下方に差し出した場合、第2センサ6の検知範囲に手が入る前に、第1センサ5によって手が検知される。例えば、第1センサ5による所定の検知範囲は、図3において一点鎖線で挟まれた範囲である。
【0054】
従って、例えば、使用者が手をスパウト本体部2の先端側から、スパウト本体部2の下方に差し出した場合、水栓装置1は、第1センサ5による手の検知によって水道水を第1吐水キャップ11から吐水する。
【0055】
また、例えば、使用者が手をスパウト本体部2の上方や、側方からスパウト本体部2に近づけた場合、水栓装置1は、第2センサ6による手の検知によって除菌水を第2吐水キャップ12から吐水する。
【0056】
このように、水栓装置1は、スパウト本体部2に対して検知対象が近づけられる方向によって、水道水、または除菌水の吐水を行う。すなわち、水栓装置1は、スパウト本体部2に対して検知対象が近づけられる方向によって、吐水モードを第1吐水モード、または第2吐水モードに設定し、水道水、および除菌水のいずれか一方の吐水を行う。
【0057】
<効果>
水栓装置1は、スパウト本体部2と、第1吐水キャップ11と、第1センサ5と、第2センサ6と、制御装置7とを備える。スパウト本体部2は、導電部2aを有する。第1吐水キャップ11は、スパウト本体部2に設けられ、水道水を吐水する。第1センサ5は、第1吐水キャップ11付近の所定の検知範囲内における検知対象を検知する。第2センサ6は、導電部2aを電極として、検知対象を検知する静電式のセンサである。制御装置7は、第1センサ5による検知結果に応じて吐水を行う第1吐水モードと、第2センサ6による検知結果に応じて吐水を行う第2吐水モードとを実行可能である。スパウト本体部2は、導電部2aよりも導電性の低い非電極部2bを備える。非電極部2bは、第1吐水キャップ11の周囲に設けられる。
【0058】
これにより、水栓装置1は、第1センサ5、および第2センサ6による検知対象の検知結果に応じて、第1吐水モード、および第2吐水モードによる吐水、および止水を実行することができる。水栓装置1は、第1吐水キャップ11の周囲に非電極部2bを設けることによって、第1吐水キャップ11の周囲における第1センサ5による検知対象の検知を第2センサ6よりも優先させることができる。そのため、水栓装置1は、検知対象がスパウト本体部2に近づく方向に応じて、第1吐水モードによる吐水と、第2吐水モードによる吐水とを分けることができる。従って、使用者は、第1吐水モード、および第2吐水モードによる吐水を簡易な操作によって実行することができる。
【0059】
第1吐水モードは、水道水を吐水するモードである。第2吐水モードは、除菌水を吐水するモードである。
【0060】
これにより、水栓装置1は、例えば、使用者がスパウト本体部2の先端からスパウト本体部2の下方に手を差し出した場合、第1センサ5によって手を検知し、水道水を吐水する。また、水栓装置1は、例えば、使用者がスパウト本体部2の上方に手をかざした場合、第2センサ6によって手を検知し、除菌水を吐水する。そのため、複数の吐水モードによって水道水、または除菌水を吐水可能な水栓装置1において、使用者は、通常の使用方法において水道水を吐水させることができ、さらに第2センサ6によって手を検知させることで、除菌水を使用することができる。
【0061】
非電極部2bは、絶縁体である。これにより、水栓装置1は、第1吐水キャップ11付近において第2センサ6による検知対象の検知を抑制することができる。すなわち、水栓装置1は、第1吐水モード、または第2吐水モードによる吐水を精度良く区別し、吐水することができる。また、水栓装置1は、非電極部2bによってスパウト本体部2に隙間が生じることを抑制し、例えば、水跳ねによってスパウト本体部2へ洗浄水が浸入することを抑制することができる。
【0062】
非電極部2bは、上面視において導電部2aによって隠されるように設けられる。これにより、水栓装置1は、使用者が水栓装置1を使用する際に、非電極部2bを使用者から見えにくくすることができる。そのため、水栓装置1は、デザイン性の低下を抑制しつつ、複数の吐水モードによる吐水を自動的に行うことができる。
【0063】
第1センサ5は、光電センサである。光電センサの透過窓5aは、第1吐水キャップ11よりもスパウト本体部2の先端側に設けられる。非電極部2bは、透過窓5aよりもスパウト本体部2の先端側まで設けられる。
【0064】
これにより、水栓装置1は、検知対象がスパウト本体部2の先端側から下方に差し出された場合に、第2センサ6よりも先に第1センサ5によって検知対象を検知することができる。そのため、水栓装置1は、検知対象がスパウト本体部2の先端側から下方に差し出された場合に、第1吐水モードによる水道水の吐水を確実に実行することができる。
【0065】
変形例に係る水栓装置1は、1つの吐水キャップから、洗浄水を吐水してもよい。例えば、変形例に係る水栓装置1は、水道水、および除菌水を第1吐水キャップ11から吐水してもよい。変形例に係る水栓装置1は、水道水、および除菌水を吐水する流路を切替可能に構成される。
【0066】
変形例に係る水栓装置1は、第1吐水モード、および第2吐水モードにおいて、水道水の吐水方法を変更してもよい。例えば、第1吐水モードでは、水道水がシャワー吐水される。第2吐水モードでは、水道水がストレート吐水される。
【0067】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 水栓装置
2 スパウト本体部
2a 導電部
2b 非電極部
5 第1センサ
5a 透過窓
6 第2センサ
7 制御装置
10 吐水部
11 第1吐水キャップ
12 第2吐水キャップ
21 第1バルブ
26 第2バルブ
図1
図2
図3