(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035177
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230306BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141815
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】設備の更新計画の概要をユーザに直観的に把握させる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムが提供される。
【解決手段】情報処理装置(10)は、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置であって、複数の設備の設備状態情報を取得する取得手段(14)と、設備状態情報を、複数の設備について比較可能なように視覚的に示す画像を生成する画像生成手段(15)と、画像を表示部に出力する出力手段(19)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置であって、
前記複数の設備の設備状態情報を取得する取得手段と、
前記設備状態情報を、前記複数の設備について比較可能なように視覚的に示す画像を生成する画像生成手段と、
前記画像を表示部に出力する出力手段と、を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記設備状態情報は、前記設備の劣化度合いを示す劣化度を含み、
前記画像生成手段は、前記劣化度を、時間と前記複数の設備の少なくとも1つとの組み合わせで示す時間別劣化度の画像を生成する、時間別劣化度生成手段を備え、
前記時間別劣化度の画像は、時間を第1軸に示し、前記複数の設備を前記第1軸に直交する第2軸に示す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、ユーザによって設定される投資額及び時間範囲を取得し、
前記時間別劣化度生成手段は、前記投資額及び時間範囲の少なくとも1つが変更された場合に、前記時間別劣化度の画像を更新する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、ユーザが前記時間別劣化度の画像の前記第1軸に示される時間から選択する特定時間を取得し、
前記画像生成手段は、前記特定時間における前記複数の設備の前記劣化度を、前記プラントにおける前記複数の設備の位置とともに示す設備マップの画像を生成する、設備マップ生成手段を備える、請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記複数の設備の設備状態情報を取得する工程と、
前記設備状態情報を、前記複数の設備について比較可能なように視覚的に示す画像を生成する工程と、
前記画像を表示部に出力する工程と、を含む、情報処理方法。
【請求項6】
プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置を、
前記複数の設備の設備状態情報を取得する取得手段、
前記設備状態情報を、前記複数の設備について比較可能なように視覚的に示す画像を生成する画像生成手段、及び、
前記画像を表示部に出力する出力手段、として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば上下水道施設などのプラントに含まれる複数の設備を維持管理する技術が知られている。設備を維持管理する技術の1つとして、設備の更新計画の立案を支援するシステムが提案されている。例えば特許文献1は、プラント単位で設備のリスク情報を表示できるシステムを開示する。また、例えば特許文献2は、設備保全コストが特定の年度に集中する状態を回避するシステムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-173575号公報
【特許文献2】特開2014-016691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、設備の更新計画の立案において投資額などの条件を変更して、全体的な影響を直ちに知りたい場合がある。しかし、特許文献1の技術は、故障のリスクが高い設備を表示するだけであって、設備の更新計画の概要を容易に把握できるように示すものでない。また、特許文献2の技術も、システムが行う管理操作内容を上下水道施設の管理者などに表示する情報表示手段を備えるが、設備の更新計画の概要を容易に把握できるように示すものでない。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、設備の更新計画の概要をユーザに直観的に把握させる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、
プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置であって、
前記複数の設備の設備状態情報を取得する取得手段と、
前記設備状態情報を、前記複数の設備について比較可能なように視覚的に示す画像を生成する画像生成手段と、
前記画像を表示部に出力する出力手段と、を備える。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、
プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記複数の設備の設備状態情報を取得する工程と、
前記設備状態情報を、前記複数の設備について比較可能なように視覚的に示す画像を生成する工程と、
前記画像を表示部に出力する工程と、を含む。
【0008】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、
プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置を、
前記複数の設備の設備状態情報を取得する取得手段、
前記設備状態情報を、前記複数の設備について比較可能なように視覚的に示す画像を生成する画像生成手段、及び、
前記画像を表示部に出力する出力手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、設備の更新計画の概要をユーザに直観的に把握させる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、時間別健全度の画像を例示する図である。
【
図4】
図4は、設備マップの画像を例示する図である。
【
図5】
図5は、演算情報の画像を例示する図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る情報処理方法の処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法及びプログラムが説明される。
【0012】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成例を示す図である。情報処理装置10は、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援するための情報処理を実行する装置である。本実施形態において、プラントは上下水道施設であるが、これに限定されず、例えば工業製品の製造工場などであってよい。プラントに含まれる設備は、例えばポンプ、バルブ、反応タンクの散気装置、流量計などであってよいが、これらに限定されない。また、プラントに含まれる設備は、機械設備又は電気設備に限られず、土木・建築・建築設備などを含む。情報処理装置10は、ハードウェア構成として、例えばパーソナルコンピュータである。ここで、情報処理装置10は、複数のハードウェアで構成されてよく、情報処理システムと称されてよい。
【0013】
まず、情報処理装置10が作成を支援する更新計画で用いられる設備状態情報について説明する。設備状態情報は、設備の劣化の状態に関係する情報である。設備状態情報は、設備そのものの経年劣化の状態の情報を含んでよいし、設備の劣化状態に応じたプラントへの影響の情報を含んでよい。設備状態情報算出手段30(
図1参照)によって、設備状態情報は算出されて、複数の設備のそれぞれについて1対1で対応するように管理される。設備状態情報は、例えば複数の設備のそれぞれと1対1で対応するテーブルとして管理され、記憶部12(
図1参照)に記憶され、制御部13(
図1参照)によって読み出されてよい。テーブルは例えばCSV(Comma-Separated Values)形式であってよい。
【0014】
本実施形態において、設備状態情報は、各設備の劣化度合いを示す劣化度を含む。劣化度は、設備の状態又は設置からの経過年数の少なくともいずれかに応じて定量化された評価値であり、例えば、健全度又は評価点などであってよい。劣化度は、時間の経過とともに、所定の計算式に従って又はユーザが設定した低下度合いに応じて、値が小さくなるように低下していく。劣化度の低下の程度は、設備の種類などによって異なってよい。設備状態情報算出手段30は、劣化度の経年変化を算出し、複数の設備のそれぞれと1対1で対応するテーブルとして管理する。
【0015】
劣化度の一例として、例えば、複数の設備の健全性を示す健全度であってよい。本実施形態において健全度は「1」から「5」で示される。健全度の「5」は、設備が健全な状態であり問題がない状態を示す。健全度の「4」は、劣化が現れ始めた状態を示す。健全度の「3」は、劣化が進行している状態を示す。健全度の「2」は、機能停止があり得るため設備の更新が必要な状態を示す。健全度の「1」は、機能停止の状態を示す。健全度は、設備が更新されると「5」に戻る。
【0016】
劣化度の別の例として、劣化度は、評価点であってよい。評価点とは、主に水道アセットマネジメントで用いる指標であり、物理的評価、機能的評価、経済的評価、社会的評価、耐震性評価及び耐用寿命評価を総合的に評価し、0~100点で定量的に評価した値である。評価点は、点数が低いほど、劣化が進行していることを示す。このように、劣化度は評価点であり得るが、以下において、劣化度が健全度であるとして一実施形態を説明する。
【0017】
また、設備状態情報は、複数の設備のリスクに関する情報を含んでよい。リスクに関する情報は例えばリスクマトリクス値である。リスクマトリクス値は、設備のリスクの評価値であって、当該設備が故障したときに、値が大きいほどプラントへの被害のリスクが高いことを示す。リスクマトリクス値は、設備の影響度と、設備の故障・異常などの発生確率を表す耐用年数超過率などから算出されてよい。影響度は、設備の種類などによって異なり、その設備の故障がプラント全体に影響する大きさに応じて定められる。
【0018】
情報処理装置10は、以下のようなハードウェア構成を有する。情報処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、入力部20と、表示部21と、を備える。
【0019】
通信部11は、入力部20及び表示部21と通信する通信インターフェースを含む。入力部20及び表示部21と通信する通信インターフェースは、例えばUSB及びHDMI(登録商標)などであってよい。
【0020】
記憶部12は、1つ以上のメモリである。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリなどであるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部12は、例えば情報処理装置10に内蔵されるが、任意のインターフェースを介して情報処理装置10に外部から接続される構成も可能である。
【0021】
制御部13は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサは、例えば汎用のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られず任意のプロセッサとすることができる。制御部13は、情報処理装置10の全体の動作を制御する。
【0022】
情報処理装置10は、以下のようなソフトウェア構成を有する。情報処理装置10の動作の制御に用いられる1つ以上のプログラムが記憶部12に記憶される。記憶部12に記憶されたプログラムは、制御部13によって読み込まれると、制御部13を取得手段14、画像生成手段15、出力手段19及び設備状態情報算出手段30として機能させる。本実施形態において、画像生成手段15は、時間別健全度生成手段16、設備マップ生成手段17及び演算情報生成手段18を含む。記憶部12に記憶されたプログラムは、ユーザが入力部20を用いて制御部13に対して処理開始を指示した場合に、制御部13によって読み込まれてよい。
【0023】
各手段の概要は次のとおりである。取得手段14は、設備状態情報算出手段30が管理して記憶部12に記憶させる設備状態情報を取得する手段である。また、取得手段14は、ユーザによる入力部20の操作などに基づいて、ユーザによって設定される投資額及び時間範囲などを取得する。画像生成手段15は、設備状態情報を複数の設備について比較可能なように視覚的に示す画像を生成する。ここで、「複数の設備について比較可能なように」とは、ユーザが選択した1つの設備について設備状態情報を表示するのでなく、ユーザの選択がなくても複数の設備の設備状態情報が対比される形で表示される状態を意味する。本実施形態において、画像生成手段15によって生成される画像は、時間別健全度の画像、設備マップの画像及び演算情報の画像を含む。時間別健全度生成手段16は、複数の設備の健全度を、時間と複数の設備との組み合わせで示す時間別健全度の画像を生成する。また、時間別健全度生成手段16は、投資額及び時間範囲の少なくとも1つが変更された場合に、時間別健全度の画像を更新する。設備マップ生成手段17は、後述する特定時間における複数の設備の健全度を、プラントにおける複数の設備の位置とともに示す設備マップの画像を生成する。ここで、設備マップ生成手段17は、記憶部12に記憶されているプラントの全体の地図情報、及び、複数の設備のプラントにおける位置情報に基づいて、設備マップの画像を生成することができる。設備マップ生成手段17は、例えばある設備の健全度を、その設備の座標の位置に重ねて表示(オーバーレイ)させることによって設備マップの画像を生成してよい。また、演算情報生成手段18は、設備状態情報について演算処理を行って得られた演算情報を示す演算情報の画像を生成する。出力手段19は、これらの画像を表示部21に出力する。設備状態情報算出手段30は、プラントに含まれる複数の設備の名称、種類及び位置などの情報を管理し、複数の設備の設備状態情報を算出して管理する。また、設備状態情報算出手段30は、設備毎の更新にかかるコスト及び上記のリスクマトリクス値の情報も管理する。設備状態情報算出手段30は、上記の健全度の経年変化のテーブルに加えて、設備の種類、位置、更新コストなどの情報を複数の設備のそれぞれと対応するテーブルとして管理し、記憶部12に記憶させてよい。各手段の詳細な処理、時間別健全度の画像、設備マップの画像及び演算情報の画像の詳細については後述する。
【0024】
入力部20は、情報処理装置10に対するユーザの操作を受け付けるインターフェースである。入力部20は、ハードウェア構成として、例えばキーボード及びマウスなどであってよい。
【0025】
表示部21は、情報処理装置10からのユーザに対する情報を表示するためのインターフェースである。表示部21は、ハードウェア構成として、例えば液晶ディスプレイ又はOEL(Organic Electro-luminescence)ディスプレイなどのディスプレイであってよい。
【0026】
情報処理装置10は、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援するために用いられるが、この更新計画の作成において投資額が設定される。投資額は、毎年、設備の更新のために使われるものであり、この投資額の範囲で、健全度の低い設備が更新される。また、更新計画の作成において計画の対象となる時間範囲が設定される。
【0027】
図2は、表示部21に表示される表示画像の構成例を示す図である。表示画像は、投資額の画像114及び時間範囲の画像115を含む。情報処理装置10を用いて行う設備の更新計画の立案において、ユーザは投資額を入力する。ユーザによって入力された投資額は、投資額の画像114に表示される。また、ユーザはマウスなどでカーソルを投資額の画像114に合わせてクリックし、キーボードなどによって投資額を入力又は変更することができる。投資額は、毎年で一定額としてよいし、年によって額を増減させてよい。増減可能な場合に、毎年のデフォルトの金額が表示されて、ユーザがボタン(例えば「+」及び「-」のボタン)を押すことによって所定額が増減されてよい。別の例として、投資額の入力は、別画面又は別途用意されるテーブルを使って行われてよい。
【0028】
また、情報処理装置10を用いて行う設備の更新計画の立案において、ユーザは時間範囲を入力する。本実施形態において、時間は、会計の1年の区切りである年度が用いられる。ユーザは例えば2021年度から50年間を時間範囲として入力してよい。時間範囲は、さらに長期を設定してよいし、短期であってよい。ユーザによって入力された時間範囲は、時間範囲の画像115に表示される。また、ユーザはマウスなどでカーソルを時間範囲の画像115に合わせてクリックし、キーボードなどによって時間範囲を入力又は変更することができる。
【0029】
表示画像は時間別健全度の画像116、設備マップの画像117及び演算情報の画像118を含む。詳細について後述するが、これらの画像は、投資額及び時間範囲などの条件の変更に応じて更新(再生成)される。そのため、ユーザは更新計画の概要を、視覚的にとらえることが可能である。また、
図2に示すように、投資額、時間範囲、時間別健全度、設備マップ及び演算情報が1画面に集約されて表示されることによって、ユーザは設備の更新計画を立案しやすくなる。ここで、表示画像の構成は任意であって、時間別健全度の画像116、設備マップの画像117及び演算情報の画像118の全てを含む必要がなく、例えば時間別健全度の画像116を単体で含んでよい。
【0030】
図3は、時間別健全度の画像116を例示する図である。時間別健全度の画像116では、複数の設備の健全度が、時間と複数の設備との組み合わせで示されている。時間別健全度の画像116は、時間を第1軸(
図3の例では横軸)に示し、複数の設備を第1軸に直交する第2軸(
図3の例では縦軸)に示している。縦軸と横軸の表示項目は逆であってよい。つまり、時間別健全度の画像116は、時間を縦軸に示し、複数の設備を横軸に示してよい。時間の表示部分116Aに示される時間(年度)は、ユーザが入力した時間範囲に対応する。また、複数の設備の表示部分116Bに示される複数の設備の名称(
図3の例ではA-1、A-2、B-1など)は、設備状態情報算出手段30によって管理されて記憶部12に記憶された情報に基づいて設定される。
【0031】
また、複数の設備のそれぞれの時間別(年度別)の健全度は、値に応じて異なる色で表示される。本実施形態において、健全度の「5」が白で表示されて、「1」が黒で表示されて、「4」から「2」は値が小さくなるにつれて色が濃くなるグレーで表示される。別の例として、健全度の「5」が緑、「4」が薄緑、「3」が黄色、「2」がオレンジ、「1」が赤で表示されてよい。ここで、表示色は特に限定されない。また、健全度の値である数は表示されなくてよいが、
図3のように表示されてよい。
【0032】
図3に示すように、時間別健全度の画像116は、設備状態情報算出手段30によって算出される年度別の健全度を、ユーザに直観的に把握させることができる。例えば、
図3の例で、2023年度から2025年度では、全体的に白に近い色が多い。そのため、ユーザは、この期間において全体的に設備の健全性が高い状態であることが直観的にわかる。一方で、2031年度から2033年度では、全体的に黒っぽい色になっている。そのため、ユーザは、この期間において全体的に設備の劣化が進み健全性が低下している状態であることが直観的にわかる。
【0033】
時間別健全度生成手段16は、例えば以下のような処理(時間別健全度生成処理)によって時間別健全度の画像116を生成する。時間別健全度生成手段16は、複数の設備のそれぞれと1対1で対応するように構成された健全度の経年変化のテーブルを、取得手段14を介して、記憶部12から取得する。時間別健全度生成手段16は、健全度の経年変化のテーブルから複数の設備の情報を抽出して、時間別健全度の画像116の第2軸に割り当てる。また、時間別健全度生成手段16は、健全度の経年変化のテーブルから、設定された時間範囲における健全度を抽出して、それぞれの値に対応する色を割り当てる。時間別健全度生成手段16は、複数の設備のそれぞれの健全度の経年変化を、割り当てた色を用いて、時間別健全度の画像116の第1軸に割り当てる。このような処理によって、時間別健全度生成手段16は、
図3に示す時間別健全度の画像116を生成することができる。
【0034】
ここで、時間別健全度生成手段16は、投資額及び時間範囲の少なくとも1つが変更された場合に、時間別健全度の画像116を更新する。例えばユーザは、2031年度から2033年度の健全性の低下を解消するために、2倍の投資額を入力できる。投資額の変更は、毎年の額を増額してよいし、特定の年度だけを増額してよい。このような場合に、時間別健全度生成手段16は、設備状態情報算出手段30に投資額の変更の情報(上記の例では2031年度から2033年度の投資額の変更内容)を出力する。設備状態情報算出手段30は、投資額の変更の情報を用いて健全度の経年変化を再計算し、再計算の結果を健全度の経年変化のテーブルに反映させて記憶部12に記憶し、再計算の完了を示す信号を時間別健全度生成手段16に出力する。上記の例では2031年度から2033年度において、投資額の増加に伴い、更新される設備の数が増加する。再計算の完了を示す信号を受け取った時間別健全度生成手段16は、再計算後の健全度の経年変化のテーブルを記憶部12から取得して、上記の時間別健全度生成処理を実行して、新たな時間別健全度の画像116を生成する。ユーザは、投資額を変更した期間における表示色が白へと変化したことを視覚的に確認できれば、設定した投資額の増加によって健全性を改善できることを直観的に理解できる。また、色の変化がなければ、ユーザは投資額を更に増やして時間別健全度の画像116の変化を確認してよい。
【0035】
また、ユーザは長期的な影響を把握するために、時間範囲をさらに長期に設定してよい。時間別健全度生成手段16は、新たに設定された時間範囲に合わせて、時間別健全度の画像116を更新する。時間範囲が変更された場合の処理も、投資額が変更された場合における処理と同様である。すなわち、時間別健全度生成手段16が設備状態情報算出手段30に時間範囲の変更の情報を出力し、設備状態情報算出手段30が時間範囲の変更の情報を用いて健全度の経年変化を再計算し、時間別健全度生成手段16が再計算後の健全度の経年変化のテーブルを用いて時間別健全度生成処理を実行する。
【0036】
図4は、設備マップの画像117を例示する図である。設備マップの画像117では、特定時間における複数の設備の健全度が、プラントにおける複数の設備の位置とともに示される。
図4の例において、健全度は値によって異なる色で表示される丸で示されている。表示色は、
図3の場合と同じである。マップ表示によって、ユーザは実際の設備の位置と対応させて健全度を知ることができる。また、マップ上で健全度が示されることによって、ユーザは設備の場所又は性質に基づく更新延長の許容度などから対応(例えば投資額の増額)の要否を直観的に判断できる。例えば二重化された故障耐性の高い設備などについて、ユーザは更新延長の許容度が高いと判断してよい。
【0037】
本実施形態において、特定時間は、ユーザによって時間別健全度の画像116の第1軸に示される時間から選択される。つまり、ユーザがマウスなどでカーソルを時間の表示部分116Aに示される1つの時間(年度)に合わせてクリックすることで、特定時間が選択される。ユーザが特定時間を選択すると、取得手段14は特定時間を取得する。設備マップ生成手段17は、取得手段14を介して得た特定時間、設備状態情報算出手段30が算出した年度別の健全度、設備の位置の情報などに基づいて、設備マップの画像117を生成又は更新する。
図4の例では、特定時間が2037年度であって、2037年度における設備の健全度がマップ表示されている。
【0038】
設備マップ生成手段17は、例えば以下のような処理(設備マップ生成処理)によって設備マップの画像117を生成する。設備マップの画像117は、取得手段14を介してユーザが選択した特定時間を取得すると、健全度の経年変化のテーブル、設備のプラントにおける位置の情報を複数の設備のそれぞれと対応させたテーブル(以下、位置情報テーブル)、プラントの全体の地図情報を、記憶部12から取得する。設備マップ生成手段17は、位置情報テーブルから複数の設備の位置の情報を抽出して、プラントの全体の地図にマッピングして、その位置に丸を配置する。設備マップ生成手段17は、健全度の経年変化のテーブルから、特定時間における健全度を抽出して、それぞれの値に対応する色を割り当てる。設備マップ生成手段17は、複数の設備のそれぞれに対応して地図上に配置された丸に、割り当てた色を配色する。このような処理によって、設備マップ生成手段17は、
図4に示す設備マップの画像117を生成することができる。
【0039】
また、ユーザがマウスなどでカーソルを、複数の設備の表示部分116Bに示される1つの設備に合わせてクリックすると、設備マップの画像117において、その設備の健全度がハイライトされてよい。設備マップ生成手段17は、上記の設備マップ生成処理における複数の設備に対応させて丸を配置する処理において、ユーザが選択した特定設備に対応する丸をハイライトさせる。設備マップ生成手段17は、特定時間と同様に、取得手段14を介してユーザが選択した特定設備を取得できる。
【0040】
図5は、演算情報の画像118を例示する図である。本実施形態において、演算情報の画像118を生成する演算情報生成手段18は、デフォルトの演算処理として、ユーザによって設定された時間範囲において、複数の設備における健全度の平均値(健全度平均)を算出する。
図5の上図のように、演算情報の画像118は健全度平均のグラフであってよい。ユーザは、時間別健全度の画像116の色の変化で把握した健全度の変化を、演算情報の画像118によって数値として検証することができる。
【0041】
演算情報生成手段18は、例えば以下のような処理によって健全度の平均値の演算情報の画像118を生成する。演算情報生成手段18は、時間別健全度生成処理を実行すると、時間別健全度生成処理で取得した健全度の経年変化のテーブルを用いて、ユーザによって設定された時間範囲のそれぞれの年度における全設備の健全度の平均値を算出する。演算情報生成手段18は、ユーザによって設定された時間範囲を、演算情報の画像118の横軸に割り当てる。演算情報生成手段18は、それぞれの年度における全設備の健全度の平均値を、演算情報の画像118の縦軸に割り当てる。このような処理によって、演算情報生成手段18は、
図5の上図に示す健全度の平均値の演算情報の画像118を生成することができる。
【0042】
演算情報生成手段18は、別の演算処理として、特定時間について、投資額を変化させた場合における複数の設備のリスクマトリクス値の合計を算出してよい。
図5の下図のように、演算情報の画像118はリスクマトリクス値の合計のグラフであってよい。ユーザは、演算情報の画像118によって、適切な投資額を知ることが可能である。
図5の例では、投資額が6千万円から8千万円を超えたところで、リスクマトリクス値の合計が低下せずに横ばいとなる。そのため、ユーザは、適切な投資額が6千万円から8千万円であると直感的に把握できる。
【0043】
演算情報の画像118は、ユーザの指示に基づいて切り換えられてよい。ユーザの指示は、例えばマウスなどでカーソルを演算情報の画像118の上に移動させてクリックすることであってよい。このとき、演算情報生成手段18は、取得手段14を介してユーザが演算情報の画像118の上でクリックしたことを示す信号を受け取ると、切り換えの指示があったと判定して、例えば健全度の平均値の演算情報の画像118と、リスクマトリクス値の合計の演算情報の画像118との切り換えを行ってよい。
【0044】
演算情報生成手段18は、例えば以下のような処理によってリスクマトリクス値の合計の演算情報の画像118を生成する。演算情報生成手段18は、ユーザが演算情報の画像118の上でクリックしたことを示す信号を受け取ると、設備状態情報算出手段30に、複数の設備のリスクマトリクス値の投資額に対する変化をシミュレーションするように要求する信号を出力する。設備状態情報算出手段30は、シミュレーションの要求信号を受け取ると、記憶部12から健全度の経年変化のテーブルを読み出して、投資額を変更しながら健全度の経年変化を計算する。設備状態情報算出手段30は、それぞれの投資額に応じて得られた健全度に基づいて耐用年数超過率を算出し、耐用年数超過率と設備の影響度などからリスクマトリクス値の変化をシミュレーションする。設備状態情報算出手段30は、シミュレーション結果を記憶部12に記憶し、シミュレーションの完了を示す信号を演算情報生成手段18に出力する。演算情報生成手段18は、シミュレーション結果を記憶部12から取得して、それぞれの投資額における、設定された時間範囲での全設備のリスクマトリクス値の合計を算出する。演算情報生成手段18は、投資額を、演算情報の画像118の横軸に割り当てる。演算情報生成手段18は、それぞれの投資額におけるリスクマトリクス値の合計を、演算情報の画像118の縦軸に割り当てる。このような処理によって、演算情報生成手段18は、
図5の下図に示すリスクマトリクス値の合計の演算情報の画像118を生成することができる。
【0045】
図6は、情報処理装置10が実行する情報処理方法の処理の例を示すフローチャートである。情報処理装置10は、例えばユーザが入力部20によって開始を指示したことを受けて、以下の処理を開始してよい。ここで、ユーザが投資額及び時間範囲を入力し、特定時間を選択できるように、デフォルトの画像が表示部21に表示されてから、以下の処理が開始される。デフォルトの画像は、予め定められた今年から所定年数分の画像又は前回の処理の終了時の画像であってよい。
【0046】
取得手段14は、設備状態情報算出手段30が算出した設備状態情報を取得する(ステップS1)。また、取得手段14は、記憶部12に記憶されている設備の名称、種類及び位置などの情報を取得する。
【0047】
取得手段14は、ユーザによって設定される投資額及び時間範囲を取得する(ステップS2)。
【0048】
時間別健全度生成手段16は、例えば投資額、時間範囲、設備状態情報、設備の名称の情報などに基づいて、時間別健全度の画像116を生成する(ステップS3)。
【0049】
演算情報生成手段18は、例えば時間別健全度生成手段16の算出結果に基づいて、演算情報の画像118を生成する(ステップS4)。演算情報の画像118は健全度平均のグラフであってよい。
【0050】
出力手段19は、時間別健全度生成手段16及び演算情報生成手段18が生成した画像を表示部21に出力する(ステップS5)。ユーザは表示された画像を用いて特定時間を選択できる。
【0051】
取得手段14は、ユーザによって選択される特定時間を取得する(ステップS6)。
【0052】
設備マップ生成手段17は、特定時間、設備状態情報、設備の位置の情報などに基づいて、設備マップの画像117を生成する(ステップS7)。
【0053】
取得手段14は、一定のタイミングで又はユーザによる変更などを検知して、投資額及び時間範囲を取得する。時間別健全度生成手段16及び演算情報生成手段18は、投資額及び時間範囲の少なくとも1つが変更された場合に(ステップS8のYes)、時間別健全度の画像116及び演算情報の画像118を更新する(ステップS9)。
【0054】
ここで、投資額も時間範囲も変更されない場合には(ステップS8のNo)、ステップS10の処理が実行される。
【0055】
取得手段14は、一定のタイミングで又はユーザによる選択変更などを検知して、特定時間を取得する。設備マップ生成手段17は、特定時間が変更された場合に(ステップS10のYes)、設備マップの画像117を更新する(ステップS11)。
【0056】
ここで、特定時間が変更されない場合には(ステップS10のNo)、ステップS12の処理が実行される。
【0057】
演算情報生成手段18は、ユーザによるマウス操作などを検知して、別の演算の指示があると判定する場合に(ステップS12のYes)、別の演算情報の画像118を生成する(ステップS13)。別の演算情報の画像118はリスクマトリクス値の合計のグラフであってよい。
【0058】
演算情報生成手段18が別の演算の指示がないと判定する場合には(ステップS12のNo)、ステップS14の処理が実行される。
【0059】
出力手段19は、画像を表示部21に出力し、処理を終了する(ステップS14)。ここで、さらにユーザによる各種条件の変更を受け付けるために、例えばステップS8に戻って処理が継続されてよい。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置10、情報処理方法及びプログラムは、上記の構成によって、設備の更新計画の概要をユーザに直観的に把握させることができる。
【0061】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0062】
例えば劣化度は別の例である評価点が用いられてよい。この場合に、上記の実施形態における健全度の「5」、「4」、「3」、「2」、「1」を、例えば、それぞれ評価点の「80点以上100点以下」、「60点以上80点未満」、「40点以上60点未満」、「20点以上40点未満」、「0点以上20点未満」に対応させてよい。また、時間別健全度生成手段16は、時間別健全度の画像116に代えて時間別評価点の画像を生成する時間別評価点生成手段であってよい。時間別評価点生成手段が実行する処理は、上記の時間別健全度生成手段16の処理と同様である。また、健全度及び評価点以外の劣化度が用いられる場合も、同様である。また、時間別健全度生成手段16及び時間別評価点生成手段などをまとめて、時間別劣化度生成手段と称することができる。時間別劣化度生成手段は、時間別劣化度の画像を生成する。また、劣化度は必ずしも複数の設備について算出されなくてよい。つまり、劣化度は複数の設備の少なくとも1つについて算出されればよい。
【符号の説明】
【0063】
10 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
14 取得手段
15 画像生成手段
16 時間別健全度生成手段
17 設備マップ生成手段
18 演算情報生成手段
19 出力手段
20 入力部
21 表示部
30 設備状態情報算出手段
114 投資額の画像
115 時間範囲の画像
116 時間別健全度の画像
116A 時間の表示部分
116B 複数の設備の表示部分
117 設備マップの画像
118 演算情報の画像