(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035180
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器
(51)【国際特許分類】
G03B 27/62 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141823
(22)【出願日】2021-08-31
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 覚司
【テーマコード(参考)】
2H012
【Fターム(参考)】
2H012CB12
2H012CD06
(57)【要約】
【課題】指挟み事故を未然に防止することのできる原稿圧着板開閉装置並びにその原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器を提供する。
【解決手段】原稿圧着板を有する事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回転可能に軸支された支持部材と、この支持部材に重なり合うと共に前記支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されたところの前記原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、を有する原稿圧着板開閉装置において、前記リフト部材が前記支持部材とは前記逆方向に回転した際に前記リフト部材と前記支持部材との間に形成される空間部を塞ぐために、その上端部側を前記リフト部材に対し回転可能に連結し、下端部側を前記取付部材の両側部に設けたレール部に対しスライド可能に係合させた指挟み防止カバーを設けることで解決した。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿圧着板を有する事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回転可能に軸支された支持部材と、この支持部材に重なり合うと共に前記支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されたところの前記原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、を有する原稿圧着板開閉装置において、前記リフト部材が前記支持部材とは前記逆方向に回転した際に前記リフト部材と前記支持部材との間に形成される空間部を塞ぐために、その上端部側を前記リフト部材に対し回転可能に連結し、下端部側を前記取付部材の両側部に設けたレール部に対しスライド可能に係合させた指挟み防止カバーを設けたことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。
【請求項2】
前記指挟み防止カバーは、その両側板の上端部側を前記リフト部材の両側板の後端部側に対し軸支ピンを介して回転可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項3】
前記指挟み防止カバーは、その下端部側に前記取付部材の後端部両側に設けたレール部とスライド可能に係合する係合突起を有することを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項4】
前記指挟み防止カバーは、その両側板の上端部側を前記リフト部材の両側板の後端部側に対し軸支ピンを介して回転可能に取り付けられ、その下端部側に前記取付部材の後端部両側に設けたレール部とスライド可能に係合する係合突起を有することを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項5】
前記取付部材に設けられる前記レール部は、前記取付部材の後板の両側からその両側板を後端部側へ延設し、さらにその先端部側を内側へ折り曲げることによって形成されていることを特徴とする、請求項3~4の何れか1項に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項6】
請求項1~5に各記載の原稿圧着板開閉装置を用いたことを特徴とする、事務機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器に備えられている原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器の装置本体には、その装置本体の上面後部に対し原稿圧着板が原稿圧着板開閉装置を介して回転可能に取り付けられているものがある。この原稿圧着板開閉装置は、一種のヒンジ機構であり、原稿圧着板をヒンジ軸まわりに回転可能に軸支して、装置本体の上面のコンタクトガラス面上に原稿圧着板を密着させることができると共に、そのコンタクトガラスを露出させることができる。原稿をコンタクトガラス面上にセットするには、原稿圧着板を原稿圧着板開閉装置を介して回転させて(上下方向に開閉させて)コンタクトガラス面を露出(開放)させ、そのコンタクトガラスの面上に原稿を載置した後、原稿圧着板を閉じて原稿をコンタクトガラス面上に圧着させる。
【0003】
このような原稿圧着板開閉装置の中には、リフト部材や圧縮コイルスプリングを設けて、厚さに関係なく原稿をコンタクトガラスに密着させることができると共に、圧縮コイルスプリングの付勢力により本来の重量を感じさせることなく原稿圧着板を回転させることができる原稿圧着板開閉装置が知られている(例えば、後述の特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載されている原稿圧着板開閉装置は、事務機器の装置本体に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回転可能に軸支された支持部材と、この支持部材に重なり合うと共に支持部材の自由端部に第2ヒンジシャフトを介して回転可能に軸支され、かつ、原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、このリフト部材と前記取付部材の間に設けられ、リフト部材を支持部材と重なり合う方向へ付勢する圧縮コイルスプリングとを備えている。
【0005】
これにより、本のような厚物の原稿を複写する場合、コンタクトガラス上に厚物の原稿をセットした後に、原稿圧着板を閉成方向に回転させると、原稿の原稿圧着板開閉装置側の端部に原稿圧着板が接触し、さらに原稿圧着板を下押しすると、リフト部材が第2ヒンジシャフトを支点に支持部材に対し反転し、原稿圧着板をコンタクトガラスに対して水平状態に設置し、厚物の原稿をコンタクトガラス上に圧着させ、かつ外光がコンタクトガラスを介して事務機器の内部に進出するのを防止することができるように構成されている。
【0006】
そうすると、
図17Aに示したように、リフト部材の後部と支持部材の後部との間に空間部が生ずる。原稿圧着板開閉装置は、コンタクトガラス上より厚物の原稿を取り去り、一度開成方向へ開くと、リフト部材は支持部材と重なり合う元位置に戻るように構成されているが、リフト部材が反転したままで原稿圧着板を閉じようとすると、原稿圧着板、即ち、リフト部材が元位置に戻らないまま閉じられ、原稿圧着板がその先端側を下げた状態で、しかもリフト部材の後部と支持部材の後部の間に空間部が生じた状態で閉じられることになる。この場合でも一度原稿圧着板を開成方向へ開くと、リフト部材が支持部材に重なり合う元位置に戻すことができるが、装置に対する不知或は誤解により、この操作をせず、操作者が原稿圧着板の後端部へ手を回してリフト部材の部分に手を添えて下押しする場合がある。そうするとリフト部材と支持部材との間に生じている空間部に指を挟んで怪我をしてしまう場合が生ずるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、従来公知の上記原稿圧着板開閉装置において、上述したような指挟み事故を未然に防止することのできる原稿圧着板開閉装置並びにその原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置は、原稿圧着板を有する事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回転可能に軸支された支持部材と、この支持部材に重なり合うと共に前記支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されたところの前記原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、を有する原稿圧着板開閉装置において、前記リフト部材が前記支持部材とは前記逆方向に回転した際に前記リフト部材と前記支持部材との間に形成される空間部を塞ぐために、その上端部側を前記リフト部材に対し回転可能に連結し、下端部側を前記取付部材の両側部に設けたレール部に対しスライド可能に係合させた指挟み防止カバーを設けたことを特徴とする。
【0010】
その際に、請求項2に記載の原稿圧着板開閉装置は、指挟み防止カバーが、その両側板の上端部側を前記リフト部材の両側板の後端部側に対し軸支ピンを介して回転可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の原稿圧着板開閉装置は、指挟み防止カバーが、その下端部側に前記取付部材の後端部両側に設けたレール部とスライド可能に係合する係合突起を有することを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項4に記載の原稿圧着板開閉装置は、指挟み防止カバーが、その両側板の上端部側を前記リフト部材の両側板の後端部側に対し軸支ピンを介して回転可能に取り付けられ、その下端部側に前記取付部材の後端部両側に設けたレール部とスライド可能に係合する係合突起を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項5に記載の原稿圧着板開閉装置は、指挟み防止カバーが、前記取付部材に設けられる前記レール部を、前記取付部材の後板の両側からその両側板を後端部側へ延設し、さらにその先端部側を内側へ折り曲げることによって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成したので、本のような厚物の原稿でも原稿圧着板で水平に覆ってコンタクトガラス上に圧着ことができ、外光が装置本体内部へ侵入するのを極力防止でき、そのような作用効果を得ながら、使用者がリフト部材と支持部材の各後部に生じた空間部に指を挟んで怪我をする事故を未然に防止できる安全性が高く、しかも安価な構成の原稿圧着板開閉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る原稿圧着板開閉装置を取り付けた複写機に代表される事務機器を後方から見た斜視図である。
【
図2】本発明に係る原稿圧着板開閉装置を斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の取付部材に対し支持部材を90度開いた状態を斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】本発明に係る原稿圧着板開閉装置のリフト部材が支持部材に対して反転した状態を斜め後方から見た斜視図である。
【
図5】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の分解斜視図である。
【
図6】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の指挟み防止カバーを示し、(a)は後方から見た斜視図、(b)は倒してみた斜視図である。
【
図7】本発明の原稿圧着板開閉装置の取付部材を示し、(a)は後方から見た斜視図、(b)は側断面図である。
【
図8】本発明に係る原稿圧着板開閉装置を閉じた状態の縦断面図である。
【
図9】本発明に係る原稿圧着板開閉装置を中間開閉角度まで開いた状態の縦断面図である。
【
図10】本発明に係る原稿圧着板開閉装置のリフト部材を支持部材に対して反転させた場合の縦断面図である。
【
図11】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の支持部材を90度まで開いた状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器の実施例を添付した図面に基づいて詳述する。
【実施例0017】
図1~
図11は、本発明に係る実施例の原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器の一例を示す図である。本発明の原稿圧着板開閉装置1A、1Bは、複写機、複合機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器の装置本体2Bの上面に対し原稿圧着板3を開閉可能に取り付ける一種のヒンジ装置である。
【0018】
本発明に係る原稿圧着板開閉装置は、
図1に示したように、図面に向かって左側の大型のもの1Aと右側の小型のもの1Bのものから成り、右側1Aのものは、ダブルコイルスプリングやオイルダンパーが使用されているが、左側1Bの小型のものは、ワンコイルスプリングが用いられているのみである。これは、原稿圧着板3にはその一側部側に原稿自動送り装置が設けられている関係上、図中右側の原稿圧着板開閉装置に荷重が偏って加わるからである。図面に示すように、どちらにも本発明に係る指挟み防止カバー7A、7Bが取り付けられており、大小に違いはあってもその構成は同じである。以下に指示記号1Aの大型の原稿圧着板開閉装置について説明する。しかしながら、左右の原稿圧着板開閉装置は、実施例のものは、左右大きさが異なっているが、同じ大きさで、同じ構成のものであっても良い。
【0019】
本発明に係る原稿圧着板開閉装置1Aは、複写機2Aの装置本体2Bに取り付けられる取付部材4と、その取付部材4の両側板42、42に第1ヒンジシャフト11を介して回転自在に連結される支持部材5と、この支持部材5の両側板52、52に第2ヒンジシャフト12を介して回転自在に連結された状態で原稿圧着板3を取り付けるリフト部材6と、を備え、支持部材5が、通常使用時、原稿圧着板3を装置本体2Bの上面に接触する閉成位置から最大使用開放位置まで回転し、かつ、支持部材5が、メンテナンス時、さらに最大使用開放位置から最大開放位置まで回転するものである。本発明の原稿圧着板開閉装置1Aの特徴は、リフト部材6が支持部材5に挿通されている第2ヒンジシャフト12を軸に回転したときに形成される空間部Rに、人の指が入らないように防止する指挟み防止カバー7Aを設けたことにある。尚、第1ヒンジシャフト11と第2ヒンジシャフト12は、図面上1本のものを示したが、これを2分割して取付部材4の両側板42、42と支持部材5の両側板52、52同士、及び支持部材5の両側板52、52とリフト部材6の両側板62、62同士をそれぞれ別々に軸着してもよい。本願発明で第1ヒンジシャフト11と第2ヒンジシャフト12といった場合には、これらのものを含むものとする。尚、とくに
図5において、指示記号11a、11aのものは軸受部材であり、指示記号11b、11bのものはワッシャである。
【0020】
取付部材4は、
図7に示すように、装置本体2Bの後部上端側に取り付けられる底板41と、底板41の両側端部からそれぞれ底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる両側板42、42と、底板41の一端部(後端部)から底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる略矩形状の後板43と、から構成されている。
【0021】
底板41は、略矩形状に形成され、取付ボルトT等で装置本体2B上に取り付けるための大小の取付孔41a、41bが設けられている。両側板42、42は、断面略L字状に形成され、底板41に対して直交して上方へ方向へ延びる位置に第1ヒンジシャフト孔46、46が設けられている。両側板42、42の第1ヒンジシャフト孔46、46より底板41側(下方)で、かつ、内側(前方)に偏した位置には受圧部材孔47、47が設けられている。両側板42、42の受圧部材孔47、47に受圧部材13が挿通されている。尚、この受圧部材13はピン状でなくとも良く、湾曲させた部材や樹脂製のものを両側板42、42間に取り付けてもよい。
【0022】
さらに、取付部材4には、その後板43の両側に沿って両側板42、42を後方へ延設させ、さらにその各先端部を後板43との間に間隔を開けて平行に折り曲げることで、後述する指挟み防止カバー7A用のレール部48、48が形成されている。
【0023】
支持部材5は、上板51と、上板51の端部のうち、後述する一対のスライダー31、32がスライドする方向に沿った両側端部からそれぞれ、取付部材4の両側板42、42を覆うように、上板51に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる両側板52、52と、両側板52、52の先端部を互いに対向する側に90°折り曲げてなる抱持片54、54とから構成され、さらに両側板52,52からは上方へストッパ片55、55が設けられている。
【0024】
両側板52、52の一端部(前端部)には、第2ヒンジシャフト12が挿通される第2ヒンジシャフト孔53、53(一方のみ表示)が設けられていると共に、後述する作動部材14が入り込む切欠部56、56(一方のみ表示)が設けられている。両側板52、52の他端部(後端部)には、第1ヒンジシャフト挿通孔58、58が設けられている。両側板52、52の第1ヒンジシャフト挿通孔58、58と取付部材4の第1ヒンジシャフト孔46、46とが軸合わせされてこれらの孔に第1ヒンジシャフト11が挿通されることによって、支持部材5が取付部材4に第1ヒンジシャフト11を軸に回転自在に連結されている。
【0025】
支持部材5内には、一対のスライダー31、32が嵌合されている。一対のスライダー31、32は、底面である閉塞面31a、32aを有し、断面矩形の有底筒体状に形成されている。一対のスライダー31、32は、互いの開口部が向き合うように支持部材5内にそれぞれ個別に摺動自在に収装されて、この一対のスライダー31、32内に圧縮コイルスプリング21a、21aから成る弾性部材21が弾設されている。すなわち、スライダー31、32の凹状の内部が圧縮コイルスプリング21a、21aを収容するスプリング収容部31b、32bとして形成されている。圧縮コイルスプリング21a、21aは、1個でも2個以上でもよく、例えば2個並列、或は重合して設けられ、一対のスライダー31、32をそれぞれ互いに離間する方向に付勢するものである。さらに、圧縮コイルスプリング21a、21aの一方のものの中には、オイルダンパー9が収装され、スライダー31とスライダー32の間に設置されている。このオイルダンパー9は、原稿圧着板3がその開成状態から所定の閉成角度まで閉じられると、ピストン扞9aの先端がスライダー31の内底部に当接することにより、急激に閉じられるのを防止し、緩衝作用がなされる。
【0026】
一対のスライダー31、32は、取付部材4の底板41と支持部材5の上板51が略平行になっているとき(例えば本発明の原稿圧着板開閉装置1Aを複写機2A等に取り付けた場合において、装置本体2Bの上面のコンタクトガラス2c面上に原稿圧着板3を密着させたとき(原稿圧着板密着時))、支持部材5内に収装される長さで形成されている。
【0027】
先端部側のスライダー(第1スライダー)31は、その底面である閉塞面31aの外表面が平坦面に形成されている。この閉塞面31aが弾性部材21の付勢力によって作動部材14を押圧して、支持部材5とリフト部材6とが重なり合うようになっている。この場合、リフト部材6が第2ヒンジシャフト12で支持部材5に連結させる個所を従来公知のものに比べて上方に移動させ、かつ、リフト部材6の上板61の下面側が支持部材5の両側板52、52から上方へ突設させたストッパ片55、55に当接させるように構成して、支持部材5の上板51とリフト部材6の上板61との間に間隙を生じさせてリフト部材6が支持部材5に対して傾斜しないように構成されている。
【0028】
リフト部材6は、原稿圧着板3の後端側にビス等で取り付けられる上板61と、この上板61の両端部からそれぞれ上板61に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる両側板62、62とから構成されている。リフト部材6の両側板62、62の先端部側には第2ヒンジシャフト挿通孔63、63(一方のみ表示)が設けられると共に、第2ヒンジシャフト挿通孔63、63より下側には、作動部材14が挿通される作動部材孔64、64が設けられている。両側板62、62の作動部材孔64、64に作動部材14が挿通されて固定されている。リフト部材6の両側板62、62の第2ヒンジシャフト挿通孔63,63と支持部材5の第2ヒンジシャフト挿通孔53、53とが軸合わせされ、これら第2ヒンジシャフト挿通孔63、63と第2ヒンジシャフト挿通孔53、53に第2ヒンジシャフト12が挿通されることによって、リフト部材6と支持部材5とが第2ヒンジシャフト12を軸に互いに回転自在に連結されている。尚、作動部材14は1本のピン或はシャフト状のものを示したが、別の形態のもの、或はリフト部材6の先端側から一体或は別体に突設したものを用いても良い。作動部材14とはこのものも含むものとする。
【0029】
そして、支持部材5の後端部側とリフト部材6の後端部側の間に指挟み防止カバー7Aが設けられている。この指挟み防止カバー7Aは、とくに
図5と
図6に示したように、ほぼリフト部材6の横幅と同じ横幅と、リフト部材6を支持部材に対して反転させた際に、両者の空間部Rを埋める縦幅とを有する。この基板部8と、この基板部8の両側に設けた両側板8a、8aと、基板部8から若干内側へ折り曲げて幅狭に構成した係合板部8bの下端部側の両側端部に突設した係合突起8c、8cとで構成されている。そして、
図5に示したように、リフト部材6の両側板62,62の右側端部には、取付孔62a、62a(一方のみ表示)が設けられ、この取付孔62a、62aに、指挟み防止用カバー7Aの両側板8a、8aの上端部に設けた取付孔8d、8dを通した軸支ピン8e、8eで回転可能に連結される構成である。さらに、この指挟み防止用カバー7Aの下端部側に設けた係合突起8c、8cは、取付部材4側に設けたレール部48、48と上下方向へスライド可能に係合されている。
【0030】
本実施例の原稿圧着板開閉装置1Aは、厚さに関係なく原稿を複写機2Aの装置本体2Bの上面に安定して密着させることができる。そして、支持部材5が後述するリフト部材6を介して原稿圧着板3に取り付けられることにより、装置本体2Bの内部に外光が侵入して露光が妨げられるのを極力防止することができる。さらに、指挟み防止カバー7Aにより、リフト起動時に形成されるリフト部材6と支持部材5の各後部の間の空間部Rに人が誤って指などを入れて挟まれてしまうのを防ぐことができる。
【0031】
また、本実施例に係る原稿圧着板開閉装置1Aは、弾性部材21の付勢力によってリフト部材6の上板61の下面が支持部材5のストッパ片55、55に当接して、支持部材5の上板51とリフト部材6の上板61とが略平行となり、かつ近接するので、リフト部材6の後端部が下方に回転することがない。このため、原稿圧着板3を持ち上げて装置本体2Bの上面のコンタクトガラス2c面に原稿を載置する場合、通常、原稿圧着板3のリフト部材6が取り付けられている箇所とは反対側の端部又はその近傍等に設けられている把持部を持って原稿圧着板3を上方に持ち上げると、原稿圧着板3は第1ヒンジシャフト11を軸に回転してコンタクトガラス2c面が外部に露出する。その露出したコンタクトガラス2cの面上に原稿を載置する。
【0032】
載置後、持ち上げた原稿圧着板3を降ろすと、原稿圧着板3はコンタクトガラス2c面と接触する方向に第1ヒンジシャフト11を軸に回転する(下方に移動する)。このとき、弾性部材21の付勢力によってリフト部材6の上板61が支持部材5のストッパ片55、55に当接した状態のまま、つまり、原稿圧着板3(リフト部材6)が第2ヒンジシャフト12を軸に回転することないまま、原稿圧着板3が回転する。
【0033】
このとき、原稿載置台のコンタクトガラス2c面に載置されている原稿が紙のように厚さが薄い場合には、原稿圧着板3は、紙に接触するときには面接触する。その結果、原稿の全体が原稿圧着板3に接触して原稿がコンタクトガラス2c面に押し付けられるので、原稿が安定してコンタクトガラス2c面に密着することになる。
【0034】
一方、コンタクトガラス2c上に置いた原稿90が、
図10に示すように本のように、厚さが厚い場合には、原稿圧着板3を閉じると、原稿90の支持部材5側の端部90a又はその近傍に原稿圧着板3の支持部材5の近傍の一部が接触し、原稿90の支持部材5側の端部とは反対側の端部と原稿圧着板3との間に空間部Rが形成される。すなわち、把持部側の端部の原稿圧着板3は浮いた状態となる。その浮いている原稿圧着板3の例えば把持部側の端部近傍をコンタクトガラス面側に押圧すると、作動部材14が第1スライダー31を第2スライダー32側に押圧して弾性部材21の付勢力に抗して第1スライダー31が第2スライダー32側に移動すると共に、原稿圧着板3(リフト部材6)が第2ヒンジシャフト12を軸に回転する。すなわち、原稿90の上部を覆うように原稿圧着板3が移動する。例えば、その原稿90の上部が平坦面である場合には、この上部に原稿圧着板3が面接触する。よって、本のように厚い原稿90が安定してコンタクトガラス面に密着することになる。そして、リフト部材6が第2ヒンジシャフト12を軸に回転したときに、リフト部材6の後端部と、支持部材5の後端部との間に空間部Rが形成される。この場合、指挟み防止カバー7Aを備えていない場合には、この空間部Rに人の指などが入る虞があるが、この空間部Rが指挟み防止カバー7Aで遮蔽されていることにより、空間部Rに人の指などが入り、挟まれるのを防ぐ事ができる。
【0035】
また、本願発明に係る指挟み防止カバー7Aは、その上端部側が軸支ピン8e、8eによってリフト部材6に連結されており、下端部側は、係合突起8c、8cによって取付部材4に設けたレール部48、48に係合しているので、原稿圧着板開閉装置7Aを複写機2Aに取り付けた後において、人為的にこれを取り外すことができないように構成されていることから、より一層安全性が高まっている。
以上詳細に説明したように、本発明に係る原稿圧着板開閉装置1Aは、厚さに関係なく原稿を装置本体2Bの上面に安定して密着させることができ、そのような効果を得ながら、従来のものよりも一層安全に使用者が使用することができるとくに複写機などのような事務機器の原稿圧着開閉装置、並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器として好適に用いられるものである。