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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035206
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】穿刺用プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20230306BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A61B17/16
A61B17/56
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141864
(22)【出願日】2021-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(71)【出願人】
【識別番号】395010624
【氏名又は名称】株式会社鎌田スプリング
(71)【出願人】
【識別番号】511188495
【氏名又は名称】さいたま商工会議所
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】特許業務法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 航太
(72)【発明者】
【氏名】松本 守雄
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 敏也
(72)【発明者】
【氏名】川島 幸一
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL07
4C160LL24
(57)【要約】
【課題】椎骨内で折損せず、椎骨内の状況を把握しやすいプローブを提供する。
【解決手段】プローブ1は、骨の内部に穿刺させる棒状のシャフト部10と、術者が把持可能なグリップ部20を備える。シャフト部10は、ばね用の材料(SUS304)で形成され、先端部の外周面に一定の間隔で設けられた溝12からなる括れ部11を有する。シャフト部10の表面には先端から10mm毎にマーキング14が設けられ、先端から20~30mmの間は塗りつぶし部15となる。このプローブ1を椎骨30に挿入する。プローブ1の先端が椎弓根33における皮質骨31の内壁に当接した状態でさらにプローブ1が挿入されると、シャフト部10に塑性変形が生じて変形する。プローブ1を引き上げるとシャフト部10の変形が保たれたままの状態となり、椎骨30の内部の状態と形状を認識することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮質骨の内部に海綿骨を有する骨の内部に穿刺可能なプローブであって、
棒状のシャフト部と、
前記シャフト部と連結し、術者が把持可能なグリップ部とを備え、
前記シャフト部は、ばね用の素材で形成され、前記グリップ部を保持し前記シャフト部の先端に前記シャフト部の軸方向と直交する方向に力を加えて曲げた際に、
前記シャフト部の長さに対して1/4の長さで撓ませた後の戻り量が75%以上85%以下であることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブであって、
前記シャフト部の素材がSUS304であり、引張強度が1130N/mm以上1470N/mm以下の範囲であることを特徴とするプローブ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプローブであって、
前記シャフト部の先端部寄りの外周面に全周に亘って窪んだ1又は複数の溝で形成された括れ部が設けられていることを特徴とするプローブ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプローブであって、
前記シャフト部の表面、及び前記グリップ部の少なくともいずれかの表面にブラスト加工が施されていることを特徴とするプローブ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のプローブであって、
前記シャフト部は、外周面に先端から前記グリップ部に向けて等間隔に複数のマーキングが設けられ、隣接する特定のマーキングの間が塗りつぶされた塗りつぶし部が設けられていることを特徴とするプローブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎に矯正器具を設置する側弯症手術等に用いることができる穿刺用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脊椎に矯正器具を設置する側弯症手術等においては、椎骨に椎弓根スクリューをねじ込んで固定し、その椎弓根スクリューに矯正器具を連結させて脊椎の矯正を行う手技が行われている。
【0003】
椎弓根スクリューを椎骨にねじ込む際には、予め椎骨に下穴及びタップを形成し、その後に椎弓根スクリューをねじ込むようにしている。このように椎骨に下穴を設けることにより、椎弓根スクリューを正確な位置と角度でねじ込むことができるようになる。
【0004】
従来は、この下穴を開ける際に、先端が球状でシャフトがフレキシブルなプローブ(非特許文献1参照)を用いている。この非特許文献1に記載されたプローブは、先端部が球状に形成されたボール部と、先端に向けて徐々に細くなるテーパ状のシャフト部と、シャフト部の後方に設けられたグリップ部を有している。前記シャフト部はフレキシブルなものとなっている。
【0005】
椎弓根および椎体(もしくは椎骨)は、表面が固い皮質骨で、その内部が比較的柔らかい海綿骨となっている。このため、前記下穴を開ける際には、非特許文献1に記載のように、骨ドリルで皮質骨に開口部を設け、この開口部から前記プローブの先端部を挿入し、グリップ部の後端部をハンマーで愛護的にタップしながら先端部を海綿骨内に挿入させていく。このような手技により、椎骨に下穴を開けることができる。
【0006】
当該プローブは、シャフト部がフレキシブルであるため、プローブを海綿骨内に挿入させた際に、先端のボール部が皮質骨の内壁に当接した際は、ボール部が皮質骨の内壁に案内されてシャフト部が変形する。当該プローブでは、シャフト部が変形した際にその変形状態で保たれるため、プローブを椎骨から引き抜くと、シャフト部の曲がり具合により椎骨内部の構造をある程度把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-19782号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】胸椎椎弓根スクリュー設置の工夫(ball tip法) 渡辺航太他 臨床整形外科43巻3号第259~263頁(2008年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に開示された手技によって、椎骨に下穴を開けることができ、椎骨の内部の構造を把握することができるが、従来のプローブは、シャフトがテーパ状に形成されており、ボール部の近傍のシャフト部が細くなっているため、過度に荷重がかかるとシャフト部が折損するおそれがある。
【0010】
また、この種のプローブとしては、特許文献1に記載のものがあるが、プローブ自体が固い素材で形成されており、椎骨に穿刺した場合であっても変形することがない。このため、特許文献1に記載のプローブでは、椎骨内の構造を把握することができない。
【0011】
また、特許文献1に記載のプローブは、側面に目盛りが設けてあるが、プローブを椎骨内に穿刺した際に、プローブの先端が皮質骨と海綿骨のどの位置にあるかは知ることができないため、プローブをどこまで挿入するかは術者の勘に頼るところが大きくなる。
【0012】
本発明は、脊椎に矯正器具を設置する側弯症手術等に用いることができる穿刺用プローブの改良を目的とし、詳細には、上記実情に鑑み、椎骨内で折損することがなく、椎骨内での先端部の位置を把握しやすいプローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のプローブは、皮質骨の内部に海綿骨を有する骨の内部に穿刺可能なプローブであって、棒状のシャフト部と、前記シャフト部と連結し、術者が把持可能なグリップ部とを備え、前記シャフト部は、ばね用の素材で形成され、前記グリップ部を保持し前記シャフト部の先端に前記シャフト部の軸方向と直交する方向に力を加えて曲げた際に、前記シャフト部の長さに対して1/4の長さで撓ませた後の戻り量が75%以上85%以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明のプローブでは、シャフト部がばね用の素材で形成されているため、折損を防止することができる。また、シャフト部は、その先端に軸方向と直交する方向に力を加えて曲げた際に、シャフト部の長さに対して1/4の長さで撓ませた後の戻り量が75%以上85%以下となる物性を有する。このように、シャフト部は適度な柔軟性を有しつつ、一定条件化で塑性変形も行われる。
【0015】
当該構成により、骨の内部にシャフト部を挿入し、椎弓根等の壁面に当接し、所定の外力が加わった際には塑性変形が生じて湾曲するため、変形した状態で骨の内部から取り出すことができ、シャフト部の挿入角度に対する椎弓根等の骨の内部の形状を確認することができる。
【0016】
また、本発明のプローブにおいては、前記シャフト部の素材がSUS304であり、引張強度が1130N/mm以上1470N/mm以下の範囲であることが好ましい。引張強度が1130N/mm未満であると、プローブの使用時にシャフト部が柔らかすぎてプローブを海綿骨内に進入させることが困難となる。引張強度が1470N/mmを超えると、塑性変形の量が少なくなり、骨の内部の構造が把握しにくくなる。
【0017】
また、本発明のプローブにおいては、前記シャフト部の先端部寄りの外周面に全周に亘って窪んだ1又は複数の溝で形成された括れ部が設けられていてもよい。当該括れ部は、シャフト部が骨の内部に挿入され、最終的に前方皮質に接触又は引っ掛かる際に、グリップ部を持つ術者の手でその感触を確認することができる。
【0018】
また、本発明のプローブにおいては、前記シャフト部の表面、及び前記グリップ部の少なくともいずれかの表面にブラスト加工が施されていてもよい。前記シャフト部の表面にブラスト加工が行われている場合、シャフト部を椎骨に挿入する際のフィードバックを得ることができる。前記グリップ部の表面にブラスト加工が行われている場合、グリップ部の滑りが抑制される。
【0019】
また、本発明のプローブにおいて、前記シャフト部は、外周面に先端から前記グリップ部に向けて等間隔に複数のマーキングが設けられ、隣接する特定のマーキングの間が塗りつぶされた塗りつぶし部が設けられていてもよい。
【0020】
当該構成によれば、マーキングが単なる目盛りではなく、目立つ目印となる塗りつぶし部を伴うため、手技においてシャフト部の挿入量を容易に把握することができる。また、この塗りつぶし部分は、手技に応じて場所を変えたものを準備することにより、手技の際に見やすい位置のものを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の一例であるプローブの説明図であり、(A)は全体の側面図、(B)は先端部の拡大図、(C)は(A)におけるC-C線断面図。
図2】本実施形態のプローブの塑性変形の程度を確認している状態を示す説明図。
図3】本実施形態のプローブの使用例を示す説明図であり、(A)はプローブのシャフト部を骨の内部に挿入している状態を示す説明図、(B)はシャフト部を骨の内部に挿入して変形した状態を示す説明図、(C)はプローブを骨から引き抜き、プローブで開けた下穴に椎弓根スクリューをねじ込んだ状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図1図3を参照して、本発明の実施形態であるプローブ1について説明する。本実施形態のプローブ1は、図1(A)及び図3に示すように、皮質骨31の内部に海綿骨32を有する骨である椎骨30の内部に穿刺可能であり、骨の内部に穿刺させる棒状のシャフト部10と、このシャフト部10と連結しており、術者が把持可能なグリップ部20を備えている。
【0023】
シャフト部10は、図1(A)~(C)に示すように、円柱状であり、先端部からグリップ部20との境界部分までの長さは60mmに設定されている。また、シャフト部10は、先端部寄りの外周面に一定の間隔で溝12が設けられた括れ部11が設けられている。なお、シャフト部10の長さは、手技に応じて任意に変更が可能である。
【0024】
また、シャフト部10は、図2に示すように、グリップ部20を保持して、シャフト部10の先端にその軸方向と直交する方向(円弧状)に力を加えて曲げる曲げ試験を行った際に、シャフト部10の長さである60mmの1/4である15mmの長さで撓ませた際の戻り量が75%以上、85%以下になるように形成されている。本実施形態では、例として上記戻り量が79.1%となるように形成されている。
【0025】
本実施形態では、シャフト部10の素材は、ばね用の材料であるステンレス鋼のSUS304を用いている。本実施形態におけるステンレス鋼の引張強度は1190N/mmとなっている。
【0026】
本願発明者等は、椎骨に椎弓根スクリューを固定する手技において、折損することなく、且つ、椎骨内の形状が把握しやすいプローブについて、日々研究を重ねた結果、シャフト部10の素材としてばね用の材料であるSUS304が好適であることを知見した。また、SUS304の中でも、引張強度が1130N/mm以上1470N/mm以下の範囲が、本手技に好適であることが確認できた。
【0027】
さらに、シャフト部10の塑性変形の程度の範囲は、上記曲げ試験において、戻り量が75%~85%以下の範囲にある部材が、本手技において好適であった。なお、実際の手技においては、シャフト部10の長さの1/4よりも撓み量が少ない場合が多いが、本手技に好適な撓み具合を特定する手段として、1/4の長さで撓ませる手法をとった。
【0028】
また、本実施形態のプローブ1においては、シャフト部10の先端部は、図1(B)に示すように略半球状となっており、円周上の端縁は円弧状に面取りされている。この先端部は、球状に形成してもよい。
【0029】
括れ部11は、円柱状のシャフト部10の外周面に、先端部から基端部側に向けて2本(複数)の窪んだ溝12を全周に亘って設けることにより形成している。また、括れ部11には、この溝12によって、突部13が形成されている。突部13は、シャフト部10の先端部に1箇所、2本の溝12の間に1箇所の計2箇所に形成されている。本実施形態では、溝12と突部13は、軸方向の長さが同一の長さAとなるように形成されている。
【0030】
本実施形態では、シャフト部10の外径Bが1.6mm、溝12の外径Cが1.3mmとなるように形成されている。溝12の外径Cは、シャフト部10の外径の75~85%となるように形成されており、本実施形態では約81%となる。
【0031】
溝12は、本実施形態では2本であるが、1本でもよく、3本又はそれ以上の本数となるようにしてもよい。溝12の形状は、本実施形態のように、側面視で底部が平面となるようにしてもよく、円弧状又はV字状になるようにしてもよい。
【0032】
また、シャフト部10には、図1(A)に示すように、先端からグリップ部20に向けて10mm毎(等間隔)にマーキング14が設けられている。このマーキング14は、先端から20mmから30mmの隣接する特定のマーキング14の間は黒く塗りつぶした塗りつぶし部15となっている。また、塗りつぶし部15を除く各マーキング14には先端からの長さを示す目盛りが数字(1~5)で表示されている。このマーキング14は、電解マーキング(エッチング)と呼ばれる手法で行っている。
【0033】
シャフト部10の外面は、先端から括れ部11を除いてブラスト加工が施されており、表面に滑り止めの凹凸(図示省略)が形成されている。これにより、シャフト部10を椎骨に挿入する際のフィードバックを得ることができる。
【0034】
グリップ部20は、図1(A)に示すように、外形形状が六角柱であり、先端部が先細となるようにテーパ部21が設けられている。グリップ部20の外面は、ブラスト加工が施されており、表面に滑り止めの凹凸(図示省略)が形成されている。これにより、手技の際にグリップ部20の滑りが防止され、シャフト部10に対して術者が力を入れやすくなる。本実施形態では、グリップ部20の素材はSUS303を用いている。
【0035】
本実施形態においては、シャフト部10とグリップ部20は、グリップ部20の先端部にシャフト部10の基端部が挿入される挿入穴23(図1(C)参照)を形成し、この挿入穴23にシャフト部10の基端部を挿入し、その周囲を円弧状の金型(図示省略)でプレス加工することによりカシメ部22を形成して接合している。
【0036】
このカシメ部22は、図1(C)に示すように、6箇所でプレス加工を行ってカシメ止めしており、図示しない金型で加工された凹部が6箇所形成されている。このように、円弧状のプレスで複数箇所においてプレス加工を行うことにより、グリップ部20とシャフト部10が強固に結合される。なお、このグリップ部20とシャフト部10との結合は、溶接や圧入により行ってもよく、いわゆる焼きばめ、冷やしばめ、接着剤による接着、ねじ締め、ロウ付け、はんだ付け等の手段で行ってもよい。
【0037】
次に、本実施形態のプローブ1の使用例について、図3を参照して説明する。本実施形態のプローブ1は、椎骨30に椎弓根スクリュー40を設置する際に、挿入角度や挿入深さを検証するために用いることができる。
【0038】
椎骨30は、固い皮質骨31と、比較的柔らかい海綿骨32とを有しており、椎骨30の細くなっている部分が椎弓根33となっている。また、図3(A)でプローブ1のシャフト部10の先端部を挿入する箇所を挿入部34とし、図において椎骨30の下方の皮質骨31の部分を前方皮質35とする。
【0039】
まず、図3(A)に示すように椎骨30にプローブ1のシャフト部10の先端部を挿入部34から挿入する。その際、患者の背中の部分を予め切開しておき、椎骨30のプローブ1の挿入位置の皮質骨31に開口部を設けておく。椎骨30は、皮質骨31が固く、その内部の海綿骨32が比較的柔らかいため、シャフト部10の括れ部11が皮質骨31と海綿骨32との境界部分を通過する際に、グリップ部20を持つ術者の手でその感触を確認することができる。
【0040】
シャフト部10の先端部が椎弓根33の皮質骨31の内壁に当接した場合であっても、さらにシャフト部10を進行させることにより、シャフト部10が湾曲して椎弓根33を通過し、海綿骨32の内部を進行する。
【0041】
次に、図3(B)に示すように、さらにシャフト部10を椎骨30の内部に進行させると、シャフト部10が湾曲しながら進行し、前方皮質35の内側にシャフト部10の先端部が当接する。このとき、術者は、グリップ部20に伝わる感触で、シャフト部10の先端部が前方皮質35の内側に当接したことを確認することができる。
【0042】
一方で、患者によっては前方皮質35が弱い場合があり、その場合はシャフト部10の先端部が前方皮質35を貫通することがある。この場合は、括れ部11が前方皮質35に生じた孔を通過する際の感触がグリップ部20を通じて術者に伝達されるので、術者はシャフト部10の先端部が前方皮質35を貫通したことを確認することができる。
【0043】
術者は、シャフト部10が前方皮質35の内側に当接した時点、或いは貫通したことを確認した時点でのシャフト部10の椎骨30への挿入量を確認する。このとき、シャフト部10には、マーキング14、塗りつぶし部15、及び目盛りが設けられているので、術者はシャフト部10の椎骨30への挿入量を容易に確認することができる。
【0044】
特に、塗りつぶし部15は、椎骨30の挿入部34の表面の位置を術者の感覚で捉えることができる。術者の感覚によれば、例えば細かい目盛りを付している場合に比べて迅速に挿入量を確認することができる。また、術者の熟練度が高い場合は、細かい目盛りがなくても正確に挿入量を把握することができる。
【0045】
この状態から、図3(C)に示すように、プローブ1を椎骨30から引き抜く。本実施形態のプローブ1は、シャフト部10が塑性変形を起こしているため、変形したシャフト部10は、変形した状態を保っている。術者は、シャフト部10の曲がり具合を把握することにより、椎弓根スクリュー40の長さ選定に繋げることができる。
【0046】
また、シャフト部10の先端部が前方皮質35に当接或いは貫通した際のマーキング14及び塗りつぶし部15と挿入部34の表面の位置によって、適切な長さの椎弓根スクリュー40を選択することができる。
【0047】
その後、術者は、図3(C)に示すように、選択した椎弓根スクリュー40を椎骨30に挿入する。椎弓根スクリュー40の挿入量は、プローブ1の挿入によって把握できるので、術者は正確に椎弓根スクリュー40を椎骨30に挿入することができる。
【0048】
なお、上記各実施形態において、シャフト部10の素材をSUS304とし、グリップ部20の素材をSUS303としているが、これに限らず、他の部材を用いてもよい。例えば、ステンレス鋼の他の素材、鉄鋼、チタン、又はチタン合金等、手術に用いることができる素材を用いることができる。その際、各素材によって、シャフト部10の径を適宜変更して調節することができる。
【0049】
また、シャフト部10の長さは、上記実施形態では60mmに設定しているが、手技に応じて適宜変更が可能である。また、シャフト部10の径についても、シャフト部10の外径Bを1.6mmにしているが、この径も手技に応じて適宜変更が可能である。
【0050】
また、マーキング14は、肉眼で視認できるだけでなく、放射線測定装置(たとえばCアーム式蛍光検査装置)等により視認できるように、放射線に反応する塗料等を使用してもよい。また、塗りつぶし部15となる特定のマーキング14の位置も、上記実施形態に限定されず、任意の箇所とすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…プローブ
10…シャフト部
11…括れ部
12…溝
13…突部
14…マーキング
15…塗りつぶし部
20…グリップ部
21…テーパ部
22…カシメ部
23…挿入穴
30…椎骨
31…皮質骨
32…海綿骨
33…椎弓根
34…挿入部
35…前方皮質
40…椎弓根スクリュー


図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮質骨の内部に海綿骨を有する骨の内部に穿刺可能なプローブであって、
棒状のシャフト部と、
前記シャフト部と連結し、術者が把持可能なグリップ部とを備え、
前記シャフト部は、ばね用の中実の素材で形成され、前記グリップ部を保持し前記シャフト部の先端に前記シャフト部の軸方向と直交する方向に力を加えて曲げた際に、
前記シャフト部の長さに対して1/4の長さで撓ませた後の戻り量が75%以上85%以下であり、
前記シャフト部の素材がSUS304のみで形成され、引張強度が1130N/mm 以上1470N/mm 以下の範囲であることを特徴とするプローブ。
ることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブであって、
前記シャフト部の先端部寄りの外周面に全周に亘って窪んだ1又は複数の溝で形成された括れ部が設けられていることを特徴とするプローブ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプローブであって、
前記シャフト部の表面、及び前記グリップ部の少なくともいずれかの表面にブラスト加工が施されていることを特徴とするプローブ。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のプローブであって、
前記シャフト部は、外周面に先端から前記グリップ部に向けて等間隔に複数の線状のマーキングが設けられ、隣接する特定の前記マーキングの間が塗りつぶされた塗りつぶし部が設けられていることを特徴とするプローブ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のプローブは、皮質骨の内部に海綿骨を有する骨の内部に穿刺可能なプローブであって、棒状のシャフト部と、前記シャフト部と連結し、術者が把持可能なグリップ部とを備え、前記シャフト部は、ばね用の中実の素材で形成され、前記グリップ部を保持し前記シャフト部の先端に前記シャフト部の軸方向と直交する方向に力を加えて曲げた際に、前記シャフト部の長さに対して1/4の長さで撓ませた後の戻り量が75%以上85%以下であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明のプローブにおいては、前記シャフト部の素材がSUS304のみで形成され、引張強度が1130N/mm以上1470N/mm以下の範囲である。引張強度が1130N/mm未満であると、プローブの使用時にシャフト部が柔らかすぎてプローブを海綿骨内に進入させることが困難となる。引張強度が1470N/mmを超えると、塑性変形の量が少なくなり、骨の内部の構造が把握しにくくなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、本発明のプローブにおいて、前記シャフト部は、外周面に先端から前記グリップ部に向けて等間隔に複数の線状のマーキングが設けられ、隣接する特定の前記マーキングの間が塗りつぶされた塗りつぶし部が設けられていてもよい。