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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035220
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】シート状物の欠陥検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/26 20060101AFI20230306BHJP
   G01N 29/48 20060101ALI20230306BHJP
   G01N 29/11 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G01N29/26
G01N29/48
G01N29/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141883
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100114502
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀幸
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA08
2G047AB04
2G047AD16
2G047BC03
2G047BC07
2G047GA13
2G047GB17
2G047GF10
2G047GG20
2G047GG28
2G047GG33
2G047GH15
(57)【要約】
【課題】カメラでは穴の有無が判別しにくく、また、薄いフィルムのようなシート状物であっても、穴の有無を検出できるシート状物の欠陥検出装置を提供する。
【解決手段】シート状物配置機構21a,21bによりシート状物86が検査領域21に配置される。検査領域21を挟んで一方側に超音波発信器22が配置され、他方側に超音波受信器24が配置されている。判別装置26が、超音波受信器24により受信された超音波の音量を基準値と比較し、音量が基準値以上のときに、シート状物86の検査領域21に配置されている部分に欠陥があると判定する。超音波発信器22と検査領域21との間と、検査領域21と超音波受信器24との間とのうち、少なくとも一方に、超音波の音量を減衰させる減衰層28が配置されている。駆動装置20a,20bが、シート状物86と検査領域21とを相対移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物が検査領域に配置されるようにするシート状物配置機構と、
前記検査領域を挟んで一方側に、前記検査領域に配置される前記シート状物の一方主面に対向するように配置された超音波発信器と、
前記検査領域を挟んで他方側に、前記検査領域に配置される前記シート状物の他方主面に対向するように配置された超音波受信器と、
前記超音波受信器により受信された超音波の音量を基準値と比較し、前記音量が前記基準値以上のときに、前記シート状物の前記検査領域に配置されている部分に欠陥があると判定する判別装置と、
前記超音波発信器と前記検査領域との間と、前記検査領域と前記超音波受信器との間とのうち、少なくとも一方に配置された、前記超音波の音量を減衰させる減衰層と、
前記シート状物と前記検査領域とが相対移動するように、前記検査領域に配置されている前記シート状物と、前記超音波発信器、前記超音波受信器、及び前記減衰層とのうち、いずれか一方又は両方を移動させる駆動装置と、
を備える、シート状物の欠陥検出装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記検査領域に配置されている前記シート状物を移動させる、請求項1に記載のシート状物の欠陥検出装置。
【請求項3】
前記減衰層が樹脂フィルムである、請求項1又は2に記載のシート状物の欠陥検出装置。
【請求項4】
前記シート状物は、第1及び第2の不織布層の間に被検出層が挟まれてなり、
前記判別装置は、前記被検出層の前記欠陥を判別する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のシート状物の欠陥検出装置。
【請求項5】
前記シート状物と前記検査領域とが相対移動する方向と交差し、かつ前記検査領域と平行な方向に並ぶように、複数組の前記超音波受信器及び前記超音波発信器が配置された、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のシート状物の欠陥検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物の欠陥検出装置に関し、詳しくは、超音波を用いてシート状物の欠陥を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状物の欠陥検出に、超音波を利用することが知られている。例えば図8は、超音波継目検出器のブロック図である。図8に示すように、ウェブ(帯状シート)4の搬送経路を挟んで、超音波発信器3と、超音波受信器5とを配置し、超音波受信器5から出力される受信信号Cのレベルに基づいて、テープ等によって接続されて通常部分よりも厚くなっているウェブ4の継目を検出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-179472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連続したシート状物を搬送しつつ、カメラでシート状物を撮影し、その画像からシート状物の穴の有無を検出することは一般的に行われている。ここで、シート状物が積層体であり、その積層体の中間層に開いた穴を検出することは、カメラでは困難である。また、シート状物が透明なフィルムであっても、穴の検出は、困難である。
【0005】
そこで、シート状物を挟むように、超音波を発信する発信器と、シート状物を透過した超音波を受信する受信器とを配置し、受信器により受信した超音波の音量を検出して、検出対象層の穴の有無を判断することが考えられる。
【0006】
しかしながら、検出対象の層が薄いフィルムのようなものであった場合、透過する超音波の音量が大きくなり、穴の有無による音量差の判別が困難な場合がある。
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、カメラでは穴の有無が判別しにくく、また、薄いフィルムのようなシート状物であっても、穴の有無を検出できるシート状物の欠陥検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したシート状物の欠陥検出装置を提供する。
【0009】
シート状物の欠陥検出装置は、(a)シート状物が検査領域に配置されるようにするシート状物配置機構と、(b)前記検査領域を挟んで一方側に、前記検査領域に配置される前記シート状物の一方主面に対向するように配置された超音波発信器と、(c)前記検査領域を挟んで他方側に、前記検査領域に配置される前記シート状物の他方主面に対向するように配置された超音波受信器と、(d)前記超音波受信器により受信された超音波の音量を基準値と比較し、前記音量が前記基準値以上のときに、前記シート状物の前記検査領域に配置されている部分に欠陥があると判定する判別装置と、(e)前記超音波発信器と前記検査領域との間と、前記検査領域と前記超音波受信器との間とのうち、少なくとも一方に配置された、前記超音波の音量を減衰させる減衰層と、(f)前記シート状物と前記検査領域とが相対移動するように、前記検査領域に配置されている前記シート状物と、前記超音波発信器、前記超音波受信器、及び前記減衰層とのうち、いずれか一方又は両方を移動させる駆動装置と、を備える。
【0010】
上記構成によれば、超音波を受信して超音波受信器が出力する出力信号に、シート状物の穴の有無に応じて判別可能なレベル差が生じるように、超音波発信器から発信される超音波を、減衰層によって適切に減衰させる。これにより、超音波を透過しやすいシート状物であっても、穴の有無を検出できる。シート状物を透過する超音波の音量に基づいて欠陥を検出するので、カメラでは穴の有無が判別しにくいシート状物であっても、穴の有無を検出できる。
【0011】
好ましくは、前記駆動装置は、前記検査領域に配置されている前記シート状物を移動させる。
【0012】
この場合、シート状物を連続的に検査することが容易である。
【0013】
好ましくは、前記減衰層が樹脂フィルムである。
【0014】
この場合、超音波の音量を適切に減衰させることが容易である。
【0015】
好ましくは、前記シート状物は、第1及び第2の不織布層の間に被検出層が挟まれてなる。前記判別装置は、前記被検出層の前記欠陥を判別する。
【0016】
この場合、画像により欠陥を検出することが困難である被検出層について、欠陥を検出することができる。
【0017】
好ましくは、前記シート状物と前記検査領域とが相対移動する方向と交差し、かつ前記検査領域と平行な方向に並ぶように、複数組の前記超音波受信器及び前記超音波発信器が配置されている。
【0018】
この場合、シート状物の幅方向に、欠陥検出精度を略均一にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、減衰層を設けることにより、カメラでは穴の有無が判別しにくく、また、薄いフィルムのようなシート状物であっても、穴の有無を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】複合シート製造装置の全体図である。(実施例1)
図2】シート状物の欠陥検出装置の略図である。(実施例1)
図3】要部構成の説明図である。(実施例1)
図4】検出動作のフロー図である。(実施例1)
図5】欠陥検出の説明図である。(実施例1)
図6】検出信号のグラフである。(実施例1)
図7】要部構成の説明図である。(変形例1、変形例2)
図8】超音波継目検出器のブロック図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
<実施例1> 実施例1のシート状物の欠陥検出装置16(以下、欠陥検出装置16という。)について、図1図7を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、欠陥検出装置16を含む複合シート製造装置10の全体構成を示す略図である。
【0024】
図1に示すように、複合シート製造装置10は、樹脂シート製造装置12と、シート接合装置14と、欠陥検出装置16と、マーキング装置18とを備え、各シート80,82,84,86が、矢印80x,82x,84x,86xで示す方向に連続的に搬送される。
【0025】
樹脂シート製造装置12は、ダイ12aから、加熱溶融された樹脂材料をフィルム状に吐出し、吐出された中間物を冷却ロール12b,12cで冷却するとともに延伸して、樹脂シート80を形成する。
【0026】
シート接合装置14は、樹脂シート製造装置12で形成された樹脂シート80の両面に不織布シート82,84を重ね、積層されたシート80,82,84をアンビルロール14aの外周面に沿って搬送し、超音波装置14bを用いてシート80,82,84の適宜位置を互いに接合して、複合シート86を形成する。
【0027】
欠陥検出装置16は、複合シート86のうち、中間層の樹脂シート80について、穴あき等の欠陥を検査する。欠陥検出装置16の要部20の前後に配置されている案内ロール21a,21bは、後述する検査領域21に複合シート86が配置されるようにするシート状物配置機構である。
【0028】
図2は、欠陥検出装置16の要部20の拡大図である。図1及び図2に示すように、欠陥検出装置16は、超音波発信器22と、超音波受信器24と、判別装置26と、減衰層28とを備える。
【0029】
超音波発信器22と超音波受信器24とは、複合シート86の搬送経路87を挟むように、かつ、超音波発信器22の超音波を発信する発信面22aと超音波受信器24の超音波を受信する受信面24aとが互いに対向するように配置されている。超音波発信器22と超音波受信器24とが対向する領域のうち、搬送経路87と交差する部分が検査領域21になる。超音波発信器22は、搬送経路87の一方側(図では下方)に、すなわち検査領域21を挟んで一方側に、発信面22aが、搬送経路87を搬送される複合シート86の一方主面に対向するように配置されている。超音波受信器24は、搬送経路87の他方側(図では上方)に、すなわち検査領域21を挟んで他方側に、受信面24aが、搬送経路87を搬送される複合シート86の他方主面に対向するように配置されている。
【0030】
減衰層28は、超音波発信器22と検査領域21との間に配置され、超音波発信器22から発信され搬送経路87に到達する超音波の音量を減衰させる。例えば、減衰層28は、取付金具27の貫通穴27aを覆うように、取付金具27に接着されている。取付金具27は、超音波発信器22の発信面22aと超音波受信器24の受信面24aとが互いに対向する領域に貫通穴27aが配置されるように取り付けられ、減衰層28は、超音波発信器22の発信面22aと超音波受信器24の受信面24aとが互いに対向する領域に配置される。
【0031】
図2に示すように、判別装置26には、超音波受信器24からの出力信号24sが入力される。判別装置26は、例えばPLC(Programmable Logic Controller、シーケンサ)を含み、超音波受信器24からの出力信号24sに基づいて、超音波受信器24により受信された超音波の音量が基準値以上であるか否かを判定し、基準値以上であるときに欠陥があると判定し、欠陥検出信号26sをマーキング装置18に送出する。
【0032】
マーキング装置18は、欠陥検出信号26sに基づいて、欠陥の位置を示す欠点シールを、複合シート86に貼り付ける。検査後の複合シート86は、少なくとも一方が回転駆動される一対の搬送ロール20a,20bの間に挟まれて、矢印86zで示すように、ストッカー等へと搬送される。搬送ロール20a,20bは、複合シート86と検査領域21とが相対移動するように複合シート86を移動させる駆動装置である。
【0033】
複合シート86は、不織布シート82,84からなる第1及び第2の不織布層の間に、樹脂シート80からなる被検出層が挟まれたシート状物である。判別装置26は、被検出層、すなわち樹脂シート80の穴あき等の欠陥を判別する。
【0034】
図3及び図7の説明図を参照しながら、さらに説明する。
【0035】
図3(a)に示すように、互いに対向するように配置された超音波発信器22と超音波受信器24の間に、減衰層28のみが配置されている第1の状態では、超音波発信器22から発信された超音波23は、減衰層28を透過する。超音波受信器24は、減衰層28を透過した超音波23a受信する。
【0036】
図3(b)に示すように、減衰層28と超音波受信器24との間に、矢印81xで示す方向に搬送されるシート状物81が配置される第2の状態では、超音波発信器22から発信された超音波23は、減衰層28とシート状物81とを透過する。超音波受信器24は、減衰層28とシート状物81とを透過した超音波23bを受信する。
【0037】
減衰層28は、第1及び第2の状態のときに超音波受信器24が出力する出力信号24sに、判別可能なレベル差が生じるように構成する。
【0038】
このように構成すると、図3(c)に示すように、シート状物81の一部に開いている穴81x、すなわちシート状物81の主面間を貫通する穴81xが、超音波発信器22と超音波受信器24とが互いに対向する領域を通過するとき、超音波受信器24から出力される出力信号24sが一時的に変化し、この変化によって穴81xの通過を検出できる。
【0039】
すなわち、超音波を受信して超音波受信器24が出力する出力信号24sに、シート状物81の穴81kの有無に応じて判別可能なレベル差が生じるように、超音波発信器22から発信される超音波23を、減衰層28によって適切に減衰させる。これにより、シート状物81が、超音波を透過しやすい樹脂フィルム等であっても、穴81kの有無を検出できる。シート状物81を透過する超音波の音量に基づいて欠陥を検出するので、カメラでは穴の有無が判別しにくいシート状物であっても、穴の有無を検出できる。
【0040】
図3(b)及び図3(c)に示すように超音波発信器22と検査領域21との間に減衰層28を配置する代わりに、図7(a)に示すように、矢印81xで示す方向に搬送されるシート状物81が配置される検査領域21と超音波受信器24との間に、減衰層28aを配置してもよい。また、図7(b)に示すように、超音波発信器22と矢印81xで示す方向に搬送されるシート状物81が配置される検査領域21との間と、検査領域21と超音波受信器24との間との両方に、減衰層28b,28cを配置してもよい。
【0041】
減衰層28,28a,28p,28qは、複数層にすることも可能である。
【0042】
次に、欠陥検出装置16の動作について、図4の動作フロー図を参照しながら説明する。
【0043】
図4に示すように、複合シート製造装置10が運転を開始して複合シート86が連続的に形成されると(S10)、超音波受信器24からの出力信号24sに基づいて(S12)、欠陥検出装置16の判別装置26が穴あき等の欠陥の判定を開始する(S14)。例えば、超音波受信器24からの出力信号24sが閾値を越え、かつ、閾値を越えた状態の継続時間が第1の所定時間以上のとき、複合シート86の検査領域21に配置されている部分に欠陥ありと判定する。
【0044】
欠陥を検出したら(NG)、判別装置26は欠陥検出信号26sをマーキング装置18に送信する。マーキング装置18は、欠陥検出信号26sに基づいて、欠点シールを複合シート86に貼り付ける(S18)。
【0045】
複合シート製造装置10は、欠陥が検出されなくても(OK)、欠陥が検出されても(NG)、運転を継続する(S16)。
【0046】
また、欠陥検出装置16の判別装置26は、複合シート製造装置10の運転継続を判定する。例えば、超音波受信器24からの出力信号24sが閾値を越えた状態の継続時間が、第1の所定時間よりも長い第2の所定時間以上のとき、あるいは、第3の所定時間内において欠陥検出の回数が所定回数を越えたとき、複合シート製造装置10の全体の制御を統括する制御装置に、運転休止信号を送信する(S20)。運転休止信号によって、複合シート製造装置10は運転を休止する(S22)。
【0047】
以上のように、連続的に形成される複合シート86を、検査領域21を通過するときに検査すると、複合シート86を連続的に検査することが容易である。
【0048】
次に、欠陥検出装置16の試作例について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、図2において矢印86yで示す方向から見た平面図である。
【0049】
図5に示すように、幅89が400mmの樹脂シート88を検査するため、搬送経路の幅方向に並ぶように、10組の超音波受信器24及び超音波発信器22を等間隔に配置した。すなわち、10組の超音波受信器24及び超音波発信器22は、樹脂シート88と検査領域21とが相対移動する方向(矢印88xで示す樹脂シート88の搬送方向)と交差し、かつ、検査領域21と平行な方向に並ぶように、等間隔に配置した。超音波受信器24及び超音波発信器22の間隔25は、40mmとした。
【0050】
超音波発信器22と検査領域21との間に、共通の減衰層28を配置した。樹脂シート88の厚みは、25~100μmである。減衰層28には、樹脂シート88と同じ材質であり、厚さが18~85μmの樹脂シートを用いた。10組の超音波受信器24及び超音波発信器22のうち一部の複数組のみが共通の減衰層を備えてもよいし、各組ごとに別個の減衰層を備えてもよい。
【0051】
超音波受信器24及び超音波発信器22には、竹中電子工業株式会社が提供している継ぎ目検出用超音波センサ(型式:US-T04AN)を用いた。
【0052】
試作例の欠陥検出装置16は、樹脂シート88に形成した、搬送方向の寸法88aが10mm、幅方向の寸法88bが30mmの穴88kを検出できた。
【0053】
図6は、超音波受信器24から出力される出力信号24sの信号波形図であり、横軸が時間、縦軸が出力レベルである。図6に示すように、超音波受信器24と超音波発信器22とが互いに対向する領域を、樹脂シート88の穴88kが通過したとき、出力レベルが、通常部分に比べて一時的に十分に大きくなるので、穴88kを検出できた。
【0054】
<変形例1> シート状物を移動させる代わりに、超音波発信器、超音波受信器、及び減衰層を一体的に、すなわち互いの位置関係を保ちながら、移動させてもよい。この場合、シート状物と検査領域とが相対移動するように、超音波発信器、超音波受信器、及び減衰層を移動させる駆動装置を備える。例えば、図5に示した構成において、樹脂シート88が静止している状態で、樹脂シート88の長手方向(矢印88xで示す方向)に、超音波発信器22、超音波受信器24、及び減衰層28を一体的に移動しながら検査する。この場合、超音波発信器22等の移動を繰り返して詳しく検査することが可能である。
【0055】
<変形例2> シート状物と、超音波発信器、超音波受信器、及び減衰層との両方を移動させてもよい。この場合、シート状物と検査領域とが相対移動するようにシート状物を移動させる第1の駆動装置と、シート状物と検査領域とが相対移動するように、超音波発信器、超音波受信器、及び減衰層を移動させる第2の駆動装置とを備える。
【0056】
<まとめ> 以上に説明したように、欠陥検出装置16は、減衰層28を設けることにより、カメラでは穴の有無が判別しにくく、また、薄いフィルムのようなシート状物であっても、穴の有無を検出できる。
【0057】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0058】
例えば、本発明のシート状物の欠陥検出装置は、複合シートに限らず、透明、半透明、又は不透明の一層又は複数層のシート状物について、欠陥を検出することができる。
【符号の説明】
【0059】
16 欠陥検出装置
20a,20b 搬送ロール(駆動装置)
21 検査領域
21a,21b 案内ロール(シート状物配置機構)
22 超音波発信器
24 超音波受信器
26 判別装置
28,28a,28p,28q 減衰層
80 樹脂シート(被検出層)
81 シート状物
82 不織布シート(不織布)
84 不織布シート(不織布)
86 複合シート(シート状物)
87 搬送経路
88 樹脂シート(シート状物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8