(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035221
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ナットランナ操作装置
(51)【国際特許分類】
B25B 23/14 20060101AFI20230306BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B25B23/14 610V
G01L5/00 103C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141885
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500285923
【氏名又は名称】株式会社エスティック
(71)【出願人】
【識別番号】392036153
【氏名又は名称】菱電湘南エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】津▲崎▼ 一浩
(72)【発明者】
【氏名】榊原 利次
(72)【発明者】
【氏名】平井 浩基
(72)【発明者】
【氏名】土田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】原 安史
(72)【発明者】
【氏名】大橋 利明
【テーマコード(参考)】
2F051
3C038
【Fターム(参考)】
2F051AB04
3C038AA01
3C038BC02
3C038CA01
3C038CA05
3C038DA00
(57)【要約】
【課題】ナットランナの位置及び姿勢の変化を好適に支援することが可能なナットランナ操作装置を提供する。
【解決手段】ナットランナ操作装置1は、ボルトを締付可能なナットランナ9と、ナットランナ9の基端部側を支持する可動アームと、を備え、ナットランナ9は、駆動部Mによって回転可能な駆動軸と、駆動軸の先端部に設けられる超音波センサ50と、駆動軸に対して相対的に回動可能に外装されているハンドルカバー70と、を備え、ハンドルカバー70は、可動アームによって支持されたナットランナ9の位置及び姿勢を利用者によって変更可能に構成されているとともに、駆動部Mを作動させるためのスイッチ73を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトを締付可能なナットランナと、
前記ナットランナの基端部側を支持する可動アームと、
を備え、
前記ナットランナは、
駆動部によって回転可能な駆動軸と、
前記駆動軸の先端部に設けられる超音波センサと、
前記駆動軸に対して相対的に回動可能に外装されているハンドルカバーと、
を備え、
前記ハンドルカバーは、
前記可動アームによって支持された前記ナットランナの位置及び姿勢を利用者によって変更可能に構成されているとともに、
前記駆動部を作動させるためのスイッチ部を有する
ことを特徴とするナットランナ操作装置。
【請求項2】
前記ナットランナは、
前記駆動軸に外嵌されており、前記超音波センサと接続される筒状の第一の端子と、
前記駆動軸とともに回転する前記第一の端子に対する接続を摺動して維持可能であり、前記超音波センサの検出結果に基づいてボルト軸力を算出する制御部と接続される第二の端子と、
を備え、
前記第一の端子及び前記第二の端子は、前記ハンドルカバーよりも前記可動アーム側に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のナットランナ操作装置。
【請求項3】
前記可動アームは、少なくとも2つの回転軸を有するリンク機構を構成する
ことを特徴とする請求項1に記載のナットランナ操作装置。
【請求項4】
前記可動アームは、平行クランク機構を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のナットランナ操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト軸力を測定する際に、ボルトを締め付けるナットランナの操作を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトを締め付けながら超音波センサを用いてボルトの長さを測定することによって、ボルト軸力を測定することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるナットランナは、利用者が保持して用いられるが、ナットランナの姿勢等がボルト軸力に与える影響が大きいため、ナットランナの三次元的な位置及び姿勢を適切にすることが望まれている。
【0005】
本発明は、前記した事項に鑑みて創案されたものであり、ナットランナの位置及び姿勢の変化を好適に支援することが可能なナットランナ操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明のナットランナ操作装置は、ボルトを締付可能なナットランナと、前記ナットランナの基端部側を支持する可動アームと、を備え、前記ナットランナは、駆動部によって回転可能な駆動軸と、前記駆動軸の先端部に設けられる超音波センサと、前記駆動軸に対して相対的に回動可能に外装されているハンドルカバーと、を備え、前記ハンドルカバーは、前記可動アームによって支持された前記ナットランナの位置及び姿勢を利用者によって変更可能に構成されているとともに、前記駆動部を作動させるためのスイッチ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者によるナットランナの位置及び姿勢の変化を好適に支援することができ、正確なボルト軸力測定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るナットランナ操作装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るナットランナを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るボルト軸力測定装置1は、ナットランナ9によってボルト2(
図2参照)を測定対象物(例えば、エンジン等)に対して締め付ける際に発生するボルト(締付)軸力を測定する装置であり、利用者によるナットランナ9の操作を支援するナットランナ操作装置である。ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作システム)1は、基台部3と、基台部3から立設される縦アーム部6と、を備える。基台部3には、雌ネジ部が形成された測定対象物が載置される。
【0011】
ボルト軸力測定装置1は、一端部側が縦アーム部6に連結されるとともに、関節部8を介して直列に連結される複数のアーム部7と、他端部側のアーム部7によって保持されるナットランナ(締付装置)9と、を備える。複数のアーム部7及び関節部8は、ナットランナ9を操作する利用者の動作に応じて、ナットランナ9の位置及び姿勢を三次元的に変更可能な可動アームを構成する。複数のアーム部7及び関節部8は、ナットランナ9が利用者によって操作されていない場合には、ナットランナ9の位置及び姿勢をそのまま維持する。
【0012】
本実施形態において、一番目のアーム部7の一端部は、縦アーム部6に対して上下方向に位置変更可能かつ上下軸周りに姿勢変更可能に取り付けられている。二番目のアーム部7の一端部は、関節部8を介して、一番目のアーム部7の他端部に対して上下軸周りに姿勢変更可能に取り付けられている。三番目のアーム部7の一端部は、関節部8を介して、二番目のアーム部7の他端部に対して上下軸周りに姿勢変更可能に取り付けられている。四番目のアーム部7の一端部は、関節部8を介して、三番目のアーム部7の他端部に対して水平軸周りに姿勢変更可能に取り付けられている。五番目のアーム部7の一端部は、関節部8を介して、四番目のアーム部7の他端部に対して水平軸周りに姿勢変更可能に取り付けられている。ナットランナ9の後記するカバー60は、五番目のアーム部7の他端部に取り付けられている。
【0013】
すなわち、可動アームは、直列に設けられた複数のアーム部7が関節部8によって連結されることによって、少なくとも2つの回転軸を有するリンク機構を構成する。ここで、少なくとも2つの回転軸に含まれる2つの回転軸は、異なる向きに設定されている。かかるリンク機構は、ナットランナ9が三次元的に位置(及び姿勢)を変更することを可能とする。また、本実施形態において、四番目の上下一対のアーム部7A及びその両端部の関節部8及びアーム部7B,7Cは、側面視で(ボルト2の締結方向に直交する方向から見て)平行四辺形状を呈する平行クランク機構を構成する。かかる平行クランク機構は、利用者によるナットランナ9の操作時に、ナットランナ9が上下方向に延びる姿勢を維持した状態で移動することを可能とする。
【0014】
ボルト軸力測定装置1は、制御部Cが駆動部M(モータ等)を駆動させることによって、ボルト2(
図2参照)に装着されたナットランナ9を回転させて、基台部3に載置された測定対象物に形成された雌ネジ部に対してボルト2を締め付ける。ボルト軸力測定装置1の制御部Cは、ボルト締付時の超音波パルスのエコーに基づいて、ボルト軸力を算出する。制御部Cは、算出されたボルト軸力を図示しない表示装置(モニタ等)に表示させることができる。
【0015】
<ナットランナ>
ナットランナ9は、他端部側のアーム部7によって保持されている部位よりも上側に、制御部Cと、駆動部Mと、を備える。制御部C及び駆動部Mは、カバー部材によって被覆されている。制御部Cは、ナットランナ9の他部品とは別体に構成されてもよい。また、
図2に示すように、ナットランナ9は、他端部側のアーム部7によって保持されている部位よりも下側に、回転シャフト10と、筒部20と、ソケット30と、支持部40と、超音波センサ50と、カバー60と、ハンドルカバー70と、を備える。なお、
図1では、ソケット30は省略されている。また、ナットランナ9は、スイッチ用端子81と、第一の端子82と、第二の端子83と、を備える。また、ナットランナ9は、基端部側から先端部側へと順に、ベアリングB1,B2,B3,B4,B5を備える。また、ナットランナ9は、カバー60の先端部側に設けられるコネクタC1と、カバー60の基端部側に設けられるコネクタC2と、を備える。
【0016】
回転シャフト10の基端部側は、カバー60に収容されており、回転シャフト10の軸方向中間部は、ハンドルカバー70に収容されており、回転シャフト10の先端部側は、カバー60及びハンドルカバー70から露出している。スイッチ用端子81は、ハンドルカバー70内に設けられており、第一の端子82及び第二の端子83は、カバー60内に設けられており、コネクタC1,C2は、カバー60に設けられている。すなわち、第一の端子82、第二の端子83及びコネクタC1,C2は、ハンドルカバー70外であってハンドルカバー70よりも可動アームによって支持されている部位側に設けられている。なお、
図2において、支持部40の一部、超音波センサ50及びボルト2は、断面ではなく外表面が図示されている。
【0017】
<回転シャフト>
回転シャフト10は、制御部Cによる駆動部Mの制御によって、所定のトルク及び回転速度(回転角速度)で回転する金属製の筒状部材である。回転シャフト10において、後記する筒部20に収容されている部位及び筒部20から露出する当該シャフト10の先端部の外径は、かかる部位よりも基端部側であって後記するカバー60に収容されている部位の外径よりも小径に設定されている。
【0018】
<筒部>
筒部20は、回転シャフト10の先端部側において回転シャフト10に対して相対的に回転可能に外装される金属製又は樹脂製の部材(カラー)である。筒部20の内径は、回転シャフト10の外径よりも大きい。筒部20は、ベアリングB5によって、回転シャフト10に対して相対回動可能に取り付けられている。筒部20の軸線(回動軸)は、回転シャフト10の軸線(回転軸)と同一直線上に位置する。筒部20の外径は、後記するカバー60の外径よりも小径に形成されている。また、筒部20の基端部(上端部)は、カバー60の先端部(下端部)に内嵌されて固定されている。すなわち、筒部20は、カバー60と一体的に回動するものであり、カバー60の延長部であるといえる。
【0019】
<ソケット>
ソケット30は、回転シャフト10及びボルト2に外嵌される金属製又は樹脂製の筒状部材である。ソケット30の基端部(上端部)は、回転シャフトの先端部(下端部)であって、筒部20から露出する部位に着脱可能に外嵌されて固定されている。ソケット30の先端部(下端部)は、ボルト2の頭部2aに外嵌可能である。
【0020】
<支持部>
支持部40は、回転シャフト10の先端部に対して超音波センサ50を支持する部材である。支持部40は、弾発コイルバネ等によって構成されている。支持部40の内部には、超音波センサ50の機能部品の一部が内蔵されている。すなわち、支持部40は、超音波センサ50の一部であるともいえる。
【0021】
<超音波センサ>
超音波センサ(超音波探触子)50は、ソケット30内において、筒部20の先端部(下端部)に取り付けられている略円柱形状の部材である。超音波センサ50は、超音波パルスを発振し、発振した超音波パルスのエコーを受信する圧電素子等を備える。
【0022】
<カバー>
カバー60は、他端部側のアーム部7によって保持されるとともに、回転シャフト10の基端部側に外装される筒状の金属製又は樹脂製の部材である。カバー60の内径は、回転シャフト10の外径よりも大きい。カバー60は、ベアリングB1,B2によって、回転シャフト10に対して相対的に回動可能に取り付けられている。カバー60の軸線(回動軸)は、回転シャフト10の軸線(回転軸)と同一直線上に位置する。カバー60は、例えばモータMが収容されるナットランナ9の上端部のカバーと一体的に連結されており、当該カバーを介して他端部側にアーム7によって保持されていてもよい。
【0023】
<ハンドルカバー>
ハンドルカバー70は、回転シャフト10の先端部側(筒部20)に外装される筒状の金属製又は樹脂製の部材である。ハンドルカバー70の内径は、筒部20の外径よりも大きい。ハンドルカバー70は、ベアリングB3,B4によって、筒部20に対して相対的に回動可能に取り付けられている。ハンドルカバー70の軸線(回動軸)は、回転シャフト10の軸線(回転軸)と同一直線上に位置する。
ハンドルカバー70の外径は、カバー60の外径と略同径に形成されている。ハンドルカバー70は、可動アーム(アーム部7及び関節部8)によって支持されたナットランナ9の位置及び姿勢を利用者によって三次元的に変更可能に構成されている。ハンドルカバー70は、筒状を呈する本体部71と、本体部71の基端部側に形成された孔部71aに設けられるスイッチ(スイッチ部)72と、を備える。スイッチ72は、駆動部Mを作動させるためのものである。スイッチ72は、孔部71aの周縁部の基端部側に揺動可能に支持される本体部72aと、本体部73aの先端部から延設されており、孔部71aの周縁部の先端部側において本体部71内に収容される片部72bと、を一体に備える。本体部71の基端部(上端部)は、カバー60の先端部(下端部)に外嵌されている。
【0024】
<スイッチ用端子>
スイッチ用端子81は、筒部20に外嵌される筒状部材である。本実施形態において、スイッチ用端子81は、筒部20に対して一体的に回転可能に取り付けられている。スイッチ用端子81は、利用者によってスイッチ72の本体部72aが押下された場合に、スイッチ72の片部72bと接触し、制御部Cに対して電気的な信号を発生する。スイッチ用端子81は、ハンドルカバー70が回転シャフト80及び/又は筒部20に対して相対的に回動した場合においても、片部72b及びスイッチ用端子81が互いに摺動することによって、片部72bとの接触を維持する。
【0025】
<第一の端子>
第一の端子82は、ハンドルカバー70よりも基端部側において、回転シャフト10に外嵌される筒状部材である。本実施形態において、第一の端子82は、回転シャフト10に対して一体的に回転可能に取り付けられている。第一の端子82は、回転シャフト10内及び当該回転シャフト10に形成された孔部を通る図示しない配線によって、超音波センサ50と電気的に接続されている。
【0026】
<第二の端子>
第二の端子83は、カバー60の内周面に取り付けられており、第一の端子82と電気的に接続される部材である。第二の端子83は、回転シャフト10がカバー60に対して相対的に回動した場合においても、第一の端子82及び第三の端子83が互いに摺動することによって、第一の端子82との電気的な接続を維持する。第二の端子83は、図示しない配線によって制御部Cと電気的に(通信可能に)接続されている。
【0027】
<スイッチ用端子と制御部との接続構造>
ここで、スイッチ用端子81と制御部Cとの接続構造、すなわち、スイッチ用端子81から制御部Cへの信号の伝達構造について説明する。本実施形態において、スイッチ用端子81は、筒部40とハンドルカバー70及びカバー60との間の空間、並びに、カバー60に形成された孔部を介して配置される図示しない配線を介してコネクタC1と接続されている。コネクタC1は、カバー60外に露出しており、カバー60外において、図示しない接続端子及び配線を介して制御部Cと接続されている。かかるコネクタC1を用いた制御部Cとの接続は、制御部Cがナットランナ9外に設けられている場合に特に好適である。
【0028】
<超音波センサと制御部との接続構造>
続いて、超音波センサ50と制御部Cとの接続構造、すなわち、超音波センサ50から制御部Cへの超音波センサ50の検出結果の伝達構造について説明する。本実施形態において、超音波センサ50は、支持部40の内部、回転シャフト10の内部及び回転シャフト10に形成された孔部を介して配置される図示しない配線によって、第一の端子81と接続されている。第二のセンサ82は、回転シャフト10とカバー60との間の空間に配置される図示しない配線を介してコネクタC2と接続されている。コネクタC2は、カバー60外に露出しており、カバー60外において、図示しない接続端子及び配線を介して制御部Cと接続されている。かかるコネクタC2を用いた制御部Cとの接続は、制御部Cがナットランナ9外に設けられている場合に特に好適である。
【0029】
<動作例>
利用者は、基台部6に測定対象物を載置する。ここで、測定対象物は、当該測定対象物に形成される雌ネジ部が上部に開口を有して鉛直方向に延びるような姿勢で配置される。また、利用者は、初期設定として、縦アーム部6の基台部3における位置、及び/又は、一番目のアーム部7の縦アーム部6に対する上下方向の位置及び上下軸周りの姿勢を設定する。
【0030】
続いて、利用者は、ボルト2の頭部2aがソケット30によって保持されるとともに、超音波センサ50が図示しない超音波伝搬部材(エラストマー等)を介してボルト2の頭部2aに接触した状態で、ハンドルカバー70の本体部71を把持して操作し、ボルト2の軸部2bを測定対象物に形成された雌ネジ部に配置する。ここで、ハンドルカバー70は、回転シャフト10等に対して相対的に回動可能であるとともにカバー60及び筒部20に対しても相対的に回動可能であるため、利用者は、スイッチ72が利用者に対して好適な位置にある状態のまま、ナットランナ9の位置及び姿勢を三次元的に変化させることができる。
【0031】
続いて、利用者は、スイッチ72の本体部72aを押下する(
図2の2点鎖線参照)。これにより、スイッチ72の片部72bがスイッチ用端子81に接続し、スイッチ用端子81は、コネクタC1を介して、ボルト軸力測定装置1の制御部Cへ信号を出力する。続いて、制御部Cは、かかる信号を受信すると、駆動部M(モータ等)を駆動させることによって、回転シャフト10、ソケット30、支持部40及び超音波センサ50を回転シャフト10の軸線周りに回転させる。これにより、ボルト2の軸部2bが測定対象物の雌ネジ部に螺合される。また、超音波センサ50は、超音波パルスを定期的に発振させている。制御部Cは、かかる超音波パルスのボルト2の頭部2aからのエコー及びボルト2の軸部2bの先端部からのエコーの受信結果(検出結果)を、第一の端子82、第二の端子83及びコネクタC2を介して取得する。制御部Cは、かかるエコーの受信結果に基づいて、ボルト軸力を算出する。制御部Cは、スイッチ73の本体部73aの押下が解除されてスイッチ用端子81からの信号がなくなった場合、ボルト軸力が所定値以上となった場合等に、駆動部Mを停止させる。このように、制御部Cと超音波センサ50との間の電気的な信号は、回転シャフト10が回転しても互いに接続が維持される第一の端子82及び第二の端子83を介して伝送される。
【0032】
本発明の実施形態に係るボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、ボルト2を締付可能なナットランナ9と、前記ナットランナ9の基端部側を支持する可動アームと、を備え、前記ナットランナ9は、駆動部Mによって回転可能な駆動軸(回転シャフト10)と、前記駆動軸の先端部に設けられる超音波センサ50と、前記駆動軸に対して相対的に回動可能に外装されているハンドルカバー70と、を備え、前記ハンドルカバー70は、前記可動アームによって支持された前記ナットランナ9の位置及び姿勢を利用者によって変更可能に構成されているとともに、前記駆動部Mを作動させるためのスイッチ部を有する。
したがって、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、利用者による三次元的な位置及び姿勢の変化を好適に支援することができ、正確なボルト軸力測定を実現することができる。
【0033】
また、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1において、前記ナットランナ9は、前記駆動軸に外嵌されており、前記超音波センサ50と接続される筒状の第一の端子82と、前記駆動軸とともに回転する前記第一の端子82に対する接続を摺動して維持可能であり、前記超音波センサ50の検出結果に基づいてボルト軸力を算出する制御部Cと接続される第二の端子83と、を備え、前記第一の端子82及び前記第二の端子83は、前記ハンドルカバー70よりも前記可動アーム側に設けられている。
したがって、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、第一の端子82及び第二の端子83がハンドルカバー70の径方向内側に設けられる場合と比較して、ハンドルカバー70の径方向への大型化を抑制し、利用者による操作性(取り回し)を向上することができる。
【0034】
ボルト軸力を管理しながらボルト2の締付を実行する場合には、ボルト2の回転角度に応じてボルト軸力がリニアに上昇する。そのため、ボルト軸力のレートの監視、判定等といった高度な管理を実現するには、インパクトツールの様な間欠動作ではなく、連続的な締付動作が好ましい。この場合には、締付反力を受ける機構が必要であるが、かかる機構を測定対象物に応じて毎回セットアップすることは、作業性の悪化につながる。
また、軸力を測定する場合には、超音波センサ50をボルト2に対して垂直に当てることが望ましいが、利用者による操作のみでは困難な場合がある。
【0035】
これに対し、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1において、前記可動アームは、少なくとも2つの回転軸を有するリンク機構を構成する。
したがって、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、利用者によるナットランナ9の操作(位置及び姿勢の変更)を可動アームによって好適に支援するとともに、ナットランナ9に作用するボルト2の締付反力を可動アームによって受けることができるので、作業性を向上することができる。
【0036】
また、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、スイッチ72を有して回転シャフト10と相対的に回動可能なハンドルカバー70を備える。これにより、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、ナットランナ9の位置や姿勢が変更してもスイッチ72を作業者が押しやすい位置に維持し、どの締付位置(位相)でも作業者に無理な姿勢で作業させることをなくすことができる。さらに、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、超音波センサ50がナットランナ9に組み込まれているので、求められる性能、価格等に応じてナットランナ9を選択して可動アームに取り付けることができる。
【0037】
また、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1において、前記可動アームは、平行クランク機構を有する。
したがって、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、平行クランク機構によってナットランナ9の姿勢を保ったまま当該ナットランナ9の位置を変更することが可能となり、例えばナットランナ9を常に鉛直方向に向けることができる。すなわち、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、ナットランナ9の先端部に設けられた超音波センサ50を、測定対象物の雌ネジ部に螺合されるボルト2に対して垂直に当てることを支援することができる。
また、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、スイッチ72を有して回転シャフト10と相対的に回動可能なハンドルカバー70を備える。これにより、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、ナットランナ9の位置や姿勢が変更してもスイッチ72を作業者が押しやすい位置に維持し、どの締付位置(位相)でも作業者に無理な姿勢で作業させることをなくすことができる。さらに、ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)1は、超音波センサ50がナットランナ9に組み込まれているので、求められる性能、価格等に応じてナットランナ9を選択して可動アームに取り付けることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変形可能である。例えば、超音波センサ50は、制御部Cの制御によって超音波パルスを発振する構成であってもよい。この場合、制御部Cは、スイッチ72の片部72bがスイッチ用端子81に接続された際にスイッチ用端子81から出力される信号を取得した場合に、コネクタC2、第二の端子83及び第一の端子82を介して信号を超音波パルスへ送信することによって、超音波センサ50に超音波パルスを発振させることができる。すなわち、スイッチ72は、駆動部Mに加えて超音波センサ50も作動させるためのものとなる。
【符号の説明】
【0039】
1 ボルト軸力測定装置(ナットランナ操作装置)
2 ボルト
3 基台部
6 縦アーム部
7 アーム部(可動アーム)
7A,7B,7C 平行クランク機構
8 関節部(可動アーム)
9 ナットランナ
10 回転シャフト(駆動軸)
20 筒部
30 ソケット
40 支持部(超音波センサ)
50 超音波センサ
60 カバー
70 ハンドルカバー
71 本体部
71a 孔部
72 スイッチ(スイッチ部)
81 スイッチ用端子
82 第一の端子
83 第二の端子
B1,B2,B3,B4,B5 ベアリング
C 制御部
M 駆動部