(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035223
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ネットワークを利用した販売方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0283 20230101AFI20230306BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20230306BHJP
【FI】
G06Q30/02 490
G06Q30/06 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141890
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】518205999
【氏名又は名称】アイザック国際知財コンサルタント合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】小川 耕太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049BB55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ネットワークを利用して物品やサービスを販売する方法を提供する。
【解決手段】方法は、販売者は、ネットワークに接続されたサーバーに、閾値と、第一の割引変数とを登録し、購入者の購入により販売総額又は販売総数が閾値を上回った場合には、第一の割引変数に従って、既に購入された物も含めすべての購入者への販売価格を下げる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して販売者が購入者に販売を行う方法であって、販売者は、前記ネットワークに接続されたサーバーに、閾値と、第一の割引変数とを登録し、購入者の購入により販売総額または販売総数が前記閾値を上回った場合には、前記第一の割引変数に従って、既に購入された物も含めすべての購入者への販売価格が下がる、ネットワークを利用した販売方法。
【請求項2】
ネットワークを介して販売者が購入者に販売を行う方法であって、販売者は、前記ネットワークに接続されたサーバーに第二の割引変数を登録し、販売数や販売金額に応じ前記第二の割引変数に従って連続的に現在価格が上がる、ネットワークを利用した販売方法。
【請求項3】
ネットワークを介して販売者が購入者に販売を行う方法であって、販売者は、前記ネットワークに接続されたサーバーに、第一の割引変数と、第二の割引変数とを登録し、購入者の購入により販売総額または販売総数が増えるにつれて、前記第一の割引変数に従って、既に購入された物も含めすべての購入者への販売価格が下がる一方、前記第二の割引変数に従って連続的に現在価格が上がる、ネットワークを利用した販売方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを利用して物品やサービスを販売する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クラウドファウンディングのサイトにおいて、プロジェクトの実行や新製品、サービスの販売などのためにクラウドファウンディングが行われている。この場合、出品者は、目標金額を決めるとともに、購入者に対し、複数の価格の選択肢を提示する。例えば、出品しているものが一つの新製品であった場合には、一つの商品に対して割引率の異なる複数の価格の選択肢を提示して出品を行う。価格が異なっても商品は同じであるから、当然ながら、割引率の高い、価格の安い選択肢から売り切れていく。また、出品者は、出品にあたり、オールインかオールオアナッシングかの選択をする。オールオアナッシングは目標金額に達すれば当該商品を販売するが達しなければ販売しないという本来のクラウドファウンディングであり、オールインは目標金額に達するか否かに関わらず当該商品を販売するという方式である。例えば、目標金額は50万円、標準価格は18,000円、割引率35%の超超早割、割引率25%の超早割、割引率15%の早割の選択肢が用意される場合において、超超早割から売り切れて行き、売上が目標金額50万円に達した時点で達成率100%、プロジェクト成功となるが、その後も選択肢の在庫が売り切れるか期間が終了するまで販売が行われる。オールオアナッシングの場合は期間が終了した時点でプロジェクト成功となっている場合のみ、プロジェクトを実行または製品の発送等を行うことになり、オールインであれば、プロジェクトの成否に関わらずプロジェクトを実行または製品の発送等を行うことになる。
【0003】
このようなクラウドファウンディングの一例として、特許文献1には、クラウドファンディングの手法を活用した事業者向けECサービスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のクラウドファウンディングは、プロジェクトの実行のために活用される場合にはオールオアナッシング形式が採用されることが多い一方、製品の販売のために活用される場合はオールイン形式が採用されることが多い。オールイン形式においては目標金額に達しなくても販売となるため、目標金額はあまり意味がなく、形骸化している。また、初期に購入するユーザーに対し割引するという仕組みはリスクや早い決断という意味では理に適っているが、割引率ごとに別の選択肢として設定しなければならず、注文管理を含め、手間が増える。さらに、実際には販売数が増えれば1個の商品当たりの原価が下がるため、販売価格をさらに下げても利益が生じるが、このような販売者側のコストダウンに対応して販売価格を下げる仕組みは従来存在しなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、より理に適った販売方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のネットワークを利用した販売方法は、ネットワークを介して販売者が購入者に販売を行う方法であって、販売者は、前記ネットワークに接続されたサーバーに、閾値と、第一の割引変数とを登録し、購入者の購入により販売総額または販売総数が前記閾値を上回った場合には、前記第一の割引変数に従って、既に購入された物も含めすべての購入者への販売価格が下がる、ネットワークを利用した販売方法である。
このようなネットワークを利用した販売方法によれば、販売数が増えた際に販売価格を下げることで購入者の拡散に対するモチベーションが上がる。販売者も数が増えれば仕入れ単価が下がることで理に適う。
【0008】
さらに、本発明のネットワークを利用した販売方法は、ネットワークを介して販売者が購入者に販売を行う方法であって、販売者は、前記ネットワークに接続されたサーバーに第二の割引変数を登録し、販売数や販売金額に応じ前記第二の割引変数に従って連続的に現在価格が上がる、ネットワークを利用した販売方法である。
このようなネットワークを利用した販売方法によれば、販売数が増えた際に連続的に販売価格を上げることで購入者の購入に対するモチベーションが上がる。
【0009】
さらに、本発明のネットワークを利用した販売方法は、ネットワークを介して販売者が購入者に販売を行う方法であって、販売者は、前記ネットワークに接続されたサーバーに、第一の割引変数と、第二の割引変数とを登録し、購入者の購入により販売総額または販売総数が増えるにつれて、前記第一の割引変数に従って、既に購入された物も含めすべての購入者への販売価格が下がる一方、前記第二の割引変数に従って連続的に現在価格が上がる、ネットワークを利用した販売方法である。
このようなネットワークを利用した販売方法によれば、販売数が増えた際に販売価格を下げることで購入者の拡散に対するモチベーションが上がる。販売者も数が増えれば仕入れ単価が下がることで理に適う。
。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態のネットワークを利用した販売方法の画面イメージを示す図である。
【
図2】第一実施形態のネットワークを利用した販売方法の価格の変移を示すグラフである。
【
図3】第二実施形態のネットワークを利用した販売方法の価格の変移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のネットワークを利用した販売方法の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態のネットワークを利用した販売方法の画面イメージを示す図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態のネットワークを利用した販売方法の画面は、サーバーに保存されインターネットを介して需要者に表示されるサイトにおいて、メイン画像1の右に、現在価格、現在割引率、購入総額、購入者数、販売数、残り時間、目標金額、価格ダウンボーダー、価格ダウン割引、オールインかオールオアナッシングかの表示、グラフ表示ボタン2、そして購入ボタン3が表示されている。価格ダウンまでの残り金額や目標金額までの残り金額をパーセントやグラフで示しても良い。価格ダウンボーダーは閾値であり、価格ダウン割引は第一の割引変数である。購入ボタン3をクリックするとその時の現在価格で購入となり、その場で決済されるか、残り時間がゼロになりクラウドファウンディングが終了した際に決済され、クラウドファウンディング終了後に商品の発送がされる。この例では、現在価格が16,525円、基本価格が20,000円であるから割引率が17.4%、現在までの購入額の積算である総購入額は842,125円、現在までの購入人数は55人、販売数は60個、クラウドファウンディング終了までの残り時間が18日、プロジェクトが実行されるための目標金額は300,000円、次の価格ダウン個数が100個、その際の価格ダウン割引は1,000円、クラウドファウンディング形式はオールオアナッシングとなっている。目標金額に対し総購入額が280%となり目標が達成されていることも表記されている。
【0013】
グラフ表示ボタン2を押すと、
図2に示すように、このクラウドファウンディングにおける価格の推移、すなわち第二の割引変数による価格の推移を示すグラフが表示される。このグラフに実線4で示されるように、基本的には、最初に買った人ほど安く商品を手に入れることができ、後になればなるほど価格が高くなる。これは、最初に購入する人ほど決断力が必要であり、この商品の良し悪しを判断する判断力やこの商品を知るためのリサーチ力が必要となることから、いわゆるアーリーアダプターとなる最初の購入者ほど価格を安くしてアドバンテージを与え、早く買うことへのモチベーションを惹起する仕組みである。
【0014】
この実施形態ではオールオアナッシング形式のクラウドファウンディングとなっているから、目標金額が設定されている。購入総額が目標金額に達成しない場合は商品の販売が行われることがなく、購入者には決済済であれば返金処理がなされ、未決済の場合はクラウドファウンディング終了時に決済が行われない。このようなオールオアナッシング形式を選択することで、販売者は、目標金額に到達した場合にのみ発注をかければ良いので、販売数が少ないのに製品を発注してしまうことによる在庫リスク、赤字リスクを避けることができる。目標金額の代わりに目標個数をボーダーラインとすることもできる。
【0015】
さらに、
図1及び
図2に示すように、価格ダウンのきっかけとなるボーダー個数、すなわち価格ダウン個数が設定されている。この例では100個となっている。これは、ある程度の製造個数を確保することができると製品一つあたりの単価を下げることができることに基づいている。つまり、販売者のコストが下がることに連動してその分を購入者に還元するという理に適った仕組みである。個数ではなく一定の金額をボーダーラインとすることもできる。購入総数がこの価格ダウン個数を超えた場合には、既に購入した購入者やこれから購入する者も含め、すべての販売価格に対し、ここでは1000円引きの割引がなされ、
図2で破線5で示す金額が既に購入した物の実際の購入額となる。今後の購入分に関してはその右に続く実線6の通りの金額となる。この割引は、固定額でなくパーセントで行っても良い。これに従い、既に決済済みの購入者にはクレジットカードなどで返金がなされ、またはポイント還元が行われる。未決済の購入者は値引きされた金額でクラウドファウンディング終了時に決済し購入できる。このようにすることにより、既に購入または購入予約した購入者が、他人に薦めることで、自分の購入した商品がさらに値引きされるため、広めることへのモチベーションとなる。ボーダー個数または金額は段階的に複数用意されていても良い。ボーダー個数が達成されることにより実際には一時的に販売総額が下がることになるが、この点について、表示上の販売総額については過去の販売分の金額の減額は反映させない。計算が煩雑になり、購入者の購入モチベーションの向上につながらないためである。つまり、販売総額は、購入者が購入した時点における購入額の積算となる。
【0016】
図3は、第二実施形態のクラウドファウンディングに基づくグラフである。この実施形態では、オールイン方式でのクラウドファウンディングが行われている。そのため、目標金額が存在しない。もちろん、オールイン方式でのクラウドファウンディングでも目標金額を設けても良いが、その金額に達しなかったとしても販売はしないといけないので、実質的に目標金額の意味が薄い。そこで、むしろ割引率に注目させるべく、目標金額が設定されていない。割引率はグラフに従って、定められた変数により決定される。基本的な第二の割引率は曲線7に示すように、早い段階で購入する者ほど高い割引率で購入できる。一方、オールイン方式では既に発注済みであることも多いが、出荷個数が増えればコストは下がり利益は上がるので、この実施形態では、第一の割引率を示す曲線8に従って連続的に価格がさがるよう設定されている。すなわち、2つの曲線が存在し、一つの曲線7では割引率が次第に下がり現在価格は上がる一方、もう一つの曲線8では割引率が次第に上がり既に購入した購入者の商品を含め購入時の現在価格よりもクラウドファウンディング終了時の価格が下がり、購入者への返金または割り引いた金額での決済が行われる。この例では、現在価格が16,000円であるところ、割引率5%が適用され、割引後の現在価格は15,200円となっている。過去に購入した購入者を含めた実際の購入価格は破線9によって示されている。曲線8に示す割引率が上がるにつれて破線9の位置が下がる。
【0017】
以上のように、実施形態のクラウドファウンディングによれば、販売者のコストやリスクが下がるのに対応して販売価格が下がることとなり、理に適っている。実際の利益としては販売数の増加に伴って上がっていくように設定できるから、販売者と購入者の双方への利益を最大化する価格設定が可能となる。
【0018】
なお、実施形態のクラウドファウンディング方法は一例であり、種々の組み合わせや変更が可能である。例えば価格の変動は連続的ではなく段階的に行っても良い。このような場合も、本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0019】
1 メイン画像
2 グラフ表示ボタン
3 購入ボタン