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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035225
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】シャープペンシル
(51)【国際特許分類】
   B43K 21/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B43K21/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141892
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】河原崎 勇二
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FA04
2C353FC13
2C353FE07
(57)【要約】
【課題】シャープペンシルにおける芯詰まりの発生を抑制する。
【解決手段】シャープペンシル10は、筆記芯80を収容可能である第1収容室C1と、第1収容室C1の後方に位置し筆記芯80を収容可能である第2収容室C2と、第1収容室C1と第2収容室C2とを接続するとともに、第2収容室C2から第1収容室C1へ向けて筆記芯80が通過することが可能な通路42を有する接続部材40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記芯を収容可能である第1収容室と、
前記第1収容室の後方に位置し筆記芯を収容可能である第2収容室と、
前記第1収容室と前記第2収容室とを接続するとともに、前記第2収容室から前記第1収容室へ向けて前記筆記芯が通過することが可能な通路を有する接続部材と、を備えたシャープペンシル。
【請求項2】
前記通路は、前記シャープペンシルの中心軸線から径方向にずれて位置する、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項3】
前記通路は、前記接続部材に設けられた孔を含む、請求項1または2に記載のシャープペンシル。
【請求項4】
前記接続部材は、本体部と、前記本体部から後方に突出する後方突出部と、を有し、
前記通路は、前記後方突出部の外面に設けられた溝を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシャープペンシル。
【請求項5】
前記接続部材は、前記筆記芯を前記通路へ誘導するガイド部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシャープペンシル。
【請求項6】
クリップを有し、
前記通路は、前記シャープペンシルの中心軸線に対して前記クリップと反対側に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載のシャープペンシル。
【請求項7】
筆記芯を収容可能である収容室と、
前記収容室の後方に位置し前記収容室内の前記筆記芯が退避可能な退避空間と、を備え、
前記退避空間における中心軸線と直交する方向の寸法は、前記収容室における中心軸線と直交する方向の寸法よりも小さい、シャープペンシル。
【請求項8】
前記退避空間における中心軸線と直交する方向の寸法は、前記収容室における中心軸線と直交する方向の寸法の1/2よりも小さい、請求項7に記載のシャープペンシル。
【請求項9】
前記退避空間の中心軸線は、前記収容室の中心軸線と一致する、請求項7または8に記載のシャープペンシル。
【請求項10】
前記収容室の後端に接続された接続部材と、
前記接続部材に後方から連結されたパイプ部材と、を備え、
前記パイプ部材の内部の空間が前記退避空間の少なくとも一部を形成する、請求項7~9のいずれか一項に記載のシャープペンシル。
【請求項11】
前記退避空間の後端は閉塞されている、請求項7~10のいずれか一項に記載のシャープペンシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸筒と、筆記芯を収容する芯収容室と、芯収容室から前方へ筆記芯を送り出すチャックと、を備えたシャープペンシルが良く知られている。このようなシャープペンシルでは、使用者がシャープペンシルの後端を押圧すると、筆記芯がチャックにより芯収容室から前方へ送り出され、筆記芯の先端がシャープペンシルの先端から突出する。この状態で、使用者が筆記芯の先端を紙等の筆記面に擦り付けることにより、筆記面に筆記芯により筆跡が形成される。芯収容室内には、使用中の筆記芯とは別の筆記芯、すなわち予備芯、が収容され得る。使用中の筆記芯が消耗すると、芯収容室内に収容された予備芯の1つが、チャックにより前方へ送り出され筆記に使用される。特許文献1には、従来のシャープペンシルの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-63281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシャープペンシルでは、使用者が、予備の筆記芯(予備芯)の補充の手間を省くために、芯収容室内に多数の予備芯を入れることがある。この場合、使用中の筆記芯が消耗したときに、芯収容室に収容された多数の予備芯が、互いに前方へ向かうことを阻害し合い、予備芯の先端がシャープペンシルの先端から突出しない、いわゆる芯詰まりを起こすことがあった。
【0005】
また、筆記芯の先端のシャープペンシルの先端からの突出量が大きすぎた場合に、使用者がシャープペンシルの後端を押圧する等によりチャックが開いた状態のまま、筆記芯の先端を筆記面等に押し付けることにより、筆記芯を後退させることがある。また、シャープペンシルに筆記芯を補充する際に、チャックが開いた状態のまま、シャープペンシルの先端側から筆記芯を後退させながら挿入する場合もある。このような場合、後退した筆記芯の後端と芯収容室内のいずれかの部材との間に予備芯が挟まれ、予備芯が折れることがある。折れた予備芯は、筆記中に芯収容室の前方部分へ移動する。この場合、使用中の筆記芯が消耗したときに、折れた予備芯が、他の予備芯が前方へ向かうことを阻害し、この場合にもいわゆる芯詰まりを起こし得る。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、シャープペンシルにおける芯詰まりの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるシャープペンシルは、
筆記芯を収容可能である第1収容室と、
前記第1収容室の後方に位置し筆記芯を収容可能である第2収容室と、
前記第1収容室と前記第2収容室とを接続するとともに、前記第2収容室から前記第1収容室へ向けて前記筆記芯が通過することが可能な通路を有する接続部材と、を備える。
【0008】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
前記通路は、前記シャープペンシルの中心軸線から径方向にずれて位置してもよい。
【0009】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
前記通路は、前記接続部材に設けられた孔を含んでもよい。
【0010】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
前記接続部材は、本体部と、前記本体部から後方に突出する後方突出部と、を有し、
前記通路は、前記後方突出部の外面に設けられた溝を含んでもよい。
【0011】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
前記接続部材は、前記筆記芯を前記通路へ誘導するガイド部を有してもよい。
【0012】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
クリップを有し、
前記通路は、前記シャープペンシルの中心軸線に対して前記クリップと反対側に位置してもよい。
【0013】
本発明によるシャープペンシルは、
筆記芯を収容可能である収容室と、
前記収容室の後方に位置し前記収容室内の前記筆記芯が退避可能な退避空間と、を備え、
前記退避空間における中心軸線と直交する方向の寸法は、前記収容室における中心軸線と直交する方向の寸法よりも小さい。
【0014】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
前記退避空間における中心軸線と直交する方向の寸法は、前記収容室における中心軸線と直交する方向の寸法の1/2よりも小さくてもよい。
【0015】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
前記退避空間の中心軸線は、前記収容室の中心軸線と一致してもよい。
【0016】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
前記収容室の後端に接続された接続部材と、
前記接続部材に後方から連結されたパイプ部材と、を備え、
前記パイプ部材の内部の空間が前記退避空間の少なくとも一部を形成してもよい。
【0017】
本発明によるシャープペンシルにおいて、
前記退避空間の後端は閉塞されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シャープペンシルにおける芯詰まりの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係るシャープペンシルを示す縦断面図である。
図2図2は、図1のシャープペンシルの接続部材を拡大して示す図である。
図3図3は、図2のIII-III線に対応する横断面図である。
図4図4は、接続部材を示す斜視図である。
図5図5は、接続部材を示す断面図である。
図6図6は、シャープペンシルを用いて筆記を行う様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0021】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0022】
本明細書では、シャープペンシルの中心軸線Aが延びる方向(長手方向、縦断面図における上下方向)を軸方向da、軸方向daと直交する方向を径方向dr、中心軸線A周りの円周に沿った方向を周方向dcとする。また、軸方向daに沿って、筆記する際に紙面等の筆記面に近接する側を前方とし、筆記面から離間する側を後方とする。
【0023】
図1は、本発明に係るシャープペンシル10を示す縦断面図である。シャープペンシル10は、軸筒20と、芯操出ユニット30と、を備える。軸筒20は、軸筒本体22と、軸筒本体22の前方に位置する先端部材24と、先端部材24の前端に取り付けられたスリーブ25と、軸筒本体22及び先端部材24を互いに連結する連結部材26と、を備える。軸筒本体22の後方部分の外面には、クリップ28が設けられている。軸筒本体22は、シャープペンシル10の中心軸線Aに沿って軸方向daに延びる円筒形状を有している。したがって、軸筒本体22の中心軸線は、シャープペンシル10の中心軸線Aと一致する。軸筒本体22の内部には、芯操出ユニット30の少なくとも一部が配置される。先端部材24は、シャープペンシル10の先端部分を形成する部材である。先端部材24は、略円錐形状を有しており、前方に向かうにつれてその外径が小さくなっている。軸筒本体22の前端の内面に形成された雌ねじ部が連結部材26の後端の外面に形成された雄ねじ部に螺合することにより、軸筒本体22と連結部材26とが互いに連結される。また、先端部材24の後端の内面に形成された雌ねじ部が連結部材26の前端の外面に形成された雄ねじ部に螺合することにより、先端部材24と連結部材26とが互いに連結される。これにより、軸筒本体22及び先端部材24が、連結部材26を介して互いに連結される。スリーブ25は、先端部材24に対して固定されている。芯操出ユニット30により前方へ繰り出された筆記芯80は、スリーブ25を通ってスリーブ25の前端から突出する。
【0024】
芯操出ユニット30は、使用者の操作により、筆記芯80を前方へ繰り出す機構を有している。本実施形態の芯操出ユニット30は、第1芯パイプ32と、第2芯パイプ34と、キャップ38と、接続部材40と、パイプ部材50と、チャック61と、弾発部材62と、受け部材63と、締具64と、芯ホルダー65と、を含んでいる。
【0025】
第1芯パイプ32及び第2芯パイプ34は、いずれも筆記芯80を収容する部材である。第1芯パイプ32は、筆記芯80を収容可能である第1収容室(収容室)C1を形成する。第2芯パイプ34は、第1芯パイプ32の後方に位置する。第2芯パイプ34は、筆記芯80を収容可能である第2収容室C2を形成する。したがって、第2収容室C2は、第1収容室C1の後方に位置する。接続部材40は、第1芯パイプ32と第2芯パイプ34とを互いに接続する。したがって、接続部材40は、第1収容室C1と第2収容室C2とを互いに接続する接続部材40は、第2収容室C2から第1収容室C1へ向けて筆記芯80が通過することが可能な通路42を有する。接続部材40の詳細については後述する。本実施形態では、第1芯パイプ32、第2芯パイプ34及び接続部材40は、使用者がキャップ38を前方に押圧した際に、押圧力をキャップ38からチャック61へ伝達する機能も有する。第1芯パイプ32及び第2芯パイプ34は、例えば樹脂で形成される。
【0026】
パイプ部材50は、第1収容室(収容室)C1内の筆記芯80が退避可能な退避空間Sを形成する部材である。パイプ部材50は、接続部材40の後部に取り付けられている。したがって、パイプ部材50は、第1芯パイプ32の後方に位置する。また、パイプ部材50は、第1収容室(収容室)C1の後方に位置する。図1に示された例では、パイプ部材50は、第2芯パイプ34の内部に位置する。すなわち、パイプ部材50は、第2収容室C2内に位置する。パイプ部材50の詳細については後述する。
【0027】
本実施形態のシャープペンシル10は、第1収容室C1に収容される筆記芯80の数を制限することにより、芯詰まりの発生が抑制されるように構成されている。その一方、筆記芯80を収容可能な第2収容室C2をさらに有することにより、シャープペンシル10内に多数の筆記芯80を収容することが可能になっている。また、本実施形態のシャープペンシル10は、第1収容室C1と第2収容室C2とを接続するとともに、第2収容室C2から第1収容室C1へ向けて筆記芯80が通過することが可能な通路を有する接続部材40を有することにより、第1収容室C1に収容された筆記芯80の数が減少した場合に、第2収容室C2に収容された筆記芯80が第1収容室C1に移動することができるように構成されている。
【0028】
また、本実施形態のシャープペンシル10は、シャープペンシル10の先端から大きく突出した筆記芯80を後退させる場合、又は、シャープペンシル10の先端側から筆記芯80を後退させながら挿入する場合に、退避空間Sが、後退した筆記芯80により後方に向けて押圧される他の筆記芯81が後方に退避することを許容するように構成される。
【0029】
第2芯パイプ34の後端部には、消しゴム36が着脱可能に取り付けられている。なお、消しゴム36は省略することも可能である。キャップ38は、第2芯パイプ34の後端部に取り付けられ、第2芯パイプ34の後端を覆う部材である。シャープペンシル10が第2芯パイプ34の後端部に取り付けられた消しゴム36を有する場合、キャップ38は、消しゴム36を覆うカバーとしても機能する。本実施形態では、キャップ38は、筆記芯80を繰り出す際に使用者により前方へ押圧されるノック体でもある。図1に示された例では、キャップ38を第2芯パイプ34から取り外すことにより、消しゴム36が使用可能になる。また、キャップ38及び消しゴム36を第2芯パイプ34から取り外すことにより、使用者が第2芯パイプ34内に筆記芯80を補充することができるようになる。
【0030】
チャック61は、筆記芯80を把持する部材である。チャック61は、第1芯パイプ32と一体的に前後方向に移動することが可能である。図1に示された例では、チャック61の後端部は、第1芯パイプ32の前端部内に挿入されており、これにより、チャック61が第1芯パイプ32に対して固定されている。
【0031】
第1芯パイプ32の前方には、弾発部材62が配置されている。弾発部材62は、例えばコイルスプリングである。弾発部材62の前方には、受け部材63が配置されており、弾発部材62は、第1芯パイプ32の前端部と、受け部材63との間に、圧縮状態で配置されている。受け部材63は、弾発部材62の弾発力を受ける部材であり、弾発部材62の弾発力により前方へ押圧され、先端部材24の内面に形成された段部に当接している。締具64は、チャック61の前方部分に対して径方向の外側に位置する環状の部品である。締具64の後端部が受け部材63に当接することにより、締具64の後方への移動が規制されている。芯ホルダー65は、チャック61の前方に配置されており、筆記芯80の外面に当接して筆記芯80を保持する部材である。芯ホルダー65は、ゴム等の弾性部材で形成されており、チャック61が筆記芯80を把持していないときに、筆記芯80が軸方向daに移動することを抑制する。
【0032】
芯操出ユニット30により筆記芯80を繰り出す際には、使用者により、キャップ38が前方へ向けて押圧される。これにより、第2芯パイプ34、接続部材40、第1芯パイプ32及びチャック61が、弾発部材62の弾発力に抗して、前方へ移動する。チャック61の前方部分の外面は、キャップ38が前方へ押圧されていないときには、締具64に内側から当接している。したがって、チャック61の前方部分が径方向の外側に開くことが抑制されている。これにより、チャック61の前方部分が筆記芯80を把持する。チャック61が締具64とともに前方へ移動すると、チャック61に把持された筆記芯80が前方へ移動する。チャック61がさらに前方へ移動すると、締具64が先端部材24の内段に当接してチャック61の前方部分が締具64に対して前方へ移動する。これにより、チャック61の前方部分が外側に開き、チャック61の前方部分に把持されていた筆記芯80が解放される。このとき、筆記芯80は、芯ホルダー65により保持される。
【0033】
使用者によるキャップ38の押圧が解除されると、弾発部材62の弾発力により、キャップ38、第2芯パイプ34、接続部材40、第1芯パイプ32及びチャック61が、後方へ移動する。これにより、チャック61の前方部分が締具64の内側へ移動し、締具64に当接して筆記芯80を把持する。このとき、筆記芯80は、芯ホルダー65により保持されているので、筆記芯80の後方への移動が抑制される。これを繰り返すことにより、筆記芯80が前方へ繰り出され、筆記芯80の前端がスリーブ25を通ってスリーブ25の前端から前方へ突出する。
【0034】
図2図5を参照して、接続部材40及びパイプ部材50の詳細について説明する。図2は、接続部材40を拡大して示す図であり、図3は、図2のIII-III線に対応する、シャープペンシル10の横断面図であり、図4は、接続部材40を示す斜視図であり、図5は、接続部材40を示す断面図である。
【0035】
接続部材40は、第1収容室C1と第2収容室C2とを接続する部材である。接続部材40は、第2収容室C2から第1収容室C1へ向けて筆記芯80が通過することが可能な通路42を有する。接続部材40は、例えば樹脂で形成される。とりわけ、通路42を筆記芯80がスムーズに通過するために、接続部材40は、表面の滑り性が高い材料で形成されることが好ましい。表面の滑り性が高い材料としては、例えば、ポリアセタール樹脂等を用いることができる。
【0036】
接続部材40は、本体部44と、本体部44から後方に突出する後方突出部46と、を有する。本体部44及び後方突出部46は、それぞれ中空の略円筒形状を有する。後方突出部46の外径は、本体部44の外径よりも小さい。本体部44及び後方突出部46は、それぞれ軸方向daに延びる貫通孔を有しており、本体部44の貫通孔と後方突出部46の貫通孔とは、互いに連通している。
【0037】
本体部44は、第1芯パイプ32に当接して第1芯パイプ32を受ける第1当接部44aと、第2芯パイプ34に当接して第2芯パイプ34を受ける第2当接部44bと、を有している。第1当接部44aは、本体部44の貫通孔の内面に設けられた段部における、前方を向く面である。第1芯パイプ32の後端は、前方から本体部44の貫通孔に挿入され、第1当接部44aに当接する。これにより、第1芯パイプ32と接続部材40とが互いに固定される。第2当接部44bは、本体部44の外面における、後方を向く面である。図示された例では、第2当接部44bは、本体部44の後端に位置している。また、第2当接部44bは、後方突出部46に対して径方向drの外側に位置している。第2芯パイプ34の前端は、後方から後方突出部46の外側に取り付けられ、第2当接部44bに当接する。これにより、第2芯パイプ34と接続部材40とが互いに固定される。
【0038】
本体部44の貫通孔の内面の後部には、内側傾斜面44cが設けられている。内側傾斜面44cは、軸方向da及び径方向drの両方に対して傾斜した方向に延びている。内側傾斜面44cは、後方に向かうにつれて中心軸線Aに近づくように延びている。内側傾斜面44cの後端は、後方突出部46の内部空間に接続している。内側傾斜面44cは、第1収容室C1内の筆記芯80が後退して退避空間Sへ向かう際に、筆記芯80をガイドするガイド面でもある。
【0039】
後方突出部46は、パイプ部材50を受ける第3当接部46aを有している。第3当接部46aは、後方突出部46の貫通孔の内面に設けられた段部における、後方を向く面である。パイプ部材50の前端は、後方から後方突出部46の貫通孔に挿入され、第3当接部46aに当接する。これにより、パイプ部材50と接続部材40とが互いに固定される。
【0040】
第2収容室C2から第1収容室C1へ向けて筆記芯80が通過することが可能である限りにおいて、通路42の具体的な形状や寸法は特に限られない。本実施形態では、通路42は、本体部44に設けられた孔44dと、後方突出部46に設けられた溝46bと、を含む。孔44dは、本体部44の内面と溝46bとを接続する貫通孔である。とりわけ図示された例では、孔44dは、本体部44の内側傾斜面44cと溝46bとを接続している。溝46bは、後方突出部46の外面に設けられている。溝46bは、軸方向daに平行に延びている。通路42は、全体として軸方向daに平行に延びる通路として構成されている。したがって、筆記芯80は、通路42内を軸方向daに平行な方向に移動可能である。軸方向daと直交する方向における通路42の最小寸法は、シャープペンシル10内に収容されるべき筆記芯80の直径よりも大きい。例えば、シャープペンシル10内に収容されるべき筆記芯80の直径が0.57mmである場合には、軸方向daと直交する方向における通路42の最小寸法は、0.57mmよりも大きくなるように設計される。通路42の寸法は、1本の筆記芯80のみが通過できるように設計されてもよいし、複数の筆記芯80が同時に通過できるように設計されてもよい。
【0041】
本実施形態では、通路42は、シャープペンシル10の中心軸線Aから径方向drにずれて位置している。この場合、通路42が中心軸線Aに対して鉛直方向の下方に位置しているとき(図6参照)に、第2収容室C2内に収容された筆記芯80が、重力の作用により通路42へ向けて誘導されやすくなる。したがって、第2収容室C2から第1収容室C1へ向けて、筆記芯80をスムーズに移動させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、通路42は、シャープペンシル10の中心軸線Aに対してクリップ28と反対側に位置している。シャープペンシル10を用いて筆記を行う際、使用者は、クリップ28が上方を向くようにしてシャープペンシル10を把持することが多い。この場合、中心軸線Aに対してクリップ28と反対側に位置する通路42は、中心軸線Aに対して鉛直方向の下方に位置するようになる(図6参照)。したがって、使用者が、通路42を中心軸線Aに対して下方に位置させることを意識しなくても、クリップ28が上方を向くようにしてシャープペンシル10を把持するだけで、通路42を中心軸線Aに対して下方に位置させることができる。
【0043】
接続部材40は、筆記芯80を通路42へ誘導するガイド部44e,46c,46dを有してもよい。後方突出部46は、第1傾斜面46c及び第2傾斜面46dを有している。第1傾斜面46cは、溝46bの底面46b1から、底面46b1及び後方突出部46の後端面46eの両方に対して傾斜した方向に延びている。第1傾斜面46cは、底面46b1と後端面46eとを接続している。図示された例では、第1傾斜面46cは、後方突出部46の貫通孔と交差しており、後端面46eと第1傾斜面46cとを接続する直線を延長した直線は、シャープペンシル10の中心軸線Aと交差している。第1傾斜面46cは、中心軸線Aから離れるにしたがって、前方に向かうように延びている。第2収容室C2内に収容された筆記芯80の前端がこの第1傾斜面46cに当接すると、筆記芯80の前端が第1傾斜面46cに誘導されて、通路42内へ移動し得る。すなわち、第1傾斜面46cは、筆記芯80を通路42へ向けて誘導するガイド部として機能する。
【0044】
第2傾斜面46dは、溝46bの側面46b2の後端から、側面46b2に対して傾斜した方向に延びている。溝46bは、対向する一対の側面46b2を有している。接続部材40は、一対の側面46b2のそれぞれに対応する2つの第2傾斜面46dを有している。一対の側面46b2のうちの一方の側面46b2に接続された第2傾斜面46dは、後方に向かうにつれて、他方の側面46b2から離れるように延びている。また、他方の側面46b2に接続された第2傾斜面46dは、後方に向かうにつれて、一方の側面46b2から離れるように延びている。第2収容室C2内に収容された筆記芯80の前端がこの第2傾斜面46dに当接すると、筆記芯80の前端が第2傾斜面46dに誘導されて、通路42内へ移動し得る。すなわち、第2傾斜面46dは、筆記芯80を通路42へ向けて誘導するガイド部として機能する。なお、第1傾斜面46c及び第2傾斜面46dは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0045】
本体部44の後端面には、径方向drに延びる溝44eが形成されている。溝44eは、通路42に連通している。とりわけ、溝44eは、孔44dに連通するとともに、溝46bに連通する。接続部材40がこのような溝44eを有していると、第2収容室C2内に収容された筆記芯80の前端がこの溝44e内に嵌まり込む。前端が溝44e内に位置する筆記芯80は、溝44eに沿って通路42へ移動し得る。すなわち、溝44eは、当該溝44e内に前端が位置する筆記芯80を通路42へ向けて誘導するガイド部として機能する。
【0046】
次に、退避空間Sについて説明する。シャープペンシル10の先端から大きく突出した筆記芯80を後退させる場合、又は、シャープペンシル10の先端側から筆記芯80を後退させながら挿入する場合、後退した筆記芯80の後端と第1収容室(収容室)C1の後端部との間に他の筆記芯81が挟まれ、他の筆記芯81が折れる虞がある。折れた筆記芯81は、筆記中に第1収容室C1の前方部分へ移動する。この場合、使用中の筆記芯80が消耗したときに、折れた筆記芯81が、他の筆記芯80が前方へ向かうことを阻害し、いわゆる芯詰まりを起こす場合がある。このような芯詰まりの発生を抑制するために、本実施形態では、後退した筆記芯80により後方へ押圧された他の筆記芯81が退避可能な退避空間Sがシャープペンシル10に設けられている。なお、図1には、チャック61に把持されて筆記に使用される筆記芯80の後方に他の筆記芯81が位置している例が示されている。
【0047】
本実施形態では、シャープペンシル10は、接続部材40に後方から連結されたパイプ部材50を有している。パイプ部材50の内部の空間は、退避空間Sの少なくとも一部を形成する。退避空間Sは、パイプ部材50の内部の空間のみを含むように構成されてもよい。また、退避空間Sは、パイプ部材50の内部の空間及び接続部材40の内部の空間を含むように構成されてもよい。退避空間Sは、第1収容室C1の後方に位置しており、第1収容室(収容室)C1内の筆記芯80が退避することを許容する。パイプ部材50は、後方から後方突出部46の貫通孔に挿入されている。パイプ部材50の前端は、後方突出部46の第3当接部46aに当接している。パイプ部材50は、シャープペンシル10の中心軸線Aと平行な方向に延びる管状の部材である。パイプ部材50は、例えば樹脂または金属で形成される。
【0048】
退避空間Sは、第1収容室C1と互いに連通している。本実施形態では、退避空間Sの中心軸線は、第1収容室C1の中心軸線と一致している。なお、第1収容室C1の中心軸線は、シャープペンシル10の中心軸線Aと一致している。また、退避空間Sの中心軸線は、シャープペンシル10の中心軸線Aと一致している。退避空間Sの中心軸線が、第1収容室C1の中心軸線と一致していることにより、第1収容室C1の中心軸線に沿って後退した筆記芯80の後端に押圧されて後方へ向かう他の筆記芯81を適切に退避させることができる。なお、上述したように、接続部材40の本体部44は、内側傾斜面44cを有している。したがって、後退した筆記芯80の後端に押圧されて後方へ向かう他の筆記芯81の後端が、内側傾斜面44cに誘導されて退避空間Sへ向かうことができる。
【0049】
退避空間Sにおける中心軸線と直交する方向の寸法は、第1収容室C1における中心軸線と直交する方向の寸法よりも小さい。ここで、中心軸線と直交する方向の寸法とは、当該部材の中心軸線と直交する断面において当該中心軸線を通るように測定される寸法のうち最小の寸法を指すものとする。退避空間S及び第1収容室C1がそれぞれ円柱状の空間である場合、退避空間S及び第1収容室C1における、中心軸線と直交する方向の寸法は、それぞれ退避空間S及び第1収容室C1の直径である。本実施形態では、パイプ部材50の内径は、第1収容室C1の内径よりも小さい。これにより、退避空間Sにおける中心軸線と直交する方向の寸法が、第1収容室C1における中心軸線と直交する方向の寸法よりも小さくなっている。この場合、退避空間Sが占める体積を小さくすることができる。したがって、シャープペンシル10の内部の空間を有効に利用することが可能になる。また、シャープペンシル10が通路42を有する場合には、退避空間Sと通路42とを中心軸線と直交する方向に並べて配置することも可能になる。退避空間Sにおける中心軸線と直交する方向の寸法は、第1収容室C1における中心軸線と直交する方向の寸法の1/2より小さくてもよい。この場合、退避空間Sが占める体積をさらに小さくすることができる。したがって、シャープペンシル10の内部の空間をさらに有効に利用することが可能になる。
【0050】
退避空間Sにおける中心軸線と直交する方向の寸法は、シャープペンシル10内に収容されるべき筆記芯80の直径よりも大きい。例えば、シャープペンシル10内に収容されるべき筆記芯80の直径が0.57mmである場合には、退避空間Sにおける中心軸線と直交する方向の寸法は、0.57mmよりも大きくなるように設計される。また、退避空間Sにおける中心軸線と直交する方向の寸法は、シャープペンシル10内に収容されるべき筆記芯80の直径の2倍より小さくてもよい。例えば、シャープペンシル10内に収容されるべき筆記芯80の直径が0.57mmである場合には、退避空間Sにおける中心軸線と直交する方向の寸法は、1.14mmよりも小さくなるように設計されてもよい。この場合、退避空間S内には、1本の筆記芯80のみが進入できる。
【0051】
退避空間Sの後端は、開放されていてもよいし、閉塞されていてもよい。退避空間Sの後端が開放されている場合、退避空間Sを介して第1収容室C1内に収容された筆記芯80を外部に取り出すことができる。また、退避空間Sの後端が閉塞されている場合、使用者が第2収容室C2内に筆記芯80を補充する際に、補充すべき筆記芯80が誤って退避空間S内に進入することを防止することができる。
【0052】
次に、本実施形態のシャープペンシル10の動作について説明する。図6は、シャープペンシル10を用いて筆記を行う様子を示す図である。
【0053】
使用者は、キャップ38及び消しゴム36を第2芯パイプ34から取り外し、第2芯パイプ34内に筆記芯80を補充する。その後、消しゴム36及びキャップ38を第2芯パイプ34へ取り付ける。
【0054】
図6に示されているように、紙等の筆記面90に対して筆記を行う際には、使用者は通常、中心軸線Aが筆記面90及び鉛直方向の両方に対して傾斜するようにシャープペンシル10を保持する。なお、図6において筆記面90は水平方向に延びており、重力は図6の下向きに作用するものとする。すなわち図6の上下方向が鉛直方向である。使用者が、通路42が中心軸線Aに対して鉛直方向の下方に位置するようにシャープペンシル10を保持すると、第2収容室C2内に収容された筆記芯80が、重力の作用により通路42へ向けて誘導される。とりわけ図6に示された例では、通路42は、シャープペンシル10の中心軸線Aに対してクリップ28と反対側に位置している。シャープペンシル10を用いて筆記を行う際、使用者は、クリップ28が上方を向くようにしてシャープペンシル10を把持することが多い。この場合、中心軸線Aに対してクリップ28と反対側に位置する通路42は、中心軸線Aに対して下方に位置するようになる。
【0055】
通路42に誘導された筆記芯80は、重力の作用により通路42を通って第1収容室C1内に向けて移動する。第1収容室C1の寸法は、第1収容室C1内に収容される筆記芯80の数が制限されるように設計されている。これにより、使用中の筆記芯80が消耗したときに、第1収容室C1に収容された多数の筆記芯80が、互いに前方へ向かうことを阻害し合うことを抑制することができる。したがって、第1収容室C1において芯詰まりが発生することを効果的に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態のシャープペンシル10では、第2収容室C2内に多数の筆記芯80を収容することができる。これにより、シャープペンシル10内へ筆記芯80を補充する回数を減少させることができる。
【0057】
シャープペンシル10の先端から大きく突出した筆記芯80を後退させる場合、又は、シャープペンシル10の先端側から筆記芯80を後退させながら挿入する場合、他の筆記芯81が後退した筆記芯80により後方へ押圧されると、押圧された他の筆記芯81は、退避空間S内に退避することができる。これにより、後退した筆記芯80の後端と収容室内のいずれかの部材、例えば第1収容室C1の後端部、との間に他の筆記芯81が挟まれ、他の筆記芯81が折れてしまうことを抑制することができる。したがって、折れた筆記芯81が筆記中に第1収容室C1の前方部分へ移動し、この筆記芯81に起因して芯詰まりが発生することを効果的に抑制することができる。
【0058】
本実施形態のシャープペンシル10は、筆記芯80を収容可能である第1収容室C1と、第1収容室C1の後方に位置し筆記芯80を収容可能である第2収容室C2と、第1収容室C1と第2収容室C2とを接続するとともに、第2収容室C2から第1収容室C1へ向けて筆記芯80が通過することが可能な通路42を有する接続部材40と、を備える。
【0059】
従来のシャープペンシルにおいては、シャープペンシル内に多数の筆記芯を収容することができなかった。したがって、筆記芯の補充を短期間行わなかっただけで、シャープペンシル内に収容された筆記芯を使い切ってしまい、大事な場面で当該シャープペンシルが使用できなくなることがあった。この問題は、シャープペンシルの使用者にとって深刻な事態となることもあった。また、このような問題を避けるためには、シャープペンシルとともに、別のケースに収容された予備芯を持ち歩く必要があり、使用者が不便を強いられることもあった。
【0060】
本実施形態のシャープペンシル10によれば、第1収容室C1内に収容される筆記芯80の数を制限しながらも、第2収容室C2内に多数の筆記芯80を収容することができる。したがって、芯詰まりの発生を抑制しながらも、シャープペンシル10内へ筆記芯80を補充する回数を減少させることができる。とりわけ、本実施形態のシャープペンシル10では、筆記芯80の補充を頻繁に行わなくても、シャープペンシル10内に収容された筆記芯80を使い切ってしまうことが抑制される。したがって、大事な場面でシャープペンシル10が使用できなくなるという事態が生じる可能性を小さくすることができる。これにより、使用者は安心してシャープペンシル10を使用することができる。また、別のケースに収容された予備芯を、必ずしも持ち歩かなくてもよいので、使用者の負担が軽くなる。
【0061】
なお、本件発明者らの検討によれば、従来のシャープペンシルにおいては、芯詰まりの発生を抑制する観点から、芯収容室内に収容可能な筆記芯の数の上限は6本程度であった。本実施形態のシャープペンシル10では、第2収容室C2内に例えば20本程度の筆記芯80を収容しても、芯詰まりの発生が十分に抑制された。従来のシャープペンシルでは、このように多数の筆記芯を収容しながら芯詰まりの発生を抑制することが不可能であったことに鑑みると、本実施形態の上述の効果は極めて顕著な効果であるといえる。
【0062】
本実施形態のシャープペンシル10では、通路42は、シャープペンシル10の中心軸線Aから径方向drにずれて位置する。
【0063】
このようなシャープペンシル10によれば、通路42が中心軸線Aに対して鉛直方向の下方に位置しているときに、第2収容室C2内に収容された筆記芯80が、重力の作用により通路42へ向けて誘導されやすくなる。したがって、第2収容室C2から第1収容室C1へ向けて、筆記芯80をスムーズに移動させることができる。
【0064】
本実施形態のシャープペンシル10では、通路42は、接続部材40に設けられた孔44dを含む。
【0065】
このようなシャープペンシル10によれば、第2収容室C2内に収容された筆記芯80が、孔44dを介してスムーズに第1収容室C1へ向けて移動することができる。
【0066】
本実施形態のシャープペンシル10では、接続部材40は、本体部44と、本体部44から後方に突出する後方突出部46と、を有し、通路42は、後方突出部46の外面に設けられた溝46bを含む。
【0067】
このようなシャープペンシル10によれば、第2収容室C2内に収容された筆記芯80が、溝46bを介してスムーズに第1収容室C1へ向けて移動することができる。
【0068】
本実施形態のシャープペンシル10では、接続部材40は、筆記芯80を通路42へ誘導するガイド部44e,46c,46dを有する。
【0069】
このようなシャープペンシル10によれば、第2収容室C2内に収容された筆記芯80の前端がガイド部44e,46c,46dに当接すると、筆記芯80の前端がガイド部44e,46c,46dに誘導されて、通路42内へ移動する。したがって、第2収容室C2内に収容された筆記芯80が、さらにスムーズに第1収容室C1へ向けて移動することができる。
【0070】
本実施形態のシャープペンシル10は、クリップ28を有し、通路42は、シャープペンシル10の中心軸線Aに対してクリップ28と反対側に位置する。
【0071】
シャープペンシル10を用いて筆記を行う際、使用者は、クリップ28が上方を向くようにしてシャープペンシル10を把持することが多い。この場合、中心軸線Aに対してクリップ28と反対側に位置する通路42は、中心軸線Aに対して鉛直方向の下方に位置するようになる。本実施形態のシャープペンシル10によれば、使用者が、通路42を中心軸線Aに対して下方に位置させることを意識しなくても、クリップ28が上方を向くようにしてシャープペンシル10を把持するだけで、通路42を中心軸線Aに対して下方に位置させることができる。
【0072】
本実施形態のシャープペンシル10は、筆記芯80を収容可能である収容室C1と、収容室C1の後方に位置し収容室C1内の筆記芯80が退避可能な退避空間Sと、を備え、退避空間Sにおける中心軸線Aと直交する方向の寸法は、収容室C1における中心軸線Aと直交する方向の寸法よりも小さい。
【0073】
シャープペンシル10の先端から大きく突出した筆記芯80を後退させる場合、又は、シャープペンシル10の先端側から筆記芯80を後退させながら挿入する場合、後退した筆記芯80の後端と第1収容室(収容室)C1の後端部との間に他の筆記芯81が挟まれ、他の筆記芯81が折れる虞がある。折れた筆記芯81は、筆記中に第1収容室C1の前方部分へ移動する。この場合、使用中の筆記芯80が消耗したときに、折れた筆記芯81が、他の筆記芯80が前方へ向かうことを阻害し、いわゆる芯詰まりを起こす場合がある。
【0074】
本実施形態のシャープペンシル10によれば、シャープペンシル10の先端から大きく突出した筆記芯80を後退させる場合、又は、シャープペンシル10の先端側から筆記芯80を後退させながら挿入する場合、他の筆記芯81が後退した筆記芯80により後方へ押圧されると、押圧された他の筆記芯81は、退避空間S内に退避することができる。これにより、後退した筆記芯80の後端と収容室内のいずれかの部材、例えば第1収容室C1の後端部、との間に他の筆記芯81が挟まれ、他の筆記芯81が折れてしまうことを抑制することができる。したがって、折れた筆記芯81が筆記中に第1収容室C1の前方部分へ移動し、この筆記芯81に起因して芯詰まりが発生することを効果的に抑制することができる。
【0075】
また、退避空間Sにおける中心軸線Aと直交する方向の寸法が、第1収容室C1における中心軸線Aと直交する方向の寸法よりも小さいことにより、退避空間Sが占める体積を小さくすることができる。したがって、シャープペンシル10の内部の空間を有効に利用することが可能になる。
【0076】
本実施形態のシャープペンシル10では、退避空間Sにおける中心軸線Aと直交する方向の寸法は、収容室C1における中心軸線Aと直交する方向の寸法の1/2よりも小さい。
【0077】
このようなシャープペンシル10によれば、退避空間Sが占める体積をさらに小さくすることができる。したがって、シャープペンシル10の内部の空間をさらに有効に利用することが可能になる。
【0078】
本実施形態のシャープペンシル10では、退避空間Sの中心軸線Aは、収容室C1の中心軸線Aと一致する。
【0079】
このようなシャープペンシル10によれば、収容室C1の中心軸線に沿って後退した筆記芯80の後端に押圧されて後方へ向かう他の筆記芯81を適切に退避させることができる。
【0080】
本実施形態のシャープペンシル10は、収容室C1の後端に接続された接続部材40と、接続部材40に後方から連結されたパイプ部材50と、を備え、パイプ部材50の内部の空間が退避空間Sの少なくとも一部を形成する。
【0081】
このようなシャープペンシル10によれば、簡単な構成により退避空間Sを形成することができる。
【0082】
本実施形態のシャープペンシル10では、退避空間Sの後端は閉塞されている。
【0083】
このようなシャープペンシル10によれば、使用者が第2収容室C2内に筆記芯80を補充する際に、補充すべき筆記芯80が誤って退避空間S内に進入することを防止することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 シャープペンシル
20 軸筒
22 軸筒本体
24 先端部材
25 スリーブ
26 連結部材
28 クリップ
30 芯操出ユニット
32 第1芯パイプ
34 第2芯パイプ
36 消しゴム
38 キャップ
40 接続部材
42 通路
44d 孔
46b 溝
44 本体部
44a 第1当接部
44b 第2当接部
44c 内側傾斜面
44d 孔
44e 溝
46 後方突出部
46a 第3当接部
46b 溝
46b1 底面
46b2 側面
46c 第1傾斜面
46d 第2傾斜面
46e 後端面
50 パイプ部材
61 チャック
62 弾発部材
63 受け部材
64 締具
65 芯ホルダー
80 筆記芯
81 筆記芯
90 筆記面
A 中心軸線
C1 第1収容室
C2 第2収容室
S 退避空間
da 軸方向
dr 径方向
dc 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6