(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035245
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141919
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 起史
(72)【発明者】
【氏名】山本 武司
(72)【発明者】
【氏名】井田 一輝
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA12
5D107BB08
5D107CC09
5D107CC10
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】緩衝材の使用量を削減する。
【解決手段】アクチュエータ10は、コイル24を含んで構成された取付部材12と、コイル24と対向して配置されるマグネット52を有し、コイル24へ通電されることで取付部材12に対して変位する可動子14と、弾性支持体16と、緩衝材18と、を備えている。弾性支持体16は、取付部材12に固定される取付部材側被固定部56と、可動子14に固定される可動子側被固定部58と、取付部材側被固定部56と可動子側被固定部58とをつなぐ変形部60と、備えている。緩衝材18は、取付部材12と変形部60との間に設けられ、変形部60の撓み変形に伴い変形する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを含んで構成された取付部材と、
前記コイルと対向して配置されるマグネットを有し、前記コイルへ通電されることで前記取付部材に対して変位する可動子と、
前記取付部材に固定される取付部材側被固定部と、前記可動子に固定される可動子側被固定部と、前記取付部材側被固定部と前記可動子側被固定部とをつなぐ変形部と、を有する弾性支持体と、
前記取付部材と前記変形部との間に設けられ、前記変形部の撓み変形に伴い変形する緩衝材と、
を備えたアクチュエータ。
【請求項2】
前記弾性支持体及び前記緩衝材は、互いの厚み方向に重ねられて配置され、
前記緩衝材の前記変形部側は該変形部と接着される接着面を有している請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記緩衝材の前記取付部材側は該取付部材と接着される接着面を有している請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記緩衝材は、その厚み方向から見て前記変形部と重ならない余剰部分を有しており、
さらにカバー部材を備え、
前記カバー部材と前記緩衝材との間に前記変形部が配置され、
前記カバー部材が前記余剰部材に貼り付けられている請求項2又は請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記カバー部材は接着面を有しており、該接着面が前記変形部及び前記緩衝材に接着されている請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記緩衝材は、前記取付部材と前記変形部との間において圧縮された状態で設けられている請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記緩衝材は、前記変形部における前記取付部材側被固定部側に設けられている請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記可動子が変位する変位方向を±Z方向とし、±Z方向に直交する平面内の方向のうち互いに垂直な方向をX方向及びY方向としたとき、
前記変形部は、前記可動子側被固定部から前記取付部材側被固定部までの間で伸びるアームを備え、
前記アームは、
前記可動子側被固定部側からX方向外側へ伸びる第一X方向外側伸長部と、
前記第一X方向外側伸長部よりも前記取付部材側被固定部側に形成され、伸長方向がX方向外側からX方向内側へ折り返される第一折返部と、
前記第一折返部からX方向内側へ伸びるX方向内側伸長部と、
前記X方向内側伸長部よりも前記可動子側被固定部側に形成され、伸長方向がX方向内側からX方向外側へ折り返される第二折返部と、
前記第二折返部からX方向外側へ伸びる第二X方向外側伸長部と、
前記第二X方向外側伸長部よりも前記取付部材側被固定部側に形成され、伸長方向がX方向外側からY方向外側へ折り返される第三折返部と、
前記第三折返部からY方向外側へ伸びると共に前記取付部材側被固定部に接続されたY方向外側伸長部と、
を備え、
前記緩衝材は、前記第二X方向外側伸長部、前記第三折返部及び前記Y方向外側伸長部に沿って設けられている請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
2つの前記緩衝材を備え、
前記弾性支持体は、4つの前記取付部材側被固定部と、4つの前記アームと、を備え、
4つの前記アームのうちの2つの前記アームは、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側に配置されていると共にY方向に対称に形成され、
4つの前記アームのうちの他の2つの前記アームは、前記可動子側被固定部に対してX方向他方側に配置されていると共にY方向に対称に形成され、
一方の前記緩衝材が、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側に配置された2つの前記アームの前記第二X方向外側伸長部、前記第三折返部及び前記Y方向外側伸長部に沿って設けられ、
他方の前記緩衝材が、前記可動子側被固定部に対してX方向他方側に配置された2つの前記アームの前記第二X方向外側伸長部、前記第三折返部及び前記Y方向外側伸長部に沿って設けられている請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記変形部は板状に形成され、
前記可動子側被固定部に対してX方向一方側に配置された2つの前記アームの前記第三折返部をY方向に接続するY方向接続部を備えていると共に、前記可動子側被固定部に対してX方向他方側に配置された2つの前記アームの前記第三折返部をY方向に接続するY方向接続部を備えており、
一方の前記緩衝材が、一方の前記Y方向接続部に沿って設けられ、
他方の前記緩衝材が、他方の前記Y方向接続部に沿って設けられている請求項9に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、コイルを備えた取付部材と、弾性支持体を介して取付部材に支持されていると共にコイルに通電がなされることにより変位する可動子と、を備えたアクチュエータが開示されている。この文献に記載された弾性支持体は、金属板によって形成された一対のバネ材と、一対のバネ材の間に配置された緩衝材と、を含んで構成されている。そして、この弾性支持体が撓むことで、可動子の変位が許容される。また、弾性支持体が緩衝材を備えていることにより、弾性支持体の振動を速やかに減衰させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された弾性支持体は、一対のバネ材と対応する形状に形成された緩衝材を一方のバネ材及び他方のバネ材に接着する必要がある。そのため、緩衝材の使用量を削減することが難しい。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、緩衝材の使用量を削減することができるアクチュエータを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のアクチュエータは、コイルを含んで構成された取付部材と、前記コイルと対向して配置されるマグネットを有し、前記コイルへ通電されることで前記取付部材に対して変位する可動子と、前記取付部材に固定される取付部材側被固定部と、前記可動子に固定される可動子側被固定部と、前記取付部材側被固定部と前記可動子側被固定部とをつなぐ変形部と、を有する弾性支持体と、前記取付部材と前記変形部との間に設けられ、前記変形部の撓み変形に伴い変形する緩衝材と、を備えている。
【0007】
第1の態様のアクチュエータでは、コイルへ通電されると、マグネットを有する可動子が取付部材に対して変位する。また、可動子が取付部材に対して変位する際に、弾性支持体の変形部が撓み変形する。弾性支持体の変形部が撓み変形すると、取付部材と弾性支持体の変形部との間に設けられた緩衝材が変形する。これにより、弾性支持体の振動を減衰させることができる。ここで、本態様では、緩衝材が取付部材と弾性支持体の変形部との間に設けられた構成となっている。これにより、本態様では、例えば、弾性支持体が一対のバネ材を含んで構成され、当該一対のバネ材に対応する形状に形成された緩衝材が一方のバネ材及び他方のバネ材に接着している構成と比べて、緩衝材の使用量を削減することができる。
【0008】
第2の態様のアクチュエータは、第1の態様のアクチュエータにおいて、前記弾性支持体及び前記緩衝材は、互いの厚み方向に重ねられて配置され、前記緩衝材の前記変形部側は該変形部と接着される接着面を有している。
【0009】
第2の態様のアクチュエータでは、緩衝材の接着面が弾性支持体の変形部に接着される。これにより、厚み方向から見た面積を小さくしたとしても、緩衝材の減衰効果を高めることができる。
【0010】
第3の態様のアクチュエータは、第2の態様のアクチュエータにおいて、前記緩衝材の前記取付部材側は該取付部材と接着される接着面を有している。
【0011】
第3の態様のアクチュエータでは、緩衝材の接着面が取付部材に接着される。これにより、厚み方向から見た面積を小さくしたとしても、緩衝材の減衰効果をより一層高めることができる。
【0012】
第4の態様のアクチュエータは、第2の態様又は第3の態様のアクチュエータにおいて、前記緩衝材は、その厚み方向から見て前記変形部と重ならない余剰部分を有しており、さらにカバー部材を備え、前記カバー部材と前記緩衝材との間に前記変形部が配置され、前記カバー部材が前記余剰部材に貼り付けられている。
【0013】
第4の態様のアクチュエータでは、カバー部材と緩衝材との間に変形部が配置され、カバー部材が余剰部分に貼り付けられている。これにより、緩衝材の余剰部分をカバー部材によって覆うことができる。また、変形部が緩衝材とカバー部材との間に配置されることにより、減衰効果を高めることができる。
【0014】
第5の態様のアクチュエータは、第4の態様のアクチュエータにおいて、前記カバー部材は接着面を有しており、該接着面が前記変形部及び前記緩衝材に接着されている。
【0015】
第5の態様のアクチュエータでは、カバー部材の接着面を変形部及び緩衝材に接着することができる。
【0016】
第6の態様のアクチュエータは、第1の態様~第5の態様のいずれか1つの態様のアクチュエータにおいて、前記緩衝材は、前記取付部材と前記変形部との間において圧縮された状態で設けられている。
【0017】
第6の態様のアクチュエータでは、緩衝材が取付部材と弾性支持体の変形部との間において圧縮された状態で設けられている。これにより、弾性支持体の変形部が取付部材とは反対側へ向けて変形する際においても、緩衝材と弾性支持体の変形部との接触状態及び緩衝材と取付部材との接触状態を保つことができる。
【0018】
第7の態様のアクチュエータは、第1の態様~第6の態様のいずれか1つの態様のアクチュエータにおいて、前記緩衝材は、前記変形部における前記取付部材側被固定部側に設けられている。
【0019】
第7の態様のアクチュエータでは、緩衝材が、弾性支持体の変形部における取付部材側被固定部側に設けられている。これにより、緩衝材を当該部分よりも可動子側被固定部側に設けた構成と比べて変形部の変形量が小さいため、緩衝材の変形量を抑えることができる。これにより、緩衝材の繰り返し変形に伴う劣化を抑えることができる。
【0020】
第8の態様のアクチュエータは、第7の態様のアクチュエータにおいて、前記可動子が変位する変位方向を±Z方向とし、±Z方向に直交する平面内の方向のうち互いに垂直な方向をX方向及びY方向としたとき、前記変形部は、前記可動子側被固定部から前記取付部材側被固定部までの間で伸びるアームを備え、前記アームは、前記可動子側被固定部側からX方向外側へ伸びる第一X方向外側伸長部と、前記第一X方向外側伸長部よりも前記取付部材側被固定部側に形成され、伸長方向がX方向外側からX方向内側へ折り返される第一折返部と、前記第一折返部からX方向内側へ伸びるX方向内側伸長部と、前記X方向内側伸長部よりも前記可動子側被固定部側に形成され、伸長方向がX方向内側からX方向外側へ折り返される第二折返部と、前記第二折返部からX方向外側へ伸びる第二X方向外側伸長部と、前記第二X方向外側伸長部よりも前記取付部材側被固定部側に形成され、伸長方向がX方向外側からY方向外側へ折り返される第三折返部と、前記第三折返部からY方向外側へ伸びると共に前記取付部材側被固定部に接続されたY方向外側伸長部と、を備え、前記緩衝材は、前記第二X方向外側伸長部、前記第三折返部及び前記Y方向外側伸長部に沿って設けられている。
【0021】
第8の態様のアクチュエータでは、弾性支持体の変形部のアームが、第一X方向外側伸長部、第一折返部、X方向内側伸長部、第二折返部、第二X方向外側伸長部、第三折返部及びY方向外側伸長部を備えている。これにより、第三折返部及びY方向外側伸長部が無い構成と比べて、変形部のアームの長さを長くすることができる。アームの長さを長くすることで、当該共振周波数を低くできる。また、弾性支持体の負荷を小さくでき、可動子側被固定部及び取付部材側被固定部に加わる負荷も小さくすることができ、金属疲労を起こし難くすることができる。また、緩衝材が、第二X方向外側伸長部、第三折返部及びY方向外側伸長部に沿って設けられている。このように、第三折返部とY方向外側伸長部を設けることで、アームの変形量の小さい位置で取付部材との間に緩衝材を容易に配置できる。緩衝材を第一X方向外側伸長部、第一折返部、X方向内側伸長部及び第二折返部に沿って設けた場合と比べて、緩衝材の変形量を抑えることができる。これにより、緩衝材の繰り返し変形に伴う劣化を抑えることができる。
【0022】
第9の態様のアクチュエータは、第8の態様のアクチュエータにおいて、2つの前記緩衝材を備え、前記弾性支持体は、4つの前記取付部材側被固定部と、4つの前記アームと、を備え、4つの前記アームのうちの2つの前記アームは、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側に配置されていると共にY方向に対称に形成され、4つの前記アームのうちの他の2つの前記アームは、前記可動子側被固定部に対してX方向他方側に配置されていると共にY方向に対称に形成され、一方の前記緩衝材が、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側に配置された2つの前記アームの前記第二X方向外側伸長部、前記第三折返部及び前記Y方向外側伸長部に沿って設けられ、他方の前記緩衝材が、前記可動子側被固定部に対してX方向他方側に配置された2つの前記アームの前記第二X方向外側伸長部、前記第三折返部及び前記Y方向外側伸長部に沿って設けられている。
【0023】
第9の態様のアクチュエータでは、4つのアームに対して2つの緩衝材が設けられた構成となっている。これにより、4つのアームに対してそれぞれ4つの緩衝材を設けた構成と比べて、緩衝材の点数を削減することができる。
【0024】
第10の態様のアクチュエータは、第9の態様のアクチュエータにおいて、前記変形部は板状に形成され、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側に配置された2つの前記アームの前記第三折返部をY方向に接続するY方向接続部を備えていると共に、前記可動子側被固定部に対してX方向他方側に配置された2つの前記アームの前記第三折返部をY方向に接続するY方向接続部を備えており、一方の前記緩衝材が、一方の前記Y方向接続部に沿って設けられ、他方の前記緩衝材が、他方の前記Y方向接続部に沿って設けられている。
【0025】
第10の態様のアクチュエータでは、アームの第三折返部をY方向に接続するY方向接続部を備えていることにより、Y方向接続部が無い構成と比べて、板状に形成された変形部の平面度を高めることができる。また、変形部の平面度が部品単体及び組立プロセス上でも保たれるので、部品個体差がでにくく、バネ係数のばらつき(硬さ、スティフネスのばらつき)を抑えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るアクチュエータは、緩衝材の使用量を削減することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】アクチュエータを分解して示す分解斜視図である。
【
図3B】
図3Aに対応する平面図であり、カバー部材の図示を省略している。
【
図4】
図3Aに示された4-4線に沿って切断したアクチュエータの断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~
図5を用いて、本発明の実施形態に係るアクチュエータ10について説明する。なお、図中に示す矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向は、アクチュエータ10の各方向を示している。以下の説明では、各図に示す+Z方向を上方向といい、-Z方向を下方向という。但し、これはアクチュエータを基準にした方向概念であり、アクチュエータの取付姿勢を限定するものではない。また、Z方向に平行な軸であって、後述する可動子14の重心を通る軸を可動子14の重心軸AXという。そして、X方向において可動子14の重心軸AXに近づく方向をX方向内側、離れる方向をX方向外側といい、Y方向において可動子14の重心軸AXに近づく方向をY方向内側、離れる方向をY方向外側という。また、+X方向をX方向一方側、-X方向をX方向他方側、+Y方向をY方向一方側、-Y方向をY方向他方側、+Z方向をZ方向一方側、-Z方向をZ方向他方側という。
【0029】
図1~
図4に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10は、一例としてタッチパネルとして構成された液晶パネル等の表示部や各種のコントローラ等に取り付けられることにより、当該表示部やコントローラを振動させるアクチュエータである。このアクチュエータ10への通電を制御することにより、タッチパネルやコントローラ等に触れる使用者の指に対して様々な触感を与えることが可能となっている。
【0030】
図1及び
図2に示されるように、アクチュエータ10は、タブレット端末の表示部等の取付対象物に取り付けられる取付部材12と、取付部材12に対して変位する可動子14と、取付部材12に対して可動子14を弾性的に支持する弾性支持体16と、を備えている。また、アクチュエータ10は、弾性支持体16の振動を減衰する2つの緩衝材18と、弾性支持体16に取り付けられると共に緩衝材18における一方側の面を覆う2つのカバー部材20と、を備えている。
【0031】
(取付部材12の構成)
図2に示されるように、取付部材12は、箱状に形成されたフレーム22と、導電性の電線が環状に巻き回されることで形成されたコイル24と、取付用接着シート26と、一対のターミナル28と、を備えている。
【0032】
フレーム22は、一例として樹脂材料を用いて形成され、Z方向一方側が開放された箱状に形成されている。このフレーム22は、Z方向を厚み方向とすると共にZ方向から見てX方向を長手方向とし、かつY方向を短手方向とする長方形状に形成された底壁部30を備えている。
図2及び
図4に示されるように、底壁部30におけるX方向及びY方向の中心部には、Z方向に貫通する円形の開口32が形成されている。また、フレーム22は、底壁部30の開口32の縁からZ方向に向けて突出する環状のリブ34を備えている。
【0033】
また、フレーム22は、底壁部30におけるX方向一方側及び他方側の端部からZ方向一方側へ向けてそれぞれ立ち上がる一対の第1側壁部36と、底壁部30におけるY方向一方側及び他方側の端部からZ方向一方側へ向けてそれぞれ立ち上がる一対の第2側壁部38と、を備えている。
【0034】
図2に示されるように、一対の第1側壁部36のZ方向一方側の端面におけるY方向一方側及び他方側の端部からは、矩形ブロック状に形成された2つの台座部40がそれぞれZ方向一方側へ向けて突出している。また、2つの台座部40からは、後述する溶着がなされる前の状態において円柱状に形成された溶着ボス部42(溶着部分)がZ方向一方側へ向けて突出している。
【0035】
また、フレーム22は、一方の第1側壁部36におけるY方向の中央部から他方の第1側壁部36側へ向けて突出する中央突出部44を備えている。さらに、フレーム22は、他方の第1側壁部36におけるY方向の中央部から一方の第1側壁部36側へ向けて突出する中央突出部44を備えている。本実施形態では、これらの中央突出部44には、Z方向一方側が開放された複数の窪み44Aが形成されている。ここで、一方の中央突出部44におけるZ方向一方側の端面及び一方の第1側壁部36のZ方向一方側の端面におけるY方向中央部分は、後述する一方の緩衝材18が貼り付けられる緩衝材貼付面46となっている。また、他方の中央突出部44におけるZ方向一方側の端面及び他方の第1側壁部36のZ方向一方側の端面におけるY方向中央部分は、後述する他方の緩衝材18が貼り付けられる緩衝材貼付面46となっている。
【0036】
(コイル24の構成)
図2及び
図4に示されるように、コイル24は、Z方向を軸方向とする環状に形成されたコイルベース48のまわりに導電性の電線が環状に巻回されることによって形成されている。このコイル24は、コイルベース48と共にフレーム22に支持されている。また、コイル24がコイルベース48と共にフレーム22に支持された状態では、コイル24がフレーム22のリブ34に当接している。なお、コイル24の一対の端末部24Aは、フレーム22に支持される一対のターミナル28にそれぞれ接続されている。
【0037】
(取付用接着シート26の構成)
取付用接着シート26は、アクチュエータ10を取付対象物に取り付けるための部材である。取付用接着シート26は、両面が接着面とされた接着シートである。取付用接着シート26は、フレーム22の底壁部30の下面側に接着される。なお、取付用接着シート26には、フレーム22の底壁部30に形成された開口32に対応する円形の開口26Aが形成されている。
【0038】
(可動子14の構成)
可動子14は、ヨーク50と、マグネット52と、ポールピース54と、を含んで構成されている。
【0039】
ヨーク50は、軟磁性体の材料を用いて形成されている。このヨーク50は、Z方向を厚み方向とする円板状に形成された天壁部50Aと、天壁部50Aの外側周縁から下方向に延びる周壁部50Bと、を備えている。また、ヨーク50は、天壁部50AのZ方向一方側の面の中心部からZ方向一方側へ向けて突出する固定凸部50Cを備えている。
【0040】
マグネット52は、Z方向を軸方向とする円板状に形成されている。このマグネット52は、ヨーク50の周壁部50Bの内側に配置された状態で当該ヨーク50の天壁部50Aの下面側に固定される。
【0041】
ポールピース54は、軟磁性体の材料を用いて形成されている。このポールピース54は、Z方向を軸方向とする円板状に形成されており、マグネット52の下面側に固定される。
【0042】
以上説明した可動子14には、ヨーク50、マグネット52及びポールピース54によって磁気回路が形成されている。マグネット52及びポールピース54と、ヨーク50の周壁部50Bとの間には、空間が形成され、この空間にコイル24が配置される。ヨーク50の周壁部50Bの下端は、ポールピース54の下端と高さが一致している。なお、ポールピース54は、周壁部50Bの下端よりも、下方に突出した高さを有してもよい。
【0043】
(弾性支持体16の構成)
図3及び
図5に示されるように、弾性支持体16は、一例として板状(平面状)に形成された金属板を用いて形成されている。この弾性支持体16の自由状態(外力が作用していない状態)での形状は、当該弾性支持体16の全体がZ方向と直交する方向に沿う板状に形成されている。
【0044】
弾性支持体16は、一部において取付部材12に固定され、他の一部において可動子14に固定される。弾性支持体16において取付部材12に固定される部分と可動子14に固定される部分との間の部分は変形部60となっており、この変形部60は可動子14が変位(振動)する際に変形する部分となっている。すなわち、弾性支持体16は、取付部材12に固定される4つの取付部材側被固定部56と、可動子14に固定される可動子側被固定部58と、取付部材側被固定部56と可動子側被固定部58との間を繋ぐ変形部60と、から構成される。
【0045】
4つの取付部材側被固定部56は、Z方向から見てフレーム22の4つの台座部40と対応する矩形状に形成されている。この4つの取付部材側被固定部56には、Z方向に貫通する円形の固定孔56Aがそれぞれ形成されている。そして、4つの取付部材側被固定部56の固定孔56Aには、フレーム22の4つの溶着ボス部42がそれぞれ挿通される。そしてさらに、フレーム22の溶着ボス部42におけるZ方向一方側の端部が溶着される(熱カシメされる)ことで、4つの取付部材側被固定部56が、フレーム22の4つの台座部40にそれぞれ固定される。また、4つの取付部材側被固定部56がフレーム22の4つの台座部40にそれぞれ固定された状態では、4つの取付部材側被固定部56はフレーム22の4つの台座部40からそれぞれ分離不能となっている。なお、各図においては、溶着ボス部42に熱カシメがなされた後の状態を表現している。
【0046】
可動子側被固定部58は、Z方向から見て可動子14の一部を構成するヨーク50の天壁部50Aよりも小径とされた円形状に形成されている。この可動子側被固定部58の中心部には、円形の固定孔58Aが形成されている。そして、可動子側被固定部58の固定孔58Aには、ヨーク50の固定凸部50Cが挿入される。そしてさらに、ヨーク50の固定凸部50CにおけるZ方向一方側の端部がパンチ等で変形される(カシメられる)ことで、可動子側被固定部58がヨーク50に固定される。なお、各図においては、固定凸部50Cが変形された状態は表現していない。
【0047】
変形部60は、始端62から終端64に向けて、一方側始点部66A及び他方側始点部66Bと、4つのアーム68A、68B、68C、68Dと、を備えている。なお、後の説明においては、4つのアーム68A、68B、68C、68Dをそれぞれ第一アーム68A、第二アーム68B、第三アーム68C及び第四アーム68Dと呼ぶ場合がある。
【0048】
ここで、始端62とは、変形部60を可動子側被固定部58側から取付部材側被固定部56側に向けて伸長する部分と定義したときに、変形部60の始まりの部分をいう。具体的には、始端62は、可動子側被固定部58と変形部60との境界部と一致する。また、本実施形態では、Y方向一方側の始端62とY方向他方側の始端62の2つの始端62が存在する。
【0049】
また、終端64とは、変形部60を可動子側被固定部58側から取付部材側被固定部56側に向けて伸長する部分と定義したときに、変形部60の終わりの部分をいう。具体的には、変形部60と取付部材側被固定部56との境界部と一致する。本実施形態では、4つの取付部材側被固定部56及び4つのアーム68A、68B、68C、68Dがあることに対応して4つの終端64が存在する。
【0050】
一方側始点部66A及び他方側始点部66Bは、共に、可動子側被固定部58とY方向で隣接した部分である。一方側始点部66Aは、可動子側被固定部58のY方向一方側に位置し、他方側始点部66Bは、可動子側被固定部58のY方向他方側に位置する。
【0051】
変形部60は、一方側始点部66Aから、X方向の一方側と他方側へ向けて分枝しており、それぞれ第一アーム68Aと第二アーム68Bとに繋がっている。変形部60は、他方側始点部66BからもX方向の一方側と他方側に向けて分枝しており、それぞれ第三アーム68Cと第四アーム68Dとに繋がっている。なお、一方側始点部66Aと他方側始点部66Bとを特に区別しないときは、単に始点部66という。
【0052】
ここで、本実施形態の変形部60は、X方向とY方向の両方について対称の形状とされており、4つのアーム68A、68B、68C、68Dは、互いに同様の形状となっている。詳述すると、第一アーム68A及び第三アーム68Cは、可動子側被固定部58に対してX方向一方側に配置されていると共にY方向に対称に形成されている。また、第二アーム68B及び第四アーム68Dは、可動子側被固定部58に対してX方向他方側に配置されていると共にY方向に対称に形成されている。さらに、第一アーム68Aと第二アーム68Bとは、X方向に対称に形成されている。また、第三アーム68Cと第四アーム68Dとは、X方向に対称に形成されている。
【0053】
各アーム68A、68B、68C、68Dは、始点部66からそれぞれの取付部材側被固定部56に向かって、第一X方向外側伸長部70aと、第一折返部70bと、X方向内側伸長部70cと、第二折返部70dと、第二X方向外側伸長部70eと、第三折返部70fと、Y方向外側伸長部70gと、をこの順に有する。
【0054】
第一X方向外側伸長部70aは、可動子側被固定部58側からX方向外側に向けて伸びる部分である。第一X方向外側伸長部70aの伸長方向は、X方向に平行である。
【0055】
第一折返部70bは、第一X方向外側伸長部70aよりも取付部材側被固定部56側に形成され、この第一折返部70bは、アーム68A、68B、68C、68Dの伸長方向がY方向内側へ向けて折り返される。
【0056】
X方向内側伸長部70cは、第一折返部70bからX方向内側に向けて伸びる部分である。X方向内側伸長部70cの伸長方向は、X方向に平行である。
【0057】
第二折返部70dは、X方向内側伸長部70cよりも可動子側被固定部58側に形成され、この第二折返部70dでは、アーム68A、68B、68C、68Dの伸長方向がY方向内側へ向けて折り返される。
【0058】
第二X方向外側伸長部70eは、第二折返部70dからX方向外側に向けて伸びる部分である。第二X方向外側伸長部70eは、その伸長方向のX方向に対する傾斜角がX方向外側に向かうにつれて次第に小さくなるように、湾曲した形状となっている。
【0059】
第三折返部70fは、第二X方向外側伸長部70eよりも取付部材側被固定部56側に形成され、この第三折返部70fでは、アーム68A、68B、68C、68Dの伸長方向がX方向外側からY方向外側へ折り返される。
【0060】
Y方向外側伸長部70gは、第三折返部70fからY方向外側へ伸びると共に第三折返部70fとは反対側が取付部材側被固定部56に接続されている。Y方向外側伸長部70gの伸長方向は、Y方向に平行である。
【0061】
また、本実施形態の弾性支持体16は、第一アーム68Aの第三折返部70fと第三アーム68Cの第三折返部70fとをY方向に接続するY方向接続部72を備えていると共に、第二アーム68Bの第三折返部70fと第四アーム68Dの第三折返部70fとをY方向に接続するY方向接続部72を備えている。各Y方向接続部72は、各Y方向外側伸長部70gとそれぞれX方向の同じ位置においてY方向に伸びている。
【0062】
(緩衝材18の構成)
図2、
図3B及び
図4に示されるように、緩衝材18は、粘弾性を有する素材を用いて板状に形成されており、Z方向を厚み方向とすると共にZ方向から見て矩形状に形成されている。具体的には、緩衝材18は、Z方向から見てY方向を長手方向とすると共にX方向を短手方向とする長方形状に形成されている。緩衝材18のY方向及びX方向への寸法は、フレーム22の緩衝材貼付面46のY方向及びX方向への寸法と対応する寸法に設定されている。
【0063】
緩衝材18におけるZ方向他方側の面(下面)は、他の部材と接着可能な接着面としての第1接着面18Aとなっている。また、緩衝材18におけるZ方向一方側の面(上面)は、他の部材と接着可能な接着面としての第2接着面18Bとなっている。なお、緩衝材18の上面及び下面のどちらか一方のみが接着面となっていてもよいし、緩衝材18の上面及び下面の両方が接着面となっていなくてもよい。さらに、緩衝材18の部品単体の状態(フレーム22の緩衝材貼付面46と弾性支持体16との間で挟まれて変形する前の状態)における厚み寸法Tは、フレーム22の緩衝材貼付面46と弾性支持体16との間のクリアランスよりも大きな寸法に設定されている。
【0064】
そして、一方の緩衝材18の第1接着面18Aは、フレーム22の一方の緩衝材貼付面46に貼り付けられる。これにより、一方の緩衝材18が、フレーム22の一方の緩衝材貼付面46に取り付けられる。これと同様に、他方の緩衝材18の第1接着面18Aは、フレーム22の他方の緩衝材貼付面46に貼り付けられる。これにより、他方の緩衝材18が、フレーム22の他方の緩衝材貼付面46に取り付けられる。なお、緩衝材18に第1接着面18Aが設けられていない構成では、フレーム22の緩衝材貼付面46と対応する部分において緩衝材18の位置を保持する凹部等の保持部を設けると良い。
【0065】
次に、フレーム22の4つの溶着ボス部42を弾性支持体16の4つの取付部材側被固定部56の固定孔56Aにそれぞれ挿通させて、溶着ボス部42におけるZ方向一方側の端部を溶着する。これにより、弾性支持体16がフレーム22に取り付けられる。
【0066】
ここで、弾性支持体16がフレーム22に取り付けられた状態では、一方の緩衝材18が、第一アーム68A及び第三アーム68Cのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに一方のY方向接続部72に沿って配置される。また、弾性支持体16がフレーム22に取り付けられた状態では、一方の緩衝材18の第2接着面18Bが、第一アーム68A及び第三アーム68Cのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに一方のY方向接続部72におけるZ方向他方側の面(下面)に貼り付けられる。さらに、弾性支持体16がフレーム22に取り付けられた状態では、一方の緩衝材18が、第一アーム68A及び第三アーム68Cのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに一方のY方向接続部72とフレーム22の一方の緩衝材貼付面46との間で押し潰された状態(圧縮された状態)となる。
【0067】
これと同様に、弾性支持体16がフレーム22に取り付けられた状態では、他方の緩衝材18が、第二アーム68B及び第四アーム68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに他方のY方向接続部72に沿って配置される。また、弾性支持体16がフレーム22に取り付けられた状態では、他方の緩衝材18の第2接着面18Bが、第二アーム68B及び第四アーム68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに他方のY方向接続部72におけるZ方向他方側の面(下面)に貼り付けられる。さらに、弾性支持体16がフレーム22に取り付けられた状態では、他方の緩衝材18が、第二アーム68B及び第四アーム68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに他方のY方向接続部72とフレーム22の他方の緩衝材貼付面46との間で押し潰された状態(圧縮された状態)となる。
【0068】
なお、各図においては、緩衝材18が、各アーム68A、68B、68C、68Dの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70gとフレーム22の他方の緩衝材貼付面46との間で押し潰された状態を反映していない。
【0069】
図3Bには、後述する2つのカバー部材20が取り付けられる前の状態におけるアクチュエータ10の平面図が示されている。この図に示された緩衝材18において第2接着面18Bが視認できる部分を当該緩衝材18の余剰部分18Cと呼ぶことにする。すなわち、この図に示された緩衝材18において各アーム68A、68B、68C、68Dの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びにY方向接続部72とZ方向に重ならない部分を当該緩衝材18の余剰部分18Cと呼ぶことにする。
【0070】
(カバー部材20の構成)
カバー部材20は、粘弾性を有する素材を用いて板状に形成されており、Z方向を厚み方向とすると共にZ方向から見て矩形状に形成されている。具体的には、カバー部材20は、Z方向から見てY方向を長手方向とすると共にX方向を短手方向とする長方形状に形成されている。カバー部材20のY方向及びX方向への寸法は、緩衝材18のY方向及びX方向への寸法と対応する寸法に設定されている。
【0071】
カバー部材20におけるZ方向他方側の面(下面)は、他の部材と接着可能な接着面20Aとなっている。なお、カバー部材20におけるZ方向一方側の面(上面)は接着面とはなっていない。
図3A及び
図3Bに示されるように、一方のカバー部材20の接着面20Aは、一方の緩衝材18の余剰部分18Cにおける第2接着面18Bに貼り付けられると共に、第一アーム68A及び第三アーム68Cのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに一方のY方向接続部72におけるZ方向一方側の面(上面)に貼り付けられる。そして、一方の緩衝材18と一方のカバー部材20との間に、第一アーム68A及び第三アーム68Cのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f並びに一方のY方向接続部72が配置される。これと同様に、他方のカバー部材20の接着面20Aは、他方の緩衝材18の余剰部分18Cにおける第2接着面18Bに貼り付けられると共に、第二アーム68B及び第四アーム68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに他方のY方向接続部72におけるZ方向一方側の面(上面)に貼り付けられる。そして、他方の緩衝材18と他方のカバー部材20との間に、第二アーム68B及び第四アーム68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びに他方のY方向接続部72が配置される。なお、各図においては、カバー部材20の接着面20Aが緩衝材18の余剰部分18Cにおける第2接着面18Bに接着された状態を表現していない。
【0072】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0073】
図1、
図2及び
図4に示されるように、以上説明したアクチュエータ10では、可動子14が弾性支持体16に支持されており、コイル24に通電していない状態では、可動子14が
図4に示す原点位置にある。本実施形態のアクチュエータ10では、コイル24がフレーム22に固定され、マグネット52等が可動子14に設けられた構成となっている。そのため、コイル24に通電することにより、可動子14には、コイル24から発生する力の反力としての推力が発生する。そして、コイル24に交流を通電させることにより、可動子14が重心軸AXに沿って上下方向に振動する。
【0074】
ここで、可動子14が取付部材12に対して変位する際に、弾性支持体16の変形部60が撓み変形する。弾性支持体16の変形部60が撓み変形すると、取付部材12と弾性支持体16の変形部60との間に設けられた2つの緩衝材18が変形する。これにより、弾性支持体16の振動を減衰させることができる。ここで、本実施形態では、緩衝材18が取付部材12と弾性支持体16の変形部60との間に設けられた構成となっている。これにより、本実施形態では、例えば、弾性支持体16が一対のバネ材を含んで構成され、当該一対のバネ材に対応する形状に形成された緩衝材が一方のバネ材及び他方のバネ材に接着している構成と比べて、緩衝材18の使用量を削減することができる。
【0075】
また、本実施形態では、緩衝材18の第1接着面18A及び第2接着面18Bが、フレーム22の緩衝材貼付面46及び弾性支持体16にそれぞれ接着される構成となっている。これにより、緩衝材18を厚み方向から見た面積を小さくしたとしても、緩衝材18の減衰効果を高めることができる。
【0076】
これに加えて、本実施形態では、緩衝材18が、弾性支持体16の変形部60における取付部材側被固定部56側に設けられている。すなわち、緩衝材18が、弾性支持体16の変形部60における振幅の小さい側に設けられている。詳述すると、
図3B及び
図5に示されるように、緩衝材18が、各アーム68A、68B、68C、68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びにY方向接続部72と対応する部分にのみ設けられている。これにより、緩衝材18を当該部分よりも可動子側被固定部58側に設けた構成と比べて、緩衝材18の変形量を抑えることができる。これにより、緩衝材18の繰り返し変形に伴う劣化を抑えることができる。また、緩衝材18の繰り返し変形に伴う劣化を抑えることができることにより、弾性支持体16を含む振動系の共振周波数の変化を抑えることができる。
【0077】
また、本実施形態では、
図3A及び
図3Bに示されるように、カバー部材20が、緩衝材18の余剰部分18Cにおける第2接着面18B及び各アーム68A、68B、68C、68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びにY方向接続部72におけるZ方向一方側の面(上面)に貼り付けられる。この構成では、緩衝材18の余剰部分18Cをカバー部材20によって覆うことができる。その結果、埃などの異物が緩衝材18の余剰部分18Cの第2接着面18Bに付着することを抑制することができる。また、カバー部材20による減衰効果も得ることができる。これにより、緩衝材18のみを設けた構成と比べて、減衰効果を高めることができる。
【0078】
また、本実施形態では、各アーム68A、68B、68C、68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びにY方向接続部72が、緩衝材18とカバー部材20によって挟まれた構成となっている。これにより、緩衝材18による弾性支持体16の振動の減衰効果に加えて、カバー部材20による弾性支持体16の振動の減衰効果を得ることができる。また、緩衝材18及びカバー部材20の両方によって振動を減衰できるため、緩衝材18のみを設けた場合と比べて、緩衝材18の耐久性を向上させることができる。
【0079】
さらに、本実施形態では、緩衝材18が、各アーム68A、68B、68C、68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びにY方向接続部72とフレーム22の緩衝材貼付面46との間で押し潰された状態(圧縮された状態)となっている。これにより、各アーム68A、68B、68C、68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びにY方向接続部72が取付部材12とは反対側(Z方向一方側)へ向けて変形する際においても、緩衝材18と弾性支持体16との接触状態及び緩衝材18と取付部材12との接触状態を保つことができる。
【0080】
また、本実施形態では、弾性支持体16の変形部60の各アーム68A、68B、68C、68Dが、第一X方向外側伸長部70a、第一折返部70b、X方向内側伸長部70c、第二折返部70d、第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70gを備えている。これにより、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70gが無い構成と比べて、変形部60の各アーム68A、68B、68C、68Dの長さを長くすることができる。これにより、各アーム68A、68B、68C、68Dの負荷を低減できると共に、可動子側被固定部58及び取付部材側被固定部56に加わる負荷も小さくでき、金属疲労を起こし難くすることができる。したがって、各アーム68A、68B、68C、68Dの耐久性を向上させることができる。また、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70gが無い構成と比べて、弾性支持体16を含む振動系の共振周波数を低くすることができる。
【0081】
また、緩衝材が、第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70gに沿って設けられている。このように、第三折返部70fとY方向外側伸長部70gを設けることで、各アーム68A、68B、68C、68Dの変形量の小さい位置において取付部材12との間に緩衝材18を容易に配置できる。
【0082】
さらに、本実施形態では、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70gを有する第一アーム68A及び第三アーム68Cは、可動子側被固定部58に対してX方向一方側に配置されていると共にY方向に対称に形成されている。また、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70gを有する第二アーム68B及び第四アーム68Dは、可動子側被固定部58に対してX方向他方側に配置されていると共にY方向に対称に形成されている。さらに、第一アーム68Aと第二アーム68Bとは、X方向に対称に形成されている。また、第三アーム68Cと第四アーム68Dとは、X方向に対称に形成されている。これにより、Z方向から見た際の弾性支持体16の専有面積に対する4つのアーム68A、68B、68C、68Dの長さの比を大きくすることができる。
【0083】
さらに、本実施形態では、4つのアーム68A、68B、68C、68Dに対して2つの緩衝材18が設けられた構成となっている。これにより、4つのアーム68A、68B、68C、68Dに対してそれぞれ4つの緩衝材18を設けた構成と比べて、緩衝材18の点数を削減することができる。
【0084】
また、本実施形態では、弾性支持体16が、第一アーム68Aの第三折返部70fと第三アーム68Cの第三折返部70fとをY方向に接続するY方向接続部72を備えていると共に、第二アーム68Bの第三折返部70fと第四アーム68Dの第三折返部70fとをY方向に接続するY方向接続部72を備えている。これにより、Y方向接続部72が無い構成と比べて、板状に形成された弾性支持体16の変形部60の自由状態での平面度を高めることができる。特に、弾性支持体16をプレス成型した際の変形部60の平面度を高めることができる。また、変形部60の平面度が保たれるので、部品個体差がでにくく、バネ係数のばらつき(硬さ、スティフネスのばらつき)を抑えることができる。
【0085】
さらに、本実施形態では、弾性支持体16の4つの取付部材側被固定部56がフレーム22の4つの台座部40にそれぞれ固定された状態では、4つの取付部材側被固定部56はフレーム22の4つの台座部40からそれぞれ分離不能となっている。これにより、取付部材側被固定部56と台座部40との固定部分において、両者の接触状態が変化することを抑制することができる。これにより、両者の接触状態が変化することに伴う弾性支持体16の共振点のずれを抑制することができる。
【0086】
なお、以上説明した例では、弾性支持体16が、第一アーム68Aの第三折返部70fと第三アーム68Cの第三折返部70fとをY方向に接続するY方向接続部72を備えていると共に、第二アーム68Bの第三折返部70fと第四アーム68Dの第三折返部70fとをY方向に接続するY方向接続部72を備えている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6及び
図7に示された弾性支持体80のように、Y方向接続部72を備えていない構成としてもよい。なお、
図6及び
図7に示された弾性支持体80において前述の弾性支持体16と対応する部分には、前述の弾性支持体16と対応する部分と同じ符号を付している。
【0087】
また、以上説明した例では、弾性支持体16の両面の全体が平面状になっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示された弾性支持体82のように、変形部60の終端64と対応する4箇所に段差部84を形成した構成としてもよい。また、図示は省略するが、弾性支持体の変形部の始端に対応する2箇所に段差部を形成した構成としてもよい。
図8に示される構成では、可動子側被固定部58及び変形部60が、4つの取付部材側被固定部56に対してZ方向一方側にオフセットしている。このように
図8では、段差部84を形成し、可動子側被固定部58及び変形部60を取付部材側被固定部56に対してZ方向一方側にオフセットした形状としたが、Z方向他方側にオフセットした形状としてもよい。段差部84を設けることで、段差部を変形部60の基点にでき、取付部材側被固定部56に加わる応力を低減できる。また、
図8に示すように、可動子側被固定部58及び変形部60を取付部材側被固定部56に対してZ方向一方側にオフセットした形状とすることで、アクチュエータ全体の高さ増加を抑制しながら、緩衝材の厚み寸法の自由度を広げ、緩衝材による減衰効果の調整幅を広げることができる。なお、
図8に示された弾性支持体82において前述の弾性支持体16と対応する部分には、前述の弾性支持体16と対応する部分と同じ符号を付している。
【0088】
また、以上説明した例では、4つの取付部材側被固定部56をフレーム22の4つの台座部40にそれぞれ溶着で固定した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、4つの取付部材側被固定部56をフレーム22の4つの台座部40にそれぞれスクリュ等を用いて着脱可能に固定してもよい。
【0089】
さらに、以上説明した例では、4つのアーム68A、68B、68C、68Dに対して2つの緩衝材18を設けた構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。アーム68A、68B、68C、68Dの数や緩衝材18の数は、アクチュエータ10に要求される振動特性等を考慮して適宜設定すればよい。
【0090】
また、以上説明した例では、緩衝材18を各アーム68A、68B、68C、68Dのそれぞれの第二X方向外側伸長部70e、第三折返部70f及びY方向外側伸長部70g並びにY方向接続部72と対応する部分にのみ設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、当該位置よりも可動子側被固定部58側に緩衝材18を設けた構成としてもよい。このように、緩衝材18を設ける位置は、当該緩衝材18に要求される耐久性等を考慮して適宜設定すればよい。また、例えば、緩衝材18のX方向等への寸法を調節することにより、弾性支持体16を含む振動系の共振周波数を調節してもよい。例えば、
図3Bにおいて二点鎖線で示されるように、緩衝材18の可動子側被固定部58とは反対側の端からY方向への寸法を以上説明した例の半分の寸法1/2Wにしてもよいし、以上説明した例の2/3の寸法2/3Wにしてもよい。この場合、緩衝材18の可動子側被固定部58とは反対側の端からY方向への寸法を短くするにつれて、弾性支持体16を含む振動系の共振周波数を低くすることができる。
【0091】
さらに、以上説明した例では、カバー部材20を設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。カバー部材20を設けるか否かについては、緩衝材18の第2接着面18Bに付着することが想定される異物の種類や大きさや、カバー部材20に要求される弾性支持体16の振動の減衰効果等を考慮して適宜設定すればよい。
【0092】
また、以上説明した例では、カバー部材20の片面の全面が接着面を有する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カバー部材が接着面を有していない場合でも、緩衝材の接着面に貼り付けることが可能である。この場合、緩衝材とカバー部材との間に変形部が配置されることにより、減衰効果を高めることができる。また、カバー部材の片面において、部分的に接着面を設けることが可能である。例えば、変形部との接触部のみに接着面を設ける等、弾性支持体の振動の減衰効果等を考慮して適宜設定すればよい。
【0093】
また、以上説明した構成は、各アーム68A、68B、68C、68Dの構成が異なる弾性支持体を含んで構成されたアクチュエータにも適用することができる。
【0094】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
10 アクチュエータ
12 取付部材
14 可動子
16 弾性支持体
18 緩衝材
18B 第2接着面(接着面)
18C 余剰部分
20 カバー部材
24 コイル
52 マグネット
56 取付部材側被固定部
58 可動子側被固定部
60 変形部
68A アーム
68B アーム
68C アーム
68D アーム
70a 第一X方向外側伸長部
70b 第一折返部
70c X方向内側伸長部
70d 第二折返部
70e 第二X方向外側伸長部
70f 第三折返部
70g Y方向外側伸長部
72 Y方向接続部
80 弾性支持体