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  • 特開-パイプカバー及びその製造方法 図1
  • 特開-パイプカバー及びその製造方法 図2
  • 特開-パイプカバー及びその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035297
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】パイプカバー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20230306BHJP
   B29C 53/04 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
F16L57/00 A
B29C53/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142040
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】511168383
【氏名又は名称】株式会社戸張空調
(74)【代理人】
【識別番号】100110652
【弁理士】
【氏名又は名称】塩野谷 英城
(72)【発明者】
【氏名】戸張 勝弘
【テーマコード(参考)】
3H024
4F209
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB01
3H024AC04
4F209AG03
4F209AG08
4F209AG20
4F209AH43
4F209NA01
4F209NB02
4F209NG02
4F209NH06
4F209NJ11
4F209NK01
(57)【要約】
【課題】縮みを抑えたプラスチック製のパイプカバーを提供することを課題とする。
【解決手段】プラスチック製の基材から成る直線状のパイプカバーにおいて、当該パイプカバーの長手方向に沿って金属製の線材を固着する。線材は複数本固着してもよい。基材の表面にフィルムを圧着することにより当該基材とフィルムとの間に線材を固着してもよい。この場合、圧着の前に、基材とフィルムとの間にパイプカバーの長手方向となる方向に沿って金属製の線材を配置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の基材から成る直線状のパイプカバーにおいて、当該パイプカバーの長手方向に沿って金属製の線材を固着した、パイプカバー。
【請求項2】
前記線材を複数本固着した請求項1に記載のパイプカバー。
【請求項3】
前記基材の表面にフィルムを圧着することにより当該基材とフィルムとの間に前記線材を固着した請求項1に記載のパイプカバー。
【請求項4】
プラスチック製の基材にフィルムを圧着した後、筒状に形成するパイプカバーの製造方法において、
前記圧着の前に、前記基材と前記フィルムとの間に前記パイプカバーの長手方向となる方向に沿って金属製の線材を配置するパイプカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプカバーに係り、特に、空調用配管等を被覆する配管断熱用又は耐熱用等のプラスチック製のパイプカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例を図3に示す。この図3において、例えば、発泡ポリエチレン製で直線状の2本のパイプカバーC1とC2とを接続し、直線状の配管Pを被覆する。この場合、ウレタンやシリコンシーラント等の接着剤をパイプカバーC1とC2との間及び各パイプカバーC1,C2と配管Pとの間に塗布又は注入する。そして、パイプカバーC1とC2とを接続し、その接続部をテープで巻き、当該接続部を固定する。
【0003】
しかし、施工後の経時変化や温度変化により、パイプカバーC1,C2が縮み、接続部に隙間ができ、当該隙間に結露を生じる場合があった。
【0004】
ここで、樹脂発泡体を基材とするパイプカバーの製造方法は、例えば、特許文献1に従来技術として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-314661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、縮みを抑えたプラスチック製のパイプカバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、プラスチック製の基材から成る直線状のパイプカバーにおいて、当該パイプカバーの長手方向に沿って金属製の線材を固着した、という構成を採っている。
【0008】
熱膨張係数が比較的大きいプラスチック製(樹脂製)の直線状のパイプカバーに、その長手方向に沿って熱膨張係数が比較的小さい金属製の線材を固着することにより、パイプカバーの縮みが抑えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、縮みを抑えたパイプカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態を示す斜視図。
図2図2は、図1のパイプカバーの製造方法を示す説明図。
図3図3は、従来例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1に示すパイプカバーは、筒状かつ直線状に整形されたプラスチック製の基材から成るカバー本体1と、このカバー本体1の表面に長手方向に沿って固着された3本の金属製の線材2とを備えている。
【0012】
プラスチック製とは、発泡ポリエチレン等のパイプカバー用のプラスチック材料として、従来一般的な材料から選択される。長手方向に沿うとは、筒状のカバーの中心線に沿うことと同義である。固着とは、カバー本体1の表面と線材2との接着部が互いにずれないように強固に固定されている状態を意味する。金属製の線材2とは、例えば針金である。植木用と同程度の線径2mm程度のものでもよい。一般的に、金属の熱膨張係数はプラスチックの熱膨張係数よりも小さいことが知られている。本実施形態では、3本の線材2をカバー本体1の円周上に等間隔に配置している。線材2の素材、太さや本数を調整することにより、カバー本体1の伸縮に抗する強度を調整するとよい。
【0013】
線材2の両端部は、カバー本体1の長手方向の両端から幾分はみ出すように長めに設定している。これに限らず、線材2の両端部は、カバー本体1の長手方向の両端とほぼ同じ長さに設定してもよい。図3のように2本のパイプカバーを接続するとき、カバー本体1からはみ出した線材2同士、又はカバー本体1の端部から多少剥き出した線材2同士をねじって繋げてもよい。この場合、2本のパイプカバーをより強固に接続することができる。
【0014】
次に、上記パイプカバーの製造方法を図2に基づいて説明する。図2において、所定の厚みを有するシート状でプラスチック製の基材1Aは、対向ローラ3の矢印方向への回転と共に、対向ローラ3の間に送り込まれ、対向ローラ3に挟まれながら矢印方向に進行する。基材1Aの表面には、対向ローラ3に送り込まれる前に、樹脂フィルム4が重ねられる。基材1Aの表面および樹脂フィルム4は、重ねる前に予め熱源5,5により加熱される。加熱された基材1Aの表面に加熱された樹脂フィルム4が重ねられた状態で、対向ローラ3に送り込まれることにより、基材1Aの表面に樹脂フィルム4が圧着される。樹脂フィルム4に接する側のローラがエンボスローラであれば、基材1Aの表面にエンボスが形成される。ここまでは、前述した特許文献1の従来例と同様である。
【0015】
本実施形態では、樹脂フィルム4を重ねる前に、基材1Aの表面に金属製の線材2を配置する。線材2は、基材1Aの進行方向と直交する方向に沿って複数が等間隔に配置される。線材2の長さは、基材1Aの幅(図2の紙面の奥行方向)とほぼ同一か、基材1Aの幅よりも幾分長いものとする。その後、基材1Aの表面に線材2を挟むようにして樹脂フィルム4が重ねられ、対向ローラ3に送り込まれることで、プラスチック製の基材1Aの表面に樹脂フィルム4が圧着され、基材1Aの表面に複数の金属製の線材2が等間隔に固着される。エンボスローラであれば、基材1Aの表面にエンボスも形成される。その後、基材1A及び樹脂フィルム4を所定の長さにおいて線材2と平行な線でカットし、筒状に整形することでパイプカバーを得る。
【0016】
金属製の線材2は、熱源5を通過する前に基材1Aの表面に配置すると、熱源5での蓄熱が増え、線材2を基材1Aに埋め込むようにして圧着することも可能となり、固着の強度を増すことも可能となる。
【0017】
本実施形態によると、金属製の線材2が、プラスチック製の基材1Aの伸縮を抑えるので、従来に比べ縮みを抑えたパイプカバーを提供することができる。
【0018】
ここで、本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲であって、上記の実施形態に限られるものではない。例えば、パイプカバーの長さ等の寸法は図示のものに限られない。
【符号の説明】
【0019】
1 カバー本体
1A 基材
2 線材
3 対向ローラ
4 樹脂フィルム
5 熱源
図1
図2
図3