特開 2023-35326 什器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023035326

(43)【公開日】2023-03-13

(54)【発明の名称】什器

(51)【国際特許分類】

   A47F 5/11 20060101AFI20230306BHJP

   A47F 5/00 20060101ALI20230306BHJP

【ＦＩ】

A47F5/11

A47F5/00 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】2

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021142098

(22)【出願日】2021-09-01

(71)【出願人】

【識別番号】509293361

【氏名又は名称】丸一興業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000464

【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】大谷 雄平

(72)【発明者】

【氏名】松阪 絵理香

【テーマコード（参考）】

3B118

【Ｆターム（参考）】

3B118AA14

3B118BA15

3B118BB04

3B118CA12

3B118GA06

3B118GA26

3B118GA27

(57)【要約】

【課題】天気や湿度の影響を受けて天蓋体３に反りが生じ、天蓋体３と側壁体２とのつなぎ合わせ部分に大きな隙間が空いて、什器１の意匠性が損なわれる（見栄えが悪い）という問題を解消する。
【解決手段】本発明の什器１は、多角形筒状の側壁体２と、側壁体２の上面を覆う多角形蓋状の天蓋体３と、側壁体２および天蓋体３を内部から支持する中芯体４とを備える。側壁体２の各側板５の上端部に内向きの側横フラップ８を連設する。天蓋体３の各天側板１６の下端部に内向きの天横フラップ１７を連設する。各側横フラップ８，９およびこれに対応する天横フラップ１７と中芯体４とには、内外方向に互いに嵌まり合う横係合手段１１，１９，２５を形成する。各側横フラップ８，９とこれに対応する天横フラップ１７とを、横係合手段１１，１９，２５が嵌まり合った状態で上下に重ね合わせる。
【選択図】図９

【特許請求の範囲】

【請求項1】

多角形筒状の側壁体と、前記側壁体の上面を覆う多角形蓋状の天蓋体と、前記側壁体および前記天蓋体を内部から支持する中芯体とを備えた什器であって、
前記側壁体における各側板の上端部には、内向きの側横フラップが連設されており、前記天蓋体における各天側板の下端部には、内向きの天横フラップが連設されており、
前記各側横フラップおよびこれに対応する前記天横フラップと前記中芯体とには、内外方向に互いに嵌まり合う横係合手段が形成されており、前記各側横フラップとこれに対応する前記天横フラップとは、前記横係合手段が嵌まり合った状態で上下に重なり合っている、
什器。

【請求項2】

前記側壁体における両方の側端部には、内向きの側縦フラップが連設されており、
前記中芯体は、上下方向に適宜間隔を空けて並べられた多角形板状の仕切板の複数個と、前記仕切板群の周まわりに取り付けられた縦長の脚板の複数個を有しており、
前記各側縦フラップと前記中芯体とには、内外方向に互いに嵌まり合う縦係合手段が形成されており、
前記縦係合手段は、前記各仕切板に形成された外向き開口状の外縦切り込み溝と、前記側縦フラップのうち前記各仕切板の前記外縦切り込み溝に対応する内縦係合部とを有しており、前記各側縦フラップにおける最上段の前記内縦係合部は縦板形状になっていて、最上段の前記外縦切り込み溝に差し込まれている、
請求項１に記載した什器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、什器に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来、各種店舗や展示会場では、商品等の展示物の見栄えをよくするために、展示台が用いられている。この種の展示台の一例としては、特許文献１のものがある。特許文献１の展示台は、多角形筒状の側壁体と、側壁体の上面開口に載せてこれを覆う天蓋体とを備えている。展示台は、段ボール等の紙製のものである。展示台の上面、すなわち天蓋体は平坦に形成されていて、ここに展示物が載置される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００１－１６１５２４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、前述の通り、特許文献１の展示台は段ボール等の紙製のものであるため、天気や湿度の影響を受けて、天蓋体が反る等の変形を生ずる場合がある。天蓋体に反りが生ずると、天蓋体と側壁体とのつなぎ合わせ部分に大きな隙間が空いてしまい、展示台の意匠性が損なわれる（見栄えが悪い）という問題があった。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明は、上記のような現状を検討して改善を施した什器を提供することを技術的課題とするものである。

【0006】

本発明は、多角形筒状の側壁体と、前記側壁体の上面を覆う多角形蓋状の天蓋体と、前記側壁体および前記天蓋体を内部から支持する中芯体とを備えた什器であって、前記側壁体における各側板の上端部には、内向きの側横フラップが連設されており、前記天蓋体における各天側板の下端部には、内向きの天横フラップが連設されており、前記各側横フラップおよびこれに対応する前記天横フラップと前記中芯体とには、内外方向に互いに嵌まり合う横係合手段が形成されており、前記各側横フラップとこれに対応する前記天横フラップとは、前記横係合手段が嵌まり合った状態で上下に重なり合っているというものである。

【0007】

本発明の什器において、前記側壁体における両方の側端部には、内向きの側縦フラップが連設されており、前記中芯体は、上下方向に適宜間隔を空けて並べられた多角形板状の仕切板の複数個と、前記仕切板群の周まわりに取り付けられた縦長の脚板の複数個を有しており、前記各側縦フラップと前記中芯体とには、内外方向に互いに嵌まり合う縦係合手段が形成されており、前記縦係合手段は、前記各仕切板に形成された外向き開口状の外縦切り込み溝と、前記側縦フラップのうち前記各仕切板の前記外縦切り込み溝に対応する内縦係合部とを有しており、前記各側縦フラップにおける最上段の前記内縦係合部は縦板形状になっていて、最上段の前記外縦切り込み溝に差し込まれているようにしてもよい。

【発明の効果】

【0008】

本発明に係る什器によると、各側横フラップとこれに対応する天横フラップとは、横係合手段が嵌まり合った状態で上下に重なり合っているから、天気や湿度の影響を受けて天蓋体に反り（変形）が生じようとしても、天蓋体の各天横フラップが横係合手段を介して
中芯体に引っかかることになり、天蓋体の変形が抑制される。このため、天蓋体と側壁体とのつなぎ合わせ部分に大きな隙間が空き難くなり、当該つなぎ合わせ部分を目立たなくして、天蓋体と側壁体との一体感を出すことができる。その結果、什器の外観全体としても見栄え（意匠性）が向上する。

【0009】

本発明に係る什器では、前述の通り、各側横フラップとこれに対応する天横フラップとを、横係合手段が嵌まり合った状態で上下に重ね合わせているから、什器を分解する際は、天蓋体からでなく側壁体から取り外すことになる。この場合において、各側縦フラップにおける最上段の内縦係合部を縦板形状にして、最上段の前記外縦切り込み溝に差し込むようにすれば、側壁体における縦係合手段の係合解除をスムーズに行える。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】実施形態における什器の外観斜視図である。

【図2】什器単体の外観図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図、（ｄ）は背面図、（ｅ）は後方斜め上側から見た図である。

【図3】側壁体の展開図である。

【図4】天蓋体の展開図である。

【図5】中芯体の斜視図である。

【図6】中芯体の分離斜視図である。

【図7】什器の組み立て手順を説明する図であり、中芯体を組み立てた状態の外観斜視図である。

【図8】中芯体に天蓋体を取り付ける手順を示す図であり、（ａ）は外観斜視図、（ｂ）は上部縦断面図である。

【図9】中芯体に側壁体を取り付ける手順を示す図であり、（ａ）は外観斜視図、（ｂ）は上部縦断面図である。

【図10】中芯体に側壁体の側横フラップおよび側縦フラップを取り付ける手順を示す縦断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

次に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。

【0012】

図１および図２に示すように、実施形態の什器１は、多角形筒状の側壁体２と、側壁体２の上面を覆う多角形蓋状（下向き開口した箱状）の天蓋体３と、側壁体２および天蓋体３を内部から支持する組み立て式の中芯体４とを備えている。側壁体２と天蓋体３とはそれぞれ、１枚のシートから必要部分を切り出して、図３または図４に示す展開状態で取得されるものである。展開状態から折り曲げ作業を行うことによって、外形が多角形柱状の什器１が形成される。すなわち、組み立て式の中芯体４の上端側に天蓋体３を取り付けてから、中芯体４の外周側を平面状に展開された側壁体２で多角形筒状に包み込むことによって、什器１が形成される。実施形態では、什器１の外形は四角柱状を呈している。

【0013】

側壁体２、天蓋体３および中芯体４は、例えば薄板状の段ボールまたは厚紙を素材としたものである。側壁体２や天蓋体３または中芯体４の素材は、ベニヤ板やプラスチック板等であっても差し支えない。なお、側壁体２と天蓋体３とが複数枚のシートで構成されるようにしてもよい。

【0014】

図３に示すように、側壁体２は、什器１の外周を取り囲む（外周壁を構成する）ものであり、什器１の外形が四角柱状であるため、縦長矩形状の三枚の側板５と、同じく縦長矩形状の二枚の半側板６とを有している。半側板６は、縦方向の長さが各側板５と同じであるが、横方向の長さが各側板５の半分に設定されている。三枚の側板５はそれぞれ、縦折目線７ａを介して横方向に連設されている。横方向外側の両側板５には、縦折目線７ｂを
介して半側板６が連設されている。

【0015】

側壁体２における各側板５，６（半側板６を含む）の上端部には、内向きに折り曲げられる側横フラップ８，９が横折目線１０を介して連設されている。各側横フラップ８，９には、後述する各脚板２１の外横切り込み溝２５に嵌まる内向き開口状の内横切り込み溝１１が形成されている。実施形態では、各側板５の側横フラップ８に内横切り込み溝１１が二箇所ずつ形成されており、各半側板６の側横フラップ９に内横切り込み溝１１が一箇所ずつ形成されている。

【0016】

側壁体２における両方の側端部、すなわち横方向外側の両半側板６には、内向きに折り曲げられる側縦フラップ１２が縦折目線７ｃを介して連設されている。従って、各半側板６には、側横フラップ９と側縦フラップ１２とが連設されている。各側縦フラップ１２には、後述する各仕切板２０の外縦切り込み溝２４に嵌まる内縦係合部としての傾斜辺部１３と内縦切り込み溝１４とが形成されている。実施形態では、各側縦フラップ１２の上部に、鉛直に対して緩やかな勾配で切り欠いた傾斜辺部１３が形成されている。各側縦フラップ１２の上下中途部と下部とに、上下方向に適宜間隔を空けて、内向き開口状の内縦切り込み溝１４が形成されている。

【0017】

図４に示すように、天蓋体３は、側壁体２の上面を覆うものであり、平面視矩形状の天板１５と、当該天板１５の周まわりに連設した四枚の天側板１６とを有している。天板１５の各周縁に、横折目線１８ａを介して天側板１６が連設されている。各天側板１６には、横折目線１８ｂを介して天横フラップ１７が連設されている。各天横フラップ１７には、前述した各側横フラップ８，９と同様に、後述する各脚板２１の外横切り込み溝２５に嵌まる内向き開口状の内横切り込み溝１９が形成されている。実施形態では、各天横フラップ１７に内横切り込み溝１９が二箇所ずつ形成されている。図８（ｂ）および図９（ｂ）から分かるように、側横フラップ８，９の短手方向の幅Ｗａは、天横フラップ１７の短手方向の幅Ｗｂよりも長くなっている。

【0018】

図５および図６に示すように、中芯体４は、側壁体２および天蓋体３を内部から支持する（什器１の骨組を構成する）組み立て式のものであり、上下方向に適宜間隔を空けて並べられた多角形板状（実施形態では平面視矩形状）の仕切板２０の複数個と、仕切板２０群の周まわりに取り付けられた縦長矩形状の脚板２１の複数個とを有している。実施形態では、仕切板２０が上下三段に並んでおり、これら三段の仕切板２０には、その一辺に対して二本ずつ、計八本の脚板２１が取り付けられている。各脚板２１には、仕切板２０の周縁に形成された外向き開口状のスリット２２に対応するように、上下方向に適宜間隔を空けて内向き開口状のスリット２３が形成されている。各仕切板２０のスリット２２に各脚板２１のスリット２３を嵌め合わせることによって、什器１の骨組となる中芯体４が組み立てられる。

【0019】

各仕切板２０には、脚板２１取り付け用のスリット２２とは別に、外向き開口状の外縦切り込み溝２４が形成されている。各仕切板２０の外縦切り込み溝２４は、半側板６の側横フラップ９に形成された内縦係合部１３，１４と嵌まり合うように、各仕切板２０の一辺のうち横並びのスリット２２の間に形成されていて、仕切板２０群の並び方向に合わせて上下一列に並んでいる。各仕切板２０に形成された外向き開口状の外縦切り込み溝２４と、側縦フラップ１２のうち各仕切板２０の外縦切り込み溝２４に対応する内縦係合部１３，１４とが、各側縦フラップ１２と中芯体４とに形成されて内外方向に互いに嵌まり合う縦係合手段を構成している。

【0020】

各脚板２１の上部には、仕切板２０取り付け用のスリット２３とは別に、外向き開口状の外横切り込み溝２５が形成されている。各脚板２１の外横切り込み溝２５は、各側横フ
ラップ８，９およびこれに対応する天横フラップ１７の内横切り込み溝１１，１９と嵌まり合うものである。各脚板２１上部に形成された外向き開口状の外横切り込み溝２５と、各外横切り込み溝２５に対応する側横フラップ８，９および天横フラップ１７の内向き開口状の内横切り込み溝１１，１９とが、各側横フラップ８，９およびこれに対応する天横フラップ１７と中芯体４とに形成されて内外方向に互いに嵌まり合う横係合手段を構成している。

【0021】

各脚板２１上部の外横切り込み溝２５は、上下の段違い溝状に形成されている（図８（ｂ）および図９（ｂ）参照）。図８（ｂ）および図９（ｂ）から分かるように、外横切り込み溝２５のうち側横フラップ８，９の内横切り込み溝１１が嵌まる下部分２５ａは、天横フラップ１７の内横切り込み溝１９が嵌まる上部分２５ｂよりも深くなっている。すなわち、下部分２５ａの溝深さＤａは、上部分２５ｂの溝深さＤｂよりも深くなっている。

【0022】

各脚板２１の上端内コーナー部には、天蓋体３の天板１５を下方から支える平面視矩形状の補強板２６のコーナー部が嵌まる切り欠き２７が形成されている。切り欠き２７群に嵌め込まれた補強板２６上に天蓋体３の天板１５が載せられ、補強板２６が天板１５の強度を補完している。最下段以外の仕切板２０には、肉抜き用の開口穴２８が形成されている。最下段の仕切板２０には開口穴２８がなく、平面視矩形板状になっている。これは最下段の仕切板２０上に、什器１のグラつきを防止する重しを載置可能にするためである。

【0023】

次に、図７～図１０を参照しながら、什器１の組み立て手順について説明する。まずは図７に示すように、仕切板２０群と脚板２１群とを互いに嵌め合わせ、脚板２１群上端の切り欠き２７に補強板２６を嵌め込んで、中芯体４を組み立てる。次いで、補強板２６上に展開状態の天蓋体３を載せて、各天側板１６を横折目線１８ａに沿って下向きに折り曲げ、各天横フラップ１７を横折目線１８ｂに沿って内向きに折り曲げながら、互いに対応する脚板２１側の外横切り込み溝２５と天横フラップ１７の内横切り込み溝１９とを嵌め合わせる（図８（ａ）（ｂ）参照）。

【0024】

次いで、中芯体４を取り囲んで四角筒状になるように、展開状態にある側壁体２の各側板５を各縦折目線７ａに沿って内向きに折り曲げると共に、各側横フラップ８を横折目線１０に沿って内向きに折り曲げながら、互いに対応する脚板２１の外横切り込み溝２５と側横フラップ８の内横切り込み溝１１とを嵌め合わせる（図９（ａ）（ｂ）参照）。このとき、側横フラップ８によってこれに対応する天横フラップ１７が案内されて押し上げられ、外横切り込み溝２５の上部分２５ｂに天横フラップ１７の内横切り込み溝１９が嵌まり、外横切り込み溝２５の下部分２５ａに側横フラップ８の内横切り込み溝１１が嵌まることになる。従って、各側横フラップ８とこれに対応する天横フラップ１７とは、重ね代として機能している。各側横フラップ８とこれに対応する天横フラップ１７とは、横係合手段（外横切り込み溝２５と内横切り込み溝１１，１９）が嵌まり合った状態で上下に重なり合っているのである。

【0025】

それから、展開状態にある側壁体２の各半側板６を各縦折目線７ｂに沿って内向きに折り曲げると共に、各側横フラップ９を横折目線１０に沿って内向きに折り曲げながら、互いに対応する脚板２１の外横切り込み溝２５と側横フラップ９の内横切り込み溝１１とを嵌め合わせる。このときも、側横フラップ９によってこれに対応する天横フラップ１７が案内されて押し上げられ、外横切り込み溝２５の上部分２５ｂに天横フラップ１７の内横切り込み溝１９が嵌まり、外横切り込み溝２５の下部分２５ａに側横フラップ９の内横切り込み溝１１が嵌まることになる。従って、各側横フラップ９とこれに対応する天横フラップ１７とも、重ね代として機能している。各側横フラップ９とこれに対応する天横フラップ１７とは、横係合手段（外横切り込み溝２５と内横切り込み溝１１，１９）が嵌まり合った状態で上下に重なり合っているのである。

【0026】

そして、互いに対応する脚板２１の外横切り込み溝２５と側横フラップ９の内横切り込み溝１１との嵌め合わせに合わせて、相対向する側縦フラップ１２同士を重ね合わせるように、各縦折目線７ｃに沿って内向きに折り曲げ、両側縦フラップ１２の重ね合わせによって合致した傾斜辺部１３および各内縦切り込み溝１４を、それぞれに対応する仕切板２０の外縦切り込み溝２４に嵌め込む（図１０参照）。以上をもって、図１に示す什器１、すなわち、外形が四角柱状の什器１の組み立てが完成する。相対向する側縦フラップ１２同士も重ね代として機能している。なお、中芯体４に対して側壁体２を取り付けてから天蓋体３を取り付けることも可能である。

【0027】

側横フラップ８，９、天横フラップ１７および側縦フラップ１２はいずれも、什器１の内部に入り込むことになる。側壁体２の各側板５，６（半側板６を含む）とこれに対応する天蓋体３の天側板１６とは、側横フラップ８，９および天横フラップ１７が入り込むつなぎ合わせ部分（側壁体２と天蓋体３とのつなぎ合わせ部分）があるものの、同一平面状に構成される。一対の半側板６の間にも同様につなぎ合わせ部分があるが、半側板６同士に関しても同一平面状に構成される。

【0028】

上記の構成によると、各側横フラップ８，９とこれに対応する天横フラップ１７とは、横係合手段（外横切り込み溝２５と内横切り込み溝１１，１９）が嵌まり合った状態で上下に重なり合っているから、天気や湿度の影響を受けて天蓋体３に反り（変形）が生じようとしても、天蓋体３の各天横フラップ１７が横係合手段（外横切り込み溝２５と内横切り込み溝１１，１９）を介して中芯体４（各脚板２１）に引っかかることになり、天蓋体３の変形が抑制される。このため、天蓋体３と側壁体２とのつなぎ合わせ部分（側板５，６と天側板１６とのつなぎ合わせ部分）に大きな隙間が空き難くなり、当該つなぎ合わせ部分を目立たなくして、天蓋体３と側壁体２との一体感を出すことができる。その結果、什器１の外観全体としても見栄え（意匠性）が向上する。

【0029】

図８（ｂ）および図９（ｂ）に示すように、実施形態では、側横フラップ８，９の短手方向の幅Ｗａが天横フラップ１７の短手方向の幅Ｗｂよりも長くなっているから、側横フラップ８，９と中芯体４との横係合手段（外横切り込み溝２５と内横切り込み溝１１）が外れ難くなる。このため、例えば重力の影響による側壁体２の脱落を抑制し易くなる。天気や湿度の影響による側壁体２の変形も抑制し易い。短手方向の幅Ｗａの長い側横フラップ８，９の存在は、互いに重なり合う天横フラップ１７の抜け防止にも効果的である。なお、側横フラップ８，９の短手方向の幅Ｗａを天横フラップ１７の短手方向の幅Ｗｂよりも短く構成したり、同じ長さに構成したりすることも可能であることを付言しておく。

【0030】

また、図８（ｂ）および図９（ｂ）に示すように、外横切り込み溝２５のうち側横フラップ８，９の内横切り込み溝１１が嵌まる下部分２５ａを、天横フラップ１７の内横切り込み溝１９が嵌まる上部分２５ｂよりも深くしている。すなわち、下部分２５ａの溝深さＤａを、上部分２５ｂの溝深さＤｂよりも深くしている。このように構成した場合も、側横フラップ８，９と中芯体４との横係合手段（外横切り込み溝２５と内横切り込み溝１１）が外れ難くなり、例えば重力の影響による側壁体２の脱落を抑制し易くなる。天気や湿度の影響による側壁体２の変形も抑制し易いのはもちろんである。

【0031】

実施形態の什器１は、例えば展示用等の各種台、テーブル、椅子またはオブジェ等として使用できる。この場合、什器１は、天蓋体３を上にして、例えばテーブル等の天板上や床上に配置されることになる。什器１における側壁体２の側板５および半側板６や、天蓋体３の天板１５および天側板１６の外面側には、印刷等の装飾を施すことが可能であることは言うまでもない。この点も意匠性向上に有効に作用する。

【0032】

さらに、実施形態では、重ね代として機能している側横フラップ８，９と天横フラップ１７や、側縦フラップ１２同士は、接着剤やテープ等で接着したりしてもよい。ただ、実施形態の構成を採用すれば、什器１の組み立て・分解を繰り返し実行でき、例えば再利用したり分別廃棄したりする場合に作業性が極めてよい。

【0033】

ところで、実施形態の什器１では、各側横フラップ８，９とこれに対応する天横フラップ１７とを、横係合手段（外横切り込み溝２５と内横切り込み溝１１，１９）が嵌まり合った状態で上下に重ね合わせているから、什器１を分解する際は、天蓋体３から取り外すことはできず、側壁体２から取り外すことになる。この点、実施形態では、各側縦フラップ１２の上部に、鉛直に対して緩やかな勾配で切り欠いた傾斜辺部１３が形成されていて、当該傾斜辺部１３（内縦係合部）が最上段の外縦切り込み溝２４に差し込まれている。

【0034】

このように構成すると、半側板６の下部を外側に引き出して縦係合手段（内縦係合部１３，１４と外縦切り込み溝２４）の係合解除をする際に、傾斜辺部１３が最上段の仕切板２０に突き当たったりせず、当該傾斜辺部１３が最上段の外縦切り込み溝２４から外向きにスッと抜けやすい。このため、側壁体２における縦係合手段（内縦係合部１３，１４と外縦切り込み溝２４）の係合解除をスムーズに行える。

【0035】

なお、本発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。例えば、実施形態の什器１の外形は四角柱状であったが、これに限らず、三角柱、五角柱または六角柱といった他の角柱状の外形にすることも可能である。また、実施形態では、天蓋体３の天板１５の形状が正四角形になっているが、正多角形に限るものではなく、ひし形や台形、その他の多角形状を採用してもよい。。各側縦フラップ１２上部の内縦係合部１３は傾斜辺部１３になっているが、特にこれに限らず、例えば縦板形状になっていればよく、最上段の外縦切り込み溝２４に差し込み可能な、上下方向に引っかからない形状であれば足りる。各側縦フラップ１２上部の内縦係合部１３には溝があってもなくてもよいが、最上段の外縦切り込み溝２４に対して上下にずれ不能な形状になっていなければよい。

【符号の説明】

【0036】

１ 什器
２ 側壁体
３ 天蓋体
４ 中芯体
５ 側板
６ 半側板
７ａ，７ｂ，７ｃ 縦折目線
８，９ 側横フラップ
１１ 内横切り込み溝
１２ 側縦フラップ
１３ 傾斜辺部（内縦係合部）
１４ 内縦切り込み溝（内縦係合部）
１５ 天板
１６ 天側板
１７ 天横フラップ
１９ 内横切り込み溝
２０ 仕切板
２１ 脚版
２４ 外縦切り込み溝
２５ 外横切り込み溝

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】