(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003535
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法。
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
G05B19/05 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104665
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野里 登
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】畑 秀太朗
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220BB07
5H220CC05
5H220CX05
5H220DD04
5H220FF09
5H220HH01
5H220JJ12
5H220JJ16
5H220JJ24
5H220JJ42
(57)【要約】
【課題】既設の入出力装置を流用して、制御装置の更新を容易に行えるようにする。
【解決手段】本発明の一態様の制御装置22は、制御部222が、既設の制御装置12に送信する状態信号、又は、既設の制御装置12から送信された操作信号を、状態信号及び操作信号のそれぞれに対応付けられた第1のアドレスに対して所定の相対数分変更が加えられたアドレスである第2のアドレスによって特定されるレジスタ227の領域に書き込む。第2の入出力通信部225は、レジスタ227から読み出した状態信号又は操作信号に対応付けられた第2のアドレスを、第1のアドレスに変更して既設の制御装置12に送信する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器から出力される状態信号に基づいて生成された操作信号によって、前記制御対象機器の動作を制御する既設の制御装置と置き換えられる制御装置であって、
前記状態信号を入出力する入出力装置と接続される第1の入出力通信部と、
前記既設の制御装置と接続される第2の入出力通信部と、
前記第1の入出力通信部又は前記第2の入出力通信部に入出力される信号のレジスタへの書き込み又は読み出し、及び、前記信号の演算を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記既設の制御装置に送信する前記状態信号、又は、前記既設の制御装置から送信された前記操作信号を、前記状態信号及び前記操作信号のそれぞれに対応付けられた第1のアドレスに対して所定の相対数分変更が加えられたアドレスである、第2のアドレスによって特定されるレジスタの領域に書き込み、
前記第2の入出力通信部は、前記レジスタから読み出した前記状態信号又は前記操作信号に対応付けられた前記第2のアドレスを、前記第1のアドレスに変更して前記既設の制御装置又は前記入出力装置に送信する
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記信号の前記レジスタへの書き込み又は読み出し、演算を、制御プログラムに基づいて実行し、
前記既設の制御装置に送信する前記状態信号を前記レジスタに格納する処理、及び/又は、前記既設の制御装置から送信された前記操作信号を前記レジスタに格納する処理は、前記制御プログラムのサブルーチンのプログラムにおいて規定される
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御プログラムは、前記既設の制御装置が動作する期間において前記サブルーチンのプログラムを有効にし、前記既設の制御装置が動作しない期間においては前記サブルーチンのプログラムを無効にするプログラムを含む
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の入出力通信部には複数の前記入出力装置が接続され、
前記サブルーチンの各プログラムは、複数の前記入出力装置のそれぞれ、又は、複数の前記入出力装置における所定のグループに対応して設けられる
請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
制御対象機器から出力される状態信号に基づいて生成された操作信号によって、前記制御対象機器の動作を制御する既設の制御装置と置き換えられる制御装置であって、前記状態信号を入出力する入出力装置と接続される第1の入出力通信部と、前記既設の制御装置と接続される第2の入出力通信部と、前記第1の入出力通信部又は前記第2の入出力通信部に入出力される信号のレジスタへの書き込み又は読み出し、及び、前記信号の演算を行う制御部と、を備える制御装置による制御方法であって、
前記制御部が、前記既設の制御装置に送信する前記状態信号、又は、前記既設の制御装置から送信された前記操作信号を、前記状態信号及び前記操作信号のそれぞれに対応付けられた第1のアドレスに対して所定の相対数分変更が加えられたアドレスである、第2のアドレスによって特定されるレジスタの領域に書き込む手順と、
前記第2の入出力通信部が、前記レジスタから読み出した前記状態信号又は前記操作信号に対応付けられた前記第2のアドレスを、前記第1のアドレスに変更して前記既設の制御装置又は前記入出力装置に送信する手順と、を含む
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントで使用されている機器設備の動作を監視して制御する監視制御システムが知られている。監視制御システムは、監視操作装置と、制御装置とを備える。監視操作装置は、制御装置から送信される制御対象機器の状態信号や、状態信号の演算結果に基づいて操作信号を生成し、該操作信号を制御装置に送信する。制御装置は、制御対象機器である機械設備の状態信号や、状態信号の演算結果を監視操作装置に送信するとともに、監視操作装置から送信される操作信号に基づいて、制御対象機器の動作を制御する。
【0003】
このような監視制御システムでは、既設のシステムの新たなシステムへの更新(切り替え、置き換え)が必要となる場合がある。例えば、特許文献1には、監視操作装置に相当する上位システムの旧システムから新システムへの更新時に、中継装置が、遮断すべき通信の設定情報に基づいて旧システムと新システムとの間を遮断又は中継することにより、新システムと下位システムとの間のインタフェース試験を安全に実施できるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、上位システムの更新については記載されているが、制御装置を含めた監視制御システムの更新(切り替え)については記載されていない。制御装置も含めた監視制御システムの更新の方法としては、既設の制御装置に接続された入出力装置を流用して、新監視制御システムへの切り替えを行う方法が考えられる。この切り替え方法は、入出力装置の接続先を、既設の制御装置から新制御装置に切り替えることによって実現可能である。しかしながら、入出力装置の接続先が新制御装置に切り替えられた場合、既設の制御コントローラを経由した旧監視操作装置による監視制御は行えなくなってしまう。
【0006】
新監視制御システムへの更新が行われる前には、新監視制御システムによる試運転が行われる必要がある。そして、この試運転期間中においては、例えば昼間は新監視制御システムによる試運転を実施し、夜間は既設の監視制御システムによる運転を実施する等のように、新監視制御システムと既設の監視制御システムとの両方が運転可能である必要がある。つまり、既設の監視制御システムにおける制御装置と、入出力装置との間の接続も、維持される必要がある。
【0007】
コントローラ間通信ユニットを用いて、既設の制御装置と新制御装置とを接続すれば、新監視制御システムと既設の監視制御システムとを切り替えて運転させることが可能となる。ところが、既設の制御装置が既に生産中止となっている場合、既設の制御装置に適合するコントローラ間通信ユニットも、同様に生産中止となっている可能性が高い。このような場合には、新監視制御システムへの更新を行えなくなってしまう。
【0008】
仮に、既設の制御装置に適合するコントローラ間通信ユニットを準備できた場合であっても、既設の制御装置のファームウェア、オペレーティングシステム、ミドルウェア等がコントローラ間通信ユニットに適合していない場合も想定される。この場合、コントローラ間通信ユニットは、既設の制御装置と新制御装置との間を接続することができない。
【0009】
既設の制御装置のファームウェア、オペレーティングシステム、ミドルウェア等がコントローラ間通信ユニットに適合している場合であっても、コントローラ間通信ユニットが既設の制御装置と新制御装置との間を接続する際には、既設の制御装置のレジスタのアドレス(デバイス番号)を、コントローラ間通信ユニット用のアドレスに書き換える必要がある。そして、書き換えられたアドレスは、試運転期間の終了後にまた元のアドレスに書き換えられる必要があり、手間であった。
【0010】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、既設の入出力装置を流用して、制御装置の更新を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る制御装置は、制御対象機器から出力される状態信号に基づいて生成された操作信号によって、制御対象機器の動作を制御する既設の制御装置と置き換えられる制御装置である。本発明の一態様に係る制御装置は、状態信号を入出力する入出力装置と接続される第1の入出力通信部と、既設の制御装置と接続される第2の入出力通信部と、第1の入出力通信部又は第2の入出力通信部に入出力される信号のレジスタへの書き込み又は読み出し、及び、信号の演算を行う制御部と、を備える。制御部は、既設の制御装置に送信する状態信号、又は、既設の制御装置から送信された操作信号を、状態信号及び操作信号のそれぞれに対応付けられた第1のアドレスに対して所定の相対数分変更が加えられたアドレスである第2のアドレスによって特定されるレジスタの領域に書き込む。第2の入出力通信部は、レジスタから読み出した状態信号又は操作信号に対応付けられた第2のアドレスを、第1のアドレスに変更して既設の制御装置又は入出力装置に送信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の少なくとも一態様によれば、既設の入出力装置を流用して、制御装置の更新を容易に行えるようになる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来の試運転期間中における監視制御システムの構成例を説明する図である。
【
図2】従来の試運転期間中における旧制御コントローラの構成例を示す図である。
【
図3】従来の試運転期間中における新制御コントローラの構成例を示す図である。
【
図4】従来の試運転期間中における旧制御コントローラ、新制御コントローラ及び入出力装置の構成例を説明する図である。
【
図5】従来の旧制御コントローラ及び新制御コントローラ間、並びに、新制御コントローラ及び入出力装置間において試運転期間中に入出力される入出力信号の例を示す図である。
【
図6】従来の試運転期間中における旧制御コントローラ及び新制御コントローラのそれぞれのラダープログラムの構成例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る試運転開始前における旧監視制御システムの構成例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る試運転終了時における新監視制御システムの構成例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る試運転期間中における監視制御システムの構成例を説明する図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る旧制御コントローラの構成例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る試運転期間中における新制御コントローラの構成例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る試運転開始前、試運転期間中および試運転終了後における入出力装置の構成例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る試運転期間中における旧制御コントローラ、新制御コントローラ及び入出力装置の構成例を説明する図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る旧制御コントローラ及び新制御コントローラ間、並びに、新制御コントローラ及び入出力装置間において試運転期間中に入出力される信号の例を示す図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る試運転期間中における旧制御コントローラ及び新制御コントローラのそれぞれのラダープログラムの構成例を示す図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る試運転期間内の旧監視制御システムの運転時における新制御コントローラによる制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の一実施形態に係る試運転期間内の新監視制御システムの運転時における新制御コントローラによる制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の一実施形態に係る監視制御システムの各装置を構成するハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の説明をする前に、従来技術によって解決できない課題について、
図1~
図6を参照して説明する。本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0015】
<従来例>
[旧監視制御システムの構成]
まず、
図1を参照して、従来の試運転期間中における監視制御システムの構成について説明する。
図1は、従来の試運転期間中における監視制御システム1Aの構成例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、従来の試運転期間中における監視制御システム1Aでは、一点鎖線の枠で囲った旧監視制御システム1oAと、二点鎖線の枠で囲った新監視制御システム1nAとが混在している。旧監視制御システム1oAは、被切替え(更新される)側の既設のシステムであり、新監視制御システム1nAは、切り替える(更新する)側の新規のシステムである。
【0017】
旧監視制御システム1oAは、旧監視操作装置110と、旧制御コントローラ120と、入出力装置230と、制御対象機器240と、を含む。新監視制御システム1nAは、新監視操作装置210と、新制御コントローラ220と、入出力装置230と、制御対象機器240と、を含む。つまり、入出力装置230は、旧監視制御システム1oA及び新監視制御システム1nAの両方において使用される。
【0018】
新監視操作装置210は、新制御LAN(Local Area Network)Lcnを介して新制御コントローラ220と接続されており、新制御コントローラ220は、I/O通信回線Liを介して入出力装置230に接続されている。入出力装置230は、プラント信号入出力回線Lpを介して制御対象機器240と接続されている。
【0019】
旧監視操作装置110は、旧制御LANLcoを介して旧制御コントローラ120と接続されており、旧制御コントローラ120は、コントローラ間通信回線Lcを介して、新監視制御システム1nAの新制御コントローラ220と接続されている。
【0020】
制御対象機器240は、不図示のプラント内で動作する各種機器(機械設備)であり、旧制御コントローラ120又は新制御コントローラ220から送信される操作信号に基づいて動作する。制御対象機器240は、自身の状態を示す状態信号を随時生成して、生成した状態信号を新監視操作装置210に送信する。
【0021】
入出力装置230は、制御対象機器240及び新制御コントローラ220間における各種データの入出力動作を制御する。旧制御コントローラ120は、制御対象機器240の状態信号や、状態信号の演算結果を旧監視操作装置110に送信するとともに、旧監視操作装置110から送信される操作信号を、入出力装置230に送信する。新制御コントローラ220は、制御対象機器240の状態信号や、状態信号の演算結果を新監視操作装置210に送信するとともに、新監視操作装置210から送信される操作信号を、入出力装置230に送信する。
【0022】
旧監視操作装置110は、制御対象機器240から送信される状態信号に基づいて制御対象機器240の状態を監視し、監視結果に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号を、旧制御コントローラ120に送信する。新監視操作装置210は、制御対象機器240から送信される状態信号に基づいて制御対象機器240の状態を監視し、監視結果に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号を、新制御コントローラ220に送信する。
【0023】
新監視制御システム1nAの試運転の実施にあたって、旧制御コントローラ120の接続先は、破線で示されるI/O通信回線Liによって接続された入出力装置230から、実線で示されるコントローラ間通信回線Lcによって接続された新制御コントローラ220に切り替えられる。そして、新制御コントローラ220は、例えば、試運転期間中においては、昼間には、新監視操作装置210との間で各種データをやりとりし、夜間には、旧制御コントローラ120を介して旧監視操作装置110との間で各種データをやりとりする。
【0024】
そして、試運転の終了後には、旧制御コントローラ120及び新制御コントローラ220間の接続は切断され、新監視操作装置210、新制御コントローラ220、入出力装置230及び制御対象機器240より構成される新監視制御システム1nAが本格稼働する。
【0025】
図2は、従来の試運転期間中における旧制御コントローラ120の構成例を示す図である。
図2に示すように、旧制御コントローラ120は、電源ユニット1201、CPU(Central Processing Unit)ユニット1202、制御LAN通信ユニット1203、I/O通信ユニット1204及びコントローラ間通信ユニット1205を備える。
【0026】
電源ユニット1201は、外部のAC電源又はDC電源より入力された電源を変換及び絶縁するとともに、該電源を、旧制御コントローラ120を構成する各部に供給する。
【0027】
CPUユニット1202は、ラダープログラム1206(
図5参照)を有する。ラダープログラム1206は、制御LAN通信ユニット1203又はI/O通信ユニット1204等から入力されたデジタル信号、アナログ信号を演算処理する。そして、CPUユニット1202は、演算処理の結果(演算結果)を制御LAN通信ユニット1203又はI/O通信ユニット1204等に出力する。
【0028】
制御LAN通信ユニット1203は、旧制御LANLcoを介して旧監視操作装置110(
図1参照)と接続される。制御LAN通信ユニット1203は、旧監視操作装置110から送信された操作信号を、CPUユニット1202に伝送する。また、制御LAN通信ユニット1203は、CPUユニット1202から入力された演算結果や、I/O通信ユニット1204から入力されたデジタル信号又はアナログ信号を、制御LANLco経由で旧監視操作装置110へ伝送する。
【0029】
I/O通信ユニット1204は、試運転開始時に入出力装置230と切り離される。
【0030】
コントローラ間通信ユニット1205は、コントローラ間通信回線Lcを介して新制御コントローラ220と接続され、新制御コントローラ220との間で行われる通信を制御する。コントローラ間通信ユニット1205は、コントローラ間通信ユニット2205を経由して入出力装置230から入力されたデジタルの状態信号(以下、「デジタル状態信号」と称する)又はアナログの状態信号(以下、「アナログ状態信号」と称する)を、CPUユニット1202へ伝送する。また、コントローラ間通信ユニット1205は、CPUユニット1202から入力された操作信号、デジタル信号又はアナログ信号を、コントローラ間通信ユニット2205とCPUユニット2202およびI/O通信ユニット2204を介して入出力装置230へ伝送する。
【0031】
図3は、従来の試運転期間中における新制御コントローラ220の構成例を示す図である。
図3に示すように、新制御コントローラ220は、電源ユニット2201、CPUユニット2202、制御LAN通信ユニット2203、I/O通信ユニット2204及びコントローラ間通信ユニット2205を備える。
【0032】
電源ユニット2201及びCPUユニット2202の構成は、
図2に示した旧制御コントローラ120における電源ユニット1201及びCPUユニット1202と同一であるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0033】
制御LAN通信ユニット2203は、新制御LANLcnを介して新監視操作装置210(
図1参照)と接続される。制御LAN通信ユニット2203は、新監視操作装置210から送信された操作信号を、CPUユニット2202に伝送する。また、制御LAN通信ユニット2203は、CPUユニット2202から入力された操作信号や、I/O通信ユニット2204から入力されたデジタル状態信号又はアナログ状態信号を、新監視操作装置210へ伝送する。
【0034】
I/O通信ユニット2204は、I/O通信回線Liを介して入出力装置230と接続される。I/O通信ユニット2204は、入出力装置230から入力されたデジタル状態信号又はアナログ状態信号を、CPUユニット2202へ伝送する。また、I/O通信ユニット2204は、CPUユニット2202から入力された操作信号、デジタル信号又はアナログ信号を、I/O通信回線Liを介して入出力装置230へ伝送する。
【0035】
コントローラ間通信ユニット1205は、コントローラ間通信回線Lcを介して旧制御コントローラ120(
図2参照)と接続され、旧制御コントローラ120との間で行われる通信を制御する。
【0036】
図4は、従来の試運転期間中における旧制御コントローラ120、新制御コントローラ220及び入出力装置230の構成例を示す図である。旧制御コントローラ120の構成は、
図2に示したものと同じであり、新制御コントローラ220の構成は、
図3に示したものと同じであるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0037】
入出力装置230は、電源ユニット2301、I/O通信ユニット2302、デジタル信号入力ユニット2303、デジタル信号出力ユニット2304、アナログ信号入力ユニット2305、アナログ信号出力ユニット2306及びパルス信号入力ユニット2307を備える。
【0038】
電源ユニット2301は、旧制御コントローラ120の電源ユニット1201、新制御コントローラ220の電源ユニット2201と同様の機能を有する。
【0039】
I/O通信ユニット2302は、I/O通信回線Liを介して新制御コントローラ220のI/O通信ユニット2204と接続される。I/O通信ユニット2302は、デジタル信号入力ユニット2303から入力されたデジタル状態信号、アナログ信号入力ユニット2305から入力されたアナログ状態信号、又は、パルス信号入力ユニット2307から入力されたパルス状態信号を、I/O通信回線Liを介して新制御コントローラ220のI/O通信ユニット2204に出力する。
【0040】
デジタル信号入力ユニット2303、デジタル信号出力ユニット2304、アナログ信号入力ユニット2305、アナログ信号出力ユニット2306及びパルス信号入力ユニット2307は、それぞれ、プラント信号入出力回線Lp(
図1参照)を介して制御対象機器240(
図1参照)と接続される。
【0041】
デジタル信号入力ユニット2303には、制御対象機器240から出力された、制御対象機器240の状態を示すデジタル状態信号が入力され、デジタル信号入力ユニット2303は、入力されたデジタル状態信号をI/O通信ユニット2302に伝送する。
【0042】
デジタル信号出力ユニット2304は、旧制御コントローラ120又は新制御コントローラ220から送信されたデジタル信号で表現される操作信号を、制御対象機器240に出力する。
【0043】
アナログ信号入力ユニット2305には、制御対象機器240から出力された、制御対象機器240の状態を示すアナログ状態信号が入力され、アナログ信号入力ユニット2305は、アナログ状態信号を、I/O通信ユニット2302に伝送する。
【0044】
アナログ信号出力ユニット2306は、旧制御コントローラ120又は新制御コントローラ220から送信されたアナログ信号で表現される操作信号を、制御対象機器240に出力する。
【0045】
パルス信号入力ユニット307は、制御対象機器240から出力された、制御対象機器240の状態を示すパルス状態信号が入力され、パルス信号入力ユニット2307は、パルス状態信号を、I/O通信ユニット2302に伝送する。
【0046】
図5は、従来の旧制御コントローラ120及び新制御コントローラ220間、並びに、新制御コントローラ220及び入出力装置230間において試運転期間中に入出力される入出力信号の例を示す図である。
【0047】
図5には、旧制御コントローラ120を構成するブロックのうち、CPUユニット1202、I/O通信ユニット1204及びコントローラ間通信ユニット1205のみを示す。また、新制御コントローラ220を構成するブロックのうち、CPUユニット2202、I/O通信ユニット2204及びコントローラ間通信ユニット2205のみを示す。
【0048】
旧制御コントローラ120のCPUユニット1202は、ラダープログラム1206及びレジスタ1207を有する。ラダープログラム1206は、レジスタ1207に格納されたデータを参照(読み出し)あるいは設定(書き込み)して制御対象機器240の監視制御を実行する。具体的には、ラダープログラム1206は、レジスタ1207に格納された制御対象機器240(
図1参照)の状態信号を演算するとともに、演算の結果をI/O通信ユニット1204に出力する。新制御コントローラ220のラダープログラム2206においても、同様の処理が行われる。
【0049】
新監視制御システムの試運転期間における、旧監視操作装置110の運用時(例えば夜間)には、旧監視操作装置110から出力されて入出力装置230に入力される操作信号、及び、入出力装置230から出力されて旧監視操作装置110に入力される状態信号は、コントローラ間通信ユニット2205、コントローラ間通信ユニット1205を介して伝送される。一方、新監視操作装置210の試運転時(例えば昼間)には、新監視操作装置210から出力されて入出力装置230に入力される操作信号、及び、入出力装置230から出力されて新監視操作装置210に入力される状態信号は、新制御コントローラ220のI/O通信ユニット2204を介して伝送される。
【0050】
このような制御は、
図5に示すように、旧制御コントローラ120及び新制御コントローラ220のそれぞれにおいて、レジスタを、I/O通信ユニット用及びコントローラ間通信ユニット用に2つ設けることによって実現可能である。そして、2つの異なるレジスタを使用する場合、自身用及び旧制御コントローラ120用の2つの操作信号又は状態信号を扱う必要のある新制御コントローラ220においては、ラダープログラムも、それぞれに対応して2つ用意される必要がある。
【0051】
図6は、従来の試運転期間中における旧制御コントローラ120及び新制御コントローラ220のそれぞれのラダープログラムの構成例を示す図である。
図6に示すように、旧制御コントローラ120のCPUユニット1202はラダープログラム1206を有し、新制御コントローラ220のCPUユニット2202は、ラダープログラム2206を有する。
【0052】
ラダープログラム1206は、ラダー回路Lc110、Lc120及びLc130を有する。ラダー回路Lc110は、a接点「G001」、a接点「M100」及び出力リレー「G211」を有する。a接点のデバイス番号(アドレス)の「G001」及び出力リレーのデバイス番号「G211」は、試運転期間用に書き換えられた値である。書き換えられる前のa接点のデバイス番号は「X001」であり、出力リレーのデバイス番号は「Y011」である。
図6において、書き換え前のデバイス番号には二重線が重ねられている。
【0053】
試運転期間中には、旧制御コントローラ120及び入出力装置230間の通信は、コントローラ間通信ユニット1205、1216を介して行われるため、ラダープログラムを構成する各デバイスのデバイス番号も、入出力装置用(I/O通信ユニット用)の値から、コントローラ間通信ユニット用の値に変更される必要があるためである。
【0054】
I/O通信ユニット用のデバイス番号は、「X***」、「Y***」(いずれもbool型(1bit))、「XW***」、「WY***」(いずれもword型(16bit))で示される。コントローラ間通信ユニット用のデバイスは「G***」(bool型(1bit))、「FW***」(word型(16bit))で示される。
【0055】
試運転期間中における旧監視制御システム1oA(
図1参照)による運転時、すなわち、デバイス番号が変更された後のラダー回路Lc110では、a接点「G001」がONであり、かつ、a接点「M100」がONである場合に、出力リレー「G211」がONとなる。デバイス番号「G001」及び「G211」は、上述したように、コントローラ間通信ユニット1205を介した通信において使用されるデバイス番号である。
【0056】
ラダー回路Lc110から出力された信号は、コントローラ間通信ユニット1205、新制御コントローラ220のコントローラ間通信ユニット2205(いずれも
図5参照)を介して新制御コントローラ220に入力される。そして、新制御コントローラ220のラダープログラム226のラダー回路Lc140によって、I/O通信ユニット2204を介して、入出力装置230に送信される。ラダー回路Lc140については後述する。
【0057】
ラダー回路Lc120は、試運転の開始前の通常運転時においては、デバイス番号「XW100」のレジスタ1207(
図5参照)に格納されたアナログ状態信号を、CPUユニット1202への演算入力用のデバイス番号「LWW0001」に転送するプログラムであった。一方、試運転時には、デバイス番号「FW100」に格納されたアナログ状態信号を、CPUユニット1202への演算入力用のデバイス番号「LWW0001」に転送するプログラムとなる。「FW」で始まるデバイス番号は、上述したように、コントローラ間通信ユニット用のデバイス番号である。
【0058】
ラダー回路Lc130は、試運転の開始前の通常運転時においては、デバイス番号「LWW0002」に格納されたCPUユニット1202による演算結果(操作信号)を、入出力装置230への出力用のデバイス番号「YW110」に転送するプログラムであった。一方、試運転時には、デバイス番号「LWW0002」に格納されたCPUユニット1202による演算結果に基づく操作信号を、コントローラ間通信ユニット1205への出力用のデバイス番号「FW200」に転送するプログラムとなる。
【0059】
このように、コントローラ間通信ユニットを使用して旧制御コントローラ120及び新制御コントローラ220間を接続する従来技術においては、試運転の実行にあたって、旧制御コントローラ120のラダープログラム1206における各アドレス番号を、コントローラ間通信ユニット用のアドレスに書き換える必要があった。
【0060】
新制御コントローラ220のCPUユニット2202のラダープログラム2206は、ラダー回路Lc140~Lc190を有する。ラダー回路Lc140では、a接点「X001」がONであり、a接点「新出力」がONであり、かつ、a接点「M100」が“ON”である場合、又は、a接点「X001」がONであり、a接点「旧出力」がONであり、かつ、a接点「G211」が“ON”である場合に、出力リレー「Y011」がONとなる。
【0061】
a接点「X001」は、制御対象機器240のデジタル状態信号が入力されるとONになり、a接点「新出力」は、新制御コントローラ220からの出力を有効にするための条件が満たされた場合にONになる。新制御コントローラ220からの出力を有効にするための条件には、例えば、現時刻が、新監視制御システム1nA(
図1参照)の試運転が行われる昼間であること等が設定される。a接点「M100」は、新制御コントローラ220のCPUユニット2202による演算結果が入力されるとONになる。
【0062】
a接点「旧出力」は、旧制御コントローラ120からの出力を有効にするための条件が満たされた場合にONになる。旧制御コントローラ120からの出力を有効にするための条件には、例えば、現時刻が、旧監視制御システム1oA(
図1参照)の運転が行われる夜間であること等が設定される。a接点「G211」は、旧制御コントローラ12のラダー回路Lc110から転送された操作信号が入力されるとONになる。
【0063】
そして、出力リレー「Y011」がONになった場合、旧制御コントローラ120の演算結果に基づく操作信号、又は、新制御コントローラ220の演算結果に基づく操作信号が、I/O通信ユニット2204(
図5参照)を介して入出力装置230に出力される。
【0064】
ラダー回路Lc150は、デバイス番号「XW100」に格納されたアナログ状態信号を、CPUユニット1202への演算入力用のデバイス番号「LWW0001」に転送する回路である。
【0065】
ラダー回路Lc160は、a接点「新出力」がONである場合に、デバイス番号「LWW0002」に格納されたCPUユニット2202による演算結果(操作信号)を、入出力装置230への出力用のデバイス番号「YW110」に転送する回路である。
【0066】
ラダー回路Lc170は、a接点「旧出力」がONである場合に、デバイス番号「FW200」に格納されたアナログ状態信号を、入出力装置230への出力用のデバイス番号「YW110」に転送する回路である。
【0067】
ラダー回路Lc180は、デバイス番号「XW000」に格納されたデジタル状態信号を、コントローラ間通信ユニット2205への出力用のデバイス番号「GW000」に転送する回路である。
【0068】
ラダー回路Lc190は、デバイス番号「XW100」に格納されたアナログ状態信号を、コントローラ間通信ユニット2205への出力用のデバイス番号「FW100」に転送する回路である。
【0069】
新制御コントローラ220のラダープログラム2206をこのように構成することにより、試運転期間中の昼間における、コントローラ間通信ユニットを介した新制御コントローラ220及び入出力装置230間の通信と、試運転期間中の夜間における、コントローラ間通信ユニットを介した旧制御コントローラ120及び入出力装置230間の通信とを両立することが可能となる。
【0070】
試運転の完了後には、新制御コントローラ220のラダープログラム2206から試運転用に設けられた各デバイス又は回路を削除することにより、旧監視制御システム1oAから新監視制御システム1nAへの切り替えも完了する。試運転用に設けられたデバイスには、ラダー回路Lc140のa接点「新出力」、a接点「旧出力」及びa接点「G211」、ラダー回路Lc160のa接点「新出力」がある。試運転用に設けられたラダー回路には、ラダー回路Lc170~Lc190がある。
【0071】
しかしながら、a接点や出力リレー等のデバイスは、制御対象機器240の数に対応して設ける必要がある。したがって、試運転用にこれらのデバイスを追加する場合、試運転の完了後に削除するデバイスの数も多くなり、手間がかかってしまう。また、上述したように、旧制御コントローラ120のラダープログラム1206においても、デバイス番号(アドレス)の書き換え作業が必要となり、手間であった。
【0072】
<一実施形態>
[旧監視制御システムの構成]
次に、
図7を参照して、本発明の一実施形態に係る試運転開始前における旧監視制御システムの構成について説明する。
図7は、試運転開始前における旧監視制御システム1oの構成例を示す図である。本実施形態では、旧監視制御システム1o及び次の
図8に示す新監視制御システム1nを、上下水道監視制御システムに適用した場合を例に挙げる。しかしながら、本発明の旧監視制御システム1o及び新監視制御システム1nは、これに限定されず、制御対象機器を監視可能な監視制御システムであれば、どのようなシステムに適用されてもよい。
【0073】
図7に示すように、旧監視制御システム1oでは、旧監視操作装置11に対して、複数の旧制御コントローラ12-1~12-N(Nは3以上の自然数)(既設の制御装置の一例)が、旧制御LANLcoを介して接続されている。旧制御コントローラ12-1には、I/O通信回線Li1-1を介して入出力装置13-1が接続されており、入出力装置13-1には、プラント信号入出力回線Lp-1を介して制御対象機器24-1が接続されている。
【0074】
旧制御コントローラ12-2及び12-Nも、I/O通信回線Li1-2~Li1-Nを介して入出力装置23-2~12-Nと接続され、入出力装置23-2~12-Nも、プラント信号入出力回線Lp-2~Lp-Nを介して制御対象機器24-2~24-Nと接続されている。
【0075】
制御対象機器24-1~24-Nは、例えば、受変電設備、ポンプ、バルブ、ゲート等の、浄水場や下水処理場などで使用される機械設備である。制御対象機器24-1~24-Nは、自機器の状態を示す状態信号を入出力装置13-1~13-Nに出力するとともに、入出力装置13-1~13-Nを介して旧制御コントローラ12-1~12-Nから送信された操作信号に基づいて動作する。
【0076】
以下、旧制御コントローラ12-1~12-Nを区別する必要がない場合には、これらを旧制御コントローラ12と総称し、入出力装置13-1~13-Nを区別する必要がない場合には、これらを入出力装置13と総称する。また、制御対象機器24-2~24-Nを区別する必要がない場合には、これらを制御対象機器24と総称する。
【0077】
また、I/O通信回線Li1-1~Li1-Nを区別する必要がない場合には、これらをI/O通信回線Li1と総称し、プラント信号入出力回線Lp-1~Lp-Nを区別する必要がない場合には、これらをプラント信号入出力回線Lpと総称する。
【0078】
旧監視制御システム1oを構成する各装置の機能については、
図1を参照して説明した従来技術における旧監視制御システム1oAの各装置と同様であるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0079】
[新監視制御システムの構成]
次に、
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る試運転終了時における新監視制御システムの構成について説明する。
図8は、試運転終了時における新監視制御システム1nの構成例を示す図である。
【0080】
図8に示すように、新監視制御システム1nでは、新監視操作装置21に対して、複数の新制御コントローラ22-1~22-N(第2の制御装置の一例)が、新制御LANLcnを介して接続されている。試運転開始時に入出力装置23-1を旧制御コントローラ12-1から新制御コントローラ22-1へ接続変更を行う。新制御コントローラ22-1には、I/O通信回線Li2-1を介して入出力装置23-1が接続されており、入出力装置23-1には、プラント信号入出力回線Lp-1を介して制御対象機器24-1が接続されている。
【0081】
新制御コントローラ22-2及び22-Nも、I/O通信回線Li2-2~Li2-Nを介して入出力装置23-2~22-Nと接続され、入出力装置23-2~22-Nも、プラント信号入出力回線Lp-2~Lp-Nを介して制御対象機器24-2~24-Nと接続されている。
【0082】
以下、新制御コントローラ22-1~22-Nを区別する必要がない場合には、これらを新制御コントローラ22と総称し、入出力装置23-1~23-Nを区別する必要がない場合には、これらを入出力装置23と総称する。また、制御対象機器24-1~24-Nを区別する必要がない場合には、これらを制御対象機器24と総称する。さらに、I/O通信回線Li2-1~Li2-Nを区別する必要がない場合には、これらをI/O通信回線Li2と総称する。
【0083】
新監視制御システム1nを構成する各装置の機能については、
図1を参照して説明した従来技術における各装置と同様であるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0084】
[試運転期間中における監視制御システムの構成]
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る試運転期間中における監視制御システムの構成について説明する。
図9は、試運転期間中における監視制御システム1の構成例を示す図である。
図9に示す監視制御システム1は、旧制御コントローラ12及び新制御コントローラ22間がI/O通信回線Li2を介して接続されている点で、
図1に示した従来の監視制御システム1Aと異なっている。つまり、本実施形態に係る監視制御システム1においては、旧制御コントローラ12及び新制御コントローラ22間の接続にコントローラ間通信ユニット1205(
図2参照)、コントローラ間通信ユニット2205(
図3)は用いられない。
【0085】
[旧制御コントローラの構成]
次に、
図10を参照して、本実施形態に係る試運転期間中における旧制御コントローラ12の構成について説明する。
図10は、試運転期間中における旧制御コントローラ12の構成例を示す図である。
図10に示す旧制御コントローラ12は、電源ユニット121、CPUユニット122、制御LAN通信ユニット123及びI/O通信ユニット124を備える。本構成は試運転開始前と同じ構成となっている。
【0086】
電源ユニット121、CPUユニット122、制御LAN通信ユニット123及びI/O通信ユニット124の機能は、それぞれ、
図2に示した従来の旧制御コントローラ120の電源ユニット1201、CPUユニット1202、制御LAN通信ユニット1203及びI/O通信ユニット1204と同一である。したがって、ここではこれらについての説明は省略する。
図10に示す旧制御コントローラ12は、コントローラ間通信ユニットを備えない点で、
図2に示した従来の試運転期間中における旧制御コントローラ120と異なっている。
【0087】
新監視制御システム1nの試運転の実施にあたって、旧制御コントローラ12の接続先は、破線で示されるI/O通信回線Liによって接続された入出力装置23から、実線で示されるI/O通信回線Li2によって接続された新制御コントローラ22に切り替えられる。そして、新制御コントローラ22は、例えば、試運転期間中においては、昼間には、新監視操作装置21との間で各種データをやりとりし、夜間には、旧制御コントローラ12を介して旧監視操作装置11との間で各種データをやりとりする。
【0088】
[新制御コントローラの構成]
次に、
図11を参照して、本実施形態に係る試運転期間中における新制御コントローラ22の構成について説明する。
図11は、試運転期間中における新制御コントローラ22の構成例を示す図である。
図11に示す新制御コントローラ22は、電源ユニット221、CPUユニット222(制御部の一例)、制御LAN通信ユニット223、I/O通信ユニット224(第1の入出力通信部の一例)及びI/O通信ユニット225(第2の入出力通信部の一例)を備える。
【0089】
電源ユニット221、CPUユニット222、制御LAN通信ユニット223、I/O通信ユニット224の機能は、それぞれ、
図3に示した従来の新制御コントローラ220の電源ユニット2201、CPUユニット2202、制御LAN通信ユニット2203及びI/O通信ユニット2204と同一である。したがって、ここではこれらについての説明は省略する。
【0090】
I/O通信ユニット225は、I/O通信回線Li2を介して旧制御コントローラ12(
図9参照)と接続され、旧制御コントローラ12との間で行われる各種データ(信号)の送受信動作を制御する。具体的には、I/O通信ユニット225は、入出力装置23から送信されてI/O通信ユニット224が受信したデジタル状態信号又はアナログ状態信号を、旧制御コントローラ12へ伝送する。また、I/O通信ユニット225は、旧制御コントローラ12から送信された操作信号、デジタル信号又はアナログ信号を、CPUユニット222、I/O通信ユニット224を介して入出力装置23へ伝送する。
【0091】
[入出力装置の構成]
次に、
図12を参照して、入出力装置23の構成について説明する。
図12は、試運転開始前、試運転期間中および試運転終了後における入出力装置23の構成例を示す図である。
【0092】
入出力装置23は、電源ユニット231、I/O通信ユニット232、デジタル信号入力ユニット233、デジタル信号出力ユニット234、アナログ信号入力ユニット235、アナログ信号出力ユニット236及びパルス信号入力ユニット237を備える。電源ユニット231、I/O通信ユニット232、デジタル信号入力ユニット233、デジタル信号出力ユニット234、アナログ信号入力ユニット235、アナログ信号出力ユニット236及びパルス信号入力ユニット237の機能は、それぞれ、
図4に示した従来の入出力装置230における対応するユニットの機能と同一であるため、ここではこれらの重複する説明は省略する。
【0093】
デジタル信号には、制御対象機器24であるポンプの運転準備完了を示す状態信号や、該状態信号に基づくCPUユニット222(
図11参照)での演算結果、ポンプの運転指令等の操作信号などがある。アナログ信号には、不図示の配水池の水位を示す状態信号、該状態信号に基づくCPUユニット222での演算結果(ポンプの回転数等)、ポンプの回転速度等の操作信号などがある。
【0094】
I/O通信ユニット232は、I/O通信回線Li1を介して新制御コントローラ22(
図11参照)と接続される。デジタル信号入力ユニット233は、デジタル信号入力回線Lpdiを介して制御対象機器24と接続される。デジタル信号出力ユニット234は、デジタル信号入力回線Lpdoを介して制御対象機器24と接続される。アナログ信号入力ユニット235は、アナログ信号入力回線Lpaiを介して制御対象機器24と接続される。アナログ信号出力ユニット236は、アナログ信号入力回線Lpaoを介して制御対象機器24と接続される。パルス信号入力ユニット237は、パルス信号入力回線Lppiを介して制御対象機器24と接続される。
【0095】
以下の説明において、デジタル信号入力回線Lpdi、デジタル信号出力回線Lpdo、アナログ信号入力回線Lpai、アナログ信号出力回線Lpao及びパルス信号入力回線Lppiを区別する必要がない場合には、これらをプラント信号入出力回線Lpと総称する。
【0096】
図13は、試運転期間中における旧制御コントローラ12、新制御コントローラ22及び入出力装置23の構成例を示す図である。旧制御コントローラ12の構成は、
図10に示したものと同一であり、新制御コントローラ22の構成は、
図11に示したものと同一であり、入出力装置23の構成は、
図12に示したものと同一である。したがって、ここではこれらの説明は省略する。
【0097】
旧制御コントローラ12の制御LAN通信ユニット123は、旧制御LANLcoを介して旧監視操作装置11(
図9参照)と接続される。また、旧制御コントローラ12のI/O通信ユニット124は、I/O通信回線Li2を介して新制御コントローラ22のI/O通信ユニット225と接続される。
【0098】
新制御コントローラ22の制御LAN通信ユニット223は、新制御LANLcnを介して新監視操作装置21(
図9参照)と接続される。新制御コントローラ22のI/O通信ユニット224は、I/O通信回線Li1を介して入出力装置23のI/O通信ユニット232と接続される。
【0099】
図14は、旧制御コントローラ12及び新制御コントローラ22間、並びに、新制御コントローラ22及び入出力装置23間において試運転期間中に入出力される信号の例を示す図である。
【0100】
図14には、旧制御コントローラ12を構成するブロックのうち、CPUユニット122及びI/O通信ユニット124のみを示す。また、新制御コントローラ22を構成するブロックのうち、CPUユニット222、I/O通信ユニット224及びI/O通信ユニット225のみを示す。
【0101】
旧制御コントローラ12のCPUユニット122は、ラダープログラム126及びレジスタ127を有する。ラダープログラム126(制御プログラムの一例)は、レジスタ127に格納されたデータを参照あるいは設定して監視制御を実行する。具体的には、ラダープログラム126は、レジスタ127に格納された制御対象機器24(
図9参照)の状態信号を旧監視操作装置11に送信したり、状態信号を演算したり、演算結果を新制御コントローラ22に送信したりする。
【0102】
旧制御コントローラ12のレジスタ127は、I/O通信ユニット124を介して、新制御コントローラ22のI/O通信ユニット225と通信する。したがって、従来のように、コントローラ間通信ユニットを介して入出力されるアナログ状態信号、デジタル状態信号又は操作信号を格納する領域を、レジスタ127内に別途設ける必要がない。
【0103】
新制御コントローラ22のラダープログラム226は、レジスタ227に格納されたデータを参照あるいは設定して、制御対象機器24の監視制御を実行する。また、ラダープログラム226は、試運転期間中の旧監視制御システム1oの運転時においては、旧制御コントローラ12のレジスタ127に状態信号を転送したり、旧制御コントローラ12のレジスタ127に格納された操作信号を、I/O通信ユニット224を介して入出力装置23に送信したりする。
【0104】
このように、新制御コントローラ22のラダープログラム226が、旧制御コントローラ12及び入出力装置23間の信号の送受信を仲介する場合、旧制御コントローラ12のレジスタ127に対して入出力される信号を、一旦自身のレジスタ227に格納する必要がある。
【0105】
本実施形態では、新制御コントローラ22のラダープログラム226は、旧制御コントローラ12のレジスタ127に対して入出力される信号を、該信号に対応付けられたデバイス番号(第1のアドレスの一例)に対して所定の相対数分変更されたデバイス番号(第2のアドレスの一例)によって特定されるレジスタ227の領域に格納する。
【0106】
そして、I/O通信ユニット225は、相対数分だけ変更されたデバイス番号(第2のアドレス)を、変更前のデバイス番号(第1のアドレス)に戻した上で、レジスタ227に格納されたデータを、旧制御コントローラ12に送信する。
【0107】
ラダープログラム226及びI/O通信ユニット225がこのような処理を行うことにより、旧制御コントローラ12のレジスタ127のデバイス番号を書き換えたりすることなく、旧制御コントローラ12のレジスタ127のデバイス番号に格納された信号を、新制御コントローラ22のレジスタ227に入出力できるようになる。
【0108】
図15は、旧制御コントローラ12及び新制御コントローラ22のそれぞれのラダープログラムの構成例を示す図である。
図15には、旧制御コントローラ12を構成するブロックのうち、CPUユニット122のみを示し、新制御コントローラ22を構成するブロックのうち、CPUユニット222のみを示す。
【0109】
図15に示す旧制御コントローラ12のCPUユニット122は、ラダープログラム126を有する。ラダープログラム126は、ラダー回路Lc1~Lc3を有する。
【0110】
ラダー回路Lc1は、a接点「X001」、a接点「M100」及び出力リレー「Y011」を備える。a接点「X001」は、制御対象機器24のデジタル状態信号が入力されるとONになり、a接点「M100」は、操作信号の出力条件を満たす演算結果が入力されるとONになる。出力リレー「Y011」は、a接点「X001」がONであり、かつ、a接点「M100」がONである場合にONとなる。ラダー回路Lc1では、出力リレー「Y011」がONになった場合、旧制御コントローラ120の演算結果に基づく操作信号が、I/O通信ユニット124(
図14参照)を介して新制御コントローラ22に出力される。
【0111】
例えば、a接点「X001」に入力されるデジタル状態信号が、制御対象機器24であるポンプの運転準備完了を示すデジタル状態信号であり、a接点「M100」の操作信号の出力条件が、ポンプの運転条件であるとする。この場合、ラダー回路Lc1では、ポンプの運転準備完了を示すデジタル状態信号が入力されてa接点「X001」がONになり、かつ、ポンプの運転条件を満たす演算結果が入力されてa接点「M100」がONになった場合に、出力リレー「Y011」がONになる。そして、出力リレー「Y011」から出力されたポンプの運転指示等の操作信号が、I/O通信ユニット124を介して新制御コントローラ22に送信される。
【0112】
ラダー回路Lc2は、デバイス番号「XW100」に格納されたアナログ状態信号を、CPUユニット122への演算入力用のデバイス番号「LWW0001」に転送(MOVE)する回路である。例えば、a接点「XW100」には、不図示の配水池の水位を示すアナログ状態信号が入力される。デバイス番号「LWW0001」に入力された演算結果は、ポンプの運転条件の判定等に用いられる。
【0113】
ラダー回路Lc3は、デバイス番号「LWW0002」に格納されたCPUユニット122による演算結果(操作信号)を、I/O通信ユニット124(
図14参照)への出力用のデバイス番号「YW110」に転送する回路である。例えば、ラダー回路Lc3は、デバイス番号「LWW0002」に入力されたポンプの回転数等のアナログ状態信号に基づいて算出されたポンプの回転速度(操作信号)を、I/O通信ユニット124用のデバイス番号「YW110」に転送する。
【0114】
新制御コントローラ22のCPUユニット222のラダープログラム226は、メインのラダープログラム226mと、サブルーチンのラダープログラム226sとを有する。
【0115】
メインのラダープログラム226mは、ラダー回路Lc4~Lc9(プログラムの一例)を有する。サブルーチンのラダープログラム226sは、ラダー回路Lc10及びLc11(プログラムの一例)を有する。
【0116】
ラダー回路Lc4~Lc6は、それぞれ、旧制御コントローラ12のラダープログラム126におけるラダー回路Lc1~Lc3と同一の働きをする。つまり、ラダー回路Lc4は、a接点「X001」がONであり、かつ、a接点「M100」がONである場合に、新制御コントローラ220の演算結果に基づく操作信号を、出力リレー「Y011」から出力する回路である。
【0117】
ラダー回路Lc5は、デバイス番号「XW100」に格納されたアナログ状態信号を、CPUユニット222への演算入力用のデバイス番号「LWW0001」に転送(MOVE)する回路である。ラダー回路Lc6は、デバイス番号「LWW0002」に格納されたCPUユニット222による演算結果(操作信号)を、入出力装置23(I/O通信ユニット224、
図14参照)への出力用のデバイス番号「YW110」に転送する回路である。
【0118】
ラダー回路Lc7は、サブルーチン化されたラダープログラム226sの有効/無効を切り替えるプログラムであり、a接点「旧出力」及び出力リレー「NM01」を有する。a接点「旧出力」は、旧制御コントローラ12からの出力を有効にするための条件が満たされた場合にONになる。旧制御コントローラ12からの出力を有効にするための条件には、例えば、現時刻が、旧監視制御システム1o(
図8参照)の試運転への切り替えが行われる夜間であること等が設定される。
【0119】
a接点「NM01」は、ONになった場合に、該接点に予め対応付けられたラダープログラムを呼び出す回路である。本実施形態では、a接点「NM01」には、サブルーチンであるラダープログラム226sが対応付けられている。したがって、夜間になってラダー回路Lc7のa接点「旧出力」がONになり、かつ、a接点「NM01」がONである場合に、サブルーチンであるラダープログラム226sが有効となり呼び出される。
【0120】
なお、a接点「NM01」の値は、「NM01」~「NMFF」の範囲で変更可能であり、各値にそれぞれ異なるサブルーチンを対応付けることができる。つまり、本実施形態では、サブルーチンのラダープログラムを複数設けることも可能である。そして、各サブルーチンに対して異なる制御対象機器24を割り当てることにより、例えば、A期間にはaグループの制御対象機器24の試運転を行い、B期間にはbグループの制御対象機器24の試運転を行うといったように、試運転を段階的に展開することも可能となる。
【0121】
ラダー回路Lc8は、デバイス番号「XW000」に格納されたデジタル状態信号を、旧制御コントローラ12への出力用のデバイス番号「XW800」に転送する回路である。デバイス番号「XW000」は、デバイス番号「X000」~「X00F」のうちのいずれかの値を示す。デバイス番号「X000」~「X00F」の中には、例えば、ポンプの運転準備完了を示すデジタル状態信号が格納されるデバイス番号「X001」等も含まれる。
【0122】
新制御コントローラ22のレジスタ227(
図14参照)におけるデバイス番号「XW800」(第2のアドレスの一例)は、旧制御コントローラ12のレジスタ127におけるデバイス番号「XW000」(第1のアドレスの一例)に「0x800」(所定の相対数の一例)が足された値である。デバイス番号「XW800」には、デバイス番号「X800」~「X80F」のいずれかの値を設定される。I/O通信ユニット225(
図14参照)は、ラダー回路Lc8から転送されたデータを受信すると、デバイス番号「XW800」から「0x800」減算(相対数分変更)して得られる、旧制御コントローラ12のレジスタ127内のデバイス番号「XW000」に、自身のレジスタ227のデバイス番号「XW800」に格納されたデジタル状態信号を転送する。
【0123】
ラダー回路Lc9は、デバイス番号「XW100」に格納されたアナログ状態信号を、旧制御コントローラ12(I/O通信ユニット225)への出力用のデバイス番号「XW900」に転送する回路である。I/O通信ユニット225(
図14参照)は、ラダー回路Lc9から転送されたデータを受信すると、デバイス番号「XW900」から「0x800」減算(相対数分変更)して得られる、旧制御コントローラ12のレジスタ127内のデバイス番号「XW100」に、自身のレジスタ227のデバイス番号「XW900」に格納されたデジタル状態信号を転送する。
【0124】
ラダー回路Lc7~Lc11は、試運転期間中の旧監視制御システム1oの運転時に使用される回路であり、試運転が終了して新監視制御システム1nが本格稼働した後には不要となる回路であるため、以下の説明ではこれらのラダー回路を「仮設ラダー回路」とも称する。
【0125】
新制御コントローラ22のラダープログラム226及びI/O通信ユニット225によってこのような処理が行われることにより、旧制御コントローラ12のラダープログラム126は、デバイス番号の書き換えを行うことなく、新制御コントローラ22を経由して自身のレジスタ127に格納されたデータを、設定又は参照することが可能となる。
【0126】
サブルーチンのラダープログラム226sにおけるラダー回路Lc10は、a接点「X001」、a接点「Y811」及び出力リレー「Y011」を備える。ラダー回路Lc10では、a接点「X001」がONであり、かつ、a接点「Y811」がONである場合に、出力リレー「Y011」がONとなる。a接点「X001」は、制御対象機器240のデジタル状態信号が入力されるとONになり、a接点「Y811」は、旧制御コントローラ12のラダー回路Lc1の出力リレー「Y011」からの出力(旧制御コントローラ120の演算結果)が入力されるとONになる。出力リレー「Y011」がONになった場合、旧制御コントローラ12から入力された演算結果が、新制御コントローラ22のラダー回路Lc10から、I/O通信ユニット225を介して入出力装置23に出力される。
【0127】
ラダー回路Lc11は、デバイス番号「YW910」に格納されたアナログの操作信号を、入出力装置230への出力用のデバイス番号「YW110」に転送する回路である。「YW910」は、入出力装置230への出力用のデバイス番号「YW110」に「0x800」が足された値である。
【0128】
I/O通信ユニット225(
図14参照)は、旧制御コントローラ12のラダー回路Lc3のデバイス番号「YW110」から転送されたデータを受信すると、「0x800」加算して、デバイス番号「YW910」に格納されたアナログ状態信号をデバイス番号「YW110」に転送する。
【0129】
ラダー回路Lc10及びLc11で構成されるサブルーチンのラダープログラム226sは、上述したように、新制御コントローラ22のラダー回路Lc7におけるa接点(旧出力)がONである場合に有効となる。つまり、ラダー回路Lc7のa接点(旧出力)をONにすることにより、旧制御コントローラ12のラダー回路Lc1、Lc3の出力を、新制御コントローラ22のサブルーチンを介して入出力装置23へ出力することができる。
【0130】
一方、サブルーチンのラダープログラム226sをOFFにした場合、旧制御コントローラ12のラダー回路Lc1、Lc3の出力ではなく、新制御コントローラ22のラダー回路Lc4、Lc6からの出力が、入出力装置23に出力される。
【0131】
新監視制御システム1nの試運転期間が終了した場合、仮設ラダー回路であるラダー回路Lc7~Lc11と、旧制御コントローラ12との接続用のI/O通信ユニット225とを削除することにより、新監視制御システム1nへの切り替え(置き換え、更新)を完了させることができる。
【0132】
[新制御コントローラによる制御方法]
次に、
図16及び
図17を参照して、本実施形態に係る新制御コントローラ22による制御方法について説明する。
図16は、試運転期間内の旧監視制御システム1oの運転時における新制御コントローラ22による制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
図17は、試運転期間内の新監視制御システム1nの試運転時における新制御コントローラ22による制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0133】
現時刻が、旧監視制御システム1oの運転が行われる夜間となった場合、監視制御システム1の新制御コントローラ22は、旧監視制御システム1oでの運転を開始する(
図16のステップS1)。次いで、新制御コントローラ22のサブルーチンのラダープログラム226s(
図14参照)が有効化されその動作を開始する(ステップS2)。具体的には、現時刻が「夜間」に定義された時間帯となった場合等の旧監視制御システムでの運転時に、新制御コントローラ22のラダープログラム226のラダー回路Lc7(
図15参照)のa接点「旧出力」をONする。これにより、ラダー回路Lc7の出力リレー「NM01」と対応付けられたサブルーチンのラダープログラム226sが有効化される。
【0134】
次いで、新制御コントローラ22の仮設ラダー回路であるラダー回路Lc8及びLc9(
図15参照)は、I/O通信ユニット225を介して入出力装置23から入力された状態信号を、レジスタ227(
図14参照)における所定の相対数分変更された(+「0x800」された)デバイス番号に格納する(ステップS3)。次いで、I/O通信ユニット225は、レジスタ227から読み出した状態信号のデバイス番号を相対数分変更して(相対数分変更される前のデバイス番号に戻して(-「0x800」して))、旧制御コントローラ12に送信する(ステップS4)。
【0135】
次いで、I/O通信ユニット225は、旧制御コントローラ12から送信された操作信号のデバイス番号を、相対数分変更して受信する(ステップS5)。次いで、新制御コントローラ22のサブルーチンのラダープログラム226sは、相対数分変更されたデバイス番号の操作信号を、I/O通信ユニット224を介して入出力装置23に送信する(ステップS6)。
【0136】
なお、
図16においては、説明の都合上、ステップS3及びS4の後にステップS5及びS6が実行される例を示したが、本発明はこれに限定されない。これらの実行順は逆になったり、並行して行われたりすることもある。
【0137】
次いで、ユーザー等によって、新監視制御システム1nの試運転期間が終了したか否かが判定される(ステップS7)。ステップS7で、新監視制御システム1nの試運転期間は終了していないと判定された場合(ステップS7がNO判定の場合)、新監視制御システム1nの試運転が開始されたか否かが判定される(ステップS8)。例えば、現時刻が昼間を示す時刻となった場合等には、新制御コントローラ22のラダープログラム226のラダー回路Lc7(
図15参照)のa接点「旧出力」をOFFすることにより新監視制御システム1nの試運転が開始されるため、ステップS8はYES判定となる。
【0138】
ステップS8で、新監視制御システム1nの試運転は開始されたと判定された場合(ステップS8がYES判定の場合)、
図17のフローチャートに示す処理が実行される。一方、新監視制御システム1nの試運転は開始されていないと判定された場合(ステップS8がNO判定の場合)、新制御コントローラ22は、ステップS3に戻って処理を行う。
【0139】
一方、ステップS7で、新監視制御システム1nの試運転期間は終了したと判定された場合(ステップS7がYES判定の場合)、ユーザーは、新制御コントローラ22から仮設ラダー回路を削除する(ステップS9)。次いで、ユーザーは、新制御コントローラ22より、旧制御コントローラ12との接続用のI/O通信ユニット225を撤去する(ステップS10)。ステップS10の処理後、新制御コントローラ22による試運転期間中の制御方法は終了する。
【0140】
次に、
図17を参照して、試運転期間内の新監視制御システム1nの試運転時における新制御コントローラ22による制御方法について説明する。
【0141】
現時刻が、新監視制御システム1nの運転が行われる昼間となった場合等に、監視制御システム1の新制御コントローラ22は、新監視制御システム1nでの試運転を開始する(ステップS11)。次いで、新制御コントローラ22のサブルーチンのラダープログラム226s(
図14参照)が無効化され動作が停止する(ステップS12)。具体的には、現時刻が「昼間」に定義された時間帯となった場合等に、新制御コントローラ22のラダープログラム226のラダー回路Lc7(
図15参照)のa接点「旧出力」がOFFとなり、これにより、ラダー回路Lc7の出力リレー「NM01」と対応付けられたサブルーチンのラダープログラム226sは無効化される。
【0142】
次いで、新制御コントローラ22のラダープログラム226のラダー回路Lc5は、入出力装置23から出力されてI/O通信ユニット224が受信した状態信号を、レジスタ227に格納する(ステップS13)。次いで、新制御コントローラ22の制御LAN通信ユニット223(
図13参照)は、レジスタ227に格納された演算結果を、新監視操作装置21(
図9参照)に送信する(ステップS14)。
【0143】
次いで、新制御コントローラ22のラダープログラム226のラダー回路Lc6は、演算結果に基づく操作信号を、レジスタ227に格納する(ステップS15)。次いで、新制御コントローラ22のI/O通信ユニット224は、レジスタ227に格納された操作信号を入出力装置23に送信する(ステップS16)。
【0144】
なお、
図17においては、説明の都合上、ステップS13及びS14の後にステップS15及びS16が実行される例を示したが、本発明はこれに限定されない。これらの実行順は逆になったり、並行して行われたりすることもある。
【0145】
次いで、ユーザー等によって、新監視制御システム1nの試運転期間が終了したか否かが判定される(ステップS17)。ステップS17で、新監視制御システム1nの試運転期間は終了したと判定された場合(ステップS17がYES判定の場合)、
図16のステップS9以降の処理が行われる。
【0146】
一方、ステップS17で、新監視制御システム1nの試運転期間は終了していないと判定された場合(ステップS17がNO判定の場合)、旧監視制御システム1oの運転が開始されたか否かが判定される(ステップS18)。例えば、現時刻が夜間を示す時刻等となった場合には、新制御コントローラ22のラダープログラム226のラダー回路Lc7(
図15参照)のa接点「旧出力」をONすることにより旧監視制御システム1oで運転が開始されるため、ステップS18はYES判定となる。
【0147】
ステップS18で、旧監視制御システム1oの運転は開始されたと判定された場合(ステップS18がYES判定の場合)、
図16のステップS3以降の処理が行われる。一方、旧監視制御システム1oの運転は開始されていないと判定された場合(ステップS18がNO判定の場合)、新制御コントローラ22は、ステップS13に戻って処理を継続する。
【0148】
[計算機のハードウェア構成]
次に、
図9に示した監視制御システム1の機能を実現するための各装置のハードウェア構成について、
図18を参照して説明する。
図18は、監視制御システム1が備える各装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0149】
計算機50は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機50は、バスBにそれぞれ接続されたCPU501、ROM(Read Only Memory)502及びRAM(Random Access Memory)503を備える。さらに、計算機50は、表示部504、操作入力部505、不揮発性ストレージ506及びネットワークインターフェース507を備える。
【0150】
CPU501は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM502から読み出し、RAM503に展開して実行する。なお、計算機50は、CPU501の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAM503には、CPU501による演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。旧制御コントローラ12のCPUユニット122、新制御コントローラ22のCPUユニット222の機能は、CPU501によって実現される。
【0151】
表示部504は、例えば、LCD等で構成されるモニタであり、計算機50で行われる処理の結果等を表示する。
【0152】
操作入力部505は、ユーザーによる操作が入力されるブロックであり、例えば、キーボード、マウス、タッチセンサ等によって構成される。なお、表示部504と操作入力部505とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。また、計算機50は、表示部504又は操作入力部505を備えない構成とされてもよい。
【0153】
不揮発性ストレージ506には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージ506には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機50を機能させるためのプログラムが記録される。ROM502及び不揮発性ストレージ506は、CPU501が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機50によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0154】
ネットワークインターフェース507には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、LAN等のネットワーク又は通信線を介して外部装置との間で各種のデータを送受信することが可能である。旧制御コントローラ12の制御LAN通信ユニット123、I/O通信ユニット124、新制御コントローラ22の制御LAN通信ユニット223、I/O通信ユニット224の機能は、ネットワークインターフェース507によって実現される。
【0155】
上述した実施形態では、新制御コントローラ22のCPUユニット222は、旧制御コントローラ12に送信する状態信号、又は、旧制御コントローラ12から送信された操作信号を、状態信号及び操作信号のそれぞれに対応付けられた第1のアドレスに対して所定の相対数分変更が加えられたアドレスである第2のアドレスによって特定されるレジスタ227の領域に書き込む。また、新制御コントローラ22のI/O通信ユニット225は、レジスタ227から読み出した状態信号又は操作信号に対応付けられた第2のアドレスを、第1のアドレスに変更して旧制御コントローラ12に送信する。
【0156】
したがって、本実施形態によれば、旧制御コントローラ12のレジスタ127におけるデバイス番号を書き換えることなく、既設の入出力装置23を流用して、旧監視制御システム1oから新監視制御システム1nへの切り替えを容易に行うことができる。
【0157】
また、本実施形態では、新監視制御システム1nの試運転時に、コントローラ間通信ユニットを使用しないため、例えば、旧制御コントローラ12の機種が古くて対応するコントローラ間ユニットが製造されていない場合等にも、問題なく試運転を実行することができる。
【0158】
また、上述した実施形態では、CPUユニット222は、状態信号又は操作信号のレジスタ227への書き込み又は読み出し、演算を、ラダープログラムに基づいて実行する。そして、旧制御コントローラ12に送信する状態信号をレジスタ227に格納する処理、及び/又は、旧制御コントローラ12から送信された操作信号をレジスタ227に格納する処理は、サブルーチンのラダープログラムにおいて規定される。
【0159】
したがって、例えば、試運転期間中における新監視制御システム1nの試運転時などの、旧制御コントローラ12が動作しない期間においては、サブルーチンを有効化しないことにより、旧制御コントローラ12との間における信号の入出力に関連する機能を無効化することができる。
【0160】
また、上述した実施形態では、新制御コントローラ22のラダープログラム226は、旧制御コントローラ12が動作する期間(夜間等)においてサブルーチンのラダープログラム226sを有効にし、旧制御コントローラ12が動作しない期間(昼間等)においてはサブルーチンのラダープログラム226sを無効にするプログラム(ラダー回路Lc7)を含む。
【0161】
それゆえ、本実施形態によれば、旧制御コントローラ12との間における信号の入出力に関連する機能を、容易に有効化又は無効化することができる。
【0162】
なお、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0163】
例えば、上述した実施形態では、旧制御コントローラ12から送信された操作信号を、I/O通信ユニット224を介して入出力装置23に出力する処理を行うラダー回路Lc10及びLc11を、サブルーチン化する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。入出力装置23から出力された状態信号を旧制御コントローラ12に送信する処理を行うラダー回路Lc8及びLc9を、サブルーチン化させてもよい。または、ラダー回路Lc8~Lc11のすべてをサブルーチン化させてもよい。
【0164】
もしくは、監視制御システム1の新制御コントローラ22は、ラダープログラムをサブルーチン化させない構成をとることも可能である。
【0165】
また、上述した実施形態では、1つの新制御コントローラ22に対して1つの入出力装置23が接続される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。1つの新制御コントローラ22に対して複数の入出力装置23が接続されてもよい。
【0166】
また、上述した実施形態では、ラダープログラムをラダーシンボルで記述する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、IL(インストラクションリスト)やFBD(ファンクションブロックダイアグラム)、ST(ストラクチャードテキスト)等の他の形式で記述されてもよい。
【0167】
また、
図7~
図15において、実線又は矢印等により示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0168】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0169】
また、上述した本開示の一実施形態にかかる監視制御システムの各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1…監視制御システム、1n…新監視制御システム、1o…旧監視制御システム、11…旧監視操作装置、12…旧制御コントローラ、13…入出力装置、21…新監視操作装置、22…新制御コントローラ、23…入出力装置、24…制御対象機器、222…CPUユニット、223…制御LAN通信ユニット、224…I/O通信ユニット、225…I/O通信ユニット、226…ラダープログラム、227…レジスタ、Lc1~Lc11…ラダー回路