(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035373
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】脳波測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/256 20210101AFI20230306BHJP
A61B 5/291 20210101ALI20230306BHJP
【FI】
A61B5/256 110
A61B5/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142175
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】北添 雄眞
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】菅野 友洋
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 慶次郎
(72)【発明者】
【氏名】澤田 将志
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127LL13
(57)【要約】
【課題】脳波定装置において、装着状態の調整する作業を容易にする技術を提供する。
【解決手段】脳波測定装置1は、頭部99に装着されるフレーム10と、フレーム10に取り付けられた脳波電極ユニット80と、フレーム10の頭部99側に設けられ、内部に気体を導入することで膨らむバルーン50と、を有し、バルーン50は、脳波電極ユニット80が設けられていない領域に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着されるフレームと、
前記フレームに取り付けられた脳波電極と、
前記フレームの頭部側に設けられ、内部に気体を導入することで膨らむバルーンと、
を有し、
前記バルーンは、前記脳波電極が設けられていない領域に設けられている、
脳波測定装置。
【請求項2】
前記バルーンは、前記フレームと脱着可能に設けられている、請求項1に記載の脳波測定装置。
【請求項3】
前記バルーンは、連通する複数の空気室を備えて構成されている、請求項1または2に記載の脳波測定装置。
【請求項4】
前記バルーンは、前記フレームを頭部に装着したときに頭頂部となる領域には設けられていない、請求項1から3でのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
【請求項5】
前記バルーンに接続され、前記バルーンの内部に気体を導入するポンプを有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
【請求項6】
前記脳波電極は、前記フレームにおける位置を調整する位置機構を備える、請求項1から5までのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
【請求項7】
前記脳波電極は、前記フレームに対する角度を調整する角度機構を備える、請求項1から6までのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで脳波測定装置に関して様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に開示の脳波測定用電極(脳波電極保持具)は、頭部の周囲に配置する本体部と、前記本体部に取り付けられた複数の支持部と、少なくとも一部の前記支持部の先端側に設けられ、前記本体部の内側に支持された脳波電極と、を備える脳波電極保持具であって、前記本体部は、手指を挿通させて前記脳波電極に触れることができる大きさの開口部を有し、前記脳波電極は、基端側を前記支持部によって支持され、可撓性を有し弾性変形する可撓部と、前記可撓部の先端側に設けられ、頭表に接触させる電極部と、を有し、前記可撓部は、前記電極部を前記支持部の軸線から離間させる方向に移動させるまで変形でき、前記可撓部は、前記電極部に前記頭表との接触圧を加え、前記可撓部は、前記頭表に沿って略平行方向に移動させた前記電極部にも前記頭表との接触圧を加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脳波測定装置の装着状態を被験者の頭部のサイズに合わせるために、ヘッドセットと頭部との間にスポンジなどの緩衝部材を配置することもあるが、装着後に緩衝部材の取り替え等が必要になる場合もあり、装着状態を調整する新たな技術が求められていた。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みなされたものであって、脳波定装置において、装着状態の調整する作業を容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
頭部に装着されるフレームと、
前記フレームに取り付けられた脳波電極と、
前記フレームの頭部側に設けられ、内部に気体を導入することで膨らむバルーンと、
を有し、
前記バルーンは、前記脳波電極が設けられていない領域に設けられている、
脳波測定装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、脳波測定装置において、装着状態の調整する作業を容易にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る、被験者の頭部に装着した状態の脳波測定装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る、フレームを模式的に示す斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係る、バルーンを模式的に示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係る、脳波電極ユニットを模式的に示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る、電極保持部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<第1の実施形態>>
<概要>
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は被験者(人)の頭部99に装着した状態の脳波測定装置1を模式的に示す斜視図である。
図2は脳波測定装置1を模式的に示す分解斜視図である。
図3はバルーンを模式的に示す図であって、
図3(a)は平面図、
図3(b)は側面図である。
図3(b)ではバルーン50が頭部99(図中破線で示す)に装着された状態として示している。なお、
図3(a)では、便宜的にバルーン50がフレーム10に取り付けられたときの前分割フレーム30と後分割フレーム40の一部の電極取付部39、49の位置を破線で示している。
図1~
図3において、便宜的に、図中矢印で示す上下/前後/左右方向で説明する。また、内側とはフレーム10において頭部99に面する側(接する側)として、また外側とはその反対側(頭部99とは面しない側)として説明する。
【0010】
脳波測定装置1は、人の頭部99に装着され、脳波を生体からの電位変動として検出し、検出した脳波を脳波表示装置(図示せず)に出力する。脳波表示装置は、脳波測定装置1が検出した脳波を取得して、モニタ表示したり、データ保存したり、周知の脳波解析処理を行う。
【0011】
<脳波測定装置1の構造>
図1に示すように、脳波測定装置1は、フレーム10と、フレーム10に取り付けられた脳波電極ユニット80と、バルーン50とを有する。バルーン50は、内部に空気を導入することで膨らむようになっており、フレーム10の内面に所定の固定部材(後述する面ファスナ70(
図1中で破線で示す))によって取り付けられる。図示では脳波電極ユニット80は1つのみ装着された状態を示しているが、後述するように複数設けられた各電極取付部39、49にそれぞれ取付可能となっている。電極取付部39、49は、例えば、10-20配置法にもとづいた位置に取り付け孔として設けられている。なお、本実施形態では、それらの位置の一部(電極配置Fz、F3、F4、O1、O2、Pz、P3、P4)のみに設けられている例を示している。また、電極取付部39、49は、十分な螺刻を設けるために、厚みを持った凸部で形成されて、取り付け孔が形成されてもよい。
【0012】
<フレーム10の構成>
図2に示すように、フレーム10は、複数に分割可能であって、頭部99に装着され固定される固定用フレーム20と、固定用フレーム20に着脱可能な前分割フレーム30及び後分割フレーム40とを備える。なお、本実施形態では、特に言及しない限り左右対称の構成となっている。前分割フレーム30は、固定用フレーム20の前方側に取り付けられる。後分割フレーム40は、固定用フレーム20の後方側に取り付けられる。前分割フレーム30と後分割フレーム40とは互いに独立して固定用フレーム20に脱着される。
【0013】
固定用フレーム20、前分割フレーム30及び後分割フレーム40は、例えばポリアミド樹脂のような硬質部材で形成されているが、これら材料に限る趣旨では無く、脳波検出に影響を及ぼさず、また装着性や作業性に適した材料であればよい。固定用フレーム20、前分割フレーム30及び後分割フレーム40は、異なる材料が用いられてもよい。
【0014】
<固定用フレーム20の構造>
固定用フレーム20は、帯状の硬質部材を組み合わせて構成されており、周囲固定フレーム21と、頂部固定フレーム22とを備える。
【0015】
周囲固定フレーム21は、頭部99の額、側頭部、後頭部に沿うように硬質部材を湾曲して設けられており、額側(前側)の前周囲固定フレーム21aと、後頭部側(後側)の後周囲固定フレーム21bとを備え、それらは左右の側頭部の部分に位置する二つの連結部21cで接続されている。
【0016】
頂部固定フレーム22は、周囲固定フレーム21の両方の連結部21cから延出して頭部99の頂頭部を沿うように湾曲して設けられている。
【0017】
固定用フレーム20には、前分割フレーム30を脱着するための構造として、前側頭部嵌合部24と、前頭部嵌合部26と、前頂部嵌合部27とを備える。また、後分割フレーム40を脱着するための構造として、後側頭部嵌合部25と、後頂部嵌合部28と、後頭部嵌合部23とを備える。
【0018】
前側頭部嵌合部24は、左右の連結部21cのそれぞれに、前周囲固定フレーム21aと頂部固定フレーム22との間においてそれらと略面一に斜め上方向に向けて所定長だけ板状(リブ状)に延出している。前側頭部嵌合部24は、後述する前分割フレーム30の前側頭部嵌合部35と嵌合・固定される。
【0019】
前頭部嵌合部26は、前周囲固定フレーム21aの最前部分(すなわち額の位置)から上側(頂頭部側)に向けて略面一で所定長だけ板状(リブ状)に延出している。前頭部嵌合部26は、後述する前分割フレーム30の前頭部嵌合部34と嵌合・固定される。
【0020】
前頂部嵌合部27は、頂部固定フレーム22の頂頭部から前側(すなわち額側)に向けて略面一で所定長だけ板状(リブ状)に延出している。前頂部嵌合部27は、後述する前分割フレーム30の前頂部嵌合部33と嵌合・固定される。
【0021】
後側頭部嵌合部25は、左右の連結部21cのそれぞれに、後周囲固定フレーム21bと頂部固定フレーム22との間においてそれらと略面一で斜め上方向に向けて所定長だけ板状(リブ状)に延出している。後側頭部嵌合部25は、後述する後分割フレーム40の後側頭部嵌合部45と嵌合・固定される。
【0022】
後頂部嵌合部28は、頂部固定フレーム22の頂頭部から後側(すなわち後頭部側)に向けて略面一で所定長だけ板状(リブ状)に延出している。後頂部嵌合部28は、後述する後分割フレーム40の後頂部嵌合部43と嵌合・固定される。
【0023】
後頭部嵌合部23は、後周囲固定フレーム21bの最後方部分(すなわち後頭部の位置)から上側(頂頭部側)に向けて略面一で所定長だけ板状(リブ状)に延出している。後頭部嵌合部23は、後述する後分割フレーム40の後頭部嵌合部44と嵌合・固定される。
【0024】
<前分割フレーム30の構造>
前分割フレーム30は、前フレーム本体31と、固定用フレーム20との嵌合固定構造(前頂部嵌合部33、前頭部嵌合部34及び前側頭部嵌合部35)とを備える。
【0025】
前フレーム本体31は、硬質部材によって所定厚さで頭部99の前頭部の形状に沿うように内側に湾曲した曲面で形成されている。前フレーム本体31の内側には、後述するバルーン50のバルーン右前部52とバルーン左前部53が配置される。
【0026】
嵌合固定構造として、前フレーム本体31の左右の下側後方部分には、前側頭部嵌合部35が、一段外側にオフセットして所定長だけ板状(リブ状)に延出している。前側頭部嵌合部35は、前述した固定用フレーム20の前側頭部嵌合部24と嵌合・固定される。
【0027】
具体的には、前側頭部嵌合部35と前側頭部嵌合部24との段差形状の嵌め合わせを用いた脱着機構により固定される。その固定が外れないように、前側頭部嵌合部35と前側頭部嵌合部24のそれぞれに設けられて貫通孔を一致させてネジ11(
図1参照)で固定する。なお、以下に説明する他の部位における固定用フレーム20と前分割フレーム30との嵌合・固定にも同様の脱着機構が用いられる。
【0028】
前フレーム本体31の下側前方部分に前頭部嵌合部34が、後側上方部分に前頂部嵌合部33が、それぞれ一段外側にオフセットして所定長だけ板状(リブ状)に延出している。前頭部嵌合部34は、前述した脱着機構により、前周囲固定フレーム21aの前頭部嵌合部26と嵌合・固定する。前頂部嵌合部33は、前述した脱着機構により、頂部固定フレーム22の前頂部嵌合部27と嵌合・固定する。
【0029】
また、前フレーム本体31には、10-20配置法にもとづいた所定位置、具体的には電極配置Fz、F3、F4の3箇所に、電極取付部39が脳波電極ユニット80の取り付け孔として設けられている。それら電極取付部39には、螺刻されたネジ穴が形成されており、脳波電極ユニット80が取り付けられる。
【0030】
<後分割フレーム40の構造>
後分割フレーム40は、後フレーム本体41と、固定用フレーム20との嵌合固定構造(後頂部嵌合部43、後頭部嵌合部44及び後側頭部嵌合部45)とを備える。
【0031】
後フレーム本体41は、硬質部材によって所定厚さで頭部99の後頭部の形状に沿うように内側に湾曲した曲面で形成されている。後フレーム本体41の内側には、後述するバルーン50のバルーン右後部54とバルーン左後部55が配置される。
【0032】
後フレーム本体41の左右の下側前方部分には、後側頭部嵌合部45が、一段外側にオフセットして所定長だけ板状(リブ状)に延出している。後側頭部嵌合部45は、前述した脱着機構により、固定用フレーム20の後側頭部嵌合部25と嵌合・固定される。
【0033】
同様に、後フレーム本体41の下側後方の部分に後頭部嵌合部44が、上側前方部分に後頂部嵌合部43が、それぞれ一段外側にオフセットして所定長だけ板状(リブ状)に延出している。後頭部嵌合部44は、前述した脱着機構により、後周囲固定フレーム21bの後頭部嵌合部23と嵌合・固定する。後頂部嵌合部43は、前述した脱着機構により、頂部固定フレーム22の後頂部嵌合部28と嵌合・固定する。
【0034】
後分割フレーム40には、10-20配置法にもとづいた所定位置、具体的には電極配置Pz、P3、P4、O1、O2の5箇所に、電極取付部49が取り付け孔として設けられている。それら電極取付部49には、螺刻されたネジ穴が形成されており、脳波電極ユニット80が取り付けられる。
【0035】
なお、固定用フレーム20と前分割フレーム30との脱着機構や固定用フレーム20と後分割フレーム40との脱着機構として、上記の嵌合機構に限らず、面ファスナ機構、螺合機構、マグネット接合機構、サムターン機構等の各種の機構を用いることができる。また、固定箇所に応じて、異なる機構を用いることもできる。
【0036】
また、上記脱着機構(嵌合機構)はネジ11で固定されたが、このとき一方(特に前分割フレーム30や後分割フレーム40側)のネジ穴を長孔としてネジ固定位置を可変とすることで前分割フレーム30や後分割フレーム40の取り付け位置を調整可能とし、それによって、脳波電極ユニット80の位置を調整するようにしてもよい。面ファスナ機構やマグネット接合機構を用いた場合においても、接合位置を調整することで同様の調整が可能である。
【0037】
<バルーン50(装着調整部材)の構造>
バルーン50は、フレーム10の内側(頭部99側)に取り付けられ、被験者の脳波測定装置1の装着状態を調整する。バルーン50は、ポリエステル等の気密性を有する材料で構成された空気室を有する複数の部材を有して構成されており、空気室に充填される空気の量を調整することで、すなわち空気室の膨張状態を調整することで、脳波測定装置1の頭部99への装着状態を調整することができる。なお、バルーン50の頭頂部(すなわち頭頂連結部61)には空気室は設けられておらず膨張することはなく、空気室を膨張させることでバルーン50(すなわち脳波測定装置1)が頭部99から浮き上がってしまうことがない。
【0038】
図3に示すように、バルーン50は、バルーン頭囲部51と、バルーン右前部52と、バルーン左前部53と、バルーン右後部54と、バルーン左後部55とを有する。詳細は後述するが、バルーン右前部52と、バルーン左前部53と、バルーン右後部54と、バルーン左後部55は、それぞれ内部に空気室を有する長尺の中空部材であって、それぞれの一方の端部を頭頂部分に設けられた頭頂連結部61で連結し、それぞれの他方の端部をバルーン頭囲部51の所定の位置(第1~第4頭囲連結部65a~65d)で連結する。
【0039】
<バルーン頭囲部51>
バルーン頭囲部51は、中空体を環状に構成した形状を有しており、周囲固定フレーム21の内面に取り付けられる。言い換えると、被験者が脳波測定装置1を装着したときに、バルーン頭囲部51は頭囲(額、側頭部、後頭部)と周囲固定フレーム21の間に配置される。
【0040】
バルーン頭囲部51は、環状の二つの中空体が上下2段に重ねて配置された構成となっており、上側の第1バルーン頭囲部51aと下側の第2バルーン頭囲部51bとを有する。第1バルーン頭囲部51aは、内部に環状の空気室を有している。第2バルーン頭囲部51bも、同様に環状の空気室が設けられている。
【0041】
第1バルーン頭囲部51aと第2バルーン頭囲部51bとは、それらの空気室が連通した構造となっており、共通のチェックバルブ59が設けられている。チェックバルブ59にはエアポンプが接続され、エアポンプからバルーン頭囲部51(第1バルーン頭囲部51a、第2バルーン頭囲部51b)の内部の空気室に空気が導入され、また外部に空気が排出される。導入する空気量を調整することで、バルーン頭囲部51の膨張量を調整することができる。チェックバルブ59を開放することで、前バルーン頭囲部46内の空気を排出する。なお、バルーン50の他の構成(バルーン右前部52、バルーン左前部53、バルーン右後部54、バルーン左後部55)にもチェックバルブ59が設けられ、同様の機能を有する。
【0042】
第1バルーン頭囲部51aと第2バルーン頭囲部51bの各空気室は連通せず独立した構成であってもよい。また、第1バルーン頭囲部51aと第2バルーン頭囲部51bのそれぞれにおいて複数の空気室が設けられてもよく、それらは連通してもよいし独立して構成されてもよい。なお、独立した空気室の数に応じてチェックバルブ59が設けられる。空気室を多く設けることで、脳波測定装置1を装着したときの装着状態を細かく調整することができる。
【0043】
<バルーン右前部52>
バルーン右前部52は、第1バルーン頭囲部51aの上部部分において前頭部位置(額位置)と右側頭部位置の略中間位置に設けられた第1頭囲連結部65aと、頭頂連結部61の外縁であって前頭部位置と右側頭部位置の略中間位置との間を上下にわたすように取り付けられている。このとき、バルーン右前部52は、前分割フレーム30の電極取付部39を避けるように設けられ、電極取付部39に取り付けられる脳波電極ユニット80が頭部99に接触することを妨げない。
【0044】
バルーン右前部52は、長尺の中空部材を縦に2列重ねた構成であって、前側の第1バルーン右前部52aと後側の第2バルーン右前部52bとを有する。第1バルーン右前部52aの空気室と第2バルーン右前部52bの空気室は連通しており、共通のチェックバルブ59が設けられている。なお、第1バルーン右前部52aと第2バルーン右前部52bの各空気室は連通せず独立した構成であってもよい。また、第1バルーン右前部52aと第2バルーン右前部52bのそれぞれにおいて複数の空気室が設けられてもよく、それらは連通してもよいし独立して構成されてもよい。独立した空気室の数に応じてチェックバルブ59が設けられる。空気室を多く設けることで、脳波測定装置1を装着したときの装着状態を細かく調整することができる。
【0045】
<バルーン左前部53>
バルーン左前部53は、第1バルーン頭囲部51aの上部部分において前頭部位置と左側頭部位置の略中間位置に設けられた第2頭囲連結部65bと、頭頂連結部61の外縁であって前頭部位置と左側頭部位置の略中間位置との間を上下にわたすように取り付けられている。このとき、バルーン左前部53は、前分割フレーム30の電極取付部39を避けるように設けられ、電極取付部39に取り付けられる脳波電極ユニット80が頭部99に接触することを妨げない。
【0046】
バルーン左前部53は、長尺の中空部材を縦に2列重ねた構成であって、前側の第1バルーン左前部53aと後側の第2バルーン左前部53bとを有する。第1バルーン左前部53aの空気室と第2バルーン左前部53bの空気室は連通しており、共通のチェックバルブ59が設けられている。なお、第1バルーン左前部53aと第2バルーン左前部53bの各空気室は連通せず独立した構成であってもよい。また、第1バルーン左前部53aと第2バルーン左前部53bのそれぞれにおいて複数の空気室が設けられてもよく、それらは連通してもよいし独立して構成されてもよい。独立した空気室の数に応じてチェックバルブ59が設けられる。空気室を多く設けることで、脳波測定装置1を装着したときの装着状態を細かく調整することができる。
【0047】
<バルーン右後部54>
バルーン右後部54は、第1バルーン頭囲部51aの上部部分において後頭部位置と右側頭部位置の略中間位置に設けられた第3頭囲連結部65cと、頭頂連結部61の外縁であって後頭部位置と右側頭部位置の略中間位置との間を上下にわたすように取り付けられている。このとき、バルーン右後部54は、前分割フレーム30の電極取付部39を避けるように設けられ、電極取付部39に取り付けられる脳波電極ユニット80が頭部99に接触することを妨げない。
【0048】
バルーン右後部54は、長尺の中空部材を縦に2列重ねた構成であって、後側(後頭部側)の第1バルーン右後部54aと前側の第2バルーン右後部54bとを有する。第1バルーン右後部54aの空気室と第2バルーン右後部54bの空気室は連通しており、共通のチェックバルブ59が設けられている。なお、第1バルーン右後部54aと第2バルーン右後部54bの各空気室は連通せず独立した構成であってもよい。また、第1バルーン右後部54aと第2バルーン右後部54bのそれぞれにおいて複数の空気室が設けられてもよく、それらは連通してもよいし独立して構成されてもよい。独立した空気室の数に応じてチェックバルブ59が設けられる。空気室を多く設けることで、脳波測定装置1を装着したときの装着状態を細かく調整することができる。
【0049】
<バルーン左後部55>
バルーン左後部55は、第1バルーン頭囲部51aの上部部分において後頭部位置と左側頭部位置の略中間位置に設けられた第4頭囲連結部65dと、頭頂連結部61の外縁であって後頭部位置と左側頭部位置の略中間位置との間を上下にわたすように取り付けられている。このとき、バルーン左後部55は、前分割フレーム30の電極取付部39を避けるように設けられ、電極取付部39に取り付けられる脳波電極ユニット80が頭部99に接触することを妨げない。
【0050】
バルーン左後部55は、長尺の中空部材を縦に2列重ねた構成であって、後側(後頭部側)の第1バルーン左後部55aと前側の第2バルーン左後部55bとを有する。第1バルーン左後部55aの空気室と第2バルーン左後部55bの空気室は連通しており、共通のチェックバルブ59が設けられている。なお、第1バルーン左後部55aと第2バルーン左後部55bの各空気室は連通せず独立した構成であってもよい。また、第1バルーン左後部55aと第2バルーン左後部55bのそれぞれにおいて複数の空気室が設けられてもよく、それらは連通してもよいし独立して構成されてもよい。独立した空気室の数に応じてチェックバルブ59が設けられる。空気室を多く設けることで、脳波測定装置1を装着したときの装着状態を細かく調整することができる。
【0051】
<バルーン50とフレーム10との取り付け構造(面ファスナ)>
固定用フレーム20の内側の複数箇所に、バルーン50を取り付けるための固定部材が設けられている。ここでは、固定部材として、面ファスナ70のフック面71が固定用フレーム20に、ループ面72がバルーン50に取り付けられている。例えば、固定用フレーム20の内面であって、額部分、側頭部部分(連結部21cの内面側の2箇所)、後頭部部分および頭頂部分の計5箇所に、面ファスナ70のフック面71が設けられている。それらに対応して、バルーン50のバルーン頭囲部51の額部分、側頭部部分、後頭部部分および頭頂連結部61の内面側部分の計5箇所に、面ファスナ70のループ面72が設けられている。
面ファスナ70(フック面71、ループ面72)が設けられる場所および数はこれに限る趣旨でなく、バルーン50がフレーム10に適切に取り付けられる場所および数であればよい。
【0052】
<脳波電極ユニット80>
図4に脳波電極ユニット80の正面図を示す。脳波電極ユニット80は略円柱状の胴部81と、その一端側(図中下側)に設けられた電極突起部83とを有する。胴部81の側面部分には螺刻が設けられ、上述した電極取付部39、49に設けられたネジ孔にネジ嵌合される。
【0053】
脳波電極ユニット80の一端(図示上側の端部)には信号取出部85が形成されている。脳波電極ユニット80の他端(図示下側の端部)には電極突起部83が設けられている。電極突起部83は、例えば所定形状のゴム状の弾性体(シリコーンゴムなど)の構造に、導電性の電極部材を設け、電極部材で検出した信号を信号線で信号取出部85から取り出すようになっている。
【0054】
電極突起部83が呈するゴム状の弾性体の所定形状は、例えば、円柱状の基部から、複数の突起部が円環状に延出する形状である。突起部に導電性の電極部材が設けられる。
脳波電極ユニット80を電極取付部39、49にネジ嵌合する際に、頭部99側への突出量を調整することで、頭皮(頭部99)と電極突起部83との接触圧力を調整することができる。
【0055】
<脳波測定装置1の装着・調整方法>
以上の構成の脳波測定装置1について、頭部99への装着・調整方法について説明する。
装置準備工程として、固定用フレーム20に前分割フレーム30と後分割フレーム40とを取り付けフレーム10を組み付ける。さらに、組み上がったフレーム10の内面にバルーン50を取り付ける。このとき、バルーン50には空気が導入済みであってもよい。
【0056】
つづいて、装着工程として、検査担当者は、被験者の頭部99にバルーン50が取り付けられているフレーム10を装着する。
【0057】
次に、調整工程として、検査担当者は、フレーム10と頭部99の装着状態を調整する。バルーン50と頭部99との装着に緩みがあれば、緩みが生じている部分の空気室にエアポンプから空気を補充する。被験者が装着状態がきついと感じているようであれば、きついと感じている部分のバルーン50の空気を抜く。
【0058】
装着状態の調整後、電極装着工程として、フレーム10の電極取付部39に脳波電極ユニット80を取り付ける。必要に応じて検査担当者は交換工程を行う。すなわち脳波電極ユニット80を電極取付部39に取り付けたときに、頭部99への装着状態に調整が必要な場合、また、取り付けられている脳波電極ユニット80の調整・交換が必要な場合などに、検査担当者は、調整等の対象となる脳波電極ユニット80を取り外し交換する。必要に応じて後分割フレーム30ごと取りはずして交換する。
【0059】
以上、本実施形態の脳波測定装置1の特徴を纏めると次の通りである。
(1)脳波測定装置1は、頭部99に装着されるフレーム10と、
フレーム10に取り付けられた脳波電極ユニット80(脳波電極)と、
フレーム10の頭部99側に設けられ、内部に気体を導入することで膨らむバルーン50と、を有し、
バルーン50は、脳波電極ユニット80が設けられていない領域に設けられている。
バルーン50は、脳波電極ユニット80の取り付けに影響を及ぼすことなく、頭部99の装着状態を調整することができる。
(2)バルーン50は、フレーム10と脱着可能に設けられている。
バルーン50が脱着可能であるので、バルーン50が破損等した場合に、バルーン50のみを交換することで対応することができる。
(3)バルーン50は、連通する複数の空気室を備えて構成されている。
連通する空気室単位でバルーン50の膨張状態を調整することができる。
(4)バルーン50は、フレーム10を頭部に装着したときに頭頂部となる領域には設けられていない。
バルーン50を膨張させたときでも、脳波測定装置1(すなちフレーム10)が浮き上がることを防ぐことができる。
(5)バルーン50に接続され、バルーン50の内部に気体(ここでは空気)を導入するポンプを有する。
バルーン50の膨張状態の調整が簡易的に行うことができる。
【0060】
<<第2の実施形態>>
本発明の第2の実施形態を
図5を参照して説明する。
図5は脳波電極ユニット280を電極保持部240に取り付けた状態の脳波測定装置201の一部を示した縦断面図である。
【0061】
本実施形態では、第1の実施形態の前分割フレーム30の電極取付部39や後分割フレーム40の電極取付部49の代わりに、電極保持部240が設けられる。電極保持部240に脳波電極ユニット280が取り付けられる。
【0062】
<脳波電極ユニット280>
脳波電極ユニット280は、キャップ部220及び外筒部230からなる基部と、プランジャ部241と、圧縮バネ250とを有し、圧力調整機構を実現している。
【0063】
プランジャ部241のプランジャ先端部245には、電極突起部283が取り付けられている。電極突起部283には、信号線(図示せず)が取り付けられており、例えば外筒部230の内部を通りキャップ部220から外部に引き出される。
【0064】
<圧力調整機構>
外筒部230の内周面上部には螺刻部226が設けられている。キャップ部220は下側に凸の円柱形状となっており、周面に螺刻部224を有する。圧縮バネ250が、キャップ部220の下側端部222とプランジャ部241のプランジャ上端部246との間に配置される。圧縮バネ250は、プランジャ部241を頭部99の方向に付勢する。
【0065】
外筒部230の螺刻部226とキャップ部220の螺刻部224とが螺嵌し、キャップ部220の外筒部230への挿入量を調整することで、電極保持部240からの電極突起部283の突出量を調整できる。プランジャ部241を変えたり、圧縮バネ250を変えたりすることで、様々な被験者に対応することができ、不快感を与えること無く、安定した良好な脳波測定を実現できる。
【0066】
<方向調整機構>
方向調整機構は、球体部270と、ハウジング部260と、球体固定部290とを有する。球体部270は、脳波電極ユニット280の外筒部230の周囲に球状に設けられている。言い換えると、脳波電極ユニット280が球体の球体部270を貫通する構成となっている。
【0067】
ハウジング部260は、電極保持部240と一体に、上方向に凸の筒状に設けられている。ハウジング部260は、球体部270とともに球対偶を成す球体収容面263を有する。球体収容面263の中心には開口部265が設けられ、脳波電極ユニット280がその開口部265を貫通する。ハウジング部260の外周面には螺刻部269が設けられている。
【0068】
球体固定部290は、リング状に形成されており、リング中心の開口から脳波電極ユニット280が貫通する。球体固定部290の内面には押さえ面291と、螺刻部299が設けられている。
【0069】
ハウジング部260の螺刻部269と球体固定部の螺刻部299とが螺嵌し、球体固定部290を操作することで、球体部270をハウジング部260(より具体的には球体収容面263)に固定したり固定を解除したりすることができる。
【0070】
なお、球体収容面263や、球体部270、押さえ面291の形状はそれぞれの機能を発揮する限り各種の形状を取り得る。
【0071】
球体部270がハウジング部260に固定されていない状態では、球体部270は回動自在であり、球体部270と一体の脳波電極ユニット280(電極突起部283)の向きを調整することができる。脳波電極ユニット280の向きの調整は個別に可能である。
【0072】
このような構成とすることで、頭部99に装着したときに、脳波電極ユニット280の向きが不適当(言い換えると調整が必要)なものがある場合には、不適当とされた脳波電極ユニット210について個別に調整でき、調整が不要な脳波電極ユニット280の頭部99への接触状態に影響を与えることはない。
【0073】
このような構成とすることで、頭部99に装着したときに、脳波電極ユニット280の向きが不適当(言い換えると調整が必要)なものがある場合には、不適当とされた脳波電極ユニット210について個別に調整でき、調整が不要な脳波電極ユニット210の頭部99への接触状態に影響を与えることはない。
【0074】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な変形例を採用することもできる。例えば、バルーン50のバルーン右前部52、バルーン左前部53、バルーン右後部54及びバルーン左後部55は、周囲固定フレーム21と頭頂連結部61とに固定されずに、面ファスナ等によって取り外し可能であって固定位置を調整できるようにしてもよい。また、第2の実施形態において、前分割フレーム30や後分割フレーム40における電極保持部240の位置を調整可能とする位置調整機構が設けられてもよい。そのような位置調整機構として、例えば、前分割フレーム30や後分割フレーム40に設けた溝を電極保持部240がスライドして、締結手段(ネジやレバー型ロックなど)で所望の位置でロックされる構成を用いることができる。
【符号の説明】
【0075】
1、201 脳波測定装置
10 フレーム
20 固定用フレーム
21 周囲固定フレーム
22 頂部固定フレーム
30 前分割フレーム
31 前フレーム本体
39、49 電極取付部
40 後分割フレーム
41 後フレーム本体
50 バルーン
51 バルーン頭囲部
52 バルーン右前部
53 バルーン左前部
54 バルーン右後部
55 バルーン左後部
70 面ファスナ
80 脳波電極ユニット
81 胴部
83、283 電極突起部
220 キャップ部
222 下側端部
224、226、269、299 螺刻部
230 外筒部
241 プランジャ部
245 プランジャ先端部
246 プランジャ上端部
250 圧縮バネ
260 ハウジング部
263 球体収容面
265 開口部
270 球体部
290 球体固定部
291 押さえ面