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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035378
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】後方から移乗可能な移動補助器
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20230306BHJP
   A61H 1/02 20060101ALN20230306BHJP
【FI】
A61H3/04
A61H1/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142188
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】592078597
【氏名又は名称】タマチ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 邦博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光盛
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046AA27
4C046AA42
4C046BB07
4C046CC01
4C046CC04
4C046DD27
4C046DD33
4C046FF02
4C046FF11
(57)【要約】
【課題】後方からの移乗を容易に実行可能な移動補助器を提供する。
【解決手段】移動補助器は、複数の車輪と、ユーザが着座可能な座部と、座部を支持する座部支持部と、平面視で座部よりも左側に配置される左側手摺りと、平面視で座部よりも右側に配置される右側手摺りと、平面視で座部よりも前方に配置されるハンドレストと、平面視で座部よりも後方に配置される背もたれと、を具備する。背もたれの状態を、ユーザが後方から座部にアプローチすることを許容する背もたれ退避状態と、座部に着座するユーザの背部に接触可能な背もたれ有効状態との間で状態変更可能である。座部支持部の左側に配置される左側空間は、ユーザの左足が後方から前方に向けて座部支持部の左側を通過することを許容する。座部支持部の右側に配置される右側空間は、ユーザの右足が後方から前方に向けて座部支持部の右側を通過することを許容する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪と、
ユーザが着座可能な座部と、
前記座部を支持する座部支持部と、
平面視で前記座部よりも左側に配置される左側手摺りと、
平面視で前記座部よりも右側に配置される右側手摺りと、
平面視で前記座部よりも前方に配置されるハンドレストと、
平面視で前記座部よりも後方に配置される背もたれと
を具備し、
前記背もたれの状態を、前記ユーザが後方から前記座部にアプローチすることを許容する背もたれ退避状態と、前記座部に着座する前記ユーザの背部に接触可能な背もたれ有効状態との間で状態変更可能であり、
前記座部支持部の左側に配置される左側空間は、前記ユーザの左足が後方から前方に向けて前記座部支持部の左側を通過することを許容し、
前記座部支持部の右側に配置される右側空間は、前記ユーザの右足が後方から前方に向けて前記座部支持部の右側を通過することを許容する
後方から移乗可能な移動補助器。
【請求項2】
前記ハンドレストの状態を、前記ユーザが前記ハンドレストを横切って移動することを許容するハンドレスト退避状態と、前記ユーザの手を支持可能なハンドレスト有効状態との間で状態変更可能である
請求項1に記載の後方から移乗可能な移動補助器。
【請求項3】
前記背もたれの状態が前記背もたれ退避状態であり、かつ、前記ハンドレストの状態が前記ハンドレスト退避状態であるとき、前記座部支持部の左側には、移動補助器後端から移動補助器前端にわたって前記ユーザの前記左足が通過可能な左足通過可能領域が形成され、前記座部支持部の右側には、移動補助器後端から移動補助器前端にわたって前記ユーザの前記右足が通過可能な右足通過可能領域が形成される
請求項2に記載の後方から移乗可能な移動補助器。
【請求項4】
前記座部よりも左側に配置される部材と、前記座部よりも右側に配置される部材とを連結する連結部材を更に具備し、
全ての前記連結部材は、前記ハンドレスト退避状態の前記ハンドレストを横切るように前記ユーザが移動する際に前記ユーザの足が引っ掛からない位置に配置されている
請求項2または3に記載の後方から移乗可能な移動補助器。
【請求項5】
前記ハンドレストは、左側ハンドレストと、右側ハンドレストとを含み、
前記ハンドレストの状態が前記ハンドレスト退避状態であるとき、前記左側ハンドレストと前記右側ハンドレストとは互いに分離され、
前記ハンドレストの状態が前記ハンドレスト有効状態であるとき、前記左側ハンドレストと前記右側ハンドレストとは互いに連結される
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の後方から移乗可能な移動補助器。
【請求項6】
前記背もたれは、左側背もたれと、右側背もたれとを含み、
前記背もたれの状態が前記背もたれ退避状態であるとき、前記左側背もたれと前記右側背もたれとは互いに分離され、
前記背もたれの状態が前記背もたれ有効状態であるとき、前記左側背もたれと前記右側背もたれとは互いに連結される
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の後方から移乗可能な移動補助器。
【請求項7】
前記座部は昇降可能であり、
前記ハンドレストの上下方向位置を調整可能であり、
前記ハンドレストの前後方向位置を調整可能であり、
座位姿勢の前記ユーザによって使用される際の小回り特性が向上するように、前方車輪を後方車輪から相対的に近い位置に配置可能であり、立位姿勢の前記ユーザによって使用される際の安定性が向上するように、前記前方車輪を前記後方車輪から相対的に遠い位置に配置可能である
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の移乗可能な移動補助器。
【請求項8】
前記複数の車輪は、
最下位置にある前記座部の中心よりも前方に配置される前方車輪と、
最下位置にある前記座部の中心よりも後方に配置される後方車輪と、
前記前方車輪よりも後方、かつ、前記後方車輪よりも前方に配置され、移動補助器方向転換時の旋回半径を低減する中間車輪と
を含む
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の移乗可能な移動補助器。
【請求項9】
前記前方車輪は、左側前方車輪と、右側前方車輪とを含み、
前記中間車輪は、左側中間車輪と、右側中間車輪とを含み、
前記後方車輪は、左側後方車輪と、右側後方車輪とを含み、
前記左側後方車輪および前記左側中間車輪は、第1棒部材に取り付けられ、
前記左側前方車輪は、前記第1棒部材に対して前後方向に位置調整可能な第2棒部材に取り付けられる
請求項8に記載の移乗可能な移動補助器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方から移乗可能な移動補助器に関する。
【背景技術】
【0002】
足腰の不自由なユーザの移動を補助する移動補助器が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、歩行補助椅子が開示されている。特許文献1に記載の歩行補助椅子は、駆動輪を備える車両部と、昇降座面と、車両部と昇降座面との間に配置される座面昇降機構と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6549287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、後方からの移乗を容易に実行可能な移動補助器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0007】
いくつかの実施形態における後方から移乗可能な移動補助器は、複数の車輪(2)と、ユーザが着座可能な座部(3)と、前記座部(3)を支持する座部支持部(4)と、平面視で前記座部(3)よりも左側に配置される左側手摺り(52L)と、平面視で前記座部(3)よりも右側に配置される右側手摺り(52R)と、平面視で前記座部(3)よりも前方に配置されるハンドレスト(60)と、平面視で前記座部(3)よりも後方に配置される背もたれ(70)とを具備する。前記背もたれ(70)の状態を、前記ユーザが後方から前記座部(3)にアプローチすることを許容する背もたれ退避状態と、前記座部(3)に着座する前記ユーザの背部に接触可能な背もたれ有効状態との間で状態変更可能である。前記座部支持部(4)の左側に配置される左側空間(SL)は、前記ユーザの左足が後方から前方に向けて前記座部支持部(4)の左側を通過することを許容する。前記座部支持部の右側に配置される右側空間(SR)は、前記ユーザの右足が後方から前方に向けて前記座部支持部(4)の右側を通過することを許容する。
【0008】
上述の後方から移乗可能な移動補助器において、前記ハンドレスト(60)の状態を、前記ユーザが前記ハンドレスト(60)を横切って移動することを許容するハンドレスト退避状態と、前記ユーザの手を支持可能なハンドレスト有効状態との間で状態変更可能であってもよい。
【0009】
上述の後方から移乗可能な移動補助器において、前記背もたれ(70)の状態が前記背もたれ退避状態であり、かつ、前記ハンドレスト(60)の状態が前記ハンドレスト退避状態であるとき、前記座部支持部(4)の左側には、移動補助器後端から移動補助器前端にわたって前記ユーザの前記左足が通過可能な左足通過可能領域(AL)が形成され、前記座部支持部(4)の右側には、移動補助器後端から移動補助器前端にわたって前記ユーザの前記右足が通過可能な右足通過可能領域(AR)が形成されてもよい。
【0010】
上述の後方から移乗可能な移動補助器は、前記座部(3)よりも左側に配置される部材(81L)と、前記座部(3)よりも右側に配置される部材(81R)とを連結する連結部材(85)を更に具備していてもよい。また、全ての前記連結部材(85)は、前記ハンドレスト退避状態の前記ハンドレスト(60)を横切るように前記ユーザが移動する際に前記ユーザの足が引っ掛からない位置に配置されていてもよい。
【0011】
上述の後方から移乗可能な移動補助器において、前記ハンドレスト(60)は、左側ハンドレスト(60L)と、右側ハンドレスト(60R)とを含んでいてもよい。前記ハンドレスト(60)の状態が前記ハンドレスト退避状態であるとき、前記左側ハンドレスト(60L)と前記右側ハンドレスト(60R)とは互いに分離され、前記ハンドレスト(60)の状態が前記ハンドレスト有効状態であるとき、前記左側ハンドレスト(60L)と前記右側ハンドレスト(60R)とは互いに連結されてもよい。
【0012】
上述の後方から移乗可能な移動補助器において、前記背もたれ(70)は、左側背もたれ(70L)と、右側背もたれ(70R)とを含んでいてもよい。前記背もたれ(70)の状態が前記背もたれ退避状態であるとき、前記左側背もたれ(70L)と前記右側背もたれ(70R)とは互いに分離され、前記背もたれ(70)の状態が前記背もたれ有効状態であるとき、前記左側背もたれ(70L)と前記右側背もたれ(70R)とは互いに連結されてもよい。
【0013】
上述の後方から移乗可能な移動補助器において、前記座部(3)は昇降可能であってもよい。前記ハンドレスト(60)の上下方向位置を調整可能であってもよい。また、前記ハンドレスト(60)の前後方向位置を調整可能であってもよい。さらに、座位姿勢の前記ユーザによって使用される際の小回り特性が向上するように、前方車輪(21L)を後方車輪(23L)から相対的に近い位置に配置可能であり、立位姿勢の前記ユーザによって使用される際の安定性が向上するように、前記前方車輪(21L)を前記後方車輪(23L)から相対的に遠い位置に配置可能であってもよい。
【0014】
上述の後方から移乗可能な移動補助器において、前記複数の車輪(2)は、最下位置にある前記座部(3)の中心よりも前方に配置される前方車輪(21L、21R)と、最下位置にある前記座部(3)の中心よりも後方に配置される後方車輪(23L、23R)と、前記前方車輪(21L、21R)よりも後方、かつ、前記後方車輪(23L、23R)よりも前方に配置され、移動補助器方向転換時の旋回半径を低減する中間車輪(22L、22R)とを含んでいてもよい。
【0015】
上述の後方から移乗可能な移動補助器において、前記前方車輪(21L、21R)は、左側前方車輪(21L)と、右側前方車輪(21R)とを含んでいてもよく、前記中間車輪(22L、22R)は、左側中間車輪(22L)と、右側中間車輪(22R)とを含んでいてもよく、前記後方車輪(23L、23R)は、左側後方車輪(23L)と、右側後方車輪(23R)とを含んでいてもよい。前記左側後方車輪(23L)および前記左側中間車輪(22L)は、第1棒部材(811L)に取り付けられていてもよい。また、前記左側前方車輪(21L)は、前記第1棒部材(811L)に対して前後方向に位置調整可能な第2棒部材(812L)に取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、後方からの移乗を容易に実行可能な移動補助器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略斜視図である。
図2図2は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略斜視図である。
図3図3は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略2面図である。
図4図4は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略側面図である。
図5図5は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略側面図である。
図6図6は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略斜視図である。
図7図7は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略正面図である。
図8図8は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略側面図である。
図9図9は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略斜視図である。
図10図10は、実施形態における移動補助器を模式的に示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態における後方から移乗可能な移動補助器1に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しとなる説明は省略される。
【0019】
(方向の定義)
本明細書において、平面視において、背もたれ70が配置される側を後方と定義し、ハンドレスト60が配置される側を前方と定義する。また、後方から前方に向かう方向に見て、右側を「右側」と定義し、後方から前方に向かう方向に見て、左側を「左側」と定義する。
【0020】
図1乃至図10を参照して、実施形態における後方から移乗可能な移動補助器1について説明する。図1および図2は、実施形態における移動補助器1を模式的に示す概略斜視図である。図3は、実施形態における移動補助器1を模式的に示す概略2面図である。図3の上側には、概略平面図が記載され、図3の下側には、概略側面図が記載されている。図4および図5は、実施形態における移動補助器1を模式的に示す概略側面図である。なお、図4(a)および図5(a)は、座部3が下方位置にある状態を示し、図4(b)および図5(b)は、座部3が上方位置にある状態を示す。図6は、実施形態における移動補助器1を模式的に示す概略斜視図である。図7は、実施形態における移動補助器1を模式的に示す概略正面図である。図8は、実施形態における移動補助器1を模式的に示す概略側面図である。なお、図8(a)は、パーキングブレーキ86が非作動状態である様子を示し、図8(b)は、パーキングブレーキ86が作動状態である様子を示す。図9は、実施形態における移動補助器1を模式的に示す概略斜視図である。なお、図9(a)は、ハンドレスト60および背もたれ70が有効状態である様子を示し、図9(b)は、ハンドレスト60および背もたれ70が退避状態である様子を示す。図10は、実施形態における移動補助器1を模式的に示す概略斜視図である。なお、図10(a)は、フットレスト56が有効状態である様子を示し、図10(b)は、フットレスト56が退避状態である様子を示す。
【0021】
図1に例示されるように、移動補助器1は、複数の車輪2と、座部3と、座部支持部4と、左側手摺り52Lと、右側手摺り52Rと、ハンドレスト60と、背もたれ70と、を備える。
【0022】
複数の車輪2は、移動補助器1の底部に配置され、床あるいは地面に対して転動する。図1に記載の例では、移動補助器1の全ての車輪2は、従動車輪(換言すれば、非駆動輪)であるが、代替的に、複数の車輪2のうちの少なくとも1つがモータ等によって駆動される駆動輪であってもよい。
【0023】
座部3には、ユーザが着座可能である。図1に記載の例では、座部3は、サドル型の座部である。より具体的には、座部3の幅は、ユーザの尻幅よりも狭く、典型的には、当該座部3の幅は、25cm以下である。また、図1に記載の例では、座部3は、平面視で、前方に向かうにつれて幅が狭くなる先細り形状を有する。座部3が先細り形状を有する場合、座部3に着座したユーザは、自身の両脚を交互に運動させやすい。
【0024】
座部支持部4は、座部3を支持する。図1に記載の例では、座部支持部4の下端部は、ベース8(より具体的には、連結部材85)に取り付けられ、座部支持部4の上端部は、座部3に取り付けられている。
【0025】
左側手摺り52Lは、平面視で座部3よりも左側に配置され、右側手摺り52Rは、平面視で座部3よりも右側に配置される。左側手摺り52Lおよび右側手摺り52Rは、ユーザが移動補助器1の内側を前後方向に移動する際に、ユーザが把持可能な位置に配置される。
【0026】
ハンドレスト60は、平面視で座部3よりも前方に配置される。図1に記載の例では、ハンドレスト60は、座部3に着座したユーザが把持可能な位置に配置されている。ユーザは、ハンドレスト60を把持した状態で、移動補助器1とともに移動することが可能である。
【0027】
背もたれ70は、平面視で座部3よりも後方に配置される。図1に記載の例では、背もたれ70は、座部3に着座したユーザの背部の一部に接触可能な位置に配置されている。
【0028】
図1および図2に記載の例では、背もたれ70の状態を、ユーザが移動補助器1の後方から座部3にアプローチすることを許容する背もたれ退避状態(図2を参照。)と、座部3に着座するユーザの背部に接触可能な背もたれ有効状態(図1を参照。)との間で状態変更可能である。
【0029】
図3に記載の例では、座部支持部4の左側には(より具体的には、平面視において、座部支持部4と左側手摺り52Lとの間には)、左側空間SLが配置されている。当該左側空間SLは、ユーザの左足が後方から前方に向けて座部支持部4の左側を通過することを許容する。同様に、図3に記載の例では、座部支持部4の右側には(より具体的には、平面視において、座部支持部4と右側手摺り52Rとの間には)、右側空間SRが配置されている。当該右側空間SRは、ユーザの右足が後方から前方に向けて座部支持部4の右側を通過することを許容する。
【0030】
実施形態における移動補助器1は、背もたれ退避状態に状態変更可能な背もたれ70を有し、座部支持部4の左側の左側空間SLによって、後方から前方に向けてユーザの左足が座部支持部4の左側を通過することが許容され、座部支持部4の右側の右側空間SRによって、後方から前方に向けてユーザの右足が座部支持部4の右側を通過することが許容される。よって、ユーザは、背もたれ70の状態が背もたれ退避状態であるときに、移動補助器1の後端よりも後方の座(例えば、移動補助器1の後端よりも後方のベッド100等)から、移動補助器1の座部3に、一人で容易に移乗することができる。
【0031】
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図10を参照して、実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0032】
(駆動装置45)
図4(b)に記載の例では、移動補助器1は、座部3を上昇させる駆動装置45を備える。図4(a)および図4(b)に記載の例では、駆動装置45は、座部3を、前方かつ上方に向けて移動させることができる。駆動装置45は、モータによって構成されていてもよく、流体圧アクチュエータによって構成されていてもよい。駆動装置45は、座部3を上昇させることにより(より具体的には、座部3を前方かつ上方に向けて移動させることにより)、座位姿勢から立位姿勢へのユーザの姿勢変更をアシストする。
【0033】
図4(b)に記載の例では、駆動装置45は、有線または無線によって、リモートコントローラ47と信号伝達可能に接続されている。リモートコントローラ47の上昇操作部が操作されると、駆動装置45は、座部3を上昇させる。また、リモートコントローラ47の下降操作部が操作されると、駆動装置45は、座部3を下降させる。リモートコントローラ47は、移動補助器1に固定されているか、あるいは、移動補助器1に対して着脱可能であることが好ましい。
【0034】
図4(a)に記載の例では、座部支持部4は、伸縮機構41を含み、駆動装置45は、伸縮機構41を介して、座部3を昇降させる。図4(b)に記載の例では、伸縮機構41は、パンタグラフ式の伸縮機構であるが、伸縮機構41は、その他の形式の伸縮機構であってもよい。伸縮機構41は、座部3が下方位置から上方位置に移動される際に、座部3の前端が座部3の後端よりも低くなるように座部3を傾動させるように構成されていることが好ましい。
【0035】
図4(b)に記載の例において、移動補助器1は、歩行補助器として機能する。より具体的には、立位姿勢のユーザは、ハンドレスト60を把持した状態で歩行することにより、移動補助器1とともに移動することができる。図4(a)および図4(b)に記載の例では、座位姿勢から立位姿勢への姿勢変更が、駆動装置45の駆動力によって上昇する座部3によってアシストされるため、足腰が弱くなってきた人が、一人で容易に歩行訓練を行うことができる。また、座位姿勢から立位姿勢への姿勢変更をユーザが一人で行うことができるため、介助者の負担が軽減される。
【0036】
図5(b)に記載の例では、移動補助器1は、座部3を前方かつ上方に向けて移動させる駆動装置45を備える。また、図5(a)および図5(b)に記載の例では、ハンドレスト60の位置を、座位姿勢のユーザが把持し易い位置と、立位姿勢のユーザが把持し易い位置との間で位置変更可能である。この場合、ユーザが立位姿勢であるか座位姿勢であるかに応じて、ハンドレスト60の位置を最適化することができる。立位姿勢のユーザの手の位置は、座位姿勢のユーザの手の位置よりも高い。よって、図5(b)に例示されるように、座部3が上方位置にある場合には、ハンドレスト60の位置は、相対的に高い位置にあることが好ましく、図5(a)に例示されるように、座部3が下方位置にある場合には、ハンドレスト60の位置は、相対的に低い位置にあることが好ましい。また、図5(a)および図5(b)に記載の例では、座部3が上昇することにより、ユーザは座部3によって前方に押し出される。よって、座部3が上方位置にある際のハンドレスト60の前後方向位置(図5(b)を参照。)は、座部3が下方位置にある際のハンドレストの前後方向位置(図5(a)を参照。)と比較して、相対的に前方にあることが好ましい。
【0037】
図5(a)および図5(b)に例示されるように、後方車輪23Lに対する前方車輪21Lの位置を、前後方向に位置調整可能であってもよい。図5(a)に記載の例では、座位姿勢のユーザによって使用される移動補助器1の小回り特性が向上するように、前方車輪21Lが後方車輪23Lから相対的に近い位置に配置されている。図5(b)に記載の例では、立位姿勢のユーザによって使用される移動補助器1の安定性が向上するように、前方車輪21Lが後方車輪23Lから相対的に遠い位置に配置されている。
【0038】
(状態変更可能なハンドレスト60)
図1および図2に記載の例では、ハンドレスト60の状態を、ハンドレスト退避状態(図2を参照。)と、ハンドレスト有効状態(図1を参照。)との間で状態変更可能である。ハンドレスト60の状態が、ハンドレスト退避状態であるとき、ユーザは、ハンドレスト60を横切って前方(または、後方)に移動することが可能である。
【0039】
例えば、図2に例示されるようにハンドレスト退避状態であるとき、座部3に着座するユーザは、ハンドレスト60を横切って、座部3から移動補助器1の前方の座(例えば、便座等)に移乗することができる。また、ユーザは、ハンドレスト60を横切って、移動補助器1の前方の座(例えば、便座等)から移動補助器1の座部3に移乗することができる。よって、足腰の不自由なユーザは、退避状態の背もたれ70を横切るようにベッドから前方に移動して移動補助器1に乗ることができ、退避状態のハンドレスト60を横切るように移動補助器1の座部3から前方に移動して便座に座ることができる。
【0040】
例えば、図6に例示されるようにハンドレスト退避状態であるとき、左側手摺り52Lと右側手摺り52Rとの間にいる立位姿勢のユーザは、ハンドレスト60を横切って、移動補助器1の前方の作業台(例えば、キッチンカウンター等)に移動することができる。また、作業終了後のユーザは、ハンドレスト60を横切って、移動補助器1の前方の作業台から、移動補助器1の内側に(換言すれば、左側手摺り52Lと右側手摺り52Rとの間に)、容易に移動することができる。よって、図6に記載の移動補助器1を使用すれば、ベッドから移動補助器1への移乗、座位姿勢から立位姿勢への姿勢変更、ベッドから作業台への移動、作業台での作業、作業後の移動補助器1への移動、作業台からベッドまでの移動を、一人で容易に実行可能することができ、ユーザの歩行訓練と、ユーザの自立生活の維持とが効果的に支援される。なお、図6に記載の例では、ハンドレスト60は退避位置にあるため、ハンドレスト60が、作業台で作業中のユーザの邪魔になることがない。換言すれば、ユーザと作業台との間にハンドレスト60が存在する場合と比較して、作業台での作業を行い易い。
【0041】
背もたれ70の状態を、背もたれ退避状態に状態変更可能であり、かつ、ハンドレスト60の状態を、ハンドレスト退避状態に状態変更である場合、座部3に移乗する際のユーザの自由度が大きく、座部3から別の座(例えば、ベッド、あるいは、便座等)に移乗する際のユーザの自由度が大きい。より具体的には、ユーザは、後方から移動補助器1の座部3に乗車し、移動補助器1の座部3から前方に降車することが可能であり、後方から移動補助器1の座部3に乗車し、移動補助器1の座部3から後方に降車することが可能であり、前方から移動補助器1の座部3に乗車し、移動補助器1の座部3から後方に降車することが可能であり、前方から移動補助器1の座部3に乗車し、移動補助器1の座部3から前方に降車することが可能である。よって、ユーザは、容易に活動範囲を広げることができ、足腰が弱くなってきたユーザの自立生活が、効果的に維持・支援される。
【0042】
また、座部3に移乗する際のユーザの自由度が大きく、座部3から別の座に移乗する際のユーザの自由度が大きいことにより、座部3への移乗、あるいは、座部3から別の座への移乗に際して、移動補助器1を旋回させる必要性が低減されるか、あるいは、旋回の程度が低減される。
【0043】
更に、ユーザが、ハンドレスト60を横切って、移動補助器1の内側から移動補助器1の前方に移動可能である場合、座部3の状態如何に関わらず(例えば、座部3が上方位置にある場合でも)、立位姿勢のユーザが、容易に移動補助器1の外部に出ることができる。
【0044】
これに対し、後方のみから外部に出ることが可能な既存の歩行補助器では、座部を下方位置に移動させた後でなければ歩行補助器の外部に出ることができないし、後方のみからしか外部に出ることができないため、ユーザの自由度が小さい。
【0045】
ハンドレストおよび背もたれの両方を備えた既存の移動補助器では、構造的に、前方または後方のうちの一方のみからしか座部にアプローチできなかったのに対し、図2に記載の例では、ハンドレスト60および背もたれ70が、それぞれ、退避可能であることにより、ユーザのアプローチの自由度を向上させている点で画期的である。なお、ハンドレスト60の有効状態から退避状態への状態変更と、背もたれ70の有効状態から退避状態への状態変更とは、独立して実行可能であってもよいし、連動して同時に実行可能であってもよい。
【0046】
図3に例示されるように、背もたれ70の状態が背もたれ退避状態であり、かつ、ハンドレスト60の状態がハンドレスト退避状態であるとき、座部支持部4の左側には、移動補助器1の後端から移動補助器1の前端にわたってユーザの左足が通過可能な左足通過可能領域ALが形成され、座部支持部4の右側には、移動補助器1の後端から移動補助器1の前端にわたってユーザの右足が通過可能な右足通過可能領域ARが形成されるようにしてもよい。この場合、ユーザは、移動補助器1の後端を後方側に超える位置と、移動補助器1の前端を前方側に超える位置との間で、自由に移動することができ、移動補助器1の後端よりも後方にある物体あるいは物品に容易にアクセスすることができ、移動補助器1の前端よりも前方にある物体あるいは物品に容易にアクセスすることができる。
【0047】
(連結部材85)
図2に記載の例では、移動補助器1は、座部3よりも左側に配置される部材(例えば、左側ベース81L)と、座部3よりも右側に配置される部材(例えば、右側ベース81R)とを連結する連結部材85を備える。また、座部3よりも左側に配置される部材と座部3よりも右側に配置される部材とを連結する全ての連結部材85は、ハンドレスト退避状態のハンドレスト60を横切るようにユーザが移動する際にユーザの足が引っ掛からない位置に配置されている。換言すれば、ハンドレスト退避状態のハンドレスト60を横切るようにユーザが移動する際にユーザの足が引っ掛かる位置には、連結部材85が配置されていない。
【0048】
この場合、ハンドレスト60を横切るようにユーザが移動する際にユーザの足が連結部材85に引っ掛かることが防止され、ユーザの転倒が防止される。移動補助器1の前方から、座部3に向かって、ユーザが後ろ向きにアプローチする場合を想定する。この場合、連結部材85が座部3の前端3fよりも前方にあると、ユーザの足が連結部材85に引っ掛かって、ユーザが転倒するおそれがある。これに対し、図2に記載の例では、座部3(より具体的には、最下位置にある座部3)の前端3fよりも前方には連結部材85が配置されていないため、ユーザの足が連結部材85に引っ掛かることがない。
【0049】
(ベース8)
図2に記載の例では、移動補助器1は、複数の車輪2によって支持されるベース8を備える。ベース8は、左側ベース81Lと、右側ベース81Rと、左側ベース81Lと右側ベース81Rとを連結する連結部材85とを含む。図2に記載の例では、左側ベース81Lおよび右側ベース81Rは、最下位置にある座部3よりも下方に位置し、連結部材85は、最下位置にある座部3よりも下方に位置する。図2に記載の例では、ベース8の全体は、平面視で、前方が開放された略U字形状を有する。
【0050】
図6に記載の例では、左側ベース81Lは、左側車輪(21L、22L、23L)によって支持されている。左側ベース81Lは、第1棒部材811Lと、第1棒部材811Lに対して前後方向に位置調整可能な第2棒部材812Lとを含む。この場合、第2棒部材812Lが第1棒部材811Lに対して位置調整されることにより、左側ベース81Lの長さを変更することができる。図6に記載の例では、第1棒部材811Lに、左側の後方車輪23Lが取り付けられている。付加的に、第1棒部材811Lに、左側の中間車輪22Lが取り付けられていてもよい。図6に記載の例では、第2棒部材812Lに、左側の前方車輪21Lが取り付けられている。
【0051】
図5(b)に例示されるように、第2棒部材812Lを第1棒部材811Lから進出させて左側ベース81Lの長さを長くする場合を想定する。この場合、移動補助器1は、立位姿勢のユーザを安定的に支えることができる。他方、図5(a)に例示されるように、第2棒部材812Lを第1棒部材811Lに向けて退避させて左側ベース81Lの長さを短くする場合を想定する。この場合、移動補助器1の全長をコンパクトにすることができる。また、左側ベース81Lの長さが短くなることにより(特に、左側の前方車輪21Lと左側の後方車輪23Lとの間の距離が短くなることにより)、移動補助器1の小回り性能が向上する。
【0052】
図6に記載の例では、右側ベース81Rは、右側車輪(21R、22R、23R)によって支持されている。右側ベース81Rは、第3棒部材811Rと、第3棒部材811Rに対して前後方向に位置調整可能な第4棒部材812Rとを含む。この場合、第4棒部材812Rが第3棒部材811Rに対して位置調整されることにより、右側ベース81Rの長さを変更することができる。第3棒部材811Rには、右側の後方車輪23Rが取り付けられている(必要であれば、図2を参照。)。付加的に、第3棒部材811Rに、右側の中間車輪22Rが取り付けられていてもよい。図6に記載の例では、第4棒部材812Rに、右側の前方車輪21Rが取り付けられている。
【0053】
右側ベース81Rの長さが変更可能であることにより奏される効果は、左側ベース81Lの長さが変更可能であることにより奏される効果と同様であるため、当該効果についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0054】
図6に記載の例では、第1棒部材811Lに対する第2棒部材812Lの前後方向位置は、複数の孔83hと、複数の孔83hのいずれかに選択的に挿入されるピンとを用いて多段階式に位置調整可能である。また、第3棒部材811Rに対する第4棒部材812Rの前後方向位置は、複数の孔84hと、複数の孔84hのいずれかに選択的に挿入されるピン84pとを用いて多段階式に位置調整可能である。なお、位置調整の方式としては、複数の孔およびピンを用いる方式に限定されず、任意の公知の方式を採用することができる。
【0055】
図6に記載の例では、連結部材85は、左側ベース81Lの後側部分と、右側ベース81Rの後側部分とを連結する。他方、左側ベース81Lの前側部分と、右側ベース81Rの前側部分とは、互いに連結されていない。この場合、前方から座部3に向かって移動するユーザの足(あるいは、座部3から前方に移動するユーザの足)が、連結部材85に引っ掛かることがない。
【0056】
図7に記載の例では、最下位置にある座部3よりも下方の領域においてのみ、座部3よりも左側に配置される部材(より具体的には、左側ベース81L)と座部3よりも右側に配置される部材(より具体的には、右側ベース81R)とが連結部材85によって連結されている。他方、最下位置にある座部3よりも上方の領域では、座部3よりも左側に配置される部材と座部3よりも右側に配置される部材とが連結されていない。この場合、移動補助器1の後端を後方側に超える位置と、移動補助器1の前端を前方側に超える位置との間でユーザが移動する際に、ユーザは過度に足を持ち上げる必要がない。よって、足腰の不自由なユーザが、移動補助器1の内側を、前後方向に、より容易に移動することができる。
【0057】
図6に記載の例では、連結部材85は、連結板である。連結部材85が板状であることにより、左側ベース81Lと右側ベース81Rとが高剛性に連結される。また、連結部材85が板状であることにより、連結部材85は、座部支持部4を安定的に支持することができる。図6に記載の例では、座部支持部4の下端部4bは、連結部材85の上面に取り付けられている。
【0058】
(複数の車輪2)
図1および図2に記載の例では、複数の車輪2は、前方車輪(21L、21R)と、後方車輪(23L、23R)と、を含む。付加的に、複数の車輪2は、中間車輪(22L、22R)を含んでいてもよい。
【0059】
前方車輪(21L、21R)は、最下位置にある座部3よりも前方に配置される。前方車輪(21L、21R)は、鉛直軸まわりに回動可能なようにベース8(より具体的には、左側ベース81Lまたは右側ベース81R)に取り付けられていることが好ましい。前方車輪が、ベース8に対して鉛直軸まわりに回動可能である場合、移動補助器1の方向転換を容易に実行することができる。
【0060】
後方車輪(23L、23R)は、最下位置にある座部3の中央部分よりも後方に配置される。後方車輪(23L、23R)は、鉛直軸まわりに回動可能なようにベース8(より具体的には、左側ベース81Lまたは右側ベース81R)に取り付けられていることが好ましい。後方車輪が、ベース8に対して鉛直軸まわりに回動可能である場合、移動補助器1の方向転換を容易に実行することができる。
【0061】
中間車輪(22L、22R)は、前方車輪(21L、21R)よりも後方、かつ、後方車輪(23L、23R)よりも前方に配置される。中間車輪(22L、22R)は、移動補助器1の方向転換時の旋回半径を低減する。より具体的には、中間車輪(22L、22R)が床または地面と接触していることにより、移動補助器1の中央部分を旋回中心とすることが容易となり、旋回半径が低減される。図1に記載の例では、中間車輪(22L、22R)は、鉛直軸まわりに回動不能なようにベース8(より具体的には、左側ベース81Lまたは右側ベース81R)に取り付けられている。中間車輪が、ベース8に対して鉛直軸まわりに回動不能である場合、移動補助器1の方向転換時の旋回半径低減効果が強化され、また、移動補助器1の進行時における直進性が向上する。
【0062】
(パーキングブレーキ86)
図8(b)に記載の例では、移動補助器1は、パーキングブレーキ86を備える。パーキングブレーキ86は、床または地面(以下、床または地面を総称して「グラウンドGL」という。)と接触することにより、複数の車輪2の少なくとも1つ(例えば、後方車輪23L、23R)をグラウンドGLから持ち上げ可能なように構成されていることが好ましい。図8(a)および図8(b)に記載の例では、パーキングブレーキ86は、グラウンドGLに対して進退可能なストッパ部材86sを備える。ストッパ部材86sは、例えば、移動補助器1の幅方向に沿って延在する。
【0063】
図8(b)に記載の例では、パーキングブレーキ86は、有線または無線によって、リモートコントローラ47と信号伝達可能に接続されている。リモートコントローラ47のパーキングブレーキ作動操作部が操作されると、ストッパ部材86sがグラウンドGLに向けて進出し、移動補助器1の移動が禁止される。また、リモートコントローラ47のパーキングブレーキ解除操作部が操作されると、ストッパ部材86sがグラウンドGLから退避し、移動補助器1の移動が可能となる。
【0064】
図8(b)に記載の例では、パーキングブレーキ86は、グラウンドGLとの接触によりパーキングを行うブレーキであるが、代替的に、パーキングブレーキ86は、複数の車輪2の少なくとも1つに接触することにより、パーキングを行うブレーキであってもよい。
【0065】
(ハンドブレーキ66)
図9(a)に記載の例では、移動補助器1は、ハンドブレーキ66を備える。ハンドブレーキ66は、ハンドレスト60に取り付けられている。図9に記載の例では、ハンドブレーキ66およびハンドレスト60は、ユーザがハンドブレーキ66およびハンドレスト60を同時に把持可能な位置に配置されている。ハンドブレーキ66がハンドレスト60に近づく方向に把持されると、移動補助器1にブレーキ力が作用する。ハンドブレーキ66と、車輪2に対向配置されるブレーキシューとが、ワイヤを介して接続されていてもよい。
【0066】
図9(a)に記載の例では、ハンドブレーキ66は、左側ハンドレスト60Lに取り付けられた左側ハンドブレーキ66Lと、右側ハンドレスト60Rに取り付けられた右側ハンドブレーキ66Rとを含む。図9(a)および図9(b)に記載の例では、左側ハンドレスト60Lが、第1進出位置P1から第1退避位置R1に移動されるとき、左側ハンドブレーキ66Lは、左側ハンドレスト60Lとともに退避位置に移動する。また、右側ハンドレスト60Rが、第2進出位置P2から第2退避位置R2に移動されるとき、右側ハンドブレーキ66Rは、右側ハンドレスト60Rとともに退避位置に移動する。
【0067】
(ハンドレスト組立体6)
図9(a)に記載の例では、移動補助器1は、ハンドレスト組立体6を備え、ハンドレスト組立体6は、左側ハンドレスト組立体6Lと、右側ハンドレスト組立体6Rとを含む。
【0068】
図9(a)に記載の例では、ハンドレスト組立体6は、座部3よりも前方に配置されるハンドレスト60と、平面視で、座部3の左側において前後方向に延在する第1左側棒状部62Lと、平面視で、座部3の右側において前後方向に延在する第1右側棒状部62Rとを有する。図9(b)に記載の例では、左側ハンドレスト組立体6Lは、左側ハンドレスト60Lおよび第1左側棒状部62Lを含み、全体として略L字形状を有する。また、右側ハンドレスト組立体6Rは、右側ハンドレスト60Rおよび第1右側棒状部62Rを含み、全体として略L字形状を有する。
【0069】
図9(a)に記載の例では、ハンドレスト60は、左側ハンドレスト60Lと、右側ハンドレスト60Rとを含む。左側ハンドレスト60Lは、第1軸AX1まわりを回動可能なように、第1支持部材61Lによって直接的または間接的に支持される。また、右側ハンドレスト60Rは、第2軸AX2まわりを回動可能なように、第2支持部材61Rによって直接的または間接的に支持される。図9(a)に記載の例では、第1軸AX1および第2軸AX2の各々は、移動補助器1の前後方向に沿って延在する。
【0070】
図9(a)および図9(b)に記載の例では、左側ハンドレスト60Lは、第1進出位置P1と第1退避位置R1との間で位置変更可能である。図9(a)に例示されるように、ハンドレスト60の状態がハンドレスト有効状態であるとき、左側ハンドレスト60Lは、第1進出位置P1に位置する。図9(a)に記載の例では、第1進出位置P1にある左側ハンドレスト60Lは、水平方向または略水平方向に延在する。図9(b)に例示されるように、ハンドレスト60の状態がハンドレスト退避状態であるとき、左側ハンドレスト60Lは、第1退避位置R1に位置する。図9(b)に記載の例では、第1退避位置R1にある左側ハンドレスト60Lは、上方に向けて延在する。左側ハンドレスト60Lの第1軸AX1まわりの回転可能角度範囲は、90度以上120度以下であることが好ましい。この場合、第1退避位置R1にある左側ハンドレスト60Lが、移動補助器1の左側方に過剰に突出することが防止される。
【0071】
図9(a)および図9(b)に記載の例では、右側ハンドレスト60Rは、第2進出位置P2と第2退避位置R2との間で位置変更可能である。図9(a)に例示されるように、ハンドレスト60の状態がハンドレスト有効状態であるとき、右側ハンドレスト60Rは、第2進出位置P2に位置する。図9(a)に記載の例では、第2進出位置P2にある右側ハンドレスト60Rは、水平方向または略水平方向に延在する。図9(b)に例示されるように、ハンドレスト60の状態がハンドレスト退避状態であるとき、右側ハンドレスト60Rは、第2退避位置R2に位置する。図9(b)に記載の例では、第2退避位置R2にある右側ハンドレスト60Rは、上方に向けて延在する。右側ハンドレスト60Rの第2軸AX2まわりの回転可能角度範囲は、90度以上120度以下であることが好ましい。この場合、第2退避位置R2にある右側ハンドレスト60Rが、移動補助器1の右側方に過剰に突出することが防止される。
【0072】
図9(a)に記載の例では、移動補助器1は、左側アームレスト63Lと、右側アームレスト63Rとを備える。左側アームレスト63Lは、左側ハンドレスト組立体6Lの一部を構成する。左側アームレスト63Lは、例えば、第1左側棒状部62Lに取り付けられたクッションによって構成される。右側アームレスト63Rは、右側ハンドレスト組立体6Rの一部を構成する。右側アームレスト63Rは、例えば、第1右側棒状部62Rに取り付けられたクッションによって構成される。
【0073】
図9(b)に記載の例では、ハンドレスト60の状態がハンドレスト退避状態であるとき、左側ハンドレスト60Lと右側ハンドレスト60Rとは、互いに分離されている。また、図9(a)に記載の例では、ハンドレスト60の状態がハンドレスト有効状態であるとき、左側ハンドレスト60Lと右側ハンドレスト60Rとは、互いに連結されている。図9(b)に記載の例では、左側ハンドレスト60Lは、第1係合部601(例えば、係合凹部または係合穴部)を有し、右側ハンドレスト60Rは、第1係合部601に係合可能な第2係合部602(例えば、係合突起)を有する。
【0074】
ハンドレスト60が互いに分離可能な左側ハンドレスト60Lおよび右側ハンドレスト60Rを有する場合、第1軸AX1まわりに左側ハンドレスト60Lを回動させる際の旋回半径が小さくて済み、第2軸AX2まわりに右側ハンドレスト60Rを回動させる際の旋回半径が小さくて済む。よって、ハンドレスト60の状態を、ハンドレスト有効状態とハンドレスト退避状態との間で状態変更する際に、各ハンドレスト(60L、60R)が周囲の物体に干渉することが防止または抑制される。
【0075】
また、ハンドレスト60が互いに連結可能な左側ハンドレスト60Lおよび右側ハンドレスト60Rを有する場合、連結によって移動補助器1全体の安定性が向上する。また、ユーザが、互いに連結された左側ハンドレスト組立体6Lおよび右側ハンドレスト組立体6RによってU字状に囲まれることにより、ユーザが安定的にサポートされる。
【0076】
(背もたれ組立体7)
図9(a)に記載の例では、移動補助器1は、背もたれ組立体7を備え、背もたれ組立体7は、左側背もたれ組立体7Lと、右側背もたれ組立体7Rとを含む。
【0077】
背もたれ組立体7は、座部3よりも後方に配置される背もたれ70と、平面視で、座部3の左側において前後方向に延在する第2左側棒状部521Lと、平面視で、座部3の右側において前後方向に延在する第2右側棒状部521Rとを有する。図9(b)に記載の例では、左側背もたれ組立体7Lは、左側背もたれ70Lおよび第2左側棒状部521Lを含み、全体として略L字形状を有する。また、右側背もたれ組立体7Rは、右側背もたれ70Rおよび第2右側棒状部521Rを含み、全体として略L字形状を有する。
【0078】
図9(a)に記載の例では、背もたれ70は、左側背もたれ70Lと、右側背もたれ70Rとを含む。左側背もたれ70Lは、第3軸AX3まわりを回動可能なように、第3支持部材51Lによって直接的または間接的に支持される。また、右側背もたれ70Rは、第4軸AX4まわりを回動可能なように、第4支持部材51Rによって直接的または間接的に支持される。図9(a)に記載の例では、第3軸AX3および第4軸AX4の各々は、移動補助器1の前後方向に沿って延在する。
【0079】
図9(a)および図9(b)に記載の例では、左側背もたれ70Lは、第3進出位置P3と第3退避位置R3との間で位置変更可能である。図9(a)に例示されるように、背もたれ70の状態が背もたれ有効状態であるとき、左側背もたれ70Lは、第3進出位置P3に位置する。図9(a)に記載の例では、第3進出位置P3にある左側背もたれ70Lは、水平方向または略水平方向に延在する。図9(b)に例示されるように、背もたれ70の状態が背もたれ退避状態であるとき、左側背もたれ70Lは、第3退避位置R3に位置する。図9(b)に記載の例では、第3退避位置R3にある左側背もたれ70Lは、上方に向けて延在する。左側背もたれ70Lの第3軸AX3まわりの回転可能角度範囲は、90度以上120度以下であることが好ましい。この場合、第3退避位置R3にある左側背もたれ70Lが、移動補助器1の左側方に過剰に突出することが防止される。
【0080】
図9(a)および図9(b)に記載の例では、右側背もたれ70Rは、第4進出位置P4と第4退避位置R4との間で位置変更可能である。図9(a)に例示されるように、背もたれ70の状態が背もたれ有効状態であるとき、右側背もたれ70Rは、第4進出位置P4に位置する。図9(a)に記載の例では、第4進出位置P4にある右側背もたれ70Rは、水平方向または略水平方向に延在する。図9(b)に例示されるように、背もたれ70の状態が背もたれ退避状態であるとき、右側背もたれ70Rは、第4退避位置R4に位置する。図9(b)に記載の例では、第4退避位置R4にある右側背もたれ70Rは、上方に向けて延在する。右側背もたれ70Rの第4軸AX4まわりの回転可能角度範囲は、90度以上120度以下であることが好ましい。この場合、第4退避位置R4にある右側背もたれ70Rが、移動補助器1の右側方に過剰に突出することが防止される。
【0081】
図9(a)に記載の例では、左側背もたれ70Lは、左側クッション71Lと、左側クッション71Lを支持する左側クッション支持部材72Lとを有する。また、右側背もたれ70Rは、右側クッション71Rと、右側クッション71Rを支持する右側クッション支持部材72Rとを有する。
【0082】
図9(b)に記載の例では、背もたれ70の状態が背もたれ退避状態であるとき、左側背もたれ70L(より具体的には、左側クッション支持部材72L)と右側背もたれ70R(より具体的には、右側クッション支持部材72R)とは、互いに分離されている。また、図9(a)に記載の例では、背もたれ70の状態が背もたれ有効状態であるとき、左側背もたれ70L(より具体的には、左側クッション支持部材72L)と右側背もたれ70R(より具体的には、右側クッション支持部材72R)とは、互いに連結されている。図9(b)に記載の例では、左側背もたれ70Lは、第3係合部701(例えば、係合凹部または係合穴部)を有し、右側背もたれ70Rは、第3係合部701に係合可能な第4係合部702(例えば、係合突起)を有する。
【0083】
背もたれ70が互いに分離可能な左側背もたれ70Lおよび右側背もたれ70Rを有する場合、第3軸AX3まわりに左側背もたれ70Lを回動させる際の旋回半径が小さくて済み、第4軸AX4まわりに右側背もたれ70Rを回動させる際の旋回半径が小さくて済む。よって、背もたれ70の状態を、背もたれ有効状態と背もたれ退避状態との間で状態変更する際に、各背もたれ(70L、70R)が周囲の物体に干渉することが防止または抑制される。
【0084】
また、背もたれ70が互いに連結可能な左側背もたれ70Lおよび右側背もたれ70Rを有する場合、連結によって移動補助器1全体の安定性が向上する。また、ユーザが、互いに連結された左側背もたれ組立体7Lおよび右側背もたれ組立体7RによってU字状に囲まれることにより、ユーザを安定的にサポートすることができる。
【0085】
(手摺り52)
図10(a)に記載の例では、移動補助器1は、手摺り52を備え、手摺り52は、左側手摺り52Lと、右側手摺り52Rとを含む。図10(a)に記載の例では、左側手摺り52Lは、第1左側棒状部62Lよりも下方に配置される。第1左側棒状部62Lが、左側の上方手摺りとして機能し、左側手摺り52Lが、左側の下方手摺りとして機能してもよい。図10(a)に記載の例では、右側手摺り52Rは、第1右側棒状部62Rよりも下方に配置される。第1右側棒状部62Rが、右側の上方手摺りとして機能し、右側手摺り52Rが、右側の下方手摺りとして機能してもよい。
【0086】
図10(a)に記載の例では、左側手摺り52Lは、第2左側棒状部521Lと、第3左側棒状部523Lとを含む。第2左側棒状部521Lは、後述の第1支柱91Lの後方に配置され、第3左側棒状部523Lは、当該第1支柱91Lの前方に配置される。また、右側手摺り52Rは、第2右側棒状部521Rと、第3右側棒状部523Rとを含む。第2右側棒状部521Rは、後述の第2支柱91Rの後方に配置され、第3右側棒状部523Rは、当該第2支柱91Rの前方に配置される。
【0087】
(支柱9)
図10(a)に記載の例では、移動補助器1は、複数の支柱9を備える。複数の支柱9は、手摺り52、および/または、ハンドレスト組立体6を支持する。
【0088】
図10(a)に記載の例では、複数の支柱9は、左側ベース81Lの中央部分から上方に向けて立設された第1支柱91Lと、右側ベース81Rの中央部分から上方に向けて立設された第2支柱91Rとを含む。複数の支柱9は、左側ベース81Lの前側部分から上方に向けて立設された第3支柱96Lと、右側ベース81Rの前側部分から上方に向けて立設された第4支柱96Rとを含んでいてもよい。
【0089】
図10(b)に記載の例では、第1支柱91Lは、第1基端側支柱911Lと、第1基端側支柱911Lに対して上下方向に位置調整可能な第1先端側支柱912Lとを含む。図10(b)に記載の例では、第1基端側支柱911Lは、第1先端側支柱912Lを支持する。また、第1基端側支柱911Lは、左側手摺り52Lを支持する。第1先端側支柱912Lは、左側ハンドレスト組立体6Lを支持し、より具体的には、第1先端側支柱912Lは、第1左側棒状部62Lの位置を前後方向に位置調整可能なように、第1左側棒状部62Lを支持している。
【0090】
図10(b)に記載の例では、第2支柱91Rは、第2基端側支柱911Rと、第2基端側支柱911Rに対して上下方向に位置調整可能な第2先端側支柱912Rとを含む。図10(b)に記載の例では、第2基端側支柱911Rは、第2先端側支柱912Rを支持する。また、第2基端側支柱911Rは、右側手摺り52Rを支持する。第2先端側支柱912Rは、右側ハンドレスト組立体6Rを支持し、より具体的には、第2先端側支柱912Rは、第1右側棒状部62Rの位置を前後方向に位置調整可能なように、第1右側棒状部62Rを支持している。
【0091】
図10(a)および図10(b)に記載の例では、ベース8(より具体的には、連結部材85)あるいは背もたれ70に対して、ハンドレスト60の上下方向位置を調整可能である。例えば、第1基端側支柱911Lに対して第1先端側支柱912Lを上方に向けて進出させることにより、第1先端側支柱912Lによって支持された左側ハンドレスト組立体6Lの位置を高くすることができ、左側ハンドレスト60Lの位置を高くすることができる。また、第2基端側支柱911Rに対して第2先端側支柱912Rを上方に向けて進出させることにより、第2先端側支柱912Rによって支持された右側ハンドレスト組立体6Rの位置を高くすることができ、右側ハンドレスト60Rの位置を高くすることができる。
【0092】
図10(a)および図10(b)に記載の例では、ベース8(より具体的には、連結部材85)あるいは背もたれ70に対して、ハンドレスト60の前後方向位置を調整可能である。例えば、第1先端側支柱912Lに対して左側ハンドレスト組立体6Lを前方に相対移動させることにより、左側ハンドレスト60Lの位置を前方に位置調整することができる。また、第2先端側支柱912Rに対して右側ハンドレスト組立体6Rを前方に相対移動させることにより、右側ハンドレスト60Rの位置を前方に位置調整することができる。
【0093】
左側ハンドレスト60Lの上下方向位置は、複数の孔と、複数の孔のいずれかに選択的に挿入されるピンとを用いて多段階式に位置調整可能であってもよい。また、左側ハンドレスト60Lの前後方向位置は、複数の孔と、複数の孔のいずれかに選択的に挿入されるピンとを用いて多段階式に位置調整可能であってもよい。
【0094】
図6に例示されるように、右側ハンドレスト60Rの上下方向位置は、複数の孔92hと、複数の孔92hのいずれかに選択的に挿入されるピン92pとを用いて多段階式に位置調整可能であってもよい。また、右側ハンドレスト60Rの前後方向位置は、複数の孔93hと、複数の孔93hのいずれかに選択的に挿入されるピン93pとを用いて多段階式に位置調整可能であってもよい。なお、位置調整の方式としては、複数の孔およびピンを用いる方式に限定されず、任意の公知の方式を採用することができる。
【0095】
ハンドレスト60の上下方向位置および前後方向位置を調整可能である場合、昇降可能な座部3の位置に合わせて、ハンドレスト60の位置を最適化することができる。例えば、座位姿勢のユーザが座部3に着座した状態で移動補助器1を使用する場合には、ハンドレスト60の位置を相対的に低い位置かつ相対的に後方の位置に調整すればよい(図10(a)を参照。)。他方、立位姿勢のユーザが移動補助器1を使用する場合には、ハンドレスト60の位置を相対的に高い位置かつ相対的に前方の位置に調整すればよい(図10(b)を参照。)。
【0096】
図10(b)に記載の例では、第3支柱96Lの上端部は、左側手摺り52Lの前端部に接続され、第4支柱96Rの上端部は、右側手摺り52Rの前端部に接続されている。図10(b)に記載の例では、左側ベース81Lと、第1支柱91Lと、第3支柱96Lと、左側手摺り52Lとによって、略矩形状の閉じた枠が形成されている。略矩形状の閉じた枠によって、座部3の左側の構造体の剛性が向上する。また、図10(b)に記載の例では、右側ベース81Rと、第2支柱91Rと、第4支柱96Rと、右側手摺り52Rとによって、略矩形状の閉じた枠が形成されている。略矩形状の閉じた枠によって、座部3の右側の構造体の剛性が向上する。
【0097】
(フットレスト56)
図10(a)に記載の例では、移動補助器1は、フットレスト56を備え、フットレスト56は、左側フットレスト56Lと、右側フットレスト56Rとを含む。図10(a)および図10(b)に記載の例では、フットレスト56の状態を、フットレスト退避状態(図10(b)を参照。)とフットレスト有効状態(図10(a)を参照。)との間で状態変更可能である。図10(b)に例示されるように、フットレスト退避状態では、左側フットレスト56Lは、左側ベース81Lに沿うように折り畳まれ、右側フットレスト56Rは、右側ベース81Rに沿うように折り畳まれる。他方、図10(a)に例示されるように、フットレスト有効状態では、左側フットレスト56Lおよび右側フットレスト56Rは、グラウンドGLに沿うように展開される。
【0098】
ユーザが移動補助器1を用いて自力で移動する場合には、フットレスト56の状態は、フットレスト退避状態とされる。フットレスト退避状態において、ユーザがグラウンドGLを踏みしめると、移動補助器1は移動する。他方、移動補助器1が介助者の力で移動する場合、あるいは、移動補助器1がモータ等の駆動力によって移動する場合には、フットレスト56の状態は、フットレスト有効状態とされる。フットレスト有効状態において、座部3に着座したユーザは、左足を左側フットレスト56Lに載せ、右足を右側フットレスト56Rに載せることができる。
【0099】
(介助者用ハンドル57)
図9(a)に記載の例では、移動補助器1は、介助者用ハンドル57を備える。介助者用ハンドル57は、背もたれ組立体7に取り付けられている。
【0100】
図9(a)に記載の例では、介助者用ハンドル57は、左側背もたれ組立体7Lに取り付けられた左側ハンドル57Lと、右側背もたれ組立体7Rに取り付けられた右側ハンドル57Rとを含む。図9(a)および図9(b)に記載の例では、左側背もたれ70Lが、第3進出位置P3から第3退避位置R3に移動されるとき、左側ハンドル57Lは、左側背もたれ70Lとともに退避位置に移動する。また、右側背もたれ70Rが、第4進出位置P4から第4退避位置R4に移動されるとき、右側ハンドル57Rは、右側背もたれ70Rとともに退避位置に移動する。
【0101】
移動補助器1が介助者用ハンドル57を備える場合、介助者が、介助者用ハンドル57を押すことにより、移動補助器1を移動させることができる。
【0102】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、実施形態における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 :移動補助器
2 :車輪
3 :座部
3f :前端
4 :座部支持部
4b :座部支持部の下端部
6 :ハンドレスト組立体
6L :左側ハンドレスト組立体
6R :右側ハンドレスト組立体
7 :背もたれ組立体
7L :左側背もたれ組立体
7R :右側背もたれ組立体
8 :ベース
9 :支柱
21L :左側の前方車輪
21R :右側の前方車輪
22L :左側の中間車輪
22R :右側の中間車輪
23L :左側の後方車輪
23R :右側の後方車輪
41 :伸縮機構
45 :駆動装置
47 :リモートコントローラ
51L :第3支持部材
51R :第4支持部材
56 :フットレスト
56L :左側フットレスト
56R :右側フットレスト
57 :介助者用ハンドル
57L :左側ハンドル
57R :右側ハンドル
60 :ハンドレスト
60L :左側ハンドレスト
60R :右側ハンドレスト
61L :第1支持部材
61R :第2支持部材
62L :第1左側棒状部
62R :第1右側棒状部
63L :左側アームレスト
63R :右側アームレスト
66 :ハンドブレーキ
66L :左側ハンドブレーキ
66R :右側ハンドブレーキ
70 :背もたれ
70L :左側背もたれ
70R :右側背もたれ
71L :左側クッション
71R :右側クッション
72L :左側クッション支持部材
72R :右側クッション支持部材
81L :左側ベース
81R :右側ベース
83h :孔
84h :孔
84p :ピン
85 :連結部材
86 :パーキングブレーキ
86s :ストッパ部材
91L :第1支柱
91R :第2支柱
92h :孔
92p :ピン
93h :孔
93p :ピン
96L :第3支柱
96R :第4支柱
100 :ベッド
521L :第2左側棒状部
521R :第2右側棒状部
523L :第3左側棒状部
523R :第3右側棒状部
601 :第1係合部
602 :第2係合部
701 :第3係合部
702 :第4係合部
811L :第1棒部材
811R :第3棒部材
812L :第2棒部材
812R :第4棒部材
911L :第1基端側支柱
911R :第2基端側支柱
912L :第1先端側支柱
912R :第2先端側支柱
AL :左足通過可能領域
AR :右足通過可能領域
AX1 :第1軸
AX2 :第2軸
AX3 :第3軸
AX4 :第4軸
GL :グラウンド
SL :左側空間
SR :右側空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10