(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035385
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】照明制御装置、照明制御方法、及び照明制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20230306BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20230306BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20230306BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/165
H05B47/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142205
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 規敏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 勇志
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 貴司
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273QA07
3K273QA11
3K273QA29
3K273RA02
3K273RA17
3K273SA04
3K273SA21
3K273SA38
3K273SA46
3K273SA57
3K273SA58
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA28
(57)【要約】
【課題】照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる照明制御装置、照明制御方法、及び照明制御プログラムを得る。
【解決手段】照明制御装置10は、人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の当該人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定する特定部11Aと、特定した3種類の3次元位置の位置関係を用いて、人の視野に対する照明光の影響度が高い照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定する設定部11Bと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の前記人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定する特定部と、
特定した前記3種類の3次元位置の位置関係を用いて、前記人の視野に対する前記照明光の影響度が高い前記照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定する設定部と、
を備えた照明制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、予め定められた複数の段階で前記照明光の明るさを設定する、
請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記人が複数の人である場合、当該複数の人の各々別の前記照明装置による前記照明光の明るさの設定値における最大値、中央値、中間値、及び最小値の何れか1つを、当該照明装置による前記照明光の明るさの最終的な設定値として設定する、
請求項1又は請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記人が複数の人である場合、前記照明装置に最も近い人に対応する当該照明装置の前記照明光の明るさの設定を優先する、
請求項1又は請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記照明装置及び前記障害物が設けられた建物に対応するBIMモデルから前記照明装置及び前記障害物の位置を特定する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の照明制御装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記人及び前記照明装置の位置を特定した後、特定した前記人及び前記照明装置の位置を用いたレイトレーシングによって前記障害物を決定して当該障害物の位置を特定する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の照明制御装置。
【請求項7】
人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の前記人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定し、
特定した前記3種類の3次元位置の位置関係を用いて、前記人の視野に対する前記照明光の影響度が高い前記照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定する、
照明制御方法。
【請求項8】
人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の前記人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定し、
特定した前記3種類の3次元位置の位置関係を用いて、前記人の視野に対する前記照明光の影響度が高い前記照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定する、
処理をコンピュータに実行させるための照明制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御装置、照明制御方法、及び照明制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させるために適用することのできる技術として次の技術があった。
【0003】
特許文献1には、人の存在位置または移動に応じた、制御空間全体の最適照明制御が行え、省エネルギー及び省施工が図れるようにすることを目的とした照明制御システムが開示されている。この照明制御システムは、所定の検知エリア内の人の存在を検知する複数の検知部を備えている。そして、この照明制御システムは、所定の前記検知部の前記検知エリアの大きさが異なり、それらの前記検知エリアが略同軸状に重なるように設定され、人を検知した前記検知部の数によって人との距離を判別して2段階以上の調光を行う照明装置を備えている。
【0004】
また、特許文献2には、より作業性或いは居住性に貢献できるようにすることを目的とした照明システムが開示されている。この照明システムは、照明空間に相互に連続する多数のエリアを設定し、有人のエリアから、その周りの無人エリアを経てさらに外側の無人エリアへ段階的に出力を減らす調光方式において、少なくとも有人エリアの人員が単数か複数かにより無人エリアの照明器具の出力を調整する。
【0005】
更に、特許文献3には、あらゆる方向に複数のカメラを設置する必要がなく、人にとって快適な照明空間が得られる照明制御ができるようにすることを目的とした照明制御システムが開示されている。この照明制御システムは、可視画像を取得する可視画像取得部と、人の視野領域が入力され、前記可視画像取得部が取得した前記可視画像を前記視野領域における人視点の可視画像に画像変換する視点変換部と、を備えている。また、この照明制御システムは、前記人視点の可視画像に基づいて前記視野領域の輝度分布を算出する輝度分布算出部と、前記輝度分布に基づいて照明器具の調光を制御する調光制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3033469号公報
【特許文献2】特許第5388173号公報
【特許文献3】国際公開第2019/107060号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~特許文献3に開示されている技術では、照明装置による照明光の人に対する障害となる障害物については考慮されていない。このため、これらの技術では、必ずしも十分に、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができるとは限らない、という問題点があった。
【0008】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる照明制御装置、照明制御方法、及び照明制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明に係る照明制御装置は、人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の前記人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定する特定部と、特定した前記3種類の3次元位置の位置関係を用いて、前記人の視野に対する前記照明光の影響度が高い前記照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定する設定部と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載の本発明に係る照明制御装置によれば、人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の当該人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定し、特定した3種類の3次元位置の位置関係を用いて、上記人の視野に対する照明光の影響度が高い照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定することで、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係る照明制御装置は、請求項1に記載の照明制御装置であって、前記設定部が、予め定められた複数の段階で前記照明光の明るさを設定するものである。
【0012】
請求項2に記載の本発明に係る照明制御装置によれば、予め定められた複数の段階で照明光の明るさを設定することで、照明光の明るさを無段階で設定する場合に比較して、より簡易に照明装置の照明光の明るさを制御することができる。
【0013】
請求項3に記載の本発明に係る照明制御装置は、請求項1又は請求項2に記載の照明制御装置であって、前記設定部が、前記人が複数の人である場合、当該複数の人の各々別の前記照明装置による前記照明光の明るさの設定値における最大値、中央値、中間値、及び最小値の何れか1つを、当該照明装置による前記照明光の明るさの最終的な設定値として設定する。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係る照明制御装置によれば、上記人が複数の人である場合、当該複数の人の各々別の照明装置による照明光の明るさの設定値における最大値、中央値、中間値、及び最小値の何れか1つを、当該照明装置による照明光の明るさの最終的な設定値として設定することで、複数の人にとっての照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の本発明に係る照明制御装置は、請求項1又は請求項2に記載の照明制御装置であって、前記設定部が、前記人が複数の人である場合、前記照明装置に最も近い人に対応する当該照明装置の前記照明光の明るさの設定を優先するものである。
【0016】
請求項4に記載の本発明に係る照明制御装置によれば、上記人が複数の人である場合、照明装置に最も近い人に対応する当該照明装置の照明光の明るさの設定を優先することで、複数の人にとっての照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【0017】
請求項5に記載の本発明に係る照明制御装置は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の照明制御装置であって、前記特定部が、前記照明装置及び前記障害物が設けられた建物に対応するBIMモデルから前記照明装置及び前記障害物の位置を特定するものである。
【0018】
請求項5に記載の本発明に係る照明制御装置によれば、照明装置及び上記障害物が設けられた建物に対応するBIMモデルから当該照明装置及び当該障害物の位置を特定することで、これらの位置を、より簡易に特定することができる。
【0019】
請求項6に記載の本発明に係る照明制御装置は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の照明制御装置であって、前記特定部が、前記人及び前記照明装置の位置を特定した後、特定した前記人及び前記照明装置の位置を用いたレイトレーシングによって前記障害物を決定して当該障害物の位置を特定するものである。
【0020】
請求項6に記載の本発明に係る照明制御装置によれば、人及び照明装置の位置を特定した後、特定した人及び照明装置の位置を用いたレイトレーシングによって上記障害物を決定して当該障害物の位置を特定することで、より高精度に障害物の位置を特定することができる。
【0021】
請求項7に記載の本発明に係る照明制御方法は、人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の前記人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定し、特定した前記3種類の3次元位置の位置関係を用いて、前記人の視野に対する前記照明光の影響度が高い前記照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定する。
【0022】
請求項7に記載の本発明に係る照明制御方法によれば、人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の当該人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定し、特定した3種類の3次元位置の位置関係を用いて、上記人の視野に対する照明光の影響度が高い照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定することで、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【0023】
請求項8に記載の本発明に係る照明制御プログラムは、人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の前記人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定し、特定した前記3種類の3次元位置の位置関係を用いて、前記人の視野に対する前記照明光の影響度が高い前記照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定する、処理をコンピュータに実行させる。
【0024】
請求項8に記載の本発明に係る照明制御プログラムによれば、人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の当該人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定し、特定した3種類の3次元位置の位置関係を用いて、上記人の視野に対する照明光の影響度が高い照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定することで、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る照明制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る照明制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る照明状況情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図4】実施形態に係る明るさ設定情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図5】実施形態に係る照明制御装置が対象とする建物の構成の一例を示す平面図である。
【
図6】第1実施形態に係る照明制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る照明制御処理の説明に供する図であり、障害物存在情報及び距離情報が記憶された後の照明状況情報データベースの一例を示す模式図である。
【
図8】実施形態に係る照明制御処理の説明に供する図であり、照明装置の明るさを示す情報が記憶された後の明るさ設定情報データベースの一例を示す模式図である。
【
図9】実施形態に係る照明制御処理の説明に供する図であり、照明制御装置が対象とする建物の他の構成の一例を示す平面図である。
【
図10A】実施形態に係る照明制御処理の説明に供する図であり、従来技術における照明制御状態の一例を示す側面図である。
【
図10B】実施形態に係る照明制御処理の説明に供する図であり、従来技術における照明制御状態の他の一例を示す側面図である。
【
図10C】実施形態に係る照明制御処理の説明に供する図であり、当該照明制御処理による照明制御状態の一例を示す側面図である。
【
図11】第2実施形態に係る照明制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第3実施形態に係る照明制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0028】
[第1実施形態]
まず、
図1、
図2を参照して、本実施形態に係る照明制御装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る照明制御装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、
図2は、本実施形態に係る照明制御装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。なお、照明制御装置10の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る照明制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16及び通信I/F部18はバスBを介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0030】
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、照明制御プログラム13Aが記憶されている。照明制御プログラム13Aは、当該プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの当該プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。CPU11は、照明制御プログラム13Aを記憶部13から適宜読み出してメモリ12に展開し、照明制御プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0031】
また、記憶部13には、照明状況情報データベース13B及び明るさ設定情報データベース13Cが記憶される。照明状況情報データベース13B及び明るさ設定情報データベース13Cについては、詳細を後述する。
【0032】
更に、記憶部13には、照明制御装置10が制御対象としている照明装置が設けられた建物(以下、「対象建物」という。)に関するBIM(Building Information Modeling)モデル13Dが記憶されている。本実施形態に係る照明制御装置10では、BIMモデル13Dとして従来既知のものを適用している。
【0033】
即ち、建築設計の分野では、BIMの活用が進んでいる。建築設計者は、建築設計を行う際に、設計対象の建物の3次元モデルを表すBIMモデルを作成することにより、設計作業を進める。
【0034】
BIMを活用することにより、コンピュータ上の空間内に建物の形状や、当該建物に設けられている各種部材の形状を表すオブジェクトが形成され、そのオブジェクトに対して属性情報が付与される。例えば、属性情報として、物理的特性に関する情報(比重、材質、強度、及び剛性等)、コストに関する情報(例えば、1m2あたりの単価及び施工コスト等)等を、オブジェクトに対して関連付けることが可能となる。このため、例えば、BIMモデルと各種解析ツールとを連動させることにより、BIMモデルに応じて、構造解析及び熱負荷解析等を自動的に行うことができる。なお、BIMモデルは従来既知であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0035】
本実施形態に係るBIMモデル13Dは、上記各種部材として、対象建物に設けられた照明装置や、当該照明装置による照明光の人に対する障害となり得るパーティション、キャビネット等の障害物(以下、単に「障害物」という。)に関する情報が含まれている。従って、BIMモデル13Dを参照することにより、障害物の位置や形状、大きさ等を把握することができる。
【0036】
更に、
図1に示すように、本実施形態に係る通信I/F部18には、対象建物に設けられた照明装置20A、20B、・・・が電気的に接続されている。なお、以下では、照明装置20A、20B、・・・を個別に区別せずに記載する場合には、「照明装置20」と総称する。
【0037】
従って、CPU11は、対象建物に設けられた照明装置20を個別に制御することができる。本実施形態では、照明装置20が予め定められた複数の段階(本実施形態では、3段階)で照明光の明るさが設定可能なものとされているが、これに限るものではない。例えば、無段階で照明光の明るさが設定可能なものを照明装置20として適用する形態としてもよい。
【0038】
また、本実施形態に係る通信I/F部18には、対象建物の内部を撮影する撮影装置30が接続されている。本実施形態に係る撮影装置30は、対象建物の内部にいる人の位置を検出するために用いられるものであり、対象建物内における、人が存在し得る全域を撮影可能なものとされている。従って、撮影装置30は1台のみに限らず、対象建物の広さや、障害物の数等に応じて、複数台を分散配置して用いる形態としてもよい。この形態では、全ての撮影装置30による撮影画像を示す画像データが照明制御装置10に送信される。
【0039】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る照明制御装置10の機能的な構成について説明する。
【0040】
図2に示すように、本実施形態に係る照明制御装置10は、特定部11A、設定部11B、及び制御部11Cを含む。照明制御装置10のCPU11が照明制御プログラム13Aを実行することで、特定部11A、設定部11B、及び制御部11Cとして機能する。
【0041】
本実施形態に係る特定部11Aは、人、複数の照明装置20、及び当該照明装置20による照明光の上記人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定する。
【0042】
なお、本実施形態では、人の3次元位置を、撮影装置30により得られた撮影画像を対象とした画像認識により特定しているが、これに限るものではない。例えば、RFID(Radio Frequency Identification)を用いて人の3次元位置を検出する形態や、ビーコン(Beacon)を用いて人の3次元位置を検出する形態としてもよい。また、本実施形態では、人の3次元位置として、当該人の両目の中心位置を適用しているが、これに限るものではない。例えば、人の頭部の重心位置、人の頭部の中心位置といった、人の目の近傍の位置を、上記人の3次元位置として適用する形態としてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、照明装置20及び障害物の3次元位置を、BIMモデル13Dを用いて特定するものとしているが、これに限るものではない。例えば、撮影装置30による撮影画像を用いた画像認識により、照明装置20及び障害物の3次元位置を特定する形態としてもよい。また、例えば、BIMモデル13Dに代えて、3次元CAD(Computer Aided Design)情報から照明装置20及び障害物の3次元位置を特定する形態としてもよい。なお、本実施形態では、照明装置20の3次元位置として、当該照明装置20による照明光の射出位置を適用しているが、これに限るものではない。例えば、照明装置20の3次元位置としても、当該照明光の射出位置の近傍の位置を、上記照明装置20の3次元位置として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、障害物の3次元位置として、当該障害物における重心位置を適用しているが、これに限るものではない。例えば、当該障害物における、照明装置20による照明光を遮蔽する領域の端部の位置を、障害物の3次元位置として適用する形態としてもよい。
【0044】
また、本実施形態に係る設定部11Bは、特定部11Aによって特定された3種類の3次元位置の位置関係を用いて、人の視野に対する照明光の影響度が高い照明装置20ほど当該照明光の明るさを高く設定する。
【0045】
ここで、本実施形態に係る設定部11Bは、予め定められた複数の段階(本実施形態では、3段階)で照明光の明るさを設定する。また、本実施形態に係る設定部11Bは、上記人が複数の人である場合、当該複数の人の各々別の照明装置20による照明光の明るさの設定値における最大値を、当該照明装置20による照明光の明るさの最終的な設定値として設定する。但し、この形態に限らず、上記複数の人の設定値における中央値、中間値、及び最小値の何れか1つを、照明装置20による照明光の明るさの最終的な設定値として設定する形態としてもよい。
【0046】
そして、本実施形態に係る制御部11Cは、設定部11Bによる設定結果を用いて、照明装置20の各々の作動を制御する。
【0047】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る照明状況情報データベース13Bについて説明する。
図3は、本実施形態に係る照明状況情報データベース13Bの構成の一例を示す模式図である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態に係る照明状況情報データベース13Bは、区画情報及び照明情報の組み合わせ毎に、対象建物における、対応する区画と照明装置20との間の距離、及び障害物の有無を示す情報が記憶されるものである。なお、上記区画情報は、後述する各区画領域に個別に付与された区画番号を示す識別情報であり、上記照明情報は、対象建物に設けられた照明装置20に個別に付与された識別情報である。
【0049】
本実施形態では、区画番号を示す識別情報として、一例として
図5に示すように、対象建物50の内部を平面視マトリクス状に区画し、区画領域の各々毎に左上角部から右下角部にかけてラスター走査と同様の順に1からの数字を昇順で割り当てている。但し、この形態に限るものでないことは言うまでもない。また、本実施形態では、照明装置20の識別情報として、一例として
図5に示すように、対象建物50の内部を平面視して、対象建物50に設けられた照明装置20に対して、左上端のものから右下端のものにかけてラスター走査と同様の順にL1、L2、・・・を割り当てている。但し、この形態に限るものでないことも言うまでもない。
【0050】
なお、
図5は、実施形態に係る照明制御装置10が対象とする建物(対象建物)の構成の一例を示す平面図であるが、錯綜を回避するために撮影装置30の図示を省略している。また、
図3に示す例ではデフォルトの状態が示されており、距離及び障害物の有無を示す情報として、一例として「-」(ハイフン)が記憶されている。
【0051】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る明るさ設定情報データベース13Cについて説明する。
図4は、本実施形態に係る明るさ設定情報データベース13Cの構成の一例を示す模式図である。
【0052】
図4に示すように、本実施形態に係る明るさ設定情報データベース13Cは、照明状況情報データベース13Bと同様の区画情報及び照明情報の組み合わせに対応する情報に加えて、人が存在するか否かを示す人情報が記憶されるものとされている。
【0053】
即ち、本実施形態に係る照明制御装置10では、上述したように、対象建物50に存在する人の3次元位置を検出し、当該人の3次元位置と、照明装置20及び障害物の3次元位置との位置関係を用いて、照明装置20の明るさを設定するものとされている。本実施形態に係る明るさ設定情報データベース13Cは、この明るさの設定結果を示す情報を人の有無に応じて記憶するものである。
【0054】
なお、
図4に示す例では、人情報のデフォルトの情報として、一例として「不在」を示す情報が適用され、照明装置20の各々の照明光の明るさの設定結果を示すデフォルトの情報として、一例として「-」(ハイフン)が適用されている。
【0055】
次に、
図6~
図10を参照して、本実施形態に係る照明制御装置10の作用を説明する。ユーザによって照明制御処理の実行を開始する指示入力が入力部14を介して行われた場合に、照明制御装置10のCPU11が照明制御プログラム13Aを実行することにより、
図6に示す照明制御処理が実行される。
図6は、本実施形態に係る照明制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、対象建物50が
図5に示すものである場合について説明する。
【0056】
図6のステップ100で、CPU11は、記憶部13からBIMモデル13Dを読み出し、ステップ102で、CPU11は、読み出したBIMモデル13Dを用いて、対象建物50に設けられている全ての照明装置20及び障害物の3次元位置を特定する。
【0057】
ステップ104で、CPU11は、特定した照明装置20及び障害物の3次元位置を用いて、対象建物50における区画領域の各々と照明装置20の各々との間の距離を算出すると共に、区画領域の各々と照明装置20の各々との間の障害物の有無を検出する。そして、CPU11は、照明状況情報データベース13Bに対し、間に障害物がある区画領域及び照明装置20の組み合わせに対応する情報として、障害物が存在していることを示す情報(本実施形態では、「Nan」であり、以下、「障害物存在情報」という。)を記憶する。また、CPU11は、照明状況情報データベース13Bに対し、間に障害物がない区画領域及び照明装置20の組み合わせに対応する情報として、対応する距離を示す情報(以下、「距離情報」という。)を記憶する。
【0058】
図7には、障害物存在情報及び距離情報が記憶された後の照明状況情報データベース13Bの一例が示されている。対象建物50が
図5に示すものである場合、区画情報として「41」が割り当てられた区画領域と、照明情報として「L1」が割り当てられた照明装置20との間に障害物40が存在するため、これらの区画領域と照明装置20との組み合わせに対応する情報として、障害物が存在することを示す「Nan」が記憶されている。また、区画情報として「1」が割り当てられた区画領域と、照明情報として「L1」が割り当てられた照明装置20との間には障害物40が存在しないため、これらの区画領域と照明装置20との組み合わせに対応する情報として、距離を示す「2.0」(m)が記憶されている。
【0059】
ステップ106で、CPU11は、撮影装置30に対して動画像の撮影を開始させるように制御する。この制御により、撮影装置30から照明制御装置10に対する、対象建物50の内部を動画像として撮影して得られた画像データの送信が開始される。
【0060】
そこで、ステップ108で、CPU11は、撮影装置30から受信している画像データを用いて、上述したように人の3次元位置を特定する。なお、この際、対象建物50に人が存在しなければ、当該3次元位置は特定されない。
【0061】
そこで、ステップ110で、CPU11は、一人分以上の上記3次元位置が特定されたか否かを判定することにより、対象建物50の内部に人が存在するか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ112に移行する。
【0062】
ステップ112で、CPU11は、明るさ設定情報データベース13Cの人が存在する区画領域に対応する人情報として、人が存在することを示す情報(本実施形態では、「存在」)を記憶する。この処理により、一例として
図8に示すように、明るさ設定情報データベース13Cの人70が存在する区画領域に対応する人情報が「不在」から「存在」に更新される。
【0063】
ステップ114で、CPU11は、3次元位置を特定した人のうちの一人(以下、「対象人」という。)を対象として、対象人、照明装置20、及び障害物40の位置関係を用いて、以下に示すように照明装置20の各々の明るさを明るさ設定情報データベース13Cに記憶する。
【0064】
まず、CPU11は、対象人との距離が近い照明装置20ほど明るくなるように当該照明装置20の明るさを示す情報を明るさ設定情報データベース13Cに記憶する。本実施形態では、上述したように、照明装置20に対して3段階(以下、明るい順に、設定A、設定B、設定Cと表す。)で明るさを設定することができる。このため、ここでは、対象人と照明装置20との距離を予め定められた基準で3段階に区分し、最も近い区分の照明装置20から順に、設定A、設定B、設定Cを明るさ設定情報データベース13Cの対応する記憶領域に記憶する。なお、本実施形態では、設定Cの明るさは、消灯によるものとしており、当該設定Cを示す情報として、デフォルトの情報と同様の「-」(ハイフン)を適用している。
【0065】
次いで、CPU11は、照明状況情報データベース13Bを参照して、対象人が存在する区画領域との間に障害物40が存在する照明装置20を特定し、特定した照明装置20の明るさを示す情報として最も暗いことを示す情報(本実施形態では、消灯)を明るさ設定情報データベース13Cの対応する記憶領域に記憶する。
【0066】
ステップ116で、CPU11は、ステップ110の処理において存在すると判定された人の全員について、ステップ114の処理による明るさを示す情報の記憶が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ114に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ118に移行する。
【0067】
なお、ステップ114~ステップ116の処理を繰り返し実行する際に、CPU11は、ステップ114の処理による照明装置20の明るさを示す情報の記憶を、記憶対象とする情報が示す明るさが、既に記憶されている情報が示す明るさより明るい場合のみに記憶(更新)するようにする。これにより、明るさ設定情報データベース13Cには、対象建物50に存在する人との距離に応じた明るさのうち、最大の明るさを示す情報が最終的に記憶されることになる。
【0068】
このように、本実施形態では、複数の人について個別に想定した照明装置20の明るさのうち、最大の明るさを最終的に得るものとしているが、これに限るものではない。例えば、当該最大の明るさに代えて、中央の明るさ、中間の明るさ、最小の明るさの何れか1つの明るさを適用する形態としてもよいことは上述したとおりである。
【0069】
ステップ118で、CPU11は、明るさ設定情報データベース13Cに記憶されている明るさを示す情報を読み出し、読み出した明るさとなるように、対応する照明装置20の明るさを制御した後、ステップ122に移行する。
【0070】
一方、ステップ110において否定判定となった場合はステップ120に移行し、CPU11は、全ての照明装置20を消灯するように制御した後にステップ122に移行する。
【0071】
ステップ122で、CPU11は、照明制御処理を終了するタイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ108に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ124に移行する。なお、本実施形態では、上記終了するタイミングとして、対象建物50の利用可能時間帯における最終時刻となったタイミングを適用しているが、これに限るものではない。例えば、照明制御装置10のユーザによって照明制御処理の終了を指示する指示入力が入力部14を介して行われたタイミングを上記終了するタイミングとして適用する形態としてもよい。
【0072】
ステップ124で、CPU11は、ステップ106の処理によって開始した撮影装置30による動画像の撮影を停止させる制御を行い、その後に本照明制御処理を終了する。
【0073】
以上の照明制御処理により、対象建物50が一例として
図9に示すものである場合、人70Aが存在する領域で、かつ、障害物40によって囲まれた領域(以下、「第1領域」という。)80Aに存在する照明装置20は、最も明るい設定Aの明るさとされる。また、この場合、人70Bが存在する領域で、かつ、第1領域80Aを除く第2領域80Bに存在する照明装置20は、人70Bから近い順に設定A、設定B、設定C(消灯)の明るさとされる。
【0074】
図10Aは、障害物が存在しない場合における、人からの距離が近いほど照明装置20の明るさを明るく制御する場合の照明光の状態を示す側面図である。また、
図10Bは、障害物が存在する場合における、人からの距離が近いほど照明装置20の明るさを明るく制御する場合の照明光の状態を示す側面図である。更に、
図10Cは、本実施形態に係る照明制御処理による照明光の状態を示す側面図である。
【0075】
これらの図に示すように、本実施形態に係る照明制御処理によれば、単に人からの距離が近いほど照明装置20の明るさを明るく制御する場合に比較して、存在する人にとって何ら好影響を及ぼさない照明を最低の明るさとすることができる。この結果、本実施形態に係る照明制御処理では、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、人、複数の照明装置、及び当該照明装置による照明光の当該人に対する障害となる障害物の3種類の3次元位置を特定する特定部11Aと、特定した3種類の3次元位置の位置関係を用いて、上記人の視野に対する照明光の影響度が高い照明装置ほど当該照明光の明るさを高く設定する設定部11Bと、を備えている。従って、照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、予め定められた複数の段階で照明光の明るさを設定している。従って、照明光の明るさを無段階で設定する場合に比較して、より簡易に照明装置の照明光の明るさを制御することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、上記人が複数の人である場合、当該複数の人の各々別の照明装置による照明光の明るさの設定値における最大値、中央値、中間値、及び最小値の何れか1つを、当該照明装置による照明光の明るさの最終的な設定値として設定している。従って、複数の人にとっての照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【0079】
更に、本実施形態によれば、照明装置及び障害物が設けられた建物に対応するBIMモデルから当該照明装置及び当該障害物の位置を特定している。従って、これらの位置を、より簡易に特定することができる。
【0080】
[第2実施形態]
本実施形態では、対象建物に存在する人が複数の人である場合、照明装置に最も近い人に対応する当該照明装置の照明光の明るさの設定を優先する場合の形態例について説明する。なお、本実施形態に係る照明制御装置10の構成は、設定部11Bの機能を除いて第1実施形態と同様である。
【0081】
即ち、本実施形態に係る設定部11Bは、対象建物に存在する人が複数の人である場合、照明装置20に最も近い人に対応する当該照明装置20の照明光の明るさの設定を優先する。
【0082】
以下、
図11を参照して、本実施形態に係る照明制御装置10の作用を説明する。
図11は、本実施形態に係る照明制御処理の一例を示すフローチャートであり、
図6に示した第1実施形態に係る照明制御処理と同一の処理を行うステップには
図6と同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0083】
図11のステップ115で、CPU11は、対象人からの距離が、他の対象建物50に存在する人からの距離よりも最も近くに位置する照明装置20を対象として、第1実施形態に係る照明制御処理のステップ114の処理と同様に、照明装置20の各々の明るさを示す情報を明るさ設定情報データベース13Cに記憶する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、上記人が複数の人である場合、照明装置に最も近い人に対応する当該照明装置の照明光の明るさの設定を優先している。従って、複数の人にとっての照明装置の照明光による快適性の低下を抑制しつつ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【0085】
[第3実施形態]
本実施形態では、対象建物に存在する人及び照明装置の位置を特定した後、特定した人及び照明装置の位置を用いたレイトレーシングによって上記障害物を決定して当該障害物の位置を特定する場合の形態例について説明する。なお、本実施形態に係る照明制御装置10の構成は、特定部11Aの機能を除いて第1実施形態と同様である。
【0086】
即ち、本実施形態に係る特定部11Aは、人及び照明装置20の位置を特定した後、特定した人及び照明装置20の位置を用いたレイトレーシングによって障害物を決定して当該障害物の位置を特定する。
【0087】
以下、
図12を参照して、本実施形態に係る照明制御装置10の作用を説明する。ユーザによって照明制御処理の実行を開始する指示入力が入力部14を介して行われた場合に、照明制御装置10のCPU11が照明制御プログラム13Aを実行することにより、
図12に示す照明制御処理が実行される。
図12は、本実施形態に係る照明制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0088】
図12のステップ200で、CPU11は、記憶部13からBIMモデル13Dを読み出し、ステップ202で、CPU11は、読み出したBIMモデル13Dを用いて、対象建物50に設けられている全ての照明装置20の3次元位置を特定する。
【0089】
ステップ204で、CPU11は、撮影装置30に対して動画像の撮影を開始させるように制御する。この制御により、撮影装置30から照明制御装置10に対する、対象建物50の内部を動画像として撮影して得られた画像データの送信が開始される。
【0090】
そこで、ステップ206で、CPU11は、撮影装置30から受信している画像データを用いて、上述したように人の3次元位置を特定する。なお、この際、対象建物50に人が存在しなければ、当該3次元位置は特定されない。
【0091】
そこで、ステップ208で、CPU11は、一人分以上の上記3次元位置が特定されたか否かを判定することにより、対象建物50の内部に人が存在するか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ210に移行する。
【0092】
ステップ210で、CPU11は、3次元位置を特定した人のうちの一人である対象人を対象として、当該対象人と、3次元位置を特定した全ての照明装置20との間に存在する障害物を決定し、決定した障害物の3次元位置を特定する。なお、本実施形態では、障害物の決定を、従来既知のレイトレーシングを用いて行っているが、これに限るものではない。例えば、フォトンマッピングを障害物の特定に用いる形態としてもよい。
【0093】
ステップ212で、CPU11は、上述した対象人を対象として、第1実施形態に係る照明制御処理のステップ114の処理と同様に、照明装置20の各々の明るさを示す情報を明るさ設定情報データベース13Cに記憶する。
【0094】
ステップ214で、CPU11は、ステップ208の処理において存在すると判定された人の全員について、ステップ212の処理による明るさを示す情報の記憶が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ210に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ216に移行する。
【0095】
なお、ステップ210~ステップ214の処理を繰り返し実行する際に、CPU11は、ステップ212の処理による照明装置20の明るさを示す情報の記憶を、記憶対象とする情報が示す明るさが、既に記憶されている情報が示す明るさより明るい場合のみに記憶(更新)するようにする。これにより、明るさ設定情報データベース13Cには、対象建物50に存在する人との距離に応じた明るさのうち、最大の明るさを示す情報が最終的に記憶されることになる。
【0096】
ステップ216で、CPU11は、明るさ設定情報データベース13Cに記憶されている明るさを示す情報を読み出し、読み出した明るさとなるように、対応する照明装置20の明るさを制御した後、ステップ220に移行する。
【0097】
一方、ステップ208において否定判定となった場合はステップ218に移行し、CPU11は、全ての照明装置20を消灯するように制御した後にステップ220に移行する。
【0098】
ステップ220で、CPU11は、照明制御処理を終了するタイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ206に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ222に移行する。なお、本実施形態でも、上記終了するタイミングとして、対象建物50の利用可能時間帯における最終時刻となったタイミングを適用しているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0099】
ステップ222で、CPU11は、ステップ204の処理によって開始した撮影装置30による動画像の撮影を停止させる制御を行い、その後に本照明制御処理を終了する。
【0100】
以上説明したように、本実施形態によれば、人及び照明装置の位置を特定した後、特定した人及び照明装置の位置を用いたレイトレーシングによって上記障害物を決定して当該障害物の位置を特定している。従って、より高精度に障害物の位置を特定することができる。
【0101】
なお、上記各実施形態で適用した各種データベースの構成は一例であり、例示したものに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0102】
また、上記各実施形態で適用した照明制御処理の流れは一例であり、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることも言うまでもない。
【0103】
また、上記各実施形態において、例えば、特定部11A、設定部11B、及び制御部11Cの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0104】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0105】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0106】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0107】
10 照明制御装置
11 CPU
11A 特定部
11B 設定部
11C 制御部
12 メモリ
13 記憶部
13A 照明制御プログラム
13B 照明状況情報データベース
13C 明るさ設定情報データベース
13D BIMモデル
14 入力部
15 表示部
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
20 照明装置
30 撮影装置
40 障害物
50 対象建物
70 人