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特開2023-35413樹脂カバーユニットおよび樹脂カバーユニットを備える光学装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035413
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】樹脂カバーユニットおよび樹脂カバーユニットを備える光学装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/60 20180101AFI20230306BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20230306BHJP
   F21S 41/20 20180101ALI20230306BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230306BHJP
   F21V 29/90 20150101ALI20230306BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230306BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20230306BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20230306BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20230306BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20230306BHJP
【FI】
F21S45/60
F21S41/143
F21S41/20
F21V23/00 117
F21V29/90
F21Y115:10
F21W102:00
F21W102:30
F21W103:35
F21W103:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142245
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 正幸
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】樹脂カバー部を効率よく加熱することができる樹脂カバーユニットおよび樹脂カバーユニットを備えた光学装置を提供する。
【解決手段】樹脂カバーユニットは、光を出射させるまたは光を入射させる光学部品を含む光学装置に使用される。樹脂カバーユニットは、光を透過させる樹脂カバー部と、加熱部と、を有している。加熱部は、樹脂カバー部の内部に形成された流路を流れる流体を加熱する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射させるまたは光を入射させる光学部品を含む光学装置の樹脂カバーユニットであって、
前記光を透過させる樹脂カバー部と、
加熱部と、を有し、
前記加熱部は、前記樹脂カバー部の内部に形成された流路を流れる流体を加熱する、樹脂カバーユニット。
【請求項2】
前記樹脂カバー部から流れた前記流体を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された前記流体と前記加熱部により加熱された前記流体とに基づいて、前記樹脂カバー部に流入する前記流体の温度を調節する温度調節部と、
を備えている、請求項1に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項3】
前記貯留部に貯留された前記流体を冷却する冷却機構を備えている、請求項2に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項4】
前記温度調整部は、
調節タンクと、
前記貯留部と前記調節タンクとを接続する調節管路と、
前記調節管路に設けられた電磁弁と、
前記調節タンクの前記流体の温度を検知する温度センサと、を有し、
前記温度調節部は、前記温度センサの検出値に基づいて、前記電磁弁を開閉することにより、前記貯留部から前記温度調節部へ送られる前記流体の量を調節することによって前記温度調節部から流れ出る前記流体の温度を調節する、請求項2または請求項3に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項5】
前記温度調整部は、
調節タンクと、
前記加熱部と前記調節タンクとを接続する調節管路と、
前記調節管路に設けられた電磁弁と、
前記調節タンクの前記流体の温度を検知する温度センサと、を有し、
前記温度調節部は、前記温度センサの検出値に基づいて、前記電磁弁を開閉することにより、前記加熱部から前記温度調節部へ送られる前記流体の量を調節することによって前記温度調節部から流れ出る前記流体の温度を調節する、請求項2または請求項3に記載の車両用樹脂カバーユニット。
【請求項6】
前記流路を流れる前記流体の温度が60℃~80℃である、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項7】
前記樹脂カバー部は、所定の距離離れて対向する第一カバー部と第二カバー部を有しており、
前記第一カバー部と前記第二カバー部との間に前記流路が形成されている、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項8】
前記第一カバー部と前記第二カバー部の対向する方向における距離は、1~2mmである、請求項7に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項9】
前記第一カバー部の前記対向する方向における厚さは、1~2mmである、請求項7または請求項8に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項10】
前記第二カバー部の前記対向する方向における厚さは、1~2mmである、請求項7から9の何れか一項に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項11】
前記流体は、イオン液体である、請求項1から請求項12の何れか一項に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項12】
前記流路は、前記樹脂カバー部の光が透過する部位の周辺領域に形成されている、請求項1から請求項11の何れか一項に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項13】
前記流体は、前記樹脂カバー部と同じ屈折率を有する、請求項1から請求項12の何れか一項に記載の樹脂カバーユニット。
【請求項14】
ハウジングと、
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の樹脂カバーユニットと、
前記樹脂カバーユニットの前記樹脂カバー部と前記ハウジングとにより形成される空間内に配置された光学部品と、
を備えている、光学装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂カバーユニットおよび樹脂カバーユニットを備える光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車体パネル上に堆積した雪がヘッドランプからの出射光を遮ることを防止するために、ヘッドランプのハウジングの上面にヒータを配置することを開示している。特許文献2は、ヘッドランプの前面レンズに付着した雪を融かすために、光源部で発生された熱を灯室内で対流させることにより前面レンズを加熱することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-111923号公報
【特許文献2】特許第5031044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ヘッドランプよりも上に位置する車体パネルに付着した雪を融かすものであり、ヘッドランプの前面レンズに付着した雪の対策については開示されていない。特許文献2では、ヘッドランプの前面レンズに付着した雪を融かす構成を開示している。しかしながら、灯室内で対流する暖められた空気により前面レンズを温めるため、効率的に加熱を行う観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、樹脂カバー部を効率よく加熱することができる樹脂カバーユニットおよび樹脂カバーユニットを備えた光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る樹脂カバーユニットは、
光を出射させるまたは光を入射させる光学部品を含む光学装置の樹脂カバーユニットであって、
前記光を透過させる樹脂カバー部と、
加熱部と、を有し、
前記加熱部は、前記樹脂カバー部の内部に形成された流路を流れる流体を加熱する。
【0007】
本発明の第二態様に係る光学装置は、
ハウジングと、
第一態様に係る樹脂カバーユニットと、
前記樹脂カバーユニットの前記樹脂カバー部と前記ハウジングとにより形成される空間内に配置された光学部品と、
を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂カバー部を効率よく加熱することができる樹脂カバーユニットおよび樹脂カバーユニットを備えた光学装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る車両用灯具の構成を例示している。
図2】車両用灯具が搭載される車両を例示している。
図3】アウターカバーの構成を例示している。
図4】アウターカバーの構成の別例を示している。
図5】流体が流れる流路を示す模式図を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。また、図面において、矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。これらの方向は、図2に示された車両Vについて設定された相対的な方向である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具1の構成を例示する模式図である。例えば図2に示されるように、車両用灯具1は、車両Vの前部に設けられ、車両Vの前方に光を照射するヘッドランプを構成する。
【0012】
図1に例示されるように、車両用灯具1は、ハウジング2、アウターカバー3、光源ユニット4、および加熱部5を備えている。アウターカバー3は、ハウジング2の開口部を前方から閉塞するように配置されている。ハウジング2とアウターカバー3との間には、灯室Sが形成されている。車両用灯具1は、光学装置の一例である。アウターカバー3は、樹脂カバー部の一例である。光源ユニット4は、光学部品の一例である。アウターカバー3と加熱部5は、樹脂カバーユニットを構成する。
【0013】
光源ユニット4は、灯室S内に配置されている。光源ユニット4は、光源41、基板42、および投影レンズ43を有する。光源41は、基板42に搭載されている。光源41、例えば、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子である。投影レンズ43は、光源41の前方に設けられている。投影レンズ43は、光源41から出射された光を灯具前方に向けて出射させる。投影レンズ43から出射された光は、アウターカバー3を透過して、車両Vの前方に照射される。基板42の後方にはヒートシンク6が設けられている。ヒートシンク6は、複数の放熱フィン61を有している。光源41において発生した熱は、基板42を介してヒートシンク6に伝わり、放熱フィン61から放出される。
【0014】
アウターカバー3は、投影レンズ43から出射された光を透過させるように構成されている。アウターカバー3は、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、ポリイミド樹脂、または、その他の透明樹脂により形成される。
【0015】
アウターカバー3の内部には、流体Rが流れる流路3Rが形成されている。具体的には、アウターカバー3は、所定の距離離れて対向する第一カバー部31と第二カバー部32を有している。流路3Rは、第一カバー部31と第二カバー部32との間に形成される。アウターカバー3は、例えばブロー成形や3D印刷などにより形成されてもよい。あるいは、アウターカバー3は、第一カバー部31や第二カバー部32などを貼り合わせることにより形成されてもよい。
【0016】
例えば、アウターカバー3は、第一カバー部31と第二カバー部32の対向する方向における距離Dが1~2mmになるように構成される。第一カバー部31の第二カバー部32に対向する方向における厚さT1は1~2mmであることが好ましい。第二カバー部32の第一カバー部31に対向する方向における厚さT2は1~2mmであることが好ましいい。
【0017】
アウターカバー3は、流路3Rと連通する流入口3Aと流出口3Bを有している。流入口3Aから流入した流体Rは、流路3Rを流れて、流出口3Bから流出される。
【0018】
加熱部5は、灯室S内に配置されている。加熱部5は、アウターカバー3の流路3Rを流れる流体Rを加熱するように構成されている。具体的には、加熱部5の内部には、流体Rが流れる流路5Rが形成されている。加熱部5は、流路5Rと連通する流入口5Aと流出口5Bを有している。流入口5Aから流入した流体Rは、流路5R内で加熱されて、流出口5Bから流出される。
【0019】
例えば図1に示されるように、加熱部5は、ヒータ51を有している。ヒータ51は、加熱部5の流路5R内に配置されてもよく、加熱部5の筐体の外側に設けられてもよい。また、本実施形態では、加熱部5は、ヒートシンク6と一体的に形成されており、放熱フィン61が流路5R内に配置されている。すなわち、ヒートシンク6が加熱部5の一部を構成している。加熱部5の流路5Rを流れる流体Rは、ヒータ51および光源41において発生して放熱フィン61から放出された熱により温められる。
【0020】
加熱部5の流出口5Bとアウターカバー3の流入口3Aは、第一管路7により接続されている。アウターカバー3の流出口3Bと加熱部5の流体Rの流入口5Aは、第二管路8により接続されている。
【0021】
加熱部5により加熱された流体Rは、加熱部5の流路5Rから第一管路7の流路7Rを通ってアウターカバー3の流路3Rを流れる。アウターカバー3の流路3Rを流れた流体Rは、流路3Rから第二管路8の流路8Rを通って加熱部5の流路5R内に戻る。例えば、流体Rは、流体Rの温度差に起因する体積膨張によって自然な流れが生じることにより、これらの流路5R,7R,3R,8R内を循環する。
【0022】
車両用灯具1のアウターカバー3の外表面に付着した雪や氷を融かすためには、例えば灯室S内で対流する暖められた空気によりアウターカバー3を温めることが考えられる。しかしながら、この場合、暖められた空気により温められるのはアウターカバー3の内面であるため、アウターカバー3の外表面を効率的に加熱することできない。本実施形態に係る車両用灯具1によれば、アウターカバー3は、その内部を流れる流体Rにより温められるので、アウターカバー3の外表面および内面を効率よく加熱することができる。これにより、アウターカバー3の外表面に付着した雪が融かされ、アウターカバー3の内面に生じた曇りも解消される。
【0023】
なお、本実施形態において、図1に例示されるように、第一管路7には逆止弁71が設けられてもよい。同様に、第二管路8には逆止弁81が設けられてもよい。逆止弁71,81により、流路7R,8R内を流れる流体Rの逆流を防ぐことができる。
【0024】
逆止弁71や逆止弁81の代わりに、電磁弁などが設けられてもよい。電磁弁の開閉動作を制御することにより、流体Rの流れを調節することができる。
【0025】
あるいは、逆止弁71や逆止弁81の代わりに、循環ポンプが設けられてもよい。循環ポンプにより、流体Rを強制的に循環させることができる。
【0026】
加熱部5は、流路3Rを流れる流体Rの温度が60℃~80℃となるように、流体Rを加熱するように構成されてもよい。例えば、加熱部5は、流体Rの温度を測定する温度センサ(図示せず)を有し、温度センサの検出値に基づいてヒータ51の温度を調整するように構成されうる。このような構成によれば、流体Rの温度が60℃以上であるので、アウターカバー3の流路3Rを流れる流体Rにより、アウターカバー3の内面の曇りを防止したり、アウターカバー3の外表面に付着した雪や氷を融解・除去できる。他方、流体Rの温度が80℃以下であるので、アウターカバー3が流体Rの温度により変形することを防ぐことができる。
【0027】
流体Rとしては、イオン液体が使用されうる。イオン液体を使用することにより、アウターカバー3の流路3Rを流れる流体Rに気泡が含まれるのを抑制できる。
【0028】
あるいは、イオン液体以外に、シリコーンオイルまたはその他液体、あるいは、気体などが流体Rとして使用されてもよい。
【0029】
また、流体Rとして、アウターカバー3と同じ屈折率を有する流体が使用されうる。本明細書において「屈折率が同じ」とは、屈折率の比が0・95-1.05の間を含む。例えば、アウターカバー3がポリカーボネート樹脂(屈折率:約1.58)により形成される場合、流体Rとしては、イオン液体の一例であるオンフレックスTNP(屈折率:約1.52~1.53)、シリコーンオイルの一例であるDOWNSIL(商標) SH 710 Fluid(屈折率:約1.53)が使用されうる。このような構成によれば、アウターカバー3の流路3Rを流れる流体Rによりアウターカバー3を透過する光の配光に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0030】
アウターカバー3の流路3Rは、アウターカバー3の内部全体に形成されてもよく、アウターカバー3の一部に形成されてもよく、その形状は限定されない。例えば、図3に示されるように、流路3Rは、ジグザグ状に形成されてもよい。あるいは、図4に例示されるように、流路3Rは、アウターカバー3の光が透過する部位の周辺領域に形成されてもよい。このように流路3Rが周辺領域に形成される場合は、流体Rがアウターカバー3を透過する光の配光に影響を与えることを防ぐことができる。
【0031】
流体Rは、アウターカバー3内を上から下に向けて流れている。しかしながら、図5に例示されるように、車両用灯具1は、流体Rがアウターカバー3内を下から上に向けて流れるように構成されてもよい。なお、図5は、流体Rが流れる流路を示す模式図であり、図1の車両用灯具1を構成する部品の一部は省略されている。
【0032】
車両用灯具1は、アウターカバー3に流入する流体Rの温度を調節する機構を備えてもよい。例えば、図5に例示されるように、車両用灯具1は、貯留部9と温度調節部10を備えうる。貯留部9と温度調節部10は、アウターカバー3と加熱部5と共に樹脂カバーユニットを構成する。
【0033】
貯留部9は、アウターカバー3から流れた流体Rを貯留するように構成されている。例えば、貯留部9は、第二管路8から分岐した第三管路11に接続されている。第二管路8内を流れる流体Rの一部は、第三管路11を通って貯留部9に流入する。本実施形態においては、第三管路11には電磁弁111が設けられている。
【0034】
温度調節部10は、貯留部9に貯留された流体Rと加熱部5により加熱された流体Rとに基づいて、アウターカバー3に流入する流体Rの温度を調節するように構成されている。例えば、温度調節部10は、調節タンク101、温度センサ102、第一調節管路103、第一電磁弁104、第二調節管路105、第二電磁弁106を有する。
【0035】
温度センサ102は、調節タンク101の流体Rの温度を検知するように構成される。第一調節管路103は、貯留部9と調節タンク101とを接続する。第一電磁弁104は、第一調節管路103に設けられている。第二調節管路105は、加熱部5と調節タンク101とを接続する。第二電磁弁106は、第二調節管路105に設けられている。貯留部9に貯留された流体Rは、第一調節管路103を介して調節タンク101へ供給される。加熱部5により加熱された流体Rは、第二調節管路105を介して調節タンク101へ供給される。
【0036】
例えば、温度調節部10は、温度センサ102の検出値に基づいて、第一電磁弁104を開閉することにより、貯留部9から温度調節部10へ送られる流体Rの量を調節する。また、例えば、温度調節部10は、温度センサ102の検出値に基づいて、第二電磁弁106を開閉することにより、加熱部5から温度調節部10へ送られる流体Rの量を調節する。このように貯留部9と加熱部5から送られてくる流体Rの量を調節することにより、温度調節部10から流れ出る流体Rの温度が調節される。
【0037】
車両用灯具1は、冷却機構12を備えうる。冷却機構12は、貯留部9に貯留された流体Rを冷却するように構成されている。冷却機構12は、例えば、貯留部9に隣接してあるいは一体化するように設けられうる。冷却機構12の例としては、例えば、冷却フィンやファンなどが挙げられる。冷却機構12は、貯留部9と温度調節部10と共に樹脂カバーユニットを構成する。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0039】
アウターカバー3の第一カバー部31の外表面には、ハードコート処理が施されてもよい。ハードコート処理を施すことにより、アウターカバー3の外表面の耐擦傷性と耐候性が向上する。
【0040】
加熱部5は、ヒータ51と放熱フィン61を用いて流体Rを加熱しているが、他の加熱手段を用いて流体Rを加熱するように構成されてもよい。
【0041】
加熱部5は、灯室S内に配置されている。しかしながら、加熱部5は、灯室Sの外に配置されてもよい。例えば、図2に示されるように、加熱部5は、車両Vのエンジンルームに配置されうる。この場合、加熱部5は、例えばエンジンやラジエータから発生する熱、あるいはモータから発生する熱を利用して、流体Rを加熱してもよい。
【0042】
加熱部5は、電熱線など流体Rを加熱する目的で設置された装置で構成してもよいし、図示したように光源41を冷却するためのヒートシンク6や、光源の点消灯を制御する光源モジュール、モータなど電気で作動する装置の冷却装置、あるいはエンジンなど熱が生じる機械の冷却装置で構成してもよい。
【0043】
車両用灯具1は、ヘッドランプの他に、フォグランプやリアランプなどでもよい。あるいは、車両用灯具1は、単一の機能を有するランプを灯室S内に配置する構成ではなく、複数の異なる機能のランプを灯室S内に配置する構成でもよい。例えば、車両用灯具1は、ストップランプとターンシグナルランプを有するリアコンビネーションランプなどでもよい。さらに、車両用灯具1は、灯室S内に一つまたは複数の機能のランプと共に、車両Vの周辺の情報を取得するカメラやLiDARなどのセンサ(図1の13)を有するセンサ付き車両用灯具でもよい。
【0044】
アウターカバー3と加熱部5を含む樹脂カバーユニットは、車両用灯具1の代わりに、車両Vに搭載されて、カメラやLiDARなどのセンサ(光学部品の一例)を有するセンサユニット(光学装置の一例)に使用されてもよい。この場合、センサがアウターカバーを介して車両Vの周辺の情報を取得する際に、アウターカバーに付着した雪や曇りによりセンサによる検知が正常に行われないことを防止できる。
【0045】
アウターカバー3と加熱部5を含む樹脂カバーユニットは、車両Vの他に、インフラ設備(信号機、防犯カメラなど)にも適用されうる。
【符号の説明】
【0046】
1 車両用灯具
2 ハウジング
3 アウターカバー
3A 流入口
3B 流出口
3R 流路
31 第一カバー部
32 第二カバー部
4 光源ユニット
41 光源
42 基板
43 投影レンズ
5 加熱部
5A 流入口
5B 流出口
5R 流路
51 ヒータ
6 ヒートシンク
61 放熱フィン
7 第一管路
7R 流路
8 第二管路
8R 流路
9 貯留部
10 温度調節部
11 第三管路
12 冷却機構
71 逆止弁
81 逆止弁
101 調節タンク
102 温度センサ
103 第一調節管路
104 第一電磁弁
105 第二調節管路
106 第二電磁弁
111 電磁弁
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5