(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035445
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】容積式流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 3/10 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
G01F3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142301
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北岡 利道
(72)【発明者】
【氏名】井上 幸治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一隆
(72)【発明者】
【氏名】新宮 武
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大鵬
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CA07
2F030CC13
2F030CD15
2F030CD17
2F030CE14
2F030CF02
2F030CF04
2F030CG10
(57)【要約】
【課題】水平方向に延びる配管途中に配置した場合に、一対のローターのスムーズな回転を阻害することなく、流量計の計測精度が低下させない容積式流量計を提供する。
【解決手段】流量計本体ハウジングは、本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた状態で、ストレ-ナ室と計量ユニット室とが本体流入口と本体流出口との間に水平方向に沿って並ぶようになっており、計量ユニットハウジングは、ユニット流入口およびユニット流出口それぞれの開口向きを水平方向とは異なる向きに沿って互いに反対向きに向けて計量ユニット室に収容され、一対の回転子は、各回転子の回転軸心が同一の水平面上で互いに平行に延びるようにして、回転子室に回動可能に収容され、スムーズな回転が阻害されないようになっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体流入口、本体流出口、前記本体流入口に連通されたストレ-ナ室、前記ストレ-ナ室および前記本体流出口に連通された計量ユニット室、を有する流量計本体ハウジングと、
前記ストレ-ナ室に収容されたストレ-ナと、
前記計量ユニット室に収容された計量ユニットと、
を備え、
前記流量計本体ハウジングは、
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きが互いに反対向きになっており、前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた状態で、前記ストレ-ナ室と前記計量ユニット室とが前記本体流入口と前記本体流出口との間に水平方向に沿って並ぶようになっており、
前記計量ユニットは、
ユニット流入口、ユニット流出口、前記ユニット流入口および前記ユニット流出口と連通された回転子室、を有する計量ユニットハウジングと、
前記回転子室に回動可能に収容され、回動によって前記回転子室内に計量室を画成する一対の回転子と、
を備え、
前記計量ユニットハウジングは、
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた前記流量計本体ハウジングの配置状態で、前記ユニット流入口および前記ユニット流出口それぞれの開口向きを鉛直方向に沿って互いに反対向きに向けた配置状態で前記計量ユニット室に収容され、
前記一対の回転子は、
前記計量ユニット室に前記計量ユニットハウジングが収容された状態で、前記各回転子の回転軸心が同一の水平面上で互いに平行に延びるようにして、前記回転子室に回動可能に収容されている、
容積式流量計。
【請求項2】
前記ストレ-ナは、筒状形態のろ過面を有し、
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた前記流量計本体ハウジングの配置状態で、被側流体が筒状形態のろ過面の筒外から筒内に流通するように、筒軸方向が鉛直方向に沿うように向けて前記ストレーナ室に収容され、
前記ストレーナ室には、被測流体が流入するストレ-ナ室流入口よりも高さ位置が低く前記ストレ-ナの外周周りとは接触しない周壁部が形成され、被側流体に混入したダストが滞留する淀み部になっている、
請求項1に記載の容積式流量計。
【請求項3】
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた前記流量計本体ハウジングの配置状態で、前記流量計本体ハウジングの、前記ストレーナ室の底面部を形成するハウジング部分は、前記ストレーナが通過可能なストレーナ室開口部を、前記ストレーナ室開口部に対して着脱可能なストレーナ室蓋体で閉塞して構成され、前記ストレーナ室蓋体の取り外しで前記ストレーナの前記ストレーナ室に対する着脱を前記ストレーナ室開口部を介して行える、
請求項1に記載の容積式流量計。
【請求項4】
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた前記流量計本体ハウジングの配置状態で、前記流量計本体ハウジングの、前記各回転子の回転軸心方向の前記計量ユニット室の室端部を形成するハウジング部分は、前記計量ユニットが通過可能な計量ユニット室開口部を、前記計量ユニット室開口部に対して着脱可能な計量ユニット室蓋体で閉塞して構成され、前記計量ユニット室蓋体の取り外しで前記計量ユニットの前記計量ユニット室に対する着脱を前記計量ユニット室開口部を介して行える、請求項1に記載の容積式流量計。
【請求項5】
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた前記流量計本体ハウジングの配置状態で、前記流量計本体ハウジングには、前記計量ユニット室に着脱される前記計量ユニットを吊持する吊り具が備えられたメンテナンス機具が着脱可能な、機具固定部が設けられている、請求項4に記載の容積式流量計。
【請求項6】
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた前記流量計本体ハウジングの配置状態で、前記流量計本体ハウジングの前記計量ユニット室開口部の周縁部には、前記メンテナンス機具の吊り具によって吊持された前記計量ユニットの移動を案内するガイド棒が着脱可能な、ガイド棒固定部が設けられている、請求項5に記載の容積式流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容積式流量計に係り、特に、都市ガス等の気体の流量を計測するのに好適な容積流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
容積式流量計の一種として、一対の回転子(ローター)が測定対象となる流体(被測流体)の流れを受けて回転子収容室内で回転することによって、被測流体が回転子収容室内の回転子の回転で画成される計量室に閉じ込められて流量計の流入口側から流出口側へ送り出され、この回転子の回転数に基づいて被測流体の流量を計測する容積式流量計がある。このような容積式流量計として、一対のまゆ型回転子(ルーツ)を備えたルーツ式流量計や、一対の楕円型歯車(オーバルギア)を備えた楕円歯車式流量計が知られている。
【0003】
特許文献1には、このような容積式流量計の一例として、都市ガス等の気体を輸送する輸送ラインの、鉛直方向(縦方向)に延びる配管途中に配置される流量計が示されている。
【0004】
その一方で、特許文献2には、潤滑性を有しない都市ガス等の気体の流量を容積式流量計で計測する際は、流量計測精度を保つために一対の回転子が円滑に回転する必要があり、そのため回転子を支持する回転軸の軸受に潤滑油を供給する給油機構が設けられることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6-41864公報
【特許文献2】特開平5-107095公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような都市ガス等の気体の輸送ラインを有する施設の中には、容積式流量計を特許文献1に記載されているように鉛直方向に延びる配管途中に配置するのではなく、水平方向に延びる配管途中に配置する要望がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載された流量計をその被測流体の流入口および流出口を水平方向に向かせて開口させるために、例えば、各回転子(ローター)の回転軸が水平方向に沿って延びるように流量計を配置した場合は、一対の回転子は、各回転子が鉛直方向に並ぶことになり、そのうちの上側に位置する回転子の回転軸およびその軸受には、回転子の円滑な回転を維持するための潤滑油が行き届かなくなる恐れがある。これに替えて、各回転子の回転軸が鉛直方向に沿って延びるように流量計を配置した場合は、各回転子の下側に位置する軸受が各回転子の荷重を支えることに専ら寄与し、回転抵抗となると同時に潤滑油の供給ができなくなる恐れがある。
【0008】
その結果、特許文献1,2に記載された流量計を水平方向に延びる配管途中に配置しようとした場合は、回転子およびその軸受の潤滑ができなくなる恐れがあり、耐久性の低下を招く恐れがあった。
【0009】
本開示は、上述した問題点を鑑みてなされたものであって、水平方向に延びる配管途中に配置した場合に、一対の回転子(ローター)のスムーズな回転を阻害することなく、流量計の計測精度が低下させない容積式流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る容積式流量計は、前述した課題を解決するために、
本体流入口、本体流出口、前記本体流入口に連通されたストレーナ室、前記ストレ-ナ室および前記本体流出口に連通された計量ユニット室、を有する流量計本体ハウジングと、
前記ストレーナ室に収容されたストレーナと、
前記計量ユニット室に収容された計量ユニットと、
を備え、
前記流量計本体ハウジングは、
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きが互いに反対向きになっており、前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた状態で、前記ストレーナ室と前記計量ユニット室とが前記本体流入口と前記本体流出口との間に水平方向に沿って並ぶようになっており、
前記計量ユニットは、
ユニット流入口、ユニット流出口、前記ユニット流入口および前記ユニット流出口と連通された回転子室、を有する計量ユニットハウジングと、
前記回転子室に回動可能に収容され、回動によって前記回転子室内に計量室を画成する一対の回転子と、
を備え、
前記計量ユニットハウジングは、
前記本体流入口および前記本体流出口それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた前記流量計本体ハウジングの配置状態で、前記ユニット流入口および前記ユニット流出口それぞれの開口向きを鉛直方向に沿って互いに反対向きに向けた配置状態で前記計量ユニット室に収容され、
前記一対の回転子は、
前記計量ユニット室に前記計量ユニットハウジングが収容された状態で、前記各回転子の回転軸心が同一の水平面上で互いに平行に延びるようにして、前記回転子室に回動可能に収容されている、構成になっている。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る容積式流量計によれば、水平方向に延びる配管途中に配置した場合に、一対の回転子(ローター)のスムーズな回転が阻害されることなく、流量計の計測精度の低下を招くこともない。
【0012】
また、本開示の上記した以外の、課題、構成および効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の容積式流量計の一実施の形態に係るルーツ式流量計の一実施例の外観構成図である。
【
図2】
図1に示したルーツ式流量計の一実施例の断面図である。
【
図3】
図1に示したルーツ式流量計の一実施例にあって、計量ユニットの外観構成図である。
【
図4】
図1に示したルーツ式流量計の一実施例にあって、計量ユニット室開口部から計量ユニット室蓋体の取り外した状態の外観構成図である。
【
図5】
図1に示したルーツ式流量計の一実施例にあって、計量ユニット室に着脱される計量ユニットを吊持する吊り具が備えられた計量ユニット着脱用機具の一実施例の説明図である。
【
図6】
図5に示した計量ユニット着脱用機具が流量計本体ハウジングに取り付られた状態における、計量ユニットの取り出し状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の容積式流量計の一実施の形態について、本開示に係る容積式流量計の構成を一対のまゆ型回転子(ルーツ)を備えたルーツ式流量計に適用した場合を例にして、図面に基づいて説明する。なお、本開示に係る容積式流量計の構成は、一対の楕円型歯車(オーバルギア)を備えた楕円歯車式流量計にも適用可能である。また、図示したルーツ式流量計の構成は、本開示の容積式流量計の理解のためのものであり、本開示に係る容積式流量計の構成を適用したルーツ式流量計における一実施例の構成であるに過ぎず、決して本開示に係る容積式流量計の構成を限定的に解釈するために用いられるものではない。すなわち、以下の説明や図面における記述は、本開示の容積式流量計又はその適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0015】
図1は、本開示の容積式流量計の一実施の形態に係るルーツ式流量計の一実施例の外観構成図である。
図2は、
図1に示したルーツ式流量計の一実施例の断面図である。
【0016】
本開示の容積式流量計の一実施例としての図示のルーツ式流量計1は、流量計本体ハウジング2に、ストレーナ3と計量ユニット4とが備えられた構成になっている。
【0017】
流量計本体ハウジング2は、本体流入口21および本体流出口22を有し、
図2に示すように、ハウジング内部に、本体流入口21に連通されたストレーナ室30と、ストレーナ室30に連通されるとともに本体流出口22に連通された計量ユニット室40とが設けられた構成になっている。
【0018】
流量計本体ハウジング2は、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きが互いに反対向きになっている。本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(例えば、図中のx軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、本体流入口21は、図示せぬ上流側配管、上流側機器の流出口がその流出口を水平方向(+x方向)に向けた状態でフランジ接続できるようになっており、本体流出口22は、図示せぬ下流側配管、下流側機器の流入口がその流入口を水平方向反対向き(-x方向)に向けた状態でフランジ接続できるようになっている。
【0019】
ストレーナ室30と計量ユニット室40とは、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(x軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、本体流入口21と本体流出口22との間に水平方向(x軸方向)に沿って一列に順番に並ぶように、流量計本体ハウジング2のハウジング内部に形成されている。
【0020】
図示の例では、ストレーナ室30は、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(x軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、水平方向(x軸方向)とは異なる向きの鉛直方向(この場合、図中のz軸方向)に沿って延びる例えば円筒形状等の縦筒形状の室形態で、流量計本体ハウジング2のハウジング内部に形成されている。ストレーナ室30は、その周壁部に、被測流体がストレーナ室30に流入するストレーナ室流入口30iが開口し、その筒軸方向(z軸方向)の上方の天井部に、ストレーナ室30に流入した被測流体が計量ユニット室40に向けて流出するストレーナ室流出口30oが開口した構成になっている。ストレーナ室流入口30iは、流量計本体ハウジング2のハウジング内部に形成された入口流路23を介して、本体流入口21と連通している。
【0021】
ストレーナ室30には、例えば筒状形態のろ過面を有するストレーナ3が収容されている。ストレーナ3は、ろ過面の筒状形態がストレーナ室30の縦筒形状の室形態よりも細くなっており、その筒軸方向(z軸方向)の上端がストレーナ室流出口30oを囲繞し、その筒軸方向の下端がストレーナ室30の底部に支持されるように、ストレーナ室30に収容されている。そして、ストレーナ3は、筒軸方向(z軸方向)の上端面もしくは上端側周面、および下端面もしくは下端側周面がストレーナ室30の室壁面に密接し、ストレーナ室流入口30iから流入した被測流体は、ストレーナ3の筒外から筒内へ筒状形態のろ過面を介して専ら流通し、ストレーナ3の筒内が臨んだストレーナ室流出口30oから計量ユニット室40に流出するようになっている。
【0022】
その上で、図示の場合は、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(x軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、ストレーナ室30の底部を形成する流量計本体ハウジング2のハウジング部分には、筒状のストレーナ3が通過可能なストレーナ室開口部31が形成され、ストレーナ室開口部31は着脱可能なストレーナ室蓋体32で閉塞された構成になっている。図示の例では、ストレーナ室蓋体32は、蓋体周縁部の予め定められた位置に形成された取付孔に締結ボルトを挿通させて、ストレーナ室開口部31の周縁の環状取付面に穿設された取付用ねじ孔部にこの締結ボルトを螺入することによって、流量計本体ハウジング2に固定される。そのため、ストレーナ3は、ストレーナ室蓋体32によってストレーナ室30内に支持され、ストレーナ室蓋体32の着脱で、ストレーナ室開口部31を介して、ストレーナ室30から取り出したり、ストレーナ室30に収容したりすることができるようになっている。
【0023】
加えて、流量計本体ハウジング2は、ストレーナ3の下端面もしくは下端側周面の外周廻りのストレーナ室部分が、被測流体が流入するストレーナ室流入口30iよりも高さ位置が低くなっていて、かつストレーナ3の外周面とは接触しない周壁部になっている。このストレーナ室流入口30iよりも高さ位置が低く、ストレーナ3の下端面もしくは下端側周面の外周廻りのストレーナ室部分が、ストレーナ室流入口30iから流入した被側流体に混入し、ストレーナ3のろ過面を通過できないダストが滞留する淀み部33を形成している。そのため、ストレーナ室流入口30iから流入した被側流体は、ストレーナ3の筒状形態のろ過面を介して、ストレーナ3の筒外から筒内に流入するが、被側流体に混入したダストは、ストレーナ3のろ過面を通過できずに、淀み部33に集まり滞留することになる。
【0024】
したがって、ストレーナ室開口部31からストレーナ室蓋体32を取り外し、ストレーナ3をストレーナ室30から取り出せば、淀み部33に集まり滞留している被側流体に混入していたダストを、開放されたストレーナ室開口部31を介して、ストレーナ室30から容易に除去することができる。さらに、図示の例では、ストレーナ3の筒軸方向の下端がストレーナ室蓋体32によって支持された構成になっているので、ストレーナ室蓋体32のストレーナ室開口部31からの取り外しで、ストレーナ3もその自重によって一体的にストレーナ室30から取り出せるので、ストレーナ3の取り出し作業も容易になっている。また、ストレーナ室蓋体32の取り外しとストレーナ3の取り出しとをより確実に一体的に行えるように、ストレーナ室蓋体32にストレーナ3が予め一体的に取り付けられている構成であってもよい。
【0025】
なお、淀み部33は、
図2では、ストレーナ室30の周壁部および底部による段部で表された断面形態になっているが、その構成は図示の構成に限定されず、被測流体が流入するストレーナ室流入口30iよりも高さ位置が低くなっていて、かつストレーナ3の外周面とは接触しないストレーナ室の周壁部を備えていれば、その断面形態は如何様であってもよく、例えばテーパー状の周壁部または底部を有した断面形態であってもよい。また、淀み部33は、ストレーナ3の外周全体に亘って形成されていなくても一部に構成されていればよい。
【0026】
本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、ストレーナ室30の天井部に設けられたストレーナ室流出口30oは、計量ユニット室40の天井部に形成された計量ユニット室流入口40iと、流量計本体ハウジング2のハウジング内部に形成された連絡流路24を介して連通されている。この場合、ストレーナ室流出口30oおよび計量ユニット室流入口40iとも室30および室40の天井部に設けられているため、連絡流路24の流路長さを短くすることができ、流量計本体ハウジング2を大型化させなくて済む。
【0027】
計量ユニット室40は、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(x軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きに沿った水平方向(x軸方向)と交差する別の水平方向(この場合、図中のx―Y平面を水平面とすると、x軸方向と直交するy軸方向)に沿って延びる、例えば円筒形状等の横筒形状の室形態で、流量計本体ハウジング2のハウジング内部に、水平方向(x軸方向)に沿ってストレーナ室30と並べて形成されている。
【0028】
計量ユニット室40は、その天井側の筒周壁部に、被測流体が計量ユニット室40に流入する計量ユニット室流入口40iが開口し、その底側の筒周壁部に、計量ユニット室40に流入した被測流体が本体流出口22に向けて流出する計量ユニット室流出口40oが開口した構成になっている。計量ユニット室流出口40oは、流量計本体ハウジング2のハウジング内部に形成された出口流路25を介して、本体流出口22と連通している。その際、出口流路25は、計量ユニット室40を中心にして連絡流路24の対角位置に配置されるようになっている。その結果、連絡流路24および出口流路25は、計量ユニット室40の筒軸方向(この場合、図中のy軸方向)の各端部と干渉しないようになっている。
【0029】
その上で、図示の場合は、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(x軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、計量ユニット室40の筒軸方向(この場合、図中のy軸方向)の各端部と相対する、流量計本体ハウジング2のハウジング部分には、計量ユニット4が通過可能な計量ユニット室開口部41(後述の
図4参照)がそれぞれ形成され、各計量ユニット室開口部41は着脱可能な計量ユニット室蓋体42で閉塞された構成になっている。計量ユニット室蓋体42は、蓋体周縁部が流量計本体ハウジング2に対するフランジ状の取付部となり、蓋体中央部の、流量計本体ハウジング2との取付面側が凹部となったカップ状の形態になっている。
【0030】
図示の例では、計量ユニット室蓋体42は、蓋体周縁部の予め定められた位置に形成された取付孔に締結ボルト48を挿通させて、計量ユニット室開口部41の周縁の環状蓋体取付面26(
図4参照)に穿設された取付用ねじ孔部49にこの締結ボルト48を螺入することによって、流量計本体ハウジング2に固定される。そのため、計量ユニット4は、計量ユニット室蓋体42の着脱で、計量ユニット室開口部41を介して、計量ユニット室40から取り出したり、計量ユニット室40に収容したりすることができるようになっている。その際も、連絡流路24および出口流路25が、計量ユニット室40の筒軸方向(この場合、図中のy軸方向)の各端部、すなわち計量ユニット室開口部41の開放方向と干渉していないので、計量ユニット室蓋体42の着脱作業や計量ユニット4の取り出しおよび収容作業が行い易くなっている。
【0031】
また、計量ユニット室蓋体42は、流量計本体ハウンジング2に固定された状態で、その凹部が後述する給油機構の油溜め室を形成する。
【0032】
計量ユニット4は、ユニット流入口52、ユニット流出口53、およびユニット流入口52およびユニット流出口53と連通された回転子室54を有する計量ユニットハウジング51と、回転子室54に回動可能に収容され、回動によって回転子室54内に被側流体の単位流量に相当する計量室60を画成する一対の回転子55,55と、が備えられた構成になっている。
【0033】
図3は、
図1に示したルーツ式流量計の一実施例にあって、計量ユニットの外観構成図である。
図4は、
図1に示したルーツ式流量計の一実施例にあって、計量ユニット室開口部から計量ユニット室蓋体を取り外した状態の外観構成図である。
【0034】
計量ユニットハウジング51は、図示の例では、案内部ハウジング51Aと、側蓋部ハウジング51B,51Bとを備えた構成になっている。
【0035】
案内部ハウジング51Aは、両端が開口した筒状形態を有し、その筒状部は筒軸方向に沿って眺めた断面が長円形状になっていて、一対のまゆ型回転子(ルーツ)55,55が収容される回転子室54の周面を形成する。案内部ハウジング51Aは、その筒状部内に、筒状部の筒軸と一対の回転子55,55それぞれの回転軸とを平行に保って、かつその長円形状の筒状部断面上で一対の回転子55,55の回転軸同士をずらして、一対の回転子55,55を90度の位相差を持って回動可能に収容できるようになっている。
【0036】
案内部ハウジング51Aには、筒状部断面の長円形状の長軸を挟んで相対向するハウジング部分に、回転子室流入口52、回転子室流出口53が形成されている。回転子室流入口52、回転子室流出口53は、計量ユニットハウジング51すなわち計量ユニット4が流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に収容された状態で、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室流入口40i、計量ユニット室流出口40oとそれぞれ連通される。
【0037】
また、案内部ハウジング51Aの、回転子室流入口52と回転子室流出口53との間の外周面の2か所には、溝形状のシール部材装着部51a1が形成されている。そして、これらのシール部材装着部51a1には、計量ユニット4が流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に収容された状態で、計量ユニット室40の内周面に当接して、案内部ハウジング51Aの外周側における計量ユニット室流入口40iと計量ユニット室流出口40oとの間でガス等の被測流体が流通するのを防止するためのシール部材59が、案内部ハウジング51Aの筒軸方向に沿って延設されている。
【0038】
側蓋部ハウジング51Bは、一対の回転子55の各回転子軸部55Aを回転可能に支持する各回転子軸承部56を備え、案内部ハウジング51Aの両端に形成された取付フランジ部51a2に固定され、案内部ハウジング51Aの筒軸方向両端の筒状部開口を閉塞して、回転子室54を形成する。
【0039】
案内部ハウジング51Aに対する側蓋部ハウジング51B,51Bの取り付けでは、取り付け面に設けられた図示省略した位置決めピンとピン嵌合孔との合致によって、回転子室流入口52から流入する被測流体の流れを受けて一対の回転子55,55が回転子室54内で互いに反対向きに回転するように、回転子室54に収容されている回転子55,55の軸心配置と側蓋部ハウジング51B,51Bの回転子軸承部56,56とを合致させることができる構成になっている。
【0040】
そして、一対の回転子55,55が回動可能に内部の回転子室54に収容された計量ユニット4は、
図4に示すように、計量ユニットハウジング51に形成された回転子室流入口52および回転子室流出口53のそれぞれが流量計本体ハウジング2の計量ユニット室流入口40iおよび計量ユニット室流出口40oに対向する姿勢状態で、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40内に収容される。
【0041】
その際、計量ユニット4は、
図2に示すような、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(例えば、図中のx軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、
図3および
図4に示した側蓋部ハウジング51B,51Bからユニット外部に臨んでいる回転子軸承部56,56同士、および一対の回転子55,55の回転子軸部55A,55A同士が、それぞれ同じ高さ位置で水平方向に並んで配置されるようにして、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に収容される。
【0042】
このようにして計量ユニット4が流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に収容された状態で、計量ユニット4の側蓋部ハウジング51B,51Bが臨んでいる状態の流量計本体ハウジング2の計量ユニット室開口部41,41は、計量ユニット室開口部41の周囲に形成された環状蓋体取付面26に計量ユニット室蓋体42の取付フランジ部43を固定することによって、閉塞される。その際、例えば、
図4に示すような環状蓋体取付面26に予め穿設されたピン嵌合孔27,27に位置決めピン(図示せず)をねじ込み、計量ユニット室蓋体42の取付フランジ部43の図示せぬ取付面に設けられたピン嵌合孔に位置決めピンを嵌合させることによって、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室蓋体42は、環状蓋体取付面26に対してその取付向きを位置決めされて固定される構成になっている。
【0043】
さらに、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室蓋体42が環状蓋体取付面26に対してその取付向きが位置決めされた状態において、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室蓋体42の蓋体裏面に対向する計量ユニットハウジング51の側蓋部ハウジング51Bの表面にも、計量ユニット室蓋体42の図示せぬ蓋体裏面に予め穿設されたピン嵌合孔に嵌合する位置決めピン51b1や、計量ユニット室蓋体42の図示せぬ蓋体裏面に予め突設された位置決めピンと嵌合するピン嵌合孔51b2が、予め設けられている。この場合、計量ユニット室蓋体42の蓋体裏面上におけるピン嵌合孔や位置決めピンの配置位置、および側蓋部ハウジング51Bの表面における位置決めピン51b1やピン嵌合孔51b2の配置位置は、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室蓋体42が環状蓋体取付面26に対してその取付向きを位置決めされた状態で、位置決めピン51b1の計量ユニット室蓋体42側のピン嵌合孔に対する嵌合、およびピン嵌合孔51b2に対する計量ユニット室蓋体42側の位置決めピンの嵌合で、計量ユニット4の回転子室54に収容されている一対の回転子55,55の回転子軸部55A,55A同士が、それぞれ同じ高さ位置で水平方向に並んで自動的に位置決めされる配置位置になっている。
【0044】
その結果、計量ユニット室蓋体42が環状蓋体取付面26に対してその取付向きを位置決めして固定されれば、計量ユニット4の回転子室54内で、一対の回転子55,55の回転子軸部55A,55A同士もそれぞれ同じ高さ位置で水平方向に並んで位置決めされて、収容配置されることになっている。
【0045】
また、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室開口部41に計量ユニット室蓋体42が取り付けられた状態では、計量ユニットハウジング51の側蓋部ハウジング51Bからユニット外部に臨んでいる回転子軸承部56,56同士、および一対の回転子55,55の回転子軸部55A,55Aは、計量ユニット室蓋体42に形成された凹部すなわち油溜め室に突出して露出している。そして、回転子軸部55A,55Aの突出部分には、
図3、
図4に示すように大径のリング57,57が通され、回転子軸部55A,55Aの回転とともに、リング57,57が回転するようになっている。
【0046】
給油機構は、計量ユニット室蓋体42によって形成された油溜め室に貯留されている潤滑油を、下方の一部分が潤滑油に浸され、回転子軸部55A,55Aの回転とともに回転するリングに付着させて上方の回転子軸部55A,55Aに運び、回転子軸部55A,55Aおよび回転子軸承部56,56に潤滑油を供給するようになっている。
【0047】
また、給油機構の油溜め室に潤滑油を供給したり、油溜め室から潤滑油を抜き取ったりするために、計量ユニット室蓋体42には、常時は閉栓された図示せぬ潤滑油供給孔および潤滑油抜き取り孔が設けられている。
【0048】
これにより、本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(図中のx軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた流量計本体ハウジング2の配置状態で、換言すれば、水平方向に延びる配管途中にルーツ式流量計1を配置した場合でも、回転子55,55同士が水平に保たれ、潤滑油の供給が均等に行われることになるため、潤滑油の供給不足に起因した流量計の計測精度の低下を招く恐れを低減できる。
【0049】
加えて、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に対して計量ユニット4を取り付け/取り外しする際も、計量ユニット4を流量計本体ハウジング2に対して直接位置決めしながら計量ユニット室40に対して取り付け/取り外しするのではなく、上述した位置決めピンおよびピン嵌合孔27等を備えた位置決め機構によって、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室開口部41に対して計量ユニット室蓋体42を位置決めして取り付ける際に付随して、計量ユニット4が流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に対して間接的に自動で位置決めされる。
【0050】
これにより、計量ユニット室40に対して計量ユニット4を取り付け/取り外しする際は、計量ユニット室蓋体42が流量計本体ハウジング2から取り外しされた状態で、計量ユニット4は流量計本体ハウジング2に対して位置決めされていないので、横筒形状の室形態の計量ユニット室40に対する計量ユニット4の取り付け/取り外しを計量ユニット室40の筒軸方向に沿って以外の周方向にも自由度を持って行うことができ、無理な取り付け/取り外し作業による計量ユニットハウジング51やシール部材59等の損傷を防ぎ、計量ユニット4の取り付け/取り外し作業もはかどることになる。
【0051】
このように構成された本実施例のルーツ式流量計1は、例えば
図1に示す例では、流量計本体ハウジング2に、機械式流量カウンタ70、電子式温度圧力補正器80、温度センサ90、本体流入口側ボールバルブ93、本体流出口側ボールバルブ(
図1では、表れない)、圧力取出部95等が付設されて使用される。
【0052】
機械式流量カウンタ70は、計量ユニット4の回転子軸部55Aの回転が機械的に伝達され、一対の回転子55,55の回転に基づいて被測流体の流量(容積流量)を計測して表示する。電子式温度圧力補正器80は、信号線接続された温度センサ90によって検出された被測流体の温度値や、図示省略した導圧管を介して圧力取出部95から導入された被測流体の圧力値に基づいて、機械式流量カウンタ70によって計測された被測流体の流量(容積流量)を温度・圧力補正して、温度・圧力補正した被測流体の流量を表示する。本体流入口側ボールバルブ93、本体流出口側ボールバルブ(
図1では、表れない)は、ルーツ式流量計1に対する流入側と流出側との差圧計測時に、図示せぬ差圧計の導圧管が接続される。
【0053】
また、
図1および
図4に示すように、流量計本体ハウジング2には、ルーツ式流量計1が床面等に置かれた場合に本体流入口21および本体流出口22それぞれの開口向きを水平方向(図中のx軸方向)に沿って互いに反対向きに向けた姿勢状態に流量計本体ハウジング2を保つための脚部28が設けられている。また、流量計本体ハウジング2には、ルーツ式流量計1の運搬時等にルーツ式流量計1を吊持するための玉掛け用治具であるアイボルト97等が着脱可能な取付用ネジ孔部29に取り付けられている。
【0054】
同様にして、
図3に示すように、計量ユニットハウジング51にも、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に対する計量ユニット4の着脱時等に計量ユニット4を吊持するための玉掛け用治具であるアイボルト98が着脱可能な取付用ネジ孔部58が設けられている。
【0055】
続いて、上述した構成の本実施例のルーツ式流量計1における、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に収容された計量ユニット4の着脱方法について、
図5、
図6を参照しながら説明する。ここで、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に対する着脱は、被測流体が流れる配管ラインからルーツ式流量計1を取り外した状態で行われるばかりではなく、流量計上流側および下流側それぞれの配管ラインに設けられた弁を閉弁して、配管ラインにルーツ式流量計1が接続したまま被測流体の流れを遮断した状態でも行われる。
【0056】
図5は、
図1に示したルーツ式流量計の一実施例にあって、計量ユニット室に着脱される計量ユニットを吊持する吊り具が備えられた計量ユニット着脱用機具の一実施例の説明図である。
そのうち、
図5(a)は、計量ユニットを吊持する吊り具、およびこの吊り具が備えられる計量ユニット着脱用機具のそれぞれ外観図である。
図5(b)は、計量ユニット着脱用機具が取り付けられる、計量ユニット室蓋体が取り外された状態の流量計の外観図である。
図5(c)は、計量ユニットを着脱する際の案内具である。
【0057】
図6は、
図5に示した計量ユニット着脱用機具が流量計本体ハウジングに取り付られた状態における、計量ユニットの取り出し状態の説明図である。
【0058】
図示の例では、計量ユニット着脱用機具100は、架台本体110と、架台本体110に取り付けられる例えばチェーンブロック等からなる吊り具120とを有して構成されている。この場合、架台本体110は、アングル金具を接続または溶接して一体的に組み付けた構成になっており、流量計本体ハウジング2に対する一対の取付ベース111と、取付ベース111に立設された4本の脚部113と、4本の脚部113によって取付ベース111とは高さ方向に離間して配置されガイド支持部115と、ガイド支持部115に取り付けられ、吊り具120が取り付けられるガイド棒117とが備えられている。
【0059】
また、一対の取付ベース111には、流量計本体ハウジング2における玉掛け用治具であるアイボルト97等が着脱可能な取付用ネジ孔部29の配置位置に合わせて、流量計本体ハウジング2に対する取付用ネジ孔部112が設けられている。
【0060】
さらに、このガイド棒117は、取付ベース111の取付用ネジ孔部112を流量計本体ハウジング2の取付用ネジ孔部29に対して合致させた状態で、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室開口部41,41の各開口面に対して、所定長さだけ水平方向に沿って両側に突出した構成になっている。この場合、所定長さとしては、例えば、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40の室外で、ガイド棒117に取り付けられた吊り具120を使って計量ユニット4を吊り上げたり、吊り下げする際に、流量計本体ハウジング2が計量ユニット4と干渉しない長さを指す。
【0061】
計量ユニット着脱用機具100は、架台本体110のガイド棒117の突出部に吊り具120を、ガイド棒117の長さ方向に沿って移動可能にかつガイド棒117からの脱落防止を施して取り付けて使用される。
【0062】
一方、案内具130は、棒状の鋼材等からなり、また、その表面は計量ユニット4を引き出し易くするために滑り性の良い樹脂で覆われている。案内具130におけるその軸端部には、流量計本体ハウジング2における計量ユニット室開口部41の周縁の環状蓋体取付面26(
図4参照)に穿設された取付用ねじ孔部49に装着可能なねじ部131が一体的に突出形成されている。案内具130の長さは、図示の例では、計量ユニット4の計量ユニットハウジング51の、回転子55,55の軸方向に沿った長さよりも長く形成されている。
【0063】
次に、本実施例のルーツ式流量計1において、流量計本体ハウジング2に対して計量ユニット4を着脱する際の手順について、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40から計量ユニット4を取り出す場合を例に、以下に説明する。なお、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室40に計量ユニット4を取り付ける場合については、計量ユニット室40から計量ユニット4を取り出す場合と、計量ユニット着脱用機具100および案内具130の利用の仕方は同様なので、その説明は省略する。
【0064】
*ステップ1
給油機構の油溜め室から潤滑油を抜き取ったり、流量計本体ハウジング2から機械式流量カウンタ70等の付設機器を取り外したり、流量計本体ハウジング2の取付用ネジ孔部29から玉掛け用治具のアイボルト97を取り外す等して、流量計本体ハウジング2の計量ユニット室開口部41から計量ユニット室蓋体42を取り外したり、流量計本体ハウジング2に計量ユニット着脱用機具100を取り付けたりできる状態にする。
【0065】
*ステップ2
アイボルト97を取り外した後の、流量計本体ハウジング2の取付用ネジ孔部29を使って、計量ユニット着脱用機具100を流量計本体ハウジング2に取り付けて、固定する。
【0066】
*ステップ3
流量計本体ハウジング2の計量ユニット室開口部41から計量ユニット室蓋体42を取り外す。
【0067】
*ステップ4
計量ユニット室蓋体42を取り外した後の、流量計本体ハウジング2の環状蓋体取付面26の取付用ねじ孔部49を利用して、案内具130を流量計本体ハウジング2に対して必要個数取り付け、計量ユニット室40から計量ユニット4を取り出す際、計量ユニット4を案内支持できるようにしておく。
【0068】
*ステップ5
計量ユニット室40から計量ユニット4を取り出す。その際、計量ユニットハウジング51に設けられている取付用ネジ孔部58が現れたならば、取付用ネジ孔部58に計量ユニット4を吊持するための玉掛け用治具であるアイボルト98を取り付け、計量ユニット着脱用機具100の吊り具120に対する玉掛けを行う。
【0069】
*ステップ6
計量ユニット室40から計量ユニット4全体が取り出され、計量ユニット4の計量ユニット着脱用機具100の吊り具120に対する玉掛けを済ませたならば、吊り具120を使って計量ユニット4を吊り上げる。
【0070】
*ステップ7
必要に応じて、吊り具120を計量ユニット着脱用機具100のガイド棒117上で移動させて計量ユニット4の吊り降ろし地点を設定する。その際、計量ユニット4の吊り降ろし地点が計量ユニット4の吊り上げ地点と変わらず、その吊り降ろしに案内具130が障害になるならば、計量ユニット4の吊り降ろしを始める前に、案内具130を流量計本体ハウジング2から取り外しておく。
【0071】
*ステップ8
吊り具120を使って、計量ユニット4を設定した吊り降ろし地点に吊り降ろし、必要ならば、計量ユニット4の計量ユニット着脱用機具100の吊り具120に対する玉掛けを解く。
【0072】
上述した計量ユニット着脱用機具100および案内具130を使用した、計量ユニット4の流量計本体ハウジング2に対する着脱によれば、現地メンテナンスであっても、現地で着脱のための足場等をいちいち組む等の煩雑な手間もなく、作業場所を取らずに、既設の配管ラインから流量計本体ハウジング2を取り外すことなく、重量物である計量ユニット交換をも含む計量ユニット4のメンテナンス作業を、労力の低減をはかりながら、効率的に行える。
【0073】
以上、本開示の容積式流量計に係り、ルーツ式流量計を実施例にその実施の形態について説明したが、実施例によって説明した実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、本開示の容積式流量計は、被側流体の流れを受けた一対の回転子55,55の回転で計量室60を画成する点で共通する楕円歯車式流量計にも適用可能である。このように、本開示の容積式流量計の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本開示の容積式流量計に係る特徴的な技術的範囲や要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 ルーツ式流量計(容積式流量計)
2 流量計本体ハウジング
3 ストレーナ
4 計量ユニット
21 本体流入口
22 本体流出口
23 入口流路
24 連絡流路
25 出口流路
26 環状蓋体取付面
27 ピン嵌合孔
28 脚部
29 取付用ネジ孔部
30 ストレーナ室
30i ストレーナ室流入口
30o ストレーナ室流出口
31 ストレーナ室開口部
32 ストレーナ室蓋体
33 淀み部
40 計量ユニット室
40i 計量ユニット室流入口
40o 計量ユニット室流出口
41,41 計量ユニット室開口部
42,42 計量ユニット室蓋体
43 取付フランジ部
48 締結ボルト
49 取付用ねじ孔部
51 計量ユニットハウジング
51A 案内部ハウジング
51a1 シール部材装着部
51a2 取付フランジ部
51B 側蓋部ハウジング
51b1 位置決めピン
52 回転子室流入口
53 回転子室流出口
54 回転子室
55,55 回転子
55A,55A 回転子軸部
56,56 回転子軸承部
57,57 リング
58 取付用ネジ孔部
59,59 シール部材
60 計量室
70 機械式流量カウンタ
80 電子式温度圧力補正器
90 温度センサ
93 本体流入口側ボールバルブ
95 圧力取出部
97 アイボルト(玉掛け用治具)
98 アイボルト(玉掛け用治具)
100 計量ユニット着脱用機具
110 架台本体
111 取付ベース
112 取付用ネジ孔部
113 脚部
115 ガイド支持部
117 ガイド棒
120 吊り具
130 案内具
131 ねじ部