(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035484
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】配管切削具
(51)【国際特許分類】
B23B 41/00 20060101AFI20230306BHJP
B26F 1/16 20060101ALI20230306BHJP
B23B 5/08 20060101ALI20230306BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B23B41/00 B
B26F1/16
B23B5/08
F16L1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142369
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桶川 智也
(72)【発明者】
【氏名】清水 彰人
【テーマコード(参考)】
3C036
3C045
3C060
【Fターム(参考)】
3C036AA02
3C036AA11
3C045BA31
3C045CA07
3C060AA04
3C060AB02
3C060BA05
3C060BB00
3C060BE08
3C060BF02
(57)【要約】
【課題】既設配管の内周面の切削幅を一定にできる配管切削具を提供する。
【解決手段】前後方向を管軸方向に沿わせて、前記前後方向まわりに回転することで既設配管の内周面を切削する切削部と、該切削部よりも前記前後方向の前側に配置される前側部と、を備え、前記切削部は、該切削部の回転方向の先行側の端部に配置され、且つ前記前後方向に延びる刃端部と、該刃端部から回転方向の後行側に沿って形成される刃端外周面とを備え、前記前側部は、前記回転方向に沿って形成される前側外周面を備え、前記前側外周面は、前記既設配管の前記内周面に当接するように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向を管軸方向に沿わせて、前記前後方向まわりに回転することで既設配管の内周面を切削する切削部と、
該切削部よりも前記前後方向の前側に配置される前側部と、を備え、
前記切削部は、該切削部の回転方向の先行側の端部に配置され、且つ前記前後方向に延びる刃端部と、該刃端部から回転方向の後行側に沿って形成される刃端外周面とを備え、
前記前側部は、前記回転方向に沿って形成される前側外周面を備え、
前記前側外周面は、前記既設配管の前記内周面に当接するように構成されていることを特徴とする配管切削具。
【請求項2】
前記前側外周面は、前記刃端部より前記回転方向の後行側、且つ前記刃端外周面の前記前後方向の前側に配置される請求項1に記載の配管切削具。
【請求項3】
前記切削部に対して、前記回転方向の後行側の位置には、前記既設配管の前記内周面に対して離間して配置される後行離間部が設けられる請求項1又は請求項2に記載の配管切削具。
【請求項4】
前記切削部に対して、前記回転方向の先行側の位置には、前記既設配管の前記内周面に対して離間して配置される先行離間部が設けられる請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の配管切削具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設配管の内径を切削する配管切削具である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、断面円形の既設配管(埋設樹脂管)を拡径する、切断刃を備えた拡径装置が開示されている。拡径装置は、その外周を既設配管の内径を広げる拡径面とされ、拡径装置の前側に、放射状に前記切断刃を複数個配置し、拡径装置の後方には、新配管(交換用樹脂管)の先端が固定された構成である。
【0003】
特許文献1に記載の構成では、切断刃で既設配管の内面に管軸方向に沿う拡径用切込みを形成し、拡径装置の拡径面により既設配管の内径を拡径し、拡径装置に後続する新配管を、拡径用切込みを広げて既設配管を導くことで、既設配管に新配管を挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記既設配管に対する内径側からの加工としては、上記切断の他、前記既設配管を内径側から切削することができる装置を管軸方向に移動させて、前記既設配管の肉厚を管軸方向に沿って所定長さにわたり、内径側から切削することも考えられる。しかしながら、前記既設配管の肉厚を所定長さにわたって内径側から切削する場合、切削の深さ(切削幅)を一定にすることは極めて困難である。
【0006】
そこで、本発明は、既設配管の内周面の切削幅を一定にできる配管切削具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前後方向を管軸方向に沿わせて、前記前後方向まわりに回転することで既設配管の内周面を切削する切削部と、該切削部よりも前記前後方向の前側に配置される前側部と、を備え、前記切削部は、該切削部の回転方向の先行側の端部に配置され、且つ前記前後方向に延びる刃端部と、該刃端部から回転方向の後行側に沿って形成される刃端外周面とを備え、前記前側部は、前記回転方向に沿って形成される前側外周面を備え、前記前側外周面は、前記既設配管の前記内周面に当接するように構成されていることを特徴とする配管切削具である。
【0008】
前記構成によれば、前記切削部を前記既設配管内で回転させながら前進させる際には、前記前側部の前側外周面が前記切削部の前側で前記既設配管の内周面に当接することで、前記切削部の前記刃端部を前記既設配管の内周面に対して所定の切削位置に維持することができ、前記刃端外周面で切削位置での回転を安定させることができる。
【0009】
また、本発明の配管切削具では、前記前側外周面は、前記刃端部より前記回転方向の後行側、且つ前記刃端外周面の前記前後方向の前側に配置されていてもよい。
【0010】
前記構成によれば、前側外周面が、前記刃端部の前記既設配管の内周面に対する切削位置を維持しつつも、前記刃端部による切削の邪魔にならないので、安定して切削できる。
【0011】
また、本発明の配管切削具では、前記切削部に対して、前記回転方向の後行側の位置には、前記既設配管の前記内周面に対して離間して配置される後行離間部が設けられていてもよい。
【0012】
前記構成によれば、前記切削部の前記回転方向に後行側の位置に、前記既設配管の内周面に対して離間して配置される前記後行離間部が設けられるため、前記配管切削具と前記既設配管の内周面との接触面積を減らすことでき、例えば、前記配管切削具を前記既設配管の内部で移動させやすくできる。
【0013】
また、本発明の配管切削具では、前記切削部に対して、前記回転方向の先行側の位置には、前記既設配管の前記内周面に対して離間して配置される先行離間部が設けられていてもよい。
【0014】
前記構成によれば、前記刃端部で前記内周面を切削することで生じた切削屑を、前記先行離間部にて効率よく除去できる。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によれば、前記切削部の前記刃端部が、前記刃端外周面と前記前側外周面とによって、前記既設配管内の切削位置を維持しつつ、安定して回転することで、前記既設配管の内周面の切削幅を一定にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る配管切削具を用いた配管更新工法の対象である配管の、建築物への配置例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る付着除去装置の詳細図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る付着除去具を示し、(a)は付着除去具の右側面図であり、(b)は付着除去具の正面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る付着除去工程を示す図であり、(a)は配管の内周面に付着物が付着する既設配管の断面図を示し、(b)は配管内に付着除去装置を挿入する工程を示す図であり、(c)は付着除去工程の完了時の状態を示す図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る配管切削具を示し、(a)は配管切削具の左側面図を示し、(b)は配管切削具の正面図を示し、(c)は切削部と前側部の拡大図を示し、(d)は配管切削具の平面図を示す。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る配管切削工程を示し、(a)は索体を出口から入口まで挿通した状態を示す断面図であり、(b)は配管切削具を既設配管内に挿入した状態を示す断面図であり、(c)は配管切削具を出口まで挿通した状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る配管挿入工程を示し、(a)は、索体を出口から入口まで挿通し、該索体の先端の継手部材に新配管を取り付けた状態を示す断面図であり、(b)は、新配管を既設配管内に挿通した状態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る配管切削具21を用いた、配管の更新方法について、
図1~
図8を参照して説明する。なお、説明の便宜上、既設配管1の管軸方向において、付着除去装置12や配管切削装置20が挿入される側を入口4として、反対側を出口5として説明する。はじめに、建物(例えば、家屋、工場)内で用いられる既設配管1の概略について説明する。
【0018】
図1に示すように、一般的に、屋内における既設配管1は、床面3によって管軸方向の少なくとも途中部分が覆われている。管軸方向は、既設配管1の軸線方向に沿った方向である。また、管軸方向の入口4から出口5が床面3から露出され、既設配管1の一方端部である入口4は、例えばヘッダー部材6を介して給湯器に接続され、既設配管1の他方端部である出口5は、例えば浴室の水栓7に接続されている。なお、入口4及び出口5は、上記のように接続される場合に限らず、例えば、入口4が、継手部材を介して給湯器に取り付けられていてもよい。
【0019】
既設配管1は管状とされた、例えば発泡樹脂製の断熱材からなる保護材9にポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、アルミ三層管等から構成されたフレキシブルな配管(例えば、給水配管や給湯配管)を挿通して形成される。そのため、既設配管1の径方向において、保護材9の内径は、配管の外径より大きい。また、
図1に示すように、本実施形態の既設配管1は可撓性を有し、湾曲させることができる配管である。さらに、既設配管1は、床面3の下側に配置されたスラブ3a等に、管軸方向において所定間隔で固定されている(図示しない)。なお、以下では、既設配管1のうち、あらかじめ保護材9に挿通されている配管のことを「旧配管10」と称する。
【0020】
本実施形態における配管の更新方法では、既設配管1の肉厚を内径側から切削したうえで、保護材9の内部(具体的には、内側から肉厚が切削された旧配管10の内部)に新しい配管(以下、「新配管11」と称する)を管軸方向に沿って設置する。
【0021】
新配管11は、管軸方向に沿って既設配管1内に挿入される。新配管11は、旧配管10と同じく、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、アルミ三層管等により形成されており、湾曲できる可撓性を有するフレキシブルな配管である。また、本実施形態の新配管11は、旧配管10の内径よりも大きい外径を有する配管である。
【0022】
本実施形態の配管切削具21を用いた配管の更新方法を具体的に説明すると、
(1)配管更新の準備段階としての更新準備工程、
(2)旧配管10の内周面に付着した付着物Xを除去する付着除去工程、
(3)旧配管10の内周面を切削することで、旧配管10の内径を拡径する配管切削工程、
(4)内径が拡径された旧配管10内に、配管挿入具25を用いて新配管11を挿入する挿入工程、
を備えている。なお、この更新方法では、保護材9、旧配管10及び新配管11は、断面円形である。
【0023】
前述した(1)の更新準備工程について説明する。更新準備工程は、既設配管1の管軸方向の一端部と他端部を自由端にする取外し工程と、既設配管1の内部を確認する配管内確認工程、を備える。
【0024】
取外し工程では、
図1に二点鎖線で示すように、一本の既設配管1につき、該既設配管1のうち床面3に露出されている領域を自由端とする。取外し工程の施工方法としては、ヘッダー部材6から既設配管1の一端部を外して入口4とし、水栓7から既設配管1の他端部を外して出口5とし、直線状及び曲線状(例えば、
図1の湾曲部分8)の領域を含む一本の保護材9と旧配管10とにすることで、入口4及び出口5を自由端とする。なお、取外し工程には、自由端を都合のよい(作業のしやすい)向きに向ける工程を含んでもよい。
【0025】
この取外し工程において、既設配管1における途中部分は、前述のようにスラブ3aに強固に固定されたままである。そのため、直線状及び曲線状の領域を含む既設配管1(保護材9及び旧配管10)が残存している。
【0026】
配管内確認工程は、既設配管1の入口4から出口5までの間において、既設配管1内の状態を確認する工程である。この配管内確認工程では、既設配管1の一端部から旧配管10内に、旧配管10内を確認可能な配管内確認装置(図示しない)を挿入し、該配管内確認装置を既設配管1の他端部側に進めることで、既設配管1内を確認する。ここで、旧配管10内に配管内確認装置を挿入して、
図4(a)に示すように、付着物X(例えば、水垢やゴミ)が旧配管10の内周面に付着していることを確認した場合は、(2)の付着除去工程に進む。なお、配管内確認工程では、配管内確認装置を他端部側に進めている最中であっても、既設配管1内に付着している付着物Xを発見した時点で、既設配管1の一端から配管内確認装置を引き抜き、(2)の付着除去工程に進んでもよい。或いは、配管内確認装置を旧配管10に挿通させて、旧配管10の管軸方向における全域を確認してから、(2)の付着除去工程に進んでもよい。
【0027】
(2)の付着除去工程は、旧配管10の内周面から付着物Xを除去する工程である。旧配管10の内周面から付着物Xを除去するためには、管軸方向を中心として回転駆動することで付着物Xを除去する付着除去具13を備えた付着除去装置12を用いる。
【0028】
付着除去装置12は、旧配管10の内周面から付着物Xを除去するためのものである。付着除去装置12は、付着除去具13に加えて、保護材9と旧配管10の外部に配置され、回転力を発生させる駆動部14と、駆動部14で生じた回転力を付着除去具13に伝達可能な連結部15と、を備える。
図2に示すように、付着除去装置12では、前後方向Lの後側(
図2の左側)から、駆動部14、連結部15、付着除去具13の順に配置されている。ここで、「前後方向L」とは、付着除去装置12や配管切削装置20が既設配管1内に挿入される方向のことであり、付着除去装置12は前側から後側にかけて順々に既設配管1内に挿入される。本実施形態の付着除去装置12は、付着除去具13と連結部15を入口4側から出口5側に送迎する送迎部17を備える。
【0029】
駆動部14は、付着除去具13を回転駆動させるためのものである。
図2に示すように、駆動部14としては、一般的な回転式電動工具が用いられる。駆動部14は、先端が連結部15を連結可能に構成されている。
【0030】
図2に示すように、本実施形態の連結部15は、駆動部14の先端に装着される把手16と、該把手16と付着除去具13とを接続する接続部18とを備える。把手16は、駆動部14の先端形状に対し着脱可能に連結できるように形成されている。把手16は、管軸方向が沿うよう駆動部14の把持に耐えうる管軸方向の長さに形成されている。また、把手16は、駆動部14の回転力を接続部18に伝達可能に構成されている。
【0031】
接続部18は、把手16と付着除去具13とを接続する部位である。接続部18は、後端部が把手16の先端部と接続され、先端部が付着除去具13と接続されることで、把手16と付着除去具13とを接続する。また、接続部18は、把手16を介して伝達される駆動部14の回転力を付着除去具13に伝達可能である。具体的に、本実施形態の接続部18は、管軸方向に沿って延びる棒状のシャフト19と、該シャフト19の先端に配置される取付部(図示しない)とを備える。本実施形態のシャフト19は、旧配管10のうち、
図1に示す湾曲する部分に沿うべく可撓性を有するように構成されている。一方で、取付部は、付着除去具13に接続される。本実施形態では、取付部が雄ねじ(図示しない)として構成され、この雄ねじが付着除去具の後端部に形成された雌ねじに螺合されることで、取付部が付着除去具13に接続される。なお、本実施形態の接続部18は、シャフト19の軸線方向の両端部に配置される継足部191を介して、複数のシャフト19が連結して構成されている。
【0032】
接続部18は、旧配管10内に挿入可能に構成されている。そのため、この接続部18は、外径が旧配管10の内径よりも小さく設定されている。また、本実施形態の接続部18は、軸線方向において、既設配管1の入口4から出口5まで延びる長さに設定されている。そのため、付着除去装置12において、付着除去具13を既設配管1の入口4から出口5まで挿通できる。
【0033】
付着除去具13は、旧配管10の内周面に付着した付着物Xを除去する工具である。この付着除去具13は、駆動部14から伝達された回転力を受けて、既設配管1の管軸まわりに回転する。なお、
図3(a)、
図5(a)に示すように、付着除去具13や後述する配管切削具21を説明するにあたっては、付着除去具13や配管切削具21が回転する方向を回転方向Rと称する。
【0034】
付着除去具13は、旧配管10内に挿入可能に構成されている。そのため、付着除去具13は、径方向における長さが、旧配管10の内径φA以下に設定されている。ここで、
図3(a)に示すように、本実施形態の付着除去具13は、互いに直交する第一径方向Aと第二径方向Bのうち、第一径方向Aにおける長さが旧配管10の内径φAと略同一であり、第二径方向Bにおける長さが旧配管10の内径φAよりも短い。
【0035】
付着除去具13は、前後方向Lに延びる除去本体部13aと、該除去本体部13aに形成される除去部132とを備える。除去本体部13aは、前後方向Lを中心軸線とする柱状体又は筒状体であり、径方向の大きさが、旧配管の内径φAよりも小さい。除去本体部13aは、回転方向Rにおいて、後述する除去部132より回転方向Rの先行側の除去先行部13bと、除去部132より回転方向Rの後行側の除去後行部13cとを備える。
【0036】
除去先行部13bは、除去部132の回転方向Rの先行側に延びる。本実施形態の除去先行部13bは、後述する除去先行面134が立ち上がる除去前後部133と、回転方向Rに延びる除去回転部138とを有する。除去前後部133は、前後方向Lと径方向に広がる面である。この除去前後部133は、前後方向Lに対して傾斜する傾斜面として構成されている。本実施形態の除去前後部133は、前後方向Lの前側に進むにつれて、径方向の内側に延びるテーパー状の面である。除去回転部138は、除去前後部133側から後述する先行側面部137a側に湾曲する湾曲面である。この除去回転部138は、除去前後部133と後述する先行側面部137aとの間を前後方向Lに延びる。本実施形態の除去回転部138は、回転方向Rの先行側に進むにつれて、前後方向Lに広がるよう構成される。
【0037】
除去後行部13cは、除去部132を回転方向Rの後行側から支持すべく、前後方向Lに延びる。除去後行部13cは、後述する除去沿面135aを回転方向Rの後行側から支持する除去支持部139と、後述する除去連続面135cを回転方向Rの後行側から支持するテーパー部136とを備える。除去支持部139は、回転方向Rに湾曲する湾曲面として構成されている。また、この除去支持部139は、除去沿面135aと回転方向Rで面一な面として構成されている。本実施形態の除去支持部139は、除去沿面135aと後行側面部137bとの間を回転方向Rに延びる。テーパー部136は、除去支持部139よりも前後方向Lの前側に配置されている。本実施形態の除去支持部139は、除去部132と後述する後行側面部137bとの間で、回転方向Rに延びる。
【0038】
本実施形態の除去本体部13aは、除去先行部13bよりも回転方向Rの先行側に配置される先行側面部137aと、除去後行部13cよりも回転方向Rの後行側に配置される後行側面部137bとを備える。先行側面部137aと後行側面部137bとは、前後方向と第一径方向Aに延びる、面一の面として構成されている。
【0039】
除去本体部13aは、前後方向Lの後側に除去後側部131を備える。除去後側部131は、径方向に広がる面である。この除去後側部131は、付着除去具13の後端を規定している。除去後側部131は、付着除去具13を連結部15に連結するための装着部130を備える。
図3(b)に示すように、本実施形態の装着部130は、取付部としての雄ねじが螺合可能な雌ねじとして構成されている。そのため、本実施形態では、装着部130としての雌ねじが雄ねじと螺合することで、付着除去具13は連結部15と連結する。
【0040】
除去部132は、付着物Xを除去する。除去部132は、前後方向L周りに回転することで、付着物Xを切削によって除去する。除去部132は、回転方向Rの先行側の端面である除去先行面134と、該除去先行面134の径外端縁から回転方向Rの後行側に形成される除去外周面135と、除去先行面134及び除去外周面135の稜線部に形成される除去刃先部132aとを備える。
【0041】
除去先行面134は、除去前後部133に交差して径外方向に広がる面である。この除去先行面134は、除去前後部133から垂直に起立して、前後方向Lと平行に延びる。この除去先行面134は、径方向で、除去刃先部132aと除去前後部133との間に延設されている。具体的に、
図3(b)に示すように、除去先行面134は、除去外周面135のうち、前後方向Lに沿って延びる除去沿面135aと、径方向に延びる除去先端面135cと、除去沿面135aと除去先端面135cとに連続する除去連続面135cと、除去前後部133との間に配置される面である。
【0042】
除去外周面135は、除去部132の径方向の外面であり、回転方向Rに延びる面として構成される。この除去外周面135は、回転方向Rに沿う除去沿面135aと、除去部132の先端を規定する除去先端面135bと、除去沿面135aと除去先端面135bとに連続する除去連続面135cとを備える。
【0043】
除去沿面135aは、回転方向Rに湾曲する湾曲面である。この除去沿面135aは、除去先行面134の径方向外端縁から回転方向Rの後行側に延設されている。そのため、本実施形態の除去沿面135aは、周方向で、除去先行面134と除去支持部139との間に延設されている。また、本実施形態の除去沿面135aは、前後方向Lに沿うように延設されている。
【0044】
この除去連続面135cは、除去先行面134から回転方向Rの後行側に延設され、回転方向Rに湾曲している。この除去連続面135cは、前後方向Lで、除去沿面135aよりも前側に配置される。本実施形態の除去連続面135cは、前後方向Lで、除去沿面135aから前側に進むにつれて、径内側に傾斜する傾斜面として構成されている。
【0045】
除去先端面135cは、除去連続面135cから除去前後部133側に向かって延びる。本実施形態の除去先端面135cは、径方向に沿って内側に延びる。なお、本実施形態の除去先端面135cは、除去前後部133よりも前側に配置されている。
【0046】
除去刃先部132aは、除去先行面134と除去外周面135とが連続する稜線部に形成される。即ち、除去刃先部132aは、除去外周面135の回転方向Rの先行端縁に形成され、除去先行面134の径方向外側端縁に形成される刃先部である。よって、除去刃先部132aは、回転方向Rにおける先行側の端部に配置されている。具体的に、本実施形態の除去刃先部132aは、除去沿面135aの回転方向Rの先行の端縁に形成され、かつ、除去先行面134の径方向の外端縁に形成される前後除去刃先部132bと、除去連続面135cの回転方向Rの先行の端縁に形成され、かつ、除去先行面134の径方向の外端縁に形成される傾斜除去刃先部132cとを備える。前後除去刃先部132bは、前後方向Lの全域で、前後方向Lの中心軸線からの距離が同じに設定されることで、前後方向Lに平行な直線状に形成される。一方で、傾斜除去刃先部132cは、前後方向Lで、前側に進むにつれて、前後方向Lの中心軸線との距離が近付くように傾斜する傾斜線状に形成される。
【0047】
付着除去具13は、除去部132に対して、回転方向Rの先行側に、旧配管10の内周面に付着した付着物Xに対して配置される付着先行離間部を備える。この付着先行離間部は、回転方向Rで、除去先行面134と除去前後部133との間に形成される。そのため、付着先行離間部は、除去先行面134よりも回転方向Rの先行側に配置される。即ち、付着先行離間部は、前後方向Lに延びる空間部である。
【0048】
付着除去具13は、除去部132の回転方向Rの後行側に、旧配管10の内周面に対して離れて配置される付着後行離間部を備える。この付着後行離間部は、回転方向Rで、除去支持部139と先行側面部137aとの間に形成され、前後方向Lに貫通する空間部である。
【0049】
図8に示すように、送迎部17は、入口4側に配置される送り部170と、出口5側に配置される迎え部174とを備える。送り部170は、連結部(具体的には、シャフト)を後端側から先端側に向かって送り出すことができる送り機171と、送り機171と既設配管1の入口4との間に配置される送り接続部173と、を備える。なお、
図8に示すように、本実施形態の送り機171は、既設配管1の入口4の開口に対して管軸方向で連結部15を送り出すように配置されている。
【0050】
送り機171は、長尺体を長尺体の軸線方向に沿って移動させることができる器具である。本実施形態の送り機171は、円形で、連結部15を側方から挟むように配置されている一対の送り本体部172を備え、送り本体部172は、上下方向を軸にそれぞれ逆向きに回動するように構成される。このように構成されることで、送り機171では、一対の送り本体部172が回動することで、一対の送り本体部172で挟んだ連結部15を連結部15の軸線方向に沿って移動させることができる。なお、本実施形態の送り機171は、連結部15を既設配管1の入口4側から挿入する向きで移動させるべく動作することも、或いは連結部15を既設配管1の入口4から引き抜くように移動させるべく動作することもできる。
【0051】
送り接続部173は、送り機171と既設配管1の入口4とを接続している。本実施形態の送り接続部173は、送り本体部172に接続される直線状の補助管173aと、分岐治具173bと、補助管取付治具173cとを備える。補助管173aは、付着除去具13と連結部15、及び後述する配管切削具21を内部に挿通可能な管である。そのため、補助管173aの内径は、付着除去具13、連結部15、索体23及び配管切削具21の外径よりも大きい。また、補助管173aの内径は既設配管1の内径よりも大きい。
【0052】
分岐治具173bは、補助管173aと補助管取付治具173cとの間に配置されている。分岐治具173bは、管軸方向、及びそれと直交する方向に接続できるものである。本実施形態の分岐治具173bは、管軸方向に直交する方向で、分岐配管173dを介して、後述する集塵回収部173eと接続している。
【0053】
補助管取付治具173cは、管軸方向に沿って延びる直線状の管である。本実施形態の補助管取付治具173cは、管内の状態を確認できるように構成されている。
図8に示すように、具体的に、本実施形態の補助管取付治具173cには、内部の状態を確認可能な窓が形成されている。
【0054】
集塵回収部173eは、付着除去工程や配管切削工程に伴って発生する集塵(例えば、切削屑や付着物X)を回収する。この集塵回収部173eは、後述する気流送出部178から送られた気流Fを利用して、入口4側に流れてきた集塵を回収する。また、集塵回収部173eは、管軸方向における補助管173aと既設配管1との間に配置されている。
図8に示すように、本実施形態の集塵回収部173eは、分岐配管173dを介して、分岐治具173bと接続されることで、補助管173aと補助管取付治具173cとの間に配置されている。そのため、補助管取付治具173cの窓を介して補助管173a側に流れる集塵を確認した後に、該集塵が集塵回収部173eに流れる。なお、分岐配管173dは、集塵回収部173eと分岐治具173bとを連通する管である。本実施形態の分岐配管173dは、可撓性を有し、曲線状に配置されている。
【0055】
迎え部174は、後述する索体を牽引する迎え機175と、該迎え機175と既設配管1の出口5とを接続する迎え接続部177とを備える。
図8に示すように、本実施形態の迎え機175は、既設配管1の出口5の開口に対して管軸方向に牽引するように配置されている。
【0056】
迎え機175は、前述した送り機171と同様で、長尺体を長尺体の軸線方向に沿って移動させることができる器具である。本実施形態の迎え機175は、円形で索体23を側方から挟むように配置された一対の迎え本体部176を備え、迎え本体部176は、上下方向を軸にそれぞれ逆向きに回動するように構成される。よって、迎え機175では、一対の迎え本体部176が回動することで、一対の迎え本体部176で挟んだ索体を索体の軸線方向に沿って移動できる。
【0057】
迎え接続部177は、索体23、連結部15、付着除去具13及び配管切削具21を挿通可能に構成されている。そのため、迎え接続部177の内径は、索体23、連結部15、付着除去具13及び配管切削具21の外径よりも大きい。また、本実施形態の迎え接続部177は、軸線方向に沿って延びる直線状の補助管により構成されている。
【0058】
本実施形態の迎え部174は、送り部170側に気流Fを送り出す気流送出部178を備える。本実施形態の気流送出部178は、コンプレッサーにより構成されている。また、この気流送出部178は、迎え機175に接続されている。よって、気流送出部178から送り出されたエアが迎え部174を介して、既設配管1の出口5側から入口4側に流れることで、集塵を送り部170側に流すことができる。
【0059】
図8に示すように、電源供給部179は、電源から供給された電気を、迎え部174に供給する。本実施形態の電源供給部179は、接続線を介して電源と迎え部174とに接続している。本実施形態の電源供給部179は、変圧器として構成されている。なお、本実施形態では、送り機171と迎え機175がケーブルYにより接続されている。
【0060】
以上のような構成の付着除去装置12を用いて、既設配管1内の付着物を除去する付着除去工程について、
図4(b)(c)を参照して説明する。なお、
図4(b)(c)では、既設配管1内に着目して説明すべく、付着除去装置12のうち、送迎部17や駆動部14については図示しない。
【0061】
本実施形態の付着除去工程では、旧配管10の管軸方向の全域から付着物を除去する。付着除去工程では、はじめに、付着除去装置12を入口4から既設配管1内に挿入する。ここで、本実施形態の付着除去装置12では、付着除去具13が最前に配置されている。そのため、本実施形態では、駆動部14の回転力によって回転方向Rに回転する付着除去具13を、前後方向Lの前側から旧配管10内に挿入する。
【0062】
ところで、本実施形態の付着除去具13は、第一径方向Aにおける長さが旧配管10の内径φAと略同一であり、第二径方向Bの長さが旧配管10の内径φAより短い。そのため、本実施形態の付着除去具13を旧配管10内に挿入できる。
【0063】
そして、回転方向Rに回転する付着除去具13の旧配管10内への挿入を進めていく。これにより、除去刃先部132aが付着物Xを切削によって除去する。具体的には、回転方向Rにおける先行側の端部に配置される除去刃先部132aが、付着物Xに当接しながら回転方向Rに動くことで、付着物Xが切削さることによって除去される。また、本実施形態の除去刃先部132aでは、前後方向Lに平行な直線状の前後除去刃先部132bと、前後方向Lで、前側に進むにつれて、前後方向Lの中心軸線との距離が近付くように傾斜する傾斜除去刃先部132cとが回転方向Rに動いて、付着物Xが切削除去される。このとき、傾斜除去刃先部132cが旧配管10の内周面より径方向の内側の付着物Xを切削除去し、その後、前後除去刃先部132bが旧配管10の内周面側の付着物Xを切削除去する。
【0064】
除去刃先部132aが付着物Xを除去すると、除去先行面134が、除去された付着物Xをすくう。そして、気流送出部178から送り出されるエアによって付着物Xを既設配管1外から排出される。本実施形態では、気流送出部178から送り出されたエアが、
図4(b)に示すように、既設配管1の出口5側から入口4側に流れる気流Fを形成し、この気流Fが付着物Xを既設配管1の入口4側に吹き飛ばす。具体的には、回転方向Rで、除去先行面134と除去前後部133との間に形成される付着先行離間部と、除去支持部139と先行側面部137aとの間に形成される付着後行離間部とにエアが流れ、付着物Xが入口側に吹き飛ばされる。
【0065】
この時には、
図8に示すように、補助管取付治具173cの窓から接続部18の既設配管1への挿入具合や、付着物の通過具合を確認できる。そして、補助管取付治具173cの窓から確認された付着物Xは、分岐治具173bに接続される分岐配管173dを介して、集塵回収部173eに流れる。
【0066】
図4(c)に示すように、付着除去具13が旧配管10を挿通することで、付着除去工程は完了する。付着除去工程が完了すると、旧配管10の内周面から付着物Xが除去されて、旧配管10の内径はφAになる。つまり、付着除去工程によって、管軸方向における旧配管10内の全域での内径を、φAにすることができる。
【0067】
続いて、
図6(a)~(c)を用いて、(3)の配管切削工程について説明する。配管切削工程は、旧配管10の内周面を切削する工程である。旧配管10の内周面を切削するためには、管軸方向を中心として回転方向Rで回転する配管切削具21を備えた配管切削装置20が用いられる。説明の便宜上、配管切削工程よりも前に、配管切削装置20を説明する。
【0068】
配管切削装置20は、旧配管10を、その内周面から肉厚の一部を除去するように切削するためのものである。この配管切削装置20は、上記の配管切削具21に加えて、回転力を発生させる駆動部14と、駆動部14で生じた回転力を配管切削具21に伝達する連結部15とを備える。ここで、連結部15と駆動部14の構成については上述した通りであるため、説明を省略する。すなわち、配管切削装置20は、上述した連結部15の先端に配管切削具21が連結されることにより構成されている。また、本実施形態の配管切削装置20は、上述した送迎部17を備える。なお、本実施形態の配管切削装置20における送迎部17は、配管切削具21と連結部を入口4側から出口5側に送迎するためのものである。
【0069】
図5に示すように、配管切削具21は、既設配管1の管軸方向に前後方向Lを沿わせて、該前後方向Lを中心に回転することで、保護材9内に通される旧配管10の内周面の肉厚を切削する切削用工具である。この配管切削具21は、連結部15から伝達された回転力を受けて、回転方向Rに回転可能である。
【0070】
図5(a)(b)に示すように、配管切削具21は、前後方向Lに延びる切削基部210と、該切削基部210に形成される切削形成部211とを備える。切削基部210は、前後方向Lを中心軸線とする柱状体又は筒状体であり、径方向の大きさが、旧配管10の内径φAよりも小さく構成されている。切削基部210は、前後方向Lまわりの外周部として、切削形成部211が設けられている第一外周部210aと、第一外周部210aに対して回転方向Rの後行側に配置される第二外周部210bと、を備える。本実施形態では、第一外周部210aは、径方向で対向して一対設けられ、第二外周部210bも径方向で対向して一対設けられている。具体的には、切削基部210は、配管切削具21の径方向のうち、互いに直交する第一径方向Aと第二径方向Bそれぞれに配置される第一外周部210aと第二外周部210bとを備える。また、配管切削具21は、前後方向Lの前側に配置される前端部210cと、後側に配置される後端部210dとを備える。
【0071】
第一外周部210aと第二外周部210bとは、前後方向Lに延び、前端部210cと後端部210dに連続している。
図5(a)に示すように、第一外周部210aは、切削基部210における第一径方向Aの両側に配置される。本実施形態の第一外周部210aは、第二径方向Bに沿う。具体的には、第一外周部210aの径方向の外面は、前後方向Lに沿う平面であり、切削形成部211が設けられる面である。一方で、第二外周部210bは、切削基部210における第二径方向Bの両側に配置され、本実施形態の第二外周部210bは、第一径方向Aに沿う。具体的には、第二外周部210bの径方向の外面は、前後方向Lに沿う平面であり、第一外周部210aの外面に対して垂直に配置される面である。また、
図5(b)(d)に示すように、本実施形態の第一外周部210aと第二外周部210bとは、前後方向Lに沿って延びる。第一外周部210aと第二外周部210bとは、回転方向Rで交互に並ぶように配置されている。本実施形態では、回転方向Rで交互に並ぶように第一外周部210a及び第二外周部210bが二つずつ配置されている。
【0072】
前端部210cは、切削基部210の前側に配置されている。
図5(b)(d)に示すように、前端部210cは、径方向の長さが旧配管10の内径より短い。本実施形態の前端部210cは、前後方向Lの前側に凸となるような湾曲形状に構成されている。前端部210cには、後述する索体23を接続する前側接続部aが形成されている。
【0073】
後端部210dは、切削基部210の後側に配置されている。本実施形態の後端部210dは、前後方向Lに垂直な平面状に構成されている。後端部210dには、取付部が連結可能な後側接続部bを備える。本実施形態の後側接続部bは、取付部としての雄ねじが螺合可能な雌ねじとして構成されている。そのため、後側接続部bを用いて、配管切削具21は連結部15と連結できる。
【0074】
切削形成部211は、切削基部210から径方向に起立する。本実施形態の切削形成部211は、第一外周部210aから第一径方向Aに起立している。また、
図5(a)に示すように、本実施形態の切削形成部211は、第一外周部210aの第二径方向Bの端部に配置されており、第一外周部210aの外面における回転方向Rの後行側に配置されている。具体的には、切削形成部211は、回転方向Rの後行側の形成後行部212と、回転方向Rの先行側の形成先行部213とを備え、形成後行部212が第二外周部210bと第一径方向Aで連続し、形成先行部213が回転方向Rの先行になるように配置されている。
図5(d)に示すように、形成後行部212と形成先行部213は、前後方向Lに延びる。また、切削形成部211は、径方向の外面として形成外面211aを有し、この形成外面211aは、回転方向Rに沿った湾曲面である。
【0075】
切削形成部211は、第一外周部210aにおいて前後方向Lに配置されている。本実施形態の切削形成部211は、第一外周部210aの前後方向Lの全域にわたって配置されている。切削形成部211の前端である形成前部222は、切削基部210の前端部210cに連続するよう湾曲形成され、後端である後傾斜面226aは、切削基部210の後端部に連続するようテーパー状に形成されている。また、本実施形態の切削形成部211は、第一外周部210aに設けられる中間部214と、該中間部214よりも後側に配置される後側部224と、前記中間部214よりも前側に配置される前側部220とを備える。
【0076】
中間部214は、前後方向Lで、前側部220よりも後ろ側に配置されている。
図5(b)(c)に示すように、中間部214は、前側部220よりも径方向の外方に延びる。本実施形態の中間部214は、前側部220及び後側部224よりも第二径方向B(回転方向R)に長く形成されている。そのため、
図5(d)に示すように、形成先行部213のうち、中間部214に形成される形成中間先行部213aは、後述する形成前側先行部213bや形成後側先行部213cよりも回転方向Rの先行側に延びる。
【0077】
中間部214には、旧配管10の内周面を切削する切削部215が形成される。切削部215は、中間部214のうち、前側部220よりも径方向で外側に配置される部分である。切削部215は、前後方向Lを管軸方向に沿わせて、前後方向L周りに回動することで旧配管10の内周面を切削する。切削部215は、該切削部215の回転方向Rの先行側の端面である刃端先行面215eと、該刃端先行面215eの径外端縁から回転方向Rの後行側に沿って形成される刃端外周面215bと、刃端先行面215e及び刃端外周面215bの稜線部に形成される刃端部215aと、を備える。刃端部215aは、切削部215の回転方向Rの先行端部かつ径方向の外端部であり、旧配管10の内周面に当接して周方向に回転することで旧配管の内径φAを内周側から切削するように構成される。切削部215は、その前側端部を規定する刃端前部215cと、切削部215の後側端部を規定する刃端後部215dと、を備える。
【0078】
刃端先行面215eは、切削基部210の第一外周部210aの外面に対して交差し、該外面の径外側に広がる面である。本実施形態では、刃端先行面215eは、前記外面に対して垂直であり、かつ、前後方向Lに平行な平面である。刃端先行面215eは、切削形成部211の形成先行部213を構成する。なお、刃端先行面215eは、切削部215における回転方向Rの先行端面であればよく、例えば、前後方向Lに交差する方向に形成することもできる。即ち、本実施形態の刃端先行面215eは、第一径方向Aと前後方向Lに沿って広がる面で、第二径方向Bに垂直な面である。
【0079】
刃端外周面215bは、切削部215の径方向の外面であり、回転方向Rに沿った湾曲形状の面である。刃端外周面215bは、刃端先行面215eの径方向外端縁から回転方向Rの後行側へ延設されている。すなわち、本実施形態の刃端外周面215bは、周方向において、刃端部215aと形成後行部212との間に延びる。なお、本実施形態の刃端外周面215bは、後述する前側外周面221よりも周方向に長く構成されている。また、刃端外周面215bの回転方向Rの先行端縁と刃端先行面215eの径方向外端縁とで、稜線部が形成されており、該稜線部に刃端部215aが形成されている。
【0080】
上述したように、刃端部215aは、刃端外周面215bと刃端先行面215eとが連続する稜線部に形成される。即ち、刃端部215aは、刃端外周面215bの回転方向Rの先行端縁に形成され、かつ、刃端先行面215eの径方向の外端縁に形成される刃先部である。よって、刃端部215aは、回転方向Rにおける先行側の端部に配置されている。また、刃端部215aは、前後方向L全域に亘って、前後方向Lの中心軸線からの距離(即ち、半径)が同じに設定されており、本実施形態では、前後方向Lに平行な直線状に形成されている。なお、刃端部215aは、前後方向Lに交差する方向とすることもでき、要するに、旧配管10の内周面に当接して回転することで、旧配管10の肉厚を内周面側から周方向に沿って切削できるように、前後方向Lに延びるように構成される。
【0081】
刃端前部215cは、刃端部215aよりも前後方向Lの前側に配置されている。刃端前部215cは、刃端部215aから径内側に延びる。
図5(b)(c)(d)に示すように、本実施形態の刃端前部215cは、径内側に進むにつれて前側に延びるテーパー状の面として構成されている。また、刃端前部215cは、周方向に沿って形成されている。刃端後部215dは、刃端部215aよりも前後方向の後側に配置されている。刃端後部215dは、刃端部215aから径内側に延びる。
【0082】
本実施形態の中間部214は、切削部215よりも前側に配置される連続部217を備える。連続部217は、切削部215と前側部220との間に配置されており、刃端先行面の前後方向Lの前側に連続する連続先行面217aと、連続先行面217aから回転方向Rの後行側に延設される連続外周面217bとを備える。連続先行面217aは、刃端先行面215eと面一である。連続外周面217bは、刃端前部215cを介して刃端外周面215bの前側に配置されており、したがって、刃端外周面215bよりも径方向内方に位置している。なお、刃端外周面215bと連続外周面217bとの径方向での位置の段差が、切削部215で切削する深さ(切削幅)に設定されている。
【0083】
図5(a)(b)に示すように、形成中間先行部213aは、中間部214において、回転方向Rの先行側の端部である。この形成中間先行部213aは、前述した刃端部215aを含む。本実施形態の形成中間先行部213aは、切削基部210から第一径方向Aに沿うように起立している。また、本実施形態の形成中間先行部213aは、形成前側先行部213b及び形成後側先行部213cよりも回転方向Rの先行側に配置されている。
【0084】
本実施形態の中間部214は、形成中間先行部213aと形成前側先行部213bとを接続する中間前部218aと、形成中間先行部213aと形成後側先行部213cとを接続する中間後部218bとを備える。中間前部218aは、中間部214における前後方向Lの前側の端部を規定している。本実施形態の中間前部218aは、径方向に沿うように構成されている。そのため、本実施形態の中間部214は、前側が第一径方向Aに沿うように切削基部210から起立している。
【0085】
中間後部218bは、中間部214における前後方向Lの後側の端部を規定している。
図5(b)に示すように、本実施形態の中間後部218bは、上述した刃端後部215dと、刃端後部215dよりも径内側に配置される周後面部219とを備える。また、本実施形態の中間後部218bは、第一径方向に沿うように構成されている。そのため、本実施形態の中間部214は、前後方向Lの両端が第一径方向Aに沿うように切削基部210から起立している。
【0086】
前側部220は、中間部214よりも前側に配置されている。前側部220は中間部214と前後方向Lで連続する。
図5(c)に示すように、前側部220は、中間部214のうち、切削部215より径方向の内側に配置される。前側部220は、回転方向Rに沿って形成される前側外周面221と、切削形成部211の前側端部を規定する形成前部222と、回転方向Rの先行の端部として規定される形成前側先行部213bを備える。
【0087】
前側外周面221は、切削部215よりも前後方向Lの前側で、既設配管1の内周面に当接する。
図5(d)に示すように、本実施形態の前側外周面221は、回転方向Rに沿った湾曲面であり、旧配管10の内周面に沿うように構成される。また、本実施形態の前側外周面221は、その回転方向Rの先行側の端部が刃端部215aに対して回転方向Rの後行側に配置されるため、刃端部215aより回転方向Rの後行側に配置される。そして、この前側外周面221は、刃端外周面215bの前側に配置される。また、前側外周面221は、刃端外周面215b及び刃端部215aよりも径方向内方に位置しており、具体的には、刃端部215aによる切削幅の分だけ径方向内方に位置している。換言すると、刃端部215a及び刃端外周面215bは、前側外周面221に対して、切削幅の分だけ径方向外方に突出している。
【0088】
形成前部222は、切削形成部211の前側の端部を規定する。
図5(b)に示すように、本実施形態の形成前部222は、前側に進むにつれて径内方向に傾斜する湾曲形状に構成されている。また、本実施形態の形成前部222は、前側外周面221から前側に連続している。さらに、本実施形態の形成前部222は、前端部210cに連続するように湾曲している。
【0089】
形成前側先行部213bは、前側部220のうち、回転方向Rの先行の端部である。この形成前側先行部213bは、第一外周部210aの外面から第一径方向Aに起立する。また、形成前側先行部213bは、前後方向Lに延びる。そのため、形成前側先行部213bは、第一径方向Aと前後方向Lとに広がる面である。なお、本実施形態の形成前側先行部213bは、第一径方向Aと前後方向Lに沿う面として構成されている。
【0090】
後側部224は、切削形成部211の後側の端部を規定する形成後部225と、後側部224の径方向の外周面となる後側外周面226と、回転方向Rの先行の端部である形成後側先行部213cと、前後方向に傾斜する後傾斜面226aとを備える。
図5(b)に示すように、本実施形態の形成後部225は、前後方向Lに交差する面である。この形成後部225は、この形成後部225は、形成後行部212と形成後側先行部213cとの間に延びる。また、この形成後部225は、後端部210dと面一になるように構成されている。形成後部225は、周方向に沿った湾曲状の面である。この形成後部225は、形成後側先行部213cと形成後行部212との間に延設されている。また、後側外周面226は、前後方向Lで、形成後部225と刃端外周面215bとに連続している。形成後側先行部213cは、第一径方向Aと前後方向Lに広がる面である。この形成後側先行部213cは、前後方向Lに沿うように構成されている。本実施形態の形成後側先行部213cは、回転方向Rで、形成中間先行部213aよりも後行側に配置されている。
【0091】
配管切削具21は、切削形成部211に対して、回転方向Rの先行側に、旧配管10の内周面に対して離して配置される先行離間部21Bを備える。先行離間部21Bは、切削形成部211の形成先行部213の回転方向Rの先行側に配置され、回転方向Rにおける形成先行部213と、切削基部210の第一外周部210aとの間に形成される。具体的には、先行離間部21Bは、切削形成部211の前側部220の形成前側先行部213b、及び切削部215の刃端先行面215e、連続部217の連続先行面217a、後側部224の形成後側先行部213cと第一外周部210aとの間に形成される。即ち、先行離間部21Bは、前後方向Lに貫通した空間部である。
【0092】
また、刃端先行面215eに対して、形成前側先行部213bは、回転方向Rの後行側に位置するので、先行離間部21Bの回転方向Rの幅は、切削部215における幅よりも前側部220における幅の方が大きくなっている。また、形成後側先行部213cは、刃端先行面215eに対して回転方向Rの後行側に位置するので、先行離間部21Bの回転方向Rの幅は、切削部215における幅よりも、後側部224における幅の方が大きい。このように、先行離間部21Bは、切削部215よりも前後方向Lの前側及び後側の少なくとも一方側において、回転方向Rの幅が、切削部215における回転方向Rの幅よりも大きく構成されている。
【0093】
配管切削具21は、切削形成部211の回転方向Rの後行側に、旧配管10の内周面に対して離れて配置される後行離間部21Aを備える。後行離間部21Aは、形成後行部212の回転方向Rの後行側に配置され、回転方向Rで、形成後行部212と切削基部210の第二外周部210bとの間に形成される。すなわち、後行離間部21Aは、前後方向Lに貫通した空間部である。
【0094】
牽引部22は、配管切削具21から先端側に向かって(軸線方向において連結部と反対側に)延びる索体23と、索体23の延伸方向の中途部分に設けられる中間ガイド部24とを備える。このような牽引部22は、出口5側から引張られた引っ張り力を切削部215に伝達し、切削部215を出口5側に牽引する。本実施形態の牽引部22は、迎え部174によって出口5側から牽引される。
【0095】
索体23は、既設配管1の内径よりも外径が小さい索状体である。また、配管切削具21と接続部18とを牽引する引張力に耐えることができる索状体である。本実施形態の索体23は、金属製のワイヤーで構成される。また、索体23は、中間ガイド部24よりも先端側(既設配管1の軸線方向で切削部215とは反対側)に位置する先端側索体230と、中間ガイド部24よりも後端側(配管切削具21側)に位置する後端側索体231と、を備える。本実施形態では、後端側索体231が配管切削具21に接続される。
【0096】
中間ガイド部24は、索体23の延伸方向の中途部分に設けられる部位である。また、中間ガイド部24は、索体23の外径よりも外径が大きい部位である。具体的には、中間ガイド部24は、外径が既設配管1の内径と略同じ筒体又は柱体である。本実施形態の中間ガイド部24は、円柱体である。なお、既設配管1の内径と略同じとは、既設配管1の内径の内径と同じ径を指すものではなく、既設配管1の内径に対して、既設配管1内で移動できる程度に小さいものを指す。即ち、中間ガイド部24は、既設配管1の内径に対して、既設配管1に挿入する際に詰まったり引っかかったりしない程度にだけ外径が小さい筒体又は柱体である。本実施形態の中間ガイド部24は、軸線方向の一端部及び他端部に索体23が連結されることで、索体23の延伸方向の中途部に配置される。また、中間ガイド部24は、軸線方向の一端部と軸線方向の他端部とが軸線方向中心で相対回動するように構成されている。具体的に、中間ガイド部24のうち、一端部で索体23が連結される部位と、他端部で索体23が連結される部位とは、軸線方向中心で相対回動するよう構成されている。本実施形態の中間ガイド部24は、内部にベアリングを備えている(図示しない)。このような中間ガイド部24は、切削部215の回動が中間ガイド部24よりも先端側に配置される索体23(先端側索体230)に伝達しないように構成された回動絶縁部である。即ち、索体23においては、中間ガイド部24よりも後端側(後端側索体231)の部分のみ回動が表面に現れる。
【0097】
配管切削工程は、既設配管1の管軸方向の切削すべき範囲の全域にわたり、配管切削具21で、既設配管1の肉厚の一部を切削する工程である。本実施形態の配管切削工程は、既設配管1の出口5側から入口4側に牽引部22を挿通し、入口4側から露出した牽引部22の後端部210dに配管切削装置20を連結する切削準備工程と、該配管切削装置20を入口4側から出口5側に移動させつつ、既設配管1の肉厚を切削する切削実行工程と、を備える。
【0098】
切削準備工程では、まず初めに、
図6(a)に示すように、既設配管1の出口5から入口4側に向かって牽引部22を挿通する。具体的には、あらかじめ、索状の呼び線(図示しない)を既設配管1内に挿通して、該呼び線によって索体23を既設配管1の出口5から入口4まで牽引して挿通する。索体23が入口4から露出した後に、中間ガイド部24、後端側索体231を索体23の後端部に連結する。なお、上記のように、呼び線を用いて、索体23のみを一旦既設配管1内に挿通してから、入口4側で中間ガイド部24と、後端側索体231を連結する場合について説明したが、このような場合に限らず、中間ガイド部24、後端側索体231を呼び線によって牽引して既設配管1内に挿通してもよい。また、牽引部22を挿通する場合に、呼び線を用いて挿通する場合に限らず、出口5側から牽引部22を押し込んで既設配管1内に挿通することもできる。
【0099】
その後、既設配管1の入口4から露出した牽引部22と配管切削装置20とを連結する(図示しない)。具体的には、後端側索体231と前側接続部aとを連結する。本実施形態では、牽引部22と配管切削装置20とが連結することで、切削準備工程は完了する。
【0100】
切削実行工程では、入口4側から既設配管1内に配管切削装置20を挿入し、既設配管1の肉厚を切削する。
図6(b)に示すように、本実施形態では、配管切削具21を旧配管10内に挿入し、駆動部14の回転力によって配管切削具21を回転させて、切削部215で旧配管10の内径を切削する。また、本実施形態では、迎え部174によって配管切削具21を出口5側から牽引部22で牽引しつつ、入口4側において、一対の送り本体部172が回動し、該一対の送り本体部172に挟まれた接続部18が軸線方向で既設配管1内に送り込まれることで、配管切削具21は、入口4側から出口5側に移動する。
【0101】
具体的に、駆動部14に連結部15を介して連結されている配管切削具21は、管軸方向を回転中心として回転し、接続部18によって出口5側に押されつつ、索体23を介して牽引部22により引かれながら、旧配管10内に挿入される。旧配管10内に挿入される際には、配管切削具21は前端部210c側から挿入される。ここで、前端部210cは、径方向の長さが旧配管10の内径より短い。また、
図5(b)(d)に示すように、本実施形態の前端部210cは、前後方向Lの前側に凸となるような湾曲形状に構成されている。さらに、切削基部210から第一径方向Aに起立している切削形成部211のうち、形成前部222は、前側に進むにつれて径内方向に傾斜する湾曲形状に構成されている。そのため、前側において、配管切削具21は旧配管10内に簡単に挿入できる。
【0102】
配管切削具21が、前後方向Lの前側から旧配管10内に挿入されると、切削部215よりも前側の前側外周面221が旧配管10の内周面に当接する。ここで、本実施形態の前側外周面221は、回転方向Rに沿った湾曲面で、旧配管10の内周面に沿うように構成される。そのため、前側外周面221が、旧配管10の内周面に沿うように当接する。そして、前側外周面221が旧配管10の内周面に沿うことで、配管切削具21は、旧配管10の内周面にガイドされながら、既設配管1内を管軸方向に移動する。その後、切削部215が旧配管10内に挿入されるまで、配管切削具21が移動すると、切削部215によって、旧配管10の内周面の切削が行われる。
【0103】
本実施形態では、刃端部215aが旧配管10の内周面に当接した状態で、配管切削具21が回転方向Rに回転することにより、刃端部215aが旧配管10の内径φAを内周側から切削する。具体的には、回転方向Rの先行側の端部に配置される刃端部215aが、旧配管10の内周面に当接しながら回転方向Rに動くことで、旧配管10の内周面の肉厚が周方向で削られる。そのため、旧配管10の内周面が削られることにより、旧配管10の内径がφAからφBになる。また、
図5(c)に示すように、配管切削具21が旧配管10に挿通されると、旧配管10の管軸方向の全域において、旧配管10の内径がφBとなる。
【0104】
ここで、刃端部215aによって旧配管10の内周面の肉厚が切削されると、第一外周部210aの外面に対して交差する刃端先行面215eが、切削によって生じた切削屑をすくう。そして、この切削屑は、先行離間部21Bにおいて、気流送出部178から送り出されるエアで吹き飛ばされ、既設配管1から排出される。本実施形態では、出口5側から入口4側に気流Fが流れる。そのため、切削屑は入口側に流れる。ここで、本実施形態の配管切削具21において、形成前側先行部213bが回転方向Rの後行側に位置することで、先行離間部21Bの回転方向Rの幅が、切削部215における幅よりも前側部220における幅よりも大きい。そのため、入口側に向かって流れるエアは、中間前部218aにぶつかることで、既設配管1内の気流Fが乱れて、切削屑を効率よく除去できる。そして、気流Fによって切削屑が入口側に流れることで、補助管取付治具173cの窓から挿入具合や切削屑の排出具合を確認できる。その後、切削屑は、集塵回収部173eに流れて回収される。
【0105】
続いて、(4)の挿入工程について説明する。挿入工程では、索体31の後端部210dに取り付けられた配管挿入具25を新配管11の先端部に取り付け、索体31を牽引することで、新配管11を入口4側から出口5側へと牽引し、既設配管1の内部に新配管11を挿入する。
【0106】
挿入工程では、
図7(a)に示すように、はじめに、索状の呼び線を既設配管1内に挿通して、該呼び線によって索体31を既設配管1の出口5から入口4まで牽引して挿通し、入口4側から露出した索体31に配管挿入具25を取り付ける。入口4側で配管挿入具25を索体31に取り付けてから、配管挿入具25に新配管11の先端部を固定する。なお、配管挿入具25としては、新配管11の先端部を固定して、新配管11と索体31とを連結可能な種々の配管挿入具25を採用できる。
【0107】
新配管11の先端部が配管挿入具25に固定されてから、索体31を迎え本体部176で出口5から牽引し、新配管11を入口4から出口5まで移動させる。そして、新配管11の先端部が出口5から露出すると挿入工程が完了する。
【0108】
以上の工程で、本実施形態の配管更新は完了する。
【0109】
以上、本実施形態の配管切削具21によれば、切削部215を既設配管1内で回転させながら前進させる際には、前側部220の前側外周面221が切削部215の前側で既設配管1の内周面に当接することで、切削部215の刃端部215aを既設配管1の内周面に対して所定の切削位置に維持することができ、刃端外周面215bで切削位置での回転を安定させることができる。
【0110】
また、本実施形態の配管切削具21によれば、前側外周面221が、刃端部215aの既設配管1の内周面に対する切削位置を維持しつつも、刃端部215aによる切削の邪魔にならないので、安定して切削できる。
【0111】
また、本実施形態の配管切削具21によれば、切削部215の回転方向Rにずれた位置に、既設配管1の内周面に対して離間して配置される後行離間部21Aが設けられるため、配管切削具21と既設配管1の内周面との切削面積を減らすことができ、例えば、配管切削具21を既設配管1の内部で移動させやすくできる。
【0112】
また、本実施形態の配管切削具21によれば、刃端部215aで既設配管1の内周面を切削することで生じた切削屑を、先行離間部21Bにて効率よく除去できる。
【0113】
また、本実施形態の配管切削具21において、形成前側先行部213bと形成後側先行部213cが、回転方向Rで、形成中間先行部213aの後行側に位置することで、先行離間部21Bの回転方向Rの幅が、切削部215における幅よりも前側部220と後側部224における幅よりも大きいため、既設配管1内を管軸方向に流れるエアが中間前部218a又は中間後部218bにぶつかることで、既設配管1内の気流Fが乱れて、切削屑を効率よく除去できる。
【0114】
また、本実施形態の配管切削具21では、切削部215が第一径方向Aの両側に配置されているため、配管切削具21を半周分だけ回転させることで、旧配管10の内周面の全周を切削できる。
【0115】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0116】
例えば、上記実施形態では、説明の便宜上、付着除去装置や配管切削装置が挿入される側を入口、反対側を出口としたが、これに限らず、出口から入口に向けて付着除去装置や配管切削装置が挿入されてもよい。
【0117】
例えば、上記実施形態では、既設配管は、保護材に配管を挿通して形成される場合について説明したが、これに限らず、例えば、既設配管は、保護材に挿通されていない配管から構成されていてもよい。すなわち、既設配管は、旧配管のみで構成されていてもよい。
【0118】
上記実施形態では、配管切削工程とは別に、配管挿入工程を行ったが、例えば、配管切削具の後方に新配管を配置して、配管切削工程を行いながら配管挿入工程を行うようにしもよい。また、配管切削工程と配管挿入工程とは連続して行われる必要はなく、例えば、配管切削工程と配管挿入工程との間で、配管を径方向に切断する配管切断工程を行ってもよい。この場合、旧配管を切断しながら新配管を給配管内に挿入し、或いは旧配管を切断した後に新配管を旧配管内に挿入してもよい。
【0119】
上記実施形態では、切削実行工程において、送迎部17として送り部170と迎え部174とを利用したが、これに限らず、例えば、送迎部17のうち、送り部170又は迎え部174だけを利用して、配管切削装置を既設配管に挿通させてもよい。
【0120】
上記実施形態では、刃端部が管軸方向に沿って延びる場合について説明したが、これに限らず、例えば、刃端部は後側ほど大径となるテーパー状に構成されていてもよい。
【0121】
上記実施形態では、既設配管の径方向のうち、交差する第一方向と第二方向の一方に、切削部が配置されている態様について説明したが、例えば、第一方向と第二方向の両方に、切削部が配置されている配管切削具でもよい。この場合、1つの刃端部にかかる切削負荷を軽減できる。
【0122】
上記実施形態では、
図5(a)に示すように、回転方向Rにおいて、配管切削具が時計回りに回転させるように、刃端部と刃端外周面を配置したが、これに限らず、配管切削具を反時計回りに回転させるように、刃端部と刃端外周面を配置してもよい。
【0123】
上記実施形態では、配管切削具の前端部が湾曲形状に構成されていたが、これに限らず、例えば、配管切削具の前端部が平面状に構成されていてもよい。また、配管切削具は、全体形状として錘状に形成されていてもよい。
【0124】
上記実施形態では、刃端外周面が前側外周面よりも周方向に長く形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば、刃端外周面が前側外周面よりも周方向で略同一の長さ、或いは前側外周面よりも短く形成されていてもよい。
【0125】
上記実施形態では、前側部は中間部と前後方向で連続する場合について説明したが、これに限らず、例えば、前側部と中間部とは周方向でズレて配置されることで、前後方向で連続せずに配置されていてもよい。また、この場合、例えば、切削形成部のうち、前側部が第一基径部から起立し、中間部が第二基径部から起立していてもよい。このように、前側部と中間部とは周方向でズレて配置されることで、切削部と前側部とが周方向でズレて配置されてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、前側部と中間部とが前後方向で連続する場合について説明したが、例えば、中間部と前側部とが前後方向で離間して配置されていてもよい。この場合、切削部と前側部とが前後方向で離間することが考えられる。
【0127】
上記実施形態では、切削基部が第一外周部に設けられている場合について説明したが、これに限らず、切削基部は、第二外周部に設けることもできる。この場合、例えば、第二外周部の回転方向の後行側に切削形成部を設け、3枚刃又は4枚刃とすることもできる。また、この場合、第二外周部に設けた切削形成部に対して、回転方向の先行側に、先行離間部が形成される。さらに、この場合、第二外周部の回転方向の先行側に位置する第一外周部に設けられた切削形成部に対する後行離間部は、第二外周部と、該第二外周部に設けた切削形成部の形成先行部との回転方向の間に形成される。
【0128】
上記実施形態では、刃端外周面は前側外周面に対して、径外方向外方に突出している場合について説明したが、これに限らず、例えば、前後方向で、前側外周面は、刃端外周面に対して面一としてもよい。
【0129】
上記実施形態では、前側外周面は、その回転方向の先行側の端部が刃端部に対して回転方向の後行側に配置される場合について説明したが、これに限らず、例えば、前側外周面は、刃端部に対して回転方向で先行側に配置してもよい。また、前側外周面は、その回転方向の先行側の端部が刃端部と回転方向で同じ位置とすることもできる。
【0130】
上記実施形態では、配管切削具が、後側接続部を用いて連結部の先端に連結され、また、前側接続部を用いて後端側索体に連結する場合について説明したが、これに限らず、例えば、配管切削具の前側に連結部としてのシャフトが接続され、配管切削具の後側に索体が接続されてもよい。この場合、例えば、前側から駆動部の回転力を、連結部を介して、配管切削具に伝えるようにしてもよい。
【0131】
なお、上記実施形態では、配管切削具の前後方向の前側と後側それぞれに、送り部と迎え部とを配置したが、これに限らず、例えば、配管切削具は、送り部のみにより前後方向が管軸方向に沿うように、旧配管内に送られてもよい。即ち、この場合、配管切削具の前側端部には、前側接続部が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1:既設配管、3:床面、4:入口、5:出口、6:ヘッダー部材、7:水栓、8:湾曲部分、9:保護材、10:旧配管、11:新配管、12:付着除去装置、13:付着除去具、14:駆動部、15:連結部、16:把手、17:送迎部、18:接続部、19:シャフト、20:配管切削装置、21:配管切削具、22:牽引部、23:索体、24:中間ガイド部、25:配管挿入具、a:前側接続部、b:後側接続部、A:第一径方向、B:第二径方向、F:気流、R:回転方向、L:前後方向、X:付着物、Y:ケーブル、φA:旧配管の内径、φB:旧配管の内径